🎷63:─1─日本のアフガン救出作戦は失敗であった。~No.281 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 日本国憲法平和憲法)は、国外の日本人を見捨てる憲法である。
 欧米諸国は、国外に取り残された自国民、それがたとえ一人であっても軍隊を派遣し、武力を行使して敵を殺してでも救出する。
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 日本の救援部隊は、憲法・法律に従って紛争地域・戦争地域で日本人を助けても、日本に協力した日本国籍を持たない地元国民を助ける義務も責任もない。
 つまり、敵対勢力に殺されても日本には一切関係ない事である。
 現代の日本は、戦前の日本とは違う。
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 2021年8月25日 朝日新聞タリバンの検問突破し空港へ 韓国「ミラクルバス作戦」
 ソウル=神谷毅、モスクワ=喜田尚、ワシントン=園田耕司2021年8月26日 22時22分
 韓国行きのために空港で待機するアフガニスタン人の赤ちゃんを見つめる韓国軍兵士=2021年8月25日、カブール、韓国空軍提供
 米軍のアフガニスタン撤退期限が8月末に迫る中、イスラム主義勢力タリバンを恐れて国外脱出を目指す外国人や地元住民の危機感が強まっている。首都カブールの空港に到着するのも困難で、輸送バスの争奪戦やタリバンによる護衛など、各国は自国民や協力者らの懸命の救出作戦を繰り広げている。
 「カブールの空港内外には約2万人が殺到している。空港ゲートはいくつかあるが、入ることができない状況だった」と、韓国国防省の関係者は現地の状況をこう説明する。
 韓国軍は作戦を「ミラクル(奇跡)」と命名。大統領府などによると、初日の24日は歩いて空港に向かう計画だったが、韓国大使館や韓国国際協力団などで働く現地スタッフとその家族427人のうち26人しか成功しなかった。
 このうちの一人の女性は「朝早く家を出て、大通りにあるタリバンの検問を避けて狭い道を通り、なんとか空港に着いた」と語ったと韓国メディアが報じた。
 そこで次の日、別の方法に即座に切り替えた。カブール陥落後にいったんカタールに避難してから戻った4人の大使館員が、各国が激しい争奪戦を展開していた米国が契約する現地のバスを、米国の理解を得ていち早く確保。6台のバスはカブール市内に散らばって待機していたが、韓国大使館の連絡網を使って場所を具体的に伝え、全員が集まることができた。」
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 8月26日6:46 FNNプライムオンライン「タリバン報道官「日本人が必要」 自衛隊には撤退求める
 アフガニスタン武装勢力タリバンは、FNNの取材に対し、「日本人を必要としている」などと、協力を呼びかける一方、日本が派遣する自衛隊には早期撤退を求めた。
 タリバン・ムジャヒド報道官「われわれは、日本人のアフガニスタンからの退避を望んでいません。しかし、自衛隊は退去してほしい」
 タリバンの報道官は、「われわれは日本人を保護する」と述べ、現地の日本人などに退避しないよう呼びかけたうえで、「友好的で良い外交関係でいたい」とも主張した。
 一方で「軍の駐留は好ましくない」として、日本が、国外退避の支援などのために派遣する自衛隊には、早期の撤退を求めた。
 一方、政府が、アフガニスタンに残る国際機関の日本人職員や、大使館に勤める現地人職員を退避させるために派遣した自衛隊の輸送機が、25日、パキスタンイスラマバードに到着した。
 今後、輸送が行われるものと思われる。 
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 8月27日6:02 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「アフガニスタン「現地スタッフ置き去り」問題に揺れるドイツ…日本はどうする
 他紙に比べるとポリコレの縛りが緩いのか、あるいは、叩かれることをモノともしないためか、言いたい放題。だから面白くて大衆に受ける。とはいえ、取材力はかなりのもので、特に政治記者は優秀だ。
