⏱16:ー1ー中国共産党の台湾有事で「沖縄が第二のウクライナになる」可能性も。~No.47No.48No.49 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 中国共産党の陰謀。
 中国共産党は、歴史戦として尖閣諸島・沖縄は中国領であって日本領ではないと公言し、沖ノ鳥島同様に日本から強奪しようとしている。
 中国軍は、日本に対して復讐戦・報復戦として日本侵略を計画している。
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 2023年3月2日 MicrosoftStartニュース 日刊SPA!「「沖縄が第二のウクライナになる」可能性も。台湾有事の“最前線”に直面する当事者たちの声
 台湾からほど近い沖縄が、有事の可能性に揺れている。日中台米の争いに翻弄され、“前線”リスクに直面する現地の人たちは何を思うのか――。現地の声を聞いた。
◆台湾有事に揺れる沖縄の人々の本音とは
 万が一の事態が発生したら、熊本の息子の家に身を寄せるつもりだという(50代女性)
 © 日刊SPA!
 終息の兆しが見えないウクライナ情勢や防衛費予算の増額など不穏なニュースが続くなか、日本でも戦争の足音を感じている場所がある。台湾有事に揺れる沖縄県だ。
 台湾を不可分の領土だと主張する中国共産党は、台湾に対してこれまで何度も軍事的圧力をかけてきた。
 それを是としないアメリカと日本。もしも台湾有事が起きたら、米軍基地のある沖縄は軍事攻撃の対象になってしまうのではないか――。“最前線”と目されている沖縄に住む人々は、この状況に何を思うのか。その声を拾うべく、記者は沖縄へと飛んだ。
◆多くの人は「やはり怖さはある」と回答
 2月上旬、台湾有事にまつわるニュースは地元紙でも盛んに報道されているが、街は普段どおりの賑わいだ。ただ、そこに住まう人に話を聞くと、多くは「やはり怖さはある」と答える。
 「ロシアと同じように中国も領土を広げようと日本に攻めてくるかもしれない。中国と近い沖縄県は第二のウクライナになるかも……」(30代女性・那覇市・飲食店勤務)
 「いざとなったら内地に“疎開”できないか、熊本に住んでいる息子に連絡を入れた」(50代女性・沖縄市・無職)
先島諸島の人々にとってはさらに深刻
 「過去の歴史の教訓から日本も米国も信用できない」と語る(30代女性)
「過去の歴史の教訓から日本も米国も信用できない」と語る(30代女性)
 © 日刊SPA!
 ここで暮らす以上、誰もが「もしもの事態」を想像するのか。本州に住む人には考えられない。特に、台湾との距離が近い与那国島をはじめとする先島諸島の人々にとってはさらに深刻だ。
 「与那国では町議会が国に避難シェルターの設置を求めました。正直、沖縄本島とは危機感に雲泥の差がある」(80代男性・宮古市・無職)
◆沖縄米軍基地の是非は一枚岩ではない
 一方、台湾有事における沖縄米軍基地問題について意見を尋ねると、一様に口が重くなる。その是非については一枚岩ではないからだ。
 「沖縄の人が訴えても絶対に基地はなくならないのだから、有事のリスクを受け入れて経済的な恩恵を受けたほうがいい。基地反対派に言ったら殺されそうだけど」(40代男性・沖縄市・タクシー運転手)
 「基地で働く人も多いから、基地問題とつながる有事の話はしません。でも、先の戦争で日本が沖縄を“捨て石”にしたことを考えると、中国は怖いけど、今回の有事でも日本もアメリカも信用できない。信じられるのは同じ沖縄人だけ」(30代女性・嘉手納町・コールセンター勤務)
◆米軍と自衛隊は住民を守るのか
 日本最西端の島、与那国島から見える台湾の島影。双方の距離は110㎞程度しかない
 © 日刊SPA!
 「そもそも、現状だと中国と台湾の争いにアメリカが干渉している形なのに、そのために沖縄がなぜ出撃拠点になって犠牲になる必要があるのか。それが県民の率直な疑問です」
 そう語るのは、沖縄国際大学教授の前泊博盛氏だ。
 「勝手に拠点にされ、有事が起こった際に誰が住民を守ってくれるのか。米軍ですか? 現に今、尖閣諸島アメリカ軍に基地として提供されていますが、中国の艦船が出入りしても、米軍は動く兆しをみせません。こうしたアバウトな安全保障体制の中で、本当に命は守られるのでしょうか」
◆陸海空自衛隊は防衛の要になるとは限らない
 また、沖縄には陸海空自衛隊が駐屯しており、それが防衛の要と見る向きもあるが「そうとは限らない」と、前泊氏は指摘する。
 「実は国民保護は自治体の長に委ねられており、自衛隊はその義務を負ってはいないのです。先の大戦では、沖縄は米軍の本土上陸を防ぐための“消耗品”だった。果たして、その二の舞いにならないと言えるのか」
 島の外では、感じられない危機感。外から有事を語るのではなく、そこに暮らす人たちの声に耳を傾ける必要がある。
◆台湾有事の可能性は、中国の政局を見ればわかる
 © 日刊SPA!
