🎷104─4・A─処理水放出に中国が反発、米紙の読者「また日本中傷、うんざり」。~No.420 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2023年9月8日18:00 YAHOO!JAPANニュース COURRiER Japon クーリエ・ジャポン「処理水放出に中国が反発、米紙の読者「また日本中傷、うんざり…」
 2023年8月24日、中国・江蘇省で撮影されたイラストPhoto: CFOTO / Future Publishing / Getty Images
 東京電力福島第一原発から出た処理水の海洋放出をめぐり、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、「福島の処理水放出、中国のデマが怒りを増幅」と題した記事を掲載した。
 【画像】処理水放出に中国が反発、米紙の読者「また日本中傷、うんざり…」
 この記事には多数の読者コメントが寄せられ、この問題に関する米紙の読者の関心の高さがうかがえる。そこではどんな意見が記されているのだろう?
 中国の反応は「外交上の騒乱をあおる戦略」
 記事は、中国が処理水の安全性に関するデマを広めるために組織的な宣伝活動をし、反発や混乱が広がっていると記している。
 相次ぐ日本批判のSNS投稿については、「日本が放出前に放射性物質を実質的にすべて除去しているという事実などの重要な詳細が省かれ」ており、「中国の原発そのものが福島の処理水よりもはるかに高レベルの放射性物質を含む水を放出しているということには言及していない」と批判した。
 さらに、一連の中国側の反応については、2012年に沖縄県尖閣諸島をめぐる問題で日中関係が極度に緊張した際にも見られたような「外交上の騒乱をあおる昔からの戦略」と指摘している。
 ただ、当時とは世界秩序が劇的に変化し、米中対立が激化し世界の分断が進むなか、今回の中国の処理水をめぐる反応は、「より大きな意図があるかもしれない」とし、米カーネギー国際平和財団の核政策プログラムの研究員のトン・ジャオの見方を紹介。それによると、中国の意図は、日本とその同盟国が「地政学的な利害に振り回され影響を受けており、基本的な倫理基準や国際規範を尊重せず、科学を無視している」という構図を作り出すこと、だという。
 一方、記事では「中国がリスクを誇張しているのは、日本側がそうした隙を与えてしまったため」という識者の意見も記されている。放射線レベルを追跡する環境モニタリング団体「セーフキャスト」の研究員のアズビー・ブラウンは、初期段階における「国際的な協議が欠如」していたため「中国や韓国がもっともな疑問を提起するだろうと予想できたはず」と指摘した。
「中国だって放出しているのに!?」
 この記事に対し、コメント欄では106件の意見が寄せられた。
 なかでも、読者間で選ぶSNSの「いいね!」に相当する「おすすめ」という反応を最高の90件以上集めたコメントは、中国の原発放射性物質を含む水を放出しているという記事中の文章を引用し「これは興味深い事実なので、中国政府も国民に広めてくれればいいいのだが」というものだった。
 2番目に多い70件以上の「おすすめ」を集めたのは、中国に2年間住んでいたという読者による「中国共産党の産業安全基準こそジョークだ」とするコメント。この読者は、住んでいた都市で有害物質の放出があったため窓を閉めて外出しないよう警告が出たが、それ以前から有毒な空気の臭いがしていたという経験を説明。一方で、「日本はプロセス全体について非常に透明性が高い」などと比較し、中国の反応については「共産党の日本中傷キャンペーン。日本人も自分もうんざりしている」と記した。
 「米国だって同じことがあれば…」
 記事本文では、日本の外務省が「X(旧ツイッター)」で「#LetTheScienceTalk」というハッシュタグを使って、科学的根拠に基づいた中国への反論や各国政府の意見を紹介していることが記されている。
 しかし、科学は一般市民にとってわかりにくく、しばしば感情的な反応を引き起こすこともあるとし、原子核物理学の社会学と歴史を研究する青山学院大学の岸田一隆教授の「人々がよくわからないものについて、心配したり怖がったりすることは理解できる」というコメントを紹介している。
 このように、一般市民の反応に一定の理解を示す意見もあった。
 3番目に多い50件以上の「おすすめ」を集めたコメントは、放射能や処理水の安全性に関して懸念を抱くことは「現実的で、デマなどではない」と指摘。「(米国沿岸の)メキシコ湾にこうした水が放出されたら、米国市民も同様の懸念を抱くだろう」と、思いやりをみせた。

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 日本国内には、中国共産党の日本非難に同調し増幅して日本人に日本批判に駆り立てようとするメディアで活動する学者・教育者・専門家が多数存在する。
 日本人の中に広がる反宗教無神論・反天皇反民族反日本の闇は、メディア界や教育界だけではなく政界・官界・財界など多方面に広がり底知れぬほどに深い。
 彼等は、頭脳明晰な秀才ではあるが科学に無知でエビデンスが理解できない。
 日本にとって、アメリカは同盟国であり、イギリスは同志国であり、中国共産党とロシアは敵である。
 世界の報道機関において、中国寄りが多数派で日本理解は少数派である。
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 9月8日14:17 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「処理水への不安を煽り、中国人を喜ばせる…多額の税金が投入されているNHK国際放送の大問題
 処理水の海洋放出が開始された東京電力福島第1原発=2023年8月24日、福島県時事通信チャーター機より] - 写真=時事通信フォト
 東京電力福島第一原発の処理水放出を、日本のメディアはどのように報道しているか。早稲田大学社会科学部の有馬哲夫教授は「NHKの国際ニュースは、処理水の安全性よりも中国からの批判や風評被害の不安に重きを置いており、視聴者にネガティブな印象を与えている。年間35.9億円にも上る交付金に見合った内容ではない」という――。
 【図表を見る】処理水海洋放出をめぐり、外務省が中国に”再々反論”した回答
■「国益にかなう内容の放送」のための交付金
 NHKが国際放送するために国から35.9億円の交付金を受け取っているのをご存じだろうか。NHKは国営放送ではなく、受信料によって経営をまかなう特殊法人なので、税金が使われているのはおかしい。ではNHK自身は、どう説明しているのかといえば、およそこのようなことをいっている。

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 NHKの国際放送は、時事問題や国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解、日本の文化などについて正しく外国に伝えるもので国益になる。これは、放送法NHKの本来業務と定められており、受信料で賄われることが原則だが、先に述べたような国益にかなう内容の放送については、国から交付金をもらっている。
 (NHK公式ホームページ「よくある質問集」より)

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 ほかの例にもれず、NHKのこの説明もおかしい。放送法のもと、すべての放送局は「公共の利益にかなう放送」をすることになっている。「公共の電波」つまり、国民共有の有限な資産である電波を使わせてもらっているからだ。公共のためになる放送をするのは、放送法上の放送業者の義務なのだ。
■国民からの受信料と国の交付金の「2重取り」
 まして、NHKは受信料を国民から強制徴収している。それでも足りずに、国益のために放送するのだから交付金をもらって当然だと思っているらしい。2重取り、3重取りで、いかにもNHK的である。
 では、NHKは、35.9億の国費に見合う国際放送を行っているのだろうか。福島第一原発ALPS処理水の海洋放出の国際ニュースを見る限り答えはノーである。巨額の国費が浪費されているといわれてもしかたがない内容である。
 NHKは処理水が海洋放出された8月24日以降、この件に関して数本の国際ニュースを流しているが、「国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解」を海外に明確に伝えているとはいいがたい。
■処理水放出にネガティブな報道が目立つ
 たとえば、8月24日の放出直後に放送された「Japan begins releasing treated water from Fukushima Daiichi plant」は、処理水は安全基準をクリアしたものだという東京電力の説明に触れてはいるが、それより中国やフィリピンのネガティブな反応や福島の漁民の風評被害への不安などに重きが置かれている。
 これを見た海外の人びとは、処理水の海洋放出には問題はないという日本政府のメッセージではなく、それを非難する中国やフィリピンのメッセージを受け取ってしまうだろう。そして、地元福島の漁民も懸念を持っているとして、ネガティブな印象を強く持ってしまうだろう。
 少なくとも、この問題に関する日本政府の見解が、見る人にしっかり伝わっているとはいえない。このニュースの他にも、NHKのレポーターが福島の漁民にインタビューし、彼らの風評被害に対する不安な気持ちを吐露させているニュースもある。
■中国が日本政府を非難するため、報道を悪用
 案の定、かねてから処理水の海洋放出に反対し、日本政府を猛烈に非難してきた中国は、これを徹底的に利用している。地元漁民ですら不安に思っているではないかというのだ。漁民が恐れているのは風評被害なのだが、このようなニュースの常として、そのような区別は曖昧になり、海洋流出そのものを懸念していると受け止められてしまう。