 前置きが長くなったが、そのビルトの8月17日のオンライン版に、「ドイツ軍のアフガニスタンからの撤退 ビールとワインは搬出 現地スタッフは残留」(https://is.gd/ClLIOn)という記事が載った。いつもながら挑発的だ。
 アフガニスタン情勢については日本でもかなり報道されているので、ここで繰り返すまでもないだろうが、首都カブールがタリバンの手に落ちたというニュースが流れて、世界が驚愕したのがその前日の16日。以来、国外脱出の望みをかけた数千人の人々がカブール空港に詰めかけ、6000人の米兵をはじめ、NATO各国の兵士が治安維持を試みているが、銃撃戦で死者まで出るという混乱の極みだ。
 そんな中、最初の1週間で、米軍は2万8000人を国外に連れ出した。多くは自国民ではなく、米軍のために働いていた現地スタッフとその家族だ。
 当然、現在、ドイツ軍も同じことを試みているが、なかなかうまく進まない。実はドイツ軍は、すでに6月30日、アフガニスタンから正式に撤退しているが、その際、現地スタッフの多くを置き去りにした。それについては、現役の兵士や一部の議員が強い抗議を続けていたというが、政府は色々な理由をつけて無視した。
 外国軍に協力したアフガン人の現地スタッフは、諜報員はもちろん、通訳であれ、コックであれ、タリバンの手に落ちれば「裏切り者」として真っ先に処刑される運命なので、できるだけ多くを国外に脱出させることが、いわば人道的義務だ。米軍や英軍は撤退を控え、かなり前から相当数の現地スタッフとその家族の引き取りを進めていたという。
 ところが、難民が増えることを嫌ったドイツ政府が、アフガン政府がパスポートを発行しないからビザが出せないとか、下請けから派遣されてきたスタッフは対象外であるなどとして、意図的に現地スタッフの受け入れを拒んでいたことが明るみに出て、今、大問題になっている。
 しかも、再び兵士を戻して開始した救助作戦も難航。保護すべき人々を軍用機でまずウズベキスタンタシケントに運び、そこからルフトハンザ機がドイツに運んでいるが、23日の時点でドイツに到達したのは1500人。救助しなければならない人が、まだ少なくとも4500人いるという。
 ビルト紙の批判の矛先
 一番の問題は、空港周辺の混乱などで、救助されるべき人々が空港に到達できなくなっていること。もちろん、現地スタッフはタリバンに見つかることを恐れているので、容易に移動もできない。
 しかし、カブール市内には、まだ多くの民間ドイツ人も残っており、困りあぐねたドイツ軍は特別部隊を投入し、彼らを特殊なヘリコプターでピックアップして空港に連れてくるという危険な作戦に乗り出した。名付けて「ブルーライト」作戦。
 ただ、カブール市内でさえこうなのだから、地方にいるドイツ人や現地人スタッフは、運命を天に任せるしかないという状態らしい。結局、誤った判断で、しかも、危険に晒された人々を置き去りにしたまま軍を撤収し、このような事態を招いた政府の罪は大きいと、今や外務大臣の首が飛びかけている。
 ビルト紙のビールとワインの記事に戻るが、「アルコールの輸送には(輸送機の)キャパシティーがあるが、現地スタッフのためにはなし」というリード。そして、「何年もドイツのために働いて命を危険に晒しているアフガンの人々が、政府の優先順位ではどこにいるのかをよく示している。彼らは缶ビールよりも価値が低い」と喧嘩腰の文章が続く。
 同記事によれば、6月初旬、ドイツ軍が撤退プランを練っていた時、最大の基地であるマザリシャリーフに残っていた6万5000の缶ビールと340本のワインをドイツに持ち帰ることが決まったという(ただし同記事には、本当に持ち帰ったということは書かれていないので、これは実行されなかったのだと推察する)。
 湾岸戦争の時、米軍が持ち込んだすごい量のアイスクリームが話題になったことがあったが、ドイツ軍はかなりのアルコールを持ち込んでいたらしい。荒涼とした場所でハードな任務に就いていた兵士たちの数少ない慰めの一つであったかもしれないので、それ自体はいいとしても、持ち帰るには、やはりタイミングが悪すぎた。
 また、同記事によれば、ちょうどその頃、野党FDP(自民党)の議員クリストフ・ホフマン氏が、NGOなどで勤務していた現地スタッフを受け入れようとしない政府にその理由を質したところ、マース外相は「難民の波を誘発するわけにはいかない」と答えたという。受け入れ基準を緩和すれば、連れてこなければならない人の人数が「2000人でなく2万人になってしまう」と。
