🕍13:─1─人口激減で人手不足倒産や後継者難廃業が続出し外資に食い尽くされる。~No.21No.22No.23 

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 2024年5月17日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「《2025年問題の衝撃③》全国各地で「人手不足倒産」や「後継者難廃業」が続出、このままでは外資に食い尽くされる!
 「人手不足倒産」に歯止めがかからない(写真はイメージ:fizkes/Shutterstock)
 働き方改革に伴う長時間労働の制限によって、物流・建設業界などを中心に人手不足が常態化する「2024年問題」が早くもあちこちで顕在化しているが、団塊の世代後期高齢者(75歳)となる2025年はさらに深刻だ。社会保障の担い手である労働人口の大幅な減少は国民生活に大きな影響をもたらし、さまざまな格差も拡大する。縮みゆく国・ニッポンの末路はどうなってしまうのか──。ジャーナリストの山田稔氏が、「2025年問題」が現代社会に新たに突きつける課題をシリーズで検証する。第3回は「人手不足倒産と後継者問題」だ。
 【グラフ】働き手は50年で4割減に(生産年齢人口の推移)
■ 恐ろしいスピードで労働人口が減り続けていく
 戦後の日本経済に奇跡的な高度成長をもたらし、長きにわたって世界にニッポンの存在感を示すことができたのは、世界的に最高レベルの勤勉で優秀な労働者の存在があったからこそである。
 その日本経済の大黒柱ともいうべき生産年齢人口(15歳~64歳)が減り続けている。戦後、一貫して増え続けてきた生産年齢人口は、1995年に8726万人でピークに達し、その後は減少局面に突入し、2024年4月(概算値)には7374万人にまで落ち込んだ。ピーク時から1352万人、率にして15%も減少したのである。「失われた30年」とちょうど軌跡が重なる。マンパワーの喪失が日本の弱体化につながったのである。
 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(令和5年版)によると、生産年齢人口は、2032年には7000万人を、2043年には6000万人を割り込むという。恐ろしいスピードで労働人口が減り続けていくのだ。
 一方で外国人労働者数は2023年10月末時点で約205万人と過去最多となった。とはいえ、さまざまな条件がある中で、外国人労働者が、高度なスキルを保有したままリタイアしていく日本人労働者の完全な補完勢力になりえるとは考えにくい。言葉の問題やガラパゴス的な閉鎖社会が障壁になってしまうからだ。
 人手不足をめぐっては、すでにやりきれない事例が起きている。
 世界的な超高級リゾート地となったニセコ界隈では、3000円以上するラーメンが登場する一方で、訪問介護事業所の人材募集にスタッフが集まらず、廃業に追い込まれたというニュースが流れた。時給の高い飲食店やコンビニなどに人が流れてしまい、労働条件が過酷な介護現場は見放されてしまったというわけだ。
■ 従業員だけでなく後継者もいない「悲惨な現状」
 直近の「人手不足倒産」の状況はどうなっているのか。
 帝国データバンクの調査によると、従業員の退職や採用難、人件費高騰などに起因する人手不足倒産は、2023年度に313件発生。前年度の146件から倍増し、過去最多を更新した。今年4月から時間外労働の上限規制が適用された建設業は94件、物流業も46件とそれぞれ過去最多となり、すでに深刻な状況に陥っている。
 それだけではない。帝国データバンクによると、建設・物流業の人手不足割合は7割前後で推移し、全体の52.6%を大きく上回っている。
 さらに両業界は資材、エネルギーなどのコスト高騰の影響を受けている一方で、価格転嫁率は全業種平均に比べて低めで、賃上げ原資の確保も困難とされ、人材不足解消のメドが立たない状況だという。こうした状況が改善されなければ、2024年以降も人手不足倒産に歯止めはかかりそうにない。
 人手不足という意味では、中小・零細企業の後継者難問題も課題的には同じだ。
