🎶25:─3・A─大正時代の国難。後藤新平の東北帝国大学講演『国難来』。~No.56  

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 日本の国難とは、内憂の自然災害そして人情の弱さと外患の病原菌の疫病・伝染病そして人間の敵国である。
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 2020年5月号 WiLL「中国人は罪を逃れるためならなんでもする
 ウソも100回言えば真実になる──それが中国人の常識
 岩田温/佐佐木類
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 国難来る
 佐々木 今回の疫病蔓延はまさに日本の国難です。今から100年近く前の1924年、後藤新平(1857年~1929年)が東北帝国大学の学生を前に講演した記録『国難来(こくなんきたる)』(藤原書店)を読むと、まさに今の時代と状況が同じなのです。
 岩田 後藤新平と言えば、台湾の近代化に尽力、初代満鉄総裁や東京市長を務めた人物ですね。
 佐々木 関東大震災(1923年)の後、日本は東京を中心に大きな危機を迎えていました。そんな時期に後藤は次のように述べています。
 『平和の仮面をかぶって、ぢりぢり寄せ来る外患や、制度組織の美談にかくれ人情の弱点につけ込んで、徐々に国民の肉心をむしばむ内憂は、人これに気づかない故に備えず』
 『あるいは気づいていながら、その現実を直視する勇気なきが故に、逆に自己の心をあざむき、一時しのぎの安易な瞬間の快楽に酔い、ついに国家と国民を破滅の底に陥れる』
 と。では、真に怖れるべきは、何かといったら、次の言葉です。
 『国難国難として気づかず、漫然と太平楽を歌っている国民的精神衰弱こそ、もっとも恐るべき国難である』
 岩田 まさに至言です。
 佐々木 神経衰弱になる理由は、目先の利益に目が眩むからです。商売相手で人格的に好感を持つ中国人を普遍化し、中国は素晴らしいと信じ込む。それこそが神経衰弱であり、国難に盲目となる理由です。
 岩田 残念ながら、国際関係において日本人的性善説は間違っているばかりでなく、危険です。こんな危機的な状況であるにもかかわず、日本のメディアの中には、信じられない発言をする人たちがいる。
 朝日の●●●●●編集委員は『あっという間に世界中を席巻し、戦争でもないのに超大国の大統領が恐れ慄く。新コロナウイルスは、ある意味で痛快な存在かもしれない』(3月13日/原文ママ)とツイート、非難の声が殺到しました。これこそ〝朝日新聞の正体見たり〟ではありませんか。一般人の感覚とかけ離れていると言わざるを得ません。
 佐々木 リベラルを自称する人に見られる傾向です。所属している社会を憎み、その不幸を嗤(わら)う。
 岩田 さすがに朝日も謝罪を書いていました。アカデミズムの世界も完全に左派に侵蝕(しんしょく)されています。一例をあげると、私の友人がある会合に参加したとき、『我が国は』と言ったそうです。そしたら、まわりからと『〝我が国は〟なんて、右翼ですか?』と非難された。『この国』という言葉を使えということです。
 佐々木 『吾輩は猫である』と語らせた夏目漱石も右翼なのかな。後藤は『この国難を救う者は、百の学問、千の経験よりも、1つの純真にあると信じる』と述べています。若い人たちへのメッセージですが、今でも十分通じます。日本人が得意とする一致団結で、政官民のみなで力を合わせて、この国難を乗り切りたいと思います。」
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 2019年11月30日 【正論1月号】後藤新平の「国難来」再来 政治の体たらくを憂う 国家基本問題研究所主任研究員 湯浅博
朝鮮国防科学院が東部の元山湾で行った新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」型の試射=10月2日、北朝鮮朝鮮中央通信=朝鮮通信)
 ※この記事は、月刊「正論1月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。
 およそ百年前、後藤新平による「国難来たる」との呼びかけは、まるで現代日本に警告しているかのように聞こえる。関東大震災から半年後の大正十三(一九二四)年三月、日本近代化に尽力した後藤は、国難とは鎌倉時代元寇や、江戸湾に現れた黒船のような「惰眠を醒ます挙国緊張」ではなく、むしろ、ひそかに忍び寄る目に見えない危機であるとして二つの要素をあげた。 一つは、「平和の仮面をかぶって、ぢりぢり寄せ来る外患」であり、もう一つは「美装に隠れ、国民の肉心をむしばむ内憂」であると見抜いた。波濤を越えてくる元寇や黒煙をはき出す黒船は、人々が「自ずと備えの大決心」をするが、平和の仮面をかぶって寄せ来る奸賊は「人これに気づかないが故に備えず」と注意を喚起したのだ。
 後藤は満鉄総裁、外相、内相として日本の近代化を牽引し、関東大震災に際しては「天の啓示」と帝都復興院総裁として国全体の立て直しに乗り出した。後藤の時代の日本は、内には大震災、外にもロシア十月革命(一九一七年)、第一次大戦終結(一九一八年)、アメリカの排日移民法施行(一九二四年)がその前後にあった。そして後藤は、第一次大戦後の世界を形づくったベルサイユ条約に接して、やがて第二次大戦が到来するかもしれないとの危険をいち早く予見した。
 「あの条約調印の当時、まったくの門外漢としてロンドンにいた私は、その時すでに、この条約調印の日は、世界戦争の終わりの日ではなく、むしろ第二次世界動乱の始めの日であると直感した」
 ■警告その一 「むしばむ内憂」
