🎷99:─2─参議院の存在価値が林外相にG20欠席を求めた。~No.409No.410 

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 1980年代から繰り返されている、日本の政治家の救いようのない薄っぺらな実像。
 野党とメディアは、安倍政権打倒として、緊急コロナ感染対策審議よりもモリ・カケ・サクラ追求審議を最優先事項とした。 
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 2023年3月3日17:23 TMicrosoftStartニュース FNNプライムオンライン「林芳正外相がG20に行かなかったことで日本が失ったもの
 © FNNプライムオンライン
 首相は「さまざまな」意見を聞くのが好き
 予算が衆院を通過し、水曜から参院の予算委で審議が始まったのだが、最も面白かったのは立憲民主党辻元清美氏が岸田文雄首相の口癖の「さまざまな」をイジッた場面だった。辻元氏は「さまざまな議論とか、さまざまな意見、と首相が言う時は大体ごまかす時」と述べて「さまざまな」を封印するよう求めた。
 だが岸田氏の答弁は「えーっと、さまざまな、失礼。さまざまって言っちゃいけなかった。ごめんなさい、はい、この10年間を見ても(中略)、さまざまな議論が起こり、あっ、えーと議論が行われてきました」と、ほとんど漫談のようであった。
 僕はこういうやり取りが嫌いではないのだが、「わざわざ国会でやることか」と怒る人もいるだろう。
 さて林芳正外相が水木の国会日程のためG20外相会合を欠席した。理由は「首相と全閣僚出席の基本的質疑は重要度が高い。外相から直接答えを聞きたい議員や国民も多い」(世耕弘茂・自民党参院幹事長)、「予算委のスタートで外相が存在しないのは考えがたい」(岡田克也立憲民主党幹事長)ということだった。
 53秒のためにG20欠席
 ただ、今国会のメインテーマは「子ども」と「防衛」なので、外交の質問って出るのかなあと半信半疑だった。水曜の審議では前述の「さまざまな」問題をはじめ、「これ国会で聞くことかな」という質問は結構あったが、林氏の答弁は7時間の審議中1回だけで53秒しかなかった。木曜も音喜多駿・日本維新の会政調会長が「なぜG20に行かないのか」と聞いた程度だった。
 結論から言うと林外相はG20に行っても国会の審議に全く問題はなかった。
 「G20に出席しても官僚が書いた紙を読み上げるだけだから副大臣でもいい」と言う人がいるのだが、そんなこと言うなら日米首脳会談だって同じだ。中には言い忘れたり、言う時間がなくなることもあり、事務方同士が紙を交換してお互いが言ったことにする。公式発言とはそういうものだ。
 ただ日米首脳会談でもG20でも、外交においては公式発言以外の「ふれあい」が大事なのだ。相手の選挙のこととか、地元とのこととか、ちょっとしたおしゃべりをきっかけに関係は構築される。ハグもすれば、ケンカすることもある。貸し借りもできるようになる。今回はあんた泣いてくれよ、とか。だから外交の場には必ず本人が行かなければいけない。行かないと国益を損なうのだ。
 言ってることとやってることが違う
 特に今年は日本がG7の議長国なので、5月のG7広島サミットから、9月のG20ニューデリーサミット、12月のASEAN東京特別サミットにつなげていくと岸田氏周辺は言っていたのに、言ってることとやってることが全く違う。
 日本は我々が考えている以上に世界の中の「大国」である。中国やロシアなど「民主的でない」国家も集まるG20には行って「存在」をアピールしなければいけない。
 開催地のインド政府は林氏の欠席について冷静なコメントを出しているが、インドの地元紙は「日本の信じられない決定」「日印関係に影を落とすかもしれない」などと警告している。つまりインド人は怒っているということだ。
 今回、野党が反対したから行けなかったというならまだわかるのだが、自民党があまり熱心に行かせようとはしなかった、というのはかなり深刻な話だと思う。もう一つ、首相のリーダーシップが見えなかったこともよくない。岸田氏が「いや、林さんには行ってもらいたい」とひとこと言えば済む問題ではないのか。
