💢91:─1─日本は通常兵力だけで周辺国の核の脅威にどう立ち向かうのか。~No.376No.377No.378 

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 2022年10月21日 YAHOO!JAPANニュース ニッポン放送「日本は「通常兵力」で核の脅威にどう立ち向かうのか 「他国の楽観的な善意に期待する」という最大の弱点
 前統合幕僚長の河野克俊、慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が10月21日、ニッポン放送飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月24日~26日に行われることになった日米韓の会合について解説した。
 北朝鮮のミサイル発射をめぐり、米国務副長官が日韓と来週協議へ
 North Korea launched the IRBM missile across the Japanese Island.(Photo by Seokyong Lee/Penta Press) Penta Press/共同通信イメー・・・
 米国務省の高官によると、アメリカのシャーマン国務副長官は10月24日~26日に東京で行われる日韓との会合で、北朝鮮の最近のミサイル発射や中国・台湾を含む地域の安全保障の問題について話し合う予定だと述べた。記者団に対し、国務省高官は「我々は北朝鮮が今年行った数々の弾道ミサイル発射や、中国、ロシアのウクライナに対する理不尽かつ破壊的な戦争など、さまざまな問題について話し合う予定だ」と指摘した。
 飯田)日本列島を飛び越える形で北朝鮮のミサイルが発射されました。Jアラートが出たのは2017年以来だということです。まさに当時、統合幕僚長として現場にいらっしゃったのが河野克俊さんですが、そのときと比べて、いまの緊張状態をどうご覧になりますか?
 河野)2017年当時は、トランプ元大統領の就任1年目でした。トランプ元大統領は激しく北朝鮮を非難し、軍事的なアクションも取りました。2018年に北朝鮮が話し合い路線を打ち出したのは、その軍事的なプレッシャーが効いた結果だと思います。それが米朝首脳会談につながりましたが、その後は何の成果にもつながりませんでした。
 北朝鮮を再び注視する段階に入った
 河野)首脳会談が終わってから、北朝鮮は短距離ミサイルを撃ち始めました。それに対して、トランプ元大統領は「短距離であれば問題ない」と言っていたのですが、変則軌道や列車から撃つというようなこともやり出し、バリエーションを増やしていたのです。私としては「要警戒だな」と思いました。いままでは直球しか投げて来なかったのですが、ブルペンで変化球の練習をし出したのです。
 飯田)なるほど。
 河野)おそらく、今度は飛距離を伸ばすだろうなと思っていたのですが、またやりました。北朝鮮は2021年に「5ヵ年計画」を発表しましたが、ICBMや潜水艦発射ミサイル、極超音速ミサイルなどを取り揃えるという目標に向けて、着々と進んでいるのだと思います。気を緩めず、また北朝鮮を注視する段階に入ったと思います。
5年ぶりの米韓演習に対するミサイル発射
 飯田)当時、アメリカは空母打撃群を3つ持ってきたという話でした。
 河野)しかも日本海に入れて、そのときは日本との日米共同訓練も行いました。あれは北朝鮮に対する大きなシグナルになったと思います。
 飯田)今回も直前に日米韓で演習を行い、一旦外に出た空母打撃群を日本海に戻しましたよね。
 河野)米朝会談のあと、一転してトランプ元大統領は「米韓演習は金がかかるから嫌いだ」などと言って、実施をやめたのです。当時の文在寅大統領も賛成だったので、そのような状況になったのですが、韓国も新政権になり、5年ぶりに実動の米韓演習を行いました。それに対して北朝鮮が激しく反発したというのが、今回のタイミングでの中距離ミサイル発射だと思います。
 ウクライナ情勢を見て、「核兵器を持てば、アメリカとの間で抑止が成立する」という計算をする北朝鮮
 飯田)アメリカの姿勢としては、トランプ政権からバイデン政権に変わり、いまウクライナ情勢もあるなかで、どこまで意思を東アジアに対して示せるものなのでしょうか?
 細谷)最も我々が留意しなければいけないことは、バイデン大統領は何度かウクライナ情勢について、何としてでも第三次世界大戦は避けなくてはいけないということと、核戦争は何としてでも避けるべきだということを言っています。
 飯田)そうですね。
 細谷)核兵器を使う意思をロシアが示した瞬間に、バイデン大統領は後ろに引くような印象を見せました。核実験に進むとしたら、ミサイル発射は明らかに北朝鮮がこの状況を見てのことです。バイデン政権は、何としてでも核戦争を避けなくてはならない。もし北朝鮮が信用できるICBM弾道ミサイル等を保有し、核兵器を持てば、アメリカとの間で抑止が成立する。「アメリカはこれ以降、北朝鮮に攻めて来ない」というような、彼らなりの計算をしていると思います。
 飯田)ウクライナ情勢でのバイデン大統領の対応を見て。
 細谷)彼らは核兵器の数で相手国を評価しています。韓国や日本は格下なのです。米朝の間で核抑止をつくり、自分たちの空間は自分たちに有利な立場としてつくる。これがいまの北朝鮮の考え方だと思います。
 ウクライナ戦争が「北朝鮮の核保有」に正当性を与えてしまった
 新型大陸間弾道ミサイルICBM)「火星17」の発射実験に立ち会い、笑顔を見せる金正恩朝鮮労働党総書記(中央)=2022年3月24日、平壌朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社
 飯田)そうなると、間にいる日本は難しい立場に立たされますか?
