・ ・ ・
関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2024年9月16日 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「中国人スタッフ(48)に番組を乗っ取られる前代未聞の大失態…「22秒間の電波テロ」を招いたNHKの致命的な欠陥
南西側から見たNHK放送センター(写真=Syced/CC-Zero/Wikimedia Commons)
■突然、「尖閣諸島は中国の領土」と言い放つ
NHKのラジオ国際放送で、衝撃的な“電波テロ”が起きた。
【写真】中国語ニュース放送問題について謝罪するNHKの稲葉延雄会長=2024年09月10日
中国語のニュース番組で、ニュースを読んでいた外部スタッフの中国人が突然、「沖縄県の尖閣諸島は中国の領土」と発したのだ。日本政府の公的見解とは真逆の内容が、生放送中のニュース番組の中で公然と語られたのである。もちろん、原稿にはまったく書かれていない私見だった。前代未聞の事件勃発に、NHKは大混乱に陥った。
中国語での放送だけに事実関係の掌握に手間取り、公表した説明は二転三転。尖閣諸島の帰属をめぐるセンシティブな問題だけに、稲葉延雄会長はあちこちで「きわめて深刻な事態で、深くおわび申し上げる」と頭を下げまくった。
事態を収拾するため、当面、外国語ニュースの生放送は取り止め、すべて事前収録の録音放送にすることになり、既に一部導入しているAI音声の全面採用も急ぐことになった。過去にも同様の“電波テロ”が起きていた可能性を否定できず、膨大なチェック作業にもとりかかった。
9月10日には、「公共放送NHKの存在意義を揺るがす極めて深刻な事態」とする調査報告書を公表、国際放送の担当理事が責任をとって辞任、会長以下幹部役員4人は月額報酬の50%【1カ月分】を自主返納する事態に発展した。
だが、今回の“電波テロ”事件は、原因を探っていくと、国際放送をめぐるNHKの構造的な問題にたどりつくだけに、根は深い。国際放送の全面的な体制見直しのような抜本的改革をしない限り、同様の事件は再び起きかねない。
政治介入が強まることを危惧する声もあるだけに、小手先の弥縫(びほう)策にとどまらず、国際放送のあり方を考える契機にすべきではないだろうか。
■生放送のニュース番組で阻止できず
“電波テロ”事件は、8月19日午後、ラジオ国際放送・NHKワールドJAPANなどの生放送の中国語ニュース番組の中で起きた。
NHKによると、関連団体のNHKグローバルメディアサービス(Gメディア)と業務委託契約を結んでいる中国人の男性スタッフ(48歳)が、靖国神社の石柱に落書きがあった事件の日本語のニュース原稿を中国語に翻訳して読み上げた後、突如として22秒間にわたり、中国語で「釣魚島(尖閣諸島の中国名)と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します」、さらに英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」と、原稿にはない発言を続けたという。
また、靖国神社の落書き事件のニュースも、日本語の原稿にはない「『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた」という文言を勝手に加えて放送していた。
番組には、中国語がわかる日本人職員のデスクやGメディアのディレクターが立ち会っていたが、原稿とは違う内容に気づいたものの、突然のことで、発言を止めることも、放送を止めることもできなかったという。
放送終了後、当人は、デスクらと押し問答になったが、「日本の国家宣伝のために、これ以上個人がリスクを負うことができない」と語り、「僕は辞めます」と言って、早々にNHK放送センターを退出した。
■NHKの「最大級の汚点」になった
未曽有の重大事件に驚いたNHKは、直ちに事態の掌握にとりかかったが、担当者らは動転し、局内の情報共有はもとよりGメディアとの連携もスムーズにはいかなかった。
とりあえず、当日夜の総合テレビの「ニュースウオッチ9」で、「ラジオ国際放送で不適切な発言があった」と一報を報じたものの、全容は明らかにはしなかった。その後、22日と25日に、2度にわたって事実関係の追加訂正を発表するなど、数日間にわたって混乱ぶりを見せつけた。
想定外ともいえる突然の事件に、稲葉会長は、否でも応でも政府や国会、与野党の会合などを駆け回り、「NHKの国際番組基準に抵触するきわめて深刻な事態で、放送法で定められた担うべき責務を適切に果たせなかった。深くおわび申し上げる」と、ひたすら陳謝した。
