👹10:─1─安倍元首相の国葬アンケート結果発表】「反対」が79.7%で「賛成」の4倍以上。~No.34No.35No.36No.37No.38No.39 

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【安倍元首相の国葬アンケート結果発表】「反対」が79.7%で「賛成」の4倍以上。
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 2022年8月13日 YAHOO!JAPANニュース 文春オンライン「【安倍元首相の国葬アンケート結果発表】「反対」が79.7%で「賛成」の4倍以上 「在任期間が長いだけ」「天皇ではない」の声も…
 ©文藝春秋
 7月8日に銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相(享年67)の国葬が、今年9月27日、東京・日本武道館で開催されることが閣議決定されました。首相経験者として国葬が行われるのは、1967年の吉田茂以来、戦後2例目として注目を浴びています。
 【グラフ】国葬に賛成・反対の割合は男女で違う
 岸田文雄首相は、異例ともいえる国葬を決断した理由として、憲政史上最長となる8年8カ月の長期政権であったことや、東日本大震災からの復興、アベノミクスをはじめとする経済再生、外交の展開など、さまざまな分野で実績を残したことを挙げています。
 しかし、国葬に至った法的根拠がないことや葬儀のために国費が使われることを問題視する意見も出ています。また、安倍元首相が関与したとされる森友・加計学園問題、「桜を見る会」問題の責任追及や、旧統一教会との関係性の解明などが終わらない段階で国葬を決めるのは時期尚早との意見も上がっています。
 さまざまな議論を呼んだこの国葬について「文春オンライン」編集部ではメールマガジン登録者を対象に「安倍晋三元首相の国葬緊急アンケート」を実施。
 7月30日から8月7日まで9日間にわたって「あなたは安倍元首相の国葬についてどう思いますか?」という質問に対して「賛成」「反対」「どちらともいえない」の3つの選択肢の中から1つを回答いただきました。その結果、15歳から93歳までの幅広い年齢の方々から2981人の回答が集まりました。内訳は男性が2046人、女性が933人、無回答が2人でした。
 結果は、「賛成」が499人(16.7%)、「反対」が2375人(79.7%)、「どちらともいえない」が107人(3.6%)と「反対」が多数を占める結果に。
 性別ごとの結果を見ると、男性は「賛成」364人(17.8%)に対して、「反対」が1617人(79.0%)。
 女性は「賛成」135人(14.5%)に対して「反対」が756人(81.0%)と、女性の方が国葬に反対の割合が多い結果となりました。
 「賛成」という回答の中では、長期政権を率いた安倍元首相の国への貢献や、外交上のメリットを重視する意見が目立った一方で、「反対」という回答の中には国葬の法的根拠や定義を求める声や、コロナ禍などを起因して経済が悪化を辿るなか葬儀に税金を使う必要があるのかとの指摘もありました。
 アンケートの結果をもとに、安倍元首相の国葬について、「賛成」「反対」「どちらともいえない」に寄せられた声の一部をご紹介していきます。
 賛成は16.7% 「優しい親戚の叔父さんのようなシンパシー」
 「長年首相を務めたという実績自体が、党派を超えて彼の日本への貢献への証として示せるから。また多くの国民が献花に訪れていた実績に鑑みれば国葬とすることは適切」(44・男性)
 「海外からの弔問客に対応するためには、国葬でないと無理。諸外国からそれだけの評価がされているということでもある。ここで弔問外交をすることは、国益になる。そういう貴重な機会を、最後に安倍さんが残してくださったということだと思う」(70・女性)
 「ローマ教皇エリザベス女王が公式にお悔やみを出しています。国連でも黙祷。世界各国がお悔やみを出しています。一国の元総理に対して、これらの追悼表明は異例。世界の声に答えなければなりません」(52・男性)
 「政治的信条の好き嫌いは別として、各国からの弔問に一度に対応できるのは何にも代えがたい。プーチン大統領が来るのなら奈良県警に警備させればいい」(54・女性)
 「日本国内でも世界規模でも偉大な政治的業績を成し遂げた人だから。また自分の世代観で言うと、民主党時代のリーマンショックで苦しい就職活動を送り大手企業には入れなかったが、数年経ち、就職先のベンチャー企業アベノミクスのもと景気の恩恵を受けて生活が改善されたという感覚がある。その感覚もあり、個人的には安倍首相に非常に感謝しています」(36・男性)
