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歴史的事実として、アメリカほど地政学はおろか歴史さえ理解できないバカな国はない。
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日本の再軍備の道を開いたのは、ソ連(ロシア人共産主義者)・中国共産党・北朝鮮などの国際的共産主義勢力であった。
歴史的事実として、日本における存亡の脅威という現実は江戸時代後期から変わる事はない。
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2023年3月29日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本と「アメリカ軍」の関係、じつは「あまりにいびつ」だった…世界で唯一の「ヤバすぎる現実」
矢部 宏治
日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。
*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。
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すべては朝鮮戦争から始まった
その詳しい経緯は、結局『密約の歴史』ではなく、『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』というタイトルで本に書きましたので、興味のある方は、ぜひ読んでいただければと思います。
この章では、そのなかでどうしてもみなさんにお伝えしなければならない重大な事実をふたつに絞って、お話ししたいと思います。
まずひとつめ。
それはこれまでずっと本書で取り上げてきた、日本の軍事面における極端な対米従属構造。また、世界でおそらくほかに韓国しか例のない、あまりに巨大で異常な駐留米軍のもつ法的特権。
ずっと「なぜ日本だけ、こんなにひどい状況なんだ」と思い続けてきたその原因が、指揮権密約の歴史をたどることで、はっきりわかったということです。
一言でいうと、その原因はすべて朝鮮戦争にあったということです。
朝鮮戦争というのは、日本でもアメリカでも「忘れられた戦争」といわれており、私自身、あまり具体的な印象がありません。しかし、じつはそれは、戦後世界の行方を決めた大戦争で、とくに「戦後日本」にとっては、まさに決定的といえるほど重要な意味を持つ戦争だったのです(朝鮮戦争は現在も休戦中で、法的にはまだ戦争は終わっていません)。
振り返ってみれば、日本の独立をちょうど真ん中にはさんだ前後三年(一九五〇〜五三年)のあいだ、アメリカはすぐとなりの朝鮮半島で激戦を繰り広げていたわけですから、それが安保条約や行政協定の内容に影響を与えていないはずがありません。
けれども私もなぜか、安保条約や行政協定の条文を読むときに、これまで朝鮮戦争のことを関連づけて読んだことはありませんでした。
しかし、もちろん当然のことながら、朝鮮戦争の戦況は、ひとつひとつの条文にも非常にダイレクトな影響を与えていたのです。
危機に陥った米軍
一九五〇年六月二五日に始まったこの戦争で、日本から出撃していった米軍(朝鮮国連軍)は当初、徹底的に負けるわけです。それはマッカーサーの判断ミスで、北朝鮮が南に攻めてくることなど絶対にないと考えていたため、敵を迎え撃つ準備がまったくできていなかったからでした。
そのため米軍は開戦からわずか一ヵ月余りで、朝鮮半島南端の釜山周辺の一角まで追いつめられてしまう。あやうく対馬海峡にたたき落とされそうな状況にまで陥ってしまったのです。
しかし、それでも米軍は負けなかった。それは対馬海峡の対岸にある日本から、どんどん武器や弾薬や兵士たちが送りこまれていたからで、「兵站が続けば戦争は負けない」という軍事上のセオリーの、まるで教科書のような戦況だったわけです。
そして有名なマッカーサーの仁川上陸作戦(九月一五日)もあって、一度、中国国境近くまで押し返したものの、中国軍が参戦したことでまた38度線あたりまで後退させられる。
米軍にとってそれは、「歴史上もっとも困難をきわめた戦争のひとつ」だったのです。
さまざまな戦争支援
そうした状況のなか、連合国軍という名のアメリカ陸軍に占領されていた日本は、さまざまなかたちでこの戦争への協力を求められることになりました。敗戦時にポツダム宣言を受け入れていた日本は、連合国軍最高司令官であるマッカーサーに対して、その要求を拒否する法的権利を持っていなかったからです。
そのため、朝鮮半島への上陸作戦で機雷を除去するための掃海艇の派遣や、米軍基地に配備するための警察予備隊(七万五〇〇〇人)の創設、さらには米兵や軍事物資の輸送、武器や車両の調達や補修など、まさに国をあげての戦争支援を行ったのです。
おかげで「朝鮮特需」といわれる巨額の経済的利益がもたらされ、まだ復興の途上にあった日本経済を大きく潤すことになりました。
そして、朝鮮戦争の開戦から七ヵ月後(一九五一年一月)に始まった、日本の独立に向けての日米交渉のなかで、日本は当時、朝鮮戦争に関して行っていた、そうしたさまざまな米軍への軍事支援を、「独立後も変わらず継続します」という条約を結ばされてしまうことになったのです。
それが一九五一年九月八日、平和条約や旧安保条約と同時に交わされた「吉田・アチソン交換公文」という名の条約です。でもおそらく読者のみなさんは、どなたもそのことをご存じないでしょう。もちろん当時の国民も、その取り決めが持つ本当の意味について、だれひとりわかっていませんでした。
解説 吉田・アチソン交換公文
このきわめて重大な取り決めは、サンフランシスコ平和条約や旧安保条約と同じ一九五一年九月八日に、アメリカのサンフランシスコ市で結ばれました。「交換公文」とは、政府の責任者間で書簡を往復させたという形をとった広義の条約のひとつです。
旧安保条約と同じく「吉田・アチソン交換公文」もまた、事前には日本国民にいっさいその内容が知らされない「事実上の密約」として結ばれたものでした(アチソンとは平和条約にも旧安保条約にもサインした、当時のアメリカの国務長官の名前です)。
というのも、日本の占領を終えるにあたって、米軍の駐留継続(旧安保条約)や、米軍への軍事支援の継続(吉田・アチソン交換公文)を交換条件とすることは、ポツダム宣言にも国連憲章にも違反する行為だったからです。そのため平和条約によって独立を回復した日本が、あくまで自由な意志に従ってそれらの取り決めを結ぶというフィクションが、アメリカ側の交渉責任者であるダレスによって作られていたのです。
ですから、サンフランシスコの豪華なオペラハウスで平和条約が結ばれた九月八日午前の時点では、まだそれらの文書は存在しないことになっていました。ところが実際には、もちろん条文は用意されていて、その日の午後五時からサンフランシスコ郊外の米軍基地内で、吉田首相ひとりの署名によってこの二つの取り決めが結ばれたわけです。
そもそも当初の日米交渉の段階で、アメリカ側から提案された「吉田・アチソン交換公文」の原文は、次のようなものでした。
「〔平和条約と旧安保条約が発効したときに〕もしもまだ国連が朝鮮で軍事行動を続けていた場合は、日本は、国連が朝鮮の国連軍を以前と同じ方法で、日本を通じて支援することを認める」(1951年2月9日)
詳しくは『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』を読んでいただきたいのですが、ここで最も重要なポイントは、右の傍点部分にある「朝鮮の国連軍」も、それを日本を通じて支援する「国連」も、その実態は米軍そのものだということです。
つまりは朝鮮戦争の開始以来、占領軍からの指示によって行っていた米軍への兵站活動(後方支援)を、独立後も変わらず続けるというのが、この「吉田・アチソン交換公文」の持つ本当の意味だったのです。
その後の日米交渉のなかで、この取り決めはさらに改悪され、「朝鮮」という地域的な限定も、「国連」という国際法上の限定も、ほとんどなくなってしまいました。
その結果、現在に至るまで日本は、米軍への戦争協力を条約で義務づけられた世界で唯一の国となっているのです。
さらに連載記事<なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」>では、コウモリや遺跡よりも日本人を軽視する在日米軍の実態について、詳しく解説します。
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🌪17¦─1─中国軍が進める沖縄封鎖作戦。海底ケーブル切断で島国が完全に孤立化の危機。~No.54No.55No.56
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中国共産党に忖度し中国軍に協力する日本の、媚中派、反自衛隊派、護憲派、反米派・反安保派、反戦平和市民活動家、反宗教無神論・反天皇反民族反日的日本人達。日本人のマルクス主義者や共産主義者達。
それは、リベラル派・革新派・保守派に関係ない。
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東アジアで戦争を起こそうとしているのは、日本ではなく、反日敵日の中国共産党やロシアである。
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2023年3月25日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「中国の「海底ケーブル切断」で「島国が完全に孤立化」の危機…!中国軍が進める「沖縄封鎖作戦」のヤバすぎる実態
多くの米軍、自衛隊が駐屯する沖縄は台湾統一を目指す中国にとっては目の上のたんこぶだ。しかし、彼らはすでに沖縄が抱える致命的弱点を見つけている。中国軍が密かに進める恐怖の作戦とは―。
「台湾統一」を見据えた中国の「怪しい動き」
「沖縄周辺に張りめぐらされた海底ケーブルが、安全保障上の盲点となっていることは否定できません。国民がインターネットに依存した生活を送っている中で、その日常が何者かの悪意により失われる可能性があることを、政府や自衛隊がこれまで考慮していなかった現状は見直されるべきです」(海底ケーブルの安全保障に詳しい慶應義塾大学大学院教授の土屋大洋氏)
日本列島の西の海域で異変が起きている。
2月2日、中国籍の漁船によって台湾本島と中国福建省に近い離島・馬祖列島を結ぶ海底ケーブルが切断された。その6日後、今度は中国籍の貨物船によって、別のケーブルが切られた。
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海底ケーブルは世界中に500本近く敷設されており、国際通信の約99%を担う。その処理速度は1秒間に約6時間分のハイビジョン映像を転送できるほどだ。とくに島国や離島は1~2本切れただけでも公共インフラに甚大な被害が出る。
実際、馬祖列島の住民は今なお、限られたインターネット環境のなかで不便を強いられ、簡単なメッセージを島外に送信するのに10分もかかるという。復旧は最短でも4月下旬になる予定だ。
中国当局は「うっかり切ってしまった。事故である」と弁明しているが、額面通りにその言葉を受け取るわけにはいかない。たしかに海底ケーブルが海流や地震などの自然現象で損傷することは珍しくない。
ただ、同じ海域で1週間に2度も断線が起きた事実を「単なる事故」で済ますのはあまりに不自然だ。
台湾の海底ケーブル切断は「対岸の火事」ではない
「うっかり海底ケーブルを切断したと主張している漁民の正体は、中国海警局の訓練を受けた民間工作員の可能性が高い。
3月13日に閉幕した全人代では習近平が国家主席として3期目に入り、中央集権体制が強化されました。特筆すべきは指導部内で、『福建閥』の台頭があったこと。台湾海峡に面する福建省の人材を重用する人事は、台湾侵攻を見据えたものです。さらに、福建省の省都である福州市の公安局が中国共産党の情報機関『統一戦線工作部』に吸収合併されたそうです。
これにより、福建省の漁民が諜報組織とともに高度な工作活動に従事できるようになった。『切断事故』は今後より巧妙に、そしてより頻繁に行われるようになるでしょう」(情報安全保障研究所首席研究員の山崎文明氏)
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海底ケーブルを切断する中国の目的がただの嫌がらせでないことは明白だ。英オックスフォード大学の研究員、エリザベス・ブラウ氏は一連の事件について、「台湾統一を見据えた情報封鎖の予行演習であるとも考えられる」と警鐘と鳴らす。
この台湾の海底ケーブル切断は、日本にとっても他人事ではない。'25年までに起こると予測される台湾有事。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が行った机上演習によれば、台湾防衛は「自衛隊の関与」「沖縄米軍基地の使用」が前提とされている。沖縄は台湾防衛の最重要拠点なのだ。
偶然の事故とは思えない「徳之島の切断」
逆に中国からしてみたら、統一作戦を遂行するにあたり、沖縄から日米戦力を排除すれば、圧倒的優位に台湾を制圧することが可能だ。それを現実にする手段―それが海底ケーブル切断による「沖縄封鎖作戦」である。
中国軍はすでに動き始めている。実は1月24日、海底ケーブルが断線したことにより、徳之島(鹿児島県)でネット接続、電子決済ができなくなるなど、大規模なインターネット障害が起きた。
海底ケーブルを所有するNTT西日本に原因を問い合わせたところ、広報部がこう答えた。
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「断線原因は現在も調査中です。テロ対策上の観点から回答が難しいものもございます」
中国軍による工作活動であったかどうかは不明だ。しかし、断線が起きた現場に着目すると、単なる偶然の事故とは言い難い事実が判明した。
そこは近年、中国漁船が侵入を何度も繰り返してきたトカラ列島沖だったのだ。もし、これが馬祖列島と同様に情報封鎖の予行演習だったならば、事態は我々が考えているより、かなり切迫している。
後編記事『中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…「たった6本の海底ケーブル」が切断されると「沖縄が完全に孤立化」「防衛手段がない」ことが判明…中国軍「沖縄封鎖作戦」がヤバすぎる』に続く。
「週刊現代」2023年3月25日号より
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3月25日 MicrosoftStartニュース 共同通信「台湾に大量の偽情報を拡散 中国「認知戦」で混乱狙い
2022年8月に台湾社会の混乱を狙って中国が仕掛けたとみられる「認知戦」の概要を、台湾のセキュリティー企業「TEAMT5」が25日までにまとめた。米国のペロシ下院議長の訪台に合わせたもので、「中国人民解放軍が台湾侵攻に備え福建省の海岸に集結した」といった大量の偽情報をツイッターなどに拡散させていた。
ツイッターに投稿された「中国人民解放軍が台湾侵攻に備え、福建省の海岸に集結した」という偽情報の写真(TEAMT5提供)
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TEAMT5の担当者は「偽情報は国民をパニックに陥れ、政権への信頼を失墜させることが目的だ」と分析している。
ペロシ氏が台湾に到着した22年8月2日、無数の自走砲が海岸に並ぶ写真がツイッターに投稿された。中国本土で使われる簡体字で「様子を見よう。何千年もの平和はこの動きにかかっている」との写真説明が付く。「戦わなければ、あなたが臆病者だと証明される」と台湾を挑発するかのような文言が続いた。TEAMT5が調べたところ、写真は北朝鮮による過去の軍事演習だった。
ユーチューブには「蔡英文政権がペロシ氏の訪台を手配するために米ロビー会社に金を払った」との偽情報を伝えるニュース番組を装った映像が投稿された。
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3月25日 中国が「100機の水中自爆用ドローンを製造」…たった6本の海底ケーブル切断で「沖縄が完全に孤立化」中国軍のヤバすぎる封鎖計画
週刊現代講談社
2025年までにおこるとされる台湾有事。もし台湾有事がおこれば日本も他人事ではない。そんな中、中国軍による海底ケーブル切断が始まっている。中国が目論む「沖縄封鎖作戦」とは......。
前編記事『【今年、台湾近海の馬祖列島で週に2度…鹿児島徳之島でも…】中国の「海底ケーブル切断」によって「島国は完全に孤立化」してしまう…!中国軍が進める「沖縄封鎖作戦」の恐ろしさ』に引き続き紹介する。
中国が狙う「沖縄の6つの海底ケーブル」
「大陸国の場合、海底ケーブルが断線しても代替の通信手段となる陸上ケーブルがあるので、被害は最小限に収まります。しかし、海底ケーブルのみで外界と繋がっている日本のような島国は絶海の孤島となり、国際社会から一時的に切り離されてしまいます」(軍事評論家の高部正樹氏)
沖縄には以下のように6つの商業用の海底ケーブルが通じている。
本誌より
(1)~(3)は本土に接続しており、携帯電話での通話やメール、電子決済など公共インフラの通信を担う。(4)~(6)は海外へと繋がるケーブルで金融取引や海外サイトなどへの接続を支えている。
とくに、米空軍基地があるグアムへと伸びる(5)や、NATO(北大西洋条約機構)主要国にまで接続している(6)は、まさに沖縄の生命線と言えよう。
地図には記されていないが、重要な海底ケーブルは他にもある。
広域レーダーで「米軍用ケーブル」の位置を探る
それが米軍の軍用ケーブルだ。
「軍用の海底ケーブルは機密性が高く、所在は一切明かされていません。中国は躍起になってこれらの場所を探していると推測されます。もし切断できれば、在日米軍の機能は著しく低下しますから」(前出・土屋氏)
沖縄封鎖作戦の準備段階として行われているのが、尖閣諸島沖にある領海や、日本の排他的経済水域へ侵入すること。その際に、沖縄の海底ケーブルのどのポイントを切れば効果的なのかを探っていると見られる。
そして、このような工作活動は、直近で3月15日にも中国船が領海へ侵入するなど、常態化している。
これも中国の狙いの一つだ。侵入が続けば「またか」と警戒心が緩む。そして、監視の目が弱まった好機を見計らい、中国漁船が錨や漁網で海底ケーブルを引っかけたり、掘削機で巻き込んだりして、一気に沖縄の海底ケーブルを切断してしまうのだ。
そして中国が断線を図ったとしても、残念ながら日本にはそれを防衛する手段がない。
「同じ島国の英国は海底ケーブルの脆弱性を問題視しており、監視、反撃能力も備えた『マルチロール海洋監視船』を3年かけて建造し、'24年に就役する予定です。しかし、現状、海上自衛隊は中国の不審船が現れても、哨戒機がスクランブル発進して、警告するのみ。そもそも、海底ケーブルを防衛する体制はないに等しい」(海上自衛隊関係者)
民間船が海底ケーブルの切断ポイントを探すのと同時に、軍用ケーブルの位置も探っている。海自関係者が続ける。
「近年、尖閣諸島沖やその接続水域への侵入を繰り返す中国漁船ですが、彼らは広域レーダーやソナーを備えています。『漁のためだ』と言い訳されれば、それまでですが、データは中国海軍に引き渡されているでしょう。それをもとに軍用ケーブルの位置が割り出されるリスクは否めません」
中国が開発した「ケーブル破壊用ドローン」
そして、いざ台湾侵攻が始まれば、その初期段階として無防備な沖縄の海底ケーブルが同時多発的に破壊されることになる。それを遂行するのが、中国が開発した海底ケーブル破壊用の自爆ドローン「NH-1」だ。
「'17年、国営中国航天科技集団が開発した無人海中ドローンで、全長3m、重量180kgに及びます。1台あたりの製造費は8000万円で、すでに100機製造されていると見られます。高感度センサーで海底ケーブルに接近、自爆することにより破壊します。最大深度や破壊能力を高めた後継機も開発済みです」(前出・山崎氏)
この段階まで来ても、日本の対応は後手に回ると予測される。海底ケーブル防護に詳しい大阪経済法科大学教授の矢野哲也氏が話す。
「トニー・ラダキン英国防参謀総長は英紙タイムズのインタビューにおいて『海底ケーブルを切断する敵国のいかなる試みも戦争行為と考えることができる』としています。一方で、日本政府は海底ケーブル防護に関するガイドラインを定めていないので、自衛隊が迅速に対応することは難しいと言わざるを得ません」
6本の商業用ケーブルが断線すればその瞬間、沖縄はパニックに陥る。本土との通信が遮断され、電話やインターネットを使うこともできなくなる。異常事態が起きていることは分かるが、ネットに接続することができないので、実際に何が起きているのか、客観的に知ることはできない。電子マネーやクレジットカードは使えないし、ATMも止まるから現金も下ろせない。
さらに、軍用ケーブルが切られれば、頼みの綱である米軍も機能不全に陥ってしまう。
「有事の際はリアルタイムで現地の情報を収集し、本国司令部を中心に作戦立案を行います。しかし、台湾や沖縄と通信が途絶され、何が起きているか分からないと対処のしようがありません。軍事衛星が代替手段として運用されますが、海底ケーブルに比べて速度はかなり落ちます。命令にタイムラグが生じ、指揮系統が一時的に混乱し、米軍は動けなくなる。その間に中国は瞬く間に台湾制圧を成し遂げるでしょう」(前出・高部氏)
海底ケーブルは「日本のアキレス腱」だ。このままだと、近い将来、日本は中国の台湾侵攻を、指をくわえて見ているだけになりかねない。
「週刊現代」2023年3月25日号より
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🎻38:─1─レーガンは同盟国日本に要求した「ヤバすぎる内容」。昭和56(1981)年~No.113
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2023年3月26日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「独立国のはずの「日本」に、アメリカが突然要求してきた「ヤバすぎる内容」 『日米同盟・最後のリスク』
布施 祐仁
いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。
米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。
しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。
それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。
このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。
一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。
これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。
情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。
*本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。
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今と似ている1980年代の大軍拡
1981年1月、アメリカではロナルド・レーガン政権が発足します。
「力による平和」を訴えて大統領に当選したレーガン氏は、増大するソ連の脅威に対抗する姿勢を鮮明にし、5年間で総額1兆5000億ドル(当時のレートで約330兆円)という大軍拡計画を打ち出します。
この直後の3月、伊藤宗一郎防衛庁長官が訪米し、ワインバーガー国防長官と会談します。
このとき、事前の根回しもなく米側から突然持ち出されたのが、「グアム以西、フィリピン以北の海域防衛を日本が担ってほしい」という話でした。
この2カ月後、今度は鈴木善幸首相が訪米し、ロナルド・レーガン大統領との首脳会談に臨みます。
会談で両首脳は、日本防衛と極東の平和と安定の維持のために、日米間で「適切な役割の分担」を行うことで合意。鈴木首相は、日本の領域内だけでなく周辺の海・空域でも自衛隊の能力を強化すると約束しました。
そして、会談終了後にワシントンのナショナル・プレス・クラブで行った会見で、より明確に、日本が約1000カイリ(約1850キロ)のシーレーン防衛を担うことを宣言したのです。
米ソの関係はソ連によるアフガニスタン侵攻(1979年12月)以降、一気に緊張に転じていました。
1980年1月、カーター大統領は、ソ連の中東地域への進出によって石油を始めとするアメリカの利益が深刻な脅威にさらされているとして、ソ連との戦争も辞さないと宣言します。
同じく1月に国防総省が議会に提出した「国防報告」も、かつてなくソ連の軍事的脅威を強調したものになりました。
「ソ連は15年前の大幅な劣勢から今日はアメリカと対等となり、アメリカが適切な対応をしなければ、ソ連が優位に立つ可能性がある」
こう警戒感をあらわにし、
「もはやソ連が世界中の数カ所で同時に作戦行動する可能性を排除できない」
