🎻17:─2─日米合同委員会。1952年4月28日 ~No.65No.66No.66 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本は表向きは自主独立国ではあるが、実態は外交と国防をアメリカの管理下に置かれた保護国である。
 その証拠が、日本国憲法と国連である。
 日本人で護憲派と国連至上主義者は、アメリカ支配を陰ながら維持する者達である。
 だが、日本がアメリカの保護国と言ってもそれは政治面のみであって、民族としては完全支配されていない。
 日本民族が心・精神面で自主独立を保ちえたのは、日本天皇家・皇室つまり天皇制度(国體)を死守できたからである。
 もし、敗戦国日本が世界常識を墨守して、戦争責任を昭和天皇に押し付け退位させ天皇制度を廃止していれば、日本国家は残っても日本民族は消滅し、日本はアメリカの従属国に成り下がっていた。
 日本が日本たり得たのは、昭和天皇天皇家・皇室と天皇制度(国體)を残す為の聖断があったお陰である。
 それゆえに、反天皇反日的日本人は天皇制度を廃絶する為に天皇家・皇室・皇族を消し去ろうとしている。
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 日本は、食糧・資源・エネルギーをアメリカの影響諸地域から輸入し、金融・サービスをアメリ多国籍企業に依存し、輸送・運輸をアメリカの軍事力に頼っている。
 日本は、アメリカの軛から逃れることは出来ない。
 もし、日本がアメリカの足枷・手枷・首枷から解放されたいと思うなら日本国憲法改憲するしかない。
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 日本の真の敵は、中国とくに中国共産党とロシアである。
 中国と朝鮮が敵である事は、古代から変わる事がない。
 ロシアが敵として現れたのは、江戸時代後期からである。
 日本は、反日敵日国家群に包囲されている。
 日本の味方は、アメリカのみである。
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 2015年4月号 SAPIO「「米軍幹部と日本の官僚が進路決める「日米合同委員会」の存在
 在日米軍関係者は、「ここは赤坂の米国大使館以上に、米国にとって重要な施設。表向きは来日した米軍関係者の宿泊施設ですが、米海軍情報部やCIAの拠点が置かれていて、日米のインテリジェンスの集積地です」と説明する。
 日本のメディアどころか、政治家も立ち入れない。そんな場所で、日本の高級官僚と在日米軍関係者は、定期的に会合を重ねていた。それが日米合同委員会後述するが1960年に締結された日米地位協定(※注1)をどう運用するかを協議する実務者会議だ。
 ※注1/1952年に旧安保条約と同時に発効した「日米行政協定」が前身。1960年に日米安全保障条約を締結した際に改めて交わされた。
 そこでは、日本の安全保障の根幹に直接かかわる問題から、米軍基地と周辺住民の諍いまで協議される。
 前者は在日米軍基地の移転・縮小、米海兵隊の新型輸送機オスプレイの配備といった問題、後者は基地内のゴミ処理、航空機の騒音問題などだ。かつては、米兵の犯罪並びにその処遇も、開かれた法廷ではなく、密室の話し合いによって、解決がなされたこともあった。
 日米合同委の組織は、米国側は在日米軍司令部副司令官、在日米大使館公使など、日本側は外務省北米局長を代表として法務省大臣官房長、防衛省地方協力局長といった面子だ。
 日本側の代表者及び代表代理は、将来的に事務次官を狙えるポストにある。そんな高級官僚が、在日米軍や米大使館の有力者と密議を交わすことから、日米合同委は「影の政府」との異名もつく。
 ただし、彼らが一堂に会するわけではない。同委員会は、基地問題、刑事、環境など35の分科会や部会に分かれ、担当ごとに参加者が決まる。実際に出席したことのある官僚が明かしてくれた。
 「日米の責任者(担当者)が最低一人、書記および通訳などの職員が最低二人は出席する。対話は基本的には日本語で行なわれますが、日本側も英語の話せる通訳を連れているため、微妙なニュアンスで日米の解釈が異なるという事態は生じない」