 「統一教会との繋がりは衝撃的だったが、小学生の時から『国際社会のリーダー』としての姿が強烈に染み付いている。生まれてから総理大臣、政治家に対しては辟易としたイメージがあったが、日本のため責務を投げ出さず外交などに奮闘していたイメージもあるし、なんなら優しい親戚の叔父さんのようなシンパシーもあるため。脱統一教会は進めていくべきだと感じているが、改めて日本国民が一つになるためにも、好感度の高かった安倍さんの国葬はするべきだと感じる」(26・男性)
 「安倍さんは生前、色々な政策、外交をしてくださった。桜を見る会や、森友学園問題など、問題点はあったものの、アベノマスクなど印象深いことも行って、広く国民に親しまれていた方だと思います。国葬には多額な税がかかるが、日本が今後さらに発展していくために色々と尽力してくださった人だから、私は賛成派です」(15・女性)
 「お亡くなりになったと知った時、想像以上に不安になり、心が痛んだから。彼の功績や経歴はそれほど詳しくないけれど、亡くなったことに対しこんなにつらく悲しく思う自分に驚きました。気づかないうちにたくさん影響を受けていたのだと感じました。彼の発する優しい言葉は他の政治家に例をみないものです。願わくば国葬でどうか安らかにとご冥福をお祈りします」(49・女性)
 「多額の税金を使うから反対」という意見も分からなくないけど、安倍元首相がながく政権を維持し、復興、あらゆる国の改善、危機、困難を打破してきた功績は揺るがない真実です。この為国民は平和に暮らせた事も感謝するべき。志半ばに惜しくも亡くなられどれだけ無念か計り知れません。国を挙げて感謝を伝える日にテロなど起きぬよう願います」(55・女性)
 「日本の総理大臣であり、国益に貢献し、外交面で世界をリードするイニシアティブを発揮し、日本の存在を押し上げた点は唯一無二の人だから。一方、モリカケ問題や桜の会で政治を私物化している点は許されないことで忘れてはいけない」(63・男性)
 「テロには屈しないという、民主主義を世界に発信するため」(41・男性)
 「莫大な費用をかけないなら賛成です」(62・男性)
 「私は安倍氏山口県で初めて立候補した時から山口県に住んでいましたので応援演説を聞きに行ったりし人柄を気に入っていました。その後の活躍は御存知のとおりです。国葬には大賛成です、ご冥福をお祈りいたします」(79・男性)
反対79.7% 「本来は裁判で裁かれなければならない人物」
 「まず法律の根拠が無い。国葬令は戦後に廃止されている。ましてや現職の総理大臣でもなく、数々の疑惑(森友・加計・桜など)を曖昧にしたまま終わってしまった人物。統一教会との関係性も政教分離違反である。国会を通す事無く、国民の声も無視して閣議決定で決めてしまったプロセスにも問題がある。いつから閣議決定憲法より上になったのか。正直、統一教会との関係をうやむやにしたいという政権側の目眩し作戦にしか見えない」(47・女性)
 「憲法で日本国の象徴と定められている天皇崩御の際の国葬は仕方ないとして、香淳皇后国葬さえ行わないのに、現役の総理大臣でもない単なる一国会議員を国会の議決もなく特別扱いする理由がわからない。織田信長の葬儀を取り仕切った羽柴秀吉のように、自民党岸田政権が国葬を利用して自らを権威付けしようとしているのは明白」(60・男性)
 「国葬天皇のみとし、首相経験者や議員は政府と所属政党等の有志による合同葬とするのが妥当。政府主導とすることで国葬並みの威厳は保てるはず」(61・男性)
 「長く総理大臣の座にあったというだけで、国家に対する功労がない。吉田茂と同等でなければならないとまでは言わないが、社会・経済の安定と発展をもたらすような政治ではなかったことは、現状を見ても明らかである。選挙応援中に凶弾に倒れたことはセンセーショナルな事件であり、ご本人にとってもさぞかし意外で無念であったろうと同情はするが、死因とは切り離して判断すべきである」(57・女性)
 「沖縄返還ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作元総理が国民葬だった点で、実績のない安倍元総理を、党則を変更して総裁を3期務めて最長の首相在任期間であったことを理由に国葬にするのは根拠が乏しすぎると思われる」(65・男性)
 「桜を見る会モリカケ問題、財務省赤木さんの自死などの問題が全く解決していない。疑惑が多すぎて、本来は裁判で裁かれなければならない人物だと思うため。コロナの病床ひっ迫や、貧困問題などに税金を遣うべき」(42・女性)
