⛿34¦─4─現代日本は台湾有事で親日派台湾を見殺しにする。〜No.187 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 現代日本人、特にエセ保守やリベラル左派は昔の日本人とは違い武士でもなければ庶民・百姓でもない。
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 媚中派のエセ保守と反米派・反自衛隊派のリベラル左派は、中国に対する戦前の贖罪と平和憲法を理由にして中国との戦争に反対する。
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 2023年6月8日16:21 産経新聞「中国測量艦が鹿児島沖で領海侵入
 鹿児島県沖で領海侵入した中国海軍の測量艦(防衛省統合幕僚監部提供)
 防衛省は8日、中国海軍のシュパン級測量艦1隻が同日午前、鹿児島県・屋久島の南西の日本領海に侵入したと発表した。付近では令和3年以降、中国測量艦の領海侵入が続発。今年2月にも同省が公表している。
 防衛省によると、測量艦は8日午前7時半ごろ、屋久島の南東で、領海外側の接続水域を西寄りに航行。その後、午前10時ごろには屋久島の南西で領海に侵入した。潜水艦の航行ルートを調査していた可能性がある。
 約3時間後の午後1時ごろ、口永良部島の西で、領海外へ出て、東シナ海へ向かった。この間、海上自衛隊護衛艦や哨戒機が監視に当たった。
 国連海洋法条約上は、「無害通航」として、沿岸国の安全を害す行動をとらずに他国領海を通航することが認められている。ただし、その場合も調査や測量活動は行えない。
 防衛省によると、今回の領海侵入を受け、外交ルートを通じ中国側に強い懸念を伝え、抗議した。
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 7月17日21:42 MicrosoftStartニュース Alastair Gale「台湾有事、日本は慎重 自衛隊の参加明言せず
 台湾有事、日本は慎重 自衛隊の参加明言せず
© Kyodonews/Zuma Press
 【東京】米国と日本の防衛当局者は台湾を巡り紛争が起きた場合に備え、1年以上にわたり計画の策定に取り組んでいるが、核心的な問題の解決には至っていない。日本は戦闘に加わるのかという問題だ。
 当局間の議論に詳しい関係者によると、米国は日本に対し、台湾周辺で中国の潜水艦を追跡するなど、自衛隊の果たす役割を検討するよう促しているが、言質は得られていないという。
 中国による台湾侵攻の脅威への対応を検討する米国にとって、日本との計画策定は最も重要な要素の一つだ。日本と台湾は最も近いところで約110キロメートルしか離れておらず、日本には沖縄を中心に約5万4000人の米軍が駐留している。
 中国が台湾掌握に動き、ジョー・バイデン大統領の言葉通り米国が介入すれば、初期対応に当たるのは在日米軍基地だろう。日米安全保障条約に基づき米国は日本の承認を得る必要があるが、日本には承認を求める圧力がかかるとみられる。拒否すれば自国の安全を守る同盟関係を危険にさらすことになるためだ。
 日本を直接戦闘に参加させるのはさらに難しい。日本の指導者は台湾を巡って戦争が起きた場合に果たすべき役割についての議論を避けている。一般的に世論は紛争に巻き込まれるのを支持しないことが理由の一つだ。
 慶応義塾大学の森聡教授(政治学)は、台湾を守るために命をかける用意があるかと質問したら、現時点では日本人の90%が「ノー」と言うだろうと話した。
 日本政府は中国の兵器増強を受けて、長距離巡航ミサイルなどに多額の投資を行っているが、完全に自衛のためだと説明している。岸田文雄首相は先頃、沖縄を訪問した際に、攻撃を受けるリスクを低下させるため、抑止力や対応能力への支出を増やさなければならないと述べた。
 日本の憲法は紛争解決手段としての武力行使を放棄している。ただ2015年に当時の安倍晋三首相の下で成立した安全保障関連法では、密接な関係にある同盟国が日本周辺で攻撃を受け、日本の存立が危機にさらされる場合は軍事的対応を取ることが可能だ。
 米シンクタンク戦略国際問題研究所CSIS)が今年シミュレーションを行ったところ、日本やオーストラリアなどの同盟国の支援があれば、米国は中国による台湾奪取を阻止できる可能性があることが示された。
 関連するビデオ: 自衛隊中国人民解放軍 幹部が交流会 (テレ朝news)
 自衛隊中国人民解放軍 幹部が交流会
 CSISの机上演習シナリオの大半では、中国が在日米軍基地を攻撃し、日米の数百機の航空機が破壊されてから日本が戦闘に参加する。破壊を免れた日本の艦船や航空機は台湾の北や東で中国軍を攻撃し、台湾制圧前に中国の強襲揚陸艦を阻止する。この場合、探知が困難な日本の潜水艦が中国艦船を沈めるのに極めて重要な役割を担う。
 日米の安全保障アナリストの中には、中国が在日米軍基地を攻撃すれば日本のためらいはなくなるだろうが、紛争がそのように展開する保証はないと指摘する人もいる。戦闘への参加に関連して日本政府が最も心配しているのは例えば、中国がロシアや北朝鮮をけしかけて日本を攻撃させたり、核兵器の使用をちらつかせたりするなど、事態がエスカレートする危険性だ。
 米国は台湾紛争に備えた共同作戦計画の策定に取り組む中、日本に態度を明確にするよう求めている。日米間の協議に詳しい関係者によると、議論されているテーマは補給路やミサイル発射場、難民避難計画など。日本は燃料などの物資の補給で米軍を支援する用意があるという。
 米国防総省の報道官は、両国は台湾海峡の平和に共に関与しており、抑止力強化につながる「役割、任務、能力の拡大」に対する日本の関心を歓迎すると述べた。日本政府の報道官は台湾を巡る紛争に備えた計画策定についての質問に対し、日米は合同防衛計画を維持すると述べたが、それ以上の詳細は語らなかった。
 自衛隊は現在、駆逐艦50隻と攻撃型潜水艦22隻、ジェット戦闘機300機以上を運用している。昨年後半、日本政府は防衛費について、今後5年間で約60%増やし、国内総生産GDP)比2%に増額することを決めた。
 日本は米国から調達する巡航ミサイル「トマホーク」と国産の長距離巡航ミサイルを2026年春以降に配備する予定だ。ステルス戦闘機「F35」の保有数は30機前後から米国以外で最大の147機に増える。
 元国家安全保障局次長で安倍元首相の助言役も務めた兼原信克氏は日本が陸海空に加え、宇宙とサイバー空間でも対応能力を増強していると指摘。5年ほどで日本の新たな形がより明確になり、その頃に日本は周辺地域での新たな役割や任務について話さなければならないだろうと語った。
 2021年には当時副総理だった麻生太郎氏が講演で、台湾を巡り戦争が起きた場合、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」にあたる恐れがあり、日本が台湾の防衛を支援することは正当化されるとの認識を示した。
 しかし慶応大の森教授は、日本が台湾の防衛を支援するべき理由について国民による意味のある議論が行われなければ、最悪の事態が起きた場合、政治的混乱に発展する可能性があると指摘。政府は態度を明確にしなければ、米国との同盟関係への対処に苦労しながