⏱10:ー1ー中国測量艦・スパイ気球・ドローン・偵察衛星によるステルス侵略。~No.27No.28No.29 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2023年 2月12日7時 MicrosoftStartニュー 乗りものニュース「「スパイ気球」が領空侵犯 日本はアメリカのように撃墜できるのか 現状を鑑みると…?
稲葉義泰(軍事ライター) の意見
 アメリカは最強のステルス戦闘機で撃墜
 2023年2月6日(日)、アメリカ空軍のステルス戦闘機であるF-22ラプター」が、空対空ミサイルにより無人気球を撃墜しました。その後、洋上に墜落した気球の残骸も回収が進められています。アメリカ政府の発表によると、この気球は中国の大規模な情報収集プログラム用のものであり、同様のものは、これまでに40か国以上の上空を飛行しているとの見方を明らかにしています。
 【画像】やっぱりよく似ている…2020年に東北地方で目撃された「謎の気球」
 2023年2月4日(現地時間)、中国の「スパイ気球」を迎撃するために離陸するアメリカ空軍のF-22ラプター」(画像:アメリカ空軍)。
 © 乗りものニュース 提供
 さらに、この気球に関する詳細な情報分析を行った結果、気球の下部に取り付けられていた機器には、通信装置やレーダーなどの電波情報を収集したり、位置情報を取得したりするためのアンテナなどが装着されていることも確認されたとしています。そのためアメリカ政府は、中国側の「気象観測用の民間気球」という主張を否定し、これを軍事的な偵察用気球だと考えているわけです。
 もし日本で同じような事態が発生した場合どう対応する?
 今回の気球騒動は、日本でも大きな注目を集めました。特に日本で同様の事態が発生した場合の対応については、国会でも議論されるほど関心度の高い問題となっています。
 まず、今回の気球は人間が搭乗して操縦しているわけではないという点で、ある意味では無人機と同じ扱いとなることが考えられます。そして日本政府は、大きさの大小を問わずいかなる無人機であっても、日本の領空(領海より陸地側の上空)に入ってきた時点でこれを領空侵犯とみなし、自衛隊法第84条に基づく「領空侵犯に対する措置(対領空侵犯措置)」として、航空自衛隊の戦闘機によって対応することとしています。つまり、気球に対しても同様の対応をとることが想定されますし、実際に浜田防衛大臣も国会で同様の見解を示しています。
 なお航空自衛隊における対領空侵犯措置に際しての「一定の手順」は、以下のようなものです。
 まず、無線などを通じて領空を侵犯している旨を警告し、領空外への退去もしくは近隣の空港などへの着陸を命じます。さらに、こうした警告や誘導に従わない場合には、場合により機体への命中を避ける形で機関砲を発射する「信号射撃」を行うことになります。
 この「手順」が、対有人機を想定したものであることは明らかでしょう。果たして無人機に対しても同様の手順を踏むのかについては、先の浜田防衛大臣の見解には含まれませんでした。
 現行法では撃墜は困難?
 そして、おそらく最も大きな問題となるのは、今回アメリカが実施した「撃墜」という手段を日本もとることができるのかどうかという点です。現在の自衛隊法および自衛隊内の規則によると、領空侵犯機に対して武器を使用できるケースは非常に限定されています。
 これまでの国会答弁に基づくと、自衛隊機に対して領空侵犯機が実力をもって抵抗してくる場合(正当防衛)、および地上にいる人々の生命などに重大な危険が及びうる場合(緊急避難)には、武器の使用が認められているとされています。
 ただし、これらは自衛隊法で明記されているわけではありません。前述した第84条にある「(領空侵犯機を)着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置をとることができる」という規定にいう「必要な措置」の一環として武器の使用が認められており、その内容を防衛大臣が定める自衛隊内部の規則によって規定されているのです。
 撃墜された気球はアメリカ海軍により回収された(画像:アメリカ海軍)。
 © 乗りものニュース 提供
 さて、領空侵犯機に対して武器を使用できるとして、では今回のような気球に対しても同様な措置をとることができるのかというと、現状では難しいと言わざるを得ません。
 というのも、今回の気球は非武装であり、自衛隊機に対して実力を持って抵抗することもなければ、地上の人々に危害を加えるおそれもないためです。気球に何らかの不具合が生じ、人口密集地などへの墜落が予想される場合には、緊急避難として撃墜することが許されるかもしれませんが、単に上空を飛行している限りでは、撃墜することはできないと考えられます。
 今後はどのような対応が望ましい?
