🕍2:─6・G─在日クルド人は「可愛そうな」迫害難民ではなく家族を連れた経済移民であった。~No.7 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本を多様性国家・共生社会に大改造しようとするリベラル左派は、外国人移民(主に中国人移民)の受け入れに賛成し、積極的に推進している。
 エセ保守は、人口激減回復策として日本の民族性を消滅させても「仕方がない」として外国人移民(主に中国人移民)とその家族の受け入れに舵を切っている。
 問題はクルド人らの移民ではなく、危機意識を持たず受け流している日本人である。
 現代日本人は、エセ保守系リベラル左派系メディアと教育によって洗脳され、その証拠がSNSにおける匿名批評で、人種差別主義者である右派の移民反対派も同じである。
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 天皇統治の古代日本は多民族国家として、雑多な民族による移住者・漂流者、移民・難民を受け入れていた。
 日本民族(日本土人)は、乱婚を繰り返して生まれた混血の雑種民族である。
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 現代の移民は、昔の帰化人ではなく、日本への忠誠心や愛国心を持たない渡来人である。
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 2024年10月15日 YAHOO!JAPANニュース デイリー新潮「川口市に集まるクルド人は本当に難民なのか? 「僕自身がクルド人だが、トルコで迫害はない」 クルド人
 トルコ語で「ルールを守れ!」と記してあるゴミ捨て場(他の写真を見る)
 「迫害された難民」なのか「治安を乱す存在」なのか
 迫害を受ける「受難の民」か、あるいは違法行為を繰り返す「不法滞在者」か。埼玉・川口市に集住するクルド人についての見方は巷間で相反している。この春、トルコで現地調査を行った難民問題の第一人者・滝澤三郎氏が、この問題の深層を詳らかにした。【前後編の前編】
 (取材・構成=ノンフィクション作家 西牟田靖
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 【写真を見る】「時速140キロ超で飲酒スマホ」「過積載のクルドカー」 川口市で問題となっているクルド人
 今、難民を巡る議論は世界でも日本でも、重要テーマの一つとなっています。
 世界を見れば、難民や避難民は急速に増え、「人権問題」から「政治問題」へと発展している。
 日本を見ても、入管法が昨年に改正され、大きな転換期を迎えている中で、埼玉県川口市でのクルド人集住問題がホットなテーマとなっています。
 一般メディアは、クルド人はトルコで迫害され、逃れてきた難民なのに、冷淡な入管がそれを認定しないとの報道がほとんど。
 他方で、ネットメディアなどは、たむろやナンパ、騒音、ゴミ出しトラブル、危険運転、大量の廃材を積んだ「クルドカー」など、地域のルールや法律の無視について取り上げ、治安を乱す存在だと報じています。
 クルド人
 時速140キロ超で飲酒スマホながら運転疑惑(Instagramより)(他の写真を見る)
 現実から乖離したものが多い一般メディアの報道
 私は埼玉大学東京都立大学大学院で学んだ後、法務省を経て国連ジュネーブ本部やUNRWA国連パレスチナ難民救済事業機関)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の財務局長や駐日代表の職を歴任するなど、一貫して難民問題に携わってきました。
 また、この3月にはトルコに赴き、現地でクルド人がどのような状況にあるのか、調査を行いました。
 そうした経験から見ると、今の一般メディアのクルド人に関する報道は、実態に基づかず、現実から乖離したものが多い。
 そこで、現在の難民を巡る世界と日本の状況を押さえ、その上で川口のクルド人問題にどのように向き合っていくべきかについて、私見を述べたいと思います。
先進国で相次いで起こる難民排斥運動
