🎷68:─3─岸田新政権の外交・安保「対中戦略」。中国共産党は「内政干渉」と反発。~No.304No.305No.306 (63) 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2021年10月28日10:00 産経新聞「11月号 岸田新政権の外交・安保「対中戦略」練り直す時
 横須賀港に入港する英海軍の空母クイーン・エリザベス =9月4日午後、神奈川県横須賀市(萩原悠久人撮影)
 新型コロナウイルスへの対応に追われる一方、日本周辺の安全保障環境は一段と厳しくなっている。とりわけ中国は、沖縄県尖閣諸島周辺で海警船による領海侵入、台湾空域でも戦闘機が防空識別圏へ進入を繰り返し、一触即発の状況となっている。かつてない国家危機に岸田文雄新政権は、いかなる外交・安保政策を取るべきだろうか。
 冷戦期の20世紀、「ホットスポット」は東西対立が先鋭化する欧州だったが、米中対決が強まる21世紀は台湾海峡東シナ海を含むアジアで、日本はその最前線に立たされている。
 外交政策研究所代表の宮家邦彦は『Voice』で、菅義偉前政権では日本を取り巻く国際戦略環境の大規模かつ急激な変化が「天の時」となったと指摘。米国でバイデン政権が誕生して、駐留米軍アフガニスタン撤収で「中東・中央アジア地域から、中国が台頭するインド太平洋地域へ、米外交の優先順位のシフトが実際に始まった」と説明した。
 その上で、米国は「ようやくインド太平洋地域に回帰し始めた。いまこそ日本は(中略)普遍的価値の体現者として、また、国際社会の『現状維持勢力』の一員として、普遍的価値を拒絶する中露など『現状変更勢力』との差別化を図り、失われた名誉を回復するチャンスだ」とし、日本は「歴史的好機」を迎えたと論評した。
 そして国内政治環境の変化である「地の利」について、2010年の中国漁船衝突と、12年の反日抗議デモの2つの「尖閣事件」で「多くの日本国民は、一九四五年以来初めて『日本の領土に対する具体的、物理的な脅威』が現実に存在することを理解し始めた」と分析する。
 尖閣事件の際の民主党政権の稚拙な対応によって「優柔不断な伝統的対中政策への国民の信頼は失墜(しっつい)した」と述べ、戦後培われてきた「『空想平和主義』の限界も露呈した」と言い切った。
 宮家は、安倍晋三・菅政権は対米同盟関係のさらなる深化を目指してきたとし、戦略は「基本的に新政権にも受け継がれるべきだろう」と、米国との同盟強化で中国の膨張を抑制せよと訴える。
 JR東海名誉会長の葛西敬之も『文芸春秋』で、「究極の安全保障を米国の核戦力による抑止力に依存している日本には、日米同盟以外の選択肢はありません」と日米同盟を不動のものにすべしと説き、「日米同盟が揺るぎなく分断不可能と中国が認識した時に初めて、中国は紳士的な隣国になると考えられます」と主張する。
 岸田首相は、就任後の記者会見で、日米安保を基軸にした外交・安全保障政策を取るとして、①民主主義を守る覚悟②自国を守る覚悟③国際社会を主導する覚悟―の「3つの覚悟」を語った。
 岸田首相が安倍・菅政権を踏襲して茂木敏充外相、岸信夫防衛相を再任させ、自由、民主主義など普遍的価値を守る目的で、同盟国、同志国と連携し、「自由で開かれたインド太平洋構想」実現に領土、領海、領空、国民の生命、財産を守るため、ミサイル防衛能力を含む防衛力や海上保安能力強化の意向を示したことは妥当だ。
 法政大学教授の森聡は『中央公論』で、米バイデン政権の対中政策を「中国を唯一の競争相手として『対決』『競争』『協調』の三つに方針を整理して臨んでいます」と論じる。
 香港や新疆ウイグルでの人権問題では、非難して制裁措置を講じる「対決」、軍備や先端技術では「競争」、利害が一致する気候変動では「協調」と使い分けている。「対決」を増やしながら「競争」したトランプ政権に対し、バイデン政権は「対決」をなるべく避けながら「競争」するスタンスと指摘する。
 また同盟国やパートナー国と連携して中国の「行動」の是正・穏健化を図ったり、機能分野別に連合を形成して諸外国を秩序に取り込んだりする。日米豪印のクアッドや米英豪のオーカスなど協調体制の多角化で自由で開かれた秩序を作ることが狙いと主張する。
