🧙2:─1─日本の保守勢力は壊滅状態で新しい保守主義運動が始まった。~No.2No.3No.4 

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 自民党保守派の崩壊は、安倍晋三元総理が暗殺されてから始まり、安倍イズムは自称保守政治家に受け継がれていない。
 当然の事ながら、メディア業界や教育界にも本当の意味での保守は存在せず、日本国内には紛い物保守やエセ保守が蠢いている。
 野党には、保守は存在せず、革新はもちろんリベラルは保守ではない。
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 右翼・右派・ネットウハは、排他的差別的民族主義であっても保守主義ではない。
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 現代日本では、保守には幾つもの保守が存在する。
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 日本のSNSを中心とした誹謗中傷・罵詈雑言による排他的差別的な右傾化と、人と人の繋がりを大事にする新しい保守主義運動は無関係である。
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 2024年4月26日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「日本の保守勢力が「壊滅状態」に陥るなか、「新しい保守主義」運動が始まった「納得の理由」
 衆院補選東京15区の様相
 衆院補選東京15区で日本保守党から立候補している新人のイスラム思想研究者、飯山陽(あかり)氏が健闘している。彼女の戦いは、東京15区のみならず「壊滅状態に陥っている日本の保守勢力が再生できるかどうか」を占う試金石になる。
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 日本保守党は、ベストセラー作家の百田尚樹氏とジャーナリストの有本香氏が中心になって、昨年9月に結成された政治集団だ。そこに、名古屋市長の河村たかし氏が率いる地域政党減税日本が合流した。今回の選挙戦は、国政への初挑戦だ。
 彼らはカネも組織も地盤もない。国会議員がまだ1人もいないので、国の政党助成金も支給されない。マスコミには泡沫候補扱いされ、世論調査でも、トップを走る立憲民主党の新人で元区議の酒井菜摘氏(共産党が支援)をはじめ、他候補に大きく引き離されていた。
 ところが、選挙戦が進むにつれて、ネット上で彼女の名前が連日、トレンド入りした。街頭演説にも多くの聴衆が集まったが、悪質な妨害を受けて、やむなく事前の告知をとりやめた。それでも、話を始めれば、多くの人が足を止め、耳を傾けている。最近の調査では、猛烈な勢いで支持を増やしているようだ。
 その理由は、なにか。
 私がコラムを連載している夕刊フジは、彼女の演説を「魂の辻立ち」と評したが、まさに建前を排して、本音で斬り込む弁舌が聴衆の心をつかんでいるのは、間違いない。ときには、激しい言葉も使うが、けっして扇動ではなく、問題を根本から考え抜いた末の「論理と常識」に基づいている。だから、説得力がある。
 壊滅状態にある日本の保守勢力
 それ以上に見逃せないのは、日本の保守勢力が壊滅状態にあるからだ。
 保守勢力の旗頭だった安倍晋三元首相は2年前、悲劇的な死を遂げた。その後、何人もの自民党政治家が「遺志を継ぐ」と述べたが、そうはならなかった。象徴的な例が、LGBT(性的少数者)理解増進法の成立である。多くの保守派議員が賛成票を投じ、安倍氏を支えてきた支持者には「裏切り」と映った。
 追い打ちをかけるように「政治とカネ」をめぐるスキャンダルでは、岸田文雄首相によって、複数の有力な安倍派議員たちが政権中枢から追放されてしまった。いま自民党政権は、親中派であり、かつリベラル勢力の代表格である岸田首相が完全に牛耳っている。
 こうした現状に、いわゆる「保守岩盤層」と呼ばれる自民党支持者たちは苛立ちと欲求不満を募らせた。そこに登場したのが、飯山氏だったのである。
 そもそも、百田氏らが新党を結成したのは、LGBT法案をめぐる自民党の対応に納得できなかったからだ。今回の東京15区補選で、自民党は当初、小池百合子都知事が率いる「ファーストの会」副代表で作家のLGBT法容認派、乙武洋匡氏の支援を検討していた。
 だが、乙武氏は憲法9条の改憲に反対している。そんな乙武氏を、憲法改正が党是である自民党が支援するのは本来、筋が通らない。地元の反対もあって結局、支援を見送ったが、この迷走も「自民党支持者に対する裏切り」だった。
 誰の目にも明らかになったこと
 自主投票となって、行き場を失った自民党支持者の多くは、飯山氏の支持に流れているのではないか。これも、飯山氏急伸の背景だ。
 飯山氏はイスラム思想研究者として、イスラエルをテロ攻撃したイスラム過激派、ハマスや黒幕のイランを擁護する同業者たち全員を敵に回して、論陣を張ってきた。彼らの多くは「弱者の味方」のフリをしている左翼である。
 ちなみに、日本の外務省も、そうした「イスラム左翼」に同調している。
 2月2日配信コラムで指摘したように、外務省が発行する雑誌「外交」の座談会で「ハマスをアクターに入れた復旧復興のあり方を考えるべきだ」とか「ハマス抜きの戦後は考えられない」といった専門家の発言を紹介しているのは、その具体的な例だ。
 さらに、飯山氏はロシアや中国に対して、口を開けば「国際ルールを守れ」と叫ぶことしか知らないような国際政治学者たちも鋭く批判してきた。「国際ルールを守れ」というのは、一見もっともらしい。それは「国連のような国際機関が世界の秩序を維持できる」という考え方を前提にしている。
 しかし、現実を見れば、国連の無力、無能ぶりは、いまや誰の目にも明らかになってしまった。
 ウクライナを侵略しているロシア、それを応援する中国が安全保障理事会常任理事国になっていて、自国の利益に反する決議案に拒否権を行使しているからだ。つまり「国際ルールを守れ」という主張は、もはや何の実効力もない空文句にすぎない。
 こうした現実から離れた理想を唱える勢力がリベラリストであり、いまや主流派となった岸田首相率いる自民党や、大多数の日本の国際政治学者たちが、それに該当する。左翼やリベラリズムだけでは、とても日本の国と国民を守れない。まず自分の国が強くなければ、無法者が襲ってくるのを止められないからだ。
 言い換えれば「自分の国をまず強く豊かにし、そのうえで同志国と連携して、ロシアや中国、イラン、北朝鮮のような独裁専制主義勢力を抑止しよう」と考えるのが「新しい保守主義」である。
 日本で左翼やリベラリズムが勢いづくなか、突然、政治の世界に舞い降りた飯山氏は、多くの人々にとって「新しい保守主義を体現する女神」のように映っている。「日本にあかりの灯を」という声がネットにあふれているのが、その証拠だ。安倍氏暗殺以来、暗い気持ちになっていた人々は、彼女に希望を託している。
 新しい保守主義運動
 新しい保守主義の潮流は、日本だけでもない。
 米国のドナルド・トランプ前大統領が唱える「米国第1主義(MAGA)」は、その1例であり、米国には「国家保守主義(National Conservatism)」と呼ばれる運動もある。彼らは「国家の独立」や「帝国主義グローバリズムの拒絶」「(国連のような)超国家機関への権力移転への反対」などを掲げている(詳しくは、月刊「Hanada」2024年5月号、および6月号の拙論参照)。
 欧米に遅れて運動が始まった日本は、安倍氏の暗殺で挫折した保守主義が、岸田政権による徹底的な安倍派パージで、逆に「形を変えて息を吹き返しつつある」と言ってもいい。
 この新しい保守主義運動がこの先、勢いを失っていくことはない。
 なぜなら、中国やロシアのような独裁専制主義勢力による戦争と軍事力による威嚇が、勢いを増すことさえあっても、弱まることはないからだ。左翼や国連に期待するリベラリズムが頼りにならない以上、悪の勢力に対抗して、日本を守るには、国を強く豊かにする以外に道はないのだ。
 実際、飯山氏への支持は東京15区にとどまっていない。ネットの反響が、それを証明している。勝敗に関係なく、運動が続くのは確実だが、初戦の15区で勝利すれば、勢いは一挙に全国に広がるだろう。
 長谷川 幸洋(ジャーナリスト)
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⏱13:ー2・Bー中国人によるマイナンバーカード大量偽造の衝撃。事件の背景に潜む犯罪集団。~No.39 

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 中国共産党は、日本に対して孫子の兵法で謀略戦を仕掛けている。
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 2024年12月8日 FNNプライムオンライ「中国人によるマイナンバーカード大量偽造の衝撃 事件の背景に潜む犯罪集団【専門家解説】
 日本カウンターインテリジェンス協会代表理事・稲村悠
 マイナンバーカード偽造事件
 12月4日、マイナンバーカードなどの偽造を行っていたとして、26歳の中国籍の周桜婷容疑者が逮捕された。
 周桜婷容疑者が偽造していたマイナンバーカード
 これまでの報道では、知人から偽造の仕事を紹介された容疑者は、偽造に必要なデータをWeChatを通じて受領し、中国から届いたPCやプリンターを使用してカードを偽造。容疑者は偽造カードを国内の指定場所に郵送し、日当として約1万2000~1万6000円相当の電子マネーを受け取っていた。
 容疑者が約1万枚のカードの偽造に関与していた可能性があるとしているが、そのうちマイナンバーカードは750枚ほどで他は在留カードが多いという。
 カード偽造に使われたとみられる押収品一式
 警視庁は、事件の背後に中国における犯罪集団が関与していると見ている。
 カード偽造事件の構造
 実は、今年10月に本事件と極めて酷似した事件が発覚している。
 東京都在住の20代の中国籍の夫と妻が、在留カードや運転免許証など約1万人分の偽造依頼を受けカードを偽造し、逮捕されている。
 産経新聞によれば、「容疑者らは、中国のサイトに「簡単な仕事」と示された求人に応募、中国にいる指示役から送られてくるデータをもとに、プリンターなどを使って製造していた」と報じている 。
 また、2020年には、国内で中国人犯罪集団によるカード偽造拠点が検挙されており、本事件を含め、カード偽造の背景には、中国の犯罪集団が関与していることは明白である。
 その犯罪集団にとって、個人情報を手に入れるのは極めて容易だ。
 実際にダークウェブ上では、大量の個人情報が現在進行形で売買されている。
 2018年には、セキュリティ企業のファイア・アイが、2億件以上の日本人の個人情報が中国の闇サイトで売買されていたと発表しており、その個人情報の販売元は中国在住の個人とみられ、2億件の情報は、過去の漏洩事件で流出した個人情報や、同様に闇サイトで売買されている情報を集めたものである可能性を示している 。
 闇サイトで売買される日本人の個人情報
 今回の事件では、“マイナンバーカード“が含まれていたことで、世間のインパクトは大きかったようだ。
 先日の東京都パスポートセンターでの情報漏洩事件も同様だが、行政による個人情報の安易な取り扱いは、極めて危険である。
 マイナンバーカード偽造による危険性
 今回、マイナンバーカードが偽造されたとして世間に不安が広がっている。
 まず、マイナンバーカードにはICチップが内蔵されている。
 今回の偽造では、券面のみの複製・偽造=いわゆる外見上の偽造をした形で、ICチップ内に含まれる情報は複製されておらず(複製するのは極めて困難)、このICチップを使った認証やサービスが悪用される心配はない。
 ICチップ内蔵のマイナンバーカードにも死角
 それよりも、心配すべきは公的身分証として提示されることだ。多くの身分証確認では、券面の確認にとどまっている。偽造したマイナンバーカードを提示して携帯電話を契約したり、口座開設を行えれば、それらが特殊詐欺をはじめとした他の犯罪のツールに悪用されうる。
 その口座開設では、マイナンバーカード一点のみで本人確認できるとしている銀行がほとんどだ。
 実際に大手銀行に問い合わせたところ、口座開設に際し、マイナンバーカードのICチップを読み取ることはしておらず、当カードに顔写真や住所、氏名などが記載されていれば可能であるとのことであった。また、マイナンバーカードの券面には偽造防止技術が施されているが、銀行窓口としては券面の確認で不自然な点があれば声掛けをしているとの回答であったため、券面が精巧に出来ていれば担当者が不審点を見逃してしまう可能性も多いにある。
 例えば、在留カードにはいくつもの偽造防止技術が使われており、ホログラムもその一例だ。カードの向きを変えることで色が変わり、外観上でも見抜けるようになっているのだが、中にはホログラムまで偽造したカードも存在し、犯罪集団による偽造カードは外観上も精巧である。
 偽造されたマイナンバーカードの確認が券面のみの場合、それを見抜けるか否かは窓口の担当者に依存することとなるのが実情だ。
 券面だけの確認で偽造を見抜けるかは窓口の担当者に依存
 更に、本事件をきっかけに間接的に金銭をだまし取るケースも想定されるため注意してほしい。
 市役所の職員などになりすまし、ターゲットに「あなたのマイナンバーの偽造が発覚した。不正利用される可能性もあるのでカードを交換したい」と虚偽の連絡をし、やりとりの中でキャッシュカードなどの交換もしてしまうパターンだ。このケースに類似した手法は過去にも確認されている。
 犯罪集団の狙い
 犯罪集団は、マイナンバーカードなど身分証の偽造により、新たな犯罪のツールとするほか、これを口実に特殊詐欺を行うなどの狙いがあり、幅広い悪用が想定される。
 また、偽造在留カードは、日本に不法残留する外国人にとっては非常に有益なツールだ。法務省によれば、令和5年1月1日現在の不法残留者数は、7万491人にのぼるという。
 在留資格や期限を偽造した在留カードは彼らによく“売れる”。
 マイナンバーカードや在留カードの偽造は、非常に多くの犯罪の温床となるのだ。
 【執筆:稲村悠・日本カウンターインテリジェンス協会代表理事
 稲村 悠
 日本カウンターインテリジェンス協会代表理事
 リスク・セキュリティ研究所所長
 国際政治、外交・安全保障オンラインアカデミーOASISフェロー
官民で多くの諜報事件を捜査・調査した経験を持つスパイ実務の専門家。
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🐇12:─1─仕事はできるが横暴な人は長い目で見れば生産性悪化は必至。~No.12 

