☂24:─2─護憲派の第9条空想的平和主義では日本は守れない。志位委員長の自衛隊活用発言。~No.88 

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 日本を攻撃し侵略してくる可能性のある敵とは、ロシア・中国共産党北朝鮮の3カ国である。
 韓国は、反日侮日嫌日ではあるが敵日ではない、そして友・友人、親友でもない。
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 2022年2月25日 産経新聞「「9条で日本を守れるの?」ロシア侵攻で懸念噴出、共産は危機感
 共産党志位和夫委員長(矢島康弘撮影)
 ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、「憲法9条で国を守れるのか」という懸念の声が会員制交流サイト(SNS)などで増えている。対話が通用しない国際社会の厳しい現実を目の当たりにし、最高法規に「戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認」を掲げることへの危機感を受けたものだ。護憲勢力は警戒を強めており、特に夏の参院選に向けて「9条改憲阻止」を訴える共産党は火消しに躍起となっている。
 「憲法9条ウクライナ問題と関係させて論ずるならば、仮に(ロシアの)プーチン大統領のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条なのです」
 共産の志位和夫委員長は自身のツイッターで、ロシアによるウクライナ侵攻を強く批判する一方、ネット上で一気に噴出した9条懐疑論を牽制(けんせい)した。機関紙「しんぶん赤旗」も25日付で「ウクライナ問題 日本は9条生かし力尽くせ」との記事を掲載した。
 ただ、プーチン氏のようなリーダーに率いられた覇権国家が日本への侵攻を試みた場合の9条の効力は不透明だ。日本維新の会松井一郎代表(大阪市長)は「志位さん、共産党はこれまで9条で他国から侵略されないと仰ってたのでは?」と反応した。
 自民党細野豪志環境相も「論ずべきは、憲法9条があれば日本はウクライナのように他国から攻められることはないのかということ。残念ながら答えはノーだ」と発信。その上で「わが国を守るのは自衛力と同盟、そして同志国の存在。志位委員長のロジックでは他国のための憲法9条になってしまう」とも強調した。
 共産は次の参院選に向けて、「野党共闘の勝利で9条改憲許さず、政権交代の足がかりを」(赤旗)などと訴えている。先の衆院選改憲に前向きな維新や国民民主党議席を伸ばした一方、共産や立憲民主党が勢力を後退させたことへの危機感も透けてみえる。
 しかし、ロシアによる今回の一方的な侵攻は「抑止力に歯止めをかける9条の理念を堅持したままで平和は守れるのか」という根源的な論点に改めてスポットライトを当てる結果を招いた。最近は自衛隊明記の是非にとどまっていた与野党の9条をめぐる議論を見直すきっかけになる可能性もある。(内藤慎二)」
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 4月19日01:00 産経新聞「政治デスクノート
 依然はびこる「空想的平和主義」
 有料会員記事
 記者会見する立憲民主党泉健太代表=4月15日午前、国会
 これ以上、「空想的平和主義」に浸っている余裕はあるのだろうか。ロシアの蛮行で国際秩序が一変し、わが国でも戦争を防ぐための防衛力整備の必要性が増しているはずだが、今国会では主要野党を中心に、依然として抑制的な意見が多い。
 「空想的平和主義」とは、自民党高村正彦元副総裁が平成27年成立の安全保障関連法を議論する際、共産党などと激しい反対運動を展開した民主党をなじった言葉だ。
 同法は憲法解釈を変更したうえで、集団的自衛権の行使を限定的に認める内容。軍事力を背に覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、自衛隊の活動範囲を広げて日米同盟を強化する狙いがあった。
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 4月19日06:00 MicrosoftNews JBpress「共産党・志位氏の自衛隊活用発言、究極のご都合主義が露わに
 © JBpress 提供 米海兵隊との共同訓練に参加した陸上自衛隊員(資料写真、2022年2月9日、写真:ロイター/アフロ)
 (筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
 ロシアのウクライナ侵略もあってのことだろう。共産党志位和夫委員長が、唐突に、いざというときには自衛隊を活用すると語ったことが波紋を広げている。
 実は共産党自衛隊活用論には、私も大いに関わっている。いま共産党の幹部の人でもこの経過を知っている人は少ないだろう。共産党が「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬく」という方針を打ち出したのは、私が共産党の政策委員長だった時だ。自衛隊憲法違反の存在と言っていた共産党にとって、これまでの方針を大転換するものだった。