 すぐ目の前に迫っているかのように報じられる台湾有事だが、実際のところ可能性はどれほどあるのか。東京外語大学教授の小笠原欣幸氏は、「可能性は常にあるが、高くはない」と話す。
 「台湾有事を分析するには、中国の政局を見る必要があります。中国共産党は、台湾統一を『中華民族の偉大なる復興』というストーリーと結びつけ、神聖な行為として人民に宣伝しています。台湾統一を果たすことで、中国共産党の正当性を人民に知らしめ、一党体制を永続・発展させる目的があります」
◆日米の抑止が有効に働いている限りは安全か
 特にここ数年、中国は台湾沖に向けた弾道ミサイルの発射や、台湾周辺での軍事演習など圧力を強めている。
 「これらの威嚇行為は、中国の軍事力を見せつけ、台湾の戦意をくじくという意図があります。一方、3期目となった習近平国家主席にとっては自身の権力の永続化が最重要。
 台湾統一のために中国側が消耗する事態となれば、彼の威信が揺らいでしまいます。楽に台湾を陥落させることができるという確信がない限り、安易に軍事侵攻へと踏み出すことはないでしょう」
 従って、中国に対する日米の抑止が有効に働いている限りは、中国が一線を越えることはないと小笠原氏は分析する。
 「中国の台湾統一の意思は明確で、有事の可能性は常にある。ただ、数年のうちに起きる可能性は高くないと言えるのです」
 沖縄だけでなく、日本全土の問題として冷静に見極めたい。
◆中国の政局から見る台湾有事のリスク予想
 2027年
 習近平国家主席の任期切れとなる’27年。「任期を延ばすためにも、台湾で一定の実績を得ようと動きだす可能性がある」(小笠原氏)
 2032年
 習近平の任期が延びた場合。「ここからより任期を延ばすため、台湾への圧力を強めると指摘する軍事専門家は多い」(小笠原氏)
2035年2049年の予測は…
 2035年
 ’22 年10月に開催された全国人民代表大会で、’35年までに中国福建省台北を結ぶ交通計画を発表。台湾統一への動きがあると予測
 2049年
 ’49年は中華人民共和国発建国100年を迎える。「その節目の前に台湾統一へと乗り出す可能性が指摘されています」(小笠原氏)
 「沖縄が第二のウクライナになる」可能性も。台湾有事の“最前線”に直面する当事者たちの声
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 【沖縄国際大学教授・前泊博盛氏】
明治大学大学院政治経済学研究科卒、’84年琉球新報社入社。’11年より現職。著書に『もっと知りたい! 本当の沖縄』など
 「沖縄が第二のウクライナになる」可能性も。台湾有事の“最前線”に直面する当事者たちの声
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 【東京外国語大学教授・小笠原欣幸氏】
台湾政治・台湾総統選挙・中台関係専門。著書に『台湾総統選挙』。’20年「アジア・太平洋賞」特別賞、「樫山純三賞学術書賞受賞
 取材・文・撮影/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社・PIXTA
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 2022年12月19日06:30 YAHOO!JAPANニュース ZAKZAK「日本の覚醒
 「台湾有事」を阻止できるのは日米同盟のみ 習主席は安倍氏亡き後の日本を侮り もし勃発すれば丸焼けになるのは前線国家の日
 台北の街並み。「台湾有事」を阻止できるのは日米同盟だ(ロイター)
 吉田茂首相が立ち上げ、岸信介首相が完成させた「日米同盟の原型」は、日本共同防衛だけではなく、「北東アジアの地域防衛構想」が組み込まれている。敗戦によって大日本帝国が爆縮を起こした後、樺太、千島列島、北方領土スターリンソ連に奪われたが、朝鮮半島、台湾では、冷戦の強烈な磁場の下で、分断国家となった大韓民国中華民国が立ち上がった。
 バイデン米大統領(ゲッティ=共同)
 岸田首相
 習近平主席
 また、米国はフィリピンに独立を与えた。当時、韓国、台湾、フィリピンは力の真空であり、その防衛が喫緊の課題となった。実際、1950年には金日成(キム・イルソン)主席の北朝鮮が韓国に攻め込んでいる。
 日米安保条約第6条の「極東条項」は、米軍が日本を後方拠点として、韓国、台湾、フィリピンを守ると記されている。日米同盟を親亀として、米韓同盟、米華同盟、米比同盟という子亀が生まれた。ここに太平洋戦争直後、米国の同盟国となったタイ、譜代の旗本というべき南半球のオーストラリアを加えたものが米国の太平洋同盟網である。
 その実態は、NATO北大西洋条約機構)に比べて悲しいほど弱い。この秩序を支えてきた大黒柱が、日米同盟である。
 1972年、ソ連ダマンスキー島に攻め込んで手痛い敗退を喫した中国の毛沢東は、日米との国交正常化を急いだ。中国の正統政府が台北から北京に移った。
しかし、日米両国とも台湾が中国領だと認めたことはない。事実を客観的に見れば、中国は、南北朝鮮のように、冷戦の磁場で真っ二つに割れた分断国家のままである。台湾は一貫して西側にあり、96年、天才政治家、李登輝総統の下で堂々と民主化した。70年代以来、この台湾海峡の現状を維持することが日米両国の共通の政策である。