 とはいえ、日本の領空を侵犯しつつ、悠々と情報収集をしている気球を放置することが望ましいとはとても思えません。実際に自民党や日本政府内でも、今後の気球に対する対応が検討されているとの報道もあります。
 前述したように、現状では気球の撃墜は難しいわけですが、今後どのような対応の可能性が考えられるのでしょうか。
 撃墜した気球の部品などをソナーで捜索する、アメリカ海軍爆発物処理グループの隊員(画像:アメリカ海軍)。
 © 乗りものニュース 提供
 ひとつ考えられる方策としては、自衛隊内部の規則を新たに改定し、偵察を目的とした無人気球の撃墜を可能とするようにすることです。そもそも現状、対領空侵犯措置での武器使用が厳しく抑制されているのは、武器使用はすなわち航空機の撃墜につながり、搭乗員の命が失われる可能性があることを踏まえて、軽率に武器を使用することを防ぐためと考えられています。よって、無人の気球であればその点を考慮する必要はありません。
 また、対領空侵犯措置に関しては、基本的に国際法上認められる措置をとることとされています。冷戦時代の1960(昭和35)年にアメリカの高高度偵察機U-2をソ連が撃墜した事例など、自国の領空内で偵察飛行を行う軍用機を撃墜することは国際法上、許容されるとの見解も、学説や国家の実行として数多く見られます。
 したがって、今回のような偵察を目的とする無人気球を撃墜することができるよう、新たに自衛隊内部の規則を改めることも選択肢のひとつではないかと、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。
 中国をめぐる情勢が厳しくなっている中で、日本としてどのような対応を行うことになるのか、注目が集まります。
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 2月12日7時 MicrosoftStartニュース 時事通信「偵察気球、自衛隊の対応は=撃墜可能も過去に例なく―武器使用にハードル、技術的問題も
 米軍の戦闘機が中国の偵察気球を撃墜して11日で1週間。国内上空でも近年、似た飛行物体の確認が相次ぐ。防衛省は「気球でも領空侵犯に当たり、必要な対処をする」と撃墜を含めた対応があり得るとの立場を取るが、武器使用のハードルの高さや技術的な問題から実際には難しいとの見方が多い。
 仙台市上空を浮遊する気球状の物体=2020年6月17日、同市青葉区
 © 時事通信 提供
 類似の飛行物体は2020年6月と21年9月、宮城県など東北地方で目撃された。浜田靖一防衛相は10日の定例会見で、昨年1月にも九州西方の公海上を飛行する所属不明の気球を、自衛隊の哨戒機が確認していたことを明らかにした。
 自衛隊法は領空侵犯した航空機などに対し、強制着陸や退去をさせるため必要な措置が取れると規定。緊急避難や正当防衛に該当する場合は武器使用も可能だ。航空自衛隊は同法に基づき、戦闘機の緊急発進(スクランブル)で警戒監視に当たっている。通常は領空外側の防空識別圏で進路変更を求め、従わず領空に侵入すれば警告射撃など強制的な措置を取るという流れで対応。相手が無人でも同様の手順という。
 スクランブル回数は21年度で1004回に上り、大半は中国やロシアの軍用機やドローンが対象だ。国際法上は気球も航空機に相当するが、気球に対するスクランブルの公表例はこれまでない。高度や速度からレーダーで判別できるため、脅威が少ないと判断していたとみられる。
 浜田防衛相は7日の定例会見で気球撃墜について聞かれ「可能で、必要なら実施する」と話した。ただ、過去に自衛隊が領空侵犯で対象を撃墜した例はなく、20年6月に今回と似た物体が確認された際、当時の河野太郎防衛相は「安全保障に影響はない」とし、自衛隊はレーダーで監視したが撃墜などの対応は取らなかった。
 現場からは対応の難しさを指摘する声が上がる。ある空自関係者は「気球は戦闘機の巡航高度よりかなり高い所を飛んでおり、速度差も大きい。対応には高度な技術や特別な装備が求められる」と話す。防衛省幹部は「気球に対して緊急避難や正当防衛が成立するのか。ハードルは高い」と指摘。「外交情勢にも左右される。政治的な判断が不可欠だ」と強調した。 
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 2月12日9時 MicrosoftStartニュース 朝日新聞デジタル「中国測量艦、鹿児島周辺の領海侵入 防衛省警戒「かなりの頻度」