 関係者らの話をまとめると、毎月2回ほど開かれ、開催場所は米国と日本で持ち回りとなる。米国ならニューサンノーホテル、日本の場合は外務省を中心に、分科会や部会ごとに代表者の所属する官庁内で開催されているという。
だが、会合の中身は一切明かされない。合意の一部は外務省、防衛省のホームページに公表されているが、それも簡潔に記されているだけだ。
 同委員会を所管する外務省北米局に日米合同委の詳細を問い合わせても、「回答できるのは、既に公表しているものだけ」の一点ばりで、防衛省広報課に問い合わせても、「外務省が所管なので、外務省に聞いてください」という堂々巡りだった。
 元琉球新報論説委員で、在日米軍基地問題に詳しい沖縄国際大学大学院教授・前泊博盛氏は語る。
 「日米合同委に合意内容を公表する義務はない。日米双方の合意がない限り公表しない取り決め(※注2)になっているからです。
 ※注2/1996年2月に、日米両政府は日米地位協定の9項目についての運用改善で合意。「日米合同委員会の公表」もそこに含まれた。しかし、結果的に「合意内容」の公表こそ一部改善はされたものの、会合内容が公表されることはなかった。
 基本的に軍事関係の取り決めなので米軍側は、情報を出したくない。また、米軍に有利に推移した合意内容を表に出して、日本人の神経を逆なでしたくないという思いもある。日本側としても、米国との交渉に負けた、との誹りを避けるために、できるだけ隠密に事を収めたい」
 必然的に日米合同委は「密約の温床」になってしまう。」
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 2016年5月14日 しんぶん赤旗 日本共産党オスプレイ運用無制約 日本が提起
 日米協議文書示し笠井議員追及
 衆院外務委
 墜落事故が相次いでいる米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備への反対世論が全国で巻き起こる中、日本政府が配備中止を求めるのではなく、逆に運用に制約を課さず、国内を自由勝手に飛行できる方策を米側に提起していたことが判明しました。2012年7月26日に開催された、「オスプレイに関する日米合同委員会(概要)」と題された内部文書(防衛省作成)を、日本共産党笠井亮議員が13日の衆院外務委員会で示しました。(関連記事)
 オスプレイは同年4月にモロッコ、6月に米フロリダで相次いで墜落事故を起こし、日本政府は当時、安全性を確認するまで運用させないとの立場を表明。同年9月の合同委で運用ルールを決め、「安全宣言」で配備を容認するに至りました。(経過表)
 しかし、内部文書によれば、日本側は7月の合同委で「オスプレイの運用に制約を課すことなく取り得る措置」を議論する方針を説明。「オスプレイの安全性を効果的にアピールする」方策として、事故報告書の早期提出▽再発防止策▽低空飛行訓練への配慮―の3点を米側に進言していたことが分かりました。
 笠井氏は、「米側に墜落事故の徹底究明を迫るべき立場の日本が、反対に『安全性を効果的にアピールする』方策を提案するとは本末転倒だ」と批判。普天間基地沖縄県宜野湾市)配備後に、基地外のヘリモード飛行など、12年9月の合同委合意に違反する運用が常態化しているのは、日本側が提起した「運用に制約を課すことなく取り得る措置」を具体化し、“抜け穴”を容認しているからだと追及しました。
 若宮健嗣防衛副大臣は、「(文書は)公表した資料でなく、真贋や位置づけについてお答えは控えたい」と述べるにとどまりました。
 笠井氏は、公表内容と内部文書のやり取りが全く異なることを指摘し、合同委のやり取りの全貌を国会・国民に明らかにするよう求めました。
日米合同委員会 日米地位協定25条に基づいて設置されている、在日米軍に関する諸問題を協議する政府間機関。日本側代表を外務省北米局長、米側代表を在日米軍司令部副司令官が務める官僚・軍人のみの構成で、その運営の不透明性から「密約製造機」とも呼ばれています。」
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 2017年10月10日 毎日新聞「日米合同委員会 正体を暴く! オスプレイ墜落も米兵犯罪も追及できない理由…これも選挙の争点だ!
 戦後日本の従米構造を支え続けてきた機関がある。「日米合同委員会」。日本の一部高級官僚と在日米軍の高官から成る秘密組織だ。ここで日米のさまざまな密約が生み出され、米兵犯罪も、オスプレイ墜落も、日本側からは追及できない仕組みが作られた。その驚くべき実態に迫る。
 安倍首相は、憲法にもとづく野党の臨時国会召集の要求を3カ月も拒み続けた揚げ句、臨時国会冒頭での所信表明なし、審議なしの衆議院解散に走った。「森友・加計(かけ)疑惑」や「南スーダンPKO自衛隊日報問題」への追及をかわす目論見(もくろみ)だ。
 まさに、国会を国権の最高機関とする憲法の規定も、情報公開と説明責任もないがしろにしている。今回の総選挙では、立憲主義の主柱である国会の存在意義と、民主主義に不可欠な情報公開と説明責任に背を向ける、この政権の姿勢こそ最大の争点とすべきだろう。  情報公開と説明責任に後ろ向きなのは、安倍政権はじめ歴代自民党政権の悪(あ)しき伝統でもある。例えば「核密約」や「沖縄密約」など日米密約をめぐって、時の政権と官僚機構がいかに情報隠蔽(いんぺい)をし、国会答弁で嘘(うそ)をつき、文書開示の要求を拒み続けてきたことか。政府の情報隠蔽・秘密主義体質には根深いものがある。
 そうした秘密主義の深奥に位置し、情報隠蔽の象徴ともいえる組織がある。日米合同委員会である。
 それは日本のエリート官僚と在日米軍の高級軍人から成り、米軍の基地使用と軍事活動の特権、米軍関係者の法的地位などを定めた日米地位協定の運用に関する協議機関だ。議事録や合意文書は原則非公開で、その実態は謎に包まれている。
 日本側代表は外務省北米局長で、代表代理は法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米局参事官、財務省大臣官房審議官。米国側代表は在日米軍司令部副司令官で、代表代理は駐日米大使館公使、在日米軍司令部第5部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米空軍司令部副司令官、在日米海軍司令部参謀長、在日米海兵隊基地司令部参謀長。
 この13人で本会議を構成し、その下に施設・財務・労務・通信・民間航空・刑事裁判管轄権・環境など各種分科委員会、建設・港湾・陸上演習場など各種部会が置かれ、各部門を管轄する日本政府省庁の高級官僚たちと在日米軍司令部の高級将校らが委員を務めている。総勢で何人なのかは明らかにされていない。
 米軍基地の提供、滑走路などの建設、米軍機の航空管制、訓練飛行、電波の周波数、米兵犯罪の裁判権、基地の環境汚染、基地従業員の雇用など、さまざまな問題が協議される。米国側は円滑な軍事活動を最優先して協議にのぞむ。米軍優位の日米地位協定を土台に協議する以上、米国側に有利な合意が結ばれるのが実態だ。
 日米合同委員会は1952年4月28日の対日講和条約日米安保条約、日米行政協定(現地位協定)の発効とともに発足した。本会議は毎月、隔週の木曜日、ニューサンノー米軍センター(東京都港区の米軍宿泊施設)の在日米軍司令部専用の会議室と外務省内の会議室で、交互に開かれる。各分科委員会や各部会の会議は、各部門を管轄する省庁や外務省、在日米軍施設で必要に応じて開かれる。関係者以外は立ち入れない密室協議だ。
 法律を超越して運用される「密約」
 日米合同委員会の合意の要旨はごく一部公開されている。しかし、議事録や合意文書は原則非公開で、国会議員にも公開されない。合意の数も明かされない。外務省などに情報公開法による文書開示請求をしても不開示とされる。
 理由は、「日米双方の合意がない限り公表されない」と日米合同委員会で合意したからだという。しかも、その合意自体を記した文書の開示請求にも応じない。そんな規定は地位協定にはないのに、一方的に密室でそう取り決めているのだ。