 UNHCRの調査によれば、現在、世界で移動を強いられた難民や避難民の数は約1億2000万人。日本の人口と同じくらいですから、莫大な数です。その数だけ悲劇がある。
 理由は、戦争や国内紛争の激化です。シリア、ミャンマーアフガニスタンウクライナガザ地区といった国や地域で、多数の難民や国内避難民が発生しています。
 シリア難民などは2015年以来、ドイツに110万人流入し、中南米諸国からアメリカへは数百万人の難民・移民が。アメリカ・メキシコの国境では、年間で250万人が不法入国を図って拘束されています。
 これほどの難民・避難民が流入するがゆえに、先進国では難民の排斥運動が相次いで起こっています。今年に入り、イギリスでは不法移民法が成立し、難民申請者のルワンダへの強制移送計画も持ち上がった。これは労働党が政権を取って中止しましたが、アメリカの大統領選でも移民問題が大きなテーマとなっているのは周知の通りです。
 クルド人
 モデルガンを持ち喫煙をする少年(Instagramより)(他の写真を見る)
 「難民鎖国」は終わった
 日本の状況はどうでしょうか。
 昨年、日本で難民申請した人の数は1万4000人。世界では360万人ですからごくわずかです。もともと日本は紛争地から遠く、日本語という障壁もあり、外国人のコミュニティーも少ないことから、申請者も少なく、また難民認定率も数年前まではごく低かった。そのため、メディアは「難民鎖国」などと非難していました。しかし、昨今の日本の状況が大きく変化していることはほとんど報じられていません。
 国軍によるクーデターが起きたミャンマーについて、在留するミャンマー人3万5000人の希望者に「特定活動」の在留資格を与え、タリバンによる権力掌握後にはアフガン人400人を日本に避難させ、350人以上を難民認定した。またウクライナからの避難民も2500人を受け入れ、内戦に苦しむスーダンについては、在留スーダン人200人のビザを延長しました。
 昨年の入管法改正により、従来の難民制度に加えて、補完的保護対象者(準難民)制度が創設されました。ウクライナ避難民の大半は補完的保護の対象になるでしょう。
 15年ほど前には年間50人前後だった難民受け入れ数が、今年は準難民も合わせれば1500人を超えると見られ、「難民鎖国」は終わったといえます。
 他方で、難民申請さえすれば強制送還が回避できるという「送還停止効」に歯止めがかけられました。難民救済の範囲を広げるとともに、難民制度の乱用を防ぐ体制になったわけです。
 クルドを巡る事情を現地で調査
 このような中で、川口のクルド人問題が話題となっています。
 彼らについては迫害や暴力の対象、犠牲者として捉える人々(犠牲者観)と、共同体の安全や価値への脅威をもたらす侵入者として捉える人々(侵入者観)が対立しています。互いに批判をし合い、分断が生まれています。
 この問題の解決のためには、川口に来るクルド人がどのような人々で、なぜ来日しているのかを押さえておくことが必須でしょう。
 UNHCRは、難民を「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するという理由で、自国にいると迫害を受ける恐れがある」人々としています。出入国在留管理庁は、「迫害」を「生命、身体又は自由の侵害又は抑圧及びその他の人権の重大な侵害」と定義していますが、果たして彼らは「迫害」されているのでしょうか。
 私は2021年4月からこの3月まで、国際的な動向を踏まえた日本の難民政策のあり方を考察する研究に取り組みました。
 その一環として昨年はポーランドアメリカを訪問。今年の3月10日から21日にはトルコを訪れ、現地調査を行いました。
 トルコ西部のイズミール、中部の首都アンカラ、2023年2月に大地震のあった南東部のガジアンテップとその周辺の街、東部のヴァンなどを訪れ、UNHCRやIOM(国際移住機関)などの国際機関、SGDD-ASAM(難民申請者・移民連帯協会)、INARA(支援、救済、援助のための国際的ネットワーク)、またケア・インターナショナルなどの国際的NGOを訪ね、クルドを巡る事情を聞きました。
 トルコにいる日本人の研究者や日本大使館職員にも聞き取りを行っています。
 現地の情勢を良く知り、英語で解説できる3人のクルド人には特に詳しく状況の説明を受けました。