朝日新聞社 
 中国海軍の測量艦1隻が12日未明、鹿児島県周辺の接続水域から日本の領海に侵入した。測量艦による領海侵入の公表は一昨年以降で7回目。直近は昨年12月で今年に入ってからは初めて。防衛省は中国側に外交ルートで「強い懸念」を伝えた。
 鹿児島県周辺の領海に入った中国海軍の測量艦=防衛省統合幕僚監部提供
 © 朝日新聞社
 防衛省によると、測量艦は12日午前0時50分ごろ、屋久島南の接続水域を北に進み、同2時半ごろ、屋久島南西の領海に入った。同4時10分ごろ、口之島北東の領海から出て、西に抜けた。海上自衛隊の哨戒機やミサイル艇が警戒監視と情報収集にあたった。
 中国艦艇による領海侵入は2004年11月に初めて公表され、今回で10回目。このうち測量艦によるものは21年11月が最初で昨年は5回に上った。最近は1~2カ月に1回という「かなりの頻度」(同省幹部)で、同省は警戒を強めている。
 領海は沿岸約22キロ内、接続水域は領海の外側約22キロ内。領海は軍事や経済活動などをしなければ国連海洋法条約で「無害通航」として航行が認められる。海底の地形調査は無害通航とは見なされない。同省は測量艦の活動について「分析中」としている。(成沢解語)
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 2月12日11時 MicrosoftStartニュース 時事通信「中国海軍測量艦が領海侵入=通算10回目―防衛省
 防衛省は12日、鹿児島県・屋久島の周辺海域で、中国海軍の測量艦1隻が日本の領海に侵入したと発表した。中国軍艦の領海侵入は昨年12月以来で、通算では10回目となった。政府は外交ルートで強い懸念を伝えた。
 同省によると、12日午前0時50分ごろ、鹿児島県の屋久島南方の日本の接続水域を北進する中国海軍のシュパン級測量艦1隻を、海上自衛隊が発見。同艦は午前2時半ごろ屋久島南西から領海内に入り、口永良部島北東を出るまで約1時間40分、領海内を航行した。海自のP1哨戒機などが警戒監視に当たった。 
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2月12日11:30 琉球新報「 中国の軍拡は脅威か?8割が「脅威に感じる」 ミサイル配備「受け入れ」はゼロ<安保3文書・首長アンケート>
 追う南西防衛強化 安保3文書 安保3文書・首長アンケート 中国 ミサイル
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 日本の防衛体制強化の方針を盛り込んだ安全保障関連3文書の閣議決定を受け、琉球新報社は県内41市町村長を対象にアンケートを実施した。
 中国軍拡 「脅威に感じる」8割
 軍事費の増強を強める中国について、82・9%に当たる34人の首長が「脅威に感じる」と回答した。「どちらとも言えない」は7人(17・1%)で、脅威に感じないと答えた首長はゼロだった。他の質問と比べて、「どち...
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 2月12日12時 MicrosoftStartニュース 読売新聞「国務省高官「中国の主張に矛盾」「明らかに情報収集」…気球に複数アンテナ搭載
 【ワシントン=淵上隆悠】米国務省は9日、米本土を横断した中国の偵察用気球に、通信傍受のためとみられるアンテナが搭載されていたことを明らかにした。同省は気球の製造元について、「中国軍と直接関係がある企業」との見方を示し、同様の気球が過去数年間に40か国以上の上空を飛んだと指摘した。軍事情報の傍受が目的だったとの見方が広がっている。
 米モンタナ州上空に浮かぶ中国の偵察用気球(1日)=AP
 © 読売新聞
■軍事情報目的の見方
 気球は米本土を横断し、米軍が4日に東海岸サウスカロライナ州沖の領海上空で撃墜した。米政府は海上の残骸を回収するとともに、米軍U2偵察機が撮影した飛行中の気球の画像を解析していた。
 国務省高官によると、解析の結果、気球には複数のアンテナや、センサーを動かすために必要な電力を供給するためのソーラーパネルが搭載されていたことが確認された。アンテナは「通信傍受や位置の特定が可能とみられる」という。
 高官は、「明らかに情報収集を目的としている」と述べ、気象観測などを目的とした民間のものとする中国の主張に対して「(装置の分析と)矛盾している」と反論した。米政府は、製造元の中国企業への「対抗措置」を検討している。