 河野)もちろんです。今回のウクライナ戦争は、核保有国であるロシアが、核を持っていないウクライナを核で脅した。そして未だに脅し続けているわけです。
 飯田)そうですね。
 河野)その意味では、核不拡散体制が想定していなかったことがいま起きているのです。ウクライナ戦争は北朝鮮の核保有について、正当性を与えてしまったとも言えます。
 飯田)北朝鮮に。
 河野)残念ながら、北朝鮮が核を廃棄することは考えにくくなったと思います。日本はロシア、中国、北朝鮮という核保有国、なおかつ専制主義国家と言われるような国々に取り囲まれている前提で、今後の防衛政策や安全保障戦略を考えなくてはなりません。その意味では、非常に厳しい状況になったと思います。
 北朝鮮の日本や韓国に対する挑発はこれからますます高まる ~地政学的に最も危険な位置にある日本が「他国の楽観的な善意に期待する」という矛盾が、日本の安全保障の最大の弱点
 飯田)その3ヵ国には日本に届く核があります。日本はアメリカの核の傘、抑止力に頼っている部分があります。その信頼性はどうなのか。かつてヨーロッパでは「核共有」という話にまでなりましたが、同じような環境になったと言えるのではないでしょうか?
 細谷)ヨーロッパにいると、「日本は世界一危険な地理にある」ということをときどき言われました。ウクライナは核保有国の脅威としては、ロシアとしか接していません。しかし、日本はロシア、中国、北朝鮮という3ヵ国に囲まれているわけです。地政学的に最も危険な位置にある日本が、最も平和主義的な「他国の楽観的な善意に期待する」という矛盾が、日本の安全保障問題の最大の弱点だと思います。
 飯田)安全保障問題の最大の弱点。
 細谷)この意識がなかなか変わりません。今回のウクライナ戦争は、明らかに核兵器の価値を高めました。核兵器を持っていれば攻めて来ない。つまり、北朝鮮が日本や韓国に何か手を出しても、アメリカは入って来ないだろうと。なぜならば、アメリカが入って来たら核で報復できる。アメリカは核戦争を嫌がっているので、北朝鮮としてはちょっかいが出しやすくなるのです。中国の台湾に対する圧力、北朝鮮の日本や韓国に対する挑発は、これからますます高まると思います。
 通常兵力でどのように核の脅威に立ち向かうのか
 飯田)亡くなられた安倍元総理は、ヨーロッパが行っている核共有というオプションを、日本でも検討するべきではないかと言われました。核の議論がタブーになっていて、いままでは全然できなかったですよね。
 河野)安倍元総理は「核シェアリングすべきだ」とは言っていないのです。ただ、タブーなしで議論するべきだという問題提起をされたのです。
 飯田)問題提起を。
 河野)一時期、議論の意向が「ボヤッ」として、いまもまた沈静化してしまっています。ただ、日本をめぐる核の環境がこれだけ変わりました。いまはアメリカの核抑止の傘に全面依存しています。「本当にそれでいいのか」という議論については、何も状況が変化していないのであれば非核三原則続行でもいいと思うのですが、これだけ変わったのですから、検討や議論は絶対にしていただきたいと思います。
 細谷)安倍元総理は、クアッドやFOIPもそうですが、人々が認識する前にいろいろと問題提起することが多かったと思います。ニュークリア・シェアリングは、ヨーロッパの特殊な歴史と条件のなかで発展したものなので、日本に適用することは難しいと思うのですが、日本で議論することは必要です。
 飯田)議論は必要。
 細谷)今回のウクライナ戦争もそうですが、いまは核兵器の価値が上がっています。むしろ「核兵器を持てば自分たちは安全なのだ」という神話が広がっている。核不拡散とは逆の方向に流れているのです。
 飯田)核不拡散と逆方向の流れに。
 細谷)安全保障上の条件悪化により、日本が脆弱になっていくなかで、どのように日本を守るのか。日本が核兵器を持つのかと言うと、それは難しいわけです。では、通常兵力でどのように脅威に立ち向かうのか。それを議論する時代になったという問題を提起したかったのだと思います。
 飯田)もしかすると、通常兵器で弾道ミサイルや潜水艦から発射するようなものを持たないと守れない、という時代になったのかも知れませんね。
 河野)それも含めて、大いに議論していただきたいと思います。」
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 日本に核攻撃を仕掛けようとしているのが中国共産党北朝鮮、ロシアであり、核ミサイルの照準を合わせているのが中国軍、北朝鮮軍、ロシア軍である。
 つまり、日本の周辺国は敵である。
 左翼・左派・ネットサハ、反米派・反安保派・在日米軍基地反対派、護憲派、革新系リベラル系反核派、反戦平和市民団体が反対している。アメリカの核兵器は同盟国日本を攻撃するモノではなく、アメリカの核ミサイルの照準は日本に向けられていない。
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 日本が日米安保を破棄し日米同盟を解消し中国共産党と友好を強めるか、中立を宣言した時、アメリカは日本を敵性国家あるいは敵国と認定し、在日米軍は撤退して、アメリカ軍は日本を核兵器攻撃対象国として核ミサイルの照準を合わせる。
 それが、核の傘のリアルである。
 日本には、アメリカの敵か味方かの二者択一しかなく中立国・第三国という第三の道はない。
 敵か味方かの二者択一の原則という歴史的現実は、ロシアのウクライナ侵略戦争が証明している。
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