🎷74:─2─優秀な大学生でも地政学による「台湾有事の意味がわからない」。欠如する危機意識。~No.323No.324 (69) 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 優秀な大学生は高得点で卒業し、高学歴の政治的エリートと進歩的インテリとして政治家、官僚、弁護士・検事・裁判官、企業家・経営者、学者・教育者、メディア業界人になり、功成り名を成せば勲章を授与され上級市民として特権と権威を持った超エリート層に仲間入りした。 
 つまり、政治的エリートと進歩的インテリと言っても現代の日本人と昔の日本人とは全然違う日本人である。
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 侵略戦争は、ロシアのウクライナ戦争を見れば明らかなように、国力を高めた軍事強国が起こすのであって、平和を求めて戦争に反対する国力が低い軍事弱小国が起こすのではない。
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 12月4日 YAHOO!JAPANニュース 幻冬舎ゴールドオンライン「「2027年に中国は台湾を侵攻し日本は陥落」最悪のシナリオを招きかねない、日本の地政学上のリスクを専門家が解説
 世界地図をのぞくと日本はロシア・中国・北朝鮮に囲まれており、現在の世界情勢を照らし合わせると、地政学上大きく危険をはらんでいる国の一つといえます。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による戦場の痛ましい現状の報道を目にして、罪のない人々が苦しむ姿に心痛めるとともに、自国の安全への不安を募らせれている人も多いのではないでしょうか。本連載では「2027年、日本がウクライナになる(他国に侵攻される)」と予測する、元自衛官で「戦場を知る政治家」である佐藤まさひさ氏の著書から一部一抜粋して、日本防衛の落とし穴についての知識を分かりやすく解説します。
 恐るべき台湾有事。なぜ中国は台湾を獲りにいくのか?
「逆さ地図」を見てみましょう。今度は日本列島の西側まで視野を転じてみます。奄美諸島琉球諸島尖閣諸島などの島々(南西諸島)が点在し、その西側の大きな島が台湾です。
 改めて地図を見ると、日本列島がユーラシア大陸を覆う蓋であることは一目瞭然でしょう。日本列島の左翼は北方四島。右翼は南西諸島。ロシアが北方四島を欲しかったように、中国は、南西諸島の島々が欲しくてたまりません。
 台湾も含めての「東シナ海の蓋」は、軍事的にも経済的にも、非常に大きな意味をもつからです。中国が、尖閣諸島や台湾を強引な論理で「自国のもの」と主張するのはこのためです。何が、どう重要なのか?
 まずは、中国から見た台湾の重要性を話します。台湾は、三つの海を結ぶ位置にあります。「太平洋」「東シナ海」「南シナ海」です。フィリピンとの間には「バシー海峡」があり、中国との間には「台湾海峡」がある。このように、海をもつことは"戦略上"とても有利なのです。なぜなら海は「モノを運ぶ」には、最も効率のよいルートだからです。
 例えば、戦車を運ぶ場合、輸送機ではせいぜい数台です。でも大きい船なら数百台程度は運べます。石油などの燃料も運べるし、空母なら"滑走路付き"で戦闘機を運べる。つまり海をもてば物流を支配できる。狭い海峡ならなおさらです。船を"生かすも殺すも""通すも通さぬも"いかようにもできる訳です。
 さらに、中国の海南島には中国海軍の主要基地(楡林ゆりん基地)もあります。ここから潜水艦や艦船が太平洋に出るには、バシー海峡を通るのが最も安全なルートなのです。
台湾有事になれば、日本には石油が入ってこない! 
中国にとって”複数の海域の交差点”とも言える台湾は「海上の要衝」だと理解できたでしょう。ここを自分のものにすれば、他の国に対して優位に立てます。
 例えば、日本も韓国も、簡単に痛めつけることができる。もっと言うと、なぶり殺しにできるのです。どういうことか? 地図を見てみましょう。
 日本は石油の9割以上を中東から輸入しています。中東で石油を積んだ船は、インド洋を通り、マレーシアやシンガポールインドネシアの間のマラッカ海峡を抜けて、南シナ海に出ます。その先にあるのが台湾です。
 フィリピンとの間のバシー海峡を抜け、沖縄などの南西諸島の東側を通って日本に到着します。台湾有事、つまり中国が台湾に侵略戦争をしかけたら、どうなりますか?