 大学に進学するクルド人も少なくない
 クルド人
 たむろするクルド人(ジャーナリスト・石井孝明氏提供)(他の写真を見る)
 聞き取りや各種資料を総合すると、1980年代から90年代の“内戦”時代には、クルド人が差別、迫害されたという実態はあったようです。そのためクルド人の中には難民として外国に逃げる者もいた。その多くは欧米に流れ、ごく少数は日本にも来たようです。
 しかし、2003年、エルドアン政権の誕生をきっかけに状況は変わりました。EUへの加盟を望んでいた政権は、EU人権基準の遵守が求められるため、クルド人に対する法的な差別をなくした。クルド人は人口約8500万人のうち20%ほどを占めますが、クルド系の政党があり、クルド人の国会議員がいて、大臣も高級官僚もいます。エルドアン現大統領の夫人はクルド系。兵役義務も他の国民と同じ最低6カ月間です。義務教育の国語ではトルコ語のみが教えられ、クルド語は対象外ですが、他の少数言語も同様の扱いです。公立の学校は大学まで無料で、大学に進学するクルド人も少なくありません。クルド人が難民不認定となり帰国したからといって、逮捕されたり死刑になることはなく、そもそもトルコに死刑制度はない。
 アレヴィー派というクルドの中でも少数である民族については社会経済的な差別を受けることはあるようですが、これも迫害とまでいえるレベルではありません。
川口市に集まるクルド人は本当に難民なのか? 「僕自身がクルド人だが、トルコで迫害はない」 
 クルド人
 蕨駅前でナンパ防止で設置された囲い(他の写真を見る)
 「トルコ国内でクルド人が迫害されているという事実はない」
 ただし、非合法であるPKKクルド労働者党)や、「ギュレン運動」という宗教社会運動に関わっている人々は監視や嫌がらせの対象となり得ます。ギュレン運動の関係者は2016年にクーデター未遂事件を起こし、弾圧の対象となって欧米諸国に逃れました。欧米諸国で難民認定されたトルコ(クルド)人は7万人以上いますが、多くはギュレン運動関係者でしょう。
 ある国際機関の担当者はこう述べていました。
 「トルコ国内でクルド人が迫害されているという事実はない」
 大使館の担当者も、
 「今のエルドアン政権はクルド人を迫害したり法的に差別するということはありません。ただし反政府武装組織であるPKKの関係者、著名だったり批判的だったりするジャーナリスト、クルド系の政治家については注目している。それ以外の一般のクルド人については、関心を持っていません」
 日本のマスメディアが報じる「犠牲者観」に基づいたクルド人への見方とはだいぶ異なるのです。
 「僕自身がクルド人だが、迫害はない」
 クルド人
 蕨駅前でナンパ防止で設置された囲い(他の写真を見る)
 調査の中で、3人のクルド人と、シリアから逃れて来たクルド系難民にも話を聞きました。
 その中の一人、ガジアンテップのアメリカ系NGOで働いているアレヴィー派の男性は、「僕自身はクルド人だが、エルドアン政権が20年やってきたクルド人との和解政策を支持する。エルドアンが大統領になってからはクルド人への迫害はない」と述べていました。ただ一方で、「西部と東部で経済格差はある。東部のクルド人地帯はやはり開発が遅れている。アレヴィー派への差別もある」とも指摘していました。
 また、ヴァン市で観光通訳をやっているクルド人男性は政府に批判的。彼とはヴァンからイスタンブールまで一緒に飛行機で帰りましたが、混み合う待合室で搭乗を待っているとき、英語で声高に政府批判をしていました。私は「彼は大丈夫かな」と危惧したのですが、とがめられることもなかったのでそれは杞憂のようでした。さらに、もう一人のクルド人男性はもっと反政府的でした。彼の妹はPKKの構成員で今も東部の山の中で活動しているとのこと。本人もPKKシンパです。
 彼によれば、1990年代、まだ幼い頃に、夜中にトルコ兵が家に来て、家族がみな集められ、庭で2人の親戚が銃で撃ち殺された、と。それがトラウマになり、今でも強い反政府感情を持っているそうです。
 そんな彼は、私が訪れる数週間前にメッセージアプリのWhatsAppにPKKの旗を載せ、警察に呼びつけられたとのことです。