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 日本における優秀な人材は、世界が理想とする人材とは違う。
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 2024年1月29日 MicrosoftStartニュース NEWSポストセブン「「仕事はできるが横暴な人」は有用なのか 長い目で見れば生産性悪化は必至
 安楽智大投手による同僚へのパワーハラスメント行為について、記者会見で頭を下げる楽天の森井誠之球団社長(左)。2023年11月30日(時事通信フォト)
 © NEWSポストセブン 提供
 出世する人は嫌なヤツばかり、ということを、なぜかどの組織でも言われ続けてきた。今でも「仕事はできるが横暴な人」が様々な職場には存在し、それを容認することが仕事をすることなのだと思い込まされている。だが、どんな地位にある人であっても、どれだけ仕事ができる人であっても、人の尊厳を傷つけてよいという理由にはならない。ライターの宮添優氏が、「仕事は出来るが横暴な人」によって苦しんだ体験や、容認することで自分もハラスメントに加担してしまった後悔についてレポートする。
 【写真】セクハラで社長解任
 * * *
 いま「仕事はできるが横暴な人」と言われて、あなたの頭に一人、いや数人の顔が思い浮かぶのではないだろうか。なぜ、こうした横暴な人たちが問題にされないのかと疑問を持っても、仕事はできるので難があっても置いておきたいという上司の意向が後ろ盾になり、あるいは部下たちからは、人間性に問題はあるが仕事ができるのでいてもらわないと困る、といった理由を説明され、私やあなたたちの職場に存在しつづけている。だが、本当にそれで良いのか。
 プロ野球楽天ゴールデンイーグルスが、自由契約を言い渡した安樂智大選手に、チームメートへのハラスメント行為があったと公表すると、自分たちの職場のあり方を改めて考える人がSNS上にも複数現れ、議論が展開された。そして、ネットだけでなくリアルでも「仕事はできるが横暴な人」問題について考え直している人たちがいる。
 パワハラがあることでの損失
 「安楽選手の件は、私も原稿を書きながら色々と考えました。プレー(仕事)は文句なしだが、部下へのパワハラやセクハラがひどい、という同僚や上司がわんさかいるので。ああいうのを許すと、組織全体が腐るのは間違いない」
 こう振り返るのは、大手スポーツ紙のプロ野球担当記者・笹塚勇平さん(仮名・20代)。笹塚さんは、楽天を事実上のクビになった安樂選手の取材を通じて、自身の環境を見直さざるを得なかったという。
 「安樂選手はピッチャーで、この数年は登板機会も多く、チームの中枢選手と言って良よかった。しかし、成績が上がるほど部下へのパワハラやセクハラが過激になり、他の選手もその実態を把握しているのに言えなかった。まさに『仕事はできるが横暴な人』の典型です。重要な戦力を失ったチーム側も相当に苦しいはずですが、処分が遅かったという指摘はあっても、セクハラやパワハラを許さないという球団の姿勢は評価されてよいはずです。うちの会社は旧態依然というほかありません」(笹塚さん)
 笹塚さん自身、新人記者時代に、壮絶なパワハラで有名だが仕事の鬼という上司にコテンパンにやられたとき、その都度、別の上司から「あれくらい耐えられないと記者になれない」とアドバイスを受けた。では今、あのときの体験が役立っているかと言われたら「パワハラ、セクハラを耐えたから記者になった、という奴なんか信用できない」と冷静に評価する。
 「一言で言えば、強引で意固地。社内的な人間関係などの問題も多々、起こすが、それでも最終的には大きく見える形になる仕事をするから、上司たちからの覚えもめでたい。でも、部下からは上ばかり見て下を見ない”ヒラメ”だと陰口を叩かれていました」
 都内の大手物流会社で係長を務める本田芳樹さん(仮名・40代)は、入社以来何年もの間、10歳ほど年上のやり手部長から怒鳴られたり公衆の面前で罵詈雑言を浴びせられたりした。しかし部長は、難しいプロジェクトをまとめたり、大きな案件をこなすリーダー役として社内で知られており、幹部からも一目置かれる存在だったという。そんな状態が長く続いて、社内では横暴部長の存在は「当たり前」「仕方ないこと」として誰もが捉えていた。しかし、5年ほど前、本田さんや会社の仲間たちの意識が一気に変わる出来事があった。
 「当時、部長の配下にいた新入社員や若手社員が、部長の日常的なパワハラを理由に出社拒否すると言い出したんです。でも、幹部など上の人たちは”今までの若手は耐えてきたんだ”とか”若手の我慢強さが足りない”と判断し、どうせ部下はやめないと考えていた。ところが、3人の部下が、あっけなく辞めました。部長の首もともこれで涼しくなるかと思いきや、パワハラは相変わらず」(本田さん)
 幹部たちは、3人もの若手社員が去ったのに「有能な部長に辞められたら困る」「大きな仕事を誰がやるのか」と部長の配置転換などに難色を示した。ところが、間も無く別の部下たちからも退職や部署異動の願いが続々寄せられたことで、部長はついに失脚。閑職へと追いやられたが、それでもまだ幹部の一部は「部長の穴を埋められるわけがない」と言い続けていた。ところが結局、部長のパワハラが消えたおかげで、様々な業務がスムーズにすすむようになり、若手は上司にビクビクしなくなった分、明るく仕事に励むようになれたのだ。
 「あの人にしかできない、という仕事は確かにあるかもしれません。ただ、そこで考えるのを辞めてしまってはダメなんです。目先の利益にとらわれて将来の展望を持たないのと同じで、パワハラがあることでの損失が計り知れないことも認識すべきです。今では、部長にしかできないとされてきた仕事は若手がすんなりこなしていて、結局部長はパワハラを使って仕事を独占しようとしていただけじゃないのかとすら思っています」(本田さん)
 声が大きい人が、実力以上に力があるように振る舞い、成果も大きいように見せるのはよくあることだ。変化を嫌う組織では、その大きな声に惑わされ、彼らにいいようにされているのかもしれない。
 長い目で見れば結局、生産性を悪くする
 「仕事はできるが横暴な人」が生き残るのは、その上司たちの意向が根強いことは前に紹介した通りである。そして、パワハラやセクハラが横行する会社は若手の定着率も低く、結果的に会社は成長しない。一見、ものすごく当たり前のことではあるが、パワハラ・セクハラ社員を大切に抱えている会社幹部たちは、目先の利益や儲けのために「致し方ない」と見て見ぬふりをする。たとえそれが犯罪であっても、である。
 「専務のセクハラは、社内ではセクハラとは捉えられていないほど、日常的でした。私自身、お尻を触られたり、肩を抱かれたりしたことがあり最初は驚いていました。ですが、専務は仕事ができるし、気に入られないと出世に響くと我慢しているうちに、結果的にわたしたちも専務のセクハラを許していた。そう指摘されて、初めて我に返りました」
 都内の食品卸会社に勤務する伊藤由里さん(仮名・30代)は、入社直後、専務があまりにも自然に”セクハラ”を行うことに唖然とした。何しろ、新人研修の時でさえ「伊藤ちゃんはボンキュボンで素晴らしい」などと言い放ち、つい先日までは学生だった伊藤さんら新人社員を怯ませたのだ。しかし、専務は会社にとって非常に重要な存在であり、社内報や業界紙にしばしば登場しては「食品業界の未来」などといった難しいテーマの寄稿を行うなど内外に知られた存在であった為か、セクハラを咎める上司は皆無だったという。
 「年齢の近い女性の上司なんか、セクハラされて喜んでいるようにも見えました。これがこの会社の普通だし、専務がいなければ私たちの仕事もなくなると感じてしまっていました。実際、会社上層部には専務へのクレームもまったく無かったんです」(伊藤さん)
 入社から5年ほどが経った頃、数人の女性社員たちが「専務のセクハラに対する抗議」と「セクハラ専務を許す会社への抗議」を行うと聞き、即座に頭をよぎったのは「専務がいなくなって大丈夫なの」という不安だったという。
 「結局、私自身も専務のセクハラを許してしまっていた1人。セクハラがいけないこと、とは思わず、それくらいで専務を辞めさせてあなたたちの仕事はどうなるの、と。ただ、この時に旗振り役だった女性上司が、今まで専務のセクハラが理由で何人もの女性社員が辞めたこと、辞めた女性社員は会社の雰囲気に飲まれて被害の訴えを出せなかったことなどを教えてくれました。その時に初めて、自分もセクハラをする側にいたのかと情けなくて悲しく、恥ずかしいと感じました」(伊藤さん)
 ベテラン女性社員や男性上司の一部からは、なお専務を擁護する声も聞かれたが、伊藤さんが「時代が変わりかけていたのかもしれない」というように、役員会で専務の異動があっさりと決定した。以来、セクハラはもちろんパワハラを許さないという空気が会社中に醸成され、年齢や立場に関係なくものが言い合える、風通しの良い職場になったという。
 「専務がいなくなった損失は確かにありました。でも、そのまま黙認していては、若手がみんなやめて会社がなくなっていたかもしれない。損得勘定で考えるのはおかしいかもしれませんが、長い目でみれば結局セクハラやパワハラは生産性を低下させるだけ。何より、セクハラやパワハラが許される世の中ではダメなんです」(伊藤さん)
 翻って、私たちの職場ではどうだろうか。今なお、敏腕だがパワハラばかり、人付き合いはピカイチだがセクハラばかり……そんな人が大きな顔をしてのさばってはいないだろうか。それを許しているのが自分自身であり、そのせいで組織の可能性の芽すら摘み取っているという事実と、しっかり対峙すべきだろう。
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 4月3日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「職場を破壊する「他人を攻撃せずにはいられない人たち」がもたらす「深刻な悪影響」
 根性論を押しつける、相手を見下す、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか?発売即重版が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。
 腐ったミカンのように…
 〈私は企業や金融機関などで定期的にメンタルヘルスの相談に乗っているのだが、そこでも職場を腐らせる人に関する苦情をしばしば聞かされる。もっとも、当の本人は自分自身の言動が周囲に及ぼす影響について自覚していない場合がほとんどで、面談の際も「悩んでいることはありません」「何も問題はありません」といった答えが返ってくることが多い。これでは、みな頭を抱えるはずだと妙に納得する。〉(『職場を腐らせる人たち』より)
 〈職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく。だから、早めに気づいて対処する必要があるのだが、職場を腐らせる人は攻撃的な意図を必ずしも丸出しにするわけではなく、ときには攻撃の気配さえ押し殺して、巧妙に仕掛けてくる。そのため、なかなか気づけない。〉(『職場を腐らせる人たち』より)
 ベストセラー精神科医による最新刊『職場を腐らせる人たち』では、根性論を持ち込む上司や相手によって態度を変える人など、どんな職場にもいるやっかいな人の事例と頭の中を分析している。
 期待はすぐに捨てるべき
 では、『職場を腐らせる人たち』が身近にいる場合、何ができるのだろうか。
 〈職場を腐らせる人を変えるのは至難の業なので、「根気強く言い聞かせれば改心してくれるだろう」「謙譲の美徳をもってすれば反省してくれるだろう」などと期待してはいけない。そういう期待は、願望と現実を混同する幻想的願望充足にほかならない。だから、すぐに捨て去るべきだ。そのうえで、どうすれば実害を少なくできるかを考えるしかない。〉(『職場を腐らせる人たち』より)
 〈職場を腐らせる人を変えるのは至難の業なので、「根気強く言い聞かせれば改心してくれるだろう」「謙譲の美徳をもってすれば反省してくれるだろう」などと期待してはいけない。そういう期待は、願望と現実を混同する幻想的願望充足にほかならない。だから、すぐに捨て去るべきだ。そのうえで、どうすれば実害を少なくできるかを考えるしかない。〉(『職場を腐らせる人たち』より)
 『職場を腐らせる人たち』では、気づくこと、見きわめることなど基本的なやれることを紹介しながら、「ターゲットにされやすい人の特徴」なども掘り下げる。「ターゲットが抵抗も反撃もしないのは、弱くて、恐怖を抱いているからだと受け止め、相手の平和主義や無抵抗の上にあぐらをかいて、平気で傷つけたり痛めつけたりする」人たちに抗っていきたい。
 つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。
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 2023年12月21日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「多くの日本人が知らない、じつは「上司になればなるほど無能になる」という組織の大問題
 なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか? 張り紙が増えると事故も増える理由とは? 飲み残しを放置する夫は経営が下手?
 仕事から家庭、恋愛、科学、歴史まで、東京大学史上初の経営学博士が、人生の不条理と不都合の根本原因をひもとく注目の新刊『世界は経営でできている』。
 一見経営と無関係なテーマに経営を見出すことで、経営の概念と世界の見方がガラリと変わる!
 人は無能になる職階にまで出世する
 「働かないおじさん」問題やブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)現象が話題になって久しいが、仕事と組織をめぐる問題は尽きない。
 なぜ、仕事は、組織は、うまくいかないのだろうか。
 〈残念なことに、むしろ無意味な何かを生み出すことを仕事だと思っていたり、恐ろしいことにこれこそが経営だと思っていたりする人もいる。
 なぜここまで会社には真の意味での仕事/価値を創り出す「経営」をおこなっている上司がいないのだろうか。その一つの理由は、「人は無能になる職階にまで出世する」という数理的に証明できる法則があるためである。〉(『世界は経営でできている』より)
 『世界は経営でできている』では、「次から失敗は巧妙に隠されるようになる。失敗は上司が気付いたときには取り返しがつかないほどに肥大化するようになる」とも語られる。
 組織の上層部は無能だらけになるわけ
 一体、「人は無能になる職階にまで出世する」とはどういうことだろうか。
 〈特定の職階で優秀だったものが次の職階でも優秀である確率は低い。ただし上位階層のポストの数は少ないのでこれ自体はあまり問題でもない。問題なのは、確率論的にいって「特定の職階では優秀だったが次の職階では優秀でない人」が多数いるということだ。
 彼らは新しい職階では評価されないため、さらに上位の職階に進まずに適性のない職階にとどまることになる。こうしたことがあらゆる職階で起こると組織の上層部は無能だらけになるわけである。〉(『世界は経営でできている』より)
 職階の数が多い組織ほどこうなる。つまり、上司が無能な組織はあちこちに存在するのだ。
 『世界は経営でできている』では、「すべての人が大なり小なりこうした無意味な仕事もどきを作りだしている。本当の責任はすべての人にある」とも指摘される。
 仕事をどのように「経営」していくのか。すべての働く人が問い続けなければならない。
 つづく「会社役員の「営業成績が平均未満の人間はクビ」発言が「決定的に間違っているワケ」」では、経営思考が足りない企業で起きうる「悲劇」について分析する。
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🎺48:─1・E─映画『オッペンハイマー』は原爆投下と共産主義嫌悪という2つのタブーを侵犯している。令和6年。~No.226No.227No.228 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 アメリカ・イギリス・カナダ・ベルギーの国際的共同開発プロジェクトによるヒロシマナガサキに対する原爆投下実験とは、実戦における爆破被害実験であり、日本人(ジャップ、イエロー・モンキー、害虫)をモルモットにした人体実験であった。
 事実、被爆地に入ったアメリカ医師団は、被爆者の治療を日本人医師団に押し付け、死んでいく被爆者をよそにもっぱら医学的科学的軍事的人体損傷情報収集のみをおこないっていた。つまり、見殺しにしていたのである。
 日本人の悲惨という事実を、敗戦利得者であるエセ保守はアメリカの為にリベラル左派はソ連の為に隠蔽し、それを告発する危険性のある正統保守派などを口封じの為に公職から大量に追放した。その代表が、鳩山一郎であった。
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 2024年4月6日14時20分 YAHOO!JAPANニュース ニューズウィーク日本版「『オッペンハイマー』は原爆投下と共産主義嫌悪というアメリカの2つのタブーを侵犯し、映画的野心に満ちている
 ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
 <クリストファー・ノーラン監督の話題作は映像と音の質量がすさまじく、僕は180分間圧倒され続けた>
 アメリカで同日公開された『バービー』と原爆のキノコ雲を組み合わせたインターネット・ミームが物議を醸し、さらに被爆した広島と長崎の描写がないということで日本公開は延期、あるいは公開できないなどの情報はネットで見聞きしていた。
 ミームが不謹慎であることは確かだ。でも、話題になったドラマ『不適切にもほどがある!』を引き合いに出すわけではないが、昭和の時代にプロレスラーの大木金太郎の必殺技であるヘッドバットは「原爆頭突き」と命名されていて、入場時に羽織るガウンには大きなキノコ雲がプリントされていた。カール・ゴッチが必殺技のジャーマン・スープレックス・ホールドを決めた瞬間にアナウンサーが、「原爆固めです!」と絶叫していたことも覚えている。
 だからといって正当化するつもりはない。ジェンダー問題やハラスメントも含めてあの時代の「当たり前」が、社会的弱者や少数者に対する想像力が機能していない「間違い」だったことは確かだ。それは大前提ながら、『オッペンハイマー』が日本で公開されないかもしれないとの情報に接したときは、ちょっと待てそれは違う、との意識を持った。
 そう思った理由の1つは、オッペンハイマーの生涯を知っていたからだ。原爆を開発したマンハッタン計画の立役者。戦争を終わらせたヒーローとしてアメリカ国民の多くから称賛されながら、戦後に広島・長崎の惨状を知って激しく動揺し、水爆開発に反対して批判され、さらにアカ狩りの時代には共産主義のシンパとして激しく糾弾された。
 そのオッペンハイマークリストファー・ノーランが描く。国家と個の相克に触れないはずがない。そしてオッペンハイマーが抱え続けた苦悩や挫折は、人類が核兵器を手にすることの矛盾と無関係なはずはない。
 だから思う。ロシアのプーチン大統領核兵器の使用をほのめかしたとき、核抑止論の欺瞞に人類は気付いたはずだ。それなのになぜ日本は今も、核兵器禁止条約に署名すらできないのか。
 本作は徹底して映画だ。映像と音の質量はすさまじい。僕は180分間圧倒され続けた。ただし多少の予習は必要だ。原爆は核分裂だが、水爆は核融合も利用する。破壊力は圧倒的に違う。アインシュタインマンハッタン計画にどう貢献したのか。その程度は予習しておいたほうが、映画を絶対に深く理解できる。
 ノーランは時おり策に溺れる監督だとの印象がある。『TENET テネット』は何度も挫折して、いまだに最後まで観ていない。でも今回はノーランの策が見事に結晶化した。広島・長崎の惨状も、直接的な描写がなくてオッペンハイマーの一人称で描かれるからこそ、深く強く想起できる。つまりメタファー。映画の本質だ。
 広島・長崎への原爆投下については、戦争を終わらせたと肯定するアメリカ人は少なくない。そして共産主義に対しては、今も多くのアメリカ人は嫌悪を隠さない。アメリカの戦後史における2つのタブーを、意図したかどうかはともかく結果として、ノーランは正面から侵犯した。
 もう一度書く。本作は徹底して映画だ。ノーランに余計な野心はない。でもあなたは映画的野心を目撃する。
 『オッペンハイマー』(日本公開中)
 ©Universal Pictures. All Rights Reserved.
 監督/クリストファー・ノーラン
 出演/キリアン・マーフィー、エミリー・ブラントマット・デイモン
 <本誌2024年4月9日号掲載>
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 4月22日21:01 YAHOO!JAPANニュース ニューズウィーク日本版「「原爆の父」オッペンハイマーの伝記映画が、現代のアメリカに突き付ける原爆の記憶と核の現実
 アカデミー賞作品『オッペンハイマー』を通して、大勢のアメリカ人が原爆と核戦争の歴史に引き込まれ、ミレニアル世代やZ世代の多くは初めてその現実を知ることになった
 映画は天才物理学者オッペンハイマーの成功と赤狩り時代の「凋落」を描く
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 『オッペンハイマー』は興行収入(全世界で10億ドル近く、アメリカだけで3億ドルを超えた)、アカデミー賞(作品賞を含む7部門を受賞)、レビュー(映画評論家だけでなく科学者や歴史家にも注目された)が示すとおり大成功を収めた。【キャロル・グラック(コロンビア大学名誉教授〔歴史学〕)】
 【関係図】映画『オッペンハイマー』の多彩な登場人物たち
 1人の物理学者が同僚と語り合い、共に研究に取り組んで世界初の原子爆弾を開発する3時間の伝記映画が、スーパーヒーローかスーパーマリオトム・クルーズがいなければ映画館に足を運ばない人々の興味を大いにかき立てると予想した人は少なかった。
 そして、ピンクずくめの少女の着せ替え人形を主人公にした映画がなければ、『オッペンハイマー』はあそこまでヒットしなかっただろうと多くの人が考えている。
 2023年の真夏に同日公開された「バーベンハイマー」(バービーとオッペンハイマーを合体させた造語)は一大ブームを生み、意外すぎる2人組のミームソーシャルメディアを駆け巡った。
 映画『バービー』がなければ、『オッペンハイマー』がこれほど多くの観客を集めることはなかった。『バービー』のおかげで大勢のアメリカ人が原爆と核戦争の歴史に引き込まれ、彼らの多くは初めて知ることになった。
 アメリカでは今や人口の40%以上が、1981年以降に生まれたミレニアル世代とZ世代だ。彼らは第2次大戦に関する知識が驚くほど薄い。
 ヒロシマと原爆は知っているが、その開発や日本に投下するという決断については、ほとんど何も知らない。実際、この世代の大多数は、第2次大戦のアメリカの同盟国と敵国はどこかという質問にさえ答えられないのだ。
 彼ら若い世代の70%近くが核兵器は非合法化しなければならないと考えているが、一方で、『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン監督の息子の言葉にうなずく人も多いだろう。
 Z世代である息子は父親の新作のテーマを聞いて、「核兵器や戦争について本気で心配する人はもういない」と言った。
 ノーランはこう答えた──「たぶん心配したほうがいい」。今は若い世代にも心配している人が増えただろう。『オッペンハイマー』の観客の3分の1以上は32歳以下だ。
 マンハッタン計画
 アカデミー賞授賞式でのノーラン監督(今年3月) TRAE PATTON/©A.M.P.A.S.
 年長の観客は男性のほうが多く、若い世代より戦争について以前から知っていたかもしれない。そんな彼らにとっても、ロバート・オッペンハイマーマンハッタン計画(米政府の原爆開発計画)の物語は新鮮で、心をつかまれた。
 それはどのような物語なのか。その物語は歴史と、そしてアメリカの原爆の記憶と、どのように重なるのだろうか。
 核戦争の結果に「無知」だった
 映画『オッペンハイマー』のシーンから、タトロックと恋仲に ©UNIVERSAL
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 映画は、オッペンハイマーの物語と原爆の物語の2つを語る。複雑なストーリーテリングに時々頭が混乱するが、オッペンハイマーの生涯を3つに分けて描いている。
 第1のパートでは、オッペンハイマーは若い科学者だ。人付き合いが苦手だが優秀で、量子物理学にのめり込んでいる(ベッドに入っても量子物理学の夢を見る)。
 カリフォルニア大学バークレー校で理論物理学研究で名高いグループの礎を築き、左翼的な思想を持ち、共産主義者の友人がいて、詩とサンスクリット語をたしなみ、マティーニを作り、恋愛をする。
 【核戦争の結果に「無知」だった】
 第2のパートは、ニューメキシコ州ロスアラモスを拠点に原爆の製造と実験をめぐる科学的時間との闘いがドラマチックに繰り広げられる。
 マンハッタン計画については「3年間、4000人、20億ドル」と描写されたが、実際には30カ所で10万人以上が関わり、国民にも連邦議会のほとんどにも伏せられたまま22億ドルがつぎ込まれた。
 クライマックスは1945年7月のトリニティ実験だ。世界初の原子爆弾(愛称「ガジェット」)がニューメキシコ州の砂漠の上空で爆発に成功したのは、科学的勝利であると同時に恐るべき瞬間でもあった。
 オッペンハイマーたち研究者は後に、新しい世界の悪魔的な始まりだったと語っている。
 セキュリティーリアランスを剥奪
 映画『オッペンハイマー』のシーン、ロスアラモスにて
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 オッペンハイマーの科学的勝利は政治的災厄に変わり、原爆が引き起こした結果が、映画の第3のパートと彼の残りの人生を占めることになる。
 国民的な名声を得たオッペンハイマー水素爆弾の開発と軍拡競争に反対し、50年代の反共産主義の熱狂の渦中で、水爆の擁護者だった旧敵(ルイス・ストローズ)に引きずり降ろされる。
 偏向した聴聞会を経て、オッペンハイマーはセキュリティーリアランス(機密情報にアクセスできる資格)を剝奪された(2022年に米政府はようやく資格を回復させた)。
 映画ではオッペンハイマーの視点はカラーで、59年の上院公聴会で政府の職を追われたストローズの視点は白黒で描かれる。
 オッペンハイマーの人生については、マーティン・J・シャーウィンとカイ・バードによる傑作の伝記『アメリカン・プロメテウス』(邦訳『オッペンハイマー』ハヤカワ文庫)に基づいている。
 科学者の泣き虫」
 映画『オッペンハイマー』、公聴会でのストローズ
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 ちなみに、ハリー・トルーマン米大統領(当時)はオッペンハイマーを実際に「科学者の泣き虫」と呼んだが、映画で描かれているような状況とは違った。
 実用可能な最新技術である原爆で戦争に勝つこと
 映画『オッペンハイマー』、グローブスとオッペンハイマー
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 もう1つの物語──原子爆弾の伝記映画──は、実際は映画が示唆する以上に複雑だった。こちらの主役である科学者たちは、原爆を製造するための知的および技術的な専門知識を提供した。
 ただし、当時は戦時中であり、マンハッタン計画の責任者だったレズリー・グローブス将軍ら軍部の目的はただ一つ、実用可能な最新技術である原爆で戦争に勝つことだった。
 そして、ワシントンの政治家たちもまた、日本の降伏の先にある戦後の原爆の使用も見据えていた。ヘンリー・スティムソン陸軍長官の言葉を借りれば、ソ連に対する外交では原爆が「切り札」だ。
 映画では、セキュリティーのために内部のコミュニケーションを制限する科学的任務の「区分化」に何回も触れている。
 しかし、現実にはそれよりはるかに大規模で重大な「区分化」があった。科学者と軍部と政治家がそれぞれ自分の領域で活動し、彼らのほぼ全員が、核戦争が人類にもたらす恐ろしい結果について無知だった。
 関係者がサングラスをかけてトリニティ実験の爆発を見守る場面は象徴的だ──まるで核爆発がもたらす危険は、まぶしい光だけであるかのように。
 アメリカ人の「原爆の記憶」
 広島に投下された原爆の写真をマンハッタン計画関係者に見せるオッペンハイマー(1940年代) BETTMANN/GETTY IMAGES
 映画の中でオッペンハイマーは、広島と長崎への原爆投下後、道徳的な懸念にさいなまれ、核兵器の国際管理を支持するようになったと描かれている。