 中国は科学的根拠に基づいて日本政府を非難しているのではなく、プロパガンダとしてやっているのだから、日本政府の主張が基づいている科学的根拠をはっきり示さなければならないのだが、NHKはそういうことはことはやるつもりがないらしい。
 たとえば、日本政府は海洋放出に関する中国の非難が科学的ではないと反論したが、それに対して、中国は次のように再反論した。
 1.日本側は、トリチウムは希釈・処理されている点を説明する一方で、他の核種については説明していない。
 2.日本側はすべての核種をモニタリングしているわけではなく、モニタリング対象となる海洋生物の種類も少ないので、日本側が公表しているモニタリングデータだけでは、ALPS処理水の放出が安全で無害とすることはできない。
 1.IAEAのモニタリングメカニズムには、これまでに他の国や国際機関の現場への参加は行われておらず、これでは、真の国際モニタリングとは言えず、透明性を著しく欠いている。
■中国の再反論に対し、外務省が“再々反論”する事態に
 これに対して、外務省は公式ホームページを通じて、次のように“再々反論”し、珍しいことに、朝日新聞共同通信、TBSなどのメディアが、国内向けではあるが、この要約をこぞってニュースとして流した。TBSなどの場合は「公共の電波」を使わせてもらっているのだから、義務を果たしたということだろう。
 1.ALPS(多核種除去設備)は62の核種を確実に除去するように設計されているが、半減期を考慮すべきなどのIAEAの指摘を受け、処理前の水に現実的に存在し得る核種は29核種であると考えている。IAEAは、包括報告書において、この選定方法は「十分保守的かつ現実的」と評価している。また、日本の分析に加え、IAEA及び第三国機関の分析でも、その他の核種は検出されていない。こうした内容については、原子力規制委員会の審査やIAEAのレビューを通じて公開されている。
 2.日本は、東京電力福島第一原子力発電所の事故後、政府が定める「総合モニタリング計画」に基づいて、包括的かつ体系的な海域モニタリングを行っている。同計画においては、東京電力のみならず、環境省原子力規制委員会水産庁及び福島県がモニタリングを行っており、その結果については各省庁のウェブサイト及び包括的海域モニタリング閲覧システム等において公開されている。放出開始後のモニタリング結果は、ほとんど検出下限値未満であり、検出されたものも極めて低い濃度であり、安全であることが確認されている。
 3.ALPS処理水のモニタリングについては、IAEAレビューの枠組みの下で、IAEA及びIAEAから選定された複数の第三国分析・研究機関が、処理水中の放射性核種を測定・評価するソースモニタリングの比較評価及び環境中の放射性物質の状況を確認する環境モニタリングの比較評価を実施してきている。現在実施されているIAEAによる比較評価には、IAEA放射線分析機関ネットワーク(ALMERA)から、米国、フランス、スイス及び韓国の分析研究機関が参画している。IAEAによるモニタリングは、IAEAを中心としつつ、第三国も参加する国際的・客観的なものだ。
NHKより在日米国大使のほうが「国益に寄与」
 ところが、NHKの国際放送は、中国への反論としてもっとも有効なこの説明を、いまだ海外向けに報道していない。巨額の交付金を受け取りながら、「国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解」を海外に伝え、国益に資することには興味がないようだ。
 駐日アメリカ大使ラーム・エマニュエル氏は、どうしたら伝わるかについてNHKよりはるかによく理解しているようだ。彼は、処理水の放出後、さっそく福島まで出かけて地元の魚を食べて、その様子をX(旧ツイッター)で流した。この投稿は、処理水を海洋放出しても福島の海は安全であるということを強く印象付けただろう。
■単純でインパクトのある映像をなぜ海外報道しないのか
 エマニュエル氏のこの行為は、東日本大震災のあと、日本へやってきて、カメラの前でコップの水を飲み干してみせたレディー・ガガを思い起させる。彼女のその姿を見て、アメリカ人は原発事故のあとも日本は安全だと確信した。エマニュエル氏もガガ女史も、NHKよりはるかに日本のことを思っているようだ。
 日本側でも、西村康稔経産大臣が、テレビの前で福島産の魚の刺身を食べて、処理水の海洋放出に問題がないことをアピールした。そのあと、テレビカメラが入った官邸の昼食会で、岸田文雄首相、鈴木俊一金融担当相などが福島産の魚介類を使った料理を食べた。
 テレビでは複雑なことは伝わらない。このような単純な、インパクトのある映像が、見る人に強く訴えるのだ。ところが、NHKは、中国の非難に対するきわめて効果的なカウンターとなるこのような映像を国際放送で流していない。これまで流したどの国際ニュースも、日本の国益という観点が盛り込まれているようには見えない。