 先日、西日本の会社を取材した。10年ほど前に島根県内の堅実な中堅企業をM&Aで傘下に収め、それを機に同社はM&Aでグループの拡大を図っているのだが、同社の社長は、「地方には創業者が70代を超え、後継者が見つからなくて事業承継に悩んでいる中小・零細企業が実に多い。以前はネガティブに捉えられていたM&Aですが、最近は地方でも活性化してきています」と打ち明けてくれた。
 創業者がオーナー経営者で順風満帆にやってきたが、気がついたら息子や娘は東京の大学を出て別の業界で活躍中で、実家の事業を継ぐつもりはサラサラない。オーナーはすでに70代後半。親族にも適当な後継者が見当たらず、どうしたらいいか──。こういったケースが結構あるというのだ。
 M&Aで良い出会いがあって相手企業が事業を承継してくれればいうことなしだが、最近は悪質な仲介業者が横行していて詐欺まがいの被害に遭うこともあるというから、看過できない状況になっている。
 後継者難による倒産も確実に増えている。東京商工リサーチによると、2023年度の後継者不足に起因する「後継者難」倒産は456件で、調査開始(2013年度)以降で最多件数を記録した。後継者難による倒産の内訳は、「代表者の死亡」が217件と最多で、次いで「代表者の体調不良」が160件。この2要因で377件と全体の8割超に達している。
 後進の育成や事業承継の準備が遅れた中小・零細企業では、事業を仕切る代表に不測の事態が生じると、事業継続そのものが成りたたなくなってしまう。
 業種別にみると、サービス業が121件(飲食業は38件)で最多。次が建設業の106件、卸売業66件、運輸業16件などとなっている。これらの業界は従業員に関しても常に人手不足感を抱えており、後継者、従業員が共に不足しているという二重構造となっているようだ。
■ 地域の地盤沈下を加速させる「負のスパイラル」
 問題はこうした人手不足倒産や後継者難倒産が続出した後の地域に、どんな事態が起きるのかである。
 好況時であれば、倒産企業を吸収する企業が出てくるなど結果的に新陳代謝につながったりしたものだ。よほど大規模な倒産劇でなければ、地域経済にさほど大きな影響も出なかった。
 しかし、人口減が進み、疲弊が積み重なっている地方経済にとって、これからの中小・零細企業の倒産は、地域の地盤沈下を確実に加速させる。
 例えば、倒産企業の建物や土地が整理されずに廃墟化する。商店街の店舗減少が一段と進み、治安が悪化する。そして地域雇用の受け皿がなくなり、若者の流出にますます拍車がかかるなど、致命傷につながっていく。
 運輸業や卸売業など地域住民の生活に密着した企業の倒産は、日常の生活サービスの低下につながる。ネット通販で注文した商品が翌日に届いたのは、過去の話になるかもしれない。近くにあったスーパーやコンビニが人手不足で休廃業、閉鎖に追いやられたら、高齢者などは日常の買い物にさえ困ってしまう。
 地方自治体は税収の減少で、国や県などからの交付金依存体質が強まり、基金の取り崩しが進む。そして、財政基盤が弱体化し、行政サービスの低下につながっていく。唯一の診療所の常駐医師を抱えておくことさえ困難になってしまうかもしれない。
 議会も危機的状況に陥る。現役の議員が高齢化する一方で、次世代の候補がなかなか出てこない。すでに地方では議員のなり手が不足している状態で、今後は無投票や定員割れが全国各地で急増すると見られる。
 人手不足倒産、後継者難倒産の続出が瀕死の地域経済に絶望的な一撃を与え、議会の定数割れや長老議員の跋扈で地方政治は確実に機能低下が進むだろう。
■ 外国資本が“救世主”となる日本の末路
 そんな八方ふさがりの状況の中で、外国資本が“救世主”となる可能性が出てくるかもしれない。
 存続が困難となったホテルや旅館、独自の技術を持った中小企業などを、アジアをはじめとする超富裕層の意向を受けた外国ファンドが買い漁るといった展開だ。
 法的な規制が緩い現状では、安価な土地を大量に取得するケースも出てくるだろう。外資主導のリゾート開発や半導体企業の進出が北海道や九州で続いているが、今後もさまざまなスタイルで外資による「ニッポン買いあさり」が全国各地で勃発するかもしれない。
 そして、地方において外資の影響力が、地域経済のみならず地方行政にまで及ぶといった事態が現実になる事も覚悟しておくべきか──。縮みゆく国では、もはや何が起きても不思議ではない。
 山田 稔
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