 だが実際には、45年のオッペンハイマーの態度は相反していた。核爆弾を「悪事」だと語ったときもあれば、「なさねばならなかった」と語ったときもあった。
 原爆が広島と長崎に投下されたことで、10月に「私の手は血塗られた」とトルーマンに語ったが、5月には日本への投下に反対はしていなかった。
 死去する2年前の65年には、「私たちは極めて明白な結果を予想しないものだ」と語り、「ロスアラモスでの原爆(開発)は、その最たるものだった」と述べている。
 原爆投下の決定に深く関わった人たちの道徳的・知的反応もまた、「極めて明白な結果」を予期していなかった。
 それでもマンハッタン計画に携わった物理学者のイジドール・ラビやレオ・シラードなどの科学者は、日本への原爆投下に反対したし、投下後は動揺を示した(第2次大戦で米極東陸軍司令官を務めたダグラス・マッカーサーは原爆を「フランケンシュタイン的な怪物」と考えていたとの記録がある)。
 核戦争の真のおぞましさが明らかになるにつれて、アメリカの政府と軍は、爆風やキノコ雲、そして広島と長崎の破壊の報道を容認する一方で、放射能に関する報道は全力で検閲し、抑え込もうとした(放射能の問題に注目が集まり、アメリカは化学兵器を使ったという批判が起こることを懸念する声もあった)。
 原爆の投下は100万人のアメリカ人の命を救った
 映画『オッペンハイマー』のシーンから、アインシュタイン
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 原爆のもたらした痛ましい現実を世間が知ることになったのは、ジャーナリストのジョン・ハーシーが被爆者を追った46年発表の生々しいルポルタージュヒロシマ』(邦訳・法政大学出版局)のおかげだ。
 だが翌47年には、スティムソンがハーパーズ誌への寄稿「原爆投下の決定」で、原爆の投下は100万人のアメリカ人の命を救ったという政府の見解を再び主張した(ちなみに100万人という数字に根拠はなかった)。
 こうして、アメリカ人の原爆の記憶を支配するストーリーが確立された。それは終戦50周年を迎えた95年も健在だった。
 このときワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館は、広島に原爆を投下した爆撃機エノラ・ゲイ」を展示することを計画したが、そこに被爆者や戦後の核軍拡競争への言及は一切なかった。
 また、終戦50周年の記念切手の図案には、きのこ雲のイラストの下に「原爆は戦争の終結を早めた」と書かれていた。昔ながらの原爆の説明から、賛否両論の相反的な要素はすっかりなくなったかのように見えた。
 映画『オッペンハイマー』にも、この単純化された説明が垣間見られる。日本の被爆者のことも、トリニティ実験や戦後のマーシャル諸島ネバダ州などでの核実験で被曝した人たちのことにも全く触れていない。
 それでもノーランは、道徳的な批判を加えたいと考えて、それをオッペンハイマーのキャラクターに詰め込んだ。
 映画の終盤で、オッペンハイマーアルバート・アインシュタインと架空の会話を交わし、「原子爆弾の爆発により生じる連鎖反応は、世界全体を破壊させる恐れ」に改めて言及する。「われわれは破壊した」が、映画における彼の最後の言葉だ。
 世論調査によると、原爆投下に対するアメリカ人の意識は、ゆっくりとだが変わってきた。45年8月の時点では、85%がその決定を支持したが、2015年は57%、18~29歳では47%だった。依然として高い水準だが下落傾向にあるのは間違いない。 
核戦争の瀬戸際にある世界で
 スミソニアン博物館に展示されるのを待つB29爆撃機エノラ・ゲイ」(1995年) REUTERS
 今や放射能の影響や被爆者の苦しみはアメリカの大衆にも知られており、映画の中でオッペンハイマーが、皮膚が垂れ下がった被爆者の姿や、黒焦げの死体を踏み付ける自分の姿を思い描くシーンの意味を理解できるだろう。
 スミソニアン博物館も26年までに、「第2次世界大戦の空中戦」という新しい展示を開く予定で、広島と長崎の写真を含める計画だ。ひょっとすると、日本人の戦争経験への言及もあるかもしれない。
 博物館の趣旨からいって、航空機に焦点が当てられるのは確実だが(従って爆撃された人よりも、爆撃した側の視点になる)、国立博物館という政治的・公的な性格を考えると、1995年当時よりもましな展示になるかもしれない。
 核兵器をめぐる道義心と認識、そして現実は、それぞれ別のものだ。少なくともアメリカではそうらしい。
 現在、ロシアはウクライナで戦術核兵器を使用する可能性をちらつかせているし、アメリカは5日ごとに10億ドルの投資ペースで核備蓄の近代化を図っている。
 世界には1万2000発の核弾頭があり(その大部分はロシアとアメリカが保有している)、1970~2010年代の核軍縮合意や条約は全て放棄されたか、ストップしている。
 今や人類の滅亡を象徴的に示唆する「終末時計」の針は、残り90秒に設定され、1947年の設置以来「世界の破滅に最も近い」状況にある。
 ニューヨーク・タイムズ紙の最近の連載「瀬戸際」は、「核戦争は想像できないと言われてきたが、現在は十分に想像されていない」と警告した。核戦争の脅威が常態化して、私たちは居心地が良くなってしまったかのようだ。
 ノーランのZ世代の息子のように、アメリカの若者は核戦争よりも気候変動の脅威について心配しているし、それよりも上の世代はAI(人工知能)のもたらす脅威で頭がいっぱいだ。
 映画『オッペンハイマー』が、アメリカでどのくらい核に対する意識を高めたのか、たとえ高めたとしても、それがいつまで続くのかは分からない。
 映画の導入部では、オッペンハイマーを「アメリカン・プロメテウス」になぞらえる言葉が表示される。ギリシャ神話に登場する男神プロメテウスは、神々から火を盗んで人間に与えたが故に、永久的に拷問を受けることになる。
 人間が制御できないテクノロジーを生み出したことで、私たちは「プロメテウスの乖離(結果をきちんと想像できない状態)」に陥ったと、戦後ヨーロッパのある哲学者は語った。またある者は「船を発明すれば、難破船も発明することになる」と警告した。
 これこそが、私たちが映画『オッペンハイマー』から得られるメッセージなのかもしれない。
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⏱10:ー3ー1台の中国スパイドローンが自衛隊の致命的弱点を丸裸にした。~No.29 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・{東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 ドローンは非人道的殺人兵器にもなるが、エセ保守やリベラル左派の反戦平和市民団体は反対していない。
   ・   ・   ・   
 日本上空には、インターネットに接続された安価の中国産ドローンが多数飛んでいる。
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 2024年4月18日7:02 YAHOO!JAPANニュース ダイヤモンド・オンライン「【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”
 戦争が始まれば、他国のドローン攻撃によって日本の自衛隊はたちどころに機能停止に追い込まれるかもしれないーー。海上自衛隊護衛艦「いずも」を中国スパイドローンが模擬攻撃する動画が物議を醸した。この記事では、動画の真偽を検証するとともに、本件によって明らかとなった自衛隊の「組織的な欠陥」と「致命的な弱点」について分析した。(イトモス研究所所長 小倉健一)
 海上自衛隊護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で撮影したとされる動画が交流サイト(SNS)上で拡散されている。映像は当初中国の動画共有サービス『Bilibili』に「我开飞机降落日本航母(不是游戏!!!」(私は飛行機を操縦して、日本の空母に着艦した。ゲームにあらず!!!)というタイトルで掲載され、その後、日本に広まった。
 動画は19秒ほどで、ドローンが護衛艦いずもを後部甲板から前部甲板へ飛行し、撮影をしている内容だ。
 護衛艦「いずも」は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦、いわゆる「ヘリ空母」と呼ばれているものだ。全長は248メートル、乗員は最大520名。海上自衛隊で1番大型の艦艇(軍艦)であることから、海上自衛隊にとって象徴的な存在になっている。現在、F-35B戦闘機が離着陸できるように改修を進めていて、2026年度中にも実体上は空母になるという。
 そんな海上自衛隊のシンボルである「いずも」をドローンで撮影されたことは、中国でも大きな話題になり、日本では「フェイク動画」ではないのかなどと、真贋が取り沙汰されている。もし事実なら、日本の防衛力の実態が中国のスパイドローンによって簡単にいつでも丸裸にされ、攻撃されかねない事実を白日のもとに晒される事態だ。
 安全保障アナリストで慶應義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮(ひだに・なおあき)氏はこう警告する。
 「少量の爆薬でもイージス艦SPYレーダーといった機能を停止させたり、パトリオットミサイルのレーダーシステムを損傷させることは可能だ。航空自衛隊や民間空港の滑走路にマキビシをバラまいて機能停止に追い込むことも可能だ」
 動画が真実ならばその懸念が具体化したことになる。
 こうした事態を受け、木原稔防衛相と海上自衛隊の酒井良海上幕僚長は、4月2日の記者会見で、「悪意をもって加工、捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含め、現在分析中」(木原防衛大臣)、「不自然な点はあると思うが判断しかねる」(酒井海上幕僚長)と述べた。政府が先頭に立って、動画はフェイクだ、捏造だ、不自然だと印象操作しているわけで、実際、マスメディアの見出しは『護衛艦いずもドローン映像 「捏造の可能性」木原防衛相』というものとなった。だが本当にそうなのだろうか。「そうであってほしい」「そうでなくてはダメだ」などという願望が目を曇らせてはいないだろうか。
 フェイク説を唱える有識者が、最大の根拠としているのは、動画に映し出された艦尾の艦番号である。
 <軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「いずもの艦番号は183なんですが、船の甲板にはその下2桁の83が必ず記されている。(映像の船には)8はあるが、3は書かれていない」/問題の映像に映った、船の甲板に書かれた「8」という数字。/一方、本物の「いずも」の甲板には「83」と記されていた。/こうしたことから専門家は、AI(人工知能)で作られたものではないかと推測する。/軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「わたしはフェイク…まがいものの可能性が高いとみています」>(FNNプラインオンライン『【物議】海上自衛隊護衛艦「いずも」を“ドローン撮影”か 中国SNSに映像が投稿 映像には“違和感”…AIによるフェイク?』4月1日)
 その後も彼は艦番号に3がないことを強調し、これをフェイクの根拠としている(Twitter投稿)。
 こうした見立てと違う立場をとるのが、先述の部谷氏の文春オンラインの論考での指摘だ。
 「2024年2~3月のいずもを撮影したとされるSNSに流布している画像を確認すると、83の文字は薄くなっているが、8の方が若干濃くなっている。マスメディアが空撮したものでは、管見の限りではもっとも最新となる昨年12月1日時点の朝日新聞社が撮影したいずもも8が若干濃くなっている。『3』の数字が書かれていないというが、これは第1次改装前のいずもであって、改装後に文字は薄れている。ドローンで撮影されたものは、最近の『いずも』の状態に一致している」
 部谷氏は、さらに「この指摘は4月14日に一般公開された護衛艦いずもを撮影した一般人の数々の画像をみれば『8』だけが濃い」と指摘する。高橋氏の指摘こそが都合の良い写り方を切り抜いたフェイクだとよくわかるというのだ。X上には、部谷氏の指摘を裏付けるような画像が多い。
 例えば、こちらのX上の投稿だ。
 他にも、デイリー新潮『中国のスパイドローンが「護衛艦いずも」を撮影? SNSで拡散する動画に専門家は「飛行甲板に注目すべき」』(4月9日)では、ドローンの出す音について着目し、これがフェイクである根拠と指摘している。
 <軍事ジャーナリストは「私も動画を見ましたが、フェイク動画の可能性が高いと思います」と言う。/「まず、報道に至るまでの経緯が重要でしょう。ドローンを操縦したことがある人ならご存じだと思いますが、飛行時は結構な音がします。あの動画が実際に撮影されたものなら、いずもの乗組員や基地の隊員は音などの異変に気づいたはずです。さらに航空法違反は明確ですし、海上自衛隊護衛艦の上を飛んだという事実は看過できませんから、海自か神奈川県警がドローンの飛来を広報し、それを日本のメディアが報じたはずです」>
 <「私が注目したいのは飛行甲板です。実際の甲板は、もう少し汚れています。動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか。甲板に乗組員の姿が全く映っていないのも疑問です。もし本当にドローンが撮影したのであれば、少なくとも1人か2人の乗組員がドローンに気づく様子が納められたはずです」(同・軍事ジャーナリスト)>
 新潮記事に登場する軍事ジャーナリストが誰なのかがわからないが、ドローンは結構な音がする?というのは、筆者は疑問を持つ。ウクライナ戦争において、ドローンがうるさく近づけば気づかれるような代物であったとすれば、あれほどの戦果をあげることなどできるのだろうか。ドローンとAIを活用した課題解決の実績もあり雑誌Wedgeなどにも寄稿しているハッカーの量産型カスタム氏にその点を尋ねた。
 「例えば日本でも入手しやすいDJIなど市販ドローンは、ある程度の高度に達すると騒音の少ない山間部でも気が付かないくらい静かに飛行ができます。ましてや市街地に隣接する『いずも』付近は高速道路などがあるためさらに気が付きにくいはずです。ドローンを操縦したことがある人なら、わかるはずなんですが……。『動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか』という指摘も、市販のドローンの性能を理解した上で操縦や空撮の経験があれば、このような疑問は持たないはず」
 として、量産型カスタム氏は、筆者に対してDIJドローンの最新機能が検証されたURL(『Vol.59 驚きの飛行性能&高画質!Mavic 3の映像を検証する・中編 [Reviews]』)を示した。そこには、静音性が向上していること、カメラの機能が高く、広角撮影が可能であること、さらに内蔵補正機能やDJIのアプリケーションによる画質や色の補正もできることが示されていた。他にも、
 <飛ばしていて気づいたのですが、バッテリーがとにかくモチます!>
 <着陸がかなわない連続撮影(電車・バス等の撮影待機、30分以内の花火大会など)などで重宝しそうです>
 <色補正を加えることで通常撮影時よりも表現力の高い映像に仕上げることができます>
 これらファクトを総合して考えるにやはり動画のフェイク説は説得力に欠ける。
 量産型カスタム氏が続ける。「もし生成AIによるフェイク動画と主張するのであれば同じような品質の動画を作り再現する必要があります。自らが再現できないものを出来ると言い張るのは、軍事ジャーナリストだろうと学者だろうと無責任で技術を論ずる資格すらなく信用してはいけません…まあ今回に限らずですけどね」
 となれば、今回の問題の本質は何なのか。部谷氏に見解を聞いた。
 「防衛省自衛隊は、情報戦に自滅しています。映像公開から2週間以上が経過しているにもかかわらず、それに対する対応に失敗しています。まず初手で海幕長が4月2日に飛行甲板上に艦番号は必ず記載しているとしながら、翌日には不記載が標準としましたが、これは海幕長海幕が所属艦艇の状態を把握できないまま、希望的観測で発言したことを示してしまった大失態でした。
 しかも、海幕はこの件に関する世論を全くコントロールできていません。犯人を名乗る人物がXアカウントを開設し、次々と高画質の米空母やいずもの写真を公開して真実性を増す中、2週間以上が経過しても「分析中」を繰り返すだけの受け身です。たかが一動画に対してこのありさまでは、自衛隊の分析能力の低さ、そして、もはや一般的でもある生成AIを利用した動画生成への理解にすらないのかと国内外から疑いの目を向けられかねない状況です。
 これは今回の動画が仮にフェイクであっても変わらない大きな失点です。戦略3文書では外国からの情報戦に対抗し、戦略的コミュニケーションで対抗すると強調していたのに、それがまったく実践できていないからです。昨年の銃乱射事件でも、能登半島地震でも自衛隊は組織的な不利な言説に対し、逆効果となる個別反論を繰り返すだけで、戦略的及び作戦的な情報戦を展開できていません。有事が近づけば、この手の動画が頻出することは間違いありませんが、その際もこのような対応を取るのでしょうか?
 そして警備上も大きな問題が示されたことはいうまでもありません。実は自衛隊施設へのドローンの侵入は日常茶飯事となっており、それに対し何ら有効な能力を発揮できていません。電波法によって貧弱な探知及び射程の短い妨害能力しかない対ドローン機材しか持たず、その配備も遅れており、法的権限も不足しています。
 韓国は北朝鮮のドローン部隊のソウル侵入を契機に、全軍のドローンを一元指揮するドローン司令部を創設し、ドローン対処訓練を公開で行う等、巻き返しています。日本もこれを奇貨として韓国軍の取り組みに見習うべきです」
 現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。
 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である。
 小倉健一
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 4月18日9:30 YAHOO!JAPANニュース Forbes JAPAN「ウクライナ戦争で急速に進化するドローン、その最新戦術とは
 両陣営の多数のドローン(無人機)が前線で飛び交っている以上、敵機との鉢合わせは避けられない。ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した2022年以来、操縦士が武器を搭載していないドローンを使って敵のドローンを追いやる「ドッグファイト(格闘戦)」が時折起きている。だが現在は異なるパターンが見られる。ドローン同士が予期せず対峙するのではなく、意図的な迎撃が行われており、小型のドローンが大型の爆撃ドローンを攻撃している。
 これは第1次世界大戦で見られたパターンに似ている。初期の複葉機偵察機から軽攻撃機、そして戦闘機へと進化する中で、主な任務は攻撃してくる爆撃機を撃墜し、制空権を取ることだった。そうしなければ敵機に攻撃されるため、不可欠なことだった。それから約100年が経ち、ドローンが飛行する空域の制空権をめぐる争いの中で、同じような動きが小規模に繰り広げられている。
■ロシア軍のドローン迎撃機
 ウクライナ軍が爆撃機として使用する大型ドローン、バーバ・ヤガーは夜間に飛行する。極めて正確に爆弾を投下して戦車やその他の車両を破壊し、ロシア軍部隊の間に恐怖を広げている。このドローンの音は聞こえるが姿は見えない。効果のある妨害電波を散発的に出す以外に、ロシア軍は重爆撃機を撃墜するための有効な方法を見つけられていない。そして今、ロシア軍の一人称視点で操作するドローン(FPV)がバーバ・ヤガーを探し出して意図的に突っ込んでいる映像が出回っている。
 これは偶然ではない。
 ロシアのドローン専門家で、米シンクタンクの海軍分析センター(CNA)と新アメリカ安全保障センター(CNAS)の顧問であるサミュエル・ベンデットはロシア国営メディアのタス通信の記事に言及しつつ「特定の大隊ではいま、パイロット訓練コースにドローン同士の戦闘を組み込んだ公式訓練が行われている」と語った。
 ドローンの操縦士は周囲の状況をほとんど把握できない。一般的に、視界は前方と下方に限られている。そのため、ドローン奇襲を成功させるには通常、上方と後方から攻撃する。
 FPVだけでなく、ロシア軍は標準的なクアッドコプターでもバーバ・ヤガーを狙っている。この場合、バーバ・ヤガーのローターを破壊するために、武器を搭載していないドローンを上空からバーバ・ヤガーの上に落下させる戦術を取る。攻撃側はドローンを失うことになるが、より大きなウクライナ軍のドローンの1機を道連れにできる。
ドローンを用いた戦術は常に進化している
 ロシア軍はまた、ドローン同士の空中戦でより効率的に攻撃できるようドローンを改造している。ロシアのあるグループは3月に「ラム(Ram)」と呼ばれる新型のドローンを披露した。このクアッドコプターには、敵機のローターのブレードに難なくダメージを与えられるよう、金属製のスポークが取り付けられている。この種の改造は、オランダで毎年開催されている、ドローン撃退を競うイベントに触発されたものかもしれない。相手陣地の旗を奪うゲームに似たこの競技は、空中での戦闘で相手のドローンを排除する必要があり、ドローンには槍や鎖などの武器が搭載されている。
ウクライナ軍のドローン戦術
 ウクライナ軍もロシアの攻撃ドローンに対して同様の戦術を用いている。ウクライナのFPVがロシア軍の自爆ドローン、シャヘド136を迎撃している映像はまだない。米国がウクライナに供与した、特定の目的を想定して作られた迎撃用ドローンがシャヘド136への攻撃に成功しているかもしれないが、安全上の理由から詳細は公表されていない。
 ウクライナ軍のドローン操縦士がロシア軍の小型ドローンを撃墜した動画は数多くあり、有名なBirds of Magyarの映像や、ドニプロ川上空で双胴機のドローンを撃墜した映像などがある。
 こうした迎撃が行われている理由は明白だ。防空ミサイルは数十万ドル以上する希少かつ貴重なものであり、巡航ミサイルのような大きな脅威のために温存されている。一方で数百ドル程度のFPVは潤沢にあり、これらを最大限用いることは理にかなっている。
 ウクライナが現在使用しているものより大型で航続距離の長いFPVを開発すれば、これらも防空目的で使われるかもしれない。ゼレンスキー大統領はこのほど、新型の自爆ドローン「ウクロランセット(Ukrolancet)」の性能について説明を受けた。このドローンは地上の標的を攻撃するだけでなく、低速で飛ぶ機体、特にロシア軍のオルラン10やシャヘド136などの無人偵察機やドローンを標的とすることができる。
■ドローン戦争
 戦術は常に進化している。ロシア軍がバーバ・ヤガーを迎撃し始め、ウクライナ軍はバーバ・ヤガーに護衛を付けている。ウクライナ側の映像では、クアッドコプターがバーバ・ヤガーを守り、迎撃を試みるロシア軍のドローンを撃退しているように見える。このドローン戦術は第1次世界大戦というより第2次世界大戦の様相をすでに呈している。
 ベンデットは、バーバ・ヤガーが護衛のFPV一団と行動を共にしているところが目撃されたというロシア側の指摘に言及している。バッテリーの残量が少なくなったFPVはバッテリー交換のために操縦士の元に戻り、その間、他のFPVが任に当たることで護衛は継続される。FPVは標的に接近する偵察機として機能するだけでなく、地上目標を攻撃し、敵のドローンから守る遮蔽物にもなる。
 ドローン操縦を趣味とするウクライナの数人がクアッドコプターを使ってロシア軍の陣地を偵察していた2年前と比べると、事態は大きく進展している。投入されるドローンの数が数百万機に増え、戦場をますます支配するようになるにつれて、同様の速度で事態は今後も進展し続けると予想される。
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🐇11:─1─「日本の惨状を誰かのせいにする」人ばかりの社会、「考え方」を変えなければ豊かになれない。~No.11 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本企業はブラック化し、経験の浅い若い社員を経営リスクとして大量リストラし、残った社員を社畜として酷使ししてストレスで過労死・自殺へと追い込んだ。
 メディアは、経済アナリストやエコノミストを使って大量解雇を正当化した。
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 自称正義の味方による同調圧力が、日本人を無能無教養にし、日本を堕落させ衰退させる。
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 2024年1月18日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「日本の惨状を誰かのせいにする」人ばかりの社会、「考え方」を変えなければ豊かになれない
 なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか? 張り紙が増えると事故も増える理由とは? 飲み残しを放置する夫は経営が下手? 
 話題の新刊『世界は経営でできている』では、東京大学史上初の経営学博士が「人生がうまくいかない理由」を、日常・人生にころがる「経営の失敗」に見ていく。
 【写真】人生で「成功する人」と「失敗する人」の大きな違い
 世界から経営が失われている
 経営とは、企業や社長のものなのだろうか。
 『世界は経営でできている』で気鋭の経営学者は、経営を「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」だという。
 そして、そのような経営はすっかりみられなくなった。
 〈世界から経営が失われている。
 本来の経営は失われ、その代わりに、他者を出し抜き、騙し、利用し、搾取する、刹那的で、利己主義の、俗悪な何かが世に蔓延っている。本来の経営の地位を奪ったそれは恐るべき感染力で世間に広まった。
 プラトンの時代からドラッカーの登場まで、人類史における本来の経営は「価値創造という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げるさまざまな対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」だったはずだ。〉(『世界は経営でできている』より)
 〈しかし現代では、経営ときいて「価値創造を通じて対立を解消しながら人間の共同体を作り上げる知恵と実践」を思い浮かべる人は少数派になった。
 人生のさまざまな場面において、経営の欠如は、目的と手段の転倒、手段の過大化、手段による目的の阻害……など数多くの陥穽をもたらす。〉(『世界は経営でできている』より)
 経営概念、世界の見方・考え方を変えない限り、人生に不条理と不合理がもたらされ続けているのだ。
 「価値は有限でしかありえない」のか?
 〈日本には「価値は有限でしかありえない」という誤った観念が普及した。
  (中略)
 価値は有限だとする思い込みが流行するとともに、「価値を誰かから上手に奪い取る技術」を売り歩く人々が跋扈した。いかにして価値を掠め取ったかを自慢するだけの書物が街に溢れた。多くの人は経営の概念を誤解し経営を敵視するようになった。そうするうちに本来の経営の概念は狡知の概念と入れ替わってしまった。
 もし価値が一定で有限ならば、誰かが価値あるものを得ているのは別の誰かから奪っている以外にありえない。善人に対しても「我々に気づかせないほど巧妙に、我々の価値を奪っているのでは」という疑念がよぎることになる。
 こうした誤った推論により、日本の現状を誰かのせいにする言説が流行した。若者が悪い、高齢者が悪い、男性が悪い、女性が悪い、労働者が悪い、資本家が悪い、政治家が悪い、国民が悪い……。現代では誰もが対立を煽る言葉に右往左往している。自己責任論という名の、責任回避の詐術に全ての人が疲弊させられてきた。誰もが別の誰かのせいにし、自ら責任を取る人はどこにもいないかのようだ。〉(『世界は経営でできている』より)
 価値を有限だと思い、何かを誰かと奪い合うのは、個人と社会にとって大きな損失である。
 そのことを理解して、初めて日本や世界が豊かになる方法を考えることができるのかもしれない。
 つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
 現代新書編集部
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🎷117:─1─誰が総理・総裁になっても自民党は負ける。「政権交代」立憲支持層の9割強。~No.439No.440 