 安倍晋三元首相が唱えた「地球儀を俯瞰する外交」は、安倍政権で5年近く外相を務めた岸田氏との二人三脚によるものだったのに、このままではそれが壊れてしまうのではないか。
 岸田氏は音喜多氏の質問に対し欠席の理由を「国内での公務の日程、内容などを総合的に勘案した」と説明している。おそらく「さまざまな」意見を聞いて欠席にしたのだろうが、たまには「さまざまな」意見を聞くのはやめて、自ら決断しなければダメだと思う。
 【執筆:フジテレビ上席解説委員 平井文夫】
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3月4日 MicrosoftStartニュース 読売新聞「米欧・中露・議長国インド、三つどもえでG20外相会合せめぎ合い…無念の声明断念
 【ニューデリー=浅野友美、安田信介】インドで開かれた主要20か国・地域(G20)外相会合では共同声明の取りまとめへ、対立する米欧と中露、仲介役の議長国インドの三つどもえで最後までせめぎ合いが続いた。1年を超えたロシアのウクライナ侵略で分断が一層鮮明となった今回の会合を受け、インドでは、9月に控える首脳会議も悲観する声が出ている。
 (写真:読売新聞)
 © 読売新聞
 スブラマニヤム・ジャイシャンカル印外相は2日、閉幕後の記者会見で「昨年11月の首脳宣言後に世界で多くのことが起き、各国の立場の隔たりが大きくなった。我々は努力したが合意に達することはできなかった」と悔しさをにじませた。
 昨年11月にインドネシアで開かれたG20首脳会議では、共同文書を全会一致で採択。「ほとんどの国がウクライナでの戦争を強く非難した」とした上で「制裁には異なる意見があった」とも明記し、両論併記の「玉虫色」の文書だった。
 インドは今回の外相会合と2月の財務相中央銀行総裁会議で、ウクライナについて表現を据え置き、各国の合意を得ようとした。G20交渉筋によると、ロシアは侵略に言及しないよう強く主張。中国も同調した。ロシアは、西側諸国がウクライナへの武器支援を通じ、「特殊軍事作戦」を長引かせているとも非難した。
 これに対し、米国は「ロシアが非合法な戦争をやめない限り、ウクライナを支援し続ける」と迫った。
 事務方の交渉は2日の外相会合が行われている間も同時並行で続いた。閉幕間近になっても露中がウクライナを巡る部分で合意せず、インドは共同声明を断念し、議長総括を発表することにした。ウクライナに関する文言は掲載したが、「中国とロシアを除くメンバーが合意した」と付記した。
 ロシアが態度を硬化させた背景には、今年に入り、戦車などウクライナへの武器供与を一段と加速させる米欧への反発がある。中国は米国との対立が深まっている上、インドとは未画定の国境問題や海洋進出を巡って関係が悪化しており、ロシアと共同歩調を取った可能性がある。露中外相は2日の会談で、米欧に連携して対抗することを確認し、緊密さを印象づけた。
 インドは途上国・新興国を中心とする「グローバル・サウス」の代表として外交的発言力を高めようとしたが、逆に、昨年の議長国インドネシアが首脳宣言を取りまとめた努力が振り出しに戻った形だ。印調査研究機関「政策研究センター」のスシャント・シン上級研究員は今回の決裂は「インドにとって想定外」だったと指摘。「米欧と露中の亀裂はさらに深まっている。首脳会議に向け、インドにとっては多難な道になる」との見通しを示した。
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 3月4日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「林外相「G20欠席」の結果が「たった53秒」の国会答弁…参議院に「存在価値」はあるのか?
 週刊現代  
 3月2日にインドでG20外相会合が開催されたが、林芳正外務大臣参議院での予算案質疑を優先して欠席し、議論が巻き起こっている。驚くべきことに、野党だけでなく自民党参議院議員までもが質疑への出席を促したと報じられた。
 しかし実際の参院予算委員会での質疑で、林外相が答弁に立った時間はたったの53秒。主要国の外相が集まる会合よりも、参議院でのわずかな答弁を優先すべきなのだろうか?