 要するにビルト紙が非難しているのは、ビールの輸送ではなく、現地スタッフを置き去りにしたドイツ政府の無責任である。
実は日本政府も同じことを…
 ところが、実は日本政府も、大使館員12名を英国軍に救出してもらったとき、現地スタッフや協力者は置き去りにしたという。それどころかカブールには、ODAの関係者など、まだかなりの邦人と現地スタッフ、およびその家族が、空港へ行くこともできず取り残されているらしい。
 そこで23日、彼らの救出のために自衛隊機を派遣するということが発表された。自衛隊は、自衛隊法の一部が改正された2015年以来、有事の際には邦人の輸送だけでなく、武器を使用して警護、救出することも可能になっており、今回、それが初めて実施される予定だ。
 ただし、この法律は、派遣の場合には受け入れ国の合意と、安全確保を前提としている。しかも、武器の使用は邦人保護のためだけで、緊急避難や正当防衛のためには認められない。ということは、今回の派遣は、もし、自衛隊員が銃撃戦に巻き込まれたりした場合、後で殺人罪などに問われないよう、首相なり、防衛大臣なりが腹を括って、「後の責任は取るから行ってほしい」となったのだろうか。
 23日の記者会見で岸防衛相は、米軍がカブール空港を制御しているから「安全は確保されている」と強調した。そうでなければ自衛隊は出ていけない。しかし、実際にはカブール空港は安全ではない。本当に安全なところでしか活動できないなら、派遣は無理だ。「平和憲法」が孕むのと同じ矛盾が、ここにも見え隠れする。
 ちなみに、今回のアフガニスタンでは、他国の軍隊が皆、命懸けで自国民を救出しているのを尻目に、日本人は同胞が外国軍に助けてもらっても、いつも通りで何とも思わなかった。これは、自分たちだけは危険を冒さないということが日本人の常識になってしまっている証拠で、北朝鮮に拉致された同胞を見捨てたのと基本的には同じ思考だった。
 ところが今回、それが少しだけ変わった。政府は初めて、自衛隊の手足を縛っていた縄を少し緩めて、邦人と現地スタッフを救出せよと、安全が確保(! )されているカブール空港に送り出した。これが進歩か退歩かがよくわからないが、変化であることは間違いない。
 バイデン米大統領は先日、「アフガン軍が自ら戦う気のない戦争で、米兵が戦い、死ぬことはできない」として、アフガン撤退を正当化した。
 もし、これが米国の将来の基本方針となるなら、早晩、米軍は日本を守ってくれなくなるだろう。核の傘の約束などもう半世紀も前のことなので当てにならない。つまり、このままではアフガニスタンの姿は日本の近未来だ。
 もちろん日本にはタリバンではなく、違う人たちがやってくる。それも、おそらく火器以外にもたくさんの武器を持って。その時、米軍が助けてくれなかったら、私たちは自分で自分を守らなければならない。
 しかし、これだけ高齢者が多い国が、いったい何をどうやって!? 真剣に考えるとかなり頭が混乱してくるが、今回のアフガニスタンの騒乱と自衛隊派遣を、皆でそういう怖い想像をして、知恵を出し合う機会にすれば良いと思う。
 川口 マーン 惠美(作家)
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 8月27日10時45分 NHK「アフガン 日本人などの退避 爆発受け輸送実施を慎重に判断へ
 アフガニスタンに残る日本人などの国外退避をめぐり、防衛省自衛隊は、首都カブールの空港付近で大規模な爆発が起きたことから、退避を求める人や隊員の安全が確保できるかなどを見極めたうえで、計画どおり輸送を実施するかどうかを慎重に判断することにしています。
 自衛隊は活動拠点を置くパキスタンイスラマバードに3機の輸送機を派遣していて、カブールとの間を往復し、退避を希望する日本人や大使館のアフガニスタン人スタッフなどを輸送する計画です。
 アメリカ軍の撤退期限が今月末に迫まる中、輸送任務の関係者の間では実質的な活動期間は27日までになるという見方も出ていて、自衛隊としてはできるだけ多くの人をパキスタンに運びたい考えです。
 ただ、日本時間の26日夜、カブールの空港のゲート付近で大規模な爆発が起きたことから、防衛省自衛隊は現地の治安情勢を詳しく分析し、退避を求める人や隊員の安全が確保できるかなどを見極めることにしています。
