🎻29:─1─『米中密約〝日本封じ込め〟の正体』。キッシンジャーの陰謀。昭和46年。~No.94 

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 ニクソン大統領の中国訪問は、1972年2月21日にアメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソン中華人民共和国を初めて訪問し、毛沢東主席や周恩来総理と会談して、米中関係をそれまでの対立から和解へと転換して第二次世界大戦後の冷戦時代の転機となった訪問である。また、前年の1971年7月15日に、それまで極秘で進めてきた米中交渉を明らかにして、自身が中華人民共和国を訪問することを突然発表して世界を驚かせたことで、「ニクソン・ショック」と呼ばれている。また、「ニクソンが中国に行く」という政治用語も生まれた。
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 2022年1月1日/7日号 週刊ポスト「2022年『中国』をしるための一冊
 『米中密約〝日本封じ込め〟の正体』 菊池英博著 ダイヤモンド社
 評者 森永卓郎
 49年前から変わっていない米中の基本的な関係
 11月16日にバイデン大統領と習近平国家主席による初のオンライン会談が行われた。会談の成果について、中国側の報道発表には、米国側の発表にないことが含まれていた。『バイデン大統領が、米国は台湾の独立を支持しない』と発言したというのだ。この発表に関しては、信憑性を疑う報道も日本ではなされたが、本書を読んでいたら、真実だろうと推測できたはずだ。バイデン大統領の発言は、72年にニクソン大統領と周恩来首相が国交正常化に向けて合意した内容そのものだった。
 米中の基本的な関係は、49年前から基本的に変わっていない。そして本書が指摘する最も重要な事実は、米中の間では、『日本は危険な国であり、軍事面でも、経済面でも、日本を封じ込めなければならない』という合意がなされているということだ。中国は、米中国交正常化にあたり、日本の駐留米軍に懸念を示した。しかし、会談のお膳立てをしたキッシンジャーは、中国をこう説得したという。
 『駐留米軍は、中国を攻撃するためのものではない。日本が再び軍事大国化するのを防ぐためだ。憲法9条も、日本の再軍備を防ぐためにある』。
 もう10年以上前になるが、テレビの収録で、『なぜ沖縄に米軍がいるの?』という質問に、私はこう答えた。『沖縄にいるのは海兵隊といって、侵攻部隊なんだ。だから日本を守るためではなく、日本がアメリカに逆らったときに、日本を攻撃するためにいるんだ』。収録したVTRはボツになり、私は番組から降板させられたが、あながち間違っていなかったと思う。
 経済面でも、日本の封じ込めは行われている。80年代まで絶好調だった日本経済は、バブル崩壊御まったく成長していない。次々とアメリカのハゲタカ外資の手にわたり、日本の家電産業は軒並み中国の手にわたった。49年前の合意どおりのことが、現代社会で起きたのだ。日本だけが転落する。それが、米中が描いた近未来なのだ。」
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 米中の封じ込めで貧困化する日本
 菊池英博:日本金融財政研究所所長
 米中密約“日本封じ込め”の正体
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 2020.2.19 3:55
 経済成長率を見ると、主要各国の中で日本だけが一人負けの状態である。1997年を基準にすると、2018年の名目GDP英米で2倍を超え、ユーロ地域で1.8倍であるのに対して、デフレで経済が縮小した日本はようやく20年前の水準に達したにすぎない。なぜ日本だけが経済停滞を余儀なくされているのか。日本が置かれている危機的状況について、『米中密約“日本封じ込め”の正体』を上梓した日本金融財政研究所所長の菊池英博氏に話を伺った。
 米中の封じ込めで貧困化する日本
 Photo: Adobe Stock
 「危険な国」と認識される日本
 21世紀に入って中国が経済的にも政治的にも台頭し、米中間での対立が表面化してきた。米国の凋落と中国の台頭で、西アジア極東アジアにおける覇権交代が進み、米中の共存共栄関係から対立構造が目立つようになってきた。
 もはや米国だけに頼ればよかった戦後70年のよき時代は終わりつつある。
 米中の覇権争いが目立つようになったが、実は米中両国で行われている政策があった。
 それは「日本封じ込め」である。
 日本は、米国と中国から「危険な国」として封じ込められており、長期デフレから脱却できないようになっている。さらに、安倍首相の米国従属・中国敵視の外交によって極東アジアで孤立しており、経済力も新自由主義で衰退している。そこに、安倍首相を中心とする煽動で、戦前回帰の危険な兆候が強まっている。