 しかし、そうした“嫌がらせ”を受けたものの、逮捕や処罰までされることはない。それどころか外国に自由に出入りし、韓国や日本にもビジネスで渡航したことがあるそうです。
 後編【川口市クルド人の来日目的は「就労と家族統合」 クルド人自身が「弟は難民じゃなくて移民」】では、クルド人の本当の来日目的と、日本人が彼らと共生するための道について詳しく報じている。
 クルド人
 クルド人は“国を持たない民族”(他の写真を見る)
 クルド人
 「クルドカー」の実態(他の写真を見る)
 滝澤三郎(たきざわさぶろう)
 東洋英和女学院大学名誉教授。1948年、長野県生まれ。東京都立大学大学院修了後、法務省に入省。以後、国連ジュネーブ本部やUNRWAなどに勤務し、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)では駐日代表等も務める。東洋英和女学院大学の教授を経て、現在は名誉教授。
 週刊新潮 2024年10月10日号掲載
 特別読物「彼らは可哀想な『難民』ではない 埼玉・川口市クルド人問題』の深層」より
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 10月15日 YAHOO!JAPANニュース デイリー新潮「川口市クルド人の来日目的は「就労と家族統合」 クルド人自身が「弟は難民じゃなくて移民」
 デイリー新潮
 「迫害や深刻な被害の現実的なリスクに相当するとはいえない」
トルコ語で「ルールを守れ!」と記してあるゴミ捨て場
 迫害を受ける「受難の民」か、あるいは違法行為を繰り返す「不法滞在者」か。埼玉・川口市に集住するクルド人についての見方は巷間で相反している。この春、トルコで現地調査を行った難民問題の第一人者・滝澤三郎氏が、この問題の深層を詳らかにした。【前後編の後編】
 【写真を見る】「時速140キロ超で飲酒スマホ」「過積載のクルドカー」 川口市で問題となっているクルド人
 (取材・構成=ノンフィクション作家 西牟田靖
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 前編【「僕自身がクルド人だが、トルコで迫害はない」 川口市に集まるクルド人は本当に難民なのか? 「マスメディアの報道は現実と乖離」】では、トルコ人への取材から、日本のマスメディアが報道している内容が実態に即していない問題について報じた。
 こうして実際のクルド人に話を聞いてみても、トルコではクルド人だからという特性だけで迫害されるといった主張は、事実に反し、根拠がないといえます。ちなみにトルコは350万人ものシリア難民を受け入れていますが、その大部分がクルド人なのです。
 差別はあるでしょうが、難民条約に抵触するような「迫害」には至らない例がほとんどであるといえます。
 実際、イギリスやオーストラリア、アメリカなど各国が出している「出身国情報」を見ても同じ趣旨のことが述べられています。これは難民認定の際、難民かどうかの判断の材料として用いられるもので、その国の外務省だけではなく、アムネスティHRWなどの人権団体の報告も含めた、極めて信頼性の高いもの。
 イギリス外務省のそれによるとこうあります。
 「一般的に言って、クルド人が直面するいかなる差別も、その性質や繰り返し、累積性を考慮したとしても、迫害や深刻な被害の現実的なリスクに相当するとはいえない」
 「クルド人がその民族性だけで国家から迫害の『根拠ある恐怖』を立証できる可能性は低い。クルド人という民族性にのみ基づく難民申請は、『明らかに根拠がない』と判断される可能性が高い」
 「弟は難民なんかじゃない。移民だ」
 では、なぜそうしたクルド人が日本まで来て、自身を「難民」と主張するのか。
 背景にはトルコの経済事情があります。トルコではここ最近、50%以上のインフレが毎年続いており、生活が苦しい上、昨年、南東部では大地震の被害がありました。そうした経済的困難の中で、既に外国にいる親族や知人を頼った移民が増えています。
 彼らは、かつては欧州諸国へ出る例が多かったのですが、最近は入国規制が厳しく、今はカナダを目指す例が多い。非合法移住を助ける密航業者のネットワークが張り巡らされており、密航業者は偽造文書も準備し、綿密な手配で目的国まで届けています。
