⏱10:ー3ー1台の中国スパイドローンが自衛隊の致命的弱点を丸裸にした。~No.29 

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 ドローンは非人道的殺人兵器にもなるが、エセ保守やリベラル左派の反戦平和市民団体は反対していない。
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 日本上空には、インターネットに接続された安価の中国産ドローンが多数飛んでいる。
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 2024年4月18日7:02 YAHOO!JAPANニュース ダイヤモンド・オンライン「【国防崩壊】たった1台の中国スパイドローンが丸裸にした“自衛隊の致命的弱点”
 戦争が始まれば、他国のドローン攻撃によって日本の自衛隊はたちどころに機能停止に追い込まれるかもしれないーー。海上自衛隊護衛艦「いずも」を中国スパイドローンが模擬攻撃する動画が物議を醸した。この記事では、動画の真偽を検証するとともに、本件によって明らかとなった自衛隊の「組織的な欠陥」と「致命的な弱点」について分析した。(イトモス研究所所長 小倉健一)
 海上自衛隊護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で撮影したとされる動画が交流サイト(SNS)上で拡散されている。映像は当初中国の動画共有サービス『Bilibili』に「我开飞机降落日本航母(不是游戏!!!」(私は飛行機を操縦して、日本の空母に着艦した。ゲームにあらず!!!)というタイトルで掲載され、その後、日本に広まった。
 動画は19秒ほどで、ドローンが護衛艦いずもを後部甲板から前部甲板へ飛行し、撮影をしている内容だ。
 護衛艦「いずも」は、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦、いわゆる「ヘリ空母」と呼ばれているものだ。全長は248メートル、乗員は最大520名。海上自衛隊で1番大型の艦艇(軍艦)であることから、海上自衛隊にとって象徴的な存在になっている。現在、F-35B戦闘機が離着陸できるように改修を進めていて、2026年度中にも実体上は空母になるという。
 そんな海上自衛隊のシンボルである「いずも」をドローンで撮影されたことは、中国でも大きな話題になり、日本では「フェイク動画」ではないのかなどと、真贋が取り沙汰されている。もし事実なら、日本の防衛力の実態が中国のスパイドローンによって簡単にいつでも丸裸にされ、攻撃されかねない事実を白日のもとに晒される事態だ。
 安全保障アナリストで慶應義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮(ひだに・なおあき)氏はこう警告する。
 「少量の爆薬でもイージス艦SPYレーダーといった機能を停止させたり、パトリオットミサイルのレーダーシステムを損傷させることは可能だ。航空自衛隊や民間空港の滑走路にマキビシをバラまいて機能停止に追い込むことも可能だ」
 動画が真実ならばその懸念が具体化したことになる。
 こうした事態を受け、木原稔防衛相と海上自衛隊の酒井良海上幕僚長は、4月2日の記者会見で、「悪意をもって加工、捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含め、現在分析中」(木原防衛大臣)、「不自然な点はあると思うが判断しかねる」(酒井海上幕僚長)と述べた。政府が先頭に立って、動画はフェイクだ、捏造だ、不自然だと印象操作しているわけで、実際、マスメディアの見出しは『護衛艦いずもドローン映像 「捏造の可能性」木原防衛相』というものとなった。だが本当にそうなのだろうか。「そうであってほしい」「そうでなくてはダメだ」などという願望が目を曇らせてはいないだろうか。
 フェイク説を唱える有識者が、最大の根拠としているのは、動画に映し出された艦尾の艦番号である。
 <軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「いずもの艦番号は183なんですが、船の甲板にはその下2桁の83が必ず記されている。(映像の船には)8はあるが、3は書かれていない」/問題の映像に映った、船の甲板に書かれた「8」という数字。/一方、本物の「いずも」の甲板には「83」と記されていた。/こうしたことから専門家は、AI(人工知能)で作られたものではないかと推測する。/軍事ジャーナリスト・高橋浩祐氏「わたしはフェイク…まがいものの可能性が高いとみています」>(FNNプラインオンライン『【物議】海上自衛隊護衛艦「いずも」を“ドローン撮影”か 中国SNSに映像が投稿 映像には“違和感”…AIによるフェイク?』4月1日)