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 自民党は、国民から見捨てられる。
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 2024年4月20日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「自民党は「人材の砂漠」になってしまった…「選挙の神様」と「ベテラン政治記者」が断言…「誰が総理・総裁になっても自民党は負ける」
 前編記事『幹事長を信用できない総理に解散はできない…『選挙の神様』久米晃と『ベテラン政治記者星浩が政局ぶったぎり「自民党を壊した岸田総理」』に続き、自民党の終わりについて語り合った。
 【一覧】「次の首相になってほしい政治家」ランキング…上位に入った「意外な議員」
 自民党は人材の砂漠
 星 今国会の会期末、6月解散の可能性が指摘されています。久米さんはないとおっしゃいますが、私はまだ五分五分であり得ると見ています。
 岸田さんには、楽観的な見通しをつないで、先を読む傾向があります。裏金問題も、今回の処分でケリがつく。国賓待遇での訪米で議会演説を行い、脚光を浴びる。賃上げで、国民の懐が温まる。6月には定額減税が行われ、可処分所得も増える。これらの結果、岸田さんはうまくやっていると支持率が上がり、選挙で信を問う、というわけです。
 久米 景気が本当によくなれば、岸田総理も解散を打てるかもしれませんが、解散できるほど支持率が上がっていれば、解散しなくても総裁選で再選されるわけですから。私は、岸田総理が6月解散に打って出ることはないと思っています。
 星 岸田さんが思うように事が運ぶほど簡単ではないですからね。本来は側近に「総理、そんなにうまくはいきませんよ」と諫める人がいないといけないのですが、そういう人材が見当たらない。
 仮に6月解散で自民党が大敗すれば、岸田総理が本当に自民党を壊してしまうことになる。
 久米 支持率の低迷が続けば、いずれ政権は立ち行かなくなります。問題は、次を担う人材がいないということです。かつては、「三角大福中」や「麻垣康三」といった次の総理候補の名前が何人も挙がったものですが、いまはいません。石破茂元幹事長の待望論などまだ聞こえてきません。自民党の人材が払底している証拠です。自民党は人材の砂漠になってしまった。
 投票に値する政治家がいない
 星 安倍長期政権で、若手議員は政変を知らない。党内でケンカもしていないので、パワーが弱くなったことは否めません。
 久米 政治家から志が欠落し、本当に質が落ちたと感じます。投票率の低下は、国民の政治への無関心からではなく、投票に値する政治家がいなくなったからです。
 星 その原因はどこにあると見ますか? 
 久米 一つの要因に小選挙区制があるのではないでしょうか。政権交代が可能な二大政党制なんて誰が望んだというのでしょうか。結果、政党に所属していないと選挙で勝てない。カネを持っている人しか当選できない。それでは政界に新しい血も入らないし、政治家を志す若い人もいなくなる。これは日本にとって、不幸なことです。
 星 世の中の多くは岸田政権のみならず、自民党全体に怒りを抱いているように見えます。
 久米 日本は現在、多くの危機に直面しています。ウクライナ戦争で明らかになったのは、食料・エネルギーの危機。能登半島地震など災害の危機もあります。台湾をめぐる中国との危機も以前から指摘され続けています。しかし、岸田さんはこうした危機への対応は一つもできなかった。まあ、岸田さん一人の責任ではないのですが。
 星 岸田さんは、たしかに防衛費を5年かけて43兆円に増額すると決めた。これは一種の危機対応として、評価する声はあります。しかし、その後がいけない。岸田さんは、防衛費増額は国民に負担をかけない形で行い、増税もほとんどしないという説明をした。国民からすると、別に増税も必要ない程度の危機なのかと、勘違いしてしまいます。
 少子化対策にしても、年間出生数は80万人を切っていて、非常に深刻なのに、国民の負担は一人あたり平均月450円だと説明する。これでは危機感は伝わりません。
 久米 自分の言っていることが正しいという自信があれば、おのずと説得力は備わるものです。説明から逃げているというのは、自分に自信がないということでしょう。
 しかし、自民党内部から政権や執行部に対する不満の声があまり聞こえてこない。そこが自民党の危機です。5月の連休が終われば、さすがに危機感を抱いて、もっと声が上がると思います。なければ終わりです。
 誰が総裁になっても負ける
 星 支持率がこのまま回復しなければ、どこかのタイミング、たとえば8月くらいにギブアップして総裁選を早めるという可能性もあります。
 その場合、これまで3回出馬している石破さんは総裁候補の「有資格者」です。上川陽子外相や高市早苗経済安保相、野田聖子総務相といった女性陣も手を挙げるでしょう。他には加藤勝信官房長官河野太郎デジタル相といったところでしょうか。
 久米 誰かぶっちぎりで走るような人が出てこないと、誰が総裁になっても自民党議席を増やすことはないと思います。石破さんなら、マイナス20議席、とか。貧乏くじを引きたくないから、みんな様子を見ているのでしょう。マイナス議席が大きすぎると、選挙後すぐに責任を取れと言われてしまいますから。
 星 総理大臣はいきなりはなれないポストです。それなりに準備をしておかなければならない。かつては、大蔵大臣(財務大臣)や外務大臣といった主要閣僚、さらに幹事長などの党三役を経て、総理へのキャリアを築いていった。しかし、安倍政権下では、麻生さんがずっと財務相の座にいたし、幹事長には二階俊博さんが長く君臨した。訓練を積むポストが与えられなかったため、将来の後継候補が育っていないとも言えます。
 久米 中堅・若手を登用する人事もうまくいっていません。岸田さんは福田達夫さんを総務会長に抜擢しましたが、旧統一教会自民党の関係について「何が問題かわからない」と福田さんが発言してから、評判は下がる一方ですね。
 公明党も負ける
 星 在職中は「選挙の神様」と呼ばれた久米さんですが、次期衆院選はどうご覧になりますか。
 私は、前回選挙で起こった「首都圏3異変」に注目しています。石原伸晃元幹事長、甘利明前幹事長、桜田義孝元五輪相の3ベテランが立憲民主党の新人にコロッと負けた。自民党の重鎮でも、民意次第でどんどんひっくり返るという現象が始まっていると思います。
 久米 都市部では自民党支持率はもう上がってきませんからね。自民党比例代表も確実に減らすでしょう。そうなると、比例復活がなくなる。自民党に入らない票は、立憲にいくと思いますよ。
 これは私の持論なのですが、選挙というのは、自民党に入れたいか、入れたくないかを問うものなんです。自民党に入れたくない場合は、一番入れやすい野党に入れるか、投票せずに寝るかのどちらかです。立憲が3月上旬に行った情勢調査で、東京で自民党がボロ負けするという結果が出たと言われていますが、その通りになると思います。野党が政権を取れるほどではないが、自公過半数割れという事態は十分あり得るでしょう。
 星 自民党が都市部で勢いを失った分を、公明党=創価学会が補うという見方もありますが、あの組織にも、もうそこまでの力はありません。
 久米 自民党が負けるときに、公明党が勝つことはなく、自民党が負けるときは公明党も負ける。
 注目は4月28日
 星 自公が過半数割れになるとどうなるか。それは負け方次第でしょうね。過半数にほんの少し足りないだけなら、国民民主党を入れて政権を維持する。さらに足りない場合は、日本維新の会に声をかけるでしょう。しかしそうなると公明党が反発する。いずれにせよ、与野党議席差次第です。
 久米 自公が過半数割れすると、あらゆる場面で野党に妥協するしかなくなり、政局はますます混乱するはずです。
 星 ただ、政権交代があるという緊張感がないと日本の政治はいつまでもダメなままです。
 久米 野党がだらしないから大丈夫、という驕りが今の慢心した自民党を作ってしまった。その意味で注目は4月28日の島根1区の補選です。惨敗すると自民党の危機感に、ようやく火が付くのではないでしょうか。