 ソ連が消滅して間もない99年、北朝鮮核武装計画を契機として、小渕恵三首相は、直接の対日侵攻がなくても、周辺有事において自衛隊を米軍の後方支援に投入できるようにした。そして、安倍晋三首相は2015年、集団的自衛権行使にまで踏み込み、日米同盟の抑止力を大きく向上させた。この四半世紀、日米同盟は大きく形を変えてきた。
 「台湾有事」勃発を止めることができるのは日米同盟しかない。中国の習近平国家主席は、安倍氏亡き後の日本を侮っているであろう。日本の腰が砕ければ、誰も習氏を止められない。
 もし、台湾戦争が勃発すれば、丸焼けになるのは太平洋の向こうの米国ではない。前線国家となる日本である。中国は慎重である。構えていれば戦争は起きない。何としても台湾戦争を止めねばならないのである。
■兼原信克(かねはら・のぶかつ) 1959年、山口県生まれ。81年に東大法学部を卒業し、外務省入省。北米局日米安全保障条約課長、総合外交政策局総務課長、国際法局長などを歴任。第2次安倍晋三政権で、内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務める。19年退官。現在、同志社大学特別客員教授。15年、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章受勲。著書・共著に『戦略外交原論』(日本経済新聞出版)、『安全保障戦略』(同)、『歴史の教訓』(新潮新書)、『日本の対中大戦略』(PHP新書)、『国難に立ち向かう新国防論』(ビジネス社)など。
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 2023年1月28日 YAHOO!JAPANニュース Wedge(ウェッジ)「法的制約で米軍からの訓練断る 自国を守れないニッポン
 2022年12月16日に「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」のいわゆる「防衛3文書」が閣議決定された。「防衛力整備計画」では、高速滑空弾を新たに開発し、量産するほか、12式地対艦誘導弾の性能を向上させ、射程を伸ばすなど、遠距離から侵攻戦力を阻止する「スタンド・オフ防衛能力」を強化することが明記された。
 なかでも巡航ミサイル「トマフォーク」を米国から購入し、2027年度までに配備することは、「防衛力整備計画」の目玉といってもよく、米国政府に対して大きくアピールすることとなった。また、サイバー防衛隊の人員を27年目途に4000人に拡充するとともに、サイバー関連部隊の要員と合わせて防衛省自衛隊のサイバー要員を約2万人体制とするとしている。
 米国の研究所が示した台湾侵攻シミュレーション
 「防衛3文書」の閣議決定を後押しするかのように、米国の超党派シンクタンクの一つである戦略国際問題研究所CSIS)が、1月9日、「The First Battle of the Next War - Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan (次の戦争の最初の戦い - 台湾の中国侵略のウォーゲーム)」というレポートを発表している。このレポートは、26年に中国が台湾上陸作戦を実行するとの前提で、過去のデータと作戦研究を応用してウォーゲームを設計し、シミュレーションした結果についての報告書である。
 例えば中国の水陸両用リフトの上陸可能性については、類推される過去の軍事作戦事例として、ノルマンディー、沖縄、フォークランドの分析に基づいている。また、空港を防衛するために必要な弾道ミサイル数の決定には、兵器性能データに基づいた判断が用いられている。
 シミュレーションは、24回行われ、2回は、米国と日本が数十隻の船、数百機の航空機、数千人の軍人を失うという結果であり、米国の世界的な地位を何年にもわたって損なうだろうと結論付けている。ほとんどのシナリオで米軍は、2隻の空母と10から20隻の艦艇と約3200人の米軍兵士が3週間の戦闘で戦死するとした。この死者の数は、イラクアフガニスタンでの20年間の戦闘で失ったほぼ半数に匹敵する。日本も100機以上の戦闘機と26隻の自衛艦を失う可能性が高く、日本本土の米軍基地が中国軍の攻撃を受ける可能性が高いとしている。
 シミュレーションは24勝2敗の成績だが
 先のシミュレーションの結果は、24勝2敗とまずまずの成績のように思われる。
 2敗するシミュレーションは、日本が自由に米軍に対して基地の使用を認めなかった場合だ。その他のシミュレーションは、自衛隊の基地が正常に機能するとの前提に立っているが、米軍は、自衛隊にそもそも継戦能力があるのかを疑っている。
 米軍の危機感は相当なもので、遅くとも25年には、中国の台湾侵攻が行われるとの見方が大半を占めているようだ。自衛隊との非公式な協議の中で、自衛隊に対して25年までに継戦能力の整備を強く求めているのだ。
 例えば、米軍が指摘する某司令部が存在する海上自衛隊の基地は、外部電源が断たれると数時間しか基地の機能が維持できないという。有事に際して、中国人民解放軍あるいは、日本国内にすでに浸透している中国共産党統一戦線工作部員による電源供給路の破壊が行われる事態は容易に想像がつく。
 基地の機能を有しない自衛隊基地
 基地が基本的機能を有しなくなる事態は、海上自衛隊だけの問題ではない。ある航空自衛隊基地では、敷地内に私鉄が通っており、自衛隊員の宿舎や食堂と格納庫や滑走路とを分断している。宿舎と格納庫や滑走路を繋ぐのは1箇所の踏切だけだ。