 大昔には「良識の府」と呼ばれた参議院だが、その面影は今やどこにもない。当選するのは、元タレントや元スポーツ選手、元衆院議員に、業界団体や労働組合の出身者だらけ。まともな政治を期待していいのか。『週刊現代』2022年7月16日号より、あらためて「参議院不要論」を考えてみたい。
 55年体制が劣化のきっかけ
 第26回参議院選挙が終わった。当選者には6年間、国会議員の身分と特権が与えられる。
 国会議員に支払われる年間の歳費は約2200万円。これに加えて「調査研究広報滞在費」(旧・文書通信費)が月100万円、「立法事務費」が月65万円も支給され、国会議員は毎年4000万円以上の大金を手にする。さらに、新幹線のグリーン車は無料で乗り放題。都心の一等地にある議員宿舎には、相場の半額で住むこともできる。
 選挙が終わった今、改めて考えてみたい。参議院議員は、それら特権にふさわしい役割を果たしているのかどうか。
 「このクソ暑い中、選挙に立候補した人たちはご苦労様だったけど、今のままでは参議院に当選する価値はないね」
 こう話すのは、元自民党総務会長で元衆院議員の笹川堯氏だ。「永田町最後のフィクサー」の異名を持つ笹川氏が続ける。
 「参議院には6年という時間があるんだから、長期戦で政策論争をやればいい。毎日の生活に直結する議論は衆議院でやって、国の未来の話は参議院でする。6年間あるんだから、勉強して知識を身につけて、専門的な政策論争をするべきだ。そうすれば専門性を持った議員が必ず出てくる。しかし、現状では、知名度が高いけど、専門性のないタレント議員だらけ。
 決してタレント議員の能力が低いわけではないけど、タレントというのはテレビに出るのが仕事だから、面白おかしく話していればいいだけで、言動に責任感がない。そういうことではなく、本来、参院選には専門職の人が出るべきなんだ」
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 参議院終戦後の'47年に、衆議院とは異質な議員で構成される立法府として誕生した。
 衆議院事務局を経て、参議院議員を2期務めた平野貞夫氏が言う。
 「当初、GHQ連合国軍最高司令官総司令部)は一院制にする意向でした。戦前、貴族院が軍部と結びついて戦争を起こしたという懸念がGHQにはありましたから。
 しかし、日本側は二院制に固執した。そのため、GHQ参議院に対し、民主的な国家運営に寄与することを条件に、幅広く見識ある議員を選ぶため、選挙制度も全国区にしたのです」
 新たな参議院は、戦後10年間うまく機能したと言われる。'47年に行われた第1回参院選で当選した作家の山本有三が無所属議員を結集し、会派「緑風会」が誕生した。
 「元文部大臣の田中耕太郎や元外務大臣佐藤尚武らが参加し、『右にも偏せず左にも傾かない』という良識を示し、政府に対して是々非々の態度を貫いたのです」(平野氏)
 ところが、'55年に自由民主党日本社会党がそれぞれ合同すると風向きが変わっていく。自民党が政権を握り、社会党野党第一党として批判する「55年体制」が確立すると、参議院では急速に政党が幅を利かせるようになる。その結果、政党に所属しないと参院選に当選しづらくなった。
 参院議員は、各党を支援する団体に選挙を頼るようになり、自民党なら業界団体、社会党なら労働組合の代弁者が多数当選するようになった。
 さらに全国的な知名度を誇り、選挙に通りやすいタレント議員が数多く当選するようになる。
 「今回もタレント議員が話題になりましたが、自民党が初めて本格的にタレント選挙をやったのは、'74年の田中角栄内閣の時です。この時、宮田輝山口淑子山東昭子らが当選します。この選挙以降、与党の方針に反対しない参議院議員が増え、『衆議院カーボンコピー』という参議院のイメージが決定づけられました」(平野氏)
 後編『衆議院の「劣化コピー」の参議院が、「無用であり有害」と言われる残念な理由』では、時に無用、時に有害とも言われる参議院を切り盛りする「参院のドン」について、さらに詳しく検討しよう。
 「週刊現代」2022年7月16日号より
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 3月4日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「衆議院の「劣化コピー」の参議院が、「無用であり有害」と言われる残念な理由 本当に必要なのか?