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 くめ・あきら/'54年、愛知県生まれ。業界紙記者を経て、'80年に自民党職員に。以来、一貫して選挙畑を歩み、党選対本部事務部長や党事務局長などを歴任した。'19年に定年退職し、現在は選挙・政治アドバイザーとして活動する

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 ほし・ひろし/'55年、福島県生まれ。東京大学卒業後、'79年に朝日新聞社に入社し、ワシントン特派員や政治部デスク、特別編集委員などを歴任。'16年に退社し、『NEWS23』のキャスターに。現在はTBSスペシャルコメンテーターを務める

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 「週刊現代」2024年4月20日号より
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 【もっと読む】『「総理になってほしい人」ランキング最新結果を発表! 9位菅義偉、8位山本太郎…「高市早苗」の驚きの順位』
 週刊現代講談社
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 4月21日 MicrosoftStartニュース 毎日新聞「「政権交代」立憲支持層の9割強 公明支持層でも3割弱 世論調査
 衆院本会議の議場=国会内で2024年4月9日午後1時54分、平田明浩撮影
 © 毎日新聞 提供
 20、21日実施の毎日新聞世論調査で、次の衆院選政権交代してほしいと思うかどうかを聞いたところ、「政権交代してほしい」との回答が62%に上った。「政権交代してほしくない」は24%、「わからない」は13%だった。
 「政権交代してほしい」との回答は30代、40代、50代の7割弱。18~29歳、60代、70歳以上でも約6割あった。支持政党別では、立憲民主党支持層の9割強、日本維新の会支持層の約7割が「政権交代してほしい」とした。自民党支持層は8割弱、公明党支持層は約6割が「政権交代してほしくない」と答えたが、公明支持層では「政権交代してほしい」も3割弱あった。自民支持層では1割強。
 自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた党内処分が「甘すぎる」と答えた人の74%が「政権交代してほしい」と回答した。自民の裏金事件対応への厳しい評価が、政権交代を望む声が大きいことの背景になっているようだ。【飼手勇介】
 関連するビデオ: ANN世論調査 自民党の処分基準「納得しない」が8割 (テレ朝news)
テレ朝news
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 自民党は人材不足。野党は信用できない。
 現代日本から、国際感覚を兼ね備えて世界の指導者と渡り合った新保守のアベイズムは消えつつある。
 与野党の大半の政治家には、口先だけで現実に沿った国家観、歴史観を持っていない、
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 現代日本では、エセ保守による右傾化とリベラル左派によって左傾化で二分化が進み、その間で歴史ある由緒ある伝統的正統保守は衰退している。
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 自民党保守政党とは言えないし、野党には保守は存在しない。
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 現代日本には、本当の意味での正統保守はごく僅かな少数派である。
 日本の多数派は、エセ保守とリベラル左派による反宗教無神論・反天皇反民族反日である。
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🎻16:─5・E─なぜアメリカ軍は「日本人だけ」を軽視するのか?日本はアメリカ軍の植民地。No.61 