 この問題は司法の場でも争点となっている。沖縄の米軍北部訓練場を通る県道70号の日米共同使用に関する文書(米海兵隊沖縄県那覇防衛施設局の3者による協定書など)について、沖縄県が情報公開条例による住民の開示請求に応じたのに対し、2015年3月、国(日本政府)は開示決定取り消しを求めて那覇地裁に提訴した。国側は「(文書は)日米合同委員会の議事録の一部で、日米両政府の合意がない限り公表されない」と主張し、県側は「議事録ではなく3者の協定書で開示は妥当」と反論した。
 今年3月の判決は、国側の求めと主張を全面的に認めるものだった。県側は直ちに控訴、「情報公開という国民の権利に関して司法は主体的判断を放棄」したと批判し、開示決定の正当性を訴える。県道の日米共同使用の条件など住民の生活に直結する問題について、県民には当然「知る権利」がある。ところが、日米合同委員会の秘密体制とそれに追随する司法が、「知る権利」を侵害しているのだ。
 このような日米合同委員会の隠された姿に迫るには、外務省、法務省警察庁最高裁などの部外秘資料、在日米軍の内部文書、アメリカ政府の解禁秘密文書などを通じて探るしかない。調査結果の詳細は拙著『「日米合同委員会」の研究』(創元社)で述べたが、特筆すべきは、日米合同委員会の密室協議が米軍の特権を保障する秘密の合意=密約を生みだしてきたことだ。それらは日本の主権を侵害し、「憲法体系」(憲法を頂点とする国内法令の体系)を超越して、米軍に事実上の治外法権を認めるものだ。
 例えば、首都圏の上空を覆う「横田空域」は密約だらけだ。
 航空管制を法的根拠もなく米軍に事実上委任する「航空管制委任密約」、米軍機の飛行に日本側が航空管制上の優先的取り扱いを与える「航空管制・米軍機優先密約」、米軍機墜落事故などの被害者が損害賠償を求める裁判に米軍側は不都合な情報は提供しなくてもいい「民事裁判権密約」、米軍人・軍属の犯罪で日本にとって著しく重要な事件以外は日本側が裁判権を行使しない「裁判権放棄密約」、被疑者の米軍人・軍属の身柄を公務中かどうか不明でも米軍側に引き渡す「身柄引き渡し密約」、自衛隊管理下で米軍・自衛隊の共同使用になった富士演習場を米軍が年間最大270日優先使用できる「富士演習場優先使用権密約」などである。
 日米合同委員会の合意が法律を超越して運用されている驚くべき一例が、前出の「航空管制委任密約」である。「横田空域」は首都圏を含む関東から中部地方にかけて1都9県にまたがり、最高部分で高度7000メートルまでを覆っている。空域の航空管制を横田基地(東京都)の米軍が握っているため、日本の飛行機は自由に飛べず、米軍が戦闘機の訓練や輸送機の発着などに独占的に使用している。つまり日本の空の主権が米軍によって排除されているのだ。
 1983年作成の外務省機密文書『日米地位協定の考え方・増補版』(『琉球新報』が入手して報道)によると、「横田空域」での米軍の航空管制には、航空法上の根拠規定はなく、日米合同委員会の「航空交通管制に関する合意」(1975年)により、米軍に「事実上の問題として委任した」のだという。それは、日米安保のため民間用と軍事用の航空管制に関し、日米間の協調と整合を図るという地位協定第六条の趣旨によるとされる。
 しかし「事実上」の「委任」とは、正式な法的根拠のある委任ではないことを意味する。つまり、航空法にも地位協定にも根拠規定がないのに、米軍が占領時代から事実上行ってきたのだから認めるということだ。合意文書は非公開。まさに密約である。
 後を絶たない米軍犯罪の理由
「身柄引き渡し密約」は日米合同委員会の裁判権分科委員会刑事部会の「合意事項」(1953年)第9項(a)で、米軍人・軍属の犯罪が公務中だったのかどうか明らかでない段階でも、被疑者の身柄を米軍側に引き渡すとしている。法務省刑事局の秘密資料「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」(1972年)に記載。
 この合意は米軍側に有利だ。自動車による過失致死傷などの事件で、被疑者である米軍人や軍属が「基地間を移動する公務中」と主張したら、日本の警察がすぐに真偽を確認するのは困難だ。密約どおりに、公務中かどうか明らかでなくても、身柄は米軍側に引き渡すことになる。本当は公務中ではなく、日本側に裁判権があるケースなのかもしれなくてもだ。