 『中央公論』で台湾有事の可能性について、東北大学大学院教授の阿南友亮は、中国人民解放軍は、米軍と戦うハードも揃(そろ)っていないが、「台湾が独立の動きを本格化させるようなことがあれば(中略)、武力行使に走る可能性があります」と偶発的な暴発もありうると指摘する。その場合、中国の攻撃は「各種ミサイルに依存すると予想され、台湾のみならず日本列島各地の日米の基地をターゲットにするシナリオも否定できない」と警告する。
 そのため阿南は、クアッド+αの枠組み強化が喫緊の課題と訴え、「特に香港問題で対中危機感を強め、今年日本に空母打撃群を派遣したイギリスとのつながりは大切に育むべき」だと英国との対中連携を歓迎する。
 英国がインド太平洋への軍事的関与を強化する意思を地域の安全保障に活用できるかどうかは、日本次第である。英国やオーストラリアなどとの協力で対中抑止力強化を図るべきだ。
 そこで阿南は、米国と歩調を合わせてきた対中関与政策が破綻した現在、「対中戦略の包括的練り直しの作業に取り組むことが日本政府にとって不可避の政策課題となった」と訴えた。
 2013年に策定した「国家安全保障戦略」を改定する岸田政権は、経済安保を明記する一方、軍拡と覇権主義的行動を強める中国に対して、「戦略的互恵関係」に代わる毅然(きぜん)とした国家戦略が求められる。(敬称略)
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 10月28日19:27 産経新聞「中国、岸田首相発言に「内政干渉」と反発
 記者会見する中国外務省の汪文斌副報道局長=6月4日、北京(共同)
 【北京=三塚聖平】岸田文雄首相が東南アジア諸国連合ASEAN)関連会合で香港、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権状況などについて言及したことについて、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は28日の記者会見で「日本の指導者は多国間の場所で公然と事実を無視した中傷外交を行い、中国の内政を理不尽に干渉した」と非難した。既に日本側に対して厳正な申し入れを行ったことを明らかにした。
 汪氏は、岸田氏の発言について「中日関係の健全で安定した発展や、地域の平和や安定にとって建設的でない」と批判した。」
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 10月28日19:54 産経新聞米大統領「中国は台湾に威圧的」 東アジアサミット、米中対立鮮明
 27日、オンライン形式の東アジアサミットで話すバイデン米大統領ブルネイ政府提供・AP)
 【シンガポール=森浩】日米中韓東南アジア諸国連合ASEAN)加盟国など18カ国が参加した東アジアサミット(EAS)は米中対立の激化が改めて鮮明となった。米国は中国の台湾への行動を「威圧的」と批判し、中国も域外国の南シナ海情勢への介入に不快感を表明。米中の溝は深く、30日からイタリアで始まる20カ国・地域(G20)首脳会議でも対立が表面化しそうだ。
 27日夜の東アジアサミットには、日米中韓東南アジア諸国連合ASEAN)加盟国など18カ国が参加した。バイデン米大統領米大統領としては5年ぶりのEAS参加となり、バイデン政権の「アジア重視」の姿勢を印象付けた。
 ロイター通信によると、バイデン氏は会議で中国の台湾に対する行動は威圧的で、「地域の平和と安定を脅かす」と主張した。その上で、米国の台湾への関与は「揺るがない」とも強調。改めて〝台湾シフト〟を強く打ち出した。
 またバイデン氏は、中国が軍事拠点化を進める南シナ海を念頭に「国際的な規則に基づく秩序への脅威」に懸念を示し、インド太平洋地域への「永続的な関与」を表明した。
 一方、中国の李克強首相は会議で南シナ海について「中国とASEANの努力によって安定は保たれている。地域の国々が行ってきた努力は尊重されるべきだ」と発言。米欧諸国の艦隊派遣や、米国による「航行の自由作戦」などに反発した。
 李氏は「南シナ海は共通の故郷である」とも述べ、ASEANと紛争を回避するための「行動規範」の早期策定に意欲を見せた。
 激化する米中対立についてASEAN加盟国は一連の会議で懸念を表明。米中の覇権争いに巻き込まれることを警戒している。」
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