 かつて、米国政府高官が基地を視察し、敷地内に私鉄が走っているのを見てたいそう驚いたそうだ。米軍では考えられないことだからだ。早速、踏切に変えて高架橋をかけることや地下道を設けることが議論されたが、予算がないということで、今日までそうした状況が続いている。
 問題は、ほかにもある。航空機の燃料タンクも沿線に埋設されていることだ。列車を停止させることができれば、燃料タンクへも容易に近づくことができる。帝国陸軍航空隊が航空燃料輸送のために施設した鉄道が、その後民間鉄道会社に引き渡された結果だが、基地としての機能の見直しが行われなかったために、非常に脆弱な状態が続いてしまっている。
 中国が有事の際にテロを企て、列車を踏切で停止させたり、燃料タンクを爆破することができれば、航空基地としての機能が停止することは目に見えている。
 また、基地周辺のマンションの最上階には、中国の監視員が住んでおり、毎日、地対空ミサイル「パトリオットPAC-3)」の出撃状態を監視しているとされている。
 ちなみに同基地は、一部の区間を歩哨犬が守っているが、犬は鎖で繋がれ、不審者がいたとしても吠えることしかできない。まるで今の自衛隊を象徴しているかのようで情けない。
 日本が本気で防衛を考えてこなかったことが、米軍に露呈しているのだ。
 ハントフォワード作戦を断った自衛隊
 自衛隊の継戦能力に疑いを持った米軍は、自衛隊脆弱性を洗い出そうと自衛隊に対して「ハントフォワード作戦(Hunt Forward Operation)」の実施を申し入れた。
 「ハントフォワード作戦(HFO)」とは、米サイバー軍(USCYBERCOM)と第16空軍(US Air Forces Cyber)に所属するサイバー防衛要員をウクライナや同盟国に派遣し、重要なインフラシステムの脆弱性をあぶり出したり、その防御方法を教える行為(オペレーション)をいう。ウクライナが爆破など物理的な電源消失以外のサイバー攻撃による電源消失などの被害を出していないのも、このハントフォワード作戦を実施していたからである。米軍は、ウクライナをはじめクロアチアエストニアリトアニアモンテネグロ北マケドニアなど18年から22年にかけて20カ国以上の国々で作戦を実施している。
 米軍のハントフォワード作戦を一緒にやろうとの申し出に対して自衛隊は、丁重に断ったそうだ。ハントフォワード作戦は自衛隊のネットワークだけでなく、民間の電力や水道といった重要インフラに対しても行われるため、日本で行うにはさまざまな法的問題が存在し、実行が不可能だとの判断があったためだと好意的に推測するが、本当のところはわからない。
 自力でハントフォワードを行える能力を身につけろ
 法改正なくしてハントフォワード作戦も行えないのがわが国の現状である。大量の通信接続要求を相手のコンピュータに浴びせかけるDDoS攻撃を行えば電子計算機損壊等業務妨害罪が問われるし、IDやパスワードが万一盗取できたとしても不正アクセス禁止法に問われる。スマートフォンを盗聴すると通信の秘密を犯すことになる。
 これらの行為は、安全保障や防衛を担う自衛隊に対しては、正当業務行為を認め、違法性が阻却されるとの解釈を閣議決定すべきだ。法律の解釈を変更して自衛隊が自らハントフォワード作戦を実施できるようにし、重要インフラや基地の継戦能力を高めると同時に、サイバー・インテリジェンス能力を身に着ける努力を一刻も早くなさなければ、有事に間に合わない。
 山崎文明
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 1月23日 YAHOO!JAPANニュース FNNプライムオンライン「犠牲を生む覚悟と守るべき日本の国益 台湾防衛「日本が要」の理由から見えたもの
 岸田首相が反撃能力を含む日本の防衛力強化を表明し、日米同盟の抑止力、対処力を強化する方針で一致した日米首脳会談。沖縄の在日アメリカ軍に「海兵沿岸連隊」を創設し、宇宙空間での攻撃に日米安全保障条約が適用される可能性を確認した日米外務・防衛大臣による「2+2」など、アメリカの首都ワシントンの“日本ウィーク”ともいえる一連の外交日程が終わった。
 【画像】24のシナリオのもと机上演習用ウォーゲームを行う
 日米2+2の共同文書には、核開発や強引な海洋進出を続ける中国について、インド太平洋地域と世界への「最大の戦略的挑戦」と明記されるなど、対中国を意識した両国の戦略が目立った。
 こうした中で、アメリカのシンクタンクが2026年に中国が台湾への侵攻した場合を想定した机上演習の結果をまとめた報告書を公表したことが注目を浴びている。報告書では、24通りのシナリオのほとんどで中国軍は台湾の早期制圧に失敗するものの、アメリカや日本も甚大な損失を被る結果となった。
 注目のポイントは、台湾防衛の「要」として日本が挙げられていることだ。今後の日本の議論にも直結するこの報告書を読み解く。
 「2026年に中国が台湾侵攻」
 アメリカのシンクタンクCSIS=戦略国際問題研究所は1月9日、「次の大戦の最初の戦い」とする、中国が台湾を侵攻した想定のシミュレーション結果をまとめた報告書を発表した。24のシナリオの下で机上演習用ウォーゲームを行うのだが、日米が共同で台湾を防衛するシナリオもあれば、台湾が単独で防衛するケースもある。
 アメリカでは、中国の習近平国家主席の3期目の任期が終わる2027年までに台湾有事が起きる可能性を指摘する声も出ているが、今回の報告書で想定された中国の台湾侵攻の時期は、その1年前の2026年だ。