林芳正官房長官は「遺憾だ。わが国の立場とは全く相いれない」と批判。松本剛明総務相からは「日本への正しい認識を培う国際放送を担う公共放送としての使命に反する」と厳しく責められ、国会議員からは「国益を損なう事案」と指弾され、まさにサンドバッグ状態となった。
視聴者には26日、総合テレビで5分間の特別番組を編成、事件の経緯を説明して謝罪、尖閣諸島問題や慰安婦問題について日本政府の見解をあらためて伝えた。
そして、9月10日、稲葉会長は記者会見し、21ページにおよぶ詳細な調査報告書を公表、「『放送の乗っ取り』とも言える事態で、慙愧(ざんき)に耐えない」と、苦悩に満ちた表情で謝罪した。
報告書では、「事前の兆候」があったにもかかわらず適切な対応をとらなかったことや、事後の対応についても緊張感が欠けていたことなど、組織運営上の問題点も明示された。
また、処分は、幹部役員にとどまらず、国際放送局長ら5人を減給などの懲戒。さらに、Gメディアの社長と専務も月額報酬の30%【1カ月分】を自主返納すると発表した。
翌11日には、総務省が注意の行政指導を行った。
NHK75年の歴史の中でも、最大級の汚点と受け止めている様子が伝わってくるようだった。
■20年以上中国語ニュースを担当、過去の検証はできず
事件が起きた背景には、17言語におよぶ国際放送はチェックが効きにくいという指摘がある。ほとんど視聴されていないという実情から、現場のモチベーションは上がりにくく、スタッフも少なくて複数の目でチェックする体制が整っているとは言い難い。
NHKを震撼とさせた当の中国人スタッフは、2002年から20年以上も中国語ニュースの翻訳とアナウンスに従事していたそうなので、現場では「おまかせ状態」になっていたのでないだろうか。
そうなると、今回の尖閣諸島発言だけでなく、過去にも不規則発言が続出していた可能性がある。ところが、中国語ラジオ放送の録音は過去3カ月分しか保存しておらず、93本については「問題なし」を確認したものの、それ以前に遡(さかのぼ)ろうとしても、事実上、検証不能なのだ。
動機は不明だが、当初はNHKと直接業務委託契約を結んでいたのに、2018年から関連団体のGメディアとの契約に切り替わり、給与などの待遇面で不満を募らせていたという。また、しばらく前から、中国政府の方針とは異なる内容を発信することへの不安なども口にしていたという。
Gメディアは、事件直後に当人との業務委託契約を解除。NHKは1100万円の損害賠償を求めて提訴し、刑事告訴する構えもとった。だが、当人は既に日本を出て中国に帰国したようなので、追及は難しいかもしれない。
■外部委託が増え、「電波テロ」のリスクが高まる
今回の事件は、中国語を理解できるスタッフがそばにいたからすぐに発覚したが、他の言語だったら、どうだっただろうか。
国際放送は、欧米の主要言語のほかに、アラビア語、ベンガル語、ビルマ語、ヒンディー語、ウルドゥー語、インドネシア語、ペルシャ語、スワヒリ語など多岐にわたっている。
NHKによると、英語のテレビ国際放送へ人的資源や予算をシフトしたため、ラジオ国際放送はNHKの職員が1人しかいない言語チームが大半となり、外部委託が増えて外部ディレクターへのニュース制作業務の委託が広がっているという。
視聴者が多くスタッフも充実している英語放送ならともかく、中国語放送となると十分に目が届かなくなることが立証された。まして他の言語の放送となると、現場の不安定な状況は想像を超えそうだ。
これまで日本語の原稿が正確に各言語に翻訳されて発信されてきたかというと、心もとなく感じるのは筆者だけではあるまい。
コスト削減のために、外部の民間業者への委託を増やせば、さまざまな思想をもつ人材や来歴不詳の外国人が登用されるリスクが高まることは覚悟しなければならない。
1人の外国人が、いともたやすくNHK全体を仰天させた“電波テロ”は、NHKの危機管理意識の低さと構造的な体制の問題に起因しているといえそうだ。
■受信料ではなく、税金が使われている
NHKの国際放送は、国の重要政策や見解などを海外に伝えるため、放送法で必須業務と定められている。同時に、総務相が指定する事項などを国際放送で行うよう「要請」できることも明記されてれいる。
このため、国際放送の番組づくりは、地上放送の総合テレビや衛星放送の番組づくりとは少し異なる。
NHKの国際番組基準は、国内番組基準とは別建てになっており、「わが国の重要な政策および国際問題に対する公的見解を正しく伝える」と規定、報道番組については「ニュースは、事実を客観的に取り扱い、真実を伝える」「解説・論調は、公正な批判と見解のもとに、わが国の立場を鮮明にする」と定めている。