 戦争でドンパチやっている場所など、誰も通りたくないでしょう。しかも石油を積んでいるタンカーには、日本人は乗っていません。船籍や運営会社は日本でも、乗組員は全員が外国人です。命の危険を冒してまで、日本人のために石油を運んでくれる外国人がいると思いますか? 私には、到底いるとは思えません。
 中国が台湾を獲得すれば、日本は中国の手のなかに
 他のルートはないのか? 少し遠回りのルートがあります(前ページの地図参照)。インド洋からバリ島の脇のロンボク海峡を抜け、インドネシアを縦に突っ切るようにマカッサル海峡を通り、フィリピンの南側から太平洋に出るルートです。
 でも、中国の潜水艦が、太平洋の入り口辺りに突如プカッと浮上してきたら? もう誰も通れなくなります。海底から狙われると思ったら、怖くて仕方ないですから。石油が入らなければ日本はアウト。”生命線”は中国に握られているのです。
 台湾有事の緊張ピークは2027年と予想
 台湾有事という言葉を耳にする機会が増えました。でも多くの日本人はピンとこなかったでしょう。しかし「台湾有事は日本有事」なのです。さらに直接、攻撃を受ける可能性もありますが、それについては後述します。ズバリ゛その時"はいつか?
 早ければ2027年、というのが私の゛読み"です。米インド太平洋軍デービッドソン司令官(当時)も、次の認識を示しています。
 「2027年までに、中国が台湾に軍事攻撃をしかけるリスクがある」
 と。右は米上院軍事委員会の公聴会で語られたことです。彼はこうも言っています。
 「米海軍が、アメリカ西海岸を出発して沖縄―フィリピンを結ぶ『第一列島線』に到達するのに、約3週間かかる」
 と。
 第一列島線とは、中国が設定した対米防衛線。「線内の内側への接近を拒否する」という目標ラインです。中国としては第二列島線との間で海軍や空軍を厚く展開し、アメリカを迎え撃つという目論見です。中国が勝手につくり上げたシナリオ、あまりにも横暴だと思いませんか?
 他国の領土や領海を自国の防衛線に設定している訳ですから。日本、台湾、フィリピン、インドネシアを、まるで自国のように考えています。これこそが中国の覇権主義であり、恐ろしさなのです。
 いずれにしても、ウクライナの教訓から短期決戦を企図して、台湾の東西から中国が台湾に侵攻した後、アメリカ本土から部隊が到着するまでの間に台湾国民や在留外国人を人質にするでしょう。
 奪還するのは容易ではありません。2027年の゛その時”が来てから行動したのでは間に合いません。私の゛読み”が外れるならこれほど嬉しいことはない。しかし「最悪のシナリオ」を想定して、リスク回避に備えておくことも、私の仕事だと思っているのです。
 佐藤まさひさ
 参議院自民党国会対策委員長代行
 自民党国防議員連盟 事務局長
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 12月15日 MicrosoftStartニュース AERA dot.「優秀な大学生でも「台湾有事の意味がわからない」 日本人が決定的に欠如する危機意識とは?
 「台湾有事の際、日本はどうすべきか」
 日中首脳会談の冒頭、握手する岸田文雄首相と中国の習近平国家主席/2022年11月17日
 © AERA dot. 提供
 東京六大学の一つで講義「日本外交と人権」を受け持っている。先日、クラスをグループに分けて、このテーマでディスカッションし、結果を各自まとめて提出するよう求めた。
 自衛隊派遣? 経済制裁? 中立? どんな意見が出ただろう、と思いながら、授業後、学生たちのリアクションペーパーを読んだとき、私を驚愕させたのは「“台湾有事”の意味が分かりませんでした」というコメントであった。
 翌週、「台湾有事」が「台湾における戦争」を指していることを伝え、それを知っていたか否かをクラス全員に問うたところ、実にクラスの3分の2が「知らなかった」と答えた。
 裏庭でこんなものが見つかるとは夢にも思いませんでした!