 報告書では「中国は台湾に対して、外交的孤立、グレーゾーンでの圧力、経済的強制といった戦略を取るかもしれない。軍事力を行使するとしても、それは完全な侵略ではなく、封鎖という形を取るかもしれない」としつつも、「台湾侵略のリスクは十分に現実的」と指摘している。
 また、今回のシミュレーションを行った理由について、米中間に紛争が起きれば、「核保有国同士としては初めての衝突」や「近代軍事兵器を双方が保有する初めてケース」とした上で、紛争の行方がどうなるかについては極めて重要であるにも関わらず、一般に公表されている資料があまりに少なかった点も強調している。
開戦直後には台湾海軍と空軍が壊滅状態
 「侵攻はいつも同じように始まる。開戦直後の砲撃で台湾の海軍と空軍の大半は破壊された」
 今回の報告書には、「開戦」当初に台湾軍が大きな損害を被ることが記載され、「中国海軍は強力なロケット部隊で台湾を包囲し、台湾の島への船や航空機の輸送を妨害する」としている。
 また、最も可能性が高いとする「基本シナリオ」には、(1)中国の侵攻が即時に判明、(2)台湾軍が海岸線で防衛、(3)米軍の参戦、(4)米軍の航空機や艦船が日本の自衛隊によって強化され、中国の上陸用の艦隊を急速に麻痺させることなどが盛り込まれている。
 大前提としては、台湾が「降伏」せずに抵抗することということも1つの条件だ。この「基本シナリオ」は3回行われ、2回は上陸した中国軍が主要都市を占領できず10日以内に物資が枯渇し、残りの1回では台湾南部に上陸し港を占領するなどするも、米軍の空爆により使用は不可能となる。開戦から3週間までに中国軍の陣地は確保できなくなり、中国の台湾占領が失敗に終わったとしている。ただ、「最も楽観的」と「最も悲観的」なシナリオを除いた結果の平均でも、台湾は空軍で500機以上、海軍では38隻の大型艦船を失い、死者は3500人にも上る。
 日本も全域で空爆?被害の想定は
 この報告書で注目を集めている記述の1つが、日本についてのもので、「韓国やオーストラリアなど他の同盟国も台湾防衛に一定の役割を果たすが、日本こそが要だ」とされていることだ。
 24回行われたシナリオから分析した結果、「中国に打ち勝つための条件」として、「台湾軍が降伏せずに戦線を維持」することや、「アメリカ軍の早期の直接介入」などとともに、「日本国内の基地を戦闘行為に使用できるようにしなければならない」と記載されている。台湾を防衛するにあたって、日本にある米軍基地を使用して航空機などを効果的に運用することが勝利に近づくということである。
 前述した基本シナリオでも、日本は、中国から日本の自衛隊基地や、米軍基地が直接攻撃されない限りは参戦はしないと想定されているが、アメリカが嘉手納、岩国、横田、三沢などの在日米軍基地から戦闘行為を行うことを認めると仮定している。
 一方、中国が台湾侵攻を有利に進める要素として挙げられているのが、「台湾単独での防衛」と「日本が中立の立場」をとった場合だ。結論として、日本が米側の最低限の支援に回ることが台湾防衛の勝利への前提条件となっているわけだが、その場合には中国側は日本への攻撃に踏み切るとしている。対象となるのは、米軍を支援する形となっている各地の自衛隊基地や、在日米軍基地で、「列島全域の飛行場が空襲された」との記載もある。
 様々なシナリオの中で日本の被害については、1~3週間の戦闘で、自衛隊は90~161機の航空機、14~26隻の艦艇を失うと試算されている。また、シナリオによっては日本やグアムの米軍基地が破壊され、日本・アメリカ・台湾で合わせて数万人の兵士が死亡することも記されている。
 さらに「ほとんどのケースで台湾の防衛ができた。しかし防衛には大きな代償が必要だった」とも書かれていて、勝利しても日米の被害は甚大なものだとしている。
専門家「日本が絶対的な重要性を持つ」
 今回の報告書を作成した1人である、マサチューセッツ工科大学国際研究センターの主席研究員でアジアの安全保障問題の専門家であるエリック・ヘギンボサム氏に、今回の報告書の意義と目的を聞いた。
――なぜこの危機を想定した報告書を作成しようと思ったのか?
 1つ目に、米中対立が注目されていますが、アメリ国防省の人間も、2026年、2027年という時間枠で衝突の可能性があると発言しています。また2つ目に、メディアや専門家から、「アメリカは台湾を守ることができる」「できない」といった意見が多く聞かれます。そこで私たちは、さまざまな仮定とバランスを考えて、アメリカの抑止力について結論を出せるようなモデルやゲームを作りたいと思ったんです。
――日本が今回の報告書でも非常に重要な役割となっています。
 日本がこの作戦の中心であり絶対的な重要性を持っているという点で、あなたの言うことはまったく正しいと言えます。米国が防衛を成功させるには、日本が最低限、米軍の作戦のための基地を提供しなければならないというのが、私たちの基本的な前提の1つなのです。また、自衛隊が直接的に貢献することで、より大きな効果が期待できます。
 しかし、最低限、日本に基地がなければ、アメリカはやっていけないでしょう。それに代わるものはないのです。また、改善すべき点はたくさんあります。特に、中国が基地を攻撃してくることを想定して、我々の軍隊と基地を攻撃に対して準備ができるはずです。
――日本の世論には米軍基地の使用に反対の声もあると思うが?