 3月2日にインドでG20外相会合が開催されたが、林芳正外務大臣参議院での予算案質疑を優先して欠席し、議論が巻き起こっている。驚くべきことに、野党だけでなく自民党参議院議員までもが質疑への出席を促したと報じられた。
 しかし実際の参院予算委員会での質疑で、林外相が答弁に立った時間はたったの53秒。主要国の外相が集まる会合よりも、参議院でのわずかな答弁を優先すべきなのだろうか?
 大昔には「良識の府」と呼ばれた参議院だが、その面影は今やどこにもない。当選するのは、元タレントや元スポーツ選手、元衆院議員に、業界団体や労働組合の出身者だらけ。まともな政治を期待していいのか。
 前編『林外相「G20欠席」の結果が「たった53秒」の国会答弁…参議院に「存在価値」はあるのか?』に引き続き、『週刊現代』2022年7月16日号より、参議院の存在意義について考える。
 林芳正外務大臣[Photo by gettyimages]
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 「参院のドン」の横槍が入った
' 82年の鈴木善幸内閣の時に、それまでの全国区制を廃止し、拘束名簿式比例代表制が導入された。政党の得票数に応じて議席数が決定し、候補者名簿の順位に従って当選者が決まる仕組みとなった。これが参議院の弱体化につながったと政治ジャーナリストの後藤謙次氏は指摘する。
 「それまでの参議院はまだ『良識の府』と言われていたくらいで、各界の権威が国民を代表する立場で個人として議論していました。ところが、選挙制度が変わってからおかしくなった。執行部の権限で名簿の順位を決めることになり、与野党ともに参議院議員は執行部の顔色を窺わないとならなくなったのです」
 所属政党の言いなりになり、独自色を出せない参議院に不要論が巻き起こる。危機感を覚えた当時の参院議長は'99年に改革に向けた有識者懇談会を設立した。メンバーとして参加した評論家の大宅映子氏が振り返る。
 「1年間かけて学者やジャーナリストと議論をして、改革案を提案しました。政党が所属議員の投票行動を拘束する『党議拘束』の見直しや中長期的に政策を評価する委員会の設置、本会議では議員個人の専門や見識を生かした質疑を中心とすることなど、26項目を参議院に提出したのです。
 ところが、実現したのはわずか1項目のみ。改革したいという参議院の姿勢はポーズにすぎず、結局は何も変化を望まない体質だったのです」
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 この有識者懇談会に幹事として参加した政治行政アナリストの本田雅俊氏が内情を明かす。
 「当時、『参院のドン』として権勢を振るっていた村上正邦氏や、自民党参院幹事長だった青木幹雄氏から、何を勝手なことをやっているんだと横槍が入ったんです。彼らは当時の参議院の中で、議長以上の力を持っていました。改革されると自分たちの権威が傷つくと警戒したのか、断固抵抗してきた。結局、改革は何も進みませんでした」
 '00年、森喜朗内閣が非拘束名簿式比例代表制を採用し、参議院選挙制度はさらに改悪される。激しく反発する野党を振り切って、強行採決に踏み切った。
 「この頃の『参院のドン』は青木幹雄氏で、彼は名簿に載っている候補者同士を競わせようとしました。比例投票先に政党名だけでなく、候補者の個人名を書けるようにして、個人の得票順に当選するようにしたのです。
 その結果、業界団体や企業、後援会などの組織を持っている人ほど当選しやすくなった。それ以外だと知名度のあるタレントにますます頼るようになってしまった。結局、選挙制度が変わったことで、参議院は力を失っていったのです」(前出・後藤氏)
 無用であり、有害
 参議院の権威の失墜を決定的にしたのが、'05年の郵政国会だった。
 衆議院を通過した民営化法案を参議院が否決。小泉純一郎総理(当時)は衆議院解散に踏み切った。内幕を取材したジャーナリストの田原総一朗氏が言う。