 そして、アメリカ政府などが「安全上の脅威がある」などとして空港周辺に近づかないよう呼びかける中、退避を求める人がどれぐらい空港にたどりついているのかを見たうえで、計画どおり輸送を実施するかどうかを慎重に判断することにしています。
 菅首相 現地情勢の報告受ける
 菅総理大臣は、27日8時すぎから、総理大臣官邸で、加藤官房長官とともに、秋葉国家安全保障局長や、外務省、防衛省の幹部から、アフガニスタンの首都カブールにある国際空港の付近で起きた大規模な爆発など、現地の情勢について報告を受けました。
 防衛省幹部「オペレーションは継続中」
 防衛省幹部は、総理大臣官邸での報告のあと、午前9時すぎ、防衛省で記者団に対し「引き続き、オペレーションを継続中だ」と述べました。
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 8月27日17:55 産経新聞「韓国、日本に先立ち390人のアフガン退避完了
 26日、アフガニスタン人らを乗せて韓国・仁川国際空港に着陸した韓国軍輸送機(聯合=共同)
 【ソウル=時吉達也】アフガニスタンからの米軍の撤退期限が8月末に迫る中、邦人や大使館現地職員らの退避に向けた調整が難航する日本に先立ち、韓国政府は27日、現地職員と家族ら約390人の韓国移送を完了させた。米軍の協力を得て対象者を特定のバスで空港まで移動させることで、イスラム原理主義勢力タリバンによる検問を切り抜けた。
 26、27日に計2便で韓国に移送されたのは、大使館スタッフや韓国のアフガン復興事業などに従事した職員とその家族ら。うち約100人は、5歳未満の乳幼児だった。
 韓国外務省などによると、退避計画は8月上旬から進められてきたが、タリバンによる実権掌握が想定より早まったことを受け、民間航空機の利用を断念。軍用機による移送に切り替えて早期の作戦完了を図った。しかし、首都カブールの空港周辺ではタリバン戦闘員が検問で現地住民の移動を厳しく制限。予定通り23日に空港入りできたのは、26人にとどまった。
 そこで、韓国側は米国との取引があり、米国とタリバン間の合意で空港への出入りが認められた会社のバス6台を確保。情勢悪化を受けカタールに避難していた大使館員4人がカブールに戻って直接交渉にあたり、各国との〝争奪戦〟を勝ち抜いたという。25日、米軍側が指定した空港外の複数の待ち合わせ場所に対象者を集合させ、バス移動で検問を通過した。
 国際機関や外国関連の建物が爆破されるケースが相次いで職員らの安全確保が課題となる中、退避希望者が空港にたどり着けないケースが続出。韓国メディアは軍の救出作戦名「ミラクル」に合わせ、「カブールの奇跡だ」(ハンギョレ紙)などと移送完了を大きく報じている。
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 8月27日19時38分 NHK「アフガニスタン 日本人などの国外退避 爆発で空港への移動断念
 アフガニスタンに残る日本人などの国外退避をめぐり、日本時間の26日夜、退避希望者数百人が20台以上のバスに分乗し首都カブールの空港に向けて出発したものの、空港付近で発生した大規模な爆発により、移動を断念していたことが分かりました。
 アフガニスタンに残る日本人などを国外退避させるため、政府は自衛隊の輸送機を派遣し、首都カブールから、隣国パキスタンへの輸送を行うことにしていますが、治安情勢の悪化で退避を始められない状況が続いています。
 こうした中、日本時間の26日夜、日本人に加え、大使館や国際機関のアフガニスタン人スタッフなど退避希望者数百人が空港とは別の場所に集まり、20台以上のバスに分かれて空港に向けて出発していたことがわかりました。
 しかし移動中、空港付近で過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織の関与が指摘される大規模な爆発が起きたことで、移動を断念し引き返したということです。
 政府関係者によりますと、日本は退避希望者全員を輸送できるだけの発着枠は確保しているものの、空港までに設けられている検問でタリバンが厳しい規制を行っているほか、検問や空港周辺に多くのアフガニスタン人が詰めかけるなどして、空港までの移動が困難な状況が続いているということです。