 日本は台湾の孤立が日本にとって、また日本の安全保障にとって、どのような価値を持つかということを考える必要がある。もし中国軍が台湾を占領したら、日本にとって南の島々の安全保障や、海上交通路に重要な影響を及ぼすと思います。
――この戦争が起きる可能性は?日本人に対してのメッセージは?
 この戦争は避けられないというわけではなく、中国に対して有効な抑止力を示す限り、そうなる可能性は低いと思います。戦争はひどいものになるでしょう。しかし、戦争は起きる必要がなく、戦争に備えることが戦争を回避する最善の方法かもしれません。
活発に議論される「台湾有事」…日本の行方は?
 アメリカ国内では政府の他に民間でも台湾有事などについて、様々な形でシミュレーションが行われている。
 2021年にはロイター通信が「台湾危機6つの有事シナリオ」として、日本、アメリカ、台湾、オーストラリアの軍事専門家や、現役と退役軍人らにインタビューを行い、今後の台湾有事のシナリオを検証した。大規模な軍事侵攻から、局地的に「金門島」への侵攻。中国が台湾に対する関税と海域・空域の管轄権を行使し、経済的に台湾を追い込んでいく「物流と往来の分断」ケースや、台湾本島を完全封鎖するケースとなっている。別のシンクタンクでは2027年に台湾有事が起きた場合を想定した机上演習を行い、米中が台湾をめぐり紛争となれば、どちらも優勢となれず長期化するとの結果も発表している。また、日本国内でも2022年8月、日本戦略研究フォーラムが主催する台湾有事を想定した机上演習が行われ、防衛相経験者や国会議員が参加した。
 23日からの国会では、岸田首相が推し進める防衛力の抜本的な強化も大きなテーマの1つとなる。岸田首相はワシントンで行った講演で「国際社会は歴史的な転換点にある」とした上で、「我々が奉じてきた自由で開かれた安定的な国際秩序は、今、重大な危機にさらされている」と危機感を強調して、戦後の日本の安全保障政策の転換を図ったことを訴えていた。
 日本の防衛力の強化をめぐっては、その予算、財源をめぐって大きな議論を巻き起こしてもいるが、そもそもの前提として、防衛力は日本国民にとっての何を守るためのものなのか。そしてそれを守るため、どういった防衛力が必要で強化するのか。何を犠牲にする覚悟が政府にはあるのか。まだ曖昧な点は否めない。
 政府の決断次第では、多くの犠牲が生まれることも加味した上、日本の防衛力の増強については、国会の議論も深めてもらいたい。
 ( FNNワシントン支局 中西孝介)
 引用元:Center for Strategic and International StudiesThe First Battle of the Next War: Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan (csis.org)
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 1月30日17:00 YAHOO!JAPANニュース 夕刊フジ「日本は「巻き込まれる」のではなく当事者 米シンクタンクの台湾侵攻シナリオ第2弾 求められる政治の覚悟
 蔡英文総統(田中靖人撮影)
 【ニュース裏表 峯村健司】
 米有力シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)」が実施した、中国軍による台湾侵攻シミュレーションを紹介した前回の拙稿は多くの反響をいただいた。今回も引き続き解説していきたい。
 【写真】台湾周辺の上空で演習を行う中国人民解放軍の軍用機
 前回、中国軍が台湾に軍事侵攻に踏み切った際、「虎の子」である空母2隻を失うことをためらった米軍が軍事介入しない可能性が高いことを指摘した。実は、米国よりも厳しい判断を迫られるのが、日本だ。
 西太平洋一帯において、米軍が空母などの艦艇や戦闘機を出撃させる拠点となるのが、米領グアムと在日米軍基地だ。極東最大の米空軍基地がある沖縄県・嘉手納をはじめ、長崎県佐世保、神奈川県・横須賀、東京都・横田の各基地が主な拠点となる。これらの基地を米軍が使えなければ、米本土から遠い台湾周辺での作戦の展開は難しくなる。
 CSISの報告書も、「日本の米軍基地を使えなければ米国の戦闘機などは効果的に戦闘に参加できない」と警鐘を鳴らしている。
 在日米軍基地の重要性は、中国側も十分理解しており対策を進めている。中国軍が2004年にミサイル部隊、第二砲兵向けに作成した内部文書には次のような記載がある。
 「わが軍が台湾に進攻した際、敵国はわが国周辺の同盟国の基地や空母艦隊を使って介入してくるだろう。同盟国にある敵国基地を威嚇攻撃するのに通常型ミサイルは有用だ」
 ここでいう「敵国」とは米国、そして「同盟国」とは日本を指していることは明らかだ。台湾有事が緊迫化してきたら、中国軍は在日米軍基地を標的にミサイルを発射すると警告したり攻撃したりすることを念頭に置いていることが分かる。
 CSISのシミュレーションでも、ほとんどのシナリオで日本の米軍基地が破壊され、数万人の兵士を失う結果が出ている。シミュレーションでは、「日本が米軍による国内基地の使用を容認する」ことが前提条件となっている。
 だが、実際の有事で米軍が日本にある基地を使う際には、日米安全保障条約によって「日本政府と事前に協議する」ことが義務づけられている。