 後藤の警告からおよそ一世紀。東北帝国大学での講演をまとめた『国難来(こくなんきたる)』(藤原書店)が復刻されたのは、目先の利く編集者の慧眼に違いない。近頃の日本列島は東日本大震災や幾多の風水害に見舞われ、「国民の肉心をむしばむ内憂」に近い試練を味わった。そして、現代日本を取り巻く国際環境もまた、後藤のいう「平和の仮面をかぶって、ぢりぢり寄せ来る外患」が、四方の海から忍び寄ってくるようだ。
 海を隔てた大陸は、毛沢東以来の権力を握った習近平国家主席が、独裁制へと歴史を逆走させている。半島では、北朝鮮“王朝”の三代目が核ミサイルを抱いて離さず、韓国の反日政権は北の顔色ばかりうかがっている。そして、北方には、衰退の著しいロシアが大国意識にしがみつき冒険主義をひた走る。 日本は戦後世界秩序を破壊するこれら全体主義国家との最前線にありながら、後藤のいう「国難来たる」という危機意識がまったくない。これを少しでも回避しようと、安倍晋三首相がふかした日本国憲法改正の審議はなお歩みが遅い。香港デモで流血の人権弾圧があっても、日本政府も国会も批判の声を上げないのはどうしたことか。 安倍首相も参加した八月の主要七カ国首脳会議(G7ビアリッツ・サミット)は、中国が約束した通りに香港に高度の自治を認め、大規模デモを暴力で鎮圧しないよう求めることで合意したはずだ。イギリス政府はいち早く香港警察によるデモ隊への実弾発射を非難する外相声明を出し、アメリカ議会は下院がデモ隊の民主化要求を支援する法案を全会一致で可決している。
 それに比べて、日本の政界は何をためらう。香港当局の弾圧政策も、その背後にいる中国に対しても、ごく一部を除いてまったく批判しようとしない。与党も野党も香港の人権問題で動こうとせずに、「中国を刺激せず」などと口をつぐむ。民主主義の議会として、内外に向けて「弾圧反対」の国会決議一つ出していないのだ。
 タコつぼ状態の立憲民主党や国民民主党は、国内で大きな口を叩くが、外に向かってはからきし意気地がない。モリカケ問題が不発に終わったためか、今度は首相主催の「桜を見る会」で、支持者を招待したことが「利権だ」などという。民主党政権でも踏襲してきた桜の行事を「縮小か中止か」で済むものを、「政権追及」だというのだから政治が小さい。上智大学名誉教授だった渡部昇一は、「衆愚政治でも外敵さえいなければいい制度であろうが、この世界には常に外敵がいる」と的確に述べていた。
実は、後藤の時代も、多数党の横暴だとする野党が護憲運動で気勢を上げたのに対し、彼は「自分たちの無力と信用のなさを告白する自殺行為なのではないか」と見抜いている。そして、「無意義な政争は結局国難を強めこそすれ、国難を決して救うものではない」として、憲政の王道を歩むよう叱咤しているのだ。後藤が百年後の日本国会の現状を知ったら、当時と同じように「最大級の国難として挙げざるをえないのは、政治の腐敗・堕落である」と、繰り返すだろう。当時の政治が無策のうちに迎えてしまったのは、後藤が予感した第二次大戦の災禍であった。「わが国はおそらく第一次世界戦争当時のような傍観者的地位にいることはできないであろう。その第二次世界動乱の大波濤はかならず東洋方面に倒れ来たって、ついにわが国の国難となるであろう」
 ■警告その二 「ぢりぢり寄せ来る外患」
 政治の体たらくの間に、「平和の仮面をかぶって、ぢりぢり寄せ来る外患」は日本の周辺で確実に迫っている。ベルリンの壁が崩壊して三十年後のいまは、冷戦時代よりもはるかに危険で複雑な安全保障環境の中に放り込まれている。新たに台頭してきた中国の巨大パワーが、香港人を弾圧し、台湾の併合を試みつつ、西太平洋を勢力圏に取り込もうとしているのである。
 ■ゆあさ・ひろし 昭和二十三年生まれ。中央大学法学部卒業。プリンストン大学Mid-career program修了。産経新聞ワシントン支局長など歴任。近著に『中国が支配する世界パクス・シニカへの未来年表』(飛鳥新社)。
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 戦前の全てを悪と糾弾し、台湾や朝鮮の植民統治を否定する現代日本人には、歴史力(伝統的文化知・歴史的経験知)が欠乏している為に、関東大震災などの自然災害やコレラなどの疫病・伝染病蔓延を教訓として学ぶ能力はない。
 つまりは、歴史を学び、歴史を理解する事ができない日本人である。
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 現代日本人は、昔の日本人とは違って歴史力がなく民族の伝統的文化力が乏しい為に、国難が理解できない。
 最も恐るべき国難とは、個人的な浅慮で怠慢・頽廃を撒き散らして、日本の心を堕落させ、日本精神を崩壊させる、傲慢な日本人の増加である。
 そうした日本人が3割で、その反対の日本人は2割で、その中間の日本人は5割である。
 国益を否定し国難を見ようとしない3割の日本人は、1980年後半から増え始め、2010年頃には多方面で責任ある地位を占めて活動していた。
 平成7(1995)年の阪神淡路大震災。平成23(2011)年の東日本大震災。令和2(2020)年4月の中国発生中国ウイルス・武漢ウイルスによる武漢肺炎。
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 日本は性善説として、人を信用したいと切望している。
 世界とくに中華(中国・朝鮮)は性悪説として、人など信用せず、如何にして人を騙し欺き自分だけの利益を上げようかと知恵を巡らしている。
 賢く秀でた知恵と深い思考力を持つ者は、性悪説の人間であって性善説の人間ではない。
 人類史の主役は、性悪説者であって性善説者ではない。
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