と指摘。具体的なケースとして、欧州で大規模戦争が勃発し、さらに中東など別の地域でも紛争が発生する場合をあげ、大西洋ではソ連艦隊をグリーンランドからアイスランド、イギリスの線以北で食い止め、太平洋ではオホーツク海と日本海からのソ連艦隊の出口を封じることが戦争の行方を握ると強調しました。
翌年1月に発足したレーガン政権は、ソ連に対抗していく姿勢をより鮮明にしました。こうした中で、アメリカは同盟国にも“ソ連軍封じ込め”の役割を担うことを求めたのです。
アメリカが日本に求めた軍備増強計画は、独立国に対するものとは思えない、きわめて露骨なものでした
鈴木首相の「1000カイリ・シーレーン防衛発言」を受けて、アメリカは日本に対して露骨に軍備増強を求めてくるようになります。
その姿勢は、日米首脳会談の約1カ月後にハワイで行われた「日米安保事務レベル協議(SSC)」で早くも浮き彫りになります。
私は防衛省と外務省に情報公開請求を行い、この協議の議事録などの関連文書を入手しましたが、そこに記されていた内容は、あまりに衝撃的でした。
国防総省の高官たちは、日本の防衛力整備計画は不十分だとバッサリと切り捨て、具体的に日本が整備すべき航空機や艦艇の数まであげて軍備増強を急ぐよう日本政府に迫っていたのです。いくら同盟国とはいえ、独立した他の国の政府に対してここまで露骨に干渉するのかと驚きを禁じ得ませんでした。
この会合には、後に「ジャパン・ハンドラー」と評されることになるリチャード・アーミテージ氏も、まだ30代の若き国防次官補代理として参加していました。
この会合でアーミテージ氏は、今のままでは「自衛隊は日本の領土、領海、領海を防衛できない」と断定し、日本政府に次の2つの防衛力を早急に整備するよう求めました。
(1)「日本領土防衛のための効果的かつ持続性のある通常防衛力」
(2)「日本周辺海域ならびに北西太平洋1000マイル以内のシーレーンをバックファイアー及び原潜を含むソ連の脅威に対し効果的に防衛するのに十分な海空兵力」
アーミテージ氏の上司であるウエスト国防次官補も、日本政府が1976年に閣議決定した防衛力整備の基本計画(「防衛計画の大綱」)を、
「今や時代遅れと指摘しなければならない。あの計画は、貴国の安全に必要なものにはるかに及ばない」
と切り捨て、計画の上方修正を要求しました。
アメリカ側が具体的に求めた防衛力整備計画の上方修正は次の通りです。
(上がすでに日本政府が決定していた防衛力整備計画で、下がアメリカの要求した防衛力)
○対潜哨戒機(P3C) 45機 → 125機
○対潜水上艦艇(護衛艦) 60隻 → 70隻
○潜水艦 16隻 → 25隻
○要撃戦闘機部隊 10個 → 14個(F15戦闘機 100機→180機)
○支援戦闘機部隊 3個 → 6個
○輸送機部隊 3個 → 5個
○警戒飛行部隊 1個 → 2個(E2C早期警戒機 8機→16機)
アメリカ側は、これだけの大幅な軍備増強を「いま直ちに始めて、5年以内になさねばならない」(ウエスト国防次官補)と迫ったのでした。
先ほど、この協議の議事録を読んで衝撃を受けたと書きましたが、協議に参加した日本側の官僚たちも相当なショックを受けたようです。
外務省の日米安全保障課長だった丹波實氏は、協議に参加しての「所感」を次のように書き残しています。
独立国のはずの「日本」に、アメリカが突然要求してきた「ヤバすぎる内容」 『日米同盟・最後のリスク』
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「今回の会議は、レーガン政権が成立してから初めてのものであるが、3日間にわたってこの政権で安保・防衛問題を扱っている米側事務当局の考え方を聴取して、『これではどうしたらよいのか分からない』という印象を持って帰国した。安保・防衛問題についての米国の対日期待と日本の現実との間にはこれまで常にギャップが存在し続けてきたが、今回程このギャップを強く感じたことはなかった。レーガン政権の対ソ軍事力の認識の深刻さは想像以上である」
大幅な軍備増強に、なんとか応じようとした日本政府でしたが、アメリカの要求はさらにエスカレートしていきました
ハワイの日米協議でアメリカ側から出されたこの法外な要求は、ただちにマスコミにリークされ、「現実離れの巨額な要求」(「朝日新聞」)などと報じられました。
日本政府の中からも、さすがに反発の声が上がりました。園田直外務大臣は、アメリカの要求について、
「平屋建ての日本に十階建てを建てろというのでは相談にならない」
と強く反発し、大村襄治防衛庁長官も、
「防衛計画の大綱を上回る増強要求は断らざるをえない」
と拒否する考えを表明しました。
しかし、日本政府は実際には、アメリカの要求に最大限応える行動をとります。
鈴木善幸政権は1982年7月、防衛庁が策定した1983年度から1987年度までの防衛力整備計画「中期業務見積もり」(五六中業)を了承します。これにより、P3C対潜哨戒機の調達数を45機から75機に、F15戦闘機の調達数を100機から155機に上方修正したのです。
ところが、それでもアメリカは納得しませんでした。1982年8月下旬からハワイで開かれた「日米安保事務レベル協議(SSC)」で、アメリカ側は「五六中業」の水準ではまだ不十分だと批判したのです。
アーミテージ国防次官補代理は、上方修正された防衛力整備計画でも「継戦能力の観点から大きな懸念を有している」と指摘し、日本の防衛予算は「少なすぎる」と批判しました。
米軍統合参謀本部第五部長のビグレー氏は、
「日本の兵力レベルおよび継戦能力が十分なものであれば仮にソ連が日本を攻撃した場合でも日本の反撃によりソ連としては甚大な被害を受けることになるとソ連が考えることが重要である」とのべた上で、
「日本の現在の防衛力のレベルではシーレーン防衛能力は不十分であり、また五六中業完成時においてもなお欠点を有する」
としてさらなる上方修正に期待を表明しました。
中曽根首相はアメリカの軍備増強要求に全面的に応え、訪米時に「日本列島を不沈空母のようにする」とのべました
この期待に全面的に答えたのが、この年の11月に発足した中曽根康弘政権です。
翌年(1983年)一月に訪米した中曽根首相は、レーガン大統領との首脳会談で「日米両国は太平洋をはさむ運命共同体」と発言し、日米同盟を強化する姿勢を鮮明にします。
2017年に外務省が公開した会談の記録によると、中曽根首相は、
「(ソ連太平洋艦隊の太平洋への出口となる)四海峡を完全にコントロールし有事にソ連の潜水艦を日本海に閉じ込める」
「ソ連の(長距離爆撃機)バックファイアーの日本列島浸透を許さない」
と発言し、とくにシーレーン防衛を強化する考えをレーガン大統領に直接伝えます。
さらに首脳会談前に行われたワシントン・ポスト社主との朝食会では、「日本列島を不沈空母のようにする」という有名な発言を行い、防衛費を大きく増額する考えも表明。
「防衛費が対GNP比1%を来年にも超えよう。日本の国際的役割を考えればやらざるを得ず、国民に心の準備をしてもらう」
と、防衛費の「GNP(国民総生産)1%枠」を突破する決意を示しました。
「シーレーン防衛」の本当の意味は、「日本の海上輸送路の防衛」ではなく、米ソ間で戦争が勃発した際の「米軍艦船の防衛」だったのです
日本政府はシーレーン防衛の目的を、「あくまで我が国防衛のため」と国民に説明しました。つまり、日本が外国から武力攻撃を受けて戦争になった場合に、石油や食料などを輸送する海上交通路(ル:シーレーン)を防衛するという意味です。
アメリカで「1000カイリ・シーレーン防衛」を宣言してきた鈴木善幸首相は国会で、
「日本の船舶の安全航行を図る、こういう意味のことでございまして、よその国の艦船等を守るためではない、日本の船舶、これを守るための日本の自衛力である、こういうぐあいにご理解をいただきたい」(1981年5月29日、衆議院外務委員会)
と明言しました。
しかし、アメリカが日本に求めていたのは、実は米ソ戦争が勃発した場合の「米軍艦船の防衛」だったのです。
私が外務省に情報公開請求して入手した当時の内部文書(次ページ)には、アメリカが日本に求めたシーレーン防衛の意味が、「米軍艦船の防衛」であったことがはっきりと記されています。
ハワイで日米安保事務レベル協議(SSC)が開催される直前の一九八二年八月二三日に外務省の日米安全保障課長が作成した「シーレーン問題(新井参事官よりの連絡)」というタイトルの「極秘」文書に、次の記述がありました。文書には、防衛庁の参事官が「極秘の含みをもって」連絡してきたという内容が記されています。
〈SSC〔日米安保事務レベル協議〕において日米のシーレーン問題に対する認識のギャップを埋めるかどうかが防衛庁内部で大問題になっている。(中略)米海軍と海幕〔海上幕僚監部〕との間では「面」の防衛ということで認識の一致がある。米海軍は日本によるシーレーン防衛は実は第7艦隊の防衛だと内々裡に海幕に説明している〉
独立国のはずの「日本」に、アメリカが突然要求してきた「ヤバすぎる内容」 『日米同盟・最後のリスク』
© 現代ビジネス
「面の防衛」とは、海域防衛を意味します。特定の船舶を防衛するのではなく、ある海域全体の航行の安全を確保するのです。こうすれば結果的に、石油や食料を輸送する日本の民間船舶だけでなく、海域内の米軍艦船の防衛にも寄与することになります。アメリカ側の要求は、むしろ後者だったのです。
米国製兵器を大量購入させるのが目的だった?
シーレーン防衛に関する共同研究では、コンピューターに戦争のシナリオや敵味方の戦力などをインプットしてシミュレーションする「オペレーション・リサーチ」(作戦評価作業)も行われました。
1987年1月6日の「読売新聞」によると、シミュレーションの結果は「日米にとって惨めなものになった」といいます。
しかし、シミュレーションは米軍が開発したシステムで行われ、前提となるシナリオや敵味方の戦力などの条件設定もアメリカ側が主導して行いました。アメリカは、米軍が投入する戦力を少なく見積もったといいます。記事は「研究結果を通して、日本の防衛力増強を求めるアメリカの政策的意図が見え隠れしている」と記しています。
航空自衛隊の航空支援集団司令官を務めた山口利勝氏は、当時自衛隊のなかでは、アメリカが日本にシーレーン防衛を強く要求してきたのも日本の防衛力増強がねらいであったと考えられていたと証言しています。
「当時の評価としては、1000マイルのシーレーン防衛に関する日本の役割分担の要請と、また日米が合意したというのは、じつは米国は日本に対して、とくに『P‐3C』〔対潜哨戒機〕とイージス艦を導入させようということを強く要望していたということがひとつと、航空自衛隊は当時『F‐15』の導入を始めて整備をしていたのですが、当初計画は百機でありました。それを大幅に増加させようという米国の狙いがあったと言われていました」(防衛省防衛研究所『オーラル・ヒストリー 冷戦期の防衛力整備と同盟政策』)
日本に防衛力を増強させアメリカ製兵器を大量購入させるため、ソ連の脅威が意図的に誇張されたのでした。
さらに、連載記事<「宮古島や石垣島」が戦場になる…アメリカ軍がSNSから「あわてて削除」した「一枚の写真」の「ヤバすぎる内容」>では、米軍や自衛隊が沖縄を戦場にすることを想定していることを示す一枚の写真について、詳しく解説します。
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🎷97:─2─日本の国会議員の危機感のなさを嘆く「国民の命を救う気など無い事が解る」。~No.403No.404
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敗戦利得者のDNAを受け継いだ超エリート層と言われる高学歴の政治的エリートと進歩的インテリ達が、政治と教育とメディアを使って現代日本を動かしている。
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2023年3月26日 MicrosoftStartニュース 東スポWEB「世良公則 日本の国会議員の危機感のなさを嘆く「国民の命を救う気など無い事が解る」
ロックミュージシャンの世良公則(67)が26日、ツイッターを更新。多くの国会議員が危機感を持っていないことを嘆いた。
世良公則
© 東スポWEB
世良は岸田文雄首相が防衛大学の卒業式の訓示で「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と強い危機感を示したという記事を引用した上で「欧米の中国包囲網 中国の傘下に次々と収まる国々 世界が急速に動いている」と指摘。
続けて「こんな時日本の国会は空転 多くの国会議員に 国民の命を救う気など無い事が解る」と放送法上の政治的公平性に関する行政文書、いわゆる“小西文書”ばかりがクローズアップされている日本の国会の現状を嘆いた。
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3月25日 YAHOO!JAPANニュース 夕刊フジ「中国が目指す「製造業強国」真の狙い すでに石炭火力発電所は日本の20倍 問題はCO2ではない政治家よ、目覚めよ
【亡国のエコ】
岸田文雄政権は「GX実行計画」の法制化に熱心だ。連日国会でLGBTが議論されている裏では、GDPの3%の巨額に上る年間15兆円を投じて脱炭素を推進するという法案が、まともな審議もなく国会を通過するもようだ。
GXとは何かというと、「グリーントランスフォーメーション」のことだそうで、要はCO2削減、「脱炭素」のことである。次から次に意味の分かりにくいカタカナばかりが出てくる。
同法案では、日本は再エネ最優先ということで太陽光発電と風力発電を増やし、そのための送電線を建設し、作りすぎた電気は水素にして使う。こんなことをすれば、ますます光熱費は上がる一方だ。最近不祥事だらけの再エネ利権関係者は儲かるが、国民にとっては損ばかりだ。
「環境」という一見麗しい名目を掲げるだけで、かくも巨額の無駄遣いがノーマークで国会を通ってしまうのは嘆かわしい。
まだまだ使える火力発電所も、再エネを強引に導入するので出番がなくなる。特にCO2排出量の多い石炭火力発電所は目の敵にされている。
その一方で、中国では石炭火力発電所の建設ラッシュだ。
現状でも、中国の石炭火力発電所は、日本の20倍もある。そして、さらに日本全体の合計の6倍もの発電所が今後数年以内に建設される見込みだ。
より正確に言うと、現在の日本の石炭火力発電所は合計で5700万キロワットある。原子力発電所1基でだいたい100万キロワットだから、その57基分というわけだ。
これに対して、中国の石炭火力発電所は10億9300万キロワットもあるから、まさに日本の20倍だ。そして、当局の認可を得て、今後数年以内に営業開始する発電所が3億3000万キロワットもある。これは日本の合計の6倍だ。
この建設ラッシュは、世界的なエネルギー危機を受けたものだ。中国では、多くの石炭火力発電所が、ほんの数カ月で当局の建設認可を取得した。中国は表向き「温暖化対策」の看板を掲げているが、実態は安価な電力供給を最優先している。
翻って日本は、ただでさえ電気料金が高いのにも関わらず、CO2を減らすためとして、ダントツで安価に発電できるはずの石炭火力発電所を減らそうとしている。
だが、中国でこれだけ爆増しているときに、一体何の意味があるというのか。
中国は安価な電気で「中国製造」計画を進め、世界を量と質で圧倒する「製造業大国」「製造業強国」を目指している。そして、「軍民融合」政策の下で軍事転用し、仮想敵の日本を狙う。
片や、日本は電気代をますます高くして、産業を空洞化させ、自滅の道を歩む。問題はCO2ではなく中国だ。政治家よ、もう目覚めないと、国が危うい。 (キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志)
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3月26日15:18 産経新聞「「5年で防衛力緊急的強化」首相、防大卒業式で訓示
防衛大学校卒業式で、訓示する岸田文雄首相=26日午前10時20分、神奈川県横須賀市(代表撮影)
岸田文雄首相は26日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示し、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を盛り込んだ国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定に触れ、「今後5年間で防衛力を緊急的に強化し、わが国の抑止力、対処力を一層向上させていく。自衛官となる皆さんが早速取り掛かる大仕事だ」とエールを送った。
首相は、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの訪問にも触れ、「一刻も早く止めなければならない決意を新たにした」と強調した。先進7カ国(G7)議長国として「法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を示したい」と述べた。
また、中国を念頭に「急激な軍備増強や力による一方的な現状変更の試みが一層顕著となっている」とも指摘。「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と語り、防衛力強化の重要性を訴えた。
一方、近年相次ぐ自衛隊内のハラスメントについて「人の組織である自衛隊の根幹を揺るがすものだ。自衛隊の中核を担っていく皆さんは、改めてこの点を認識してほしい」と求めた。
本科の卒業生は留学生を除き446人(うち女性は45人)。任官辞退者は46人で昨年より26人減った。防衛大は今年度から、平成24年度以来10年ぶりに任官辞退者の卒業式出席も認め、46人全員が出席した。
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⛿34¦─3─台湾有事で自衛隊はアメリカ軍の指揮命令下に入る。日米指揮権密約と戦後レジーム。〜o.186
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戦前の軍国日本は、自主独立国として同盟国への集団的自衛権を発動し、国家として第一次世界大戦やシベリア出兵を決断して派兵し、国民を犠牲にして戦争を勝利に導き、平和貢献と人道貢献を行い、それらの歴史的貢献によって国際連盟常任理事国の一員となって、責任ある国際的地位を獲得していた。
日本陸軍は親ユダヤ・親ポーランド派として、自国民や同盟国民だけではなく敵国国民さえも助けていた。
そんな日本を警戒したのがアメリカ、中国、ソ連(ロシア人共産主義者)であった。
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2023年3月25日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「戦争が始まれば、自衛隊は「アメリカ軍の言いなり」で戦う…そのとき「日本だけ」がさらされる「圧倒的なリスク」
布施 祐仁
いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。
米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。
しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。
それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。
このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。
一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。
これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。
情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。
*本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。
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© 現代ビジネス
日米間で最後までもめたのは、米軍と自衛隊の間の「指揮権」の問題でした
1978年、日米両政府は初めて「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」を策定し、米軍と自衛隊の共同作戦計画の研究が公式にスタートします。
「日米防衛協力の指針」(ガイドライン)の策定過程で、日米間で最後までもめたのは「指揮権」の問題でした。
アメリカ側は、共同作戦を行う場合は米軍が指揮権を握ることを強く主張しました。それに対して日本側は、自衛隊が米軍の指揮下に入ることはできないと抵抗したのです。
指揮権に関する日米協議の内実については、当時、統合幕僚会議事務局の幕僚としてガイドラインの交渉を担当した石津節正氏が明らかにしています。
アメリカ側は当初、共同作戦の指揮は米軍がとるのが当然という姿勢で一歩も引かなかったといいます。
「だって、NATO(北大西洋条約機構)だってそうでしょう。例外はないんですよ。最初からスタートしたときから米側は共同作戦をやって、統合部隊をつくったときは『トップは米だ』という常識で動いているわけです。『それは待て』と、日本の実情をいろいろ話して(以下略)」(防衛省防衛研究所『オーラル・ヒストリー冷戦期の防衛力整備と同盟政策3』)
石津氏は、日米双方が受け入れられる「妥協案」がないか頭をひねります。そして、「指揮」という言葉と「統制」という言葉を区別するアイディアを思いつきます。
実際、石津氏の出身の航空自衛隊では、「指揮」と「統制」を区別して使っていました。
「統制」は、自らの指揮系統にない別の部隊をコントロールすることを意味します。たとえば、レーダーサイトで警戒管制団に所属する管制官が、別の指揮系統にある戦闘航空団所属のパイロットをあらかじめ定められた手順に従ってコントロールする場合は、「指揮」ではなく「統制」に当たります。このロジックを日米共同作戦にも適用できないかと考えたのです。
当初、外務省や内閣法制局から疑義が呈されたものの、結局石津氏のこのアイディアが採用され、防衛協力小委員会(SDC)に提案するガイドライン案に次のように書き込まれました。
〈自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下に、それぞれの指揮系統に従って行動する。自衛隊及び米軍は整合のとれた作戦を共同して効果的に実施することができるよう、必要な際に双方合意の下、いずれかが作戦上の事項を統制する権限を与えられる〉
アメリカもこの案を了承しましたが、ガイドラインの最終案をまとめる段階になって、外務省から文言の修正を求められたといいます。
「第8回SDC〔防衛協力小委員会〕に報告の数日前、『もうこれで終わった』と思っていたときに、丹波さん〔丹波實(ル:みのる)・日米安全保障条約課長〕から私のところに直接電話がかかってきました。外務省も外務省の立場から法律的な検討をされていたんでしょう、『他のところはクリアー出来るんだけど、統制という言葉がどうしても引っかかる。外務省としてあなたの言うことは分かるけれども、この言葉は法律的に消化できない。法律的にはどう説明しようとも命令、指揮権にもとづくものとしてしか通らないんだ。別の言い回しはないだろうか。内容的には私も賛成なので、異論を差し挟むつもりはない。ただ、表現の問題だ。国会対策上も、これでは非常に難しいことになるから』という調整でした」(同前)
これに対して石津氏は、「作戦上の事項を統制する権限を与えられる」という表現をぼかして、「あらかじめ調整された作戦運用上の手続きに従って行動する」と改める提案をします。すると、外務省の丹波氏はしばらく考え込んだのち、「わかりました。これでやってみましょう」と答えたといいます。
最終的に確定したガイドラインには、指揮権について次のように記されています。
〈自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下に、それぞれの指揮系統に従って行動する。自衛隊及び米軍は、整合のとれた作戦を共同して効果的に実施することができるよう、あらかじめ調整された作戦運用上の手続に従って行動する〉
結果的に「統制」という言葉は削除されましたが、それはあくまで表現上の問題でした。丹波氏が石津氏に語ったように、外務省も事実上、米軍が自衛隊の「指揮」のもとで戦うことについては賛同していたのです。
「戦争になったら、自衛隊は米軍の指揮下で戦う」という指揮権密約の存在を抜きに、「敵基地攻撃能力保有」のもつ危険性はわかりません
ちなみに、この指揮権問題の歴史は古く、旧安保条約の交渉が始まった1951年までさかのぼります。この交渉でアメリカが最初に提示した安保条約案には、有事の際、警察予備隊をはじめ軍事的能力を有する日本のすべての組織は米軍司令官の指揮下に置かれるという規定が入っていました。
〈日本国地域内で、敵対行為又は敵対行為の緊迫した危険が生じたときは、日本国地域にある全合衆国軍隊,警察予備隊及び軍事的能力を有する他のすべての日本国の組織は,日本国政府と協議の上合衆国政府によって指名される最高司令官の統一的指揮の下におかれる〉(1951年2月2日「相互の安全保障のための日米協力協定案」)