 アメリカ軍の撤退期限が今月末に迫る中、政府は、実質的な活動期限は27日までだとしていて、タリバンとのパイプを持つ周辺国にも協力を求めるなど、退避に向けた調整を急いでいます。
 退避希望者と連絡とる女性「空港に近づけないようだ」
 アフガニスタンで大規模な爆発が起きるなど治安情勢が悪化するなか、日本人や大使館などのアフガニスタン人スタッフの退避は難航しています。
 退避を希望しているアフガニスタン人スタッフと連絡を取り合っているという女性は「タリバンが家を1軒1軒訪問し外国人と関係があるアフガニスタン人を探していて、もし見つかったら何をされるか分からない恐怖に脅かされていると聞いています。チャンスがあるならアフガニスタン国外に出たいと話していましたが、きのうの爆破もあり空港には行きたくても近づけないようです。無事に空港に行って、輸送機に乗れることが何よりだと思いますが、空港に行くことが命のリスクにつながる恐れもあり、はがゆいです」と話していました。
 また、女性は「警察が機能していないと話していました。街では店の半分は開いていないようでほとんど外出しないで過ごしていると聞いています。銀行からお金も引き出せないので生活が困難な状況のようだ」と打ち明けました。
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 8月27日20時10分 朝日新聞デジタル記事「日本のアフガン退避作戦、27日に終了へ テロも理由か
 2021年8月26日、アフガニスタンのカブール国際空港近くで爆発があり白煙が上がった。空港周辺には数千人の群衆が集まっていた=AP
 アフガニスタンから日本人や日本大使館の外国人スタッフらを国外に移送するための自衛隊の「退避作戦」について、岸信夫防衛相は27日の閣議後会見で「実質的には今日くらい(まで)の活動を考えている」と述べた。首都カブールの空港の安全を管理している米軍の撤退期限は今月末。空港周辺でのテロ事件もあり、継続は難しいと判断した模様だ。
 自爆テロから一夜明けた27日、朝から外務・防衛両省の幹部が断続的に首相官邸を訪れた。菅義偉首相らと今後の退避作戦について協議したとみられる。
 作戦は、C130輸送機をカブールに送り込み、空港にたどり着いた退避対象者を隣国のパキスタンの首都イスラマバードの拠点に送り届けるもの。イスラマバードからは民間機で日本へ移動してもらう。輸送機は少なくとも2回、カブールの空港に到着したが、退避対象者が空港にたどり着けず、運べなかった。
 自衛隊派遣は、カブールの空港の安全が確保されていることが前提。米軍撤退とテロを受け、「活動への影響は否めない」(外務省幹部)との声が出ていた。
 退避の対象者は、国際機関で活動する日本人のほか、日本大使館国際協力機構(JICA)の現地スタッフら。その家族を含め、数百人の規模を想定している。
 アフガニスタンからの日本人らの退避をめぐる主な動き
15日 タリバンが首都カブールを制圧、ガニ政権が崩壊。在アフガニスタン日本大使館が閉館
17日 日本人大使館員12人が英国の軍用機で出国し、アラブ首長国連邦UAE)のドバイに退避
19日 主要7カ国(G7)外相がオンライン会合。国外退避を望む外国人とアフガニスタン人の「安全な通行」をタリバンに求める
22日 日本政府が情報収集のための先遣隊を派遣
23日 首相官邸国家安全保障会議NSC)。岸信夫防衛相が自衛隊法に基づく自衛隊輸送機の派遣を命令。最初の輸送機が出発
24日 バイデン米大統領がアフガン駐留米軍による退避作戦について、8月末までに完了する見通しを表明。G7首脳会議で示す
25日 最初の輸送機が首都カブールの空港に到着。退避対象者は運べず
26日 カブールの空港近くで自爆テロ
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 8月31日17:25 MicrosoftNews FNNプライムオンライン「【速報】アフガン派遣自衛隊終結命令 大使館職員ら約500人残る
 © FNNプライムオンライン
岸防衛相は、アフガニスタンに残された日本人らの退避のため派遣した自衛隊に、任務の終結命令を出した。
 政府は、23日から、部隊などおよそ260人を派遣し、これまでに、日本人1人とアフガニスタン人14人を退避させた。