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 日本に駐留するアメリカ軍は、国連軍である。
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 現代日本人は、民族的な伝統力・文化力・歴史力そして宗教力がない為に現実の歴史が理解できない。
 その傾向が強いのは、超エリート層と言われる超難関校出の高学歴な政治的エリートと進歩的インテリ達であり、彼らはエセ保守とリベラル左派そしてメディアと教育の中枢にいる戦後利得者の系譜にいる日本人である。
 戦後利得者の系譜にいる日本人とは、護憲派である。
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 2024年4月4日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「なぜアメリカ軍は「日本人だけ」を軽視するのか?…その「衝撃的な理由」
 『知ってはいけない』
 矢部 宏治
 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。
 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。
 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。
 *本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。
 はじめに
 それほどしょっちゅうではないのですが、私がテレビやラジオに出演して話をすると、すぐにネット上で、
 「また陰謀論か」
 「妄想もいいかげんにしろ」
 「どうしてそんな偏った物の見方しかできないんだ」
 などと批判されることが、よくあります。
 あまりいい気持ちはしませんが、だからといって腹は立ちません。
 自分が調べて本に書いている内容について、いちばん「本当か?」と驚いているのは、じつは私自身だからです。
 「これが自分の妄想なら、どんなに幸せだろう」
 いつもそう思っているのです。
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 4月15日6:33 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「戦後日本」は、じつはアメリカの軍部によって「植民地支配」されているという「ヤバすぎる現実」
 日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。
 【写真】なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」
 そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。
 『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。
 *本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。
 「無責任な軍国主義」を支持する日本
 私たち日本人が生きていたのは、実は「戦後レジーム」ではなく、「朝鮮戦争ジーム」だった。そしてそれは「占領体制の継続」よりもさらに悪い、「占領下の戦時体制」または「占領下の戦争協力体制」の継続だったのだ。
 そのことがわかると、いろんな謎がスッキリ整理されてきます。
 私が日本の戦後史を調べ始めてから、ずっと不思議で仕方がなかったふたつの問題。
 なぜ多くの心ある、しかも頭脳明晰なリベラル派の先人たちが、自国の憲法に対して、「指一本触れるな」としか、いうことができなかったのか。
 同じく、なぜ「占領軍による憲法草案の執筆」という、疑問の余地のない歴史的事実について、「その話は、いまはまだするな」と60年以上、いいつづけることしかできなかったのか。
 それは「占領下の戦時体制」が法的に継続するなか、憲法9条に少しでも手をふれてしまえば、米軍の世界戦略のもとで、自衛隊が世界中の戦争で使われてしまうことが、本能的によくわかっていたからでしょう。
 けれども、よく考えてみましょう。冷戦の終結からすでに30年近くが経ち、世界の状況は大きく変わりました。
 もともとは、「無責任な軍国主義が世界から駆逐されるまで」(「ポツダム宣言第6項」)
 という大義名分のもと、大日本帝国を占領し、日本の独立後は、その「世界から駆逐すべき無責任な軍国主義」の対象を共産主義国に切り替えて(「旧安保条約前文」)、アジア全域に居座りつづけた米軍。そしてその国際法違反の軍事行動を、60年以上、無条件で支持し続けてきた日本。
 皮肉なことに現在、私たちが世界から駆逐すべき「無責任な軍国主義」とは、このあまりに従属的な二国間関係のなかにこそ、存在している。その問題を私たち自身の手で、清算すべきときがきているのです。
 世界史的なスケールを持った対立
 マッカーサーがどれほど自覚していたかはわかりませんが、日本の独立モデルをめぐるマッカーサーと軍部の対立は、
 「新しい時代の集団安全保障構想(国連軍+憲法9条)」と、
 「従来型の軍事同盟(東西冷戦構造)」
 の対立という、世界史的なスケールをもった対立でもありました。
 しかし朝鮮戦争の突然の開戦によって、マッカーサー・モデルはその砲煙のなかに消えさり、ダレスの考案した「疑似国連軍」としての米軍が、世界中に軍事同盟の網の目を張りめぐらしていくことになりました。
 なかでも日本は、国連憲章の暫定条項(例外条項)を駆使したダレスのさまざまな法的トリックに完敗し、国連の名のもとに米軍に無制限の自由を与える、徹底した軍事的従属関係を認めることになってしまったのです。
 それがサンフランシスコ・システムです。
 そのあまりに歪んだ二国間関係が、冷戦の終結後、アメリカの軍部に「世界の単独支配」という「狂人の夢」を見させ、アメリカ自身を、みずからがつくった国連憲章の最大の破壊者へと変貌させてしまった。
 日本と世界のためにできること
 私もこれを知ったときは驚いたのですが、じつはあのブッシュ政権国務長官だったコンドリーザ・ライスでさえ、日本と韓国に軍をおくアメリカ太平洋軍について、次のように述べているのです。
 「太平洋軍司令官は昔から植民地総督のような存在で(略)最もましなときでも外交政策と軍事政策の境界線を曖昧にしてしまい、最悪の場合は両方の政策をぶち壊しにしてしまう傾向があった。誰が軍司令官になろうが、それは変わらなかった。これは太平洋軍司令官という役職にずっとつきまとっている問題だろう」(『ライス回顧録集英社)
 つまり「戦後日本」という国は、じつはアメリカ政府ではなく、アメリカの軍部(とくにかつて日本を占領した米極東軍を編入した米太平洋軍)によって植民地支配されている。
 そしてアメリカ外交のトップである国務長官でさえ、日本がなぜそんな状態になっているのか、その歴史的経緯や法的構造が、さっぱりわかっていないということです。
 けれどもこの本をお読みになってわかるとおり、謎はすべて解けました。
 あとは、いつになるかわかりませんが、きちんとした政権をつくって日本国内の既得権益層(いわゆる「安保村」の面々)を退場させ、アメリカの大統領や国務長官に対して、
 「現在の日米関係は、朝鮮戦争の混乱のなかでできた、あきらかに違法な条約や協定にもとづくものです。こうした極端な不平等条約だけは、さすがに改正させてほしい」
 といって交渉すればいいだけです。
 なにしろ日本人の人権は、アメリカのコウモリや遺跡よりも、米軍から圧倒的に低く扱われているのです(第6章)。真正面からその事実を示して堂々と交渉すれば、
 「いや、それは今後も続ける」
 といえる大統領も国務長官も、さすがにいないでしょう。
 日本人が、この歪んだ従属関係であるサンフランシスコ・システムから脱却することは、日本はもちろん世界の歴史にとっても、非常に大きなプラスをもたらすことになるのです。
 さらに連載記事<なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」>では、コウモリや遺跡よりも日本人を軽視する在日米軍の実態について、詳しく解説します。
 矢部 宏治
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 4月17日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「なぜ日本は「法治国家崩壊状態」になってしまったのか?…主権国家の指導者として絶対にやってはならない「致命的な罪」
 アメリカによる支配はなぜつづくのか? 
 第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていた国々は、そのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めている。それにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは? 
 累計15万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む! 
 【写真】なぜ「日本の戦後」だけがいつまでも続くのか?…日本の「末期的状況」とは
 本記事では、〈日米同盟の「創世神話」…自民党がもらっていた巨額の「秘密資金」と「選挙についてのアドバイス」〉にひきつづき、CIAと日本の政治家のかかわりについてくわしくみていきます。
 ※本記事は2018年に刊行された矢部宏治『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』から抜粋・編集したものです。
 岸が「絶対にやってはいけなかったこと」とは?
 みなさんよくご存じのとおり、そもそも岸という政治家自身が、早くからその高い能
力と反共姿勢をCIAによって見出され、英語のレッスンなども意図的に授けられて、 獄中のA級戦犯容疑者から、わずか8年余りで首相の座へと駆けあがった人物でした。
 しかしだからといって、岸が外国の諜報機関の指示通りに動き、金や権力のために心
を売った人間だと考えるのは、おそらく完全なまちがいでしょう。 CIAという機関にそのような力はなく、日本以外では失敗ばかりしているということは、先ほどの大スクープをニューヨーク・タイムズ記者として放ち、それから13年後 の2007年にはベストセラー『CIA秘録』(日本語版は2008年 文藝春秋)を書いて一躍有名になった、ジャーナリストのティム・ワイナー氏が、はっきりと述べています。
 とくにCIAは、報道機関や反政府デモなどを利用して気に入らない政権を転覆させることは比較的上手だが、そのあと思い通りの政権をつくることはほとんどできていな い。
 パーレビを失脚させたあと、ホメイニを登場させてしまったイラン。フセインを処刑したあと、国家が崩壊して無法地帯となり、終わりのないテロとの戦いに苦しめられることになったイラクなどが、その代表的なケースなのです。
 岸がCIAから金をもらいながらつくった(→『知ってはいけない2』123ページ)自民党という政党が、多くの致命的欠陥を抱えながら、60年たったいまもなお政権の座にあるのは、けっして外国の諜報機関の力によるものではなく、「保守本流」とよばれた反岸派の政策も含めたその基本方針が、日本人の願望によくマッチしたものだったからにほかなりません。
 しかしそのなかで岸は、主権国家の指導者として絶対にやってはならない、いくつか の致命的な罪を犯しており、そのことがいま「法治国家崩壊状態」と私たちが呼んでいる日本の惨状につながっている。
 では、その「絶対にやってはいけなかったこと」とは、具体的になんだったのか。
 それらは現在の日本社会に存在する大きな歪みや矛盾、機能不全などと、どのようなメカニズムによってつながっているのか。
 そして最後に、私たちは今後、どのような国際政治の力学のもと、どのような政治的 選択を行って、それらの問題を解決し、正常な民主主義国家として再スタートを切ることができるのか。
 それらの問題を適切に解決するためにどうしても必要なのが、いま私がお話ししている、岸政権によって密室で結ばれたアメリカとの3つの密約が、その後の日本社会にどのような混乱をもたらしたかについての、正確な歴史認識とその具体的な分析なのです。
CIAの「岸ファイル」
 岸の個人的な歴史については、すでに無数の本が書かれており、私がそれに付け加えることは何もありません。ですからここでは、それをできるだけ簡単にまとめてみることにします。
 まず、もっとも信憑性が高いアメリカ政府の公文書では、岸とCIAの関係についてどのような事実が明らかになっているのか。
 残念ながら、情報公開の先進国であるアメリカといえども、岸に関するCIA文書は依然としてほとんど開示されていません。アメリ国立公文書館には「岸信介」ファイルがちゃんと存在するものの、閲覧可能な箱の中身はごっそり抜かれている。
 この問題にもっとも詳しい有馬哲夫・早稲田大学教授によれば、 「アメリカの国益をそこね、イメージを悪くする情報は、基本的にCIAファイルからはでてこない」(『CIAと戦後日本』平凡社)のだそうです。
 そして有馬さんは、岸に関するCIA文書について、
 「〔CIAの〕岸ファイルには『ニューヨーク・タイムズ』の記事の切り抜きなどが数 枚入っているだけだ。残っているはずのほかの〔大量の〕文書や記録をいっさい公開していないのは、彼が非公然にアメリカのためにはたした役割がきわめて大きく、かつ、公開した場合、現代の日本の政治にあたえる影響が大きいからだろう」(同前)
と述べています。
 はっきり言えば、岸の孫である安倍首相が日本の政界で主要な政治的プレイヤーでいるあいだは、そうしたファイルは絶対に公開されないということです。逆に、安倍氏が引退し、さらに自民党に代わる親米的で安定した政権ができれば、すぐにでも公開されるでしょう。なにしろ、もう60年も前の記録なのですから。
 アメリ国務省が公表した「ぎりぎりの事実」
 というのも、そもそもアメリカという国が日本といちばん違っているのは、そうした「不都合な真実」をなんとか少しでも公開しようという戦いが、政府のなかでも激しく行われているという点だからです。
 ティム・ワイナー氏は『CIA秘録』のなかで、過去にCIAが行った日本への政治工作については、その機密文書の公開をめぐってアメリカ政府のなかに「10年以上におよぶ内部抗争」があったと書いています。
 そして2006年7月、「CIAが現時点で認めることが可能な、ぎりぎりの内容」 について、国務省が見解を表明する舞台となったのが、同省の歴史課が19世紀から刊行をつづけている『アメリカ外交文書』(“Foreign Relations of the United States”)という有名な歴史資料集だったのです。これは作成後20~30年たって公開された膨大なアメリカの外交文書から、とくに重要な文書を選んで編纂されたもので、本書でも何度もこの資料集から引用しています(以下「FRUS」と略称)。
 その2006年版(7月18日刊)の「編集後記
 (エディトリアル・ノート)」でアメリ国務省は、おそらくCIAとの10年以上におよぶ長い戦いの末に、次の事実を認めることを発表しました(以下、要約。原文は→ http://history.state.gov/historicaldocuments/frus1964-68v29p2/d1)。 ☆ ☆
 ○ 日本に左派政権が誕生することを懸念したアメリカ政府は、日本の政界が進む方向 に影響を与えるため、1958年から1968年のあいだに4件の秘密計画を承認した。
 ○ そのうちの三件の内容は、次の通り。
 1:CIAは、1958年5月の日本の衆議院選挙〔=前出の、岸政権のもとで行われた自民党結党後はじめての衆議院選挙〕の前に、少数の重要な親米保守の政治家〔=岸や佐藤ほか〕に対し、秘密資金の提供と選挙に関するアドバイスを行った。援助を受けた個々の候補者には、それはアメリカの実業家からの援助だと伝えられた。 中心的な政治家への控えめな資金援助は、1960年代の選挙でも継続した。
 2:CIAは、左派の野党〔=日本社会党〕から穏健派〔=民社党〕を分裂させるため、1960年に7万5000ドルの資金提供を行った。そうした資金提供は、1964年までほぼ毎年、同程度の額で行われた。
 3:日本社会から極左勢力の影響を排除するため、ジョンソン政権〔1963年11月~1969年1月〕の全期間を通して、「より幅広い秘密のプロパガンダと社会活動」に対し、資金提供〔たとえば1964年には45万ドル〕を行った。
 この声明を読んで不思議なのは、このとき公にされたCIAの秘密計画は、上のとおり3件しかないということです。
 それなのになぜアメリ国務省が、あえて「四件の秘密計画」をアメリカ政府が過去に承認したと書いたかといえば、この時期、日本に対して行われたもうひとつの秘密計画だけは、CIAからの強い圧力によってどうしても公開できなかったこと――つまりそれが「CIAが絶対に公開したくないほど重要な秘密計画」であることを、はっきり示しておきたかったからでしょう。
 そしてそれはまちがいなく、有馬教授が示唆し、ワイナー氏が断言するとおり、「CIAと岸との絶対にオモテに出せない関係」についての秘密計画だったと思われます。
 *
 さらに連載記事〈なぜ日本だけが「まともな主権国家」になれないのか…アメリカとの「3つの密約」に隠された戦後日本の「最後の謎」〉では、日本が「主権国家」になれない「戦後日本」という国の本当の姿について解説しています。
 矢部 宏治
   ・   ・   ・   

🎺63:─1─京都を原爆から救ったというアメリカと中国が作ったウソの神話。〜No.301No.302 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 悪意の嘘で塗り固められたアメリカのウォーナー神話と中国共産党の梁思成神話。
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 現代日本の歴史において、エセ保守とリベラル左派が悪意に満ちたニセ神話を量産して民族の正統神話を駆逐している。
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 2024年2月8日号 週刊新潮「変見自在 高山正之
 見え透いた神話
 日本が好きという米国人はKGBT系を除くとほとんどいない。
 ヘンリー・スティムソンはその意味ではまともだから徹底して日本人を嫌い、一発目の原爆投下地を日本人の心の故郷、京都とした。
 投下地点は京都駅の少し西の梅小路停車場で、その上空500メートルで爆発させるはずだった。
 その高度だと核分裂が生む火球は盆地状の京都をくまなく飲み込める。金閣寺も清水の舞台も50万市民とともに一瞬に焼き尽くすだろう。
 B29による都市空爆が始まると原爆の威力がどれほどか正確に測るために京都への空襲を禁じられた。
 ただ土壇場になって当初の計画が変更され、一発目は広島に、二発目は長崎に落とされ、その一週間後に日本は降伏した。
 結果、京都は空襲もなく無傷で生き残った。
 GHQの民間情報教育局のハロルド・ヘンダーソン中佐は朝日新聞に『京都を救ったのはハーバード大学のラングドン・ウォーナーの進言のおかげ』と書かせた。
 彼は日本の貴重な美術品や史跡のリストを作って空爆の目標から外すよう米政府に訴えた、と。
 記事には当時の美術評論界の泰斗、矢代幸雄による『交戦中の相手国の文化財にまで心にとめ保護した米国に敬意を表す』という趣旨のコメントも付いていた。
 日本人は驚く。東京も大阪も焼け野原にし、原爆まで落として女子供を焼き殺した米国人は鬼畜そのものだ。そんな連中が文化財に配慮しましたなんて冗談がきつすぎる。
 そう思っていたら吉田茂が来日したウォーナーを箱根の別荘で歓待し、鈴木大拙も京都が無事なのは『大統領に進言した彼のおかげ』と言い出した。
 細川護熙の祖父、護立も自ら発起人になって彼の顕彰碑を奈良に建てている。
 しかし例えば彼のリストには大阪城名古屋城など15のお城が載っているが、うち8城は空襲で焼かれた。名古屋城に至っては63回っもの空爆を受け、焼け落ちている。
 少し考えればウォーナーの話はいい加減と分かりそうなのに、その後も鎌倉文人が『鎌倉を救ってくれた』と戦後20年も経って彼の顕彰碑を建てている。
 嘘を承知で米国を美化する。この手の文化人の心理は分かりにくいが、それから半世紀後、今度は北京から『京都を救ったのは梁思成のおかげ』という話が届けられた。
 梁思成は戊戌の政変で日本に亡命した梁啓超の息子で、中学生のころ支那に帰っていった。風の噂では米国に留学して建築学を学んだとか。
 そんあ男がどう京都を救ったのか。
 支那側の説明だと彼は日支事変の戦火を避けて雲南省昆明疎開し、そこで日本本土爆撃を模索してるカーチス・ルメイと会った。
 日本を知る梁は爆撃目標の選定に協力。そのときに京都奈良の保護を頼み、ルメイは頷いたという。
 昔の中学生が今の日本の軍事施設に通暁(つうぎょう)しているという設定もヘンだが、どう見てもウォーナー神話の二番煎じにしか見えない。支那は物真似に長ける。新幹線だけでなく、米国製美談を真似て日本人に感謝してもらおうというのか。
 失笑で終わりたいと思っていたら、平山郁夫が真顔で話に乗っかった。
 ついには北京で『京都の恩人、梁思成』の胸像のお披露目まで行われた。
 会場には外務省代表も日中友好協会も列席し奈良に像が置かれる展開に。それでも日本から『要らない』の声は出なかった。
 ウォーナーを紹介した朝日も『京都の恩人、ホントは梁思成』を報じた。
 同志社大の日本通オーティス・ケリーは『日本人の歪んだ外国認識』と批判する。外国人に恥をかかせないように嘘でも信じたふりをする。
 美徳のつもりだろうが、それでは京都に原爆を落としかねない米国の野蛮も、支那の破廉恥も許すことになる。それは彼らのためにならない」
   ・   ・   ・   


 日本国憲法前文の「(抜粋)日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」はウソであり、そんなのは人類史上存在した事がない幻、悪夢である。
   ・   ・   ・   
 32年テーゼ
 1932年5月コミンテルン執行委員会西ヨーロッパ・ビューローによって決定された「日本における情勢と日本共産党の任務に関する方針書」のこと。日本の支配体制を絶対主義的天皇制とみなし,きたるべき日本革命は天皇制を打倒し,地主制を廃止するブルジョア民主主義革命であり,社会主義革命はその次の段階とする二段階革命論の立場を明確にした。日本では河上肇翻訳で同年7月 10日『赤旗』特別号に掲載され公にされた。同種のものには 27年,31年のものがある。これらのテーゼは当時の日本の経済理論,社会主義運動理論に大きな影響を与え,活発な論争を引起した。
 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
   ・   ・   ・   

2017-09-28
✨21)─1─昭和天皇は、原爆は非人道的大量殺戮兵器であるとして開発中止を厳命した唯一の国家元首。~No.89No.90No.92・ @ ⑰ 
   ・   ・   ・   
 昭和天皇東条英機松岡洋右松井石根A級戦犯達が行った、ヒトラースターリンから逃げてきた数万人のポーランドユダヤ人難民を助け保護したのも、差別反対・弱者救済・貧困愛護そして儒教的徳以上の神話的道理(本質的価値観)に命を賭ける天皇の御威光であった。
 昭和天皇東条英機松岡洋右松井石根A級戦犯達の靖国神社、軍部・陸軍は、反ユダヤの宗教的人種主義が支配する世界から助けたユダヤ人に裏切られた。
   ・   ・   ・   
 昭和天皇は、親ユダヤ派、差別反対主義者、避戦平和主義者、原爆は非人道的大量虐殺兵器であるとして開発中止を厳命した反核兵器派、難民・被災者・弱者などを助ける人道貢献を求め続け、戦争には最後まで不同意を表明し、戦争が始まれば早期に講和して停戦する事を望むなど、人道貢献や平和貢献に努めた、勇気ある偉大な政治的国家元首・軍事的大元帥・宗教的祭祀王であって戦争犯罪者ではない。
 同時に、日本の歴史上最も命を狙われた天皇である。
 昭和天皇や皇族を惨殺しようとしたのは日本人の共産主義者無政府主義者テロリストとキリスト教朝鮮人テロリストであった。
 昭和天皇は、反宗教無神論・反天皇反民族反日本のマルキシズムボルシェビキ、ナチズム、ファシズムの攻撃・侵略から日本の国(国體・国柄)・民族・文化・伝統・宗教を守っていた。
   ・   ・   ・    
 日本人の共産主義者無政府主義者テロリストとキリスト教朝鮮人テロリストは、昭和天皇と皇族を惨殺すべく付け狙っていた。
   ・   ・   ・   
 中世キリスト教会・イエズス会修道士会と白人キリスト教徒商人は、日本人とアフリカ人を奴隷として世界中に輸出していた。
   ・   ・   ・   
 歴史的事実として、日本は被害者であって加害者ではなかった。
 明治以降の日本の大陸戦争は、江戸時代後期から始まった積極的自衛戦争であった。
 日本の滅亡の危機は、キリスト教の宗教侵略とロシアの軍事侵略と共産主義イデオロギー侵略であった。
   ・   ・   ・   
2024-01-08
💖目次)─8─近代天皇と軍部・陸軍の人道貢献・平和貢献。「歴史の修正」は悪なのか?~No.1 * 
   ・   ・   ・   
2018-12-03
🎺40:─3・A─ルーズベルトチャーチルは、懲罰として日本人の上に原爆を落とす事に合意した。ハイドパーク協定。1944年9月~No.179No.180No.181・ @ 
2024-03-10
🎺40:─3・B─1944年9月 米英のハイドパーク協定。原爆を「日本人に対して使う」秘密合意。~No.179No.180No.181 
2018-12-04
🎺40:─4─ルーズベルトは、「日本側が戦争終結を望んでいる」というOSS情報を切り捨てた。1944年11月~No.182No.183No.184・ @ 
2020-03-14
🎺40:─5─米国民の7割が日本への無差別絨毯爆撃による虐殺に賛成した。1944年〜No.185No.186No.187・ 
2018-12-05
🎺40:─6─日本陸軍部隊は、漢口大空襲の中から数十万人の中国人を救出し保護し収容し治療して助けた。1944年12月17日。~No.188No.189No.190No.191・ @ 
2021-08-19
🎺41:─2・A─連合軍の化学兵器・細菌兵器を使用する日本本土侵攻作戦。~No.193 
2023-03-09
🎺41:─2・B─連合軍は日本人1,450万人を攻撃対象とする「毒ガス空爆」を計画していた。~No.193 
2022-08-17
🎺42:─2─【公文書発掘】終戦後もアメリカは原爆を落とそうとしていた。~No.1962018-12-07
🎺43:─2─ヤルタ極東密約。ルーズベルトスターリンに、日本人の生殺与奪の権を与えた。1945年2月 ~No.200・ @  
2020-08-08
🎺45:─1─アメリカ・ルートでの降伏交渉は失敗に終わった。日本の海軍と陸軍によるOSS工作。~No.207No.208No.209 ㉘ 
2018-12-10
🎺46:─1─日本の陸軍と外務省は、戦争終結の為にスイスでOSSと国際決済銀行を通じてアメリカと極秘工作を始めた。1945年3月~No.210No.211No.212・ @ 
2018-12-14
🎺47:─1─アメリカは、昭和天皇の命と地位の安全を否定した無条件降伏を要求した。ザカライアス謀略放送。1945年5月~No.220No.221No.222・ @ 
2018-12-15
🎺47:─2─軍国日本は戦争終結極秘交渉を決定し、米英両国は日本人に対する原爆投下実験を最終決定した。1945年5月15日~No.223No.224・ @ 
2018-12-16
🎺48:─1・A─ホワイト・ハウスは、二発の原爆投下実験が終了するまで降伏を認めない事を決定し、年末までに18発の原爆投下を許可した。1945年6月 ~No.226No.227No.228・ @ 
2023-08-14
🎺48:─1・B─大東亜戦争、日本への原爆投下〝8発以上〟の予定だった、3発目は東京へ。~No.226No.227No.228 
2021-07-17
🎺48:─3─昭和天皇は海軍特命戦力査閲使報告書で戦争終結交渉開始を決断した。6月22日。~No.230No.231No.232 ㉛ 
2018-12-24
🎺51:─4─ポツダム宣言から昭和天皇の身の安全と皇室の存続を保証する条項が削除された。1945年7月26日~No.249・ @ 
2018-12-26
🎺54:─1─アメリカは、二種類の原爆投下実験と稲作地帯への枯葉剤散布を計画していた。1945年8月~No.259No.260No.261・ @ 
2018-12-29
🎺54:─4─ユダヤ人科学者は、核兵器研究開発の為に、原爆破壊データの早期回収を求めた。ロンドン協定。1945年8月7日~No.265No.266No.267・ @ 
2018-12-31
🎺55:─1─日本民族は、「国體」を死守する為に一億総玉砕を誓った。~No.272No.273・ @ 
2019-01-05
🎺59:─1─昭和天皇の聖断が、日本人を共産主義者の虐殺から救った。1945年8月16日~No.289No.290No.291・ @ ㊳
2022-06-10
🎺65:─1─日本陸軍の抵抗がなければ日本は分断国家になっていた。~No.306No.307No.308 ㊶ 
2019-01-09
🎺68:─2─アメリカの国民とユダヤ人は、懲罰として、昭和天皇の極刑(死刑)と天皇制度の廃絶を望んだ。1945年9月16日~No.317No.318No.319No.320・ @ 
   ・   ・   ・   

🎷112:─1・B─「日本と台湾の絆」が岸田総理の裏ガネ処分によって「ズタズタ」に...?~No.431 

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 アベガー勢力である野党・メディア・教育が、自民党内裏金問題を騒ぎ立てる隠れた意図は安倍系新保守の親台湾派を潰して無力化にし、安倍晋三元総理の「台湾有事は日本有事」を死語にしてこの世から消し去る事であった。
   ・   ・   ・   
 2024年4月16日8:03 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「日本と台湾の絆」が岸田総理の裏ガネ処分によって「ズタズタ」に...?台湾政府関係者が明かす「日台関係の重大な懸念」
 4月3日に台湾の花蓮で大地震が発生。岸田文雄首相が発信した「慰問声明」に蔡英文総統が「応答」するなど、日台間の「絆」が改めて示された。
 【写真】大胆な水着姿に全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる!
 だが台湾側が日本に対して注目したのは、首相声明だけではなかった。
 「世耕弘成参院幹事長は離党勧告、萩生田光一政調会長は党の役職停止1年……」
 翌日に自民党で起こった「激震」である。蔡政権の関係者が明かす。
 「2年前に安倍晋三元首相が凶弾に斃れて以降、安倍派の重鎮たちが後を継ぎ、台日のパイプを繋いできましたが、今回ことごとく処分されました。それによって今後の台日関係を担う日本の大物議員が見当たらないのです」
 日台友好はいかに?
 一方で、台湾側にも「変化」が見られるという。
 「李登輝総統自らが、流暢な日本語を駆使して対日外交を担った時代など、今は昔。今年1月に総統選挙と同時に行われた立法委員(国会議員)選挙で、日本留学組の候補者たちがほぼ全滅しました。
 113人の当選者のうち、陳冠廷委員(東大修士号)くらいで、陳委員は蔡総統に近いものの、まだ38歳。対米外交に較べて、対日外交の人材が著しく不足しています」
 こうした中、台北駐日経済文化代表処の次期代表(駐日大使に相当)人事も迷走している。
 「5月20日の頼清徳新政権発足に伴い、謝長廷代表(元行政院長)が帰任しますが、日本語人材も少なく、後任が決まらないのです」(同前)
 日台友好はいかに? (本誌特別編集委員)
 「週刊現代」2024年4月20日号より
 ・・・・・
 【もっと読む】トランプ復活なら「台湾侵攻は静観」「ウクライナは分割」の悪夢か…説得のために「日本政界の長老」が動き出した
 週刊現代講談社
   ・   ・   ・   