国の要請に応じて行う放送の費用は国が負担することになっており、2024年度はラジオに9億6000万円、テレビに26億3000万円の計35億9000万円の交付金が税金から拠出されている。
受信料でまかなわれる国内向けの番組づくりとは、事情が異なるのだ。
もっとも、編集権はNHKにあり、NHKは「報道機関として、放送の自由と番組編集の自由を最優先に、自主的な編集のもとで国際放送を行っており、総務相の『要請』に対しては、その重みを受け止めて、趣旨・内容に応じて判断して放送する」と宣言している。
しかし、かつて菅義偉総務相が拉致問題を重点的に取り上げるよう命令したように、放送の自由や番組編集の自由が脅かされる懸念は常につきまとう。
■脅かされかねない「放送の自主自律」
ことほどさように、国際放送は、特異な位置づけにあるといえる。
NHKが公共放送の生命線とする「自主自律」を声高に叫んでも、“電波テロ”事件を機に、政治による介入が強まることを危ぶむ識者は少なくない。
NHKは、「放送ガイドライン」で「憲法で保障された表現の自由のもと、正確で公平・公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与する」「報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない」とうたっている。
それだけに、国家の利益を代弁するような宣伝媒体となったら「国営放送」そのもので、NHKは「公共放送」「公共メディア」の看板を下ろさなくてはならなくなる。
これまでに国際社会で築き上げてきた信頼は一挙に崩れてしまうだろう。
自民党の一部には、「国際放送をNHKから切り離し、国の直轄にすべき」という議論も出ている。NHKが言うことをきかないなら国営放送を作ってしまおうという話で、放送界全般に関わる重大事になりかねない。
■このままでは「電波テロ」が繰り返される
NHKは、再発防止に向けて、編集体制が強固な国内放送と連携を深めていくというが、基本的な体制や布陣が変わらない限り、大きな変革は望めそうにない。
一般の視聴者が見聞きすることは少ない国際放送だが、“電波テロ”事件を奇貨として、「国際放送はどうあるべきか」というそもそも論に立ち返って再構築するところからスタートしなければならないのではないだろうか。
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
水野 泰志(みずの・やすし)
メディア激動研究所 代表
1955年生まれ。名古屋市出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。中日新聞社に入社し、東京新聞(中日新聞社東京本社)で、政治部、経済部、編集委員を通じ、主に政治、メディア、情報通信を担当。2005年愛知万博で博覧会協会情報通信部門総編集長を務める。日本大学大学院新聞学研究科でウェブジャーナリズム論の講師。新聞、放送、ネットなどのメディアや、情報通信政策を幅広く研究している。著書に『「ニュース」は生き残るか』(早稲田大学メディア文化研究所編、共著)など。
■メディア激動研究所:https://www.mgins.jp/
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
・ ・ ・
中国共産党は、エセ保守やリベラル左派、過激派、反天皇反民族反日的日本人を利用して日本のメディアや教育に浸透し、媚中派や反米派・反安保派・反自衛隊派、護憲派の政治的エリートと進歩的インテリ達に味方を増やしている。
・ ・ ・
中国共産党は、結党以来、反天皇反日本が党是であり、正当の証でもあった。
ソ連・コミンテルン・国際的共産主義勢力の指示に従い、昭和天皇と皇族を惨殺すべく付け狙っていた日本人の共産主義者・無政府主義者テロリストを支援していた。
27年テーゼ、32年テーゼ。
・ ・ ・
2024年8月28日 YAHOO!JAPANニュース PRESIDENT Online「落書きするだけで簡単に「英雄」になれる…中国人が靖国神社で「愛国チャレンジ」という犯罪に手を染める理由
東京・九段下の靖国神社で、入り口にある石柱と台座に落書きされているのが見つかった。「トイレ」を意味する中国語に似た字やアルファベットが書かれていたという。ノンフィクションライターの西谷格さんは「訪日中国人による落書き事件はこれまでも繰り返し起きてきた。何の努力や才能も必要なく、成功すれば中国で『英雄』として迎え入れられる。中国人にとって最小のコストで巨大なリターンが得られる極めて『お得なチャレンジ』になってしまった」という――。