 不破氏のテレビ出演がきっかけだった
 このきっかけになったのは、2000(平成12)年8月27日にテレビ朝日の「サンデープロジェクト」に不破哲三議長(当時)が出演した時のことだった。田原総一朗氏が司会で自由党小沢一郎党首(当時)との討論会だった。
 当時、小沢氏は冷戦終結という国際情勢のもとで「国連軍を創設し、そこに日本も参加するというのが日本の安全保障のあり方だ」というのが持論だった。これに対して不破氏は、憲法で「国権の発動」としての戦争も、「武力による威嚇または武力の行使」も、「国際紛争を解決する手段としては放棄する」とうたっていることを挙げ、日本は国連の軍事活動には参加しないと述べた。すると小沢氏は、「そういう議論で憲法を解釈していると、日本の防衛は日本の軍備でやるべきだという議論に発展していくんですよ。どうやって日本を守るのか」と追及。田原氏がそれを受けて突っ込んでくる。以下はその後のやり取りである。
 田原 どうするんですか。
 不破 我々も自衛の権利は認めています。
 田原 自衛隊は認めるわけですね。
 不破 この憲法のもとでは我々は自衛隊は認めない。
 田原 もし敵が攻めてきたらどうします。
 不破 そのときは自衛の行動をとります。
 田原 自衛隊がなかったら誰がとりますか。
 不破 必要なありとあらゆる手段を使います。
 田原 どうやって。
 不破 といっても、そのときに我々は一遍に自衛隊を解散するつもりはありませんから。そういう状態のないことを見極めながらすすみますから。
 「自衛隊を使わない」とは言っていないが、他方で「自衛隊は認めない」と明言しているのだから、この論理からは「自衛隊を使う」という結論は出てこない。このやり取りを聞いた国民が不破氏の主張に同調するとは、到底思えない。
 不破氏も小沢氏と田原氏にやり込められたと感じたのだろう。討論会後、すぐに私に電話がかかってきた。「自衛隊問題をもう少し深める必要があるね」という内容だった。
 翌日の常任幹部会(日常的に党全体を指導する最高幹部の集まり)があり、そこでも同様の提起があった。そしてこの年の11月に行われた第22回党大会で、「そうした過渡的な時期に(自衛隊解消前に)急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要に迫られた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する」という方針を打ち出した。
 本当は言いたくなかったのだが追い詰められて打ち出した苦肉の策が、自衛隊活用論なのである。
 綱領をどう読んでも活用論は書かれていない
 今回の自衛隊活用論に対して、他の政党やメディアから批判がなされている。これに対して志位氏は、「『綱領と違う』と非難する前に綱領をよく読んで」と反論しているようだ。
 だが、ある週刊誌の記者から「綱領を全部読みましたが、自衛隊活用などとどこにも書かれていない。筆坂さんどうなんですか」という電話があった。あらためて読んでみたが、確かにその通りだった。
 志位氏が綱領にその規定があるというのは、綱領の「民主主義革命と民主連合政府」の章に、「国の独立・安全保障・外交の分野で」という項があって、そこに「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」と述べられているのがその根拠だと言うのだ。
 これを読んで、「なるほど活用論だ」とは誰も思わないだろう。ここに書かれているのは、日米安保条約の解消、自衛隊の縮小と解消だけである。
 しかもこれは、共産党が与党の中心となる「民主連合政府」が樹立されて以降のことを想定している。この実現性は、気の毒だが皆無に近い。
 ではそれ以前はどうなるのか。綱領には「現在の日本社会の特質」という章がある。そこに書かれているのは、現在の日本は「自衛隊の海外派兵の範囲と水準を一歩一歩拡大し、海外派兵を既成事実化するとともに、それをテコに有事立法や集団的自衛権行使への踏み込み、憲法改悪など、軍国主義復活の動きを推進する方向に立っている」等々、自衛隊を徹底的に批判する叙述ばかりである。
 沖縄選出の赤嶺政賢衆院議員は、自衛隊活用論を批判する声に対して、「共産党の路線を歪曲した発言に抗議したい。私たちは憲法制定時から軍隊は持たないからといって、個別的自衛権を持っていないわけではないとはっきり主張してきた」「デマを言うにも程がある」と反論している。
 確かに、個別的自衛権を持っていることと軍隊を持つということは、次元の違う話である。だからこそ共産党は、個別的自衛権を持っているが、自衛隊憲法違反の軍隊だから解消すると言ってきた。
 だが、赤嶺氏の反論の論理に従えば、個別的自衛権を持っているなら軍事力、自衛隊を持って活用するのは当然ということになる。それならば、「自衛隊は合憲であり、解消しない」と言うべきである。
 こんな詭弁が通用すると思っているのだろうか。赤嶺氏のことはよく知っているが、こんな筋の通らない発言はしない方が賢明だと言っておきたい。
 自衛隊活用論を一度取り下げていた