 中国共産党寄りのエセ保守とリベラル左派は、台湾有事が発生すれば台湾を見捨てる。
 つまり、日本人は中国軍に侵略された台湾・台湾人を救う為に中国と戦争をする気はない、ただ無意味で薄情な言葉である「遺憾」を発言するのみである。
   ・   ・   ・   
 現代日本では、霊的宗教的な「生きた言霊」は存在しない。
 同時に、日本人が名誉を重んじる武士・サムライでもなく意地を張る百姓でもない証拠である。
   ・   ・   ・   

 4月16日8:36 YAHOO!JAPANニュース TBS NEWS DIG Powered by JNN外交青書が公表 日中関係戦略的互恵関係」を推進と5年ぶりに明記
 日本の外交活動や国際情勢について記した外交青書が公表されました。日中関係について、5年ぶりに「戦略的互恵関係」を推進すると記しています。
 きょう公表された2024年版の外交青書は、去年1年間の日本の外交活動について外務省がまとめた報告書で、ロシアによるウクライナ侵略やイスラエルパレスチナ情勢など国際社会の課題について、「世界各地域の安定と繁栄に影響をもたらす問題」と指摘しました。
 中国については、去年11月の日中首脳会談で再確認した「戦略的互恵関係」を「包括的に推進する」と5年ぶりに明記。
 その一方で、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を受け、中国が日本産の水産物輸入禁止にしたことについて「即時撤廃」を、日本のEEZ排他的経済水域に設置されたブイの「即時撤去」を求めているとしています。
 また、北朝鮮について、核・ミサイル開発は「断じて容認できない」と非難。拉致問題を「時間的制約があり、ひとときもゆるがせにできない」「1日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くす」と記しました。
 その上で、岸田総理の「首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」との発言を記載しました。
 韓国については、韓国の尹大統領の来日や岸田総理の韓国訪問など、「日韓関係が大きく動いた1年」と振り返り、厳しい国際環境の中で、「パートナーとして協力していくべき重要な隣国」と表現しました。
 今後の日本外交の展望として、歴史の転換点にある国際社会の中で、「人間の尊厳」という価値を中心に、「世界を分断や対立ではなく、協調に導く外交を展開する必要がある」と締めくくっています。
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 4月16日11:53 YAHOO!JAPANニュース 共同通信「日中「互恵関係」5年ぶり明記 24年版外交青書
 上川陽子外相
 上川陽子外相は16日の閣議で、2023年の外交、国際情勢をまとめた24年版外交青書を報告した。昨年11月の日中首脳会談で確認した「戦略的互恵関係」を5年ぶりに青書に書き込み、包括的に推進すると明記した。韓国との関係改善を反映し、10年版以来14年ぶりに「パートナー」と表現した。
 中国に関する記述では、懸案を含めて対話を重ね、共通課題については協力する「建設的で安定的な関係」の構築が重要だと表明した。
 韓国に関しては、インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえ「日韓の緊密な協力が今ほど必要とされる時はない」と重視した。
   ・   ・   ・   
 4月17日6:00 YAHOO!JAPANニュース Book Bang「中国が台湾に侵攻したら宮古島を舞台に日本有事が発生…『外事警察』の麻生幾が描く“リアル”とは(レビュー)
 『リアル 日本有事』麻生幾[著](角川春樹事務所)
 宮古島陸上自衛隊員一〇名を乗せたヘリコプターが墜落してから早一年が過ぎた。原因については事故当時様々な憶測が飛んだが、中国による侵攻作戦の対策に向けた視察ゆえの悲劇だったと喝破したのが麻生幾である。本書は麻生がその宮古島を主要舞台に、改めて日本有事のリアルの一端を描いた軍事活劇だ。
 三月前半、中国人民解放軍が台湾全面侵攻に向けて動き出したとの情報が防衛省に知らされる。二週間後、東京・江東区で造船企業の特殊船舶係長が変死。男は防衛省と水陸両用装甲車の国産化事業を推進していたが、人民解放軍の情報機関の女と長らく接触していた。女はとうに逃亡しており、その後警察の捜査で、中国の狙いは装甲車そのものではなく、上陸作戦に向けての宮古列島の地勢データであることが判明する。
 その宮古島から目と鼻の先にある小島、神ノ島は年に一度の秘祭を迎えようとしていた。新任教師の糸村友香は幼馴染の与座亜美の娘たちを教えることになり有頂天になっていたが、やがてその妹のほうが不審な男を目撃。ダイバー姿の男を描いたスケッチ画は程なく中央にもたらされ、中国の特殊部隊が潜入したものと分析されるが……。
 中国の台湾侵攻が動き出す中、人民解放軍の特殊部隊が与那国島でも石垣島でもなく宮古島に潜入したのは何故か。目的不明なまま、陸上自衛隊からも熊本の第8師団の情報小隊や長崎の水陸機動団、千葉の特殊作戦群の精鋭が宮古島に向かう。
 いつものように、防衛省の人事から自衛隊の組織、宮古島の地理、施設、銃火器、軍用品に至るまで、微に入り細にわたる麻生タッチに貫かれているが、それに惑わされてはならない。自衛隊は中国の情報戦略に翻弄され、戦闘の火ぶたが切られても応戦に手間取る。やがて次々と仆れていく兵士たち。米軍の出方も注目だし、まさに今、そこにある危機を活写した実戦小説なのだ。
 [レビュアー]香山二三郎(コラムニスト)
 かやま・ふみろう
 協力:新潮社 新潮社 週刊新潮
 Book Bang編集部
 新潮社
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🎹04:─3─30代の軍官の革新エリートが絶望的戦争を初め日本国民を地獄の戦場へ送り込んだ。~No.10No.11 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 戦前の日本は、「老人が戦争を始め、若者が犠牲になった」は、嘘であった。
   ・   ・   ・   
 2024年4月15日6:26 YAHOO!JAPANニュース デイリー新潮「海軍大学校を首席で卒業「神がかり参謀」が見せた“天才的な戦術”と“頓珍漢な戦略”の落差
 神 重徳(1900-1945)
 日本が戦争に敗れた理由は、兵器の性能や、兵力の差だけではない。指揮官の質にも大きな問題があった。
 軍事史に詳しい大木毅さんの新刊『決断の太平洋戦史 「指揮統帥文化」からみた軍人たち』(新潮選書)は、日米英12人の指揮官たちの決断の背後に潜む「文化」や「教育」の違いに着目している。
 同書で取り上げられている軍人の一人が、日本海軍の神重徳(かみ・しげのり)。キスカ撤退戦などで水際立った才能を発揮する一方で、「捷(しょう)」号作戦や「大和」沖縄特攻など破滅的な作戦を次々に立案し、「神がかり参謀」と呼ばれた。
 以下、同書をもとに、そんな神の生涯と戦歴をたどり、「戦術の天才」と「戦略の失格者」という二面性について見てみよう(『決断の太平洋戦史 「指揮統帥文化」からみた軍人たち』第3章をもとに再構成)。
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 軽巡洋艦「多摩」の艦長としてキスカ撤退を成功に導く
 神重徳は1900(明治33)年に鹿児島県の造り酒屋に生まれ、何度か受験に失敗しながら海軍兵学校へ進学。卒業後は砲術科の将校となった。またも受験失敗を繰り返しながら海軍大学校に進み、卒業時は何と首席だった。その後ドイツ駐在を命じられると、ちょうど政権を掌握したナチスに心酔。ヒトラーの崇拝者となるが、帰国後は日独伊三国同盟締結が世界大戦につながる危険性を認識し、不安を覚えていたようだ。
 そんな神だが、こと戦術面に関しては強気の姿勢を崩さなかった。以下、その具体例。
大本営海軍部参謀時代、真珠湾攻撃成功の後、連合艦隊を挙げてパナマ運河を叩くべしと上官に提言。補給困難を理由に却下される。
・第1次ソロモン海戦を立案。ガダルカナル上陸作戦の援護に当たっていた連合軍艦隊に完勝。艦上にていわく「これだから海戦はやめられないのさ」。
アッツ島玉砕の後、キスカ撤退作戦に臨んで、躊躇する司令官を一喝。軽巡「多摩」に乗り込み守備隊の完全救出に成功する。
 参戦各国の指揮官や参謀たちは、いかなるエリート教育を受けたのか。どの国も腐心したリーダーシップ醸成の方策とは何なのか――。「指揮統帥文化」という新たな視座から、日米英12人の個性豊かな人物像と戦歴を再検証。組織と個人のせめぎ合いの果てに現れる勝利と敗北の定理を探り、従来の軍人論に革新を迫る野心的列伝 『決断の太平洋 「指揮統帥文化」からみた軍人たち』
 かくのごとく、前線では「優れた闘将」と評された神だが、1943(昭和18)年12月、海軍省教育局に戻される。その後は水上艦艇の「殴り込み」の成功体験が忘れられなかったのか、すでに航空兵力の前に無力であることが証明された戦艦を活用すべしと主張。犠牲ばかりが増大する作戦を、次々に立案していくのである。以下、その具体例。
・上官に自分を戦艦「山城(やましろ)」の艦長にするよう要望。それに乗ってサイパン島の米軍を撃破すると主張し、却下される。
連合艦隊先任参謀として、フィリピン海上において空母機動部隊を囮として米艦隊を引き付け、その隙に水上部隊を敵上陸船団に突っ込ませるという「捷」号作戦を立案。結果は惨敗。
・沖縄に来寇した米軍に対する水上艦艇の特攻を主張。その結果、「大和」を旗艦とする第2艦隊は沖縄へ向かい、悲惨な結末を迎える。
 終戦時、神は第10航空艦隊参謀長の任にあった。隷下部隊との連絡のため北海道に出張した帰途、乗機が青森県三沢沖で不時着水。同乗者と岸に向けて泳ぎだしたものの、途中でその姿は消えた。事故とも自殺とも判然としない、謎の死であった。
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 大木氏は、ある意味で日本軍人の典型のような神の戦歴には、日本軍の教育が大きく関わっていると分析し、次のように述べている。
 「よく知られているように、海軍兵学校海軍大学校陸軍士官学校陸軍大学校の教育は、作戦・戦術次元の知識を偏重し、敢えていうならステレオタイプの解答を叩き込んだ。そうして形成された日本軍の指揮官は、戦闘の「公式」が通用する範囲、すなわち艦長や連隊長・大隊長レベルでは有能たり得た。しかし、より創造性と柔軟な思考を必要とする戦略・戦争指導の責任を負うや、愚行に向かうということがしばしばあったのだ。むろん、彼らの個人的な資質の問題もあっただろう。けれども、かかる日本軍のコマンド・カルチャーも深刻な影響をおよぼしていたのではないだろうか」
 戦史の表層には現れることのない参戦各国の「教育」が、戦いの帰趨を左右したという大木氏の指摘は、現代においても大きな意味を持つのではないか。
 ※本記事は、大木毅『決断の太平洋戦史 「指揮統帥文化」からみた軍人たち』(新潮選書)に基づいて作成したものです。
 デイリー新潮編集部
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 日本を太平洋戦争に暴走させたのは、50代60代の保守的官僚や軍人ではなかった。
 超難関校出の高学歴な超エリート層は革新マルクス主義者として、ファシストの親ナチス・ドイツ派、ヒトラー崇拝者と共産主義の親ソ派、レーニン信奉者に分かれていた。
 皇室と戦前の正統保守は、親ユダヤであり親ポーランド、そして親英知米派であった。
 反ユダヤなどの人種差別主義者である右翼・右派は、保守ではない。
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 明治新政府は、ロシアに対する積極的自衛戦争に勝つ為に佐幕派・討幕派の優秀な子弟を超難関校の帝国大学や陸海軍大学に集めてエリート教育を施した。
 日本のエリート教育が狂い始めたのは、日露戦争日韓併合後で、マルクス主義共産主義が最高学府の帝国大学に浸透してからである。
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 40年5月 ノモンハン事件ソ連軍を指揮したジューコフ将軍は、スターリンに接見して日本軍の評価を尋ねられ、「兵士は真剣で頑強。特に防御戦に強いと思います。若い指揮官たちは、狂信的な頑強さで戦います。しかし、高級将校は訓練が弱く、紋切り型の行動しかできない」と答えている。(「ジューコフ元帥回想録」)
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 4月16日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「じつは「日本の良さ」が失われていた「文明開化」の「激しい反動」…崩れてしまった「和魂漢才」
 松岡 正剛
 じつは「日本の良さ」が失われていた「文明開化」の「激しい反動」…崩れてしまった「和魂漢才」
 © 現代ビジネス 提供
 日本文化はハイコンテキストである。
 一見、わかりにくいと見える文脈や表現にこそ真骨頂がある。「わび・さび」「数寄」「まねび」……この国の〈深い魅力〉を解読する!
 *本記事は松岡正剛『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』(講談社現代新書)の内容を抜粋・再編集したものです。
 「ジャパン・フィルター」が機能しなくなる
 大和本草国学のような国産物の開発、日本儒学の研究といった連打は、政治や思想や文化における「中国離れ」を引きおこします。日本はこのままいけるんではないか、もっと充実した国になれるんではないか。宝暦天明期や文化文政期には、そんな驕りさえ出てきます。
 ところが、そこにおこったのがアヘン戦争(1840)です。イギリスが清を蹂躙した。幕府が唯一親交を温めてきたオランダ国王からの親書には、「次は日本がやられるかもしれない」という警告が書いてありました。これは「オランダ風説書」という文書に示されています。
 実際にもロシアの戦艦が千島や対馬にやってきて、通商のための開港を求めます。幕府は外国船打払令などを連発して、これを追い払おうとするのですが、効き目がない。
 そうこうするうちに、ついに「黒船」がやってきて(1853)、この対処に戸惑った幕府は解体を余儀なくされました。海外向け、外交上のジャパン・フィルターの持ち札がなかったのです。やむなく攘夷か開国かで国内は大騒動です。これで明治維新に突入することになったのです。
 こんなふうになったのは、黒船に代表される西洋の近代科学の力に圧倒されたということもあるでしょうし、同時にその西洋の力によって、かつての日本にとってのグローバルスタンダードであった清国がなすすべもなく蹂躙されたアヘン戦争という事件を間近に見たせいでもあったでしょうが、いずれにしてもそこで、それまで日本が保持していた何かが損なわれたのです。
 これまでの日本であれば、グローバルスタンダードを独特のジャパン・フィルターを通して導入していたはずのものが、西洋の政体と思想と文物をダイレクトに入れることにしたとたん、つまり「苗代」をつくらずに、フィルターをかけることなく取り込もうとしてしまったとたん、日本は「欧米化」に突入することになったのです。
 これを当時は「文明開化」とは言ってみましたが、でもそこからは、大変です。列強諸国のほうが、裁判権とか通商権などに関してフィルターをかけようとしたのです。
 西洋の文化を受け入れるに際して、あまりに極端なオープンマインド、オープンシステムで応じたために、中国の文物を受け入れるに際しては機能した「和漢の境をまたぐ」という仕掛けがはたらかなくなりました。
 こうして「和魂漢才」はくずれ、できれば「和魂洋才」を律したかったのですが、そこもどちらかといえば「洋魂米才」があっというまに広がっていきました。このことは明治の大学が「お雇い外国人」にそのスタートを頼んだことにもあらわれています。
 仮名の発明から徳川時代国学まで続いた「中国離れ」は「列強含み」に変わったのです。それではいかんと奮起して日清戦争日露戦争に勝利できたあたりから、日本主義やアジア主義を唱える新たなムーブメントもおこりますが、その動向はまことに微妙なもの、あるいは過剰なものとなっていきました。
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 さらに連載記事<じつは日本には、「何度も黒船が来た」といえる「納得のワケ」>では、「稲・鉄・漢字」という黒船が日本に与えた影響について詳しく語ります。
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🎺07:─1・B─開戦した理由に迫る陸軍謀略機関「秋丸機関」の極秘報告書。昭和16年7月~No.38 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2021年12月31日 YAHOO!JAPANニュース「日本が“無謀にも”米軍と開戦した理由に迫る 日本陸軍・謀略機関の「極秘報告書」を発掘
 今年の12月8日は、日本軍の真珠湾攻撃から80年の節目に当たる。なぜ日本は大国・アメリカに戦いを挑んだのか。慶應義塾大学経済学部の牧野邦昭教授が、当時の陸軍内部の「謀略機関」極秘報告書を発掘。その分析を通し、無謀な開戦に突き進んだ「謎」に迫った。
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 【写真6枚】日本軍の攻撃で炎上するアメリカ戦艦
 今から80年前の昭和16(1941)年12月、日本はアメリカとイギリスに宣戦を布告し、多くの犠牲者を出して昭和20(1945)年8月に敗戦を迎えることになります。経済国力の極めて大きいアメリカに対して開戦したことは現代の視点からは非常に無謀に見えます。そのため、これまでは当時の日本の指導者(特に軍人)の「愚かさ」「非合理性」が批判されてきました。
 しかしよく考えてみると、当時の日本の指導者は、政治家や官僚であれば帝国大学、軍人であれば陸軍大学校海軍大学校を卒業し、海外経験もあるエリート中のエリートです。彼らが今の日本の政治家と比べても格別に愚かで非合理的だったとはいえません。また、彼らがアメリカと日本との国力差を知らなかったわけでもありません。むしろ日本や各国の経済力の調査は政府や軍の内部で盛んに行われていました。
 アメリカの経済国力を記した文書は焼却処分に
 真珠湾攻撃
 日本軍機による攻撃で大爆発を起こしたアメリカ海軍の駆逐艦ショー(USS Shaw dd-373)(1941年12月7日)(他の写真を見る)
 ノモンハン事件で日本軍がソ連軍と戦って大きな打撃を受け、さらにヨーロッパで第2次世界大戦が始まった昭和14(1939)年、日本陸軍は将来の総力戦に向けた研究を行うために陸軍省内に「経済謀略機関」を作ることを決めます。計画を主導したのは、スパイ養成機関として知られる陸軍中野学校などの創設に関わり「謀略の岩畔(いわくろ)」と呼ばれた岩畔豪雄(ひでお)大佐でした。
 実際の機関の運営のため、満洲国の経済建設に関わった秋丸次朗主計中佐が関東軍から呼ばれ、陸軍省戦争経済研究班(対外的名称は陸軍省主計課別班)、通称「秋丸機関」が作られます。秋丸中佐は有沢広巳や中山伊知郎など一流の経済学者や統計学者、地理学者、さらに官僚などを集め、日本のほか、英米ソなどの仮想敵国、同盟国のドイツやイタリアの経済抗戦力、特に脆弱な点を分析しました。
 秋丸機関の研究とその結末については、中心人物の一人だった有沢広巳の戦後の証言が長らく信じられてきました。有沢によれば、昭和16年の日米開戦前に行われた秋丸機関の陸軍上層部に向けた報告会では、アメリカの経済国力の大きさが強調されましたが、説明を聞いた杉山元(はじめ)参謀総長は「本報告の調査およびその推論の方法はおおむね完璧で間然するところがない。しかしその結論は国策に反する、したがって、本報告の謄写本は全部ただちにこれを焼却せよ」と命じ、報告書はすべて回収されて焼却されたというのです。
 「極秘」扱いの報告書を発見
 秋丸機関が作成した報告書は長年見つからなかったので、有沢の証言は事実であるとみなされてきました。そして秋丸機関の研究とその結末は「正確な情報を無視した陸軍の非合理性」を示す例としてこれまでしばしば挙げられてきました。
 しかし、近年はオンラインで利用できる公的な歴史資料データベースが飛躍的に充実し、一昔前とは比較にならないほど容易に資料の所在の確認や閲覧が行えるようになりました。インターネットでデータベースにアクセスし、適切なキーワードで検索するだけで、一瞬で資料を見つけることができるようになったのです。
 このような環境変化を受けて、私は大学図書館公共図書館などで数多くの未発見の秋丸機関関係資料を発掘することができました。焼却されたといわれていた陸軍上層部向けの「極秘」扱いの報告書も多くが見つかり、その調査を基に平成30(2018)年に『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書)を刊行し、幸いに翌年度の読売・吉野作造賞をいただくことができました。
 その後も新資料が相次いで見つかり、今年に入り、陸軍上層部向けの報告書で見つかっていなかったものも、やはりインターネット上での検索の結果、大東文化大学で見つけることができました。
 イギリスの弱点
 真珠湾攻撃
 日本軍の攻撃を受けて炎上するウェストバージニア(1941年12月7日)(他の写真を見る)
 報告書が焼却されたという有沢証言は事実ではなかったわけですが、では見つかった「極秘」の報告書にはどのような情報が書かれていたのでしょうか。焼却とまではいかなくても隠蔽しなければならないような陸軍にとって不都合な事実か、あるいはその逆に対英米戦に大いに役立つ必勝の戦略が書かれていたのでしょうか。
 実は結論から言うとどちらでもないのですが、まずは報告書の内容を説明しましょう。
 昭和16年7月に作成された秋丸機関の報告書「英米合作経済抗戦力調査」では、次のようなことが書かれています。
 「イギリスは主に植民地など本土以外から資源を得ているがそれでも不足する資源が多い。しかしイギリスだけでなく第三国にも多額の支援を行う余裕のあるアメリカを合わせれば巨大な経済国力となりほとんど弱点は無くなる。
 ただしアメリカからイギリスへの船舶による軍事物資輸送力に弱点がある。またアメリカの戦争準備には1年から1年半かかるのでその準備の遅れも弱点といえる」
 こうした分析を基に、イギリスに資源を供給する植民地を奪ったり、アメリカからイギリスに軍需物資を運ぶ船舶を大量に撃沈したりすることが戦略として提言されています(アメリカに対しては具体的な戦略はほとんど提言されていません)。
 イギリスだけなら勝つことはできなくもない、と分析できたが……
 したがってイギリスだけならば勝つことはできなくもないとも読めるのですが、よく考えるとアメリカは第三国に対しても多くの支援をできるくらい国力に余裕があるわけですから、仮にイギリスの植民地が全て奪われたり、本国との交通が遮断されたりしたとしても、アメリカがイギリスを支援し続ければイギリスは屈服しません。
 イギリスが屈服するとすれば大西洋上でアメリカからイギリスに物資を運ぶ船舶が大量に撃沈される場合ですが、当然、大西洋上の船舶を日本海軍は攻撃できません。
 当時すでにドイツ軍のUボートがイギリスの船舶を大西洋上で盛んに攻撃しており、それによりイギリスが苦境に立たされていることは日本でも報道されていました(したがって「英米合作経済抗戦力調査」の内容はそれほど目新しいものではありませんでした)。
 問題は独ソ戦(1941年6月勃発)に突入したドイツが引き続き国力を維持して大西洋上でイギリスへの支援を絶つことが可能か、にかかっています。したがって重要なのは英米よりもむしろドイツの国力分析ということになります。
 ヒトラー
 アドルフ・ヒトラー(他の写真を見る)
 ドイツの限界
 やはり昭和16年7月に作成された秋丸機関の報告書「独逸経済抗戦力調査」では次のようなことが書かれています。
 「ドイツの国力は既に限界に達しており現在のままでは来年から低下する。独ソ戦が極めて短期(2カ月程度)で終わりソ連の資源や労働力をすぐに利用できれば国力を強化できるが、万一長期戦になればドイツは消耗するだけになり敗北する。
 さらにドイツは仮に短期でソ連に勝利できてもなお不足するマンガンや銅、クロムを入手するために南アフリカに進出し、さらにスエズ運河を確保して東アジアと連絡を維持する必要がある。
 日本は独ソ戦の結果、英米ソから包囲されるので、南方の資源を確保すべきである」
 当時の日本ではナチスプロパガンダの影響を受けて同盟国ドイツの国力を過大評価する傾向がありましたし、ナチス上層部と親しかった大島浩駐独大使もドイツ優位との情報を日本に送っていました。そうした中、秋丸機関はドイツの国力の限界を非常に冷静に分析していました。
 それと同時に、報告書の回りくどい表現からは、陸軍内部の研究組織だった秋丸機関は、陸軍の意向に反する報告を出しにくかったこともわかります。
 日本の経済国力が長期戦に耐えらないことは明白だった
 当時は独ソ戦開始に伴い、ドイツとともにソ連を攻撃しようという北進論(陸軍参謀本部中心)と、北方のソ連の脅威が薄れるからこそ資源を求めて南に向かおうという南進論(陸軍省軍務局や海軍中心)が対立していました。秋丸機関は陸軍省軍務局との関係が強く、それゆえ日本の南進を求める文言が加えられたのでしょう。
 南進して英米と戦争になっても、イギリス屈伏の鍵を握るドイツの国力は既に限界に達しているので、長期戦になれば当然日本も勝つことはできません。報告書全体を読むとそうしたことを遠回しながら理解できるのですが、秋丸機関はそれを明確には指摘できませんでした。秋丸機関参加者の苦悩は、ドイツの南アフリカへの進出が必要であるという、どう考えても無理な条件が加えられているところから察することができます。
 秋丸機関の報告は同盟国ドイツの国力の限界を指摘するものでしたし、日本の経済国力が対英米長期戦には耐えられないことは、国家総動員体制確立のための計画立案・推進にあたった企画院や、陸軍省整備局戦備課、内閣総理大臣直属の総力戦研究所などの研究でも繰り返し指摘されていました。
 そもそもアメリカの国力が日本と比べて極めて大きいことは当時の常識でしたので、「正確な情報」は指導者だけでなく一般人もある程度知っていたということになります。
 近視眼的な選択の繰り返しで選択肢が狭まっていき……
 にもかかわらずなぜ日本はアメリカと戦争することになったのでしょうか。
 アメリカが本格的に第2次大戦に参戦するためのきっかけとして、英米が日本からの先制攻撃を望んでいたという説もありますが、それと同時に、当時の日本に明確な方針が無く、どのような影響があるかを十分考慮せずに近視眼的な選択をしていったことで、取りうる選択肢が狭まっていき、最後は極めて高いリスクを冒して戦争に賭けることになってしまったという側面を無視することはできません。
 既に述べたように独ソ戦に伴い南進論と北進論が対立し、結局「両論併記」つまり足して二で割る形で、南進論に基づく南部仏印進駐と北進論に基づく関東軍特種演習とが昭和16年夏に実施されます。
 しかし南進は東南アジアの英米の植民地を直接脅かすものですし、北進はドイツと戦うソ連を脅かし間接的にイギリスの脅威になるものでしたので、アメリカは日本を牽制するため在米日本資産を凍結するとともに、日本に対する石油輸出を停止します。こうしたアメリカの厳しい反応は日本の予測を超えるものでした。
 これにより日本の石油備蓄量と消費量から、1~2年で日本は石油を失い「ジリ貧」に陥って戦わずに屈伏することが確実視されましたが、一方で石油を求めて開戦するにしても多くの調査が示すようにアメリカの国力は圧倒的であり、それと戦えば日本は高い確率で敗北すること(ドカ貧)も明らかでした。
 マスコミ、議員らは対米強硬論あおった
 このように追い詰められた状態になると、人間は希望的観測にすがりたくなります。「高い確率で敗北する」の裏返しである「低い確率ではあるがドイツが短期でソ連とイギリスを屈服させ、日本が東南アジアの資源を獲得して国力を強化すれば、戦争準備が間に合わないアメリカは交戦意欲を失い、日本に有利な講和に応じるかもしれない」という希望的観測が過大評価され、それを正当化するためにさまざまな情報のうち都合の良い部分(秋丸機関の報告書の「イギリスのみなら屈伏させられるかもしれない」という部分など)が開戦の材料とされてしまったと考えられます。
 さらに新聞などマスメディアは対米強硬論をあおり、議員も国会で強硬論を主張します。世論全体が対米強硬論を支持し、政府の「弱腰」を批判するようになりました。人間は個人だと割と冷静な判断をすることができますが、集団心理が働くと極論が支持されるようになる傾向があります。この時もこうした集団心理が、非常にリスクの高い開戦という政府と軍の選択を後押しすることになりました(詳しくは拙著『経済学者たちの日米開戦』をご参照ください)。
 現代の組織でも起こり得る
 当時、陸軍省軍務局軍務課長だった佐藤賢了は戦後、日本は「弱かったが故に戦争に突入した」と述べています。ずるずると日中戦争に突入し、「ドイツの快勝に便乗して、南方に頭を向け」るなど、確固とした方針が無くその時々の状況に左右されながら日本が対米開戦に進んでいったことを佐藤は反省しています(佐藤賢了『軍務局長の賭け』)。
 80年前の対米開戦の過程では、「組織内部では問題点を明確に指摘しづらい」「異なる意見がある時にそれをまとめることが難しい」「長期的なビジョンが無いのでその場の状況に応じて近視眼的な判断をして、かえって行き詰まってしまう」「希望的観測を過大評価してしまう」「集団心理が働くと極論が支持される」といった、ある意味では現代でもよく起きることが積み重なり、重大な事態を引き起こすことになりました。こうした事例は読者の皆さんもしばしば見たり聞いたりしているのではないでしょうか。
 経済学では「見えざる手」「合成の誤謬」などといった表現で、日常的に見られる行動が想定外の結果を引き起こすことを示します。よく起きる平凡な出来事の積み重ねが思わぬ結果をもたらすことがあるという逆説こそが、私たちが本当に知るべき「歴史の真実」なのではないでしょうか。
 牧野邦昭(まきのくにあき)
 慶應義塾大学経済学部教授。1977年生まれ。東京大学経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。著書に『戦時下の経済学者』(石橋湛山賞受賞)、『経済学者たちの日米開戦』(読売・吉野作造賞受賞)などがある。現在は、慶應義塾大学経済学部教授を務める。
 週刊新潮 2021年12月16日号掲載
 特集「真珠湾攻撃80年の真説 謀略機関の『極秘報告書』発掘 『日本はなぜ米国と開戦に突き進んだか』」より
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🎼12:─1─中国共産党による台湾統一の次は「日本のフィンランド化(中立化)」。〜No.16No.17 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本は、理想的平和学を学んでも歴史的地政学や現実的戦争学を学ばない。
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 人口が激減し衰退する日本・円貨は、世界市場でエネルギー・食糧・物資・その他で中国・元貨に買い負けする。
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 国力とは、経済力と軍事力である。
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 歴史的事実として、大国の良心や大陸の矜持などはない。
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 中国共産党は、尖閣諸島・沖縄、沖ノ鳥島、北海道を日本から強奪する事を狙っている。
 日本国内には、中国人移民が増えてきている。
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 2024年4月14日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「中国が目論む「台湾統一の次は日本のフィンランド化」、台湾有事の地政学から考える日本のエネルギー戦略
 台湾統一の野心を隠さない中国の習近平国家主席が狙うものとは…(写真:新華社/アフロ)
 私はエネルギー政策の専門家であるが、エネルギーとは、何よりも戦略物資であり、20世紀の戦争の多くはエネルギーを巡るものだった。したがってエネルギー政策を論じるならば、本来は、まずは地政学や安全保障から入らねばならない。だが平和ボケの日本においては、エネルギー専門家と称していても、環境のことは知っていても、地政学も安全保障も全く知らない方が大半である。そこで本稿では、日本を巡る地政学状況について述べ、いま安全保障の観点においてエネルギー政策はどうあるべきか、指摘したい。
 【画像】中国が突破したい「第一列島線」はこのライン
 (杉山 大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
■ 中国の歴史観における台湾統一の必然性
 1949年に中国は共産党独裁国家になった。以来、文化大革命では凄惨な虐殺があり、またウイグルチベットなどでのジェノサイドが長らく指摘されてきた。このような独裁政権は、ひとたび権力を手放すと、たちまち報復の対象になる。このことは、冷戦末期の東欧における独裁者の処刑など、枚挙に暇がない。
 中国共産党は、1989年の天安門事件で、その深淵を見た。あと少しで彼らは破滅するところだった。
 中国共産党が台湾独立を決して認めることができないのは、台湾が「中国人による、民主的な、もう一つの中国」であることを容認できないからだ。共産党独裁体制に代わるものが存在しうること、そして中国国内の人権問題を批判し、共産党の正統性を批判することは断じて許されない。
 したがって、最も悪くても、親中的な、つまり中国共産党を批判しない台湾であるべきであり、もっといえば、中国共産党の下に統一されるべきである、となる。
 以上は本音の部分であるが、台湾統一の必然性は、中国ならではの歴史観で愛国的に物語られている。
 つまるところ、中国は歴史的に一つであるゆえ、その一部である台湾は当然に統一されねばならない、というものだ。
 中国の歴史観では、古代より現在まで、天命を受けた正統な王朝が存在する。秦、漢、唐、宋、元、明、清、そして中華人民共和国というわけだ。現実には元・清をはじめ異民族王朝も多く、漢民族はむしろ差別されていたこともあった。また、宋のように版図は狭い領域に限られていたり、長い分裂時代もあったりした。
■ 「化外の地」と呼ばれた台湾だが…
 だが、それらのことはこの「統一された中国」という世界観――「天に二日なく、地に二王無し」という観念を何ら覆すものではない。観念が事実を凌駕することは洋の東西を問わないが、中国においては特にこれがはなはだしい。
 台湾は歴史的に中国の一部であったことはほとんどなく、「化外の地」と呼ばれたように中国は版図として認識してこなかった。ところが毛沢東に追われた蔣介石が逃げ込んで、中華民国を台湾において成立させてからは、必ずや統一すべき不可分の領土とされた。
 この際に米国海軍が毛沢東の台湾攻撃を阻んだことは、アヘン戦争以来の中国の屈辱の歴史に新たなエピソードを加えることになった。
 習近平は中国が世界の大国となる「中国の夢」構想を公表しているが、そのブレーンである軍人の劉明福は、「米国は南北戦争終結させたことが発展の礎となった。台湾統一は中国にとっての南北戦争であり、必ずや勝利しなければならず、それが発展の前提になる」と書いている。
■ 中国の平和的台頭を目指した鄧小平
 中国は文化大革命で国家経済が崩壊した後、権力を掌握した鄧小平によって改革開放路線に転じ、やがて社会主義市場経済を標榜するに至った。それはつまり共産党独裁の政治に口出しをしない限りにおいて、自由な経済活動を認めるという、国民との暗黙の契約だった。欧米や日本の技術を採り入れることで、歴史的に知識水準が高い中国は、飛躍的な経済発展を遂げることができた。
 1989年の天安門事件では経済制裁を受けたが、欧米諸国は、1991年に冷戦が終結したこともあり、まず経済成長すれば、中国も民主主義を受け入れるようになる、というユートピア的な幻想を抱くに至った。
 中国も「韜光養晦*」「平和的台頭」などの言葉で知られるように、まずは経済力を蓄えること、そのためには屈辱も忍ぶ、という行動をとった。 *能力を隠して力を蓄えること。最高指導者、鄧小平氏による中国の外交・安保の方針とされる
 中国はグローバリゼーションの波に迎え入れられて、2001年にはWTO世界貿易機関)加盟も認められた。だが習近平時代になって、共産主義独裁を強化し、南沙諸島の領土拡大や戦狼外交などに象徴されるように、自由陣営に挑戦する態度を顕わにするようになった。
■ 「経済成長したら民主主義に」など誰も約束していない
 米政治学者のマイケル・ピルズベリーは、著書『China 2049』において、これが中国の陰謀であり欧米は騙されたとしているが、これは当たっていない。
 そもそも中国は経済成長したら民主主義になるなどと全く約束していない。のみならず、自分が弱いときには、屈辱に耐えて実力を付けることに専念するというのは、「臥薪嘗胆」の故事など、中国の歴史に繰り返し現れるモチーフである。中国としてはごく当たり前の行動様式であって、陰謀として示し合わせる必要すらないことである。
 さて、いま力を蓄えた中国は、急速に軍備を強化し、西太平洋においては米国と互角以上に戦える戦力を身につけた。
 それでも台湾に上陸作戦をするとなると、米軍が介入した場合には敗戦するか、少なくとも多大な損害を余儀なくされると見られている。
 これに代わる手段として台湾を軍艦と臨検によって海上封鎖する可能性も指摘されており、この場合、米軍が介入しなければ台湾は短期間で降伏せざるを得ないだろう。
 いずれにせよ台湾が中国の手に落ちれば、どうなるか。
■ 中国による台湾統一は何をもたらすか
 まず何よりも、台湾の人々の不幸である。言論・政治の自由は徹底的に弾圧されるだろう。これはウイグルで、香港で、すでに起きたことの繰り返しである。民主主義を推進してきた人々は、凄惨な運命をたどることになる。これは台湾の友人である日本としても、人道上、看過できることではない。
 日本にとっても、直接的な影響は甚大である。
 台湾東岸は軍事化され、西太平洋における軍事バランスは一気に中国に傾くことになる。かつて中曽根首相は日本を不沈空母であると述べて物議を醸したが、軍事的な意味合いだけを見れば、これは当たっている。
 台湾から日本に連なる第一列島線とは、事実上は、一連の不沈空母である。そこには陸海空軍の基地を配することができて、中国海軍の太平洋への移動を封じ込める強力な手段となる。
■ 日本や韓国の海上輸送路は封鎖される
 中国から見れば太平洋への出口にこの第一列島線が連なっており、中国海軍はその海峡を通らねば太平洋に出ることができない。第一列島線の西側は浅い東シナ海なので潜水艦活動も捕捉されやすい。台湾を奪取することで、この地理的な制約から中国は一気に解放される。
 台湾東岸には基地が設置され、潜水艦が西太平洋を航行するようになるだろう。また台湾にはドローンやミサイルが無数に配備される。これは日本そして韓国の海上輸送路をほぼ完全に封鎖する能力を持つだろう。
 経済的には、半導体やエレクトロニクスなどの台湾の技術とそれを支える人材を、中国が掌中に収めることになる。これは中国の経済成長のみならず、軍備の近代化にもおおいに寄与することになるだろう。
 台湾は世界最大の半導体生産能力を有しており、台湾からの輸出が途絶えると、世界中で半導体不足が生じ、この経済被害は莫大なものになる。
■ 経済制裁に実効性はあるのか
 もちろん台湾を併合するとなると、米国などは経済制裁を科すであろうが、これがどの程度効くのかは予断を許さない。まして、これが中国による台湾統一を抑止する効果があるかというと、ますます疑わしい。
 いまウクライナに侵攻したロシアには経済制裁が科されており、これは当然予見できたことではあるが、結局のところロシアを抑止することはできなかったのが現実である。
 仮に対中経済制裁が奏功して中国経済が弱体化するとしても、対イラン制裁や対北朝鮮制裁がそうであるように、それが独裁体制を覆さず権力を維持できるのであれば、習近平にとってはどうでもよいことかもしれない。それよりも、台湾を統一して毛沢東以来の悲願を達成するということの方が重要と考えても全く不思議はない。
■ 台湾統一の次は、日本を中立状態にする
 台湾を統一し、中国がますます強大になれば、中国は日本をどうするか。
 日本は、中国のすぐ隣にあって、独裁体制を批判し民主主義で繁栄している。いまの台湾に次いで、中国共産党を脅かす不愉快な存在だ。のみならず、宿敵である米国と軍事同盟を結び、中国に対抗する軍事力をつけている。
 まずこの状況を変えること、少なくとも、中国政権への批判を止めさせることを中国は狙っている。やがては日本を、米国から距離を置いた中立状態にすることを目指している。前述の劉明福は、「2049年には中国が軍事・経済大国となり、米国と互角になって、日本も米国の属国ではなく中立化するのが望ましい」と述べている。
 実際のところ、台湾を統一した後、ますます中国の経済力が高まれば、その影響下での工作活動によって、日本の言論や政治に影響を与え、日本政府が中国政府への批判を取り締まるように仕向けることができるかもしれない。また、反米世論を煽って米軍基地を日本から撤退させるというシナリオも成立するかもしれない。
 かつてフィンランドは、隣国ソ連からの強力な影響力の下、何とか民主主義体制を維持したものの、ソ連を批判しない親ソ連的な中立を保った。このような「フィンランド化」を日本に対して仕掛けることは中国の選択肢の一つである。
 中国には、日本を米国から引き離し、親中的中立にする動機がある。親中的中立とは、日本の言論や政治が制限されることを意味する。これは日本の自由と民主の死である。このフィンランド化を抑止することも日本の重要な地政学的課題である。
■ 日本が簡単に屈服すると思わせてはいけない
 日本のいまの喫緊の課題は、中国が台湾統一をしないよう、抑止することである。台湾統一は、上述のような人道的、軍事的、経済的、地政学的な理由から看過できないからである。
 抑止のためには、「中国が台湾統一を試みれば、必ずや米軍が介入し、中国は敗北して、中国共産党習近平政権も滅びる」と中国に思わせておかねばならない。このためには、米軍介入時に基地を提供するがゆえに、必然的に台湾有事に巻き込まれる日本が、簡単に屈服すると思わせてはいけない。
 まず防衛力を強化することは重要である。この点はすでに国家レベルで認識されるに至り、防衛費は増額されてGDPの2%となった。
 具体的な対策も打たれている。ミサイル攻撃などから国民を守るシェルターの整備が始まった。中国の中距離ミサイルに対抗するために、日本もトマホークを米国から購入して配備することになった。また多くの識者が意見を述べている。航空機が敵のミサイルの第一撃で飛行場において破壊されないように防護する設備が必要である。長期的には核共有や核武装が必要という意見もある。
■ 第二次世界大戦時と変わらず、エネルギー供給が日本のアキレス腱
 本稿で最後に強調したいのは、こういった防衛装備だけではなく、シーレーンによる補給の確保についてである。
 先の第二次世界大戦でも、日本は石油などの戦略物資の輸入を封鎖され、これが敗因の一つとなった。いまでも、日本にとってエネルギー供給がきわめて脆弱なアキレス腱であることには何ら変わりはない。
 この点については、以前この連載で、食料とエネルギーの継戦能力整備の必要性を論じた(下記の関連記事を参照)。次回は、もう一つの抑止力向上策として、米国からの石油・ガスの輸入の拡大を提案したい。
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 4月14日18:35 YAHOO!JAPANニュース 沖縄ニュースQAB「「沖縄から全国に広がる戦争準備」那覇市で講演会
 台湾有事を念頭においた自衛隊の配備など、日本やアメリカ、中国の動きから沖縄の今について考える講演会が14日、那覇市で開かれました。
 この講演会は、自衛隊の配備や訓練が強化される現状など「台湾有事」を想定した軍事要塞化が急速に進む沖縄の今について考えてもらおうと開かれたものです。
 講演では、軍事ジャーナリストの小西誠さんが登壇し、政府が防衛力強化の一環として整備する特定利用空港・港湾について、軍事強化は、ミサイル基地化の次の段階に入り、民間の空港、港湾では軍事優先を念頭においた整備が全国で急速に進められていると指摘しました。
 軍事ジャーナリスト小西誠さん「軍民共用化された場合、たんなる平時から有事に使うだけじゃない、滑走路を使うだけじゃないということ。弾薬庫を作ったり、掩体壕を作ったり、そうやって軍事化していくということですね」
 また座談会では軍事ジャーナリストの田岡俊次さんも登壇し、「アメリカや中国、台湾、日本が戦争を回避するためにも、現状維持こそが最良の安全保障だ」と訴えました。
 会場を訪れた人たちは、登壇者の話を熱心に聞き入っていました。
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 4月14日 琉球朝日放送「名護市で辺野古新基地反対集会「子や孫への責任」
 ※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
 名護市辺野古への新基地建設反対を訴える集会が14日、軟弱地盤の工事が行われている大浦湾を臨む浜で行われました。
 大浦湾での軟弱地盤の工事は県が2021年11月に不承認としましたが、裁判を経て、去年12月に国が代執行で承認し、ことし1月10日、沖縄防衛局が軟弱地盤の工事に着手しました。
 玉城知事「辺野古の新基地建設は絶対に認めないという思い、沖縄を再び戦場にさせないという心からの願いは、先の未来の子たち孫たちに私たちが今取れる最大の責任」
 工事現場を見渡せる名護市瀬嵩の浜で14日、集会が開かれ、新基地建設の断念をあらためて政府に求めました。
 参加者「戦争に関わるもの、一切反対している。そういう強い思いで参加した」参加者「沖縄の未来に関わることなので、もっと熱くなってほしいと思いました」
 参加者は雨の降る中、プラカードを掲げるなどして抗議の意思を示していました。
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 エセ保守とリベラル左派は、反米派・反安保派、護憲派・反自衛隊派として、日本は米中対立で同盟国アメリカに味方するなく中立を保つ事を求めている。
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 中国共産党が日本に望んでいる中立化とは、李氏朝鮮日露戦争時に日露両国に味方しないという「局外中立」であった。
 反日李氏朝鮮は、裏でロシアの味方をして日本軍の軍事情報をロシア軍に流していた。
 日本軍にとって、ロシア軍との間に存在する朝鮮、ロシア軍と戦う日本軍の後方に存在する朝鮮が邪魔であった。
 米中両国にとって、当時の朝鮮の位置にあるのが現代の日本である。
 米中が戦争すれば、その戦場は中間に存在する日本で、中立宣言は中国に味方しアメリカに敵対する事であり、中立化したからと言って攻撃されな保障はない。
 日本が安保条約でアメリカの味方をすれば中国軍は日本を攻撃するし、日本が中国に降伏して中国軍が占領すれ中国に味方すればばアメリカ軍は日本を攻撃する。
 歴史的事実として、中国共産党が中立宣言をした日本を攻撃しないと言っても、攻撃しないという保障はない。
 中国共産党は常識人・知識人であっても信用に足る教養人・良識人ではない。
 それが、歴史学であり地政学・戦争学である。
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 中国共産党国防動員法、国家情報法、国家安全法、香港国家安全維持法(国安法)、中国データ三法(中国サイバーセキュリティ法、中国データセキュリティ法、中国個人情報保護法)、反外国制裁法、改正反スパイ法、対外関係法。愛国主義教育法。改正国家秘密保護法。
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 中国共産党による反日洗脳教育、反日ヘイト教育。
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 中国共産党は、日本のビッグ・データを集め、日本のSNSを監視している。
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 中国共産党支配下では、自由・民主主義はないし、人道も人権も人命もなく、さらには道徳さえない。
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 会社法中国共産党規約は、中国共産党の党員が3人以上いる企業では党支部を設置しなければならないと規定されている。
 中国共産党員は9,000万人以上いる。
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2024-04-14
🐖68」─1─中国共産党は大学運営の権限を一本化して学内の学長事務室を閉鎖した。~No.311No.312No.313 