 その後も彼は艦番号に3がないことを強調し、これをフェイクの根拠としている(Twitter投稿)。
 こうした見立てと違う立場をとるのが、先述の部谷氏の文春オンラインの論考での指摘だ。
 「2024年2~3月のいずもを撮影したとされるSNSに流布している画像を確認すると、83の文字は薄くなっているが、8の方が若干濃くなっている。マスメディアが空撮したものでは、管見の限りではもっとも最新となる昨年12月1日時点の朝日新聞社が撮影したいずもも8が若干濃くなっている。『3』の数字が書かれていないというが、これは第1次改装前のいずもであって、改装後に文字は薄れている。ドローンで撮影されたものは、最近の『いずも』の状態に一致している」
 部谷氏は、さらに「この指摘は4月14日に一般公開された護衛艦いずもを撮影した一般人の数々の画像をみれば『8』だけが濃い」と指摘する。高橋氏の指摘こそが都合の良い写り方を切り抜いたフェイクだとよくわかるというのだ。X上には、部谷氏の指摘を裏付けるような画像が多い。
 例えば、こちらのX上の投稿だ。
 他にも、デイリー新潮『中国のスパイドローンが「護衛艦いずも」を撮影? SNSで拡散する動画に専門家は「飛行甲板に注目すべき」』(4月9日)では、ドローンの出す音について着目し、これがフェイクである根拠と指摘している。
 <軍事ジャーナリストは「私も動画を見ましたが、フェイク動画の可能性が高いと思います」と言う。/「まず、報道に至るまでの経緯が重要でしょう。ドローンを操縦したことがある人ならご存じだと思いますが、飛行時は結構な音がします。あの動画が実際に撮影されたものなら、いずもの乗組員や基地の隊員は音などの異変に気づいたはずです。さらに航空法違反は明確ですし、海上自衛隊護衛艦の上を飛んだという事実は看過できませんから、海自か神奈川県警がドローンの飛来を広報し、それを日本のメディアが報じたはずです」>
 <「私が注目したいのは飛行甲板です。実際の甲板は、もう少し汚れています。動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか。甲板に乗組員の姿が全く映っていないのも疑問です。もし本当にドローンが撮影したのであれば、少なくとも1人か2人の乗組員がドローンに気づく様子が納められたはずです」(同・軍事ジャーナリスト)>
 新潮記事に登場する軍事ジャーナリストが誰なのかがわからないが、ドローンは結構な音がする?というのは、筆者は疑問を持つ。ウクライナ戦争において、ドローンがうるさく近づけば気づかれるような代物であったとすれば、あれほどの戦果をあげることなどできるのだろうか。ドローンとAIを活用した課題解決の実績もあり雑誌Wedgeなどにも寄稿しているハッカーの量産型カスタム氏にその点を尋ねた。
 「例えば日本でも入手しやすいDJIなど市販ドローンは、ある程度の高度に達すると騒音の少ない山間部でも気が付かないくらい静かに飛行ができます。ましてや市街地に隣接する『いずも』付近は高速道路などがあるためさらに気が付きにくいはずです。ドローンを操縦したことがある人なら、わかるはずなんですが……。『動画の甲板は耐熱塗装処理後の雰囲気が感じられず、F35B離発着用の黄色の滑走路標示線も、ちょっと綺麗すぎるのではないでしょうか』という指摘も、市販のドローンの性能を理解した上で操縦や空撮の経験があれば、このような疑問は持たないはず」
 として、量産型カスタム氏は、筆者に対してDIJドローンの最新機能が検証されたURL(『Vol.59 驚きの飛行性能&高画質!Mavic 3の映像を検証する・中編 [Reviews]』)を示した。そこには、静音性が向上していること、カメラの機能が高く、広角撮影が可能であること、さらに内蔵補正機能やDJIのアプリケーションによる画質や色の補正もできることが示されていた。他にも、
 <飛ばしていて気づいたのですが、バッテリーがとにかくモチます!>
 <着陸がかなわない連続撮影(電車・バス等の撮影待機、30分以内の花火大会など)などで重宝しそうです>
 <色補正を加えることで通常撮影時よりも表現力の高い映像に仕上げることができます>
