⏱11:ー2ー沖縄の無人島購入は“姿”が見えない中国系企業。~No.31No.32 

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 2023年2月17日 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「沖縄の無人島購入は“姿”が見えない中国系企業 東京の本店には別会社? 謎のリゾート計画も〈dot.〉
 屋那覇島=沖縄県伊是名村
 中国人女性が「沖縄県無人島を購入した」とSNSに投稿したことが大きな話題となり、さまざま議論がわき起こっている。法律論、安全保障論、感情論……。購入したのが中国系の企業だとわかるとさまざまな臆測を呼び、役所には問い合わせが殺到した。購入した企業はどんな会社なのか。調べてみても会社の様子がまったく見えてこない。
 【写真】松野官房長官は会見で記者から質問され、この表情
 2月3日、中国の複数のニュースメディアが、34歳の中国人女性が沖縄県にある無人島を購入した、と写真付きで報じた。
 真っ青な海や空と島が写った写真がSNSで拡散されると
 「私も買いたい」「無人島のオーナーになるなんてすごい」
 といった憧れや羨望(せんぼう)の声がある一方、
 「米中が対立しているなか、中国人の手に無人島が渡ってもいいのか」「中国が無人島に国旗を立てたらどうする」
 と政治的な懸念や安全保障面を心配する声も多くあった。中国のSNSでは「日本に中国の領土が増える」などという投稿もあった。
 中国人女性が「購入した」といった島は、沖縄本島の北側に位置する屋那覇島(沖縄県伊是名村/74万平方メートル)の一部。2021年2月2日に登記を完了し、永久使用権を得たと中国のメディアで答えていた。
 屋那覇島の不動産登記簿を見ると、同じ日に中国系企業のY社(東京都港区)が買っていた。Y社の法人登記簿には、その女性と同姓で、女性とみられる名前が役員欄にあった。他の役員も中国系の氏名だった。
 伊是名村の担当者の話では、Y社が購入したのは、島の約26%を占める村有地以外の部分の半分程度。残りは、国有地や個人所有だという。
 屋那覇島に行くには、沖縄本島のリゾート地・今帰仁村からフェリーで約1時間かけて伊是名島に渡り、そこからチャーター船で10分ほどで着く。
 伊是名村によると、屋那覇島は水道やガス、電気などが通っていない無人島だ。人気の釣り場として知られており、釣り人が多く訪れたり、伊是名島民が潮干狩りやバーベキューで訪れたりするという。
 今回、島の一部はどのような経緯で購入されたのか。
 不動産登記簿をさかのぼってみると、水産業の企業組合A社(沖縄県)が所有していたのを、2012年に水産加工業などを手がけるB社(東京都千代田区)が購入し、B社から今回のY社に売却されている。
 B社の役員で那覇市在住の奥茂治さんに話を聞いた。
 「手つかずで本当にきれいな島です。今風にいうと、インスタ映えするというか。SNSに写真をアップするとたくさんの『いいね』がつきます」
 所有権を持っていたA社は、問題が起きて企業組合は解散。次のB社はA社の関係者らで新たに設立した会社だという。
 「一時、横浜市にある広告関連の会社が興味を示して価格を提示してきていました。ただ、交渉はうまく進まず、そのうちB社の社長らが多額の借金をすることになり……。そうした状況にあるなか、東京の上場会社だという触れ込みでY社がきたのです」
 さまざまな経緯を経て、結果的にB社はY社に売却することになったというのだ。
 AERAdot.が入手した「不動産譲渡契約書(屋那覇島)」には、
 「本件不動産譲渡の対価は3億5千万円」
 などと記されている。
 「売買交渉の中で、信用できる会社なのだと思いました」
 と奥さんは話す。
 一方、土地を買い取ったY社とは、どんな会社で、どのような目的で購入したのか。
 会社のホームページのトップページを見ると、会社名のほか事業内容として「不動産投資及びリゾート開発」「中国ビジネスコンサルティング」とある。
 「直近では沖縄県の屋那覇島取得して現在リゾート開発計画を進めております」(原文ママ
 と屋那覇島の件にも触れている。
 法人登記簿を確認すると、会社成立は1968(昭和43)年。目的は、不動産、知的所有権、商業デザイン、冠婚葬祭、金融、政治・政策、投資、飲食、電気通信、出版、物流、古物売買、人材派遣、個人・企業調査……に関連するすべてなどで、計52の業務が書かれている。