 しかし、刑事特別法(地位協定の実施に伴う米軍関係者の刑事事件に関する法律)第11条では、米軍人・軍属の身柄は、公務中の犯罪と明らかに認められた場合にのみ引き渡すとされている。つまり、公務中かどうか明らかでない段階では引き渡してはならないのである。
 だから「身柄引き渡し密約」は刑事特別法という国内法の規定に反している。表向きは刑事特別法に従って処理するように見せかけて、裏では日米合同委員会の密約に従い、米軍に有利に処理する仕組みができているのだ。
 日本政府は、「米軍関係者の犯罪と一般の犯罪で起訴・不起訴の判断に差はない」と説明する。しかし、この密約や前出の「裁判権放棄密約」(1953年、日米合同委員会の裁判権分科委員会刑事部会の非公開議事録で合意)のせいで、米軍関係者の犯罪の起訴率はきわめて低いのが現実である。法務省の統計では、2001〜14年の米軍関係者の刑法犯の起訴率は17.4%で、一般刑法犯の起訴率は45.5%だ。
 本来裁かれるべきなのに起訴されず、結果的に日本側の裁判権が行使されないケースが多いとみられる。それが、この程度なら裁かれないという驕(おご)りを生み、後を絶たない米兵犯罪の温床となっているのではないか。
 日本は米軍の“治外法権”にある
 このように米軍を特別扱いすることで、航空管制権や刑事裁判権といった主権の行使が秘密裏に侵害され、独立国にあるまじき状態が続いている。こうした密約の全貌は明らかではないが、相当な数に上るはずだ。しかも日米合同委員会の合意は、「日米両政府を拘束する」という巨大な効力を持つとされている。
 私が独自のルートで入手した在日米軍司令部の内部文書、「JOINT COMMITTEE AND SUBCOMMITTEES」(「合同委員会と分科委員会」2002年)には、日米合同委員会の日米双方の代表は「政府を代表する立場」にあり、「合同委員会での合意は日米両政府を拘束する」と明記されているのだ。前出の外務省機密文書にも、合同委員会の合意は「いわば実施細則として日米両政府を拘束するものと解される」とある。
 しかし、こんなおかしなことはない。国権の最高機関である国会のチェックも、主権者である国民・市民の目も届かない密室での、ごく一部の高級官僚と在日米軍高官の合意が、「日米両政府を拘束する」力を持つというのだ。
 そもそも地位協定には、日米合同委員会の合意が「日米両政府を拘束する」などという規定はない。もちろん国会で承認されたものでもない。密室協議でそう取り決めただけなのだ。それ自体が密約にほかならない。
 ただ、米軍のほうは地位協定により基地の「排他的管理権」、フリーハンドの軍事活動の特権を得ている。だから軍事上の必要に応じて、日米合同委員会の合意に拘束されずに動くのが実態だ。例えば、これまで横田・厚木・嘉手納・普天間基地での米軍機の騒音を、可能な限り最小限にするなどの措置をとると合意してきた。しかし、基地周辺の住民が米軍機の騒音に苦しむ現実は一向に変わらない。
 たまりかねた住民が裁判に訴えても、米軍機の騒音公害の違法性と損害賠償は認められるが、肝心の飛行差し止めは認められない。米軍の活動に日本政府の規制は及ばないから、差し止めはできないと裁判所は判断する。
 また、昨年12月の沖縄でのオスプレイ墜落では米軍は事故現場を封鎖し、機体を回収した。日本側は現場検証も事情聴取もできない。米軍は事故原因の究明は二の次で訓練飛行を再開し、政府はただ容認するばかりだ。
 こんなことで真の独立国、主権国家といえるだろうか。米軍の活動に日本の行政権も、司法権も及ばず、事実上の治外法権となっている。そして、米軍優位の地位協定の構造をより強固なものとする裏の仕組みが、日米合同委員会の密約なのである。
 しかし、このままでいいはずはない。日米合同委員会の全面的な情報公開を進め、密約も廃棄すべきだ。地位協定の抜本的改定とともに、不透明な日米合同委員会も廃止し、地位協定の解釈と運用を国会の管理下におかねばならない。