 「国民から吸い上げた血税を費やすことに反対です。お金があるなら、生活に苦しんでいる人達のために回すべきです。自民党葬にして、自民党議員が葬式代を負担するべきです。困窮する国民への思い遣りが全くないと思います」(64・女性)
 「税金で行うという点にのみ反対です。反対意見もあるのでクラウドファンディングなどでお金を出したい人だけ出せばいいと思う」(24・男性)
 「増上寺や献花の場を見ると、支持者の熱狂的な姿が異様で、この先の日本人の在り方に、不安と恐怖に感じた。押しつけないと言っても、実際に半旗の掲揚を教育委員会が現場に指示。時代の逆戻りかと。安倍さんの人柄は嫌いでないが、議員という言葉の使い手として頭を抱えることもしばしば。中曽根さんの時のように、党のお別れ会でいい。イチ国会議員で国のために働くのは当たり前、天皇ではない。国民は静かに哀悼を示せばいい」(49・女性)
 「総理の在任期間が最長とはいえ、長いだけ。生前いろんな疑惑もあったし、法律の整備も強行したりやりたい放題だったいわくつきの政治家に対して税金使っての国葬はありえない。安倍さんが2012年に総理になってから、日本が戦前みたいに戻りそうで怖かった。国葬もそう。山本五十六? と思ってゾッとしました。2022年の今は戦中の日本ですか……」(36・女性)
 「国葬を取り仕切るのが電通という噂があるのが一つ。安倍氏統一教会の関係が全く無いわけでないのが一つ。コロナ流行の時期に大勢の人間が葬儀に集まるのも、いかがなものかと思う。コロナで亡くなった人は家族にも会うことができず、寂しい亡くなり方をした人が大勢いるのに、税金で一人の人間のために多額の金銭を使用するのも賛成できない。暑い中、行列を作って献花台に花を持って行った人々の気持ちだけで良いのではないかと思う」(54・女性)
 「30年前と比べて国民が負担する税金(消費税・年金・健康保険)は大きく増えています。ですが、税金は働く現役世代に還元されておらず、政府は軍事費や国外へのばら撒き、そして高齢者だけに税金を使っています。上がらない給与と税負担のせいで、困窮している家庭の子どもたちが国内にたくさんいるのに…。これ以上税金の無駄遣いをしないでください。一個人の葬儀に国民の血税を使わないでください」(34・女性)
 「秋葉原の選挙演説で『あんな人たちに負けるわけにはいかない』と言ったように、国民を味方と敵に分けて、前者には優しく、後者には厳しくしています。そして、自分の考えと異なるヒトには残酷な仕打ちをしているように思います。このような気質が森友学園加計学園問題、桜を見る会などの問題を引き起こしたものと思います。安倍元総理の『味方』の方は国葬が良いと判断するでしょうが、『敵』の方は国葬が良いと判断するでしょうか。味方か敵かで判断されていた『元総理』の葬儀を、国全体で行うことには疑問を感じます」(66・男性)
 「国会で嘘をつき続け、自らの支持者に対して首相の地位を利用した利益供与をした人が、国葬に値するとは思えない。閣僚からは、外国からの弔意が多く寄せられているから、評価が高いという意見もあるようだが、外交における単なる儀礼ではないか。当たり前のことを諸外国はしているだけ」(59・男性)
 「国葬には海外要人が多数出席する事が予想され、その接待、警護などに膨大な費用が掛かることは目に見えている。更に現在、自民党統一教会の関係についていろいろな問題が指摘されている中、それを明白にせず国民の税金を使う事には反対です。葬儀は自民党が、自民党の予算の中で執り行うのが妥当だと思います」(60・女性)
 「個人的に嫌いだから。どうしても国葬にするなら、各国のお偉いさんが来るだろうから、プーチン大統領とゼレンスキー大統領を招待して停戦交渉の場を葬儀後に設けるべし」(50・男性)
 「人を弔う心は、誰かに強制するものではない。そして葬儀は外国からの弔問客のために行うものでもない。弔いは個々の気持ちがあればそれで十分ではないかと思う。総理はコロナ対策より党内での自分の保身を優先するのか。国費を使うのであれば、論議を尽くして国民の賛意を得るべきである」(60・女性)
 「国をあげてはやりすぎではないでしょうか。自民党葬にすれば、嫌いな人はいないでしょうから、良いんじゃないでしょうか。あと、会場は武道館よりホテルオークラでどうでしょう」(34・男性)
 「『国葬に閻魔が呆れる嘘の数』という川柳が今、話題になっている。記憶力のある人々は安倍晋三にこの思いを持ち続けている。国費を、そのようなふざけた使い方をすべきではない。コロナや貧困で、困窮している国民に回すべきだ」(71・女性)