 これらファクトを総合して考えるにやはり動画のフェイク説は説得力に欠ける。
 量産型カスタム氏が続ける。「もし生成AIによるフェイク動画と主張するのであれば同じような品質の動画を作り再現する必要があります。自らが再現できないものを出来ると言い張るのは、軍事ジャーナリストだろうと学者だろうと無責任で技術を論ずる資格すらなく信用してはいけません…まあ今回に限らずですけどね」
 となれば、今回の問題の本質は何なのか。部谷氏に見解を聞いた。
 「防衛省自衛隊は、情報戦に自滅しています。映像公開から2週間以上が経過しているにもかかわらず、それに対する対応に失敗しています。まず初手で海幕長が4月2日に飛行甲板上に艦番号は必ず記載しているとしながら、翌日には不記載が標準としましたが、これは海幕長海幕が所属艦艇の状態を把握できないまま、希望的観測で発言したことを示してしまった大失態でした。
 しかも、海幕はこの件に関する世論を全くコントロールできていません。犯人を名乗る人物がXアカウントを開設し、次々と高画質の米空母やいずもの写真を公開して真実性を増す中、2週間以上が経過しても「分析中」を繰り返すだけの受け身です。たかが一動画に対してこのありさまでは、自衛隊の分析能力の低さ、そして、もはや一般的でもある生成AIを利用した動画生成への理解にすらないのかと国内外から疑いの目を向けられかねない状況です。
 これは今回の動画が仮にフェイクであっても変わらない大きな失点です。戦略3文書では外国からの情報戦に対抗し、戦略的コミュニケーションで対抗すると強調していたのに、それがまったく実践できていないからです。昨年の銃乱射事件でも、能登半島地震でも自衛隊は組織的な不利な言説に対し、逆効果となる個別反論を繰り返すだけで、戦略的及び作戦的な情報戦を展開できていません。有事が近づけば、この手の動画が頻出することは間違いありませんが、その際もこのような対応を取るのでしょうか?
 そして警備上も大きな問題が示されたことはいうまでもありません。実は自衛隊施設へのドローンの侵入は日常茶飯事となっており、それに対し何ら有効な能力を発揮できていません。電波法によって貧弱な探知及び射程の短い妨害能力しかない対ドローン機材しか持たず、その配備も遅れており、法的権限も不足しています。
 韓国は北朝鮮のドローン部隊のソウル侵入を契機に、全軍のドローンを一元指揮するドローン司令部を創設し、ドローン対処訓練を公開で行う等、巻き返しています。日本もこれを奇貨として韓国軍の取り組みに見習うべきです」
 現状の日本では、ドローンによる攻撃を受けたとしても、防衛する手段は脆弱だ。このままでは自衛隊は開戦即崩壊という憂き目にあいかねないと危惧している。
 今回の動画をすぐにフェイクだと決めつけたり、何も心配する必要がないと主張するのは避けるべきだ。むしろ、この動画を大切な警告として受け止め、自衛隊の警戒を強め、能力を向上させることで、しっかりと対応している姿を見せることが、抑止力を強化する方法である。
 小倉健一
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 4月18日9:30 YAHOO!JAPANニュース Forbes JAPAN「ウクライナ戦争で急速に進化するドローン、その最新戦術とは
 両陣営の多数のドローン(無人機)が前線で飛び交っている以上、敵機との鉢合わせは避けられない。ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した2022年以来、操縦士が武器を搭載していないドローンを使って敵のドローンを追いやる「ドッグファイト(格闘戦)」が時折起きている。だが現在は異なるパターンが見られる。ドローン同士が予期せず対峙するのではなく、意図的な迎撃が行われており、小型のドローンが大型の爆撃ドローンを攻撃している。
 これは第1次世界大戦で見られたパターンに似ている。初期の複葉機偵察機から軽攻撃機、そして戦闘機へと進化する中で、主な任務は攻撃してくる爆撃機を撃墜し、制空権を取ることだった。そうしなければ敵機に攻撃されるため、不可欠なことだった。それから約100年が経ち、ドローンが飛行する空域の制空権をめぐる争いの中で、同じような動きが小規模に繰り広げられている。
■ロシア軍のドローン迎撃機