 ホームページに電話番号は載っていないため、直接話を聞きにY社の本店に向かうと――。
 東京都港区・赤坂。飲食店などが密集する繁華街から少し奥に入り、商業施設やマンションが立ち並ぶ静かな場所にY社が入っているビルがあった。6階建てでバルコニーもついているマンションタイプの建物だ。1フロアに2室。不動産業者のホームページで確認すると、築50年余りで主に賃貸オフィスとして使われているようだ。
 登記簿に書かれていた番号の部屋に行ってみると、Y社とは別の名称が書かれたプレートが貼ってあった。インターホンを押すと女性の声で応答があった。Y社のことについて聞くと、「会社のホームページにある問い合わせフォームから聞いてほしい」とのこと。
 その前に、そもそもこの部屋が本当にY社の本店なのか、Y社とプレートに書かれた会社との関係は、女性の所属は、などについて聞くと、
 「私は(Y社とは別名の)一般社員」「わかりません」「問い合わせフォームで聞いて」
 の3パターンの回答を繰り返すだけで、最後は声を荒らげ、インターホンを切られてしまった。
 すぐにホームページにある問い合わせフォームから同様の質問を2度送ったが、2月17日現在、返信はきていない。
 ホームページには、Y社が経営している温泉旅館が書かれていたので電話で尋ねてみたが、
 「以前、Y社が経営に関係していたことはありましたが、今はないです」
 との回答だった。
 他にわかったことといえば、Y社の社長は、東証マザーズに上場するテレビ広告関連の企業も経営していたが、2008年に「不透明な資金の流れが発覚した」として上場廃止になったことくらいだった。Y社の姿がなかなか見えてこないのだ。
 水道、電気、ガスが通っていない屋那覇島で、今後どのくらいの期間をかけて、どのようなリゾート開発を進める予定なのか。具体的な方向性は何もわからないのだ。
 伊是名村によると、Y社が購入した場所は島の内陸部で、飛び地だったり、里道が張り巡らされていたりするため、その場所で何かを始めようとすれば法律や規制に必ず引っかかる。しかし、村にはY社から相談もないという。
 そもそも会社本店があるとされる場所に本当にY社があるのかも定かでなく、対応した女性の受け答えからしても、果たしてY社が信用をおける会社なのか疑いの目も向けたくなる。そうなると、SNSなどでも上がっていたが、安全保障に影響を及ぼすような転用、転売に対する懸案も出てきかねない。
 何も明らかになっていないこの会社は大丈夫なのだろうか?
 松野博一官房長官は2月13日の記者会見で、屋那覇島について聞かれると、安全保障上、重要な土地の利用を規制する「土地利用規制法」の対象ではないと説明し、
 「政府としては、関連動向について注視する」
 と述べた。
 自民党元職員で政務調査会を長く担当し、防衛や安全保障の著書がある政治評論家の田村重信氏は、
 「SNSなどで広がっている『買ったのが中国人だからけしからん』『軍事転用など何をするのかわからない』という声があるが、日本人も海外で土地を買っている。中国人だからだめというのはいかがなものか。アメリカは中国に対し、安全保障の観点から経済的な圧力もかけているが、日本にとっては隣国であり、結びつきの度合いが違う」
 とした上で、こう指摘する。
 「この無人島だけでなく、今後もこのような事態が次々に起こる可能性はあるので、法整備を急ぐ必要がある」
 今回の件が報道されると、奥さんには多くの問い合わせがあったという。奥さんがこう話す。
 「今回の中国人女性の動画やSNSを見て、売らなきゃよかったのでは、との気持ちもあります。今後、大きなトラブルなどにならなければいいのですが。沖縄県民としては心配です」
 一方、伊是名村には一時期、問い合わせの電話が殺到したという。担当者によると、「中国系の企業に売ったというのは本当か」「なぜ売ったんだ」「けしからん」などと、村が売ったと勘違いしたり、罵声を浴びせたりする電話もあったという。
 担当者は「今回の企業からは、屋那覇島で開発をするという話は何も聞いていません。村としては様子を見つつ、今後、こうしたことがまた起こるかもしれないので、何かしらの対策を考えたい」としている。
(AERAdot.編集部・今西憲之、矢崎慶一)
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