 「ああいった形で亡くなった事は気の毒な事だが政治家としてやって来た事が『安倍さん、可哀想』等と流されている事に正直驚く。不意に家族を奪われた悲しみややり場のなさと言えば近畿財務局の赤木さんの遺族はどうなるのか? 国会で100回以上も嘘をついた人間を国葬扱いなんて冗談でないと思う。見送りたいと思う方達は見送れば良いが国葬には値しないと思う。国会でまで堂々と嘘をついて良い、と言う人間を国が礼賛するのを見て子供はどう思うのか。『安倍さんは良いヒトだった』なんて言う個人的な付き合いから来る感情をそう思っていない国民に押し付けないで欲しい」(51・女性)
 どちらともいえない3.6% 「国会での議決も経た方が良い」
 「殺害事件直後は賛成でしたが、最近次々と自民党統一教会の関係が明らかになり、嫌悪感が増してきました。現時点では、『どちらでもない』意見です」(69・男性)
 「基本的には賛成だが、実施の決定には閣議決定だけではなく国会での議決も経た方が良いと思う」(40・男性)
 「反対はしない。吉田茂の時は、その前にあった西ドイツのアデナウアーの国葬に、総理の佐藤栄作が元総理の岸信介を派遣して冷戦下でのアメリカとフランスの雰囲気を把握した。同じように、海外の人を招く葬祭はありだろうから」(41・男性)
 「あるテレビ番組を見たのですが、『国葬』形式でなくても税金が使われるとわかったので。それほど議論をするほどの論点ではないと考えを改めた」(48・男性)
 「熊本地震の時も来訪し、支援を頂きました。ただ残念なのが森友、加計、桜、アベノマスク、統一協会など、真相が分からないまま、負の遺産も残しました。期待と裏腹に、残念な部分もあります。国葬も税金です。もっと違う形で出来ないかと、正直思います」(50・男性)
 「安倍元総理を個人的にはとても支持、評価しているので、国葬でもよいと思っているが、一方で衝撃的な最期を受け止められず、悔しい、悲しいと感傷的になっている勢いのまま、国葬! という方向になだれ込んでいった感も否めないと想います」(62・女性)
 「かかるお金が国費では反対派が黙っていないから。寄付を集めれば良いと思う」(48・男性)
 「あまりにも突然なことであったし、もう少し考える時間を持って判断してもいいのではと思っています。もちろん、すべての人が納得いくものにはならないのはわかっているけれど、国をあげてやるかどうかは、自国の理解と他国からの視点を俯瞰していく知力が必要かと感じています。世の中が、パンデミックウクライナ戦時下で判断力の低下の懸念があり、非常にざわざわした気持ちを消しきれずにいます」(63・女性)
 「全く自民党支持ではないんですが、安倍さんは嫌いではない。国葬は市民の税金が使われる。父親の年金も毎年減らされてて悩んでいるのは事実です。でも一般市民が何を言っても自民党は右から左ですよね。だから諦めています」(55・女性)
 「亡くなった人を見送る儀式は、故人との関係によって異なると思う。依って、故人から多くのものを受けたと思う人は賛成だろうし、あまり関係がないと思う人は反対だろうから」(86・男性)
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 アンケートの発表は以上です。ご回答してくださった皆さん、ありがとうございました。
 「安倍元首相の国葬強行で得をするのは…」国民の約8割が反対でも自民党は”賛成一色” その身も蓋もない「理由」とは へ続く
 「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班)」
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 8月16日 MicrosoftNews 文春オンライン「《国葬で民意は二分!?》滑稽を通り越して哀れな「反体制的知識人」のメンツ問題
 與那覇
 2020年春に新型コロナウイルスの流行が始まって以来、3度目の「同調圧力とともに迎える夏」である。
 ウイルス自体は「強めの風邪」に近いところまで弱毒化し、政府を支える専門家からも「指定を5類相当に変更し、インフルエンザと同様に扱おう」との提言が出てきた。しかしかつて彼ら自身が誇大に煽った不安のために、炎天下の屋外でも多くの人がマスクを外さない光景が続いている。
 © 文春オンライン コロナ禍では要請ベースの自粛が求められた
国葬は「弔意を国民に強制する」?
