💸18¦─1─韓国・中国・台湾は日本病で衰退した日本企業に代わって市場を奪い合う。〜No.89No.90No.91 * 

    ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 
 2017年11月22日 産経ニュース「【神戸製鋼データ改竄】【ビジネス解読】神戸製鋼スキャンダルに韓国がほくそ笑む!?「日本の空席を埋める最も良い位置にいる」論調も
 韓国の鉄鋼最大手ポスコのロゴ=韓国ソウル(ロイター)
 メード・イン・ジャパンへの信頼を大きく揺るがせている「神鋼スキャンダル」。トヨタ自動車はじめ、性能データが改竄(かいざん)されていた製品を神戸製鋼所から調達していた各社が安全性を確認し“火消し”に動いているため、スキャンダルの傷の深さが今ひとつ見え難い。だが、熾烈(しれつ)な国際競争は日本の失点を見逃してくれるほど甘くない。敵失につけ込むように、攻勢に動き出した企業がある。
 「補償費用など具体的な影響は算出できていない」
 10月30日の平成29年9月中間決算の記者会見で、神戸製鋼の梅原尚人副社長が顔をゆがめていたちょうど同じ日、神戸製鋼が取引の獲得・拡大を狙っていたであろう電気自動車(EV)関連企業約150社の関係者が大挙して韓国の仁川市松島を訪れていた。訪問先は韓国鉄鋼最大手ポスコのグローバルR&D(研究開発)センターだ。
 ポスコはこの日から3日間の日程で「EV素材フォーラム」と題した一大イベントを開催。電池用のリチウムや車体軽量化のための最先端の鋼材技術などの製品・開発戦略を内外の自動車メーカーや部品会社に披露した。イベントであいさつに立ったポスコの呉仁煥社長は「高品質のEV用素材と顧客価値を高めるソリューションを通じてEVに積極的に参加する」と宣言、不正発覚前に神戸製鋼がアルミ事業拡大の戦略ターゲットと位置づけていたEV分野での需要獲得意欲を強くアピールした。さらに、同社がフォーラムの開催中に保有する新日鉄住金株式の大量売却に踏み切っていたことも明らかになった。
 朝鮮日報などによると、ポスコは、株価上昇が続く東京市場新日鉄住金株813万株を約223億円で売却。これによって出資比率は1.65%に下がったという。ポスコは株の売却理由を「差益を得るためで、(新日鉄住金との)戦略的提携関係は変わりない」と説明しているようだが、額面通りには受け取れない。
 新日鉄住金ポスコは、新日鉄側の高級鋼板の製造技術がポスコ側に流出した産業スパイ問題で係争関係にあった。技術流出に関しては現在、和解済みだがしこりは残っており、昨年には新日鉄側が保有するポスコ株150万株を売却した経緯もある。
 一方で、新日鉄住金は、神戸製鋼と株式を相互保有し、自動車の軽量化に向けた高性能の高張力鋼板を共同開発した間柄だ。確かに東京株式市場は活況だが、一段の株価上昇が見込まれていた中、あえて、このタイミングを選んだ新日鉄住金株の大量売却は、品質の信頼性に疑問符が付いた日本の鉄鋼業界に距離を置くメッセージ。日本勢が先行していた高張力鋼板や、軽量化が大きな課題とされるEV向け次世代鋼材で対抗しようとの“宣戦布告”ともみえる。
 そもそもポスコは、技術流出問題が示唆するように、日本の鉄鋼メーカーが強みとする自動車向け鋼材市場での勢力拡大を虎視眈々と狙ってきた。今年4月には、世界初という自動車向けの次世代超高張力亜鉛めっき鋼板の量産工場を竣工(しゅんこう)し、年産50万トンの生産体制も整えている。ポスコの権五俊会長は新工場の完成式で「自動車鋼板分野で新たな地平を切り開いた」と自賛したというが、その言葉には自社技術が日本勢を上回る品質・技術力に達したとの思いがあったのかもしれない。
 ポスコが「ギガスチール」と呼ぶ次世代の超高張力鋼板は、鋼板の両端を引っ張ってちぎれるまでの強度が1.5ギガパスカル級。10×15センチの手のひらサイズの場合、仮に重さ約1トンの自動車1500台を乗せても耐えられる強さなのだという。神戸製鋼新日鉄住金が、日産自動車と共同で開発・実用化した超高張力鋼板の強度は1.2ギガパスカルにとどまる。
 JFEホールディングスを含めた日本の鉄鋼3社も強度1.5ギガパスカル級の開発にめどをつけたとされるが、量産には至っていない。ポスコは自社のギガスチールなら価格競争力、強度、軽量化の3点の総合力でアルミに勝ると豪語する。高張力鋼板とアルミを両輪に車体軽量化技術で最先端を走っていた神戸製鋼のつまずきは、ポスコ経営陣にはまさに攻めの好機と映っただろう。勢い、仁川市のフォーラムでは、このギガスチールの売り込みにかなりの時間が割かれた。
 自動車市場は欧州や中国の環境規制を背景にEVシフトの流れが加速している。日産に続き、トヨタやホンダも相次いでEVやPHV(プラグインハイブリッド)の強化にかじを切っている。新車の開発期間は早くて1〜2年。重要な戦略車となれば、当然それ以上の時間がかかる。それを考えれば、本格的なEV時代に向けた部材の商戦はすでに勝負どころに入ってきているはず。その状況で神鋼スキャンダルによる品質不安が緒を引けば、巨額のビジネス機会損失につながりかねない。
 神鋼スキャンダルや日産の無資格検査を「他山の石」として取り上げた韓国大手紙(電子版)の論調の中には、メード・イン・ジャパンの転落ととらえ、「韓国は先端製造業の空席を埋める最も良い位置にいる」(韓国経済新聞)と分析するものもあった。コーポレートガバナンス企業統治)が崩壊した神戸製鋼への支援に、日本の鉄鋼業界は「相談があれば検討する」(新日鉄住金の進藤孝生社長)と受け身の姿勢だが、信頼回復を自助努力だけにまかせたままでは、日本の失点にほくそ笑む競合相手を利するのではないか。
 独占禁止法のハードルはあるだろうが、業界内には再編の声もある様子。日本の失地への色気を吹き飛ばす経営戦略を日本勢には期待したい。
(経済本部 池田昇)
 ポスコ(POSCO) 韓国最大の鉄鋼メーカー。1968年、朴正煕大統領(当時)の肝いりで国営の浦項総合製鉄設立。日韓基本条約に伴う対日請求権資金や日本の援助などで浦項製鉄所をつくり、韓国の基幹産業を軽工業から重化学工業に転換させることに寄与した。2000年に民営化完了。02年から現社名。」
   ・   ・   ・