 つまり、台湾有事の行方のカギを握るのは、日本政府の判断なのだ。
 中国側は日本側にさまざまな揺さぶりをかけてくるだろう。中国国内の日本企業や従業員らに圧力をかけてくる可能性もある。こうした状況下で、日本の首相が米側に対して、「どうぞ基地をご自由に使ってください」と即答できるだろうか。
 一方、もし米軍に日本の基地を使わせなかったら、台湾はあっさりと中国に併合され、日米同盟も破綻しかねない。
 日本政府は、こうした「究極の選択」を迫られる状況に対処する準備ができているのだろうか。日本でも有事に備えた本格的なシミュレーションに着手すべきだろう。政府機能や空港、港などの重要インフラがミサイルなどの攻撃に破壊されにくくしたり、復旧しやすくしたりする工事のほか、地下化を進めるなど、やるべきことは山積している。
 今回のCSISのシミュレーション結果を受け、「台湾をめぐる米中戦争に巻き込まれるな」と主張する一部の専門家やメディアの論調がある。だが、「台湾有事」は米中や中台の間だけで起きるわけではないことが改めて裏付けられた。
 日本こそが最前線の当事者なのだ。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、青山学院大学客員教授・峯村健司)
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 2月26日 MicrosoftStartニュース 毎日新聞「沖縄へのミサイル配備や自衛隊増強 那覇で反対のデモ行進
 政府が台湾有事などを念頭に進める南西諸島での自衛隊の増強やミサイル配備などに反対する緊急集会が26日、那覇市内であり、約1600人(主催者発表)が集まった。参加者からは「丁寧な対話で隣国との緊張を緩和してほしい」などの声が上がった。
 南西諸島への自衛隊増強やミサイル配備などへの反対を訴えデモ行進する人たち=那覇市で2023年2月26日午後3時57分、喜屋武真之介撮影
 © 毎日新聞 提供
 沖縄では与那国島宮古島に続き、3月には石垣島で初めてとなる自衛隊の駐屯地が開設される予定。米軍との共同演習も活発化する中で軍事衝突への緊張感が増しており、島ではミサイル攻撃を受けた際に逃げ込むシェルターの整備や、島外への避難計画の策定を求める声が高まっている。
 集会では、実行委員長で戦没者の遺骨収集に長年取り組む具志堅隆松さん(69)が「沖縄の人たちに考える暇を与えないぐらいのスピードで軍事化が進んでいる。私たちが選択すべきはシェルターや避難ではなく、沖縄を戦場にさせないことだ」と訴えた。駐屯地にミサイル部隊がある宮古島で配備などに反対してきた「ミサイル・弾薬庫配備反対! 住民の会」の下地博盛・共同代表は「駐屯地は民家と接するような場所にあり、弾薬庫も集落から近い。何かあったときには生き残れない」と危機感をあらわにした。
 参加者は集会後、「島々を戦場にするな!」「もう基地はいらない」などのメッセージを掲げ、那覇市内をデモ行進した。【喜屋武真之介】
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 2月3日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「中国・習近平がたくらむ台湾侵攻「恐ろしいシナリオ」で、日本経済は「大打撃」を受ける
 中国による「ノルマンディ上陸作戦
 中国の台湾侵攻をめぐって、米国のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のシミュレーションが話題になった。だが、実は、まったく別のシナリオもある。海上封鎖とサイバー攻撃の組み合わせで、台湾を屈服させる作戦だ。こちらの方が、現実的かもしれない。
 【画像】中国で、まさか「長江が干上がった」…!
 私は1月13日公開コラムで、CSISの台湾侵攻シミュレーションを紹介した。一言で言えば、第2次世界大戦での米国のノルマンディ上陸作戦を彷彿とさせるシナリオだった。
 それによれば、中国人民解放軍は大量の上陸揚陸艦や民間船などを使って、台湾への上陸を目指し、妨害する米軍の艦船を陸海空からミサイルで撃沈し、大規模戦闘を繰り広げる。その結果、米空母は2隻が撃沈されるが、中国側も大損害を被って、結局、米軍の支援なしに台湾だけが孤軍奮闘するケースを除いて「侵攻は成功しない」という結果になっている。
 だが、実は、これ以外にも、さまざまなシナリオがある。CSISのシミュレーションはあえて、ノルマンディ型以外のシナリオを検討しなかったが、それは自ら記しているように「このプロジェクトは中国の軍事侵攻の可能性を評価する」ことが目的だったからだ。
 米軍の空母が2隻も撃沈されれば、それだけで1万人近い死傷者が出かねない。そんな犠牲が事前に予想されても、米国が中国と直接、戦火を交えるだろうか。私は疑問だ。一方、中国側も米軍との直接対決を覚悟してでも、軍事侵攻に踏み切るかどうか。
 昨年9月23日公開コラムで指摘したが、私は「ウクライナ戦争の結末と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の運命を見極めるまで、中国は動かない」とみている。なぜなら、戦争に敗北し、プーチン氏が失脚した後のロシアは民主化に動いて、親米に舵を切る可能性もあるからだ。