これについて日本側の交渉担当者は、
「国内において憲法と関連して重大問題をまきおこす懸念があり、協定には入れない方が賢明である」
と伝えたと外務省の記録には記されています。ただし、それは、
「日本にその意思がないということではなく、協定に明文化するのは賢明ではない」
という趣旨だったと記されています。結局アメリカは、この条項を強引に明文化すれば親米的な吉田茂内閣を窮地に陥れるおそれがあると判断し、日本の要求を受け入れて同条項の削除に同意しました。
しかし、その代わりに、明文化しない形での約束を要求しました。
旧安保条約の発効から約3カ月後の1952年7月23日、マーフィー駐日アメリカ大使やクラーク米極東軍司令官と会談した吉田茂首相は、有事の際の指揮権について日本政府との間に明確な了解が不可欠だと説明するクラーク司令官に対し、有事の際は単一の司令官が不可欠で、現状ではその司令官はアメリカが任命すべきである事に同意しました。吉田首相は、この合意が公になると日本国民に大きな衝撃を与えるので秘密にするよう求め、クラーク司令官とマーフィー大使もこれに同意しました。
吉田首相は1954年2月8日にも、会談を行ったアリソン駐日大使とハル極東軍司令官に対し同様の約束をしました。吉田首相はこのときも、合意は公表できないとくぎを刺しました。
これらが、いわゆる「指揮権密約」と呼ばれているものです。
政治的影響を考慮して明文化はしないけれども、内々には実質的にアメリカ側の指揮権を認めるというガイドライン策定時にとられた手法は、実は旧安保条約が締結された当初から始まっていたのです。
現在、日本政府は中距離ミサイルの開発に乗り出し、いわゆる「敵基地攻撃能力」の保有に踏み出そうとしています。アメリカも日本に米軍の中距離ミサイルを配備しようとしていますが、有事になれば、自衛隊の中距離ミサイルも事実上米軍の指揮下で運用されることになるでしょう。この指揮権密約の存在を抜きに、現在の「敵基地攻撃能力保有」の問題を議論しても、その危険性はまったくわからないのです。
外務省は日米の「指揮権密約」というきわめて重要な問題を、長年「言葉遊び」のような言い換えだけで、ごまかし続けてきました
「指揮権密約」の存在は、アメリカ政府が機密解除して公開した外交記録によって明らかになりました。この史料にもとづき野党議員が国会で政府を追及したことがあります。
それに対する政府の答弁は、
「ガイドラインの中でも明確に、日米の指揮権は別々であることが確認されているので、この問題については何ら日米間に誤解がない」
「指揮権の統合、単一の指揮権のもとに、あるいはアメリカの指揮権のもとに自衛隊が置かれることはまったく考えられていない」(1985年6月19日衆議院外務委員会、栗山尚一北米局長)
というものでした。
しかし概念上、指揮権は別々でも、「あらかじめ調整された作戦運用上の手続き」に従って自衛隊が米軍司令官の統制下で戦争をするという現実に変わりはないのです。
日本政府は1990年代から国連の平和維持活動(PKO)に自衛隊を派遣するようになりますが、そのときも指揮権の問題について、国連の「指図」は受けるが「指揮下」には入らないと説明しました。「指図」も「指揮」も英語にすると「コマンド」なので、国際的には何の意味もない国内向けのロジックでした。
こうした遊びのような言葉の言い換えだけで真実を覆い隠そうとする日本の外務省のやり方は、1970年代後半のガイドラインの作成時とまったく同じものでした。
さらに、連載記事<「宮古島や石垣島」が戦場になる…アメリカ軍がSNSから「あわてて削除」した「一枚の写真」の「ヤバすぎる内容」>では、米軍や自衛隊が沖縄を戦場にすることを想定していることを示す一枚の写真について、詳しく解説します。
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⛿34¦─2─アメリカと中国が戦争になったら圧倒的に死ぬのは日本人。〜No.185
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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
歴史の教訓として、米中対立で戦争に巻き込まれるのを嫌って中立を主張する日本人の護憲派・反米派・媚中派は、日清戦争や日露戦争で局外中立を宣言して高みの見物をきめこんだ朝鮮人の派日派・親中派・親露派に似ている。
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甘い認識しか持てない日本人には、世界の常識、歴史の事実など理解できず、将来、歴史の波に飲み込まれた滅びるしかない。
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もし、日本がアメリカを嫌って全体主義・専制主義・非人道国家の中国に味方すれば、アメリカ・イギリス・オーストラリアなど自由・民主主義諸国は非核国家日本を容赦なく攻撃する。
つまり、アメリカと中国の間に挟まれた日本には第三の道はなく、アメリカか中国共産党かの何れを選ぶかの二者択一しか存在しない。
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2023年3月24日 MicrosoftStartニュース 時事通信「台湾副総統「日本と軍事対話必要」=中国の軍事力拡大に
【台北時事】台湾の頼清徳副総統は24日、中国の軍事力拡大に触れ、「平和を守るため、将来的に台湾と日本は軍事対話メカニズムを構築する必要がある」と強調した。台北市で開かれた日台有識者による討論会のあいさつで述べた。
24日、台北市で開かれた日台有識者討論会であいさつする台湾の頼清徳副総統
© 時事通信 提供
頼氏は蔡英文総統の後任を選ぶ来年1月の総統選に、与党・民進党の公認候補として出馬することが事実上決まった。対中政策が争点となる総統選でも同様の主張を展開するとみられる。
頼氏は、自由と民主主義の価値観を共有する日台は、共に中国や北朝鮮など全体主義国家から直接脅かされている「運命共同体だ」と指摘。「台日が協力して初めて、戦争回避の重要な一歩を踏み出せる」と語り、防衛協力の重要性を訴えた。
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3月24日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「アメリカと中国が戦争になったら、じつは「圧倒的に死ぬ」のは「日本人」という「衝撃的すぎる事実」
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いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。
米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。
しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。
それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。
このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。
一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。
これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。
情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。*本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。
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【マンガ】『漫画版 知ってはいけないー隠された日本支配の構造ー』を無料で読む
沖縄・嘉手納基地から中国本土への核攻撃が計画されていた1958年の「第2次台湾海峡危機」
1958年8月23日夕刻、中国沿岸部に位置する台湾の金門島に対して、中国軍が猛烈な砲撃を開始しました。撃ち込まれた砲弾は、この日の数時間だけで6万発近くに達したといわれています。
当時、台湾はアメリカと相互防衛条約を結んでおり、台湾には米軍が駐留していました。米軍は、運用できる航空機の数や作戦に使用できる基地の数などから通常戦力だけでは中国に勝利することは困難だと判断。中国本土に対する核攻撃の必要性を強く主張しました。
「ペンタゴン・ペーパーズ」をマスコミにリークしたことで知られる元国防総省職員のダニエル・エルズバーグ氏が2017年に自身のホームページで暴露した1958年の台湾海峡危機に関する極秘報告書によると、米軍は第一段階として中国沿岸部の航空基地のいくつかを小型核兵器で攻撃することを考えていました。
米軍トップのネイサン・トワイニング統合参謀本部議長は、台湾海峡危機への対応を協議する会議で、
「中国の飛行場と砲台を小型核兵器で攻撃する必要がある。国防総省のすべての研究結果は、これが(中国に勝利するための)唯一の方法であることを示している」
と発言していました。
米軍が策定していた台湾有事の作戦計画「OPLAN25‐58」では、中国沿岸部の航空基地や砲台を小型核兵器で破壊しても中国が台湾への攻撃を止めない場合、中国の戦争遂行能力そのものを無力化するために、戦略核兵器で上海などの大都市を攻撃する計画でした。
しかし、それを実施した場合、ソ連が参戦し、台湾本島や米軍基地のある沖縄に対して核兵器による報復攻撃を行う可能性が高いと米軍は分析していました。これについてトワイニング統合参謀本部議長は、
「台湾の沿岸諸島の防衛をアメリカの国家政策とするならば、〔台湾本島や沖縄の米軍基地への核報復という〕結果は受け入れなければならない」
と主張しました。
結果的に、アイゼンハワー大統領が核兵器の使用を許可しなかったため、米軍が計画していた中国本土に対する先制核攻撃は行われませんでした。
中国の攻撃は金門島への砲撃に限定され、周辺に展開した米軍を攻撃してくることもなかったため、同島の奪取や台湾本島への侵攻を意図したものではないと思われました。アイゼンハワー大統領は、この事態に核攻撃は必要ないと判断したのです。
しかし、もしこのとき、米政府が中国政府の意図を読み違えていたら、核戦争にエスカレートしていたかもしれません。
1962年に米空軍が作成した「1958年台湾危機の航空作戦」というタイトルの報告書によると、米軍の作戦計画では、中国沿岸部の航空基地への最初の核攻撃は沖縄の嘉手納基地とフィリピンのクラーク基地から出撃することになっていました。
つまり現実に沖縄から核の先制攻撃が行われ、その結果、沖縄が核攻撃の報復を受ける可能性があったのです。
1958年の台湾海峡危機のとき、米軍は通常戦力で数的優位に立つ中国に勝利するためには核兵器を使用する以外の選択肢はないと判断していました。中国の庭先で戦争する以上、戦力の面で、また基地や兵站などの作戦インフラの面で、中国側に数的優位があるという状況は、現在も変わりません。
今後、台湾有事が発生し、米軍が通常兵器による戦争で劣勢になった場合、核兵器使用の誘惑にかられる可能性は否定できません。
実際、米紙「ワシントン・ポスト」が2006年に報じた台湾有事の作戦計画「OPLAN5077」では、台湾海峡での海上阻止作戦や中国本土の目標への攻撃などとともに、核兵器使用のオプションも含まれているといいます。
ベトナム戦争のとき沖縄の人びとは、核を積んだB52が墜落する恐怖におびえて暮らしていました
沖縄に配備されていた米軍の核兵器は、ベトナム戦争でも使用される可能性がありました。
当時沖縄には、前出の中距離ミサイル「メースB」以外にも、爆撃機から投下する核爆弾やりゅう弾砲で撃つ核砲弾、核地雷など20種類近くの核兵器が持ち込まれていたといいます。それらを、いざというときにはベトナムに移送して使う態勢を構築していたのです。
1968年2月には、米空軍の戦略爆撃機B52が嘉手納基地に配備され、連日、ベトナムへの空爆に出撃していきました。
配備直前の1月、グリーンランド沖上空を飛行中のB52が墜落し、搭載していた四発の核爆弾の起爆用爆薬が爆発し、核弾頭の放射性物質が広範囲に飛散する事故が起きていました。B52はその2年前にも、核爆弾を積んだままスペイン沖に墜落する事故を起こしていました。
そのため、沖縄の人々は核爆弾を積んだB52が沖縄に墜落する恐怖に怯えていました。
同年11月には、ベトナムに向かって嘉手納基地を出撃したB52が離陸直後に墜落する事故が発生しました。積んでいた爆弾が爆発し、爆風などにより近隣の民家など356棟が被害を受け、16人の住民が負傷しました。
嘉手納村議会が全会一致で採択した抗議決議は、
「もしB52が原水爆を積んでいたら沖縄県民の犠牲は想像を絶するものがあったであろう」
とのべ、B52と一切の軍事基地の即時撤去を要求しています。また、嘉手納基地近くの小学校に通う児童の一人は、作文に、
「すこしあやまれば、ひとばんにして沖縄全住民が、あの広島の原爆をうけたようなことになったのではないかと家族で話し合ったくらいです」
とその恐怖をつづりました(沖縄教職員会編『B52いますぐ出ていけ! ――核基地におびえる子どもらの訴え』)。
こうした中で、日本への復帰を求める運動も高揚していきます。当時の復帰運動のスローガンのひとつに、「核つき・基地自由使用返還に反対」というものがありました。沖縄への核兵器配備を継続し、基地の自由使用(出撃)も認めたままでの復帰には反対するという意味です。沖縄の人々は、日本への復帰によって核兵器が撤去され、基地の自由使用にもピリオドが打たれることを願っていたのです。
復帰を願う沖縄の人々の世論と運動が日米両政府を動かし、1972年5月15日、沖縄は日本への復帰を果たします。それに合わせて、中距離核ミサイル「メースB」を始め、沖縄に配備されていた核兵器はすべて撤去されたとされています。
米軍が中国を核攻撃したときに、報復の対象となるのは、アメリカ本土ではなく、日本の基地なのです!
「琉球新報」の新垣毅記者は、沖縄に再び米軍の中距離ミサイルを配備することは、沖縄を復帰前の時代に戻すことを意味すると言います。
「復帰前の沖縄では、住民の命や人権よりも米軍の運用が優先され、県民は核戦争の恐怖と隣り合わせの生活を強いられていました。県民が日本への復帰を望んだのは、平和憲法が沖縄にも適用されるようになれば、米軍の横暴や核戦争の恐怖から脱することができると期待したからです。しかし、復帰後も米軍基地は残り、不平等な日米地位協定の下で米軍の横暴も続きました。その上、中距離ミサイルまで新たに配備されたら、『私たちは一体何のために復帰したのか』という話になりかねないと思います」
もちろん、これは沖縄だけの問題ではありません。序章でのべたとおり、アメリカは北海道から沖縄・南西諸島まで、日本全土のなるべく多くの場所に中距離ミサイルを配備したいと考えています。中国が攻撃目標とする場所が多いほど、それだけ中国に負担を課すことになるので良い、というのがアメリカの軍事的合理性にもとづいた考え方なのです。
しかもすでにのべたとおり、それがアメリカの国家政策としての核攻撃であるならば、発射基地への核による報復は「受け入れなければならない」というのが、米軍部の基本方針です。そのとき報復の対象となるのは、アメリカ本土ではなく日本の基地なのです。
米中戦争で圧倒的に死ぬのは日本人
いま、アメリカは自らの世界覇権を脅かす存在になりつつある中国を封じ込める「防壁」として、日本を自らの世界戦略の中に位置づけようとしています。
そして日本の自民党政権は、アメリカと「一蓮托生」と言わんばかりに、自ら進んで「防壁」としての役割を果たそうとしています。
しかし、万が一にもアメリカと中国が戦争する事態となれば、「戦場」となるのは日本なのです。「一蓮托生」は「死ぬも生きるも一緒」という意味ですが、戦争になったときに圧倒的に死ぬのは日本人なのです。
はたして、日本の運命はアメリカに委ねるしかないのでしょうか。
さらに、連載記事<「宮古島や石垣島」が戦場になる…アメリカ軍がSNSから「あわてて削除」した「一枚の写真」の「ヤバすぎる内容」>では、米軍や自衛隊が沖縄を戦場にすることを想定していることを示す一枚の写真について、詳しく解説します。
布施 祐仁(ジャーナリスト)
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🎻16:─4─敗戦国日本が戦勝国アメリカに渡してしまった「ヤバすぎる特権」。〜No.60
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2023年3月21日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本が渡してしまった「ヤバすぎる特権」…なんとアメリカ軍にとって、日本は「国境が存在しない国」だった!
矢部 宏治
日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。
*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。
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研究の成果をひとことでまとめると
ここまで見てきた、「戦後日本」という国のあまりにもおかしな現実。約七年間、多くの研究者のみなさんといっしょに、その謎を解くための研究をつづけてきました。
いったいなぜ、日本はここまでおかしなことになっているのか。そしてその背後には、どのような歴史の闇が隠されているのか……。
この間に、私が書いたり企画編集した本を刊行順に並べると、次のようになります。
『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』(矢部宏治 書籍情報社)
『戦後史の正体』(孫崎享 創元社)
『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(前泊博盛編著 矢部宏治共著 創元社)
『検証・法治国家崩壊』(吉田敏浩・新原昭治・末浪靖司共著 創元社)
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治 集英社インターナショナル)
『戦争をしない国 明仁天皇メッセージ』(矢部宏治 小学館)
『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(矢部宏治 集英社インターナショナル)
『「日米合同委員会」の研究』(吉田敏浩 創元社)
これら八冊のすべてのエッセンスを凝縮させるかたちで、いまこの本を書いているのですが、もし誰かに、
「それらの研究の成果をひとことでまとめると、どうなりますか」
と聞かれたら、私は次のように答えます。
「旧安保条約の第1条を読んでください。そこにすべてが書かれています」
「条文」を読むおもしろさ
条文というのは読みなれていないと、かなりとっつきにくく、文中にひとつ入っているだけでも、
「うわっ、ちょっと読む気がしないな」
と思ってしまう方が多いかもしれません。
しかし、少し読み慣れてくると、それはとてもおもしろいものです。
その魅力はなんといっても、たったひとつの条文だけで、ものすごく大きな現象をスパッと明快に説明できてしまうところにあります。
あるいはそれは、数式のもつおもしろさに似ているのかもしれません。
本書の第一章と第二章では、それぞれの章の最後で、私たちが知らないうちに結ばれていた、左のようなとんでもない法律や密約についてご説明しました。
○ 米軍による日本の空の支配を正当化する「航空法の適用除外条項」(第一章)
○ 米軍の日本全土における治外法権を正当化する「日米合同委員会での密約」
(第二章)
みなさんもおそらくその内容に憤慨しながらも、これまで不可解に思われていたさまざまな現実が、すっきりと整理できることに驚かれたのではないかと思います。
そうした日米間に存在する無数の「数式」(=隠された法的取り決め)のおおもとこそ、この「旧安保条約・第1条」なのです。
「旧安保条約・第1条」
では、問題のその条文を見てみましょう。旧安保条約の第1条には次のように書かれています。
「平和条約および安保条約の効力が発生すると同時に、米軍を日本国内およびその周辺に配備する権利を、日本は認め、アメリカは受け入れる」(前半部 英文からの著者訳)
日本が独立を回復するにあたって結ばれた平和条約(=サンフランシスコ講和条約)と旧安保条約は、どちらも一九五一年九月に調印され、翌一九五二年四月に発効しました。
そのときから日本はアメリカに対して、非常に大きな軍事上の特権を与えることになったわけですが、ここで注目していただきたいのは、日本が旧安保条約のなかの、もっとも重要な「第1条」で認めたその特権とは、アメリカが米軍を、
「日本国内およびその周辺に」
「配備する権利」
だったということです。
米軍を「配備する権利」
それはいったい、どういう意味なのか。まず「配備する権利」の方から見てみましょう。
この条約で日本が認めたのは、アメリカが日本に「基地を置く権利」ではなく、「米軍を配備する権利」だと書かれています。
しかし、これは普通の条約では、絶対ありえないはずの言葉なのです。
私たち日本人はそのあたりの感覚がほとんど麻痺してしまっているのですが、世界の常識からいえば、そもそも自国のなかに外国軍が駐留しているということ自体が完全に異常な状態であって、本来ならそれだけでもう独立国とはいえません。
万一やむをえず駐留させるときでも、ギリギリまで外国軍の権利を条文でしばっておかなければ、国家としての主権が侵害されかねない。そうした非常に危険な状態だということを、そもそもよく認識しておく必要があります。
そのことは、第二次大戦以前はアメリカの本当の植民地だったフィリピンが、戦後、アメリカとどのような取り決めにもとづいて基地を提供していたかを見れば、すぐにわかるのです。
一九四七年に結ばれた「米比軍事基地協定」(一九九一年に失効)には、米軍がフィリピン国内に基地を置いていいのは次の二三ヵ所であると、その場所がすべて具体的に明記されているからです。
ところが日本の場合は、特定の場所を基地として提供する取り決めではなく、どこにでも米軍を「配備」できることになっている。これを「全土基地方式」といいます。
いま初めてこの言葉を聞いた方は信じられないかもしれませんが、これはすでに沖縄を中心とした長い研究の積み重ねによって証明されている、紛れもない事実なのです。
三重構造の「安保法体系」
「はじめに」にも書いたとおり、米軍は日本の国土をどこでも基地にしたいと要求することができます。そして日本はその要求を事実上、断れない。
そうした現状をもたらす根拠となったのが、旧安保条約時代のこの第1条なのです。
さらにはこの「軍を配備できる」という言葉には、「どこにでも基地を置くことができる」という以上の意味があって、その基地を拠点に自由に軍事行動(戦争や軍事演習)を行うことができるという意味も含んでいるのです。
この旧安保条約・第1条を根拠として、米軍が日本の国土のなかで、日本の憲法も国内法も無視して、
「自由にどこにでも基地を置き」
「自由に軍事行動をおこなう」
ことを可能にする法的なしくみが、つくられることになりました。
それが次ページの、
「旧安保条約」⇨「行政協定」⇨「日米合同委員会」
という三重構造をもつ、「安保法体系」だったのです(「行政協定」とは「旧安保条約」の下で米軍が、日本国内で持つ特権について定めた協定。一九五二年四月の占領終結とともに発効し、一九六〇年の安保改定で「地位協定」に変更された)。
国境がない国、日本
さらに「旧安保条約・第1条」に書かれたもうひとつの重要なポイントは、そうしてアメリカが米軍を「配備する」ことを許された場所が、
「日本国内およびその周辺(in and about Japan)」
だったということです。
私も最初にこの条文を読んだときは、
「その周辺っていっても、国外のことまで日本が決める権利はないはずだけどな」
と不思議に思っていたのですが、第一章で見た「横田空域」について調べていくうちに、その本当の意味がわかりました。
たとえば日本の首都圏には、横田、座間、厚木、横須賀と、沖縄なみの巨大な米軍基地が、首都東京を取り囲むように四つも存在しています。
そしてそれらの基地の上空は、太平洋の洋上から「横田空域」によってすべて覆われています。
ですから米軍とその関係者は、日本政府からいっさいチェックを受けることなく、いつでも首都圏の米軍基地に降り立つことができるのです。
しかも到着後、米軍基地からフェンスの外に出て日本に「入国」するときも、日本側のチェックは一切ありません。なので、たとえば横田基地に到着した米軍関係者が軍用ヘリを使えば、東京のど真ん中にある六本木の軍事ヘリポートまで、わずか二十数分で飛んでいくことができるのです。
つまり米軍やその関係者にとって、日本は「国境が存在しない国」ということなのです。そして「旧安保条約・第1条」に書かれた「米軍を日本国内およびその周辺に配備する権利」とは、米軍が「日本の国境を越えて自由に軍事行動できる権利」という意味だったのです!