 2000年に自衛隊活用論を打ち出した際、「共産党が与党の『民主連合政府』ができてから」などという条件はいっさい付けなかった。それは当然のことで、いつになるか分からない民主連合政府の成立時まで自衛隊を活用しないというなら、その間に急迫不正の侵害があろうと大規模災害があろうと自衛隊を使えないことになってしまう。さすがに共産党といえどもそんな無責任な方針を出すわけにいかなかったからだ。
 だが、私が離党した後に、共産党自衛隊活用という方針を事実上取り下げている。
 私がそのことを知ったのは、共産党政策委員長時代に一緒に仕事をした松竹伸幸氏の著書『改憲的護憲論』(2017年発行、集英社新書)を読んだときだ。松竹氏は、現在は共産党中央委員会を退職し、出版社の編集の仕事をされている。
 松竹氏は、まだ共産党中央委員会に勤務していた2005年に、『議会と自治体』という共産党の地方議員向けに発行されていた月刊誌に、「九条改憲反対を全国民的規模でたたかうために」という論文を寄稿した。その際に、意外な批判を常任幹部会から受けたという。
 松竹氏のこの論文には、2000年の方針に基づいて「侵略されたら自衛隊を活用する」という趣旨のことが書かれていた。これに対して、小池晃政策委員長(当時、現書記局長)は、2000年の党大会で決めたことは民主連合政府ができてからのことだと説明し、批判したという。次号に自己批判の文章を掲載しろとも言われたそうである。
 だが、当時の常任幹部会こそが明白に間違っている。2000年の方針には、すでに説明したように「共産党が与党の『民主連合政府』ができてから」という条件は付されていない。
 なぜこんな姑息な解釈変更をしたのか。理由は明らかだ。実は、2000年に共産党が打ち出した自衛隊活用論は、平和活動家や党内では評判がすこぶる悪かった。「違憲自衛隊を活用するなどとんでもない」というのが意見の主流だった。共産党指導部はこの空気を感じ取って、密かに方針の転換を図ったのだ。
 だからこそ藤野保史衆院議員(現在は落選中)が防衛予算を「人を殺すための予算」と発言して、物議を醸したこともあった。当時、藤野氏は共産党の政策に責任を持つ政策委員長であった。それが、この認識だったのだ。しかもこの発言に党内からはほとんど批判の声があがらなかった。
 お分かりいただけるだろう。その時の空気で変幻自在に方針が変わるのが共産党なのだ。ロシアのウクライナ侵略を見て、またまたこの方針を転換して、自衛隊活用論を恥ずかしげもなく打ち上げただけなのだ。また何かあれば転換するのだろう。こんな政党を信用できるわけがない。」
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 4月19日11:53 産経新聞尖閣周辺に中国船 機関砲搭載か
 沖縄県尖閣諸島
 尖閣諸島沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で19日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは4日連続。
 第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。」
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 4月20日 産経新聞「ロシア艦艇6隻が対馬海峡北上 防衛省発表
 海上自衛隊が確認したロシア海軍の「ウダロイⅠ級駆逐艦」(防衛省提供)
 防衛省は20日、ロシア海軍艦艇など6隻が対馬海峡を北上したと発表した。
 海上自衛隊は19日午前9時ごろ、長崎・男女群島の西方約80キロの海域を北東へ進むロシア海軍「ウダロイⅠ級駆逐艦」1隻、「アルタイ改級補給艦」1隻、「スリヴァ級救難えい船」1隻、民間船舶3隻の計6隻を確認した。その後、6隻は対馬海峡を北上し、日本海へ抜けた。
 このうち「ウダロイⅠ級駆逐艦」は3月24日に長崎・対馬の北東海域で確認されたものと同一とみられる。」
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 4月21日 産経WEST 正論モーニング「「日本有事」の現実味は? ウクライナ危機、 中国による台湾侵攻にどう向き合う 
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 米原子力空母「エーブラハム・リンカーン」(左から2番目)と共同訓練を行う日米の艦艇(航空自衛隊提供)
 泥沼化しているウクライナ戦争は、わが国の安全保障情勢にも大きな影を落とす。とりわけ、台湾有事への懸念は、覇権主義を突き進む中国の出方一つで現実に変わる恐れもある。きょうのウクライナは明日の台湾―。この言葉の現実味はいかほどか。
 揺らぐ米軍への信頼
 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから1カ月後、台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」が発表した世論調査で、米軍への信頼が大きく低下している実態が明らかになった。