 そうなったら、中国は米欧日にロシアも加わった対中包囲網に直面する事態になってしまう。
 ノルマンディ型侵攻の軍事的失敗リスクに加えて、こうした外交的リスクも考えると、習近平総書記(国家主席)が、よりソフトな台湾奪取シナリオを選ぶケースは十分、ありうるのではないか。それが、台湾に対する「海上封鎖とサイバー攻撃」のミックス・シナリオだ。
 もう一つの「侵攻シナリオ」
 昨年8月に訪台したナンシー・ペロシ前下院議長[Photo by gettyimages]
 米メディア、グリッドは1月27日、中国が海上封鎖によって、双方に大量の死傷者を生じることなく、台湾を奪取するシナリオを紹介した。筆者のジョシュア・キーティング氏は安全保障問題を専門にするベテラン記者だ。
 それによれば、中国は潜水艦を含む大量の艦船と航空機を動員して、海と空から台湾を封鎖する。それによって、台湾は軍事物資はもちろん、輸入の9割を占める食料と原油を調達する道を閉ざされ、「1人の兵士を島に送ることもなく」主権をめぐって、中国側との交渉を迫られる、という展開になっている。
 米欧の軍事専門家の間では、台湾とロシアに侵攻されたウクライナとの最大の違いは「台湾にポーランドはない」という認識で一致している。つまり、台湾には頼りになる友好国が近くにないのだ。日本は台湾に友好的だが、海上封鎖している中国軍との戦闘を覚悟してでも、断固として支援するとは、言い切れない。
 結局、米軍が戦闘覚悟で封鎖を突破しない限り、台湾は中国との交渉で「事実上の敗北=主権放棄」を迫られる、という厳しい立場に立たされてしまう。
 以上のような海上封鎖シナリオは、これまでも指摘されてきた。
 たとえば、昨年8月25日付のニューヨーク・タイムズは「いかに中国は台湾の首を締めるか」という大型解説記事で、海上封鎖シナリオを紹介した。それによれば、台湾は人口と産業、港が中国に近い西側に集中しており、中国軍はいざとなれば、主要な港に軍艦を送るだけで封鎖が可能になる。
 実際、ナンシー・ペロシ下院議長(当時)が昨年8月、台湾を訪問した後、中国は日本の排他的経済水域(EEZ)を含む台湾周辺の5カ所の海上にミサイルを撃ち込み、空には戦闘機を飛ばした。これは、海上封鎖シナリオを強くうかがわせる軍事演習だった。
 このとき、中国は同時に初歩的なサイバー攻撃も敢行した。
 高雄の新津営駅に設置された大型の電子掲示板がハッキングされたのである。ディスプレイには「魔女(ペロシ氏を指す)の卑劣な台湾訪問は、祖国の主権に対する深刻な挑戦だ」という文字が浮かび上がった。本物の戦闘になれば、この程度では、とてもすまないだろう。
 それ以上に懸念されているのは、中国と台湾を結ぶ海底ケーブルを切断される事態である。島国の台湾は世界との通信の9割を海底ケーブルに依存している。これが切断されると、台湾が事実上、世界から孤立するだけでなく、相互接続されている日本や韓国にも大きな影響が及ぶ。
 ウクライナ戦争では、ロシアがウクライナ穀物輸出を阻止して大問題になったが、台湾の場合は半導体が焦点になる。いまやスマートフォンや自動車など、あらゆる製品に台湾製半導体チップが使われている。中国が台湾を封鎖すれば、たちまち世界中の半導体供給がストップしかねないのだ。
 グリッドの記事は「第1週から混乱が始まり、4週から8週目までには、あらゆる種類の製品に実質的な混乱が広がるだろう」という専門家の声を紹介している。
持久戦になる可能性も…
 岸田文雄首相[Photo by gettyimages]
 もちろん、海上封鎖シナリオでも米中が激突する可能性はある。米軍艦船が封鎖を突破しようとした瞬間に銃撃戦、あるいはミサイル戦が始まるかもしれない。その場合、米軍を護衛している自衛隊が援護に回れば、自衛隊が戦闘に巻き込まれる可能性も十分にある。
 そうだとしても、ノルマンディ型上陸作戦に比べれば、大規模戦闘に発展する可能性は、ずっと低い。少なくとも、当初は米中台(日本も)のにらみ合いが続くのではないか。数週間、あるいは数カ月単位の持久戦になるかもしれない。
 その間に、中国はサイバー攻撃で台湾のインフラを破壊し、世界との通信を断つ。死傷者を出さずに、徐々に攻撃の強度を上げていき、台湾が音を上げるのを待つ作戦だ。
 台湾侵攻と言えば、ノルマンディ上陸のような大作戦を連想しがちだが、実は、以上のような持久戦で、中国は目的を達成できるかもしれない。日本はどうかといえば、こうした展開になった場合、自国領土が攻撃されるか、あるいは米軍が攻撃されなければ、動けない。
 自国領土も米軍も攻撃されず、結局、日米は事態を傍観するしか手がない状態に追い込まれるのだろうか。その場合でも、日本は事実上、中国に原油供給ルートを抑えられてしまう。そうなれば、台湾が奪取された場合と同じ形になる。
 そんななか、米NBCは1月28日、米空軍のマイク・ミニハン大将が「米国は2025年に台湾有事で中国と戦うことになる。準備を急げ」と指示した内部メモの存在を報じた。台湾有事は迫っている。日本はソフトな海上封鎖シナリオを含めて、対応策を検討すべきだ。
 長谷川 幸洋(ジャーナリスト)
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