憲法9条が見逃しているもの
それがどれだけ異常な特権であるかに気づいたのは、二〇〇三年に勃発したイラク戦争の後、アメリカとイラクがむすんだ「イラク・アメリカ地位協定」(二〇〇八年)の条文を読んでいたときのことでした。
二〇〇三年三月にアメリカと開戦したものの、ほとんど戦闘らしい戦闘もないまま、わずか一ヵ月で全土を占領されてしまったイラク。しかしそのイラクが敗戦後のアメリカとの交渉では素晴らしい粘り腰を発揮し、アメリカが提案してきた地位協定の草案に、なんと一一〇ヵ所もの訂正を求めていたのです。
なかでも、もっとも大きな訂正のひとつが、
「イラクに駐留する米軍が、イラクの国境を越えて周辺国を攻撃することを禁じる」
という条文を、新たに加えたことでした。
この条文を読んだとき、まさに目からウロコが落ちるような思いがしたことをいまでもはっきりと覚えています。
「驚いたなあ。イラクはこんな条文をアメリカに認めさせたのか。でも、じゃあどうして憲法9条をもつ日本には、それができなかったんだろう」と。
ほかの国の軍事協定を読んでいるとよくわかるのですが、主権国家にとって「他国の軍隊が自国の国境を越えて移動する権利」というのは、なにより厳重にコントロールしなければならないものなのです。
戦争で一方的にボロ負けしたあと、崩壊した国家のなかでそうした「主権国家としての正論」をアメリカに堂々とぶつけ、しかも了承させたイラクの外交官たちに大きな拍手を送りたいと思います。
しかし同時に私たち日本人は、深く反省もしなければなりません。
こうしたイラクの地位協定を読むと、私自身も以前はあまり抵抗がなかった、
「憲法9条にノーベル平和賞を」
などという耳触りのいい主張が、いかに現実からかけ離れたものであるかが一瞬で理解できるからです。なにしろ、その憲法9条のもとで私たち日本人は、世界一戦争をよくする米軍に対して、
「国内に自由に基地を置く権利」と、
「そこから飛びたって、自由に国境を越えて他国を攻撃する権利」
を両方与えてしまっているのですから。
安保条約に「在日米軍」という概念はない
そしてもうひとつ。
旧安保条約・第1条が米軍に対して、「自由に基地を置く権利」だけでなく、「自由に国境を越えて他国を攻撃する権利」も与えていることがわかると、いわゆる「在日米軍」という存在についても、日本国内から見ているだけではわからないそのダイナミックな本質が浮かび上がってくるのです。
そもそも意外なことですが、「在日米軍」などという言葉や概念は、安保条約や地位協定のなかには、いっさい存在しないのです。そうした条約や協定の対象となっているのは、あくまで「日本国内にいるあいだの米軍」のことで、それは外務省自身がはっきり認めているのです(「日米地位協定の考え方 増補版」)。
簡単に説明すると、日本がこれまで安保条約や地位協定によって巨大な特権を与え続けてきたのは、
「日本の基地に駐留している米軍」
だけではなく、
「一時的に日本の基地に立ち寄った米軍」や、
「たんに日本の領空や領海を通過中の米軍」
など、すべての米軍に対してだった、ということです。
つまり、日本の防衛に一ミリも関係のない、百パーセント、アメリカの必要性だけで行動している部隊に対しても、それが日本の領土や領空内に「存在」している限り、安保条約や地位協定によって大きな特権があたえられるということです。
その事実だけから考えてみても、日米安保の本質が「日本の防衛」などではなく、あくまでも、米軍による「日本の国土の軍事利用」にあることは明らかでしょう。
さらに連載記事<なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」>では、コウモリや遺跡よりも日本人を軽視する在日米軍の実態について、詳しく解説します。
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⛿34¦─1─日本は台湾有事で米中対決の最前線になってしまった。〜No.184
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
日本を破滅戦争に追い込むのは、アメリカではなく中国共産党とロシアである。
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2023年3月22日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」になるという「日本」の「ヤバすぎるリスク」
布施 祐仁 によるストーリー •
いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。
米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。
しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。
それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。
このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。
一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。
これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。
情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。
*本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。
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日米一体で「敵基地攻撃能力」を強化
日本の安全保障を巡り、「敵基地攻撃能力の保有」の問題が大きな焦点となっています
「専守防衛」を掲げる日本はこれまで、外国領内を攻撃するための能力は保有してきませんでした。しかし、近年、迎撃が困難なミサイルが開発されていることを理由に、敵国領内の基地などを攻撃できる能力の保有に踏み出そうとしているのです。これに先駆けて、日本政府は既に、北朝鮮だけでなく中国本土も攻撃可能な射程距離を有するミサイルの開発を開始しています。
そして、もう一つ、日本の将来に非常に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、まだあまり注目されていない重要な問題があります。それが、この本のメインテーマとなる、米軍の新型中距離ミサイルの日本への配備計画です。
私は、この二つの大きな問題は別々のものではなく、一体のものとして捉えるべきだと考えています。つまり、日米が一体となって、敵基地を攻撃するための中距離ミサイルを日本に配備しようとしているのです。
30年ぶりのミサイル発射実験
米カリフォルニア州ロサンゼルスの沖合約100キロに、サン・ニコラス島という米海軍が管理する無人島があります。2019年8月19日、この島から一発のミサイルが発射されました。ミサイル発射台の横には、まるで世界に向かって何かをアピールするかのように、大きな星条旗が掲げられていました。
このミサイルは、射程500キロ以上、5500キロ以下の「中距離ミサイル」に分類されるものです。米軍がこの種類のミサイルを地上から発射したのは、約30年ぶりのことでした。
アメリカは冷戦末期の1987年にソ連と中距離核戦力(INF)全廃条約を締結し、地上発射型中距離ミサイルを全て廃棄しました。しかし、2019年2月、ロシアが同条約に違反しているとして条約の破棄を通告。ただちに地上発射型中距離ミサイルの開発に乗り出し、半年後の8月に条約が失効するやいなや、中距離巡航ミサイルの発射実験を行ったのです。
発射後、米国防総省は
「実験ミサイルは地上移動式発射装置から発射され、五〇〇キロ以上飛行した後、標的に正確に命中した」
「今回の実験で回収されたデータと得られた教訓は、国防総省の中距離戦力開発に活用される」
と発表しました。
米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」になるという「日本」の「ヤバすぎるリスク」
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当時のエスパー国防長官は、新たに開発する地上発射型中距離ミサイルをアジア太平洋地域に配備したい意向を表明しました。
なぜ、アジアなのか――。
それは、アメリカがINF条約を破棄して新しい中距離ミサイルの開発に乗り出した最大の理由が、中国のミサイル軍拡にあったからです。
アメリカがINF条約に縛られている間、中国は地上発射型中距離ミサイルを次々と開発し、大量に配備しました。中国が保有する地上発射型中距離ミサイルは、2000発にも上ると推定されています。
地上発射型中距離ミサイルに限れば、INF条約があったことで、アメリカは中国に大きく差をつけられてしまったのです。そのため、アメリカは今、急ピッチで新型ミサイルを開発し、中国とのミサイル・ギャップを埋めようとしています。
中国をターゲットとする中距離ミサイルは米本土からは届きませんので、必然的に配備先はアジアになるわけです。なかでも、「最有力」と言われているのが日本です。
この新型ミサイルは2023年以降に配備される計画です。
米軍のインド太平洋軍は既に、日本の南西諸島から台湾を経てフィリピン群島まで連なる島々(第一列島線)に沿って短・中距離ミサイルのネットワークを張り巡らせる計画を立てています。
さらに、先ほど述べたように、日本も独自に中距離ミサイルの開発に乗り出しています。
ではこうした米軍と自衛隊の地上発射型中距離ミサイルの配備は、日本に一体どんな影響を与えるでしょうか。
日本政府は、おそらく「中国に対する抑止力が高まる」と言って国民に理解を求めるでしょう。しかし、本当に抑止力が高まって、日本の平和と安全にとってプラスになるのでしょうか。
米軍の中距離ミサイルについては、まだ正式に日本配備の打診は行われていないため、メディアの報道も少なく、あまり注目されていません。しかし、アメリカから正式に配備の打診や通告があってから議論するのでは遅いと考え、私はこの本を書くことにしたのです。
日本が核戦争の戦場になる「悪夢」
世界は今、再び大国間戦争の脅威にさらされています。
アメリカは、中国とロシアを既存の国際秩序に挑戦する「修正主義国家」と規定し、対決姿勢を強めています。
そんな中、2022年2月には、ロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻しました。ウクライナの現政権が目指すNATO(北大西洋条約機構=米国を中心とする欧州の軍事同盟)への加盟が実現した場合、「ロシアの生死にかかわる脅威になる」というのが、ロシアのプーチン大統領が軍事侵攻を決意した理由でした。同大統領は、NATOがウクライナを支援するために軍事介入した場合、核兵器の使用も辞さないと脅しました。
世界の大多数の国々がロシアの侵攻を国連憲章違反だと非難する中、中国は「安全保障に関するロシアの正当な懸念を理解している」(外務省報道官)として批判しませんでした。アメリカなどが国連安保理に提案した、ロシア軍の即時撤退を求める決議案にも賛成しませんでした(棄権)。
今後、アメリカ及びその同盟国と中国やロシアの対立が一層激しくなることが予想されます。そして、ユーラシア大陸の東側で、その「最前線」に置かれているのが日本なのです。
米露対立の主戦場はウクライナを始めとする欧州ですが、米中対立の主戦場は東アジアです。もし米中が戦争する事態になれば、日本は「対岸の火事」では済みません。
まして、前述の米軍の新型中距離ミサイルが配備された場合、日本の国土が「戦場」となるリスクが格段に高まります。
なぜなら、アメリカと中国が中距離ミサイルで撃ち合う場合、中国のミサイルが撃ち込まれるのは、アメリカ本土ではなく、米軍の中距離ミサイルが配備されている日本になる可能性が高いからです。
日本と中国との間で全面的なミサイルの撃ち合いとなれば、日本は75年前の戦争に匹敵するような、場合によってはそれを凌駕するような戦争の惨禍に直面することになるでしょう。
さらに、最悪の場合、核ミサイルの撃ち合いにまでエスカレートする危険性すらあります。
旧来の「安保神話」は通用しない
私たちは、こうした本当に重大な問題についてはどうしても、「そんなこと起こるわけがない」などと根拠のない楽観論や思考停止に逃げ込んで、問題を放置してしまいがちです。
しかし、この最悪のシナリオを回避するために私たちが努力すべきことは、実ははっきりしているのです。
それは、「日米同盟のリスク・コントロール」です。
先ほども述べましたが、日本政府が米軍の中距離ミサイルの配備を受け入れる場合、「抑止力が高まる」「米中にミサイル戦力のギャップがある方が危険だ」と説明して国民に理解を求めるでしょう。
日本政府はこれまでも、日米同盟を「抑止力」というベネフィットとしてしか説明してきませんでした。
しかし、日米同盟には、世界最強の軍事力を持つアメリカと手を組むことによって得られる「抑止力」というベネフィット(利益)があるのと同時に、さまざまなリスクも存在するのです。
最大のリスクは、日本が武力攻撃を受けていないのに、アメリカの戦争に日本が巻き込まれることでしょう。このリスクは、これまで70年ものあいだ、大きく顕在化することがありませんでした。しかし、「米中対立」の時代に本格的に入った今、最悪の場合、核戦争にすらつながりかねない、最大にして最後のリスクとなっているのです。
ですから私たちは、日米同盟のもつベネフィットとリスクの相矛盾する両側面を見つめ、後者が現実のものにならないよう、しっかりコントロールしていく必要があります。
この本では、日本がアメリカの戦争に巻き込まれるという日米同盟のリスクについて、私が過去20年間の取材で得た数々の「ファクト」と、情報公開法を駆使して入手した「独自の一次資料」にもとづいて実証的に描き出しています。すべて確かな裏づけのある話ですので、読んでいただければ、日米同盟が内包する重大なリスクについて、
「ああ、そういうことなのか」
と視界が開けるような感覚を持っていただけると思います。
世界史レベルの大変動期である「米中対立」の時代においては、
「いざとなったらアメリカが守ってくれる」「アメリカにくっついていけば大丈夫」
という旧来の「安保神話」は、もはや通用しません。
過去の正確な歴史を知り、日米同盟をベネフィットとリスクの両面から冷静に見つめ直して、日本を「戦場」にしないための方策を国民全体で真剣に考える。そしてこの新型中距離ミサイルの配備問題をきっかけに、現在のあまりにおかしなアメリカとの関係を改善し、新しい国の形を根本から作り直していく時期が訪れているのです。
さらに、<【後編】「宮古島や石垣島」が戦場になる…アメリカ軍がSNSから「あわてて削除」した「一枚の写真」の「ヤバすぎる内容」>では、米軍や自衛隊が沖縄を戦場にすることを想定していることを示す一枚の写真について、詳しく解説します。
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3月22日 PHOTO by iStock 現代ビジネス「宮古島や石垣島」が戦場になる…アメリカ軍がSNSから「あわてて削除」した「一枚の写真」の「ヤバすぎる内容」
布施 祐仁ジャーナリスト
いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。
米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。
しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。
それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。
このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。
一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。
これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。
情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。
*本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。
米軍と自衛隊は、宮古島や石垣島が戦場になることを想定した図上演習も行っています
2016年11月30日、在日米海兵隊が一枚の写真をSNSにアップしました。
床には巨大な地図が広げられ、その周りを数十人の米兵と自衛隊員が取り囲み、地図の上に立つ米軍将校の話に耳を傾けています。地図は、宮古諸島と八重山諸島のものです。
この写真は、「ヤマサクラ」と名づけられた日米共同指揮所演習の一場面を米海兵隊が撮影したものでした。写真の説明文によると、沖縄本島にある米海兵隊のキャンプ・コートニーで行われた「戦闘予行」(部隊が行動を開始する前に地図上で作戦内容を確認するミーティング)の場面を写したものだといいます。
この写真を見たとき、私は驚きました。なぜなら、日米共同訓練は「特定の国や地域を想定したものではない」というのが日本政府のお決まりの説明だったからです。しかし、このときの訓練では、宮古諸島や八重山諸島で自衛隊と米軍が共に戦うことが想定されていたのです。米海兵隊は、まずいと気がついたのか、この写真をすぐにSNSから削除しました。
宮古島の地図の上には、敵部隊を意味する赤いダイヤのマークがいくつもつけられています。地図上のマークの位置から、この図上演習は、島の全域を中国軍に占領された宮古島を、自衛隊と米軍の共同作戦で奪回するというシナリオで行われていたと推定されます。
米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」にな…
米軍の目的は、南西諸島の防衛ではありません
米軍の目的は、南西諸島の防衛ではありません。南西諸島を丸ごと「米軍基地」として、そこで中国と戦う計画なのです
日本政府は、こうした訓練や演習の目的を「島嶼防衛のため」と説明してきましたが、米軍の目的は違います。
米海兵隊と水陸機動団は2020年11月にも、鹿児島県十島村の無人島・臥蛇島で「島嶼作戦」の共同訓練を行いました。
防衛省はこれを島嶼防衛のための訓練と説明しましたが、米海兵隊のウェブサイトは「敵の脅威下にある領域を奪取し、遠征前進基地を設置する能力を示した」と記しています。
米海兵隊は、中国との戦争が勃発した際、第一列島線上の島々に分散して展開し、そこを一時的なミサイル発射拠点や兵站拠点にして中国を攻撃する作戦を構想しています。
米海兵隊はこれを「遠征前進基地作戦(EABO)」と呼んでいます。島に遠征し、そこに暫定的な前進基地を構築するという意味です。
EABOは南西諸島を丸ごと「基地」として利用して中国軍を攻撃することが目的です。
EABOは、2019年2月に海軍作戦部長と海兵隊総司令官の署名を得て正式に採用されました。
海兵隊は2020年3月、今後10年間で取り組む海兵隊の変革の大枠を示した報告書「フォース・デザイン(戦力設計)2030」を発表しました。
この報告書をまとめるまでに、海兵隊は中国との戦争を想定した「ウォー・ゲーム」(戦争のシミュレーション)を繰り返しました。その結果、次のようなことが明らかになったといいます。
・先に攻撃した方が決定的な優位を得る。
・敵の長距離精密火力兵器(ミサイルのこと)の射程圏内で継続して作戦を実行できる戦力は、生存のために射程圏外へ迅速に移動しなければならない戦力よりも作戦上有効性が高い。
・敵のミサイルの射程圏内で戦う「スタンド・イン戦力」は、敵戦力を消耗させ、米統合軍のアクセスを可能にするとともに、敵の標的化を困難なものとし、そのISR(情報・監視・偵察)資源を消費させる。
・前方基地など固定的なインフラは、容易に標的化され、極めて脆弱。
・敵射程圏内における可動性は作戦上不可欠。
・ロジスティック(兵站)は重要だが重大な脆弱性を抱えている。
・消耗は不可避。米軍は兵器や人員を失う。
つまり、沖縄本島の基地など固定的なインフラは狙われやすいので、南西諸島の島々に分散し、島から島へと移動を繰り返して、中国の攻撃を出来る限りかわしながら戦闘を続けるというのがEABOのコンセプトです。
また、敵のミサイルの射程圏外で戦う戦力よりも、射程圏内で戦う「スタンド・イン戦力」の方が、敵戦力を消耗させ、情報・監視・偵察のためのコストを課すので、米軍の作戦上有効性が高いとも強調しています。その代わり、米軍の兵器や人員の消耗を避けられないとしています。
序章でも少し触れましたが、米軍は中国との戦争になった場合、艦船や戦闘機など高価な兵器で装備されている海軍と空軍の主力は、中国軍のミサイルによる攻撃を回避するために一旦日本からハワイなど後方に引き下げる計画です。
一方、海兵隊は「スタンド・イン部隊」として日本に残し、南西諸島に散らばって、中国との消耗戦を戦わせる構想なのです。
さらに重要なことは、アメリカはこの作戦に、自衛隊の戦力もフルに活用しようとしているのです。
台湾をめぐる米中戦争が始まった場合、米軍の主力が到着するまでは、日本の自衛隊が最前線で戦うことが予想されています
2021年3月9日に開かれたアメリカ上院軍事委員会の公聴会。ここで米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(当時)が行った証言は、世界に衝撃を与えました。
「中国は、ルールにもとづく国際秩序を主導するアメリカ合衆国に取って代わるという野心を加速させている。(中略)台湾は明らかに彼らの野心のひとつであり、その脅威はこの10年で、実際には六年以内に明らかになると考えている」
同司令官は、中国の台湾侵攻が6年以内に起きる可能性があるとの見方を示したのでした。この発言は日本でも大きく報道され、「台湾有事」という言葉がにわかに注目を集めることとなりました。
さらに、「台湾有事」が大きくクローズアップされることになったのは、同年4月16日に行われたバイデン大統領と菅義偉首相の日米首脳会談です。会談後に発表された共同声明に、約半世紀ぶりに「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたのです。
この意味を、ある外務省幹部は「台湾海峡有事の際は、日米が積極的に連携することを確認したものだ」と語りました(「朝日新聞」2021年6月6日)。
米軍も、台湾有事における日本の軍事的協力に期待を示しています。
前出のデービッドソン司令官の証言の中でも、台湾で軍事衝突が起こった場合、米軍が米西海岸から第一列島線まで到達し作戦を行うまでに3週間、アラスカからは17日間かかるとして、次のようにのべて日本の役割を強調しました。
「はっきりしているのは、日本が水陸両用戦能力を提供してくれるということです。彼らは戦闘機や対潜哨戒機などによる戦闘能力を有しています。私にとって、日本はこの地域で一番の同盟国であり、地域の安全にとって死活的に重要です」
アメリカ本土やアラスカから米軍の増援部隊が到着するまでは、日本の自衛隊が最前線で戦って踏ん張ってくれる、と言っているように聞こえます。
自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した日米共同作戦計画の原案を策定したことが判明しました
南西諸島に攻撃拠点」「米軍、台湾有事で展開」「住民巻き添えの可能性」――2021年12月24日、沖縄の地元紙「沖縄タイムス」の一面にこのような見出しが躍りました。
自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定していたことが複数の日本政府関係者の証言で判明した、という「共同通信」のスクープでした。
記事によると、共同作戦計画の原案は、米インド太平洋軍が海兵隊の「遠征前方基地作戦(EABO)」に基づき、自衛隊に提案。台湾有事の緊迫度が高まった初動段階で、沖縄に駐留する米海兵隊が南西諸島の島々に分散して臨時の軍事拠点を置き、そこに対艦ミサイル部隊を展開して洋上の中国軍艦艇の排除に当たるといいます。自衛隊には、輸送や弾薬の提供、燃料補給などの兵站支援を担わせると記されています。
「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認した同年4月のバイデン大統領と菅義偉首相の日米首脳会談を受けて、日米は台湾有事を想定した日米共同作戦計画の策定に向け、水面下で協議を進めていたといいます。
台湾有事の際、米軍と自衛隊が一体となって南西諸島を拠点に中国軍の艦船などの攻撃する「遠征前方基地作戦」を実行しようとしていることが、この報道でも裏付けられました。
「中距離ミサイルの配備」も「遠征前進基地作戦」も、自衛隊の参加がすでに織り込まれています
デービッドソン司令官がこの日の証言でもっとも強調したことのひとつが、陸上部隊(陸軍と海兵隊)への地上発射型中距離ミサイルの配備です。
「地上部隊(陸軍、海兵隊)に届けられる精密打撃火力〔ミサイルのこと〕が非常に重要だと考えている。それは戦域におけるわれわれの部隊の機動力と位置的優位性を強化する」
同司令官はこの約1週間前、米議会にインド太平洋軍の戦力強化計画に関する報告書を提出していました。そしてこの中でも、
「第一列島線上に、射程500キロ以上の残存性の高い精密打撃火力のネットワークを構築する」
として33億ドルの予算を要求しました。
また、こうした精密打撃ネットワークによって一時的かつ局地的な航空優勢・海上優勢を確保した上で、「水陸両用戦部隊が(離島への)強行突入作戦を実施する」とも記しています。ここは海兵隊の「遠征前進基地作戦」の重要性を強調しているところです。
第一列島線上での「精密打撃ネットワーク」の構築と水陸両用部隊による「遠征前進基地作戦」能力の強化――これが、中国との戦争に備える米インド太平洋軍の二大強化ポイントとなっています。そして、いずれも自衛隊の参加が当てにされているのです。
さらに連載記事<米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」になるという「日本」の「ヤバすぎるリスク」>では、「新型中距離ミサイル」の配備によって日本がさらされるリスクについて詳しく解説します。
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2023年3月22日18:22 YAHOO!JAPANニュース FNNプライムオンライン「台湾有事で諜報戦・情報戦の戦場となる日本…中国の台湾統一への強い意思
中国の台湾統一への強い意思
2023年3月13日、全国人民代表大会が閉幕した。
習近平国家主席は、閉幕に先だった演説にて、「(台湾問題について)外部勢力による干渉と台湾独立分裂活動に反対する」と述べ、米国などをけん制した上で、「祖国の完全統一の実現は中華民族全体の共通の願い」とも語り、台湾統一に向けて強い決意を表明した。