 気球の特徴について、米紙ニューヨーク・タイムズは9日、情報当局の話として、「携帯電話などの位置を特定し、データを収集する能力がある」と報じた。同紙は、人工衛星で携帯電話が発する信号をとらえるのは困難だが、気球が飛行していた高度約1万8000メートルならば可能だとの見方を示した。
 気球が上空から狙っていたのは、軍事情報だったとみられている。気球が上空を飛行したモンタナ州には、米軍の大陸間弾道ミサイルICBM)を運用する空軍基地などがあり、軍事関係者らの通信を傍受しようとした可能性がある。
 中国軍の内情に詳しい関係筋は本紙の取材に対し、中国の偵察気球が、南シナ海でも米艦艇の動きなどを高高度から監視、偵察していると明らかにしている。宇宙やサイバーなどを担当する戦略支援部隊が気球運用に関与しているという。
 米CNNによると、米政府は9日、議員に対する非公開の説明で、今回の気球が収集した情報について、「中国は気球の存在を知られた時点で通信を停止したようだ」と説明した。米下院は9日、中国を非難する決議案を全会一致で採択し、気球についてのさらなる情報開示を米政府に求めた。
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 2月12日12:12 YAHOO!JAPANニュース 琉球新報「沖縄の市町村長、半数がミサイル隊配備を拒否 防衛強化は支持14人、不支持9人
 海上自衛隊輸送艦「しもきた」から下船する、ミサイル弾薬などを積んだとみられるトラック=2022年11月、宮古島市平良港下崎ふ頭
 日本の防衛体制強化の方針を盛り込んだ安全保障関連3文書の閣議決定を受け、琉球新報社は県内41市町村長を対象にアンケートを実施した。安全保障政策を転換させ、防衛力強化を打ち出した岸田首相の方針について、「支持する」が14人(34・1%)と「支持しない」の9人(22%)を上回った。残りの18人(43・9%)は「分からない・無回答」だった。
 【グラフ】自衛隊配備強化、約半数が賛否示さず
 敵基地攻撃能力を有するミサイル部隊が打診された場合の対応については、「受け入れる」と回答した首長はおらず、「受け入れられない」は20人(48・8%)だった。防衛力の強化は認めつつも地域への影響が大きいミサイル部隊の配備については慎重姿勢が目立った。
 防衛力強化に伴う防衛費の増額については賛成、反対いずれも10人で、反撃能力の保有については反対9人(22%)、賛成8人(19・5%)だった。いずれの質問も半数を超える首長が「分からない・無回答」とし、態度を明らかにしなかった。一部は国会での議論や国民への説明が足りないことなどが理由だと記述したが、理由を明示しない首長も一定数いた。
 ミサイル部隊の配備について「どちらとも言えない」と回答した首長の中には容認に含みを持たせる首長もいた。桑江朝千夫沖縄市長は「住民の安心・安全につながるのであれば、検討する可能性はある」とし、比嘉朗渡名喜村長は「基本的には抑止力の強化のため受け入れる。当然だが、住民投票などに付して検討する」と回答した。
 防衛力強化の方針を支持する首長からは「隣国の軍拡に歯止めがかからない状況では、防衛力強化もやむを得ない」(當眞淳宜野座村長)など、東アジアの安全保障情勢を理由に挙げる意見が多かった。
 不支持派からは「国民的議論が行われていない」(浜田京介中城村長)や「防衛力強化が逆に国間の緊張感を高める恐れがある」(渡久地政志北谷町長)などの意見が出た。「分からない・無回答」を選んだ首長からも議論が必要との意見が上がった。
 調査はアンケート用紙を1月20日までにファクシミリやメールで送付、全首長から回答を得た。回答全文は本紙ホームページで閲覧できる。(吉田健一
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 2月12日12:42 YAHOO!JAPANニュース FNNプライムオンライン「気球撃墜にみる中国の”微笑み外交モード” 米中の今後と日本の行方
 「気球問題」で延期になったアメリカ・ブリンケン国務長官の中国訪問は、実現していれば両国が関係改善、成功を強調するとの予想が各所で言われていた。中国の習近平国家主席にとっては2022年秋の党大会を経て3期目に入り、インドネシア・バリ島で行われたバイデン大統領との直接会談で良好な関係をアピールした後のステップである。「アメリカはブリンケン氏が習氏と会談できるとみていた」(外交筋)というから、双方が望む会談であったこと、中国も前のめりであったことは間違いないだろう。