 それが真の主権回復につながる道だ。今回の総選挙を政府の情報隠蔽・秘密主義体質を絶つ契機とすべきだ。
(ジャーナリスト・吉田敏浩
 よしだ・としひろ
 1957年生まれ。ジャーナリスト。『森の回廊』で大宅壮一ノンフィクション賞、『「日米合同委員会」の研究』でJCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。他の著書に『密約』『沖縄』など多数 (サンデー毎日10月22日号から)」  
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 10月20日 YAHOO!ニュース「日本は主権国家といえるのか? 米軍に「占領」されたヘリ墜落現場
 沖縄県東村高江で起きた海兵隊CH53大型輸送ヘリの不時着、炎上事故から見えてきたのは主権のひ弱さだった。
 周辺住民の不安をよそに同型機が住宅地上空を飛び、日本政府の自粛要請を米軍は無視した。沖縄県警は「航空危険行為処罰法」違反の疑いで現場検証を再三申し入れているが米軍は聞く耳を持たない。
 気の毒なのは地主だ。迷彩色のテントに海兵隊員が待機し、時折、残骸の周りを見回っている。何の法的根拠があって個人財産を米軍が期間未定のまま占拠できるのか。なぜ警察は現場検証さえ許されないのか。沖縄県放射能汚染の調査をさせてほしいと申し入れているが、米軍は一顧だにしない。地主には損害賠償が支払われるかもしれないが、その請求書は日米地位協定に従い日本の納税者に回される。
 県警が捜査できない理由を外務省日米地位協定室に聞いてみた。日米地位協定に基づき設置されている日米合同委員会で合意した米軍機事故に対応するガイドランによるという。正式名称は「日本国内における合衆国軍の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン」。
 2005年4月に日米合同委員会で合意した。きっかけは04年8月に起きた沖縄国際大学でのヘリ墜落・炎上事故。普天間飛行場のフェンスを飛び越えて大学構内に押し寄せた海兵隊員が現場を占拠し、日本政府関係者の立ち入りを一切拒絶した。その対応が行き過ぎだと批判を集め、事故現場の保全・管理、情報交換など日米双方の役割分担をガイドラインで取り決めた。
 その結果が今回の高江の現場の軍事占領なので、ガイドラインはおそらく米軍に排他的な現場管理の根拠を与えたに過ぎないのだろう。合同委員会の構成は日本側が軍事に疎い官僚、米側は軍人たちなので、基本的に米側が同意しなければ何も決まらない仕組みだ。その中身は政治家にも知らされず、一切非公開の秘密会議で決められてしまった。
 ガイドラインによると、消火、救出などの初期対応が終了した後、現場は事故機を囲う内周規制線、周辺立ち入りを規制する外周規制線が設置される。事故機は米側が保全し、内周の管理は日米共同で行うこととした。立ち入りや交通規制を実施する外周規制は地元警察が担当する。内周規制の中に入るためには日米双方の責任者が合意すると定められており、日本側の立ち入り要請を米側は一方的に拒否することが可能な立て付けになっている。まさに沖国大の事故で批判された現場の米軍占領をルール化したような格好だ。
 ただ今回は防衛省自衛隊の専門家を現場に派遣している。おそらく米軍機事故の対応では初めての試みで、外務省もガイドラインによって日米共同の調査が実現したと評価する。自衛官の現場調査が事故現場の安全確認にとどまるだけなら、衆院選挙を意識した政治パフォーマンスに過ぎないとの不信を招く。自衛隊の関与が実効性のあるものなのか注視したい。
 現行の日米合意を駆使すれば日本側の事故機調査も可能なはずである。日米地位協定合意議事録(1960年1月19日)は航空機など米国所有財産の捜索、差し押さえ、検証は基地内外を問わず米側が行うこととしているが、米側が合意すれば日本も事故機などの捜索、差し押さえ、検証ができるとの規定がある。合意議事録、ガイドラインに明記された日本側の権利を行使するかどうかという単純な問題だ。