【画像】米シンクタンクが行った中国軍の台湾上陸作戦机上演習の様子
また、その決意は、中国の最高意思決定機関である中共中央政治局常務委員会委員のメンツからも伺えた。
2023年1月9日には、米国のシンクタンクCSISが、台湾有事に関して、中国軍が2026年に台湾へ上陸作戦を実行すると想定した机上演習(シミュレーション)を実施し、大半のシナリオで中国は台湾制圧に失敗したが、米軍や自衛隊は空母を含む多数の艦船や航空機を失うなど大きな損失を出す結果であったとして、大きな衝撃を与えた。
(※勿論、このウォーゲームにおいて台湾の地形等詳細な仮定が置かれているわけではないことには留意しなければならない)
日本においても、台湾有事を想定した企業の動きが見えてくる中で、世間では台湾侵攻の可能性を巡る議論が尽きない。
このように、台湾統一に向け軍事侵攻を想定した議論が活発化する中、諜報戦は既に激しく行われていた。
既に始まっている諜報戦
正にターゲットとなっている台湾においては、中国がスパイを台湾中枢に深く浸透させ、「台湾社会の士気をそごうとする試み」に力を注いでおり、事実台湾内部に浸透する中国共産党スパイによる特務工作が次々と明るみに出ている。
2021年7月、「台湾史上最大のスパイ事件」と呼ばれる張哲平事件が明るみとなった。香港のビジネスマンを偽装した中国陸軍大尉の謝錫章は、台湾において、いわゆるスパイの人心掌握術を用いて協力者を獲得した上で諜報工作のネットワークを構築し、台湾の軍事機密を次々と収集していった。同事件で謝錫章の手先となっていた人物は、前国防部副部長の張哲平をはじめ、元空軍少将等が含まれており、台湾社会に大きな衝撃を与えた。
また、王文彦事件では、蔡英文総統の警備資料が、中国工作員の手によって漏洩させられた。
更に、中国工作員による軍事機密の収集だけではない。
台湾において中国企業が、半導体技術者を違法な形で獲得する動きが活発化しているとし、台湾当局が関連約100社の中国企業を調査したという。この背景に中国政府の意向が関与していることに疑いはなく、国家情報法という強力な法的根拠を持つ中国にとっては、“通常運転”だろう。
正に、中国の千粒の砂戦略に合致する活動であり、筆者の民間での調査経験においても類似の活動が日本国内でも多数見られ、中には防衛関連船舶の情報が転職時に持ち出された事案があったが、その背景には中国関連企業が深く関与していた。
諜報戦・情報戦の戦場は日本でも
皆さんが中国の目線に立った場合、台湾統一に向け仮想敵国に日本が入るだろう。そして、スパイ防止法が存在しないスパイ天国と言われる日本において、台湾・日本等の軍事情報や政治情報を得たいと思うのは当然ではないだろうか。
諜報活動におけるターゲットは、前述の通り何も政府中枢の人間ばかりではない。
現在、熊本県は、TSMC(※台湾の大手半導体企業)を巡り大きく注目されており、九州のシリコンバレーとさえ言われている。台湾半導体企業に対する中国の諜報活動を見てもわかるように、中国の関心は非常に高いだろう。スパイ天国である日本の且つ都心から遠く離れた熊本県において、防諜活動(=カウンターインテリジェンス)が有効に機能するか懸念される。
また台湾統一に向け、諜報活動に加え、情報工作=情報戦が活発になる。特に、中国にとって軍事侵攻のオプションを取らずに平和統一が行えればメリットが非常に大きい。
そのために、情報戦を行うことで台湾現政権を貶め、情報戦に加えサイバー攻撃等を組み合わせ台湾の政治的・経済的脆弱性を煽り、中国に統一することで台湾の発展が加速されるような筋書きを描きたいはずだ。
日本では、TikTok・WeChat等の中国製SNSの危険性や中国の合法的経済活動を通じた経済的侵略はあまり認知されていない。
その関心の低さが台湾統一の一助となってしまう。
日本においても、外からの侵略だけではなく、内からの侵略=工作への対策を強化し続けなければならない。
【執筆:稲村悠・日本カウンターインテリジェンス協会代表理事】
稲村 悠
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3月22日 MicrosoftStartニュース ダイヤモンド・オンライン「自衛隊「石垣島駐屯地」開設で高まる“台湾有事”の現実味【現地レポート・写真付】
清水克彦 によるストーリー
先島諸島の中核である石垣島に
陸上自衛隊の駐屯地を開設
石垣島駐屯地の周辺に立つ自衛隊への感謝ののぼり旗(写真はすべて筆者撮影)
© ダイヤモンド・オンライン
筆者は本稿を沖縄県石垣市のホテルで書いている。海開きのシーズンを迎えた先島諸島の石垣島に、3月16日、初めて陸上自衛隊の駐屯地が開設され、「地対艦ミサイル中隊」など570人規模の部隊が配備されたからだ。
石垣港周辺では、3月に入って、12式地対艦ミサイルの発射機を含む車両約200台が次々と陸揚げされた。それらが駐屯地に移動して以降は、弾薬の搬入、沖縄防衛局による2019年以来となる住民説明会と、駐屯地の稼働に向け節目となる動きが続いた。
筆者はさっそく平得大俣地区にできた駐屯地を訪ねてみた。駐屯地は島で最も高い山の山麓に設けられている。もとはゴルフ場があったところだ。
メインとなる隊庁舎は、沖縄独特の赤瓦屋根で、「基地」というよりは大きめの公共施設という印象を受ける。
駐屯地周辺には、不思議と「駐屯地反対!」といった看板はなく、「自衛隊、ありがとう」と書かれたのぼりが目立っていた(冒頭写真)。
以前、与那国島の駐屯地取材では、写真を撮ろうとして自衛隊員に厳しく制止されたものだが、正面ゲートで写真を撮っても何の反応もなかった。設置早々、余計なあつれきは避けたいとの思いからだろうか。
石垣島にできた陸上自衛隊駐屯地
© ダイヤモンド・オンライン
駐屯地開設の狙いは言うまでもなく、中国の台湾侵攻を視野に、先島諸島の防衛力を強化するためだ。
2016年の与那国島を皮切りに、2019年には宮古島や奄美大島と続いた自衛隊の「南西シフト」は、石垣島駐屯地の開設によって、中国に対するファイヤーウオール(防火壁)として、さらに「完成形」へと近づいたことになる。
忍び寄る「戦争の足音」に
複雑な住民の思い
筆者は、2024年の台湾総統選挙とアメリカ大統領選挙が終わって以降、中国は台湾統一へと動きだす可能性が高いと分析している。
そうなれば、先島諸島一帯はいやが上にも巻き込まれると考え、ラジオ番組や拙著を通じ、「防衛力の強化は不可避」と訴えてきた。その論拠は以下の3つだ。
(1)中国は、アメリカのペロシ下院議長(当時)が台湾を訪問した2022年8月、与那国島に近い台湾北東部にも「東風」ミサイル5発を撃ち込んでいる。これは台湾侵攻を視野に入れた予行演習。
(2)中国海軍の空母「遼寧」が宮古島周辺海域を航行し、戦闘機や偵察・攻撃型無人機「TB001」が先島諸島上空を飛行するケースが増えている。これも台湾侵攻の下準備。
(3)日米の防衛関係者に取材すれば、異口同音に「中国軍はまず制空権を掌握し台湾海域の封鎖に出る」との答えが返ってくる。つまり、アメリカ軍基地や自衛隊駐屯地がある沖縄は攻撃される可能性が高いということ。
石垣島では、上記のうち、(3)に関して、「駐屯地ができればさらに狙われやすくなる。島を再び戦場にする気か?」という声が根強い。駐屯地設置に抗議した住民の間には、弾薬庫が標的にされることへの不安もある。
駐屯地設置と反撃能力ミサイルで賛否が割れる石垣市議会
© ダイヤモンド・オンライン
石垣島のマンゴー農家・金城龍太郎氏は、反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つミサイル配備への懸念を口にする。
「石垣市議会は反撃能力を持つ長距離ミサイルの配備を容認しないとする意見書を可決しています。しかし、政府側の説明では相変わらず釈然としません。私は、そのうち配備されるんだろうと思っています。そうなれば、当然、狙われやすくなると思います」
こうした声がある一方で、「駐屯地がなければすぐに占領されてしまう」との声も少なくない。
八重山日報の仲新城誠論説主幹は、沖縄県の玉城デニー知事が「自衛隊の防衛力強化で、沖縄が攻撃目標になるリスクをさらに高める」と述べている点を踏まえ、筆者の取材に次のように答えた。
「沖縄を取り巻いている国際情勢を思えば、駐屯地設置は遅すぎたくらいです。駐屯地に関しては、選挙の都度、争点になっていて、沖縄防衛局は、その度に説明してきました。今になって説明不足ということはありません」
「玉城知事は『住民合意が不十分』と言っています。石垣市長や与那国町長などとはかなりの温度差がありますね。これでは知事と関係自治体との溝は深まるばかりです。知事には、現実を見据え、有事を想定した避難準備やシェルター整備などの取り組みを急いでほしいですね」
玉城知事への不満は、石垣島から約7キロの海上にある竹富島(竹富町)の前泊正人町長からも聞かれた。
「基地問題でアメリカに交渉をしに行く以前に、しっかりと八重山地域の現状を見ていただきたいと思っています。石垣市、竹富町、与那国町の3首長と意見交換するのが先ではないでしょうか」
住民投票はなし
避難訓練もなし
石垣島に駐屯地が設置されたことは、筆者も、中国の動きから見て「やむを得ないこと」と捉えるしかないと思っている。ただ、問題も見え隠れする。
一つは、住民投票の機会が奪われたことだ。石垣市議会議員の花谷史郎氏は言う。
「石垣市の自治基本条例では、有権者の4分の1の署名で住民投票請求が可能だったのですが、一昨年、条例から住民投票に関する項目が削除されてしまいました。中山義隆市長は『国全体に関わる問題を住民投票で決めるというのはそぐわない』と、民意を問う考えはないことを強調しています。当初は反撃能力ミサイルの話はなかったわけです。事情が変わったにもかかわらず市民は声を上げられません」
国や市からの説明不足に懸念を示す花谷史郎石垣市議
© ダイヤモンド・オンライン
もう一つは、八重山日報の仲新城氏が指摘したように、住民の避難訓練が思うように進んでいない点だ。
沖縄県では、国民保護法に基づく住民避難の検討作業に着手し、3月17日に実施した初の図上訓練では、先島諸島からの住民避難について、航空機と船で1日最大2万人の輸送が可能と試算した。
対象となるのは、先島諸島の宮古地域(宮古島市、多良間村)と八重山地域(石垣市、竹富町、与那国町)の住民約11万人と観光客約1万人だ。その避難先は、2006年の段階で「武力攻撃災害等時相互応援協定」を結んでいる九州となっている。
しかし、単純計算でこれだけの人数を避難させるには6日もかかってしまう。民間の航空会社やフェリー会社とは話し合い済みだが、悪天候のケース、あるいは新石垣空港や宮古島の下地島空港などが被弾した場合、計画には狂いが生じる。
島嶼部の自治体はフェリーぐらいしか避難手段がない
© ダイヤモンド・オンライン
中国がショートシャープウォー(短期激烈決戦)で挑んできた場合、島外に避難する余裕などなく、かといって島内避難の準備も進んでいない。
石垣島では、これまでの訓練は防災避難訓練の域を出ていない。与那国島では2022年11月30日、ようやく訓練が実施されたものの、避難先は何の防衛効果もない公民館などにとどまった。
また、宮古島では、弾道ミサイル飛来を想定した住民避難訓練を計画したものの、「公民館等への避難では意味がない」と、これを取りやめている。台湾にはすでに10万カ所もシェルターが設置されているというのに、これらの島々にはまったくない。
住民避難の問題は、各自治体の問題というよりも政府と県が、大地震や津波対策と同様、準備を急ぐべき課題である。
虎視眈々と4選と台湾統一を目指す習近平
このところ、筆者を含め、国民の多くの目がWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での日本代表の戦いに注がれてきた。国際大会は国のメンツを懸けた戦いだ。熱くなるのは当然だ。
ただ、その一方で、国際社会では、民主主義国家対専制主義国家の駆け引き、ウォーゲームともいうべき動きが激しくなっていることも忘れてはならない。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領やドイツのショルツ首相が来日し、岸田文雄首相はインドへと飛んだ。いずれも民主主義国家間での連携を強化するのが目的だ。
対する中国も、全人代で習近平総書記が国家主席としても3選を果たし、新たな首相に側近の李強氏を、そして次期国家主席への登竜門とされる副主席には、すでに最高指導部を外れ、「一丁上がり」状態となっていた韓正氏を起用した。
重要ポストをイエスマンだけで固め、有力な後継者も作らなかったことは、習近平総書記が、3選どころか4選を視野に動き始めたことを意味している。
『日本有事』 (集英社インターナショナル新書) 清水克彦 著
© ダイヤモンド・オンライン
習近平総書記は、外交でも着々と布石を打っている。習近平総書記自らロシアを訪問。他にも、北京でイランのライシ大統領と会談したり、サウジアラビアとイランの外交正常化を仲介したりと、専制主義国家間の連携を強化している。これらは、台湾統一という次のステップを見据えた動きと考えていい。
「防衛力強化よりも、まず、中国を台湾統一に動けないようにする外交努力を」
このように語るのはたやすい。とはいえ、外交努力だけでは効き目がないことはウクライナ戦争の惨状が語っている。
石垣市中心部にあるホテルの一室で、「中国が動きだすまで2年程度ある。あくまでウォーゲームの間に、政府と県、各自治体は、住民の理解を得る努力を重ね、避難訓練を急ぐ必要がある」…そんな思いを込めながらパソコンと向き合っている。
(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師 清水克彦)
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☂30:─2─日本共産党は党内から自由な言論や異論を強権を持って排除した。~No.108No.109
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
共産主義の民主主義とは、一党独裁体制を正当化する民主主義であり、目指すべきは人民集団の平等であって個人の自由ではない。
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2023年3月18日 MicrosoftStartニュース zakzak「共産党が強硬姿勢で「志位委員長辞任本」著者の党員・鈴木元氏を除名 自由な言論や異論を〝排除〟か 松竹伸幸氏に続く対応…党内に危機感広がる
共産党が強硬姿勢を続けている。志位和夫委員長の辞任を求める著書を出版した党京都府委員会所属の鈴木元氏(78)を「除名」したのだ。「党首公選制導入」を訴えた現役党員のジャーナリスト、松竹伸幸氏に続く対応だ。同党は「分派活動を行った」と批判するが、自由な言論や異論を〝排除〟しているようにも見える。統一地方選挙への影響も懸念される。
古参党員の鈴木氏は除名を決めた共産党を厳しく批判した
© zakzak 提供
「除名のいわれはなく撤回を求める。松竹氏や私への攻撃で、共産党の社会的地位、イメージは著しく損なわれた」「(志位氏は)辞任し、組織を刷新すべきだ」
鈴木氏は17日、東京都内での記者会見でこう語った。
党歴60年の鈴木氏は1月、『志位和夫委員長への手紙』(かもがわ出版)を出版し、党トップに20年以上も君臨する志位氏の辞任や党首公選制の導入などを主張した。
これに対し、党京都府委は「党内に派閥を作ることを求めた」「党外から党を攻撃した」として除名を決め、党中央が承認した。ただ、言論で党改革を求めた鈴木氏らに対し、犯罪などが対象の除名は「厳しすぎる」との声もある。
鈴木氏は先の会見で、「党は党員以外も含めた協力や志に支えられている。(自分の除名処分を受けて)ビラまきや(機関紙の)しんぶん赤旗配りは『金輪際、協力しない』との声も出ている」「前回の参院選、衆院選で共産党は大きく後退し、国政で取るに足らない存在になることへの危機感が広がっている」などと指摘した。
一方、田村智子政策委員長は同日の記者会見で、「選挙結果は志位氏1人の責任問題ではない」などと語った。
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⏱17:ー1ー道を尋ねてきた外国人はスパイだった。盗まれる日本の普通の企業の普通の技術。~No.50No.51No.52
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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2023年3月19日 MicrosoftStartニュース PRESIDENT Online「道を尋ねてきた人間はスパイだった…ロシアや中国が「日本の普通の企業の普通の技術」を狙っているワケ
稲村 悠
ロシアや中国の「スパイ」は、どんな情報を狙っているのか。元警視庁公安部捜査官/日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村悠さんは「スパイ活動の対象になるのは最先端の技術とは限らない。活動を仕掛ける側の国にとっては、一世代前の技術が思わぬ価値を持つ場合もある」という――。(前編/全2回)
※写真はイメージです
© PRESIDENT Online
事件化されたものは氷山の一角
2020年1月、警視庁公安部は、ソフトバンク元社員で統括部長だった男を不正競争防止法違反で逮捕した(朝日新聞デジタル 2020年1月25日)。同社員は、勤務していたソフトバンクの社内サーバーに不正にアクセスし、同社の電話基地局設置に関する作業手順書等、営業秘密にあたる複数の情報などを取得。記録媒体にコピーした上で、在日ロシア通商代表部のアントン・カリニン元代表代理に手渡した。カリニンはロシア対外情報庁(SVR)の、科学技術に関する情報収集を担うチーム「ラインX」の一員であった。
また、2021年6月には、在日ロシア通商代表部の職員に渡す意図を隠して不正に文献を入手したとして、神奈川県警が同県座間市の日本人男性を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕した(朝日新聞デジタル 2021年6月10日)。日本人男性は「約30年にわたって複数のロシア人に軍事、科学技術関係の資料を渡し、対価として1000万円以上を受け取った」と供述しており、長期にわたってスパイに“運営”されていたことがわかっている。
過去にもロシア外交官を主とするわが国内における諜報(ちょうほう)活動は幾度か検挙されているが、何もロシアだけではなく、中国、北朝鮮も含め、現在の経済安全保障における日米側と相いれない陣営側により、過去から現在まで日本でスパイ事件が検挙されているのは周知の事実だろう。
これは、私の民間における不正調査の経験も含め語れることであるが、上記のように事件化されているものは、ほんの氷山の一角であると断言できる。
スパイ行為自体を取り締まる法的根拠がない
わが国にはスパイ防止法がなく、スパイ行為自体を取り締まる法的根拠がない。捜査機関としては、法定刑がさほど重くない窃盗や不正競争防止法等の犯罪の適用を駆使し、さらに構成要件を満たして容疑が固まった上で検挙しなければ広報ができない。特に、外交官相手では任意捜査にも応じてくれず、「怪しかったが違いました」では済まされないといった事情もある。そもそも、スパイ事案の特性上、任意捜査をしていたのでは容易に証拠隠滅されてしまう。
私が民間で経験した事案にこういったものがあった。A社から「防衛関係の船舶の図面が転職先に持ち出された可能性があるので調べてほしい」と言われ、対象者の調査を開始した。もちろん、対象者への貸与品(PCやスマートフォン、メールサーバーなど)はデジタル・フォレンジックという技術で内容を復元・解析した上、さらに対象者の行動について外部ベンダーを利用して交友関係、特に転職先に持ち出した事実等を調査した。
ところが、SNS解析を含む広範な調査を進める上で、さまざまな点で某国政府系の人間=X氏との関係が浮上し、対象者が持ち出した防衛関係の船舶の図面が複数人を経由してX氏に渡った可能性が浮上した。これは、X氏の国で主として使用されているSNS解析や現地法人情報による関連人物の洗い出し、さらに現地の協力者からの情報等のルートをたどった結果であるが、民間では予算も限られ、アクセスできる情報の濃さ・確度も捜査機関とは比較にならない。結局、この事案は“X氏に渡った可能性が相当高い”で結末を迎えた。
「合法的な活動」を用いたスパイ行為も
このように、民間で発覚した事案でさえ、依頼企業が公表しなければ表に出ない上、依頼を受けた側も秘密保持契約が当然あるので公にするわけにはいかないのだ。また、依頼企業の目線に立てば、自社の保有技術・情報が他国に漏れたという点で自ら捜査機関に申告し、仮に事件化された場合には大々的に広報されてしまい、自社のレピュテーションが損なわれるような結果は敬遠したいと考えるだろう。要するに、官民を問わずスパイ事案というものは表に出てきづらいのである。
ちなみに、これまで言及した内容はすべて“法に触れるスパイ活動”の一部であるが、諜報活動・技術流出の問題は何も違法な手法のみではない。中国の千粒の砂戦略(※1)のように、悪意・善意を問わずビジネスパーソンや留学生が日本で知見を蓄え帰国する手法(海亀族といわれる)や、投資活動等の合法的な経済活動によって、日本の技術が浸食されている点は留意しなければならない。
※1 千粒の砂戦略:ロシアのようにスパイによる典型的な諜報活動ではなく、人海戦術のごとく、ビジネスパーソン・留学生・研究者など多種多様なチャネルを使用し、情報を砂浜の砂をかき集めるように、情報が断片的であろうとも広大に収集する戦略。
道を尋ねるふりをして話しかける
2022年7月、在日ロシア通商代表部の男性職員が、国内の複数の半導体関連企業の社員らに接触しているとして、警視庁公安部が企業側に注意喚起を行った。
報道(読売新聞オンライン 2022年7月28日)によれば、通商代表部職員は2020年末頃、半導体関連企業の会社近くの路上で、道を尋ねるふりをして社員らに話しかけ、連絡先を聞き出したり、「飲みに行きませんか」と誘ったりしていたそうだ。
産業のコメとまでいわれる半導体だが、デジタル化社会を見据えれば半導体の需要は明らかであり、さらに米中技術覇権争いの代表的存在でもある。スパイはそういったセンセーショナルな技術・トレンドの情報のみを欲しがるのだろうか。ところが、答えはNoだ。スパイは何も先端技術ばかり欲しがるわけではない。
ありとあらゆる民間企業の技術が狙われている
例えば、中国政府が発表している外商投資奨励産業目録(外国投資家による投資の奨励および誘致に関連する特定の分野、地区等が明記されたリスト)に目を通すと、そこには農産物や文化教育、さらにはキャタピラ式クレーンやセダンのホイールベアリング等といった具体的な部品名まで500以上が詳細に記載されており、これらは中国にとって、投資を奨励したい=関心が高いと見て取れる。
また、中には「直径が2mを超え、深度が30mを超える大口径回旋式掘削機、直径が1.2mを超える管推進機装置、曳引(えいいん)力が300トンを超える非開削地下パイプ敷設プラント設備の製造、地下連続壁工法掘削機の製造」などといった記載も見受けられる。この場合、関連する技術を部分的にまたは間接的にでも持つ日本企業は相当数あるだろう。 私がスパイであれば、もちろん狙いに行く。
スパイ活動の対象になるのは最先端の技術とは限らない。活動を仕掛ける側の国にとっては、一世代前の技術が思わぬ価値を持つ場合もあるし、彼らの貿易相手国に売れる技術も最先端のものばかりではない。要するに、どんな技術・情報をターゲットにするかはスパイが決めるのだ。さらに、スパイは“本丸”に近づくため、必要であれば周辺者にも接近する。
日本のファンドに中国共産党関係者指揮下の人物が
技術情報だけではなく、政治工作や情報工作のために、一般人・企業に接近する場合も当然ある。2022年9月には、中国国家安全部の工作員が、米ツイッター社で働いていたことを米連邦捜査局(FBI)が突き止め、FBIが同社に警告していたと報じられている(ロイター 2022年9月14日)。このように、工作を行うためであれば、有名企業への就職も手段として当然である。
私の民間での経験であるが、日本のファンドに中国共産党の人物の指揮命令下にいる人物が役員を務めていた事案も調査している。この事案では、対象者がM&Aを通じて日本企業の技術の獲得を画策していたと想定されたが、恐ろしいのは、その目的を果たすために非常に優秀な人物を日本のファンドに送り込んでいたことだ(ただし、この事案において、違法行為は全くなかった)。
一般人を巻き込んだ工作も
別の例では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)等の約200近い団体・組織が2016年6月から大規模なサイバー攻撃を受けた件で、その一連のサイバー攻撃に使用された日本国内のレンタルサーバーを偽名で契約・使用していたとして、捜査機関が2021年4月、30代の中国共産党員の男を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で書類送検(読売新聞オンライン 2021年4月20日)。同年12月にもう1人、中国人元留学生について逮捕状を取った。
このうち元留学生「王建彬」は、レンタルサーバーの契約を人民解放軍のサイバー攻撃部隊「61419部隊(第3部技術偵察第4局)」所属の軍人の女から頼まれたという。王が以前勤めていた中国国営企業の元上司が、王と女をつないだとされる。(47NEWS 2022年7月4日)
この事件の恐ろしいところは、サイバー攻撃の偽装・足取りを消すために王という一般人が使用された上、そのきっかけとなったのは、王の元上司という極めて私的な人脈なのだ。これが諜報の世界である。
普通の一般人であっても、それとは気づかぬうちにいつの間にかスパイに使用される側に回ってしまうことはいくらでもありうる。あなたが日本人であっても、それは同じことだ。(後編に続く)
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- 稲村 悠(いなむら・ゆう) 日本カウンターインテリジェンス協会代表理事 元警視庁公安部外事課警部補。国際政治、外交・安全保障オンラインアカデミーOASISフェロー。警察学校を首席で卒業し、同期生で最も早く警部補に昇任。警視庁公安部外事課の元公安部捜査官として、カウンターインテリジェンス(スパイ対策)の最前線で多くの諜報活動の取り締まりおよび情報収集に従事、警視総監賞など多数を受賞。退職後は大手金融機関でマネージャーとして社内調査指揮、大手コンサルティングファームにおいて各種企業支援コンサルティングにも従事。2022年、日本カウンターインテリジェンス協会を設立。民間発信のカウンターインテリジェンスコミュニティの形成を目指している。著書に『元公安捜査官が教える 「本音」「嘘」「秘密」を引き出す技術』(WAVE出版)がある。 ----------