 とはいえ、こういったNHKの体質の問題は、お金を出している日本政府がもっと厳しく要求すれば改善する問題かもしれない。なんともならないのは、NHKの国際放送のシステム上の問題だ。この問題が、海外でNHKがまったく見られていないという残念な事実に直結している。
■中国発の国際放送のほうが海外に浸透している
 2014年の総務省の調査「国際放送の現状」では、NHKの国際放送を視聴した経験がある人は、イギリスでは4.5%、アメリカ(ニューヨーク)では4.6%、フランスでは4.3%だった。「経験がある人」というのは、一生に一回でも見たことがある人という意味で、直近1カ月とか1年で見たことがあるという意味ではない。
 これまでの記事でも、NHK総合放送を週に5分以上見ている日本人はおよそ半分しかいないことが明らかになったが、海外ではさらに惨憺たる有様なのだ。
 これに対して中国の中央電視台の国際放送の視聴経験者は、イギリスでは16.2%、アメリカでは12.9%、フランス8.5%いる。
 ※日本放送協会「令和2年度収支予算と事業計画の説明資料」
 私は海外出張によく行くが、ホテルのテレビの番組表や番組案内にNHKの番組を見たことがない。BBCとCNNは標準だが、最近は中央電視台がそこに入り込んできている。
 国際放送において、日本は世界的には信頼度が低い中央電視台にすら水をあけられている。これは国益にかかわる問題だ。というのも、中央電視台は、国営放送だと勘違いされているが、実際は中国共産党が指導・監督するプロパガンダ機関だ。その内容はソフトタッチではあっても中国のプロパガンダだ。今回の処理水の海洋放出をめぐる中国側の非難を見ればあきらかだ。
■国際広報はコストの低いYouTubeでいい
 日本政府もほとんど効果がないと分かってはいても、何もしないよりはましだというので、NHKの国際放送に交付金を出しているのだろう。だが、拙著『NHK受信料の研究』でも詳しく書いたように、このようなことはもうやめるべきだ。なぜなら、このような国際広報も、もう放送ではなくネット配信の時代になっているからだ。
 現在のNHKの国際放送は、衛星通信を使ってなされている。このため巨額の回線使用料を払っている。しかし、現在ではこれはインターネットでできる。実際、先進国はインターネットで、とりわけYouTubeで、国際広報を行うようになっている。実は、最近はNHK自身もYouTubeにコンテンツをアップしている。
 YouTubeのメリットは、回線使用料がほとんどかからないというだけではない。海外の人びとに直接届き、よく見られているというメリットもある。前回の記事で、Z世代はテレビではなく、YouTubeを見ると述べたが、これは世界的現象である。
 それにひきかえ、衛星回線による国際放送は、見る側が衛星アンテナを購入しなければならず、面倒な配線やチャンネル設定もしなければならない。YouTubeならばこのようなことは一切必要ない。ただ、YouTubeのサイトに入って、好みのコンテンツをクリックすればいい。設備やシステムの切り替えも必要なく、明日にでもできる。
NHKへの交付金廃止、NHK解体が最善の道
 そもそも、私も何度か記事に取り上げている総務省のワーキンググループは、これまでNHKが本来業務としていた放送を補完業務とし、ネット配信を補完業務から本来業務にすることを勧告している。
 国際放送も放送法においてNHKの本来業務として位置付けられている。それならば、勧告にしたがって、国際放送のコンテンツをネット配信すればいいのではないか。ただし、それでNHKの国際放送がみられるようになるかは疑問だ。もともと国際的認知度がほとんどないからだ。
 日本政府は、これまでの放送の時代では、国際広報をNHKに頼らざるを得なかった。だが、ネットが発達した今日、状況はまったくかわり、NHKに依存する必要はなくなった。
 内容の問題もあり、認知度もほとんどないことを考えれば、政府はこの際NHKに出している交付金を廃止して、そのお金で独自の国際広報機関を創設し、外務省や経産省などのYouTubeを使った広報を支援させたほうがいいのではないか。それより先に、放送法を廃止か大幅改訂し、時代に合わなくなったNHKを解体し、受信料を廃止してくれればもっといい。

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 有馬 哲夫(ありま・てつお)
 早稲田大学社会科学部・社会科学総合学術院教授(公文書研究)
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『原発・正力・CIA』『歴史問題の正解』『日本人はなぜ自虐的になったのか』『NHK受信料の研究』(新潮新書)など多数。

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