 ちなみに、前編【「僕自身がクルド人だが、トルコで迫害はない」 川口市に集まるクルド人は本当に難民なのか? 「マスメディアの報道は現実と乖離」】に登場したアレヴィー派の男性の弟はそのような方法でカナダに渡り難民認定を受けました。男性は「弟は難民なんかじゃない。移民だ」と言っていました。
 就労と家族統合が主たる目的というのが実情
 日本に来る場合は、密航業者に頼る必要はありません。トルコと日本の間ではビザは不要です。トルコ人がビザなしで旅行できるのは49の国・地域。先進国では日本、韓国、シンガポール、香港のみ。日本では2017年までは難民申請をすれば合法的に自由に就労可能で、申請は何度も繰り返すことができ、その間は送還が例外なく禁止されていました。これを利用して入ってきた人の親族や知り合いが川口周辺に集住し、彼らを頼ってクルド人がさらに来日したのです。ちなみに、川口にいるクルド人のほとんどはガジアンテップ周辺の村の出身です。
 すなわち、川口市へのクルド人の来日は、就労と家族統合が主たる目的というのが実情といえるのです。
 本当に「迫害」されるならば帰国しないはず
 以上をまとめると、クルド人が帰国しても「迫害」されるような客観的状況はない。「クルド人」であるという理由で「迫害」されるとの言説は正しくない。彼らの多くは地震災害も含めた経済的困難から来日した経済移民とみていいでしょう。クルド人がほとんど難民認定されないことの理由はそこにあります。
 実際、昨年のトルコ人の日本での難民申請は2000人以上と急増しましたが、そのうち4分の1程度は帰国したといわれています。本当に「迫害」されるならば帰国しないでしょう。
 では、これらを踏まえて、対立を解消するためにはどのような道があるでしょうか。
 第一は、改正入管法を迅速かつ着実に運用することです。難民制度の誤用乱用を抑制し、仮放免中の外国人には自国に帰ってもらうことが必要です。最近になって、仮放免中のクルド人の自発的な帰国や送還も始まっているようですから、いずれはこの問題は収まると思われます。
 第二に、在日クルド人指導層は、若者たちが日本社会のルールを守るよう厳しく監督すべきです。法的には問題がなくても、ゴミ出しや大きな騒音などで地域住民に迷惑をかけるのを放置するなら、クルド人のイメージを悪化させ、外部からのヘイト集団の介入を許すことになるでしょう。
 第三に、支援団体は、難民認定や送還回避にエネルギーを使うのではなく、クルド人が社会的ルールを守り合法的な就労の機会を探すことに力を入れるべきだと思います。
深刻化する前に手を打たないと……
 日本の人手不足は深刻な問題で、解体業などで仮放免中のクルド人たちが働いている現実がある。彼らがいったん帰国し、新設の「育成就労制度」などを通して合法的に正面から入国し、日本語と仕事のスキルを学ぶのを支援するなら、互いにとってウイン・ウインとなり得ます。
 川口のクルド人問題がさらに深刻化する前に手を打たないと、移民や難民に関する日本社会の拒否反応が大きくなります。
 新聞やテレビなどのメディアは世論に対して大きな影響力を持ちます。「かわいそうなクルド人」だけでなく、地域住民の不安の声をしっかり聴くと共に、トルコ本国での取材も含め、バランスの取れた建設的な報道を行うべきです。
 それが川口市クルド人問題の解決と、外国人との「共生社会」への道の第一歩だと考えます。
 前編【「僕自身がクルド人だが、トルコで迫害はない」 川口市に集まるクルド人は本当に難民なのか? 「マスメディアの報道は現実と乖離」】では、トルコ人への取材から、日本のマスメディアが報道している内容が実態に即していない問題について報じている。
 滝澤三郎(たきざわさぶろう)
 東洋英和女学院大学名誉教授。1948年、長野県生まれ。東京都立大学大学院修了後、法務省に入省。以後、国連ジュネーブ本部やUNRWAなどに勤務し、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)では駐日代表等も務める。東洋英和女学院大学の教授を経て、現在は名誉教授。
 「週刊新潮」2024年10月10日号 掲載
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