 「森前総理が小泉総理に、郵政民営化参議院で否決されるから継続審議にしようと持ちかけたんです。ところが、小泉総理は絶対に採決すると突っぱねた。否決されたらどうするのかと尋ねると、衆議院を解散すると言い切ったんです。
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 それで森前総理が、僕のところに泣きついてきた。僕の番組に彼が出て、小泉総理をコテンパンに批判した。それでも、小泉総理は解散に踏み切った。結果はご存じのとおりです。小泉総理は巧みな劇場型選挙で圧勝を果たした。郵政選挙後の国会で、参議院は民営化賛成に回る。参議院が政府の方針に反対しても意味がないことが明らかになってしまったわけです」
 その後、'06年に小泉総理の後継となった安倍晋三総理は、郵政民営化に反対した造反議員を復党させ、支持率が急低下。数々のスキャンダルにも見舞われ、'07年の参院選で大敗を喫する。
 野党が参議院の過半を占め、衆参で第一党が異なる「ねじれ」が生じて国会が大混乱に陥ったことは記憶に新しい。
 〈第二院は何の役に立つのか。もしそれが第一院に一致するならば、無用であり、もしそれに反対するならば、有害である〉
 18世紀に起きたフランス革命の指導者の一人であるシェイエスは二院制の問題点をこう喝破したとされる。現代日本政党政治にも、この指摘は鋭く突き刺さる。参議院が「衆議院カーボンコピー」であれば、それは無用であり、衆参でねじれると政権はたちまち不安定になり、有害だ。
 フランス革命の指導者の一人であるシェイエス[Photo by gettyimages]
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 良識を取り戻せるのか
日本と政治制度は異なるが、上院と下院の二院制を取る米国でも、上院の存在が政治的混乱を引き起こしているという。米スタンフォード大学教授(政治学)のモリス・フィオリーナ氏が言う。
 「上院があることで国民の選択肢が増え、一見、民主主義を維持しているように見えますが、実際はそうではありません。皮肉なことですが、上院があることで非民主的になっていると言っても過言ではない。
 よく指摘される問題点は上院で認められている『フィリバスター』と呼ばれる『議事妨害』です。米上院では法案の採決を阻止するため、議事の進行を妨げることが認められています。民主党共和党の勢力が拮抗している現在の米上院では、民主党共和党によるフィリバスターの行使に対抗することができない。
 国家のためになるかもしれない法案であっても、共和党民主党の手柄にしたくない場合、廃案に追い込むことができる。これは非民主的な制度ではないでしょうか」
 日本でも同様のことが起こると、フィオリーナ氏は指摘する。
 「日本で『ねじれ』が生じて、参議院が見せしめのために法案を通させないとしたら、それも非民主的な行為です。ただ、現状は『ねじれ』が生じておらず、衆議院で可決されたものが、そのまま参議院で可決されているようですから、参議院の議論は形式だけのように見えます。そうであれば、参議院が存在する意味はあまりありません」
 党派を超えた良識でもって、衆議院で可決された予算や法案を修正し、時には否決する。場合によっては、政府の方針に真っ向から物申す。そうでなければ、年間約400億円ものコストをかけて参議院を維持する必要はない。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう提案する。
 「参議院選挙制度を改革することが必要です。選挙区はなくし、比例代表制だけで定員100名程度が選ばれるようにする。さらに参議院議員は政党に属さないといったルールを決める。参議院はどうあるべきかの理念をきちんと立て、政党主体でない選挙で選ばれるのが参議院議員であるべきです。そうして初めて、衆議院と異なる視点で予算や法案の審議ができるようになるでしょう」
 次の参院選は3年後。それまでに変わることができなければ、参議院はもういらない。
 「週刊現代」2022年7月16日号より
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