🎺36:─2─ブラジルで起きた「スパイ野郎」とさげすまれ…沖縄系移民の証言で掘り起こした差別と分断。~No.172No.173 

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 2021年11月16日 MicrosoftNews 西日本新聞「「スパイ野郎」とさげすまれ…沖縄系移民の証言で掘り起こした差別と分断
 © 西日本新聞 ブラジルの自宅でインタビューに答える宮城あきらさん(ⓒ玄要社)
 第2次世界大戦中にブラジルで起きた日系移民の強制退去事件を描いた福岡県大川市出身の映画監督、松林要樹さん(42)=沖縄県在住=の最新作「オキナワサントス」が19日から福岡市中央区で上映される。戦後長く埋もれていた史実を、沖縄系移民の証言を基に掘り起こしたドキュメンタリー。「決して過去の遠い世界の話ではない」と松林さん。「差別と分断」をテーマに、共生のあり方を現代の人々に問い掛ける。
 1943年7月8日、事件は起きた。当時のブラジルの政権が、日本語学校の閉鎖や公の場での日本語使用を禁じていた中の出来事。南東部の港町サントスで暮らす日本人移民らに24時間以内の退去が命じられ、収容所などに送られた。
 70年以上を経た2016年8月。松林さんがサントスの日本人会館で、退去者585世帯の名簿を見つけたところから物語が動きだす。名字の特徴から約6割は沖縄出身者と思われる。ブラジル沖縄県人会の関係者も関心を抱き、史実を解き明かそうと共に取材へ。
 沖縄県人移民研究塾代表の宮城あきらさん(83)もその1人だ。幼い頃、沖縄戦を経験して戦後に移住。軍人に渡された手りゅう弾で集団自決しようとした母を「はやまてならんど(早まってはならない)」と祖父がいさめ、命を取り留めたという。サントスから追放された人々に、沖縄戦で逃げ惑った家族を重ねた。
 宮城さんたちの協力で、当事者が少しずつ重い口を開く。「スパイ野郎」とブラジル人の子どもからさげすまれたこと、他県出身の移民からも排除されたこと、退去当日に近隣住民が家財道具を持ち去ったこと…。味わった差別と分断、過酷な歩みが90分の作品に表現されている。
 松林さんの初作品は、タイ・ビルマ(現ミャンマー)国境付近にとどまった未帰還兵を追った「花と兵隊」(09年)。その後も権力や時代に翻弄(ほんろう)された人々を描いてきた。「マジョリティーの中に入った少数派の立場から物を言っていきたい」。そのまなざしは、今作でも貫かれている。
 「日本社会との確執や差別、沖縄戦の経験が深く関わっているからこそ、沖縄の人は記録を残し、体験を次世代に伝えようとする。作り手として先輩たちの姿勢に心を動かされた」。松林さんはこう振り返る。
 当時日系移民は約20万人。現地の邦字紙「ニッケイ新聞」によると、都道府県別の移住者は熊本2万3575人▽沖縄2万449人▽福岡1万9509人-と続く。「九州・沖縄は移民県でもあり、外国人も多く受け入れてきた。世界がヘイトクライム憎悪犯罪)や難民問題に直面する中、排他的ではない社会をどうつくるか考えてほしい」。松林さん、そして移民たちの願いでもある。 (野村創)
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 「オキナワサントス」は19~25日、KBCシネマで。20日は松林さんが舞台あいさつに立つ。」
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