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3月19日10:00 YAHOO!JAPANニュース PRESIDENT Online「「母校が同じ」に親近感を抱いたらもう手遅れ…ロシアや中国のスパイが「普通の民間人」を陥れる巧妙な手口
退社後の帰宅ルートは100%把握している
稲村 悠 日本カウンターインテリジェンス協会代表理事
facebook
【前編】道を尋ねてきた人間はスパイだった…ロシアや中国が「日本の普通の企業の普通の技術」を狙っているワケ
ロシアや中国の「スパイ」は、どのように接近してくるのか。元警視庁公安部捜査官/日本カウンターインテリジェンス協会代表理事の稲村悠さんは「道を尋ねてきて、『母校が同じですね』と話を合わせてくる。親近感を抱いて、会食をともにすれば、どんどん入り込まれてしまう」という――。(後編/全2回)
仮面をつけた男写真=iStock.com/Motortion※写真はイメージです
全ての画像を見る(3枚)
スパイ側の視点から工作活動を考えてみる
前回はスパイのターゲットという視点からの解説を行った。今回の記事では、スパイ(=攻撃者)の目線での解説を試みる。サイバーセキュリティーにおけるペネトレーションテスト(侵入テスト)と同様、攻撃者の目線に立つと、攻撃者の思考が理解できるからだ。
前回の記事でも触れた、ロシア通商代表部職員が半導体関連企業の社員らに道を尋ねるふりをして話しかけ、「飲みに行きませんか」などと誘っていた件(読売新聞オンライン 2022年7月28日)を改めて振り返ってみよう。恐らく読者の皆さまの大多数が、「道を尋ねられて、なぜ不用意に飲みに行くんだ。普通は行かないだろう」と考えるだろう。しかし現実に、この手法は日本におけるスパイ活動の入り口としては決して少なくないのである。
なぜだまされてしまうのか。そのメカニズムをスパイの目線で解説しよう。
某国のスパイZ氏が、本国より以下の下命を受けたとする。
「日本では、次世代半導体の短TAT(受注から製品供給までの所要時間が短い)量産基盤体制の構築に向け、複数企業で新会社を立ち上げる予定である。同社の設立動向と機微技術情報を広く収集せよ」
数年がかりでターゲットを下調べするケースも
下命を受けたZ氏はこう動く。
1.ターゲットの選定
ターゲットは、新会社の設立元となる企業の半導体関連部署の従業員(役員を含む)、または従業員の家族や知人、その他新会社設立に向け関与しうる人物(主担当部署ではなく、法務などももちろん視野に入る)。その動向を知る異業界の人物や秘書、その家族なども候補とする。
ターゲットはダイレクトに情報にアクセスできる人物であればよいのは当然だが、そこに行きつくまでに間接的な人脈をたどるルートも考えられる。また、家族から接近してもよい。例えば、妻は夫の知らないコミュニティーで警戒心なく活動しているが、いざとなれば夫の所有する端末にアクセスできる。男女の関係から妻を取り込むのも手段の一つだ。
バス停に並ぶ人たち写真=iStock.com/Bill Chizek※写真はイメージです
上記に当たる人物に直接接触を試みずに、その人物の出入りする社屋周辺で釣り針を仕掛けてもよい(単に道を聞いて親切に答えてくれる人物からたどればよい)。現に、スパイによるこのような活動=リクルート活動は多く見られる。
2.ターゲットの調査/評価
ターゲットが決まったら、その人物を徹底的に調べ上げる。例えば、1年近くあなたの行動がスパイに見られていたとしたらどうだろうか? あなたの買い物や出先での行動から趣味嗜好しこうや健康状態、家族との関係もすべて把握される。恐らく、行きつけの店や友人、異性の好み・性癖も容易に把握されるだろう。
そして、ターゲットとして有益な人物かどうかの評価を行う。情報を保有しうるか、アクセスしうるか、“落としやすい”か、がスパイ側にとっての評価のポイントだ(中国のハニートラップ事例では、数年単位で対象を調査する場合もある)。
3.接近/接触
いよいよ接近/接触だ。ここでは先の例の通り、道を聞く手法をとり、ターゲットは設立元の半導体開発部門の人間とする。
某日、ターゲットが退社のため、会社を出たところで、Z氏はいかにも人の好さそうでかつ困った顔をして「すみません、○○駅までどのように行けばよいのでしょうか?」と流暢な日本語で話しかけた。
ターゲットは当然、困った人に対して親切に道を教える。ここでの注意点は、Z氏はターゲットを調べ尽くしており、退社後どのように自宅に向かうかを100%把握しているということだ。つまり、Z氏が道案内を依頼するのは、“ターゲットが帰宅時に使用する駅”にほかならない。そうすれば、会社から駅まで一緒に歩きながらターゲットと会話できるからだ。
相手が警戒心を解く魔法のキーワード
駅までの会話では、人当たりのよいZ氏主導で他愛もない世間話が行われる。そのうちZ氏から「実は、一時期C大学で勉強をしていました。」という話が出る。もちろん、C大学はあらかじめ調べ上げたターゲットの母校であり、ターゲットはZ氏から思わぬ共通点を示されたのだ。
なぜZ氏はこのようなことを言ったのか? 理屈は簡単だ。あなたの見知らぬ人物が、同郷だったら? 母校が同じだったら? 皆さんも思わぬ共通点の話題で相手に親近感を持ち、話が盛り上がった経験があるだろう。ターゲットを知り尽くしているZ氏はそれを狙う。
ひとしきり母校の話で盛り上がったところで、Z氏から「日本で半導体関連の研究をしている」と言われたターゲットは、半導体関連の話にも花を咲かせる。ここまでくれば、Z氏にとって、ターゲットへの接近は成功したといっても過言ではない。
これらの状況は、Z氏がターゲットを入念に調査しているからこそ、演出できるのであり、そのタイミングや環境の創作はZ氏の思いのままだ。
そして、Z氏は偽名の名刺、ターゲットがZ氏の国に警戒心がなく、公的な身分に安心感を覚える人物であれば外交官等の身分の名刺を差し出し、ターゲットとの連絡先の交換に成功する。
4.その後
ターゲットは、後日Z氏から連絡をもらい、「半導体の基礎知識について勉強させてください。一杯いかがですか?」と会食に誘われる。Z氏は当然、半導体の基礎知識は持っているが、ターゲットとの会食の序盤は、リスクの全くない情報の交換から始まり、徐々に要求をエスカレートさせていくのがスパイの常套手段である。
ターゲットは、Z氏から「勉強させてください」という低姿勢を見せられ、教えてあげようという親切心が湧いてしまい、会食に同意してしまう。(Z氏の国における半導体事情を探りたいという心理も幾分含まれるだろう)
初回の会食では半導体の基礎知識の勉強話に花を咲かせ、Z氏は手土産で受け取るに差し支えない名産品や茶菓子をターゲットに贈る。ターゲットを金品の授受に慣れさせるのだ。
以降、会食を重ねるに連れ、手土産は茶菓子→商品券→現金と変容し、Z氏の要求は表に出ていない情報へとレベルアップしていく。
金の入った封筒を手渡す人物写真=iStock.com/Atstock Productions※写真はイメージです
この時点で、仮にターゲットが警戒心を持ったところで既に遅い。なぜなら、ターゲットが金品を受け取ってしまった事実を後ろめたく感じ、Z氏に「これ以上は……」と断りの言葉を発しようものなら、Z氏から「あなたにどれだけお渡ししたか覚えていますか? 今更関係をやめたいと言われては困ります」と言われ、暗に“贈収賄の共犯者”のような関係であることをほのめかされてしまうのだ。ターゲットは、Z氏の鋭いまなざしに恐怖さえ覚え、関係を断つことを躊躇してしまう。
こうして、ターゲットが警戒心を持とうが持つまいが、数年~数十年にわたってスパイに“貢献”してしまうことになる。スパイに脅されながら高い要求に応えていくか、どこかで捜査機関に検挙され、スパイにボロ布のように捨てられるかだ。もし検挙されれば、職はもちろん家庭をも失いかねない。住居の引っ越しを余儀なくされ、再就職もままならず、悲惨な人生の結末を迎えるかもしれない。
家族が最初のターゲットになったとしたら
以上が、スパイがターゲットを取り込むプロセスの典型的な例である。多少のステップは省略しているが、その身近な手口を実感いただけたのではないだろうか。さらにいえば、あなたに近づくために、あなたの家族が最初のターゲットとなった場合を想像してみていただければ、その恐ろしさが想像できると思う。
スパイへの初期的対応策
さて、今回解説した典型的なスパイ活動への初期的対応策は何であろうか。
スパイというニッチな脅威に対し、防衛関係の大企業のみが意識が高く、その他業種の大企業や中小企業が無関心でいてくれれば、スパイとしてはこれほど攻めやすいことはない。思い返してほしい。スパイが欲する技術・情報は何も特定の大企業のみが持っているわけではなく、そのネットワーク内に入り込めればよいのだ。ターゲットは“本丸”だけではない。
さらに、日本の技術は中小企業が支えているともいわれている。潤沢な資金がある大企業と比して、中小企業においてスパイ対策に大きな予算を割くことができるだろうか。
そこで、まずスパイの手口を知り、防衛意識を高めることが、初期対応として簡易かつ有効なのである。ここで注意すべきは、過度に“国名”に敏感になり、排他的な思想を持たないことだ。今回解説した中で出てきた国は、現在の国際情勢を鑑みても決して日本と素晴らしい関係にあるとはいえず、スパイ活動を国家の意思によって行っている。それでも、日本にいる外国人のほとんどは善良な心の持ち主である。
どうか、読者の皆さまを通じ、日本におけるカウンターインテリジェンス意識の向上がなされ、民間発信のカウンターインテリジェンスコミュニティーの形成の発端となることを願ってやまない。」
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日本国内で暗躍する反天皇・反日・敵日の外国人のスパイ・工作員と彼らに協力する日本人が存在する事は、現代でも戦前でも同じであり、それは奈良・平安の世でも変わりなかった。
戦前のキリスト教系朝鮮人テロリストは、日本人共産主義者や無政府主義者テロリスト同様に昭和天皇と皇族を惨殺する為に付け狙っていた。
戦前の反日・敵日とは、日本包囲網を形成してた中国(中国共産党)、ソ連と国際共産主義勢力、朝鮮、アメリカであった。
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歴史的事実として、古代から、日本は被害者であり、中国や朝鮮は加害者であった。
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日本の戦争は、外国からの日本侵略と天皇殺害に対する合法的正当防衛としての積極的自衛戦争であった。
自衛とは、ロシアの軍事侵略、キリスト教の宗教侵略、アメリカの軍事侵略、ソ連・コミンテルン・中国共産党によるイデオロギー侵略であった。
そして、日本人共産主義者テロリストとキリスト教系朝鮮人テロリストによる昭和天皇と皇族の暗殺失敗と、大陸系渡来人の東漢直駒(やまとのあやのあたいこま)による第32代崇峻天皇を暗殺である。
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日本民族にとって、中国人と朝鮮人は天皇殺し・神殺し・仏殺しの、冒してはならい穢してはならない尊き存在に対する「畏れ」を知らない、バチ当たりな、心が穢れた非人間であった。
例えれば、イエス・キリストを殺したユダヤ人である。
それ故に、日本は中国と朝鮮に対して偏見を持ち差別してきた。
ユダヤ人のイエス・キリスト殺しは、聖書における信仰宗教であった。
渡来人(外国人移民)の第32代崇峻天皇暗殺は、歴史的事実である。
日本民族は、命を捨てても天皇を助け皇室を護ろうとするが、決して天皇を殺し皇室を滅ぼそうとはしない。
歴史的事実として、権力闘争・政争で、天皇に即位する前の皇族は殺害され天皇を退位した上皇・法皇は島流しにあったが、日本民族日本人によって殺された天皇は誰もいない。
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古代から北九州や西中国地方には、日本天皇への忠誠を拒絶し反旗を翻し日本国から独立する為に、中国大陸や朝鮮半島の敵日勢力と手を組み軍事支援を得て天皇に対して反乱を起こそうと企む反ヤマト王権勢力が存在していた。
ヤマト王権は、国内外に数多くの敵と戦いながら日本統一を行い、天皇の下で日本を一つにまとめいた。
天皇制度国家日本を取り巻く環境は、昔も現代も同じで、むしろ現代の方が悪化している。
日本は、古代と同じように中国(中国共産党)、韓国・北朝鮮そしてそこに現代ではロシアが加わった4か国対日包囲網の中に存在している。
そして、国内外に反天皇反民族反日的日本人達が暗躍している、彼らはマルクス主義者(共産主義者)とキリスト教徒、その他である。
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親日・知日は、古朝鮮、百済、高句麗、古新羅、渤海。
反日・敵日・侮日は、統一新羅、高麗、李氏朝鮮、大韓帝国、韓国・北朝鮮。
韓国は反日派・侮日派であり、北朝鮮は敵日派・嫌日派である。
日本人にとって朝鮮人とは、信用・信頼できる友・友人ではなく、頼もしい親友ではなく、命を預けて共の戦って生きる戦友でもなかった。
いつ何時、寝首を掻きに来るか判らない、安心しているといきなり後ろから突然襲ってくる、油断も隙もない敵であった。
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日本に逃れてきた朝鮮半島の難民や移民達には、帰化人と渡来人の二種類がいた。
帰化人は、天皇に忠誠を誓い、日本国の為に働いた。
渡来人は、天皇への忠誠を拒否し、日本国の為ではなく自分の利益の為に働いた。
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日本人の朝鮮人や中国人に対する偏見や差別はここから始まっている。
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大陸系渡来人の東漢直駒(やまとのあやのあたいこま)は、第32代崇峻天皇を暗殺した。
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663年 唐は、白村江で日本軍を破り、日本侵略の為に山東半島などに大船団を終結させた。
愛国者大伴部博麻は、白村江の戦いで捕虜となって唐に連れて行かれ、唐軍の日本侵略情報を日本に知らせる為に自分を奴隷に売って資金を作り、唐に残っていた遣唐使に渡して急ぎ帰国させた。
天智天皇は、唐軍の侵略に備えて北九州から瀬戸内海にかけて水城(みずき)を築き、全国から防人を集めて配置し、万全な防備体制を固めた。
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668年 草薙剣盗難事件。新羅の僧沙門道行は、尾張の熱田神宮に祀られた御神体である「草薙剣」(三種の神器の一つ)を盗んで新羅に逃げ帰ろうとした所を捕らえられた。
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672年 壬申の乱。天武天皇の反唐派(反中派)・保守派は、近江朝廷を滅ぼし、大友皇子を自害に追い込み(追謚・弘文天皇)、親唐派(親中派)を政治の中枢から追放した。
「大友王子とその周辺の五大官、そしてブレインの亡命百済人のみによって運営されていた近江朝廷は、急速に親唐外交路線へと傾斜していき、対新羅戦用の徴兵を急いだ」(倉本一宏『内戦の日本古代史』、講談社)
生き残った親唐派(親中派)の日本人や渡来人達は、地方ヘと逃げて土着した。
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668年~780年 新羅は、朝貢の為に遣日本使を30回以上送った。
新羅は、対唐(中国)政策として日本天皇に臣下の礼をとって忠誠を誓ったが、それは本心ではなくウソであった。
つまり、朝鮮半島には信用・信頼、信義・道義など存在しない。
日本にとって朝鮮は、親日・知日ではなく友・友人、親友、戦友にもならず、反日・敵日・侮日として油断も隙もない恐ろしい「寝首を掻きにくる敵」であった。
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724年~749年 聖武天皇の御代では、日本各地で自然災害と西国で反乱が多発し、夥しい人々が犠牲となった。
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764年 藤原仲麻呂の乱。帰化人対渡来人の攻防。
親唐派の藤原仲麻呂は、新羅討伐を計画して軍備を整えていた。
孝謙上皇(女帝)は、唐から帰国した吉備真備や坂上氏など帰化人軍事勢力らと図って藤原仲麻呂を滅ぼした。
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811(弘仁2)年 弘仁の新羅の賊。新羅船3隻は、新羅海賊船団20隻以上を手引きして対馬を襲撃した。
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813年 第52代嵯峨天皇。新羅の漁民と海賊の船団110人は、肥前の五島などに上陸して襲撃し、島民100人以上を殺害し、日本人を拉致して行った。
五島の島民は、新羅人9名を殺し、多くを捕らえて役所に突き出した。
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820年 弘仁新羅の乱。東国・関東には半島から逃げて来た移民・難民が多数住んでいた。
天皇への忠誠を拒否した新羅系渡来人700人以上は、駿河・遠江の2カ国で分離独立の反乱を起こした。
が計画的な反乱ではなかったので、朝鮮半島の統一新羅は動かず日本を侵略しなかった。
同様に、日本各地に定住していた新羅系渡来人や百済系帰化人・高句麗系帰化人も反乱に同調せず、日本を揺るがす内乱・内戦に発展しなかった。
834年 日本人百姓は、偏見と差別、新羅系渡来人への憎悪から武器を持って新羅村を襲撃した。
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869年 貞観の入寇。新羅の海賊。
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870年 太宰少弐・藤原元利麻呂は、「新羅と通謀して謀反を企てている」との告発で捕縛された。
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893(寛平5年)および 寛平の韓寇。新羅の海賊は熊本、長崎、壱岐、対馬を侵略。
894年9月 唐の将軍を加えた新羅船100隻、2,500人が、対馬を襲撃した。 対馬の文屋義友は約500人の手兵で迎え撃ち、敵の大将を含む302人を撃ち取った。 捕虜となった新羅人の自白「朝鮮半島は不作により人民は飢えに苦しみ、治安が悪化していたため〝王の命令により〟襲撃した」
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898年と899年に、大規模な反天皇の武装蜂起を起こした。さらに各地で、幾つかの反日暴動を起こしていた。
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906年 延喜の新羅の賊。
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935年 統一新羅は、高麗の王建によって滅ぼされた。
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997(長徳3)年 長徳の入寇。高麗の海賊の侵略。
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1019年 刀伊の入寇。満州の騎馬民族・女真族による北九州侵略。
『韓国人に不都合な半島の歴史』 著者 拳骨たくみ「太宰府が4月16日に送った報告書が『朝野群載』(巻20)に記載されている。
その記述によると、彼らは畠を食いつくし、馬や牛、犬の肉まで食べたという。年寄りから子供らはみな惨殺され、壮年の男女400~500人は船に乗せられ拉致された。
……
高麗海軍による攻撃を受ける最中、賊たちは日本人捕虜たちを殺したり、す巻きにして海に投げ込んだりした。
高麗は日本人を救出し、300人余りが助かったと生存者の供述書に書かれているが、この時点で拉致された人々の80%近くが死亡していることがわかる。
……
一方の日本は、高麗に対して不信の念を強くしていた。
権大納言の藤原実資は、『賊は刀伊ということだが、捕虜を尋問したところ『高麗国が刀伊を防ぐために自分たちを派遣したが、刀伊に捕縛された』と答えている。数千もの賊がいて、なぜ捕まったのが高麗人だけなのか。賊は高麗人が嘘をついて刀伊人であるとしているのではないか』との見解を示した(『小右記』)。
この不信感には先述したように、かつて新羅による海賊行為がしばしば見受けられたことで、裏で高麗が糸をひいているのではないかと考えられたからに他ならない。
これらの事例からも、日本が韓国を古来から尊敬していたなどという話は、まったくの架空であることがわかるだろう。
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文永の役(1274年)と弘安の役(1281年) 元寇。元(中国)・高麗・旧南宋連合軍による日本侵略。
高麗軍は、日本人を虐殺し、子供約300人を強制連行し戦利品として忠烈王に献上した。
日本人の子供たちは奴隷にされ、生きて日本に帰る事はなく異国で死んだ。
捕らえた捕虜で、元南宋人(中国人)は助けたが、蒙古人や高麗人は殺した。
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虐殺から生き残った対馬・壱岐・北九州の住民は復讐で怒り狂い、前期倭寇となって報復として高麗(朝鮮)や元・明(中国)を荒らし回り殺害・強奪・強制連行を行った。
前期倭寇が行った残虐行為は、「目には目を、歯には歯を」の「相手の仕打ちに対して同様の仕打ちで対応する」という合法的正当行為であった。
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1392年 李成桂は、主君の高麗王を裏切って殺害し、高麗王族を根絶やしにする為に女子供まで容赦なく虐殺して、主家の高麗王朝を滅ぼして半島を統一した。
李成桂は、明帝皇帝に臣下を誓い、明国の属国になり、半島に於ける正当な唯一の支配者・統治者と認められ、その証として「朝鮮」という国名と民族名を下賜された。
この後、独立国君主でない朝鮮国王は、新たに国王に即位する為には明国皇帝からの認可が必要とされ、明国からの皇帝勅使一行を王都の城門前まで出向き土下座して迎えた。
朝鮮の小中華思想では、中華皇帝によって正当性を認められた朝鮮人を上位者とし、正当性を認められていない日本人を下位者とし、その偏見で日本人を野蛮人と軽蔑し見下して差別した。
歴史的事実として、人種・民族・部族に対する偏見・軽蔑・差別・迫害・弾圧・虐殺において、最も激しいのは中国であり、次ぎに朝鮮で、日本は東アジアで最も少ない。
朝鮮人や中国人は、性悪説として、気が強く傲慢で、嘘をつき人をよく騙す。
日本人は、性善説で、気が弱くお人好しで、嘘をつかず人に騙されやすい。
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1405年~1433年 明の永楽帝。イスラム教徒で宦官の鄭和は、大艦隊を率いて南海遠征を行った。
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1419年 応永の外寇。世宗大王・李氏朝鮮軍による対馬侵略。
朝鮮軍、227隻、1万7,285人。
島民114人を虐殺し、民家1,939戸を焼いた。
対馬守護代の宗貞盛は反撃し、朝鮮軍2,500人(一説では3,700人)を撃ち取り、日本側の戦死者は123人。
朝鮮軍は、台風を恐れて全軍撤退し、事実上の敗走であった。
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1428年 世宗大王は、日本からコメ作りや水車の製造など多くの事を学んだ。
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後期倭寇は、対馬・壱岐・北九州などに拠点を持っていたが、日本人は1割以下で、大半が中国人・朝鮮人・南蛮人であった。
日本人は、大陸や東南アジアとの正当な合法的交易で利益を上げていて、人が嫌う危険な海賊行為=倭寇で荒稼ぎするほど物好きではなかった。
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大正13(1924)年1月5日 朝鮮人テロリスト集団の義烈団による二重橋爆弾事件。
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昭和6(1931)年9月18日 満州事変。
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昭和7(1932)年1月8日 桜田門事件。上海系朝鮮人テロリストによる昭和天皇の暗殺を狙った襲撃事件。
1月28日(~5月) 第一次上海事変勃発。
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歴史的事実として、日本国内には中国や朝鮮のような血に飢えた盗賊・野盗・山賊・海賊のような兇悪な犯罪集団は少なかった。
黒沢明監督の映画「七人の侍」の世界が日本の乱世であった。
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👹22:─1─若者は「自民党が大好き」である。安倍元首相暗殺でみえたネトウヨ急増のワケ。~No.81No.82No.83
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
保守志向の若者は、リベラル派・革新派・一部の保守派のおじさん・おばさん・シニアを疑い反発している。
それは、世代間断裂や世代間対立ではない。
安倍元首相が選挙に強く長期政権を維持できたのは、岩盤支持者である保守志向の若者の支持を得ていたからである。
・ ・ ・
2023年3月15日 YAHOO!JAPANニュース 幻冬舎ゴールドオンライン「なぜ日本の若者は「自民党が大好き」なのか…「安倍元首相暗殺」でみえた“ネトウヨ急増”のワケ【元国連職員が解説】
ここ数年、自民党の支持層は「ネトウヨ」と呼ばれる人々や保守派が多いと考えられてきました。しかし、安倍元首相の暗殺事件を機に「自民党が若者に人気である」という事実が浮かび上がってきたと、元国連職員の谷本真由美氏はいいます。なぜでしょうか。本記事で詳しくみていきましょう。
なぜ日本では若者に自民党が大人気なのか?