 加えて7月に起きた安倍晋三元首相の暗殺事件が、もうひとつの暗い影を落としている。政府は早々に9月の国葬実施を決めたものの、「弔意を国民に強制する同調圧力を招かないか」との批判もあり、いまのところ民意は二分された状態だ。
 意外に思われるかもしれないが、人によっては「過剰」なものに見えるコロナ対策と国葬の決定過程には、共通の力学が働いていたと私は考えている。
 当時から何度も批判してきたが、安倍氏が首相だった2020年2月のコロナ禍初期、多くの識者は当初「政府が強権的に対策を進めるのは危険だ」と主張していた。しかし同年3月半ばにコロナに対しても緊急事態を宣言可能にする法改正がなされるや、同じ面々は「なぜ政府は宣言を出さない!」と叫び始める。
 むろん同じ月に、欧州諸国がロックダウンに踏み切ったことの影響はあったろう。しかし冷静に感染者数を比較すれば、日本は本来焦る状況にはないとの指摘は当時、すでになされていた。
 つまり防疫上の意味は皆無だったにもかかわらず、なぜあのとき日本人は、自らの自由や権利が制約される対策(緊急事態宣言)を望んだのだろう?
 一言でいえば、それが取れるかぎりで「最大限の選択肢」だったという以外に、理由はないと思う。
 緊急事態宣言を発令するオプションが法的に可能となったにもかかわらず、それが「使われていない」という状況が、多くの人を不安にした。とにかくそのカードを切り、「やれるかぎり最大限のことはやりました」という体裁をとってくれないと、気持ちが納得できない。
 “国葬”実施の理由は“特攻隊”と同じ
 目下争点となっている安倍元首相の葬儀形式をめぐる論争にも、同じ構図がある。亡くなった政治家の弔い方としては、最上位のものとしての「国葬」の先例が、現憲法下でも一例のみだが存在する(吉田茂元首相、1967年)。
 戦前も含めて憲政史上最長の政権を担い、しかも首相経験者として戦後初の暗殺という非業の死を遂げた安倍氏の葬儀に際して、国葬以外の選択肢を提示した場合、「なぜ最上位のオプションがあるのに、使わない!」と反発する層は確実にいる。
 それを防ぐには最初から「国葬で」とオファーするしかなかったというのが、おそらくは政権の内情だと思う。まさに現職時代に安倍氏が「なぜ宣言を出すというオプションがあるのに、使わない!」として、民意に煽られたのと同じだ。
 周知のとおり日本人にとっての8月は、いまや稀少な「戦争を振り返るシーズン」でもある。
 その際メディアで繰り返される「特攻隊神話」もまた、同一の構造の上にあることにお気づきだろうか。特攻作戦に戦局を反転させる意義がまるでなかったことは、視聴者の誰もが知っている。
 しかし、それでも自らの命を棄てての攻撃という「最大限の選択肢」を選ぶ姿が、今日もなお多くの日本人の琴線に触れる。ほとんどは別に好戦的な歴史観の持ち主ではなく、「あそこまでやっても敗けたのだから、もうしかたなかった」と敗戦を受け入れるためにこそ、実戦上は意味のなかった非道な作戦に共感しているのだ。
 戦時中から今日に至るまで続く、そうした感受性の罠から外に出るような歴史の振り返り方は、ないだろうか。
 手がかりになる人物の姿を、作家の中野重治が「吉野さん」という回想(1949年)に描いている。厳密には私小説であり脚色が入っているが、モデルとなった人物の英詩をそのまま引用していることからも、戦時下の実体験を踏まえた随想と位置づけてよい。
 「多数決は挙国一致でありますまい」
 「吉野さん」のモデルとなったのは、戦前に青山学院や陸軍大学校で教えた岡田哲蔵(1869-1945)。キリスト教思想を研究すると同時に、海外では『万葉集』の英訳などの詩作で知られていた。生前最後の2年間、世田谷で戦時下の町会長を務める姿が、中野の脚色を経て記録されている。