 20年ほど前、「有事法制」制定の際に政府が「戦争法制」と呼ぶと国民の賛成を得られないとして「戦争」を「有事」に呼び変えて広がったこの表現が、政府の狙い通り国民の理解を阻害している。
 しかし、政府の策略はさておき、優秀な大学に通う学生の過半数が「“台湾有事”の意味が分からない」という日本社会の中で、政府は「台湾有事は日本有事」と唱えながら、この年末にも敵基地攻撃能力を認め、5年内の年間防衛予算2倍増を閣議決定しようとしている(2022年度予算は約5.4兆円で、27年度に約11兆円となるように積み上げる)。国民的議論の末に決定されるべき大きな変化にもかかわらず、賛否の議論は社会でほとんど耳にしない。圧倒的な国民不在感だ。
 そして、わずかになされている議論でも、空虚な軍拡論一本やりで、重要な検討事項はことごとく漏れ落ちている。
 では、今の議論から漏れ落ちているのは何か。
■人的・物的被害について
 まず一つ目。台湾有事のリアリティーが全く語られていない。
 米軍が台湾有事に介入することになれば在日米軍基地からの出撃が強く想定され、結果、米軍基地をおく自治体は反撃のターゲットとなる。沖縄では、その空気を正確につかんで「二度と沖縄を戦場にするな」との運動が広がり始めている。沖縄県内の各自治体で避難計画の策定が問題となっているが、石垣市は市民の避難に9.67日を要し、航空機がのべ435機必要、宮古島市も観光客を含め避難にはのべ381機が必要との試算である。有事には自衛隊機は台湾に向かっている可能性が高く、また、いざ避難となれば宮古島市石垣市も同時避難となる可能性が高い。この数の航空機確保は机上の空論である。シェルター設置も政府が検討するというものの、シェルターや避難計画がどれだけ充実しても、有事になれば大規模な被害は避けられない。
 <沖縄の方々には気の毒だけれど、自分は沖縄に住んでいないから大丈夫>
 このような意見もあるだろう。しかし、米軍基地は、沖縄に限らない。三沢・横田・横須賀・岩国・佐世保などの各基地受け入れ自治体周辺は同様の被害を受ける可能性があるし、後方支援であっても自衛隊派遣となれば、自衛隊基地ほか国内の随所もターゲットとなる。日本本土に広くシェルターを整備するのは不可能である。
 自分たちが有事に被害者となりうるという事実が、日本の議論からすっぽり抜けている。
■経済的被害について
 この秋、欧州を訪問した際に、ドイツで、独政権与党で重要な地位にある国会議員から質問を受けた。
 「日本では、中国への経済制裁についてどんな議論がされているのか?」
 中国に対する経済制裁――日本で耳にしたこともなかったため、一瞬、頭が混乱したが、冷静さを保って答えた。
 「日本では、対中経済制裁の議論はされていない。経済のデカップリングの議論ですら緒についたところだ。中国は日本の最大の貿易相手国で、全貿易額の約23%(2021年)が対中貿易である。中国への経済制裁などありえない」
 会議後に、同席していたドイツのアジア専門家から、「なぜそんなに経済制裁の話が不適切と考えるのか? 日本では台湾有事への派兵の議論もでているんだろう。派兵の前にまず経済制裁を検討するのは当然では?」と声をかけられた。彼とはその後、侃々諤々、数日間議論を続けた。ドイツ最終日、私は結論に達し、彼にこう言った。
 「日本政府は威勢のいいことばかり言っているが、都合の悪いことを隠している。これは、その結果だ」
 彼らの問題意識はもっともである。日本では軍事力強化の話ばかり議論されるが、情勢が緊迫すれば、米国等の主導で経済制裁が発動され、日本政府の外交姿勢からしてそこに日本が加わらないことは考えられない。ましてや有事に、自衛隊が後方支援であっても参戦すれば、日中貿易は断絶する。対中貿易が途絶えたとき、私たちの生活はどうなるのか。
 欧州訪問では、ベルギーの旧友宅にも招かれたが、ウクライナ戦争の影響で電気代だけで月20万円、家賃より電気代のほうが高いとの不満を長々と聞くこととなった。もっとも、電気代の値上がりなど戦争の影響の中では最も些細なものである。
 日本に戻り、安保に詳しい友人にこの話をしたところ、日本で対中貿易が断絶したら餓死者が出るのではないかとのコメントが返ってきた。
 台湾有事のリアリティーは、このように甚大な人的・物的被害であり、また、中国との貿易断絶により日本に住む私たちすべてが現在よりはるかに苦しい生活を強いられるということである。
 日本では政府もメディアも、こういった話を一向にしようとしない。