安倍さん暗殺のニュース映像を見ていて驚いたことがあります。それは従来、自民党の支持者だったと言われているような感じの人々があまり見当たらないことでした。
ここ数年メディアやネットで言われてきた最近の自民党支持者というのは見るからにオタク系の人で、中年以上の男性や高齢者が多いというこれまでの自民党支持者像とは大きく異なります。
またそういった人々を研究した書籍の中に『ネットと愛国』という本があります。これはフリーライターの安田浩一さんが、在特会(在日特権を許さない市民の会)で外国人排斥運動に関わる人々について丹念な取材をおこなった作品で、当時の「ネトウヨ」の姿を描き出す貴重な資料です。
この本の中に登場する人々は無職だとか非正規雇用の男性がかなり多く、女性も若干はいるのですが主流ではありません。しかしながらこのような人々を差別的な視点や批判的な目で見るのではなく、保守になるのには厳しい生活環境があったり、仕事も必ずしもうまくいかなかったりといろいろな理由があることを描き出しています。
登場する一般の人々の多くは地方在住で豊かとはいえない生活です。要介護の親を抱えた人もいます。生真面目な人々が多く、たいへん真面目な気持ちで保守活動や排外活動をやっている。そして政治的には自民党を支持しているのです。
この本が出た少しあとに出版された『ネット右翼とは何か』(樋口直人ほか著)もおもしろい本です。ネトウヨの人々についてさらに切り込んだ研究をされています。
この本で描かれるネトウヨの人々は中年以上で安定した仕事や資産があり、金銭的に豊かな自営業者や公務員、大企業の社員などで、その多くは自民党支持者です。アメリカやイギリスの保守系有権者のプロファイルも社会学者や政治学者の研究ではこの本に登場する人々とほぼ同じなので、このような批判は的を射たものでしょう。
ところが今回の安倍さんのお見送りや献花でわかるように、どうも安倍さんや自民党の支援者の少なからぬ人が、いわゆる「サイレントマジョリティーだった」ということが真相のようです。
テレビに映る姿や、実際に現場へ取材に行った方のお話を総合すると、献花会場に来ていた人々は、『ネットと愛国』の中年非正規雇用男性とも、『ネット右翼とは何か』の裕福な自営業者とも、まったく異なるのです。
来ている男性もきちっとした服装の若いサラリーマン風の人が多かったようです。また高校生や大学生もかなりいたとのこと。しかも制服を着崩しているのではなく、きちっとした学生さんが多いのです。有名校の生徒も少なくありません。これはこれまでメディアが伝えてきた自民党の支持者や近年の保守化する人々というのとはかなり違うようですね。
海外の若者は左翼系政党を支持する傾向
私はこのような実態を知ってたいへん驚かされました。従来であれば左翼政党を支持していたような人々が現在では自民党の大きな支援者であり、また若い人々は革新系政党ではなく自民党を支持している人が多いのです。
若い人の多くは、とにかく自民党が好きなのです。これは何を示唆するのでしょうか──。
若い人ほど現実に起きていることにかなり敏感で、特に子どもの頃に東日本大震災などを経験したことが、かなり影響があるのではないのかと思われます。ロシアや中国の脅威を恐れて安全保障政策を重要視しており、そして自分たちの置かれた社会が急激に変化してしまうことを避けたいという人が多いのです。
かつて若者のほとんどが「安保反対!」と叫んでいた時とは隔世の感があります。これはアメリカやヨーロッパでは、若い人は革新系の政党を支持することが多いのに比べると興味深いことです。
欧米でも最近流行っている「ブラック・ライブズ・マター」という運動や、かなり過激な環境運動、LGBTQの問題に熱心なのも若い人々です。ようするに若い人は左翼系の団体や政党を支持することが多いのです。
格差が大きくなっており、階級が固定されてきているアメリカやヨーロッパの実態を考えると、若い人がこういった左翼系の政党を支持するのは大いに納得できることであります。
ところが日本の場合は現状維持を最優先し、大企業に有利な政策をおこなう自民党を支持しているのであり、そのほうが自分たちの生活にとっては有利であると考えているのでしょう。
谷本 真由美
公認情報システム監査人(CISA)
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💢94:─1─何故、「日本は戦ってでも侵略から国を守らなければならない」と言ってはいけないのか。~No.384No.385
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それが、第九条平和憲法の正体。
リベラル派・革新派と一部の保守派の護憲派。
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2023年3月15日 YAHOO!JAPANニュース ニッポン放送「日本は「戦ってでも侵略から国を守らなければならない」と言ってはいけないのか
ジャーナリストの佐々木俊尚が3月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。国際社会における中国の存在と今後の日本の安全保障の在り方について解説した。
国際社会の秩序を西側諸国から自分たちの方へ引き戻したい中国 ~軍事力・経済力だけで世界をまとめるのは難しい
※画像はイメージです
飯田)中国の習近平国家主席は先日、イランとサウジアラビアの仲立ちをしました。
佐々木)中国にとっては大きな成果だったと思います。中国は「グローバル安全保障イニシアティブ(GSI)」のような、新しい安全保障の枠組みを中国主導でつくろうとしていて、「国際社会の秩序を西側諸国から自分たちの方へ引き戻したい」という目論見があるようです。
飯田)中国に。
佐々木)しかし、そうは言いながらも強権的なので、アフリカや東南アジアでも警戒されている。経済力だけでいろいろな国を引きつけていますが、アメリカのようなソフトパワーを持っているかと言うと、現状では持っていません。
飯田)アメリカのようなソフトパワーは持っていない。
佐々木)軍事力・経済力だけで世界をまとめるのは難しいのではないでしょうか。民主主義ではない強権国家が世界の中心になるのは、現状ではあり得ないと思います。
ロシアに寄れば寄るほど孤立する ~中国はどこでバランスを取るつもりなのか
飯田)最近の例だと、フィリピンが前政権までは是々非々と言いつつ、中国にも寄っていく部分がありましたが、マルコス政権になってから離反しているという話があります。
佐々木)そうですね。保守政権に戻ったからなのですが、韓国でさえも最近、日米寄りになってきています。全体的に見ると、ロシアに寄っていけばいくほど、他の国から孤立していく。だから「中国はどこでバランスを取るつもりなのか」というところだと思います。
3つの核保有国に囲まれる日本 ~昭和のころには予想もしなかった状況に
飯田)ウクライナで起こっている「力による現状変更」を許すわけにはいかない。それは東アジアにおいても言えることです。
佐々木)いまやロシア、北朝鮮、中国という3つの核保有国に周りを囲まれていて、しかも、どの国も侵略戦争を起こしかねない状況になっているのは、昭和のころには誰も予想していなかったことです。日中平和友好条約ができて、パンダ外交をやっていた時代から考えると信じられない状況になってきている。
飯田)そうですよね。
佐々木)この認識をどうやって変えていくかが、いま安全保障の専門家の方々に託されている重要な課題であり、世論も変わっています。
戦後、あらゆる局面での議論は「侵略する側になるな」というものだった ~侵略されることを想定したことがなかった
佐々木)一方で報道を見ていると、古臭い20世紀型の意見、冷戦下で核の傘にいた時代の安全保障議論しかしていない記者がたくさんいて、やはり「メディアは変わらないのだな」と思います。
飯田)顕著な例としては、「日本が侵略する(側になるかも知れない)。それを止めるためにアメリカに巻き込まれるな!」というような意見があります。
佐々木)岸田政権になって安全保障の枠組みが大きく変わったことに対しても、「日本を戦争ができる国にするのか」と言う人がいますが、戦後一貫して平和教育も含め、あらゆる局面での議論はすべて「侵略する側になるな」という議論であって、侵略される側の想定をしたことは1度もないのです。
日本が占領されたのはアメリカ軍による1度だけ
佐々木)日本は歴史的に見ると、他国に占領されたのはアメリカ軍による1回だけです。1回だけ占領した米国が実にリベラルだったので、今回のロシアのように虐殺もしなければ、酷いこともしなかったため、占領に対する危機感が非常に薄い。むしろ「占領されることで平和で民主的な国になるのではないか」と思っている人までいそうな感じもします。
飯田)「それで戦争が止まるなら」というような。
「戦ってでも侵略から国を守らなければならない」ということを言ってはいけない空気が未だにある日本 ~戦後80年近く続いた「平和ボケ」の影響か
佐々木)そういう発想があるから、ウクライナが侵略されて領土を奪われている状況でも、「早く停戦しろ」と言うようなマインドになってしまうのだと思います。
飯田)ウクライナに対して。
佐々木)「戦ってでも侵略から国を守らなければならない」と言ってはいけないような空気が未だにあるのです。そういうことを言うと「ネトウヨだ」などと言われてしまう。でも、世界的に見て侵略者から国を守ることは、右翼でも何でもなく、当たり前の常識です。「リベラルでも何でも関係ない」という認識が、なぜ日本で通用しないのかが不思議です。これこそが戦後80年近く続いた「平和ボケ」なのかなと思います。
「武装しなければ中立でいられる」という時代ではない
飯田)「反戦平和」と言うと、とにかく武器を捨てるという印象ですが、武器を捨てて丸裸になったら攻められ放題になります。
佐々木)思い出すと昭和の時代も「非武装中立」を唱える人がたくさんいて、「武装しなければ中立でいられる」という考え方がある。あのときも憲法9条があるから……。
飯田)「世界中から信用されているのだ」と。
佐々木)そう言っていたのだけれど、いまの現実を見ると、そんなことはあるわけがない。アメリカの抑止の傘のなかにいたから平和でいられただけなのに、現実を直視せず、夢を見ているような感じで過ごしたのが、この戦後七十数年だったのかなという感じがします。
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🎻16:─3─日本はアメリカの完全な属国。日本が押し付けられた「ヤバすぎる3つの密約」。〜No.59
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2023年3月2日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「じつは「日本」は「完全な属国」だった…日本が米国と交わした「ヤバすぎる3つの密約」
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日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。
【マンガ】『漫画版 知ってはいけないー隠された日本支配の構造ー』を無料で読む
*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。
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大きな歪みの根底
ここまでは、問題を調べ始めてから、四年ほどでわかったことでした。
つまり「戦後日本」という国が持つ大きな歪みの根底には、日米のあいだで結ばれた「法的な関係」が存在する。しかしその姿が、日本人にはまったく見えていない。
最大の問題は、そもそも一九五二年に日本の占領を終わらせた「サンフランシスコ平和条約」が、じつは普通の平和条約ではなかったことだ。
たしかにそれは、「政治」と「経済」においては占領状態を終わらせた「寛大な」条約だったが、逆に「軍事」に関しては、安保条約と連動するかたちで日本の占領を法的に継続し、固定するためのものだった。
その結果、「戦後日本」という国は二一世紀になってもなお、
「軍事面での占領状態がつづく半分主権国家」
であり続けている──。
多くの著者のみなさんとの共同研究により、そのことはほぼ証明できたと思っています。これまで精神面から語られることの多かった「対米従属」の問題を、軍事面での法的な構造から、論理的に説明できるようにもなりました。
けれども最後までどうしてもわからなかったのは、
「なぜ日本だけが、そこまでひどい状態になってしまったのか」
ということでした。
「戦争で負けたから」という答えは明らかな間違いです。
世界中に戦争で負けた国はたくさんある。けれども現在の日本ほど、二一世紀の地球上で、他国と屈辱的な従属関係を結んでいる国はどこにも存在しないからです。
そのことは第三章で紹介した、イラクが敗戦後にアメリカと結んだ地位協定の条文を読めば、誰にでもすぐにわかってもらえるはずです。
「密約の歴史について書いてくれ」
その点について、ずっとモヤモヤしたものが残っていました。もうひとつウラの構造があることはたしかなのですが、それが何かが、よくわからなかったのです。
そんなある日、
「密約の歴史について書いてくれませんか」
という出版社からのオファーがあったので、よろこんで引き受けることにしました。以前からずっと、調べてみたいと思っていたことがあったからです。
じつは戦後の日本とアメリカのあいだには、第五章で書いた、
「裁判権密約」
「基地権密約」
のほかに、もうひとつ重要な密約のあることが、わかっていたのです。それが、
「指揮権密約」
です。その問題について一度歴史をさかのぼって、きちんと調べてみたいと思っていたのです。
指揮権密約とは、一言でいってしまえば、
「戦争になったら、自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」
という密約のことです。
「バカなことをいうな。そんなものが、あるはずないだろう」
とお怒りの方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし日米両国の間に「指揮権密約」が存在するということは、すでに三六年前に明らかになっているのです。その事実を裏付けるアメリカの公文書を発見したのは、現在、獨協大学名誉教授の古関彰一氏で、一九八一年に雑誌『朝日ジャーナル』で発表されました。
それによれば、占領終結直後の一九五二年七月二三日と、一九五四年二月八日の二度、当時の吉田茂首相が米軍の司令官と、口頭でその密約を結んでいたのです。
「指揮権密約」の成立
次ページに載せたのは、その一度目の口頭密約を結んだマーク・クラーク大将が、本国の統合参謀本部へ送った機密報告書です。前置きはいっさいなしで、いきなり本題の報告に入っています。
「私は七月二三日の夕方、吉田氏、岡崎氏〔外務大臣〕、マーフィー駐日大使と自宅で夕食をともにしたあと、会談をした」
まずこの報告書を読んで何より驚かされるのは、米軍の司令官が日本の首相や外務大臣を自宅に呼びつけて、そこで非常に重要な会談をしていたという点です。占領はもう終わっているのに、ですよ。
これこそまさに、独立後も軍事面での占領体制が継続していたことの証明といえるようなシーンです。しかも、そこに顔を揃えたのは、日本側が首相と外務大臣、アメリカ側が米軍司令官と駐日大使。まるで日米合同委員会の「超ハイレベル・バージョン」とでもいうべき肩書きの人たちなのです。
「私は、わが国の政府が有事〔=戦争や武力衝突〕の際の軍隊の投入にあたり、指揮権の関係について、日本政府とのあいだに明確な了解が不可欠であると考えている理由を、かなり詳しく説明した」
つまり、この会談でクラークは、
「戦争になったら日本の軍隊(当時は警察予備隊)は米軍の指揮下に入って戦うことを、はっきり了承してほしい」
と吉田に申し入れているのです。そのことは、次の吉田の答えを見ても明らかです。
「吉田氏はすぐに、有事の際に単一の司令官は不可欠であり、現状ではその司令官は合衆国によって任命されるべきであるということに同意した。同氏は続けて、この合意は日本国民に与える政治的衝撃を考えると、当分のあいだ秘密にされるべきであるとの考えを示し、マーフィー〔駐日大使〕と私はその意見に同意した」
戦争になったら、誰かが最高司令官になるのは当然だから、現状ではその人物が米軍司令官であることに異論はない。そういう表現で、吉田は日本の軍隊に対する米軍の指揮権を認めたわけです。こうして独立から三ヵ月後の一九五二年七月二三日、口頭での「指揮権密約」が成立することになりました。
徹底的に隠された取り決め
ここで記憶にとどめておいていただきたいのは、吉田もクラークもマーフィーも、この密約は、
「日本国民に与える政治的衝撃を考えると、当分のあいだ秘密にされるべきである」
という意見で一致していたということです。
結局その後も国民にはまったく知らされないまま、これまで六〇年以上経ってしまったわけですが、考えてみるとそれも当然です。
外国軍への基地の提供については、同じく国家の独立を危うくするものではありますが、まだ弁解の余地がある。基地を提供し駐留経費まで日本が支払ったとしても、それで国が守れるなら安いものじゃないか──。要するに、それはお金の問題だといって、ごまかすことができるからです。
しかし、軍隊の指揮権をあらかじめ他国が持っているとなると、これはなんの言い訳もできない完全な「属国」ですので、絶対に公表できない。
そもそも日本はわずか五年前(一九四七年)にできた憲法9条で、「戦争」も「軍隊」もはっきりと放棄していたわけですから、米軍のもとで軍事行動を行うことなど、公に約束できるはずがないのです。
ですから、一九五一年一月から始まった日本の独立へ向けての日米交渉のなかでも、この軍隊の指揮権の問題だけは、徹底的に闇のなかに隠されていきました。
この「戦時に米軍司令官が日本軍を指揮する権利」というのは、アメリカ側が同年二月二日、最初に出してきた旧安保条約の草案にすでに条文として書かれていたもので、その後もずっと交渉のなかで要求し続けていたものでした。
しかし、日本国民の目にみえるかたちで正式に条文化することはついにできず、結局独立後にこうして密約を結ぶことになったのです。
その後アメリカは、占領中の日本につくらせた「警察予備隊」を、この指揮権密約にもとづいて三ヵ月後、「保安隊」に格上げさせ(一九五二年一〇月一五日)、さらにその二年後には二度目の口頭密約(一九五四年二月八日:吉田首相とジョン・ハル大将による)を結び、それにもとづいて「保安隊」を「自衛隊」に格上げさせ(同年七月一日)、日本の再軍備を着々と進めていきました。
それほど重大な指揮権密約ではありましたが、古関氏が雑誌に発表したときは、とくに反響らしい反響もなく、ただ編集部に、
「そんな誰でも知っていることを記事に書いて、どうするんだ」
などという嫌みったらしいハガキが、一枚来ただけだったそうです。
その二年前(一九七九年)にやはり公文書が発掘された「天皇メッセージ」(昭和天皇が一九四七年九月、側近を通してGHQに対し、沖縄の長期占領を希望することなどを伝えた口頭でのメッセージ)のときもそうだったようですが、問題が大きければ大きいほど、スルーされる。あまりにも大きな問題に対しては、そういうシニカルな態度で「なんでもないことだ」と受け流すしか、精神の安定を保つ方法がないということなのでしょうか。
しかしすでに述べたとおり、この密約を結んだ日米両国の要人たちは、それが日本の主権を侵害する、いかに重大な取り決めであるかをよくわかっていたわけです。
事実私も、戦後の日米関係のなかで最も闇の奥に隠された、この「指揮権密約」の歴史をたどることで、それまでわからなかった日米間の法的な関係の全体像を理解することが、ようやくできるようになったのです。
さらに連載記事<なぜ日本はこれほど歪んだのか…ヤバすぎる「9つのオキテ」が招いた「日本の悲劇」>では、日本を縛る「日米の密約」の正体について、詳しく解説します。
矢部 宏治
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💢93:─1─ウクライナ侵略戦争と進歩史観の過信。~No.382No.383
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進歩史観(しんぽしかん)
progressive view of history 歴史に特定の目標を設定し,それに至る人間の進歩・発展の過程として歴史をとらえる歴史観。歴史を神の計画の実現過程とみたユダヤ教的・キリスト教的な歴史観を土壌にしている。近代ヨーロッパにおいては,啓蒙思想の風土のもとで目標を世俗的なものに転化することを通じて,過去,現在,未来を貫く人間の無限の進歩の可能性を基本にして歴史を把握した。生産諸力の発展に人間の解放をみようとする唯物史観もその一つの表現であるが,近年,ヨーロッパ近代に基準を置く進歩に対する疑念が強くなり,実証面からも進歩史観を批判する修正主義が現れてきた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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2023年3月13日 MicrosoftStartニュース Forbes JAPAN「「進歩史観」の過信
田坂 広志
https://images.forbesjapan.com/media/article/61489/images/main_image_489824188b2ebc6849885146921eec1e8e68296e.jpg いま、「歴史」というものを見つめるとき、懐かしい言葉が、一つの疑問とともに、心に浮かぶ。
それは、「進歩史観」という言葉。
端的に言えば、「歴史は、必ず『人類の進歩』に向かって進んでいる」という歴史観である。
例えば、
1. 世界は、奴隷制、貴族制、独裁制などの様々な形態を経ながらも、必ず、民主制、すなわち、民主主義に向かっていく、
2. 世界は、貧富の差はありながらも、全体は豊かになっていく。そして、いずれ、貧富の差も縮小していく、
3. 世界は、これまで、様々な紛争や戦争を経験してきたが、いずれ、国際秩序を確立し、恒久平和を実現していく、
4. 世界は、人流、物流、金流、情報流のグローバリゼーションが進み、いずれ、一つの巨大な経済圏になっていく、
5. 人類の科学技術は、これからも発展を続け、その恩恵によって、必ず、人類全体に繁栄と幸福をもたらしていく、
といった考えが「進歩史観」と呼ばれるものであり、これまで多くの歴史家の背後にあった思想であるが、いま、多くの人々は、この歴史観に疑問を抱いているだろう。
実際、世界の現実は、
1. ソ連や東欧の専制主義国家の崩壊によって、世界は民主主義の方向に向かうと思われたが、実際には、現在、民主主義体制の下にある国よりも専制主義体制の下にある国が増えている、
2. 資本主義の発展によって、世界全体は豊かになり、貧富の差は縮まっていくと思われたが、現実には、世界全体での貧富の差は、人類史上、最大になっており、また、各国内での経済格差も、ますます広がっている、
3. 冷戦終結によって、もはや大規模な戦争は起こらないと思われたが、実際には、世界各地での紛争や戦争は増加し、遂には、ロシアによるウクライナ侵攻が起こり、人類全体は、ふたたび核戦争の危機に直面している、
4. コロナ危機により、世界規模での人流と物流の停止を経験し、また、ウクライナ危機により、エネルギーと食糧の争奪戦が激化し、世界は、相互依存のグローバル経済(世界一体経済)ではなく、他国に依存しない一国自立経済の模索に向かっている、
5. 科学技術の発展は、人類全体に恩恵を与え、人々の幸福感を高めていくと思われたが、現実には、科学技術の発達と物質的繁栄だけでは幸福感を得られず、多くの人々が、宗教倫理に回帰する傾向が生まれている。
すなわち、いま、世界の現実は、「進歩史観」から見れば、様々な「逆行」が生じているのである。
では、それは、なぜか。
それは、「民主主義」や「資本主義」、「平和主義」や「国際主義」、そして「科学技術」が、いまだ十分に「成熟」を遂げていないからである。
例えば、いま、世界に「専制主義」が広がっているのは、現在の「民主主義」が、「意思決定に手間と時間がかかる」「政策の継続性が失われる」「ポピュリズムが蔓延する」など、まだ多くの問題を抱えているからであり、「民主主義」が、そうした問題を抱えている限り、「専制主義」は、容易に、しばしば、復活してくるだろう。
同様に、現在の「資本主義」が、人類全体を豊かにせず、貧富の差を拡大しているのは、まだ、「資本主義」が、富の最適配分やSDGsなどを包摂したものになっておらず、十分な成熟を遂げていないからである。そのことは、現在、世界中が「新たな資本主義」を模索している姿に象徴される。
そして、こうしたことが起こる背景には、1990年前後に、ソ連や東欧などの「専制主義国家」「社会主義国家」が、次々と崩壊したことによって、「民主主義と資本主義は、歴史的な勝利を収めた!」という過信と慢心が生まれ、「民主主義」や「資本主義」そのものを、さらに改革し、成熟したものへと変えていく努力を怠ったからである。
同様のことは、「平和主義」や「国際主義」にも起こっている。冷戦終結とともに、「これからはパックス・アメリカーナの時代だ!」「これからは、グローバリゼーションの時代だ!」と思い込み、大規模戦争が起こる可能性を過小評価し、極端な他国依存を強めていったことの、「反動」と「揺り戻し」が起こっているのが現実であろう。