 【画像】アメリカで回収された気球の一部
 反発の中にも抑制的な中国
 気球の問題が明るみに出たことでブリンケン氏の訪問は延期されたが、中国は反発しつつも反応は抑制的だ。気球が発見されたことに対しては「遺憾」を表明し、ブリンケン氏の訪問延期には「尊重する」と述べ、気球撃墜に対する対抗措置も、発動の可能性を示唆しつつ「留保」している。「中国が遺憾というのは、この問題が中国に不利なことをわかっているとうことだ」(外交筋)というように、中国がこのような表現をすることは異例だ。
 中国外務省も記者会見で相次いだ質問に「民間の飛行船が制御を失って迷い込んだ、想定外の出来事」と繰り返すばかりで、ことの詳細は明らかにしていない。中国外務省はこの件について全く知らされていなかったという話も複数の関係者から聞かれた。外交の窓口に情報が入らず、同じ言葉を繰り返すしかなかったとすれば、まさに「遺憾」である。詳細が不明で、そのような言い方しか出来なかったという見方もある。
 共産党系の新聞「環球時報」は2月4日の紙面で「アメリカは気球事件を騒ぎ立て、中国に圧力」という見出しが一面に掲載されたが、7日には「中米関係が試されている」という見出しも見られた。外務省のコメントも「誤解や信頼関係を損なうことは避けるべきだ」との部分が引用され、反発や批判は影を潜めている。
 国内向けには強気の姿勢を示しつつ、今後の推移を見守る姿勢がみてとれる。アメリカ側も一定の冷静さは保っているようで、今のところ双方に事態をエスカレートさせる動きは見られない。
中国は“微笑み外交モード”
 では今後の米中関係はどう推移していくのか。中国は、強硬な姿勢を見せる「戦狼外交」が知られているが、今回の一連の対応に見られるように「微笑み外交モード」(外交筋)が続いている。コロナ禍で落ち込んだ経済の立て直し、アメリカをはじめとする各国との安定的な関係を構築するため、当面はこの方針が続くとの見方が多い。
 今後はドイツで行われるミュンヘン安全保障会議(2月17日~)、その後インドで予定されるG20外相会議(3月1日~)でハリス副大統領と王毅政治局委員、ブリンケン国務長官と秦剛外相がそれぞれ会談する可能性がある。双方の接触があれば今回の問題をどう総括し、話し合う環境を作り、さらなる対話、関係改善につなげられるかが焦点だ。台湾問題など、安全保障面では両国に温度差があるが、意思の疎通を継続し、協力できる分野は協力し、決定的な対立を避けたいという思惑は双方に見られる。
 中国が日本に寄せる“期待”
 それは日本との関係も例外ではない。中国の“ゼロコロナ崩壊”を受けた水際措置の応酬で不穏な空気も漂う中、2月2日に行われた日中外相電話会談で秦剛外相は「平和共存することが唯一の道だ」「(日中関係を)改善・発展させるべきだ」などと呼びかけた。
 関係筋によると、2023年に入ってから天津市江蘇省蘇州市など、日本企業が進出する地方都市の幹部が次々に日本を訪問した。目的は日本企業とのビジネス、投資への期待だ。中国こそ日本との人の往来を望んでいることの証左である。北京の日本大使館もこうした実態を把握し、日本に対するビザ発給停止が発表された際にも悲観する空気はなかったという。中国が自分の首を絞めるような措置は早晩解除されると見越して、日本の立場や考えを丁寧に説明していた模様だ。
 試金石になる広島サミット
 一方で中国は、広島サミットを見据えたG7の結束には神経を尖らせている。
 年初に欧米を訪問した岸田首相には「タカ化」「安倍化」といった評価が中国の紙面に見られた。経済的なつながりは重視しつつ、安全保障を中心としたアメリカなどとの連携は警戒し、その動向を注視している。広島サミットの議長国として岸田首相がG7をどうまとめ、どのような発信をするかはその後の日中関係を占う試金石になるとみられる。
 中国が”微笑み外交モード”でアメリカとの接近を模索する中、日本はどのように存在感を示し、主張すべきは主張し、実のある成果に繋げるのか。岸田首相は、中国の春節休みに一時帰国した垂駐中国大使や秋葉国家安全保障局長と50分近くにわたって会談した。難しい舵取りは今後も続く。
 (FNN北京支局長 山崎文博)
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 2月12日13時 MicrosoftStartニュース FNNプライムオンライン「カナダ上空 新たな未確認物体撃墜 中国偵察気球と「似ているが小さい」