 しかし、日本大使館などで働く職員やその家族などが取り残されていて、初動の遅れが原因との指摘もある。」
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 8月31日20:47 産経新聞「アフガン退避支援の自衛隊撤収 邦人保護に憲法の壁
 岸信夫防衛相は31日、アフガニスタンに残る邦人らの国外退避に当たるため隣国パキスタンに待機させた自衛隊に撤収を命令した。自衛隊輸送機で国外退避した邦人は1人。当初は約500人の移送を目指したアフガン人は14人にとどまった。背景には、憲法上の制約により自衛隊の手足が縛られていた事情もある。
 自衛隊が在外邦人を保護するにあたり、政府には2つの選択肢がある。1つは空港への自衛隊機派遣で、今回採用された枠組みだ。もう1つは自衛隊が市街の在外邦人を救出し、妨害勢力には任務遂行のための武器使用も可能とする枠組みだ。平成28年施行の安全保障関連法で可能となったが、これには現地政府の同意が必要となる。
 しかし、今回の自衛隊派遣では、後者の選択肢は排除された。実権を掌握したイスラム原理主義勢力タリバンは治安に責任を持てる状態ではなく、自衛隊活動の「同意」を与える主体とはなりえなかったからだ。政府は憲法9条が海外での武力行使を有事以外は禁じていると解釈しており、現地軍などと戦火を交える可能性があれば、自衛隊は市街で待機する邦人やアフガン人を救出できない。
 政府は8月26日、アフガン人をバスで空港に運ぼうとしたが、空港周辺の自爆テロで断念した。これに対し、韓国政府は25日にバス6台で365人を空港に運んだ。1日の違いが明暗を分けたが、韓国がバスを確保したのが22日だったのに対し日本は21日。自衛隊の派遣決定が1日早ければ状況が変わった可能性もある。外務省関係者は「日本は『自衛隊は最後の手段』とする政治文化がある。これが遅れにつながったとすれば反省材料だ」と漏らす。
 日韓両国の大使館職員は、いずれもカタールに一時退避した。空港にとどまることができた外交官は米英やカタールなど現地に軍を派遣していた国に限られ、日韓は対象外だったからだ。日本の大使館員は、出国を希望する邦人2人を優先して15日にチャーター機に乗せ、その後の空港内の混乱で2日後の17日までアフガンに足止めされた。(杉本康士、大橋拓史)」
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 9月1日11:15 MicrosoftNews テレ朝news「アフガン米軍撤退 自衛隊機も…“残された500人”
 撤退期限前日の30日午後11時59分に離陸した、アメリカ軍最後のC-17大型輸送機。これをもって、20年にもわたるアメリカ史上“最長の戦争”に、幕が下ろされました。 けたたましく鳴り響く銃声…。アメリカ軍が完全撤退した直後から、タリバン兵らが花火のように夜空に向かって銃を連射。歓喜の祝砲です。 動画を撮影しているタリバン関係者:「我々は、何の問題もなく空港に入れた。これは、カブール国際空港です。空港に入れたぜ」 タリバンの関係者らが意気揚々とカブール国際空港内へと入っていくのに対し、アメリカの国防総省は「最後のアメリカ兵がアフガニスタンを離れる」と、輸送機に最後に乗り込むドナヒュー少将の写真をツイッターで公開しました。 撤退にあたり、「残した武器はすべて無力化した」と説明していますが…。 ロサンゼルス・タイムズ、ナビー・ブロス中東支局長:「タリバン兵と一緒にいます。ここは、ほんの数分前まで、米軍の指揮下にあった空港の倉庫です。今、タリバンの手に渡りました」 空港には、大型ヘリコプターや航空機が残されていました。タリバン兵らが笑顔で戦利品を見学しています。 空港内の警備を始めた兵士を見ると、中には、これまでのイメージとは異なる近代的な装備のタリバン兵もいます。
 ■自衛隊機も撤収…“残された500人” アメリカ軍の撤退によって、アフガニスタンの実権を掌握したタリバン。その結果、深刻な問題も起きています。 撤退完了を発表した際に、マッケンジー中央軍司令官が悔やんだのは、アフガニスタンを出国させられなかったアメリカ人が、100人以上もいることです。 撤退完了を発表したマッケンジー米中央軍司令官:「希望する全員を出国させられなかったものの、撤退完了をあと10日引き延ばしていても、全員を出国させることはできなかっただろうし、出国できず失望する人もいたでしょう」 日本も、日本大使館などで働いていたアフガニスタン人スタッフとその家族ら500人以上を残したまま、派遣した自衛隊機4機を撤収させることになりました。 (「グッド!モーニング」2021年9月1日放送分より)」
