🎷34:─1─中国共産党に足蹴にされ続ける日本外交。『大人の対応』~No.138No.139No.140No.141 ㉝ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 現代日本の外交は、同じような失敗を繰り返している。
 歴史は繰り返す事は、世界・大陸ではあり得ないが、現代日本では教訓を導きだして学ぼうとしないだけに同じような事を繰り返している。
 その繰り返しは、成長しない子供、成長を拒否した幼児に似ている。
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 2021年2月号 WiLL「天下の大道  島田洋一
 足蹴にされる『大人の対応』外交
 11月24日、来日中の王毅外相と茂木敏充外相が並んだ日中共同記者会見の場で、王毅が、『真相が分かっていない日本の漁船が釣魚島(尖閣の中国名)周辺の敏感な水域に入る事態が発生している。中国側としてはやむを得ず、必要な反応をしなければならない』と日本側を強く牽制した。
 これに対し、茂木は臨機にしかるべき反論をせず、ただ柔和(にゅうわ)な表情で聞くのみだった。さらに茂木は同日夜、自身のフェイスブック王毅と握手代わりの『肘タッチ』を笑顔で交わす写真をアップしている。見事に危機意識も責任感も欠いた態度だった。
 勢いを得た王毅は、翌25日の菅義偉首相との会談後、記者団に対し、『偽装漁船が繰り返し敏感な海域に入っている。このような船を入れないようにすることが大事だ』と発言をエスカレートさせた。相手が弱腰と見るや嵩(かさ)にかかってうる、中共外交の面目躍如と言えるだろう。
 ホームグランドの東京においてすらこうである。場所が北京なら、茂木が世界の面前で、どこまで足蹴にされて帰ってきたか分からない。
 実例がある。
 2019年1月14日、モスクワで行われた日露外相会談後の記者会見で、ロシアのラブロフ外相は北方領土に関し、傲然(ごうぜん)と次のように言い放った。『国連憲章107条(いわゆる敵国条項)は、第二次大戦の結果を認めよと規定している。再度詳しく日本側に伝えた。河野外相から反論はなかった』
 これを受け、記者懇談の場で真偽を尋ねた記者団に対し河野は、『会談の内容は対外的に公表しないことにしている』と木で鼻をくくったような応答を繰り返すのみであった。要するに、公式の場でも非公式の場でも何の反論もしなかった。先にラブロフが『内容』を『対外的に』暴露し、攻勢に出ているにもかかわらず、である。
 当然ながら、NHKをはじめ当時のニュースは、ラブロフ発言のみを大きく報じた。日本人を含む世界の人々は、ロシア側のプロパガンダに一方的に晒されたことになる。河野がひたすら殻にこもって何ら発信しなかった以上、メディアを責めることはできない。
 実は日本外交の潰走(かいそう)は会談前日に始まっていた。ロシア外務省のザワロワ報道官が、『非常に驚いたことに、協議の前日になって日本が共同記者会見お開かないよう頼んできた。日本は不安定な情報環境をつくり出して人々を惑わすような奇妙で矛盾した行動を取ろうとしている』と国際的なアピールを行っている。
 日本は逃げ腰と見れば、当然ロシアは追い打ちを仕掛けてくる。日本が『大人の対応』に出れば相手も『大人の対応』で応じてくれるという日本外務当局の発想は、少なくとも中国やロシアに危険な幻想にすぎない。
 残念ながら日本の外相は、今後とも茂木や河野のような対応を取り続けると想定しておかねばならい。そこで議会や世論の動きが非常に重要になる。
 日中外相会見に関して、各党の党首クラスで最も立派な発言をしたのは、共産党志位和夫委員長だった。
 『尖閣諸島周辺の緊張と事態の複雑化の最大の原因は日本が実効支配している領土、領域に力づくで現状変更しようとしている中国側にある。中国側の覇権主義的な行動が一番の問題だ。にもかかっわらず、王毅発言は日本に責任を転嫁する、驚くべき傲慢不遜な暴言だ。重大なのは、茂木氏が何らの反論もしなければ、批判もしなかったこと。中国側の不当で一方的な主張だけが残る事態になる。極めてだらしがない態度だ』
 堂々たる正論である。これだけ正しいことを言いながら信用されない共産党とは何なのかという別の分析課はあるが、自民党や利権民主党(打ち間違えてこう変換されたが、より実態に近いのでこのままにしておこう)の党首、幹事長クラスより遥かに前に出ている。ただし志位発言も外相共同会見から2日を経ったもので、ネット世論を後追いした感は否めない。
 なお、中国で各国の外相に当たるのは共産党政治局員の楊潔篪であり、王毅は日本で言えば外務事務次官に当たる。茂木外相が遠慮するのはおろか、対等の存在として遇すること自体、本来はおかしい。
 現行の日中韓『首脳』会談も、日本は首相、韓国は大統領が出るのに対し、中国のみトップの習近平でなくナンバーツーの李古強が出てくる。なぜこうした枠組みを受け入れたのかは。日韓は中国の風下に立つと世界にアピールしているに等しい。すでに土俵作りの時点で敗勢を招いているのである。これをなぜ国会が強く問題にしないのか。政府、議会に通底する国際感覚の弱さは実に深刻と言わねばならない。」
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 昔の日本の情報が乏しい中で深く分析し思考し決断した外交に比べて、大量の情報を得ている現代日本の外交は稚拙である。
 つまり、政治家、官僚、企業家、専門家、知識人などは、昔の日本と現代の日本では雲泥の差があるという事である。
 それは、大人と子供ほどの差である。
 昔の日本のエリートと現代の高学歴知的エリートとは、全然違うエリートである。
 外交力のなさは、第1回南京事件と中国の革命外交における幣原喜重郎外相に匹敵する。
 その外交力のなさが、戦前の日本を戦争に追い込んだ。
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 世界では、国連憲章107条いわゆる敵国条項はヤルタ密約同様に生きている。
 ヤルタ密約が存在する証拠が、ソ連が虐殺と共に強奪した旧ポーランド領東半分と旧日本領北方領土4島が返還されない事である。
 日本に不利益をもたらした、ヤルタ密約はアメリカに責任があり、敵国条項は国連に責任がある。
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