 「もし中国が台湾に武力侵攻した場合、米軍は参戦すると思うか」との問いに対し、「思う」と回答したのは34・5%にとどまり、昨年10月の前回調査と比べ、30・5ポイントも急落した。また、台湾だけでは中国の侵攻を防げないと考える人は78%に上り、米軍の直接介入に悲観論が広がる一方、台湾独自の防衛力には限界があることを再認識する結果となった。」
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 4月22日 MicrosoftNews Forbes JAPAN「米中に挟まれた日本「軍事力」は必要か
 © Forbes JAPAN 提供昨今の米中対立の本質を見極めるためには、三十数年前の日本に戻るとわかりやすい。
 1980年代半ばは、戦後日本が最も輝いていた時代だった。自動車や半導体、家電が世界市場を席巻し始め、GNPは世界第2位に躍り出た。世界の十大銀行の過半が邦銀、円は本格的な国際化をうかがっていた。
 暗転は米国の仁義なき攻勢で始まった。Japan as No.1ともち上げられ、先端技術や金融など、米国の核心的利益分野を脅かす日本への反撃である。
 1985年のプラザ合意で急速な円高を起こし、直後の日米円ドル委員会で日本の金融・証券を狙い撃ちにし、86年の半導体協定で世界トップの日本の半導体業界を葬り去った。日本側に対峙したのは米国通商代表部(USTR)だった。日本国内の商習慣やルールに無遠慮に手を突っ込んで恫喝する様に、日本の関係者は「第二の進駐軍だ」と恐れ嫌悪したものである。
 私は当時、米国製たばこの対日輸出促進問題にかかわっていた。彼らは、日本では輸入たばこに関税をかけたうえで流通税まで課している、これは二重課税であり、高率の関税を撤廃しない限り報復措置を取る、という。電話口で”retaliation! sanction!”(報復、懲罰)と喚くUSTRの若者の声はいまでも忘れない。ごり押ししてまで健康に悪いたばこを買わせようとしている。米国内で嫌煙ムードが高まるなかで、米国たばこ業者にとって、健康被害を輸出する「おいしい」市場が日本だった。
 この時期、米国は日本の重要3分野に3本の矢を放った。それぞれの矢は、劣化ウランのように硬い鏃(やじり)で日本の通貨、金融、先端産業を射抜いた。
 昨今、これらの猛射を受けているのが中国である。特に情報産業とその基礎になる半導体がホットポイントだ。台湾に焦点があたる理由も、その半導体ファウンドリーの高い技術にある。絶対に中国にこれを奪われてはならない。米国の中国批判は、人権問題、香港の強制併合、西太平洋領海問題を絡めてくるが、現下の懸案は半導体覇権である。
 理念としての民主主義や人権の重視はもちろんあるが、米国は理念だけでは行動を起こさない。理念が経済など国益の危機と結びついて、初めて実力行使に出る。そして国益が重要なものであればあるほど報復手段に容赦はない。太平洋戦争もそうだった。
 中国は、米国の苛烈な攻撃をかわせるのか。現状の国力は明らかに米国が上である。EUもいざとなったら米国側だ。しかし、中国は20世紀後半の日本とは違う。強力な軍事国家であるし、経済力は米国に肉薄しつつある。人口は米国の4倍もある。しかも、米国とガチでやりあう意思が固い。
 問題は、米中に挟まれている日本である。
 米国からは、政治、経済、文化のあらゆる面で大きな影響を受けている。軍事防衛への依存はとりわけ大きい。親米感情も強い。
 中国へは、尖閣問題や時として湧き上がる反日運動に、日本国民の大半がうんざりしている。日中両国ともに嫌中、反日感情が強い。国交正常化50周年の今年も盛り上がらない。けれども、いまや中国なしには日本経済は成り立たないほどに、経済依存度が高い。「嫌いでも引っ越しできない隣人」といわれるゆえんだ。
 こうして、わが日本は、太平洋の両側に鎮座する2大強国の狭間で右往左往する。いつまでも外交テクニックや理屈でしのげる状況ではない。米国や中国がそうであるように、自身の立場を冷静に分析したうえで、核心的利益を守るための条件と対策を打ち立てる必要がある。
 日本の核心的利益は平和と経済的繁栄だ。国家が核心的利益を堅持するための条件は3つある。第一に巨大な消費市場の存在、第二に多くの先端技術と工業力、第三に強力な軍事力である。これらのひとつでも欠くと、核心的利益が危うくなる。
 日本は20世紀までは、第一と第二の条件を満たしていた。世界は冷戦構造で、現在よりはある意味で単純だった。だから、日本の核心的利益は2条件だけでも何とか守れた。
 しかし、いまやこの2つの条件も危うくなっている。これらを充足するように全力を挙げるべきは言うまでもない。さらに、銘記したい点は、世界は多極化、流動化、無秩序化するばかりという現実である。第三の条件について、いよいよ真剣に検討しなければならない。
 「世界の常識は日本の非常識」などと嘯(うそぶ)いていられる時代ではなくなった。
 川村雄介◎一般社団法人 グローカル政策研究所 代表理事。1953年、神奈川県生まれ。長崎大学経済学部教授、大和総研副理事長を経て、現職。東京大学工学部アドバイザリー・ボード、嵯峨美術大学客員教授などを兼務。」
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