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 9月2日07:36 MicrosoftNews 時事通信
自衛隊派遣、出遅れ響く=甘い見通し、「想定外」続発―アフガン人退避失敗
 © 時事通信 提供 アフガニスタンの邦人らを国外退避させるため、自衛隊員に見送られて出発する航空自衛隊のC130輸送機=8月24日、埼玉県の航空自衛隊入間基地
 アフガニスタンからの国外退避を支援するため政府が派遣した自衛隊機が近く日本に戻る。在留邦人のほか日本大使館国際協力機構(JICA)の現地事務所で働くアフガン人スタッフらの救出を目指したが、情勢の悪化で断念を余儀なくされた。首都カブール陥落から派遣命令まで8日間を要した初動の遅れや見通しの甘さが要因として挙げられている。
 ◇後手
 菅義偉首相は1日、一連の政府対応について「最大の目標は邦人保護だった。その意味では良かった」と記者団に強調。邦人女性1人を退避させた成果を訴え、アフガン人関係者の安全確保や出国に向けた努力を続けると表明した。
 ただ、実際の動きを検証すると、何度か起きた「想定外」の展開に右往左往した様子が浮かぶ。
 外務省は8月上旬から大使館員と邦人に加え、アフガン人協力者の退避を模索。民間チャーター機で18日までに出国させる調整をしていた。大使館とJICA事務所のスタッフにその家族を含めた500人程度が主な対象にリストアップされた。
 だが、イスラム主義組織タリバンの予想を超える攻勢で15日にカブールが陥落。民間機の運航が全面的に止まり、計画の土台が崩れた。大使館員12人は急きょ米軍機で避難することにしたが発着場所にたどり着けず、英軍機で17日に出国した。
 アフガン人協力者の元には「必ず助ける」とのメッセージが届いていたが、取り残される形に。日本政府が大使館員と邦人の保護を優先し、アフガン人退避は後手に回った感もある。外務省関係者は「館員を現地に残せば拘束されるリスクがある」と述べ、早期出国はやむを得ない選択だったと話す。
 カブール空港は難を逃れようとする市民が滑走路に押し寄せ、死者も出る状況。自民党からアフガン人協力者救出を強く求める声が出た。
 そうした中、自衛隊派遣の流れとなる。ネックは「在外邦人等の輸送」を規定した自衛隊法84条の4が要件に挙げる「安全な実施」が、実際に担保されるか不透明だったことだ。その検討にも時間を要し、首相が外務、防衛両省事務次官らを交えて派遣を決めたのは日曜日の22日だった。
 ◇決定打
 翌23日、岸信夫防衛相が派遣を命令。航空自衛隊のC2輸送機1機とC130輸送機2機が順次日本をたった。
 ところが、カブール市内はタリバンが検問所を置き、アフガン人協力者は空港に近づけない。自衛隊機3機は25~27日に計5回カブール空港に着いたが、「空振り」となるケースもあった。
 救出断念の決め手となったのが26日に空港ゲート付近で起きた自爆テロ。退避希望者をバス27台に分乗させ、空港へ移動を始めようとした矢先だった。茂木敏充外相は31日の記者会見で「あそこでそのまま突っ込むという判断はできなかった」と振り返った。
 26日は結局、米国に依頼されたアフガン人14人を運んだだけ。準備があと1日か2日早ければ何とかなったとみられ、政府関係者は「爆発で全てが狂った」と肩を落とした。
 空港を管理する米軍は自らの撤収スケジュールに合わせ、自衛隊機の空港使用のリミットを27日と通告していた。「最終便」に何とか間に合ったのが共同通信社通信員の安井浩美さんだ。タリバンと一定の関係を持つカタールの警護を受け、空港に入れた。
 欧米各国は次々に自国民やアフガン人の退避にこぎ着け、韓国も協力者390人の移送に成功した。「他の国は移動を開始した時期も早かった」。31日、与野党有志の議員連盟の会合にオンラインで参加した安井さんはこう証言した。」 
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