 <いやいや、あなたの言う通り、経済的壊滅や物的人的被害を避けるためにこそ、敵基地攻撃能力や防衛費の急増が必要なんだよ>
 しかし、軍事力だけでは戦争は避けられない。
 軍事力による抑止は、必ずや相手の対抗策を招き、無限の軍拡競争をもたらす。その状態で抑止が破綻すれば、増強した対抗手段によって、より破滅的結果をもたらすことになる。さらには、どれだけ軍事力を強化したところで偶発的な衝突の可能性は阻止できない。
 また、そもそも、軍事力による「抑止(deterrence)」で戦争を防ぐためには、相手が「戦争してでも守るべき利益」を脅かさないことによって戦争の動機をなくす「安心供与(reassurance)」が不可欠であり、そのためには外交が欠かせない。
 いま導入されようとしている敵基地攻撃能力(「反撃能力」と政府は言い換えた)についても、発射間際の敵のミサイルを破壊できるような能力をもつことで「抑止力」が高まり、中国の日本に対する攻撃が躊躇され抑制される、という理由付けがなされている。しかし、今、中国は日本に届く弾道ミサイルを600発以上有しているとされており、日本から直接攻撃して中国大陸のミサイル1発を破壊したところで、その次の瞬間、何百発ものミサイルが私たちの頭上に降ってくるのが現実である。そのような極端に不均衡な状態で、抑止効果があるのか甚だ怪しい。
 ※記事後編<<「台湾有事は日本有事」で防衛予算を上げたところで勝ち目がない現実 はたして米国は“介入”するのか?>>に続く
◯猿田佐世(さるた・さよ)
 シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」代表・上級研究員。弁護士(日本・ニューヨーク州)・沖縄国際大学特別研究員
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 12月28日17:35 YAHOO!JAPANニュース ニッポン放送「「台湾有事」が囁かれるなか、本島と離島が分断する「沖縄の実情」 八重山日報・編集主幹が解説
 八重山日報・編集主幹の仲新城誠氏が12月28日、ニッポン放送飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。台湾有事が囁かれるなか、中国の脅威が現実的になりつつある八重山諸島の現状について語った。
 中国の脅威が現実的になった国境の島・石垣島
 中国政府が尖閣諸島沖の東シナ海に設定していた休漁期間が明け、出漁を祝う爆竹を鳴らしながら港を出る漁船。東シナ海の漁解禁を受けて、一部は尖閣諸島沖に向かう可能性もある=2020年8月16日、中国福建省石獅の祥芝港 写真提供:産経新聞
 2022年8月、中国は日本の排他的経済水域EEZ)内に弾道ミサイル5発を撃ち込み、沖縄県の国境の島を震撼させている。一方、中国海警局の船による尖閣諸島周辺への領海侵入や航行は、12月27日で9日連続となっている。
 飯田)中国の軍事的脅威について、一気に現実感を帯びてきたように思えますが、8月には弾道ミサイルが撃ち込まれました。皆さんはいま、どのような思いを抱いていらっしゃいますか?
 仲新城)これまでは台湾有事や尖閣諸島の問題と言っても、住民が明確に中国の脅威を感じることは、それほどなかったと思います。しかし最近、「自分たちの問題だ」と明確に意識し始めたような空気を感じます。
 飯田)日本政府の対応は、電話での抗議のみだったという話がありました。
 仲新城)かなり弱腰な感じで、中国に対する明確な抗議の姿勢を感じられなかったように思います。
 中国に対して平和外交でこれまで明確に抗議したことがない玉城沖縄県知事 ~言うことは米軍基地の廃止ばかり
 飯田)県側の反応はいかがでしたか?
 仲新城)玉城デニー知事は、中国に対してずっと平和外交で、尖閣諸島問題も含め、これまで中国に明確に抗議したことはありません。
 飯田)安全確保の道筋など、島民に対しての投げかけなどもあまりないということですか?
 仲新城)玉城デニー知事は、一貫して「平和外交」ということしか言わないので、実際どこまで離島の厳しい状況を理解しているのかも、離島に住んでいる我々にはわかりません。彼が言っているのは米軍基地の廃止ばかりで、なかでも辺野古移設の反対しか彼の口からは出てこないので、本当に沖縄の安全保障を考えているのかどうかは疑問だと思います。
 2023年3月に石垣島陸上自衛隊の駐屯地が開設予定
 飯田)島のなかでは、「台湾有事は我々にとっても有事である」ということについて、想定の話もされるのでしょうか?