 関西大学の高作正博教授(憲法学)は「ガイドラインは現場封鎖の役割分担を決めているが、警察による現場検証を拒む根拠とするのは誤っているのではないか」と指摘する。日米地位協定には、犯罪について日米は証拠の収集、提出について、相互に援助しなければならない」と規定され、「相互援助」が求められている。県警は「航空危険行為処罰法」違反の容疑で捜査を行う必要がある。高作教授は「事故機の管理権が米国側にあるにせよ、日米間の合意上は日本の警察権についての制限はないと 解され、県警による検証を妨げる権限は米軍にはないはずだ」と今回の米側の対応に疑問を投げかける。
 おそらく欧州先進国は違った対応をとるだろう。米軍が駐留するイタリアは米軍機でも敢然と自国の警察権を行使する。
 1998年2月にアルプス山脈の渓谷で海兵隊の戦闘機が低空飛行訓練中にスキー場のケーブルを切断し、20人が死亡した事故で、イタリア軍警察は戦闘機を証拠物件として差し押さえた。米側は「合衆国の所有財産である」として返還を求めたがイタリアは「証拠物件だ」と主張し譲らなかった。地元の地方検察官はパイロットを事故翌日に事情聴取、イタリア軍警察はコックピットも調べ、事故発生時の飛行映像記録をパイロットが消去した事実を突き止めた。
 当時のイタリアのランベルト・ディーニ外務大臣は事故直後にマデレーン・オルブライト国務長官に電話し、「あれは事故ではない。パイロットによる殺人事件だ。裁判権はイタリアが行使する」と激しく抗議した。そして外務省職員に自国で裁判するよう指示していたという。
 検察は米軍機のパイロットを20人の殺人、証拠隠滅の容疑で起訴した。しかし北大西洋条約機構NATO地位協定により、裁判権は米側にあるされ裁判所は訴えを受理しなかった。イタリアは自国で裁くことはできなかったにしても主権国家として法治主義を貫いた。
 イタリアも日本も同じ敗戦国だが、何が違うのだろうか。集団的自衛権を行使し、米軍とともに血を流して戦える対等な立場かどうかによる、と論じる専門家が多い。しかし安倍政権が従来の憲法解釈を曲げて集団的自衛権を行使できるよう閣議決定し、安保関連法制も整備したはずだが、米軍の態度は相変わらずで、日本政府の要求に耳を貸さない状態が続いている。
 嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練、海外でのオスプレイ墜落事故後に飛行自粛を求める日本側の申し入れを米軍はことごとく無視している。そんな状況をみると、集団的自衛権といった同盟の中身と基地運用は別次元の問題だろうと考える。一般的に自衛隊イタリア軍よりも戦闘能力は上だと評価されるので軍事力の問題でもない。おそらく両国の違いは外国軍基地を自国の管理下に置くという主権意識ではなかろうか。
 理論的には統治の全能である主権が先にあって国家が出現するといわれる。戦後日本は占領終了と同時に日米安保に組み込まれてしまったため、主権の一部が欠けた状態で戦後の歩みが始まった。それはよく指摘される日本人の依存的な性格にぴったり合致したのかもしれない。
 外国軍を受け入れるときに締結する地位協定は主権のぶつかり合いだ。日本のように領土・領空・領海の一部を排他的に外国軍へ提供する状態は占領下と紙一重だが、東京の上空にはいまも広大な米空軍管制空域が存在することでさえ日本人に屈辱感はないようだ。そして米軍基地と主権の問題に無頓着でいられるのは、国民の多くが基地問題に無関心でいられるのは遠い沖縄の問題だと考えているからではないだろうか。
 オスプレイが本土で低空飛行訓練する頻度が増えており、いつ何時、誰もが事故に巻き込まれるかもしれない。海兵隊員があなたの所有地を占拠し、警察さえ手出しできない状態を果たして容認できるだろうか。主権意識の弱さという戦後日本の病理が「オキナワ」という症状に現れている。病原根絶が先ではないか。屋良 朝博」


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