 2023年2月2日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「強大化する中国、日本は最強の対抗手段である半導体規制で米国と連携せよ
 【前編】対中デカップリングをどう進めるか
 2022年8月に米下院のペロシ議長訪台を受け、中国・人民解放軍は大規模演習を実施した。強大化する中国への対抗策が大きなテーマになっている(写真:新華社/アフロ)
 経済的・軍事的に強大となる中国に対し、米国は先端半導体や関連する製造装置の輸出規制を強化し、日本や欧州などにも同調するよう求めている。中国側の反発や対中ビジネスへの影響を懸念する声もあるが、中国の脅威に対抗するツールになっているのがこの半導体輸出規制だ。米国が本気で臨むなら、日本の強みである製造装置や化学薬品の技術を死守するためにも歩調を合わせるべきだろう。日本が直面する「対中デカップリング」について考えてみたい。
 (杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
 中国の軍事費は日本の6倍
 中国は強大になった。軍事費は30兆円に達し日本の6倍もあり、増え続けている。
 東アジア地域においては、軍事的にも米国と互角になりつつある。航空母艦(空母)や大陸間弾道弾(ICBM)についてはまだ米国の方が優勢だが、射程500kmから5500kmの間の中距離ミサイルは、中国が2000基であるのに対して日本・米国はゼロという状態である。米国は、2019年に破棄されるまで、ロシアとの中距離核戦力(INF)禁止条約があったこともあり、配備が遅れた。
 ウクライナ戦争では、米国の最優先順位は「核戦争の回避」であり、そのために自らは参戦していない。さて中国も、ロシア同様に、すでに米国を射程とする大陸間弾道ミサイル保有している。このため、台湾や日本で有事があっても、やはり米国は核戦争の回避を最優先して、そのために台湾や日本に犠牲を強いることになるかもしれない。
 台湾有事のシミュレーションを実施した米国のシンクタンク戦略国際問題研究所CSIS)の報告書では、中国は台湾への軍事進攻には失敗する。中国の中距離ミサイル射程の外の太平洋上から発射される米国の空対艦「オフスタンドミサイル」による攻撃で、中国から台湾へ上陸する艦船がことごとく沈められる、というシナリオだ。ただし米国も原子力空母2隻と数千人の兵士を失うといった大損害を受ける、とされる。
 このとき米国は、かつての朝鮮戦争ベトナム戦争同様に、日本の基地から爆撃機・戦闘機を飛ばし、また日本において補給をする。このため日本の基地もミサイル攻撃の対象となり、自衛隊は大きな損失を出すことになる。
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 2023年2月23日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「中国を抑止する継戦能力は日本にあるのか?武器弾薬以外にエネルギー、食料も
 防衛費倍増でも備え不足では干上がってしまう
 沖縄県うるま市沖縄石油基地(写真:アフロ)
 自衛隊には弾薬の備蓄が2カ月分しかないと報道されるなど、日本の「継戦能力」が問題視されるようになった。このような事態を改善すべく、防衛費は倍増されてGDP国内総生産)の2%となったことはよく知られている。その一方で、武器弾薬だけあっても、戦争は継続できない。エネルギーや物資の補給がなければ日本は干上がってしまう。
 (杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
 台湾が中国の勢力圏に入ると何が起こるか
 米国戦略国際問題研究所CSIS)の報告書が話題になった。台湾有事のシミュレーションで、中国が台湾へ上陸作戦を仕掛け、武力統一を図るというものだ。米国と日本が戦争に巻き込まれ、双方ともに多大な損害を出すが、中国の台湾上陸部隊の艦船を米国がことごとく沈めることによって、中国は台湾の占領には失敗する、という。
 だがこのシミュレーションは最初の1カ月だけが対象である。これが泥沼化して長期化するかもしれない。
 あるいは、米国が介入をためらって中国は台湾併合に成功するかもしれない。
 さらには、中国は台湾への政治工作に成功し、台湾政府が中国への「自主的な」併合を表明する可能性だってある。このような平和裏の併合こそ、中国が最も望んでいる形であろう。
 武力を伴うか伴わないか、このいずれにせよ、台湾が中国の勢力圏にひとたび入るとどうなるか。
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 2023年6月26日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「台湾有事を抑止するエネルギー政策とは?日本の備えはこれで大丈夫なのか
 まったく緊張感がないエネルギー白書、継戦能力を高めるために必要なこと
 台湾海峡通過の米駆逐艦に中国戦艦が「異常接近」する事態も起きている(写真提供:U.S. Navy/Naval Air Crewman (Helicopter) 1st Class Dalton Cooper/ロイター/アフロ)
 エネルギー白書が発表された。台湾有事にはどう備えているだろうか。読んでみて愕然としたのだが、「台湾」という言葉は統計の説明と各国のエネルギー状況を概説する部分の一部に出てくるのみ。「シーレーン」という言葉に至ってはそもそも一度も出てこない。これで大丈夫なのだろうか? 日本の置かれている状況、そして緊急に採るべき対策について考えてみたい。
 (杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
 中国による台湾の軍事侵攻は「時間の問題」との見方
 6月6日に閣議決定されたエネルギー白書(正式名称:令和4年度エネルギーに関する年次報告 )には、「エネルギーの安定供給」については書いてある。だが過去10年間に発行された白書と大筋では何ら変わるものではない。
 エネルギー供給の多様化を図ること、石油などの備蓄をすること、資源供給国との関係を強化すること、などが書いてある。また、台風や津波などの自然災害への防災の強化についても指摘している。これらはいずれも大事だけれども、日本の事態はもっと切迫している。
 特に、台湾有事のリスクは高まっている。中国の習近平政権は、これまでの慣例を覆して3期目(2023年から2027年まで)に入った。この間に中国が台湾併合に動くとの見方が高まっている。
 「ヒゲの隊長」の愛称で知られる佐藤正久自民党国防会長は、中国の公式文書や人事に基づいて、習近平政権が台湾に軍事侵攻するリスクは極めて高く、する・しないの問題というより、いつするか、という時間の問題だとみている(佐藤氏の著書『中国の侵略に討ち勝つハイブリッド防衛 日本に迫る複合危機勃発のXデー』による)。米国でも同様の見方をする識者が多い。
 キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司氏は、それに加えて、台湾統一は習近平氏自身の最重要な関心事でもあり、また、台湾統一に関しては中国国民の幅広い支持があることを指摘する。
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 2023年7月4日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「リスク高まる台湾有事、食料と半導体という「2つのコメ」に備えはあるか
 習近平政権3期目、有事における日本の継戦能力を考える
 中国の習近平国家主席は台湾問題で武力行使に出る可能性を否定しない(写真:新華社/アフロ)
 2023年に始まった習近平政権3期目に台湾有事のリスクが高まるとみられることから、前回記事を含めこれまでに、日本はシーレーン喪失に備えてエネルギー備蓄を強化するなど、継戦能力の構築が必要だと指摘してきた。今回は、台湾有事における食料備蓄と、産業のコメと呼ばれる半導体供給について深掘りし、台湾有事を抑止するために必要な日本の備えとは何かを論じる。
 ◎前回記事『台湾有事を抑止するエネルギー政策とは?日本の備えはこれで大丈夫なのか』を読む
 (杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
 私たちは毎日2〜3kgの石油を「食べている」
 日本の一次エネルギー消費は、全てのエネルギーを石油に換算すると年間約4億トンに上る。これは1人あたりだと年間3トンとなる。1日あたりにすれば1人10キログラムで、日本人は毎日これだけの石油を消費している勘定になる。
 このうち、2割から3割程度が食料供給のために使われているとみられ、毎日2キログラムないし3キログラムの石油を「食べている」ことになる。
 だが実際の1人あたりの摂取熱量は2000キロカロリー前後で、これを石油に換算すると200グラムぐらいにしかならない(ということは、脂身だらけの200グラムのステーキを食べたら、それで1日分のカロリーになる!)。つまり我々は実際に摂取する熱量の10倍以上ものエネルギーを石油などの形で消費している。
 なぜこんなに食料供給にエネルギーを消費するかというと、農作物をつくるための肥料・農薬の生産に始まり、農業機械を動かし、トラックで輸送し、食品加工をし、冷蔵・冷凍を行う、といった具合に、あらゆる場面でエネルギーを使うからだ。
 前回の記事『台湾有事を抑止するエネルギー政策とは?日本の備えはこれで大丈夫なのか』で述べたように、台湾有事が起きて日本のシーレーンが危機にさらされると、エネルギー供給の途絶が危惧される。それに対する備えが必要なこともすでに書いた通りだが、備えをしても大幅なエネルギー供給の減少は避けられないかもしれない。
 そのような状況になっても、飢え死にすることなく、1年ぐらいは生き延びるようにする必要がある。いざというとき、普段我々が享受している「エネルギー多消費型の食料供給」は全く機能しなくなることを覚悟しなければならないのだ。
 ではどうすればよいか。
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🐇10:─1─かつて世界を驚かせた日本企業の「成功モデル」を捨てなければいけない。~No.10 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本の成功モデルは、人口爆発による内需拡大で生まれた。
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 2024年1月14日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「かつて世界を驚かせた日本企業は、今こそ「成功モデル」を捨てなければいけない
 国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
 【写真】人生がうまくいかない人の「決定的な間違い」とは…?
 ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
 パイの奪い合いは無意味
 人口減少に打ち克つためには発想の転換が必要だと述べたが、まずすべきは量的拡大というこれまでの成功モデルとの決別である。
 私は企業経営者とお会いすることが多いが、頂いた会社案内のフロントページに「業界シェアNo.1」とか、「〇〇地区で売り上げトップ」といった大きな見出しの文字が躍っているケースがいまだ少なくない。
 人口がどんどん増えていた時代には売り上げを伸ばすことが、そのまま利益の拡大を意味していた。しかしながら、国内マーケットが急速に縮小する社会において、パイの奪い合いをしても誰も勝者にはなれない。
 パイの奪い合いを続けていくことがいかに無意味なことかは、金貨が100枚入っている器をイメージして考えれば理解しやすいだろう。金貨は人口、すなわち国内マーケットのことだ。
 現状において、業界トップの企業がシェアの半分である50枚、2番手企業が35枚、3番手企業が15枚を手に入れていたとしよう。しかしながら、人口減少とは数十年後に金貨70枚のゲームに変わるということである。
 仮に、業界トップ企業がシェアを50%から60%に伸ばしたとしても得られる金貨は42枚でしかなく、現状より8枚減る。金貨の絶対数がどんどん減っていく社会においては、シェアが100%になろうとも手にできる金貨は年々少なくなっていくのだ。
 拡大どころか現状維持すらできない。国内需要を当て込む以上、シェアの拡大モデルでは限界があるということだ。
 こうした点を踏まえず、生産体制強化のための設備投資や店舗数の拡大をしている企業が少なくない。目の前の需要に応え、ある時点までは売上高を大きくすることはできるだろうが、人口減少社会ではそうした投資はいずれ経営の重荷となる。拡大のための投資を一切すべきでないとは言わないが、今後の人口の変化に応じていつでも転用や撤退ができるようにしておく必要がある。
 河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
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☂41:─1─学校のいじめや嫌がらせに潜む学校の全体主義(文化マルクス主義)。~No.136 

   ・   ・   ・
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・{東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 学校・子供のいじめ・嫌がらせは、戦前と戦後では違う。
   ・   ・   ・    
 社会の閉塞感を生み出しているクライアントの正体は、文化マルクス主義者である。
   ・   ・   ・   
 2024年4月11日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「なぜ日本の学校から「いじめ」がなくならないのか、単純な理由
 いま日本はどんな国なのか、私たちはどんな時代を生きているのか。
 日本という国や日本人の謎や難題に迫る新書『日本の死角』が8刷とヒット中、普段本を読まない人も「意外と知らなかった日本の論点・視点」を知るべく、読みはじめている。
 【写真】家族旅行や習い事は「贅沢」…? 意外と知らない「体験格差」の実態
 全体主義が浸透した学校の罪と罰
 学校は「教育」「学校らしさ」「生徒らしさ」という膜に包まれた不思議な世界だ。その膜の中では、外の世界では別の意味をもつことが、すべて「教育」という色で染められてしまう。そして、外の世界のまっとうなルールが働かなくなる。
 こういったことは、学校以外の集団でも起こる。
 たとえば、宗教教団は「宗教」の膜で包まれた別の世界になっていることが多い。オウム真理教教団(1995年に地下鉄サリン事件を起こした)では、教祖が気にくわない人物を殺すように命令していたが、それは被害者の「魂を高いところに引き上げる慈悲の行い(ポア)」という意味になった。また教祖が周囲の女性を性的にもてあそぶ性欲の発散は、ありがたい「修行(ヨーガ)」の援助だった。
 また、連合赤軍(暴力革命をめざして強盗や殺人をくりかえし、1972年にあさま山荘で人質をとって銃撃戦を行った)のような革命集団でも、同じかたちの膜の世界がみられる。
 そこでは、グループ内で目をつけられた人たちが、銭湯に行った、指輪をしていた、女性らしいしぐさをしていたといったことで、「革命戦士らしく」ない、「ブルジョワ的」などといいがかりをつけられた。そして彼らは、人間の「共産主義化」「総括」を援助するという名目でリンチを加えられ、次々と殺害された。
 学校も、オウム教団も、連合赤軍も、それぞれ「教育」「宗教」「共産主義」という膜で包み込んで、内側しか見えない閉じた世界をつくっている。そして外部のまっとうなルールが働かなくなる。よく見てみると、この三つが同じかたちをしているのがわかる。
 このようにさまざまな社会現象から、学校と共通のかたちを取り上げて説明するとわかりやすい。あたりまえすぎて見えないものは、同じかたちをした別のものと並べて、そのしくみを見えるようにする。たとえば、学校とオウム教団と連合赤軍をつきあわせて、普遍的なしくみを導き出すことができる。
 なぜ「理不尽」を受け入れてしまうのか
 こうして考えてみると、学校について「今まであたりまえと思っていたが、よく考えてみたらおかしい」点が多くあることに気づく。
 これらのポイントに共通していえるのは、クラスや学校のまとまり、その場のみんなの気持ちといった全体が大切にされ、かけがえのない一人ひとりが粗末にされるということだ。全体はひとつの命であるかのように崇拝される。
 この全体の命が一人ひとりの形にあらわれたものが「生徒らしさ」だ。だから学校では、「生徒らしい」こころをかたちであらわす態度が、なによりも重視される。これは大きな社会の全体主義とは別のタイプの、小さな社会の全体主義だ。
 大切なことは、人が学校で「生徒らしく」変えられるメカニズムを知ることだ。それは、自分が受けた洗脳がどういうものであったかを知る作業であり、人間が集団のなかで別の存在に変わるしくみを発見する旅でもある。
 ある条件のもとでは、人と社会が一気に変わる。場合によっては怪物のように変わる。この人類共通のしくみを、学校の集団生活が浮き彫りにする。
 学校の全体主義と、そのなかで蔓延しエスカレートするいじめ、空気、ノリ、友だち、身分の上下、なめる―なめられる、先輩後輩などを考えることから、人間が暴走する群れの姿を明らかにすることができる。学校という小さな社会の全体主義とそのなかのいじめを考えることから、人間の一面が見えてくる。
 わたしたちは長いあいだ、学校で行われていることを「あたりまえ」と思ってきた。あたりまえどころか、疑いようのないものとして学校を受け入れてきた。
 だからこれを読んだ読者は、「こんなあたりまえのことをなぜ問題にするのだろうか」と疑問に思ったかもしれない。だが、その「あたりまえ」をもういちど考え直してみることが大切だ。
 理不尽なこと、残酷なことがいつまでも続くのは、人がそれを「あたりまえ」と思うからだ。それがあたりまえでなくなると、理不尽さ、残酷さがはっきり見えてくる。逆にあたりまえであるうちは、どんなひどいことも、「ひどい」と感じられない。歴史をふりかえってみると、このことがよくわかる。
 これを読んで心にひっかかっていたものが言葉になったときの、目から鱗が落ちるような体験を味わっていただければと思う。
 現代新書編集部
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