 仲新城)各市町村では、飛行機でも1日あたり何万人を運ぶなどという計画自体はつくられているのですが、八重山だけでも約5万人の人口があるので、実際に有事になったら、そんな暇があるのかという懸念は拭えません。
 飯田)陸上自衛隊の駐屯地が石垣島にもいよいよできるということですが。
 仲新城)2023年3月くらいには開設すると言われています。
 飯田)規模感などは、ある程度わかりますか?
 仲新城)500~600人規模のミサイル部隊の隊員が移住してきます。
空港や港湾などのインフラが整備され、相手方の標的になる石垣島八重山の島々
飯田)やはり、それが相手に攻めさせないことにつながりますか?
 仲新城)石垣島八重山の島々は、空港や港湾などのインフラが整備されていて、自衛隊が整備されていようがいまいが、相手方の標的になるのはほぼ間違いないような状況になっているのです。
 飯田)なるほど。「基地があることによって狙われるのだ」というような批判がいつも出ますが、そもそもその前から標的になっているということですか?
 仲新城)基地があるから攻められるわけではないと思います。
 日本の漁船が尖閣周辺で操業しようとすると中国艦船が妨害行為を行う ~日本の巡視船がいなければ拿捕されてしまう
 飯田)尖閣には、地元漁民の皆さんも近付けない状況が続いているのですか?
 仲新城)漁民が周辺で操業しようとすると、中国の艦船が接近してきて妨害行為のようなことをします。日本の巡視船が日本の漁船を警護していますけれども、巡視船がいなければそのまま中国に拿捕されるのではないかという状況です。
 飯田)12月22~25日にかけて、70時間以上にわたって領海に居座り続けましたよね。
 仲新城)あのときは日本の漁船が操業を続けて頑張ったのですが、その分、中国の船もずっと居座り続けて、周辺から離れませんでした。
 飯田)東京では「中国海警局の船がいる」ということだけが報じられていますが、あそこで操業し、踏ん張っていた漁民の皆さんがいらっしゃったのですね。
 仲新城)数は少ないのですが、ここは「日本の領土だ」ということも含めて、操業している方々はいますから。
 中国艦船から命懸けで日本漁船を守る海保
 飯田)海上保安庁も、もちろん守るために近くにいる。
 仲新城)中国艦船を上回る勢力で警護はしているのですが、中国側の船はいつでも増援を受けたら増やせる体制にいます。日本の漁船が2隻、3隻と増えていくと、中国側もさらに応援で入ってくるので、一触即発の状況でした。
 飯田)東京で報じられているところでは、逆に漁民の皆さんが行こうとするのを、海保が「危ないから来ないでください」と止めているというような報道もあります。しかし、仲新城さんのお話を聞いていると、むしろお互いに協力しながら、「どう主権をきちんと主張するのか」と考えているように思えます。
 仲新城)尖閣周辺の漁業は誰でもできるわけではなく、漁業者でないと出航を認められません。漁業者が向こうに自分の足で行くことに関して、日本政府が止めることはありません。
 飯田)漁業者が行くことを止めることはない。
 仲新城)それに関して、「命懸けで日本の漁業を守る」という気概を持って、海保の方々は日夜奮闘しています。
 飯田)海の男たちの心意気を感じますね。
 仲新城)そうですね。あの周辺から帰って来た漁業者の方々に話を聞くと、みんな「海保がずっと守ってくれた。中国の船を近付けないようにしてくれた」と言います。
台湾有事は尖閣有事 ~しかし、沖縄のなかでもある本島と離島の温度差
仲新城)日本が尖閣を国有化したのは10年ぐらい前です。それを口実に、中国は領海侵入を常態化させていきました。単なるパフォーマンスなら10年も続かないと思います。本気で尖閣諸島を獲りに来ているのだと思うし、中国側の宣伝では、尖閣諸島は台湾に付属する島々ということになっているので、台湾有事と尖閣有事は連動して起こるのではないかと思います。
 飯田)向こうのロジックでは、「台湾を獲る=尖閣も獲る」ということになってしまう。
 仲新城)そうなります。
 飯田)日本全体で共有しなければならない意識の1つですね。
 仲新城)そうです。ただ、既に沖縄のなかでも本島と離島では温度差があり、分断されている感じもするので、「日本が一丸となって尖閣や離島を守る」という雰囲気には程遠いと思います。
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