 中野が住む地区の町会長として描かれる「吉野さん」は、リベラリスト自由主義者)を自任する老紳士だが、反軍的な人ではない。日清・日露戦争では通訳として軍に協力し、少佐相当だったと噂されることから、防空演習でも軍人に一目置かれている。
 しかし吉野さんは時局に関わる政治判断でも、「最大限の選択肢」には釣られない。あくまで法的な根拠があるか否かで、国の要請に応じるかを決める。戦費に回すための貯蓄が同調圧力で強制されそうになった際の、吉野さんの冷めた対応を、中野はこう描写している。
 吉野さんは、町会長のうちでもいちばんの年寄りだったから、役人たちも弱った。
 とうとう都の代表者が、「重々ごもっともです。〔法的な根拠がないのは〕おっしゃるとおりで……ただこれは、挙国一致の案件でございまして、吉野先生以外の方にはおおむねご賛成願っておるのでございますから。多数決ということもございますし……」というようなことを言ったところ、吉野さんが開き直って、「多数決は挙国一致でありますまい。」とやったため座が白けたという話だった。
 戦争中の日本でも吉野さんが孤高を貫けた理由は、なんだろう。中野はこの随想で二つ、手がかりを示唆しているように思う。
 まず、吉野さんには詩作という趣味があった。元共産党員として官憲から監視される半面、戦前に発表した小説で知られていた中野に、自作の英詩を渡して交流を持とうとする。
 空気に従わない姿勢が右翼から睨まれ始めていた吉野さんに、最後の子供まで徴兵するとの通知が届き、町内は緊迫する。しかし出征式の日、吉野さんはわざと難解な自作の詩(日本語)に自分の真情を託すことで、衝突を回避する。
 今春刊行した拙著『過剰可視化社会』でも論じたように、「見た人は誰もが必ず一様に、同じ感情を抱くべきだ」とする発想でなされるコミュニケーションは、容易に同調圧力に転ずる(プロパガンダが典型である)。そうではない私秘的な会話の作法を知っていたことが、戦時下でも内面の自由を守った。
 次に、吉野さんとは正反対の個性の持ち主も、相まって彼とともに地域を支えたことだ。典型は前任の町会長だった、竹内という人物である。
 竹内は生活物資の調達に辣腕を振るうやり手だが、常に自分が一番多くせしめるエゴイストだった。そのため副町会長に降格されたものの、清廉さの裏面で融通が利かない吉野町会長の下では「副町会長が悪人で助かっている点もある」との住民の声を、中野は拾っている。
 戦後の著名人で喩えるなら、さしずめ吉野さんは丸山眞男で、竹内は田中角栄だろうか。欠点も含めてさまざまな種類の人間が、互いに不満や摩擦を抱えながらも「排除」だけは最後までしなかったことが、中野が属する共同体の強さにつながっていた。
 これに対して80年近く経ち、新型コロナ禍なる「擬似戦時下」にある私たちの現状は、どうだろう。
 誰もがマスクをしているといった「見ればわかる」対策からしか安心感を得られず、人それぞれの体質や感受性には配慮しない。SNSでも「自分への賛同以外あり得ない」という態度で発信し、異なる反応を示すアカウントを見つけたら、集団で潰そうとする。
 コロナでの過剰自粛に対する違和感を、人文的な教養に基づき発信した識者はごくわずかだ。国民生活への影響が甚大な緊急事態宣言にはもろ手を挙げて同調しながら、「反体制的知識人」のメンツの問題に過ぎない国葬にのみ強がって異を唱える姿は、滑稽を通り越して哀れですらある。
 なんとも情けない、終戦から77回目の夏。そんな時こそ、ほんとうの困難に立ち向かい、あるいは潜り抜けた人たちの姿が、静かに胸をよぎる。
(與那覇 潤/文藝春秋)」
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