 ウクライナ軍が爆撃機として使用する大型ドローン、バーバ・ヤガーは夜間に飛行する。極めて正確に爆弾を投下して戦車やその他の車両を破壊し、ロシア軍部隊の間に恐怖を広げている。このドローンの音は聞こえるが姿は見えない。効果のある妨害電波を散発的に出す以外に、ロシア軍は重爆撃機を撃墜するための有効な方法を見つけられていない。そして今、ロシア軍の一人称視点で操作するドローン(FPV)がバーバ・ヤガーを探し出して意図的に突っ込んでいる映像が出回っている。
 これは偶然ではない。
 ロシアのドローン専門家で、米シンクタンクの海軍分析センター(CNA)と新アメリカ安全保障センター(CNAS)の顧問であるサミュエル・ベンデットはロシア国営メディアのタス通信の記事に言及しつつ「特定の大隊ではいま、パイロット訓練コースにドローン同士の戦闘を組み込んだ公式訓練が行われている」と語った。
 ドローンの操縦士は周囲の状況をほとんど把握できない。一般的に、視界は前方と下方に限られている。そのため、ドローン奇襲を成功させるには通常、上方と後方から攻撃する。
 FPVだけでなく、ロシア軍は標準的なクアッドコプターでもバーバ・ヤガーを狙っている。この場合、バーバ・ヤガーのローターを破壊するために、武器を搭載していないドローンを上空からバーバ・ヤガーの上に落下させる戦術を取る。攻撃側はドローンを失うことになるが、より大きなウクライナ軍のドローンの1機を道連れにできる。
ドローンを用いた戦術は常に進化している
 ロシア軍はまた、ドローン同士の空中戦でより効率的に攻撃できるようドローンを改造している。ロシアのあるグループは3月に「ラム(Ram)」と呼ばれる新型のドローンを披露した。このクアッドコプターには、敵機のローターのブレードに難なくダメージを与えられるよう、金属製のスポークが取り付けられている。この種の改造は、オランダで毎年開催されている、ドローン撃退を競うイベントに触発されたものかもしれない。相手陣地の旗を奪うゲームに似たこの競技は、空中での戦闘で相手のドローンを排除する必要があり、ドローンには槍や鎖などの武器が搭載されている。
ウクライナ軍のドローン戦術
 ウクライナ軍もロシアの攻撃ドローンに対して同様の戦術を用いている。ウクライナのFPVがロシア軍の自爆ドローン、シャヘド136を迎撃している映像はまだない。米国がウクライナに供与した、特定の目的を想定して作られた迎撃用ドローンがシャヘド136への攻撃に成功しているかもしれないが、安全上の理由から詳細は公表されていない。
 ウクライナ軍のドローン操縦士がロシア軍の小型ドローンを撃墜した動画は数多くあり、有名なBirds of Magyarの映像や、ドニプロ川上空で双胴機のドローンを撃墜した映像などがある。
 こうした迎撃が行われている理由は明白だ。防空ミサイルは数十万ドル以上する希少かつ貴重なものであり、巡航ミサイルのような大きな脅威のために温存されている。一方で数百ドル程度のFPVは潤沢にあり、これらを最大限用いることは理にかなっている。
 ウクライナが現在使用しているものより大型で航続距離の長いFPVを開発すれば、これらも防空目的で使われるかもしれない。ゼレンスキー大統領はこのほど、新型の自爆ドローン「ウクロランセット(Ukrolancet)」の性能について説明を受けた。このドローンは地上の標的を攻撃するだけでなく、低速で飛ぶ機体、特にロシア軍のオルラン10やシャヘド136などの無人偵察機やドローンを標的とすることができる。
■ドローン戦争
 戦術は常に進化している。ロシア軍がバーバ・ヤガーを迎撃し始め、ウクライナ軍はバーバ・ヤガーに護衛を付けている。ウクライナ側の映像では、クアッドコプターがバーバ・ヤガーを守り、迎撃を試みるロシア軍のドローンを撃退しているように見える。このドローン戦術は第1次世界大戦というより第2次世界大戦の様相をすでに呈している。
 ベンデットは、バーバ・ヤガーが護衛のFPV一団と行動を共にしているところが目撃されたというロシア側の指摘に言及している。バッテリーの残量が少なくなったFPVはバッテリー交換のために操縦士の元に戻り、その間、他のFPVが任に当たることで護衛は継続される。FPVは標的に接近する偵察機として機能するだけでなく、地上目標を攻撃し、敵のドローンから守る遮蔽物にもなる。
 ドローン操縦を趣味とするウクライナの数人がクアッドコプターを使ってロシア軍の陣地を偵察していた2年前と比べると、事態は大きく進展している。投入されるドローンの数が数百万機に増え、戦場をますます支配するようになるにつれて、同様の速度で事態は今後も進展し続けると予想される。
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