 これは今に始まったことではない。トランプの外交顧問であるヘンリー・キッシンジャーと中国の周恩来首相が、1971年に行った会談にその原点があり、「危ない国・日本」を封じ込めておこうとする思惑は米中両国に今でも色濃く残っているのである。
 なぜ日本は成長できないのか
 過去30年間の日本経済は惨憺たるもので、経済は実質ゼロ成長、国民所得もゼロ成長、実質賃金は非正規労働者の増加と消費税の引き上げでかなり下がっている。産業競争力も弱体化し、大手企業の国際的順位が低下している。
 労働法の改悪で非正規社員非正規社員に固定化されており、所得格差の拡大で中産階級が衰退し、階級の固定化が見られる。
 なぜこんな国になってしまったのか。
 冷戦終了後に米国からの年次要望書で新自由主義という考えが導入され、国民の富を「99%の国民から1%の国民へ集中していく」という経済政策が採用されたからである。
 米国の年次要望書を実行したのは小泉内閣(2001~2006年)であり、「小さい政府」を目標とした緊縮財政、財政赤字を解消するための「基礎的財政収支プライマリーバランス)を10年で均衡させる」というデフレ政策が導入された。
 このデフレ型財政規律で経済成長が止まり、生産人口の低下が加わって経済規模がゼロ成長になってしまったのだ。さらに規制緩和と称して労働法を改悪し、実質的な解雇自由、非正規雇用を全業種に拡大して、労働者の賃金水準を落とす政策を導入した。
 この流れは安倍内閣が引き継ぎ、一段と踏み込んで「消費税率引き上げ」「大企業の法人税率引き下げ」政策をとっている。
 米国がなぜ日本に新自由主義政策で「小さい政府」「労働法改悪」を要求してきたのか。
 それは、第1に、冷戦終了後の米国内で、経済力を強化してきた日本に対して脅威論が強まったことである。
 第2に、そのベースとして、1971年にキッシンジャー周恩来が「日本は危険な国だ」「経済成長を抑えるべきだ。そうすれば軍事的進出を抑えられる」という点で合意し、米中共同で「日本封じ込め」の密約を結んでいたからである。
 東アジアのバランスが崩れる
 米国の対日基本方針は、米中密約による「危険な国・日本」の封じ込めであり、この方針は不変である。しかし財政難に陥っている米国は、東アジアのシーレーンの覇権維持のために日本の自衛隊を使いたいと思っている。
 こうしたなかで米国のトランプ大統領は「憲法9条は破棄させない」が、改憲したいなら「9条を維持したまま、憲法自衛隊の存在を追加することは認める」という考えを示唆したと見られる。
 日本はオバマ大統領の要請によって、2014年7月に「日本は限定的ながら憲法第9条の下でも米国との集団的自衛権行使を容認できる」という閣議決定をしていた。
 そこでトランプは、日本の自衛隊には軍事主権を与えないが、米軍の補助(傭兵)として西太平洋防衛に使えるようにしようと考えているのだ。
 この流れに乗って安倍政権は、インドと包括的な防衛協力(事実上の軍事協定)を締結し、中国包囲網の一環として自衛隊をインド洋まで出向かせた。
 また自衛隊南シナ海フィリピン海峡で米軍と軍事演習(仮想敵国は中国)を行っている。中国は「日本は専守防衛違反だ」と言っており、日本のこうした行動は極めて大きなリスクをはらんでいる。
 東アジア、とくに極東アジアは、米国と中国、韓国と北朝鮮、それにロシアの権益が交錯する地域であり、米国の衰退と中国の台頭で、地殻変動が起きている。
 地政学的に日本の立地条件は、米国・中国・ロシアという三大国家の利害が衝突する北東アジアに位置している。さらに日本は、中国と韓国とは平和条約を交わしているものの、相互に「和解」しているとは言いがたく、北朝鮮とはいまだに外交関係がない。
 日本は極めて不安定な条件のなかにある。
 加えてロシアとの関係では、平和条約が締結される見通しはなく、北東アジアは複雑な要因で勢力バランスが変わる地域である。
 しかも日本は、エネルギーも食料も、さらに輸出品の原料も、大部分を海外に依存している脆弱な国である。
 いま、日本は戦後最大の国家危機に直面しているといっても過言ではない。
 今こそ
 日本の国家理念を考え直すべき
 米中の「日本封じ込め」は続き、日本の経済成長は期待できない。平和国家の看板が薄れ、「戦争か平和か」の岐路に立たされている。
 日本は世界最大の対外債権国であるのに、一部の大企業と富裕層以外は、日に日に貧乏になっていき、所得階差が拡大し、社会不安が醸成されている。そして近隣諸国との和解を拒否する政治が続いている。
 「危険な国・日本」から脱却するには、日本はどうすればよいのか。
 現在の安倍政権の「戦前回帰の国粋主義」でよいのか、それとも、絶対に戦争しない「絶対平和主義」(専守防衛)でいくべきか。新自由主義国家か、福祉国家か。
 日本の最も望ましい国家観、国家理念を今こそ真剣に考え直すべきである。」
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米中密約“日本封じ込め”の正体