靖国神社の入り口にある石柱と台座に落書き中国SNSより
中国SNS上では賞賛の嵐
靖国神社が、再び落書きされてしまった。19日午前3時50分頃、境内の石柱に落書きがあるのを神社職員が見つけ、110番した。落書きには黒いフェルトペンが使われ、画像を見ると
「厠所(トイレ)」
「狗屎(犬のクソ)」
「軍国主義 去死(軍国主義は死ね)」
と中国の簡体字で書いてあるように読める。靖国神社では5月にも同じ石柱に赤い塗料で中国人の男2人に「toilet」と落書きされたばかり。5月の事件同様、今回も落書きをしたと見られる人物はすでに中国に向けて出国したという。
「愛国チャレンジ」とでも呼ぶべき犯罪行為だが、中国のSNS「微博(ウェイボー)」を見ると前回同様、落書き犯への賞賛の声で埋め尽くされている。
「勇気があって尊敬する!」
「素晴らしいと言わざるを得ない」
「まさに英雄」
といったストレートな誉め言葉がまず目に止まる。
「素晴らしい! またやろう」
「落書きは簡単に消せるから、今度はノミで彫刻してやろう」
「毎日1回、あるいは毎週1回落書きをして、常に清掃中の状態にしてやろう」
といったさらなる犯行を期待するものや、
「便所に便所って書いただけじゃねえか」
「落書きではなく、正しい名称に『訂正』しただけです」
「小日本よ、そんなにカリカリすんな。作品のオリジリティーを尊重していただきたい」
など、落書きなんて大した問題ではないとあざ笑うようなコメントも目立つ。
「自作自演では?」「過ぎたことは根に持つな」
このほか、日本が戦後70年談話などで語ったことを、逆手に取るようなものもあった。
「日本人には未来志向の関係を目指してほしい。落書きはもう過ぎたことなんだから、過去のことを根に持たないでくれ」
「民族間の恨みつらみを根に持たないでいただきたい。昨日の出来事によって今日の中国人を責め立ててはいけない」
戦後70年談話で安倍晋三首相(当時)は「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と語っている。起こった事象も時間的スケールもまったく異なるが、すでに時効が成立していると言いたいようだ。
このほか、
「これ、日本人が自作自演で落書きして、善良な中国人にその罪を着せようとしているんじゃないのか?」
という中国人は無関係との説を唱えるものもあった。
「なぜ靖国神社が落書きの対象となるのか、日本はよく考えなくてはいけない」
という意見も根強い。
中国政府は犯罪行為には知らぬふり
5月に落書き事件が起きたあと、中国外務省は記者会見で次のように語った。
「報道については承知している。靖国神社は対外的に侵略戦争を発動した日本軍国主義の精神的な象徴である。侵略の歴史について日本は直視と反省を行い、正しい態度と認識を忠実に守らなくてはならない。実際の行動によってアジアの隣国や国際社会の信頼を得ていかなくてはいけない」
靖国神社や日本政府への批判を長々と語ったあと、落書きについては付け足し程度にこう指摘した。
「外国にいる中国人においては現地の法律を守りながら、要求を理性的に表現するよう促していきたい」
落書きに関与したとみられる中国人については特定され警視庁公安部が指名手配している。実行犯の男については中国当局が中国国内で起きた別件で拘束したが、日本側に身柄を引き渡す可能性は低いだろう。
「靖国トイレ」という中傷は前からあった
中国語で「社(シャア)」と「厠(ツァア)」は韻を踏んでいるため、中国国内では以前から靖国神社を「靖国神厠(靖国トイレ)」と文字って批判する言説が広まっていた。
少なくとも、筆者が2014年に取材した時点では、中国各地の飲食店やショッピングセンターのトイレ入り口に「靖国神厠」と書かれた看板を掲げたものが確認できた。
トイレ入り口に「靖国神厠」と書かれた看板写真=筆者提供トイレ入り口に「靖国神社」と書かれた看板
中国政府はこれまで一貫して靖国神社への批判を続けており、中国国内では「靖国神社=悪の組織」といった図式が出来上がっている。これまで靖国神社をさんざん批判してきた以上、落書き犯を罰することは中国にはできないだろう。言い換えれば、靖国神社への落書きは中国政府としても黙認せざるを得ないし、中国世論では圧倒的な賞賛で迎えられる。
なぜこうした現象が起きるのか。近代以降、中国国内で連綿と続いてきた反日感情や90年代以降のいわゆる反日教育が背景にあるのは間違いないが、筆者にはそれだけが原因とも思えない。以下、思いつくままに列挙する。
低迷する中国経済への不満のはけ口に
来日中国人のレベルの低下