そして、「科学技術」もまた、物資的豊かさが人々を幸福にするという思い込みによって、宗教倫理の重要性に目を向けることを怠ってきた。
こうした過信と思い込みの代償を、我々人類は、しばし支払うことになるが、その痛苦な経験の先に、真の希望が生まれてくるのだろう。
田坂広志◎東京大学卒業。工学博士。米国バテル記念研究所研究員、日本総合研究所取締役を経て、現在、多摩大学大学院名誉教授。シンクタンク・ソフィアバンク代表。世界経済フォーラム(ダボス会議)Global AgendaCouncil元メンバー。全国7700名の経営者やリーダーが集う田坂塾・塾長。著書は『死は存在しない』など100冊余。
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2018年9月4日 産経新聞 正論「歴史には「進歩」も「必然」もない 筑波大学大学院教授・古田博司
1970年代、フランス人が「大きな物語」が終わった、近代が終わったと騒ぎだした。イギリス人は91年にソ連が崩壊したとき、近代が終わったとしらっと言った。ドイツ人は90年代に終わったのは小さな近代だ、これからが本格的な近代なのだ、もう一回やるから「再帰的近代化」だと強気だったが、やがてうやむやになった。アメリカ人は特別で、古代も中世もないから、近代という時代区分に関心がない。彼らにとってはいつも現代だ。
《ドイツ哲学にだまされた》
日本人はどうかといえば、長く続いたドイツ哲学の教育体系のせいで、どっぷりと「近代」につかっていた。「歴史は進歩する」と信じていた。冷静に考えれば、そんなことはあり得ないことだ。15世紀に古代帝国として出現したインカは、16世紀に中世スペインからやってきたピサロに滅ぼされてしまったではないか。古代と中世が同時期に共存しているし、一方は古代で終わっている。
「ありゃ。だまされた」と思った人が「歴史はギザギザしている」と言い出した。そう、だまされていたのだ、ヘーゲルとマルクスに。哲学者の廣松渉さんが「ヘーゲル本人としては、父なる神の時代、子なる神の時代、それにつづく聖霊なる神の時代という具合に歴史が展開すると考えているわけでして、彼の考えでは、自分は聖霊なる神の時代の予言者のつもりだったのではないか」(五木寛之・廣松渉『哲学に何ができるか』)と言っている。
マルクスの場合はもっと巧妙で、歴史は段階を踏んで進歩する、最終的には社会主義、共産主義が来るので安心して頑張ろうと革命家たちを励ました。結果、いくつかの国で革命がおき、社会主義体制になり、専制支配と身分制で多くの人々が不幸になった。
第一、専制支配と身分制は古代の特徴ではないか。そこに国家が農民を直接搾取する「農業の集団化」がなされたから大変なことになった。これぞ、古代経済への回帰ではなかったか。
《頭は古代のままだった朴槿恵氏》
もうだまされるのはよそう。「歴史の進歩」も「歴史の必然」もそんなものはない。でも、あると思っていたので、発展途上国の人々に安心感を与えたことは事実だ。「進歩するんだからみんな近代化できるさ、心配ないよ」。でもこれもそんなことはなかった。産業化できても近代化できるとはかぎらない。韓国の朴槿恵前大統領など頭が古代のままだった。
セウォル号転覆事件で、李朝の王様のように姿をくらました。宮廷の家臣が王様に告げ口し、王様が明の皇帝に告げ口したようにイガンジル(離間策)外交を展開し、筆禍で人々を見せしめの裁判に引き出し、ムーダン(シャーマン)崔順実(チェ・スンシル)の国政介入を許し、事大主義(大国の臣下)の中国パレード参加とか、書かれたウソの「韓国史」でなく、ぜんぶ体に染みついた本当の朝鮮史の方を体現してしまった。これだから歴史家は、出来事に矛盾のないように歴史を作らなければならないのだ。
そう、歴史は進歩しない。だって、目の前を見てほしい。さっきのあなたはもういない。自然の時間は生まれては消え、消えては生まれ、出来事の連鎖があなたの中に残るだけだ。でも、それだけでは世界がうまく認識できない。ちゃんと因果のストーリーがないと、世界をうまく歩けないのだ。
でもそれなしで、世界を歩いてきた人たちもいた。古代エジプト人やイスラムに征服されるまでの古代インド人など、因果に気づかなかったので、歴史に関心がない。だから歴史書が一冊もない。
《書いてあるのは人間の所業》
人類は太古からの時間の途中で因果ストーリーに気づくのである。ここから歴史家や史官により歴史書が書かれ始める。年表的に書いても、進歩するように書いてもそれは全部、人間の所業であり自然の時間はあずかり知らない。
そこでヘーゲル、マルクスの「進歩史観」がウソだったので、便宜的に新しい時代区分を提唱しておきたい、まずは歴史学者、岡田英弘さんの論を紹介しよう。
「さて、そうすると、実際的な時代区分というものを考えなければならない。すでに先ほど簡単に触れたが、結局、人間が時間を分けて考える基本は、『いま』と『むかし』、ということだ。これを言いかえれば、『現在』と『過去』、さらに言いかえれば、『現代』と『古代』、という二分法になる。二分法以外に、実際的な時代区分はありえない」(『歴史とは何か』)
天才の言うことは過激すぎて、私などとてもついていけない。一応、独立した領主が地方を産業化する歴史の長かった西欧と日本、藩王国のあった北インドなどは、古代→中世→近代→現代としておき、その他は古代→近代(あるいは現代)としておく。アメリカは古代なしの現代だけ、中国は古代→現代である。そんなの嫌だという人にはいろいろと考えてもらえばよいと思う。そういうことで、日本の近代は終わった。(ふるた ひろし)
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ウィキペディア
進歩史観(しんぽしかん、英: progressive view of history)は、歴史を人間社会のある最終形態へ向けての発展の過程と見なす歴史観。例えばホイッグ史観では、現体制を理想の最終形態とし、過去の歴史をこの現在の体制に至るまでの漸進的発展と見なすことで現体制を正当化する。一方、唯物史観では未来に最終形態である共産制を設置し、現在の社会をそこに向かう途中の一時的な段階であると解釈する。西欧ではキリスト教の終末思想に端を発し、18、19世紀の啓蒙時代に広く唱えられた。 オーギュスト・コント、ヘーゲル、マルクスらが代表的である。
一般に一つの目標に向かう定向進化を唱える点でダーウィンらが唱えた生物種の進化などとは性格を異にする。
ジョルジュ・ソレルは『進歩の幻想』(1908)で進歩史観を批判し、第一次世界大戦に際してはシュペングラー、ポール・ヴァレリーなども進歩史観を批判した。
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🏁12¦─10─日本企業や大学、町中華にまで広がる中国共産党の統一戦線工作部の魔の手。〜No.84No.85
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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
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2023年3月12日 YAHOO!JAPANニュース「日本企業や大学、町中華にまで広がる中国の情報窃取
山崎文明 (情報安全保障研究所首席研究員)
»著者プロフィール
中国の偵察用とみられる気球が、米国の軍事施設上空を飛行していたことが話題となっている。日本でも2019年から22年にかけて4回にわたって宮城県や青森県など、自衛隊や米軍の基地がある安全保障上、重要なエリアで確認されている。
(BeeBright/gettyimages)
防衛省は、これら日本の上空で観測された気球に対して、米軍が撃ち落とした気球に関する情報を基に、総合的に分析した結果から「中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されると判断した」と発表している。「気球」という一見無害にも見えるものが、機密情報を得るものであるということを見せた形となっている。こうした中国による情報窃取は気球だけでなくさまざまな形で行われている。
習近平のもとで復活した統一戦線工作部
その一つが中国共産党と統一戦線工作部(UFWD:United Front Work Department)の活動である。UFWDとは毛沢東の時代、1938年の中国共産党中央委員会第6回委員会総会で設置が決議された中国の建国(1949年)よりも歴史がある組織である。
毛沢東は持久戦としての抗日戦争を掲げ、統一戦線を内外の敵から党を守る「中国共産党の魔法の武器」であるとした。中国が建国されて、その活動は下火となったが、2012年に習近平が中国共産党中央委員会総書記になるや、UFWDは息を吹き返したのである。
14年9月、習近平はUFWDに関する演説の中で毛沢東の言葉を引用して「中国共産党の魔法の武器」だとし、17年の第19回党大会では、「愛国統一戦線を強化し、発展させる。統一戦線は党の事業が勝利を収めるための切り札である」とした。習近平が総書記に就任してわずか数年間で、4万人の新しいUFWD幹部が誕生したといわれ、現在時点で、ほとんど全ての中国大使館や領事館にはUFWDで働く人員が含まれているといわれている。
UFWDの使命は、国内外の産業界や市民生活における中国共産党の影響力を高めることであり、政府系非政府組織(GONGO:Government-Organized non-governmental organization)と見做される組織である。中国人民政治協商会議、国家宗教事務局、中国外交部、工商連合会の4つの中国政府部門は、UFWDの指導の下にあるとされている。
中国財務省が公表したこれら4つの部門の予算総額は、14億ドル(2020年)で、中国公安部とほぼ同額であることがわかるが、UFWDの予算については全く公表されていない。ワシントンのシンクタンクであるジェームズタウン財団の推計によると、19年のUFWDの支出は26億ドル以上としており、中国外務省の予算を上回っているが、実際は、それよりも遥かに多いとの見方もある。
この魔法の武器が今、過去に例をみないほど活発に活動をおこなっているのだ。
中国共産党を脅かす5つの毒
中国共産党が、その支配を脅かすと信じている「5つの毒」と呼ばれているものがある。それは「ウイグル人」、「チベット人」、「台湾独立支持者」、「民主主義活動家」、「法輪功精神集団」である。
これらの毒を排除するためにUFWDは、それらの人々に迫害を加え、プロパガンダを繰り返してきた。その活動は主に中国国内であったが、近年、中国の国際世論の形成や中国人ディアスポラ(Chinese Diaspora)の活動の監視と報告に注力している。ディアスポラとは「離散した民族」という意味で、「離散中国人」とも呼ばれる。具体的には華僑や中国人留学生、中国人ビジネスマンなどの中国国外にいる中国人を指す。
UFWDの中国人ディアスポラの監視活動は、スペインの人権監視団体セーフガード・ディフェンダーズが公表した昨年9月に公表した報告書「110 OVERSEAS Chinese Transnational Policing Gone Wild 」でいうところの「中国海外警察」が担っている。
中国海外警察は、欧米など53カ国、102カ所の海外拠点(海外警察署)を擁し、表向きには世界的な腐敗防止キャンペーン「キツネ狩り作戦」を行っているとしている。「キツネ狩り作戦」とは、習近平が総書記に就任した12年から開始された、海外に逃亡した汚職官僚を追跡し、国内に連れ戻す作戦を指すが、その実態は中国の反体制派を、家族を脅迫するなどして中国に送還することである。
米連邦捜査局(FBI)とカナダ安全保障情報局によると20年から21年にかけて、およそ680人が中国に送還されたとしている。これらの人々とは中国共産党が作成したブラックリストに掲載された人々であり、宗教施設に出入りしている者や反体制派の集会に参加した者などさまざまである。キリスト教の洗礼を受けた7歳の子供もブラックリストに載っていた例もあり、年齢制限はなさそうだが、そもそもこのブラックリストがどのようにして作られ、ブラックリストから削除される条件があるのかなど謎は多い。
中国人にとっては、永久に危険人物となるかもしれない恐ろしいリストであるが、UFWDの活動は、中国人ディアスポラの監視だけではない。西側諸国の最先端技術情報や企業機密情報を入手するために行われた「千人計画」をはじめとして、「千粒の砂」と呼ばれる中国の諜報戦略に動員される華僑、学生、学者、研究者、ビジネスマンは多い。
「千粒の砂」とは西側諜報機関が中国の諜報活動を例えて使用する言葉だ。海岸に落ちている砂の一粒が機密情報だとすると、ロシアのスパイは夜中にブルドーザーで1回に大量の砂を持ち帰り、中国は大勢の工作員が協力者とともに砂浜に寝そべり、背中についた砂を持ち帰る作業を何十年でも繰り返すのだという。事ほど左様に中国の諜報活動は、発覚しにくいという特徴がある。
そのうえ組織としても官僚組織と違い、政府系非政府組織は、柔軟で素早いという利点がある。ロシアのウクライナ侵攻当初の失敗は、ロシア連邦保安局(FSB)、対外情報庁(SVR)、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)といった諜報部門の対立が指摘されている。また、米国においても中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)、国防情報局(DIA)、国家安全保障局(NSA)などの諜報部門を複数抱えているために、縄張り意識や権力争いの結果として、あまりスムーズに行かないという官僚組織特有の問題がある。
UFWDの場合は、2015年に「領導小組」を設け、習近平自らその委員長を務め、習近平の個人的な指示をUFWDに直接とどくようにしたことから、比較的運営はスムーズなようだ。
米英の諜報機関が今、最も警戒する
22年7月、FBIのクリストファー・レイ長官と英国防諜機関情報保安部(MI5)のケン・マッカラム長官がロンドンで記者会見を行い、UFWDに警戒するよう呼びかけを行っている。レイ長官は、米国議会議員候補を標的とした例や、遺伝子組み換え種子の情報を得るために、中国企業のために働いている人物を捕まえたことなど、FBIの調査結果を例に挙げた。マッカラム長官は、英国の航空宇宙部門を標的にした例を挙げ、MI5が英国での中国の活動に関して18年比で7倍の調査を行っていると述べている。
UFWDの最も重要な任務は、中国に対する好意的な国際世論を形成することであるが、MI5は、21年1月にロンドンで法律事務所を経営するクリスティン・チン・クイ・リーに警告を出している。警告はUFWDに所属するリーが、労働党の下院議員バリー・ガーディナーに42万ポンド(約6500万円)を寄付したというものである。ガーディナー下院議員は、英国の原子力産業への中国の投資を支持するなど中国寄りの立場をとっているとされるが、このようなケースは他にも沢山あるだろうし、日本の国会議員にも似たようなケースがあるのではないだろうか。
日本でも例外なく活動を続ける
日本でもUFWDの活動は例外ではない。その一つに孔子学院がある。孔子学院とは、統一戦線工作部の議長だった劉延東元副首相が、04年に中国国家対外漢語教学領導小組弁公室(20年6月より中国の大学および企業・団体等による「中国国際中文教育基金会」に移管)のもとに設立したプロパガンダ組織である。
表向きは、中国共産党が中国語教育と中国文化の紹介のために立ち上げた国家プロジェクトであるが、第17期政治局常務委員(序列5位)であった李長春は、孔子学院が中国の外国におけるプロパガンダ組織の重要な一部であると公式に認めている。孔子学院は今も統一戦線工作部と正式に提携している中国共産党のプロパガンダ部門から資金提供されているといわれている。
日本では05年から中国国際中文教育基金会と協定した立命館大学、愛知大学、早稲田大学など、全国で15の大学に孔子学院が開設されている(このうち工学院大学は21年に、兵庫医科大学22年に閉鎖を決めている)。孔子学院の設置には、法令による認可や届け出は必要がないため、文部科学省でもその実態が把握できていない。
立命館孔子学院のホームページ
米国では、トランプ政権時代にマイク・ポンペオ国務長官が20年に孔子学院は、中国共産党のプロパガンダ工作に使われているとして、米国の孔子学院を統括している孔子学院米国センターを大使館や領事館と同等の外国公館に指定している。また、バイデン政権でもウィリアム・バーンズCIA長官が公聴会で「孔子学院は真のリスクだ。自身が大学の学長なら孔子学院を閉鎖する」と述べている。米国では、113あった孔子学院は、34にまで減少している。
英国のスナク首相は、英国内の30校全ての孔子学院を閉鎖するとしている。同様にインドや豪州でも閉鎖に動きつつある中で、日本の動きはあまりにも遅いといえよう。
警戒心が全くない日本人
UFWDの活動は、日本企業の奥深くまで食い込んでいる。特に企業への浸透はめざましく、そのほとんどは日本国籍を有し、名前も日本人として全く気づかれない通名(通称)を名乗っている。
ほとんどの日本企業では、国籍や本名かどうかのチェックもなく採用されるため諜報は、容易い。また、諜報というと研究・開発部門が連想されるが、人事異動などにより、現在は、財務や人事部門にまで入り込んでいる。
彼ら工作員は、協力者を多く抱えているが、中には自分が協力者であるとの自覚のない者もいる。UFWDの目的は、企業機密だけではない。華僑による日本企業への投資や、果ては、鍼治療クリニックの運営から、自衛隊員がよく行く町中華や政治家が好んで使用する永田町界隈の高級中華料理店まで、ありとあらゆるところにネットワークを張り巡らしている。
気球のように分かりやすい脅威に対しても「安全保障に影響はない」との判断をするような国民には、「千粒の砂」を見破ることはできないだろう。
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3月11日 YAHOO!JAPANニュース Wedge(ウェッジ)「小説『食われる国』にみる「戦わずして勝つ」中国の洗脳手法
厚生労働省が2月に発表した2022年の出生数は79万9728人で1988年の統計開始以来、初めて80万人を下回り、過去最小を更新した。17年の国立社会保障・人口問題研究所の推計では出生数が33年に80万人を割るとしていたが、11年も早く更新したことになる。このまま人口が減少し、国力は衰えていくのだろうか。
2050年の衰退した日本を予測したディストピアSFとでもいうべき小説が『食われる国』(中央公論社)である。2050年、中国資本が大量に流入し、かつて栄えた都市も廃墟と化した中で一人の刑事が日本で暗躍する中国共産党の配下組織に嵌められ、中国資本で運営されている民間刑務所に収容される。犯罪者の更生教育という名目のもと、中国共産党の思想に洗脳されていく様を描いた傑作小説である。
主人公である刑事、谷悠斗が日本政府から中国資本に運営を委託された民間刑務所「黒羽教育センター」で受ける中国共産党を正当化するための洗脳シーンは、非常に説得力があり、筆者も思わず洗脳されそうになるほどである。黒羽教育センター教官の言葉「ハワイ併合やテキサス独立の話を教室で先生から聞きますか。原爆を二つも落とした国なのに、アメリカに都合の悪い事実は隠され、アメリカに親しみと憧れを抱くように仕向けられている。それは洗脳ではありませんか」は、改めて米国のしたたかさを思い出させてくれる。
政府が中国資本に刑務所の運営を任せることなどあり得ないと感じる日本人は多いだろうが、それはそういう事態を想定していなかった上に、今まで、そうしたことが起こらなかったからに過ぎないことを改めて思い知らされる。刑務所の運営委託業務も政府が何事にも適応させている「最低価格落札方式」を取れば、中国資本が落札することも十分ありえるのだ。
事実、警察で使用されているPCやセキュリティソフトには「最低落札価格方式」が採用されているため、中国製PCやロシア製のセキュリティソフトが使用されている例は多い。小説の中にしばしば登場するスマホ「エア」も著者の萩耿介氏によると中国製という設定だそうだ。警察で採用されている捜査用スマホも私物のスマホも「エア」という設定で、位置情報や会話の内容など、すべて中国に筒抜けになっている状態は、現在進行形と言っていいだろう。
現実に即した迫害とプロパガンダの姿
『食われる国』萩耿介著
この小説には、中国共産党統一戦線工作部の名前こそ登場しないが、日本で暗躍する中国共産党配下の組織とは統一戦線工作部のことを指している。統一戦線工作部(UFWD:United Front Work Department)とは、毛沢東が持久戦としての抗日戦争を掲げ、国内外の産業界や市民生活における中国共産党の影響力を高める政府系非政府組織(GONGO:Government-Organized non-governmental organization)組織である。
毛沢東は、統一戦線を内外の敵から党を守る「中国共産党の魔法の武器」であるとした。習近平国家主席が2012年に中国共産党中央委員会総書記になってからUFWDの活動を活発化させているのは「日本企業や大学、町中華にまで広がる中国の情報窃取」で指摘した通りである。
この小説でも、治外法権の壁に囲まれた中国大使館が、悪の巣窟の一つとして描かれ、孔子学院が「中国文化の紹介を装いながら、共産党の力を浸透させることを狙った宣伝機関」と紹介されている。孔子学院は北米や豪州、ヨーロッパで、中国のプロパガンダ組織であるとして続々と閉鎖が命じられているのに対し、日本では立命館大学や札幌大学、早稲田大学など現在も13校が開設されている。
中国共産党の支配を脅かすと信じられている「ウイグル人」「チベット人」「台湾独立支持者」「民主主義活動家」「法輪功精神集団」の「5つの毒」を排除するためにUFWDは迫害を加え、プロパガンダを繰り返してきた。本作品の中でも日本で暮らすウイグル人やチベット人を中国秘密警察が拉致する様子が描かれているが、この中国秘密警察もUFWDの配下組織である。
秘密警察の存在は、先頃、スペインの人権監視団体セーフガード・ディフェンダーズが公表した昨年9月に公表した報告書「110 OVERSEAS Chinese Transnational Policing Gone Wild 」で話題になった。欧米など53カ国、102カ所の海外拠点(海外警察署)を擁し、華僑や中国人留学生、中国人ビジネスマンなどの中国国外にいる中国人ディアスポラ(離散した民族の意)を監視し、中国の反体制派を、家族を脅迫するなどして中国に強制的に送還している。米連邦捜査局(FBI)とカナダ安全保障情報局によると2020年から2021年にかけて、およそ680人が中国に送還されたとされている。
指をくわえて見逃す日本の未来像
中国共産党のプロパガンダや浸透工作、諜報活動は、100年、200年の単位で計画され実行されることから、自分たちの国が中国共産党に侵食されていることを自覚している政治家は少ない。
本書にも登場する中国資本による土地の買い占めは、都市部の物件のみならず、農地や魚港、果ては離島にまでその食指は伸びている。また、外国資本による太陽光や風力発電施設の建設が認められるなど、政治家は、恣意的無策や、中国寄りと非難されても仕方がない政策を繰り返している。
この小説は、わが国の防衛意識の低さが招いた不備を、中国共産党が巧妙に突き、次から次に罠に嵌っていく日本人の脆弱な姿に気づかせてくれる。孫氏の兵法の極意である「戦わずして勝つ」を端的に表した中国共産党の恐ろしさや狡猾さを疑似体験させてくれる良書である。
著者の萩耿介氏は、数年前にチベットに行き、街中至る所に監視カメラがあり、軍事車両が警戒に当たっている様を目の当たりにしたことで、中国共産党の欺瞞と恐ろしさを、日本を舞台にして描けないかと思ったそうである。英国の作家ジョージ・オーウェルが1949年に出版したディストピアSF小説『1984』は、小説の舞台を英国においているものの、スターリンを念頭に共産主義やファシズムの倒錯を暴露する目的で書かれた。そうであれば、習近平と向き合った作品も書くべきだと思ったそうだ。
一方で、「日本の小説界は、大半が私生活にしか関心のない書き手と読み手で成り立っていて、それこそ純粋な文学であるという人たちの避難場所になっている。彼らは口癖のように『弱者に寄り添う』と言いますが、チベットやウイグルの人たちの苦難にはほとんど反応せず、私生活での平穏を尊び、慰め合っているようです」とも語っている。
筆者はその意見に、全く同意する。この小説は、そういう意味でも、近年まれに見る傑作小説だといえる。
現実として訪れる時はすぐ近くに
中国では、2月28日に中国共産党第20回中央委員会第20回総会が終了したが、中国政府の公安部として知られる国務院国家安全部が、国務院に所属しなくなると香港の明報新聞が報じている。その報道の真偽は組織改革案の提出を待つほかないが、仮にその報道が正しければ、公安機能を政府から切り離し、中国共産党の配下に置こうとしていると思われる。
もとより中国政府から独立している統一戦線工作部と一体化し、全ての公安機能を習近平の意のままにしようということである。もしその組織改革が実現すれば、今以上に日本への浸透工作も活発に行われることになるだろう。
本書は、2050年という時代設定だが、日本の少子化と同様に、想定よりも現実がはるかに早いかも知れない。続編を期待する。
山崎文明
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