 アメリカ上空で、中国の偵察気球が確認された問題で、11日、カナダ上空で再び未確認の物体が確認され、撃墜された。
 カナダ上空 新たな未確認物体撃墜 中国偵察気球と「似ているが小さい」
 © FNNプライムオンライン
 カナダのアナンド国防相は11日、アラスカと接するカナダ上空で、未確認物体を確認し、戦闘機で撃ち落としたと発表した。
 カナダ・アナンド国防相「(先週4日に)米・東海岸で撃ち落とされた中国の偵察気球に、形が似ている可能性がある」
 未確認の飛行物体は円筒形で、2月4日、アメリ東海岸沖で撃墜した中国の偵察気球と比べ、「似ているが、小さい」と明らかにした。
 中国の気球かどうかなどは不明で、カナダ軍は物体を回収し、分析を進めるという。
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 2月12日15時 MicrosoftStartニュース TBS NEWS「中国の“偵察気球”をアメリカが撃墜。飛行ルートの下には軍事施設も・・・軍事気球開発に力を入れる中国「将来は恐ろしい暗殺者に」【サンデーモーニング
 米中の新たな火種となった“偵察気球”問題。中国が気象観測用と主張する気球の飛行ルートの下にはアメリカの軍事施設が点在していました。近年中国が開発に力を入れる偵察気球、その特徴は?日本に度々飛来する気球と同じもの?謎に包まれた気球の正体、どこまで明らかに?手作り解説でお伝えします。
 中国の“偵察気球”をアメリカが撃墜。飛行ルートの下には軍事施設も・・・軍事気球開発に力を入れる中国「将来は恐ろしい暗殺者に」【サンデーモーニング
 © TBS NEWS DIG
 高さ60メートル、重さは900キロ
 偵察用とされる中国の気球は、アメリカ当局によると、高さ60メートル、下に吊された機器は重さおよそ900キロ。ソーラーパネルや方向舵、プロペラが付いて、速度や方向を変えることができたほか、通信傍受できるアンテナも付いていたといいます。
 移動経路の下には米軍基地が点在
 中国から飛んだとみられる気球は、1 月28日、アラスカ州アリューシャン列島付近で米軍が確認、気流に乗ってカナダを経由し、31日にアメリカに入りました。
 その後、モンタナ州などを通ってアメリカを横断する形で移動、サウスカロライナ州海上に出たところで戦闘機に撃墜されました。
 この移動経路の下には米軍基地や施設が点在しています。
 気球が飛んでいたのは、上空およそ20キロ。一般に航空機が飛んでいるのが10キロなので、そのほぼ倍の高さです。ちなみに2月10日、アラスカ州上空で撃墜された物体が飛んでいたのは、航空機と同じくらいの高度でした。
 衛星よりもコストが安く、高度が低い
 偵察兵器としての気球のメリットは偵察衛星に比べてコストが安く、飛ぶ高度が低いので、高精度の画像が撮影できること、より微弱な電波でも拾えることなどが上げられます。軍事情勢に詳しい小原凡司氏によると気球から、取得データを衛星に飛ばし、リアルタイムで中国に送っていた可能性もあるといいます。
 軍事用気球の歴史は
 歴史を振り返ってみると気球が軍事用に使われたのは、18世紀末にさかのぼります。これはフランスが革命戦争中に作った偵察気球で、実戦に使われた最初のケースとされます。
 太平洋戦争の末期には、日本軍が和紙で作った「風船爆弾」を飛ばし、偏西風に乗せて、アメリカ本土を攻撃しました。
 「気球は恐ろしい暗殺者に」
 中国でも近年軍事用気球の開発に力を入れており、2021年、中国軍の機関紙では、気球が敵の探知を避けやすいとして「将来潜水艦のような恐ろしい暗殺者になる」と紹介しています。ワシントン・ポストは中国空軍が海南省を拠点として偵察気球の一部を運用していて、日本や台湾、インドなどアジア地域の軍事情報を収集していると報道しています。
 実際、今回の中国の気球と良く似たものは、日本にも度々飛来しています。2020年、仙台市で確認されたもののほかにも、2021年に青森県八戸市小笠原諸島、2022年に九州の西の公海上沖縄県でも確認されています。
 アメリカは気球から回収された機器などの分析を進めていてますが、どこまで実態が明らかになるのでしょうか。
 (「サンデーモーニング」2023年2月12日放送より)
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