落書きをした中国人と見られる男がどのようなビザで来日したのかは不明だが、中国人による「爆買い」がブームとなった2014年頃から現在に至るまで、中国人に対する観光ビザの要件は、所得条件などの面で緩和の傾向が続いている。
日本が「観光立国」を掲げている以上やむを得ないのかもしれないが、入国しやすくなれば、それだけレベルの低い人間も入りやすくなる。日本への中国人留学生の質についても、基本的には低下傾向にあると言われている。日本の国力が低下していることとも、相関関係にあるのかもしれない。
中国経済の低迷
2021年に不動産開発大手の恒大集団の経営危機が表面化して以降、中国経済は低迷が続いている。今年の大卒内定率は5割を下回っており、就職難が常態化している。将来に対して絶望感を抱く若者が水面化で増えていると考えられ、そうした者たちがやぶれかぶれの行動を取ってもおかしくない。反社会的な行動はさまざまな選択肢があるが、そのなかで靖国神社への落書きはもっとも安全で満足度の高い行為と言える。
靖国神社写真=iStock.com/winhorse※写真はイメージです
何の努力もせずとも「英雄」になれる
迷惑系ユーチューバーによる再生数稼ぎ
5月の事件はこの要素が大きかったようだが、靖国神社に落書きをして帰国すれば、中国では一夜にして“英雄”になれる。何の努力も才能も必要とせず、わずかばかりの蛮勇を奮いさえすれば英雄となって莫大な再生数を稼げるのなら、やらない手はないだろう。
こうして考えると、靖国神社への落書きは最小のコストで巨大なリターンが得られる(かもしれない)極めてお得なチャレンジということになる。万が一日本国内で逮捕されても、器物損壊なら最高でも懲役3年。人生に絶望して自殺を考えていたような人間にとっては、どうということもないだろう。
かたや日本人は製薬会社の駐在員がよくわからない理由で1年以上拘束され続けているというのに、中国人による犯罪行為は結果的に無罪放免となっている。
「政治家の靖国参拝は軍国主義を想起」
8月15日には岸田文雄首相が靖国神社に玉串料を奉納したほか、3人の閣僚が参拝した。中国外務省は会見で、以下のように発言したばかりだった。
「79年前の今日、日本は『ポツダム宣言』を受諾し無条件降伏した。中国人は世界の人々とともに日本軍国主義の侵略者とファシズムを打ち負かした。正義が悪に勝利し、光は闇に勝利した。進歩主義が反動主義に打ち勝つという偉大な勝利だった。この歴史は国際社会において永遠に記憶される価値のあるものだ」
続いて、お決まりのフレーズで靖国神社を強く批判した。
「靖国神社は日本軍国主義が対外的に侵略戦争を発動した際の精神的な手段であり象徴であり、A級戦犯もまつられている。日本の一部の政治家が靖国神社について取っている行為は、日本が歴史問題について間違った態度を取っていることを改めて示している。中国は日本に対して厳粛に申し出を行い、厳正な立場を表明している」
中国人による落書きは今後も続くだろう
靖国神社のA級戦犯合祀ごうしについては、かつて昭和天皇も不快感を示しており、安倍晋三元首相も分祀できないか模索していたという。こうした背景を踏まえて考えると、中国側の主張にも一定の理があると筆者には感じられる。落書きは言語道断だが、「A級戦犯を合祀しないでくれ」という訴えは、それなりに理解できる。
とはいえ、ここまでこじれてしまった靖国問題は、そう簡単に解決できるとも思えない。仮にA級戦犯を分祀したとしても問題が完全解決するかどうかは定かではなく、靖国神社をめぐる日中間の応酬は今後も半永久的に続くことになりそうだ。
なお、靖国神社は「分祀は不可能」と主張しているが、宗教学的な知見を整理すれば、分祀の方法を模索することは可能なのではなかろうか。神道において「供養先の移転」や「墓じまい」ができるなら、分祀もできそうに思える。
ともあれ前提状況が変わらない以上、中国人による靖国神社への落書きは、今後も続く可能性が高いだろう。対策としては、監視カメラを増やしたり警備員を24時間体制で常駐させたりするぐらいしかないのかもしれない。
【関連記事】
なぜ中国人の「爆買い」は消滅したのか…経済をボロボロにした習近平指導部が手を出した"劇薬"の正体
だから中国は尖閣諸島に手を出せない…海上保安庁が「領海警備」「海難救助」以外にやっている知られざる仕事
中国がアメリカを抜いて「No.1」になる未来はない…「無敵の超大国」がいなくなった世界に迫る巨大リスク
廃墟タワマンが立ち並び経済苦境は深刻に…追い詰められた習近平政権が世界を敵に回す"禁じ手"とは
もはやテロ…「総勢50人の大家族が集まり病院で警察官と乱闘」世界2位の移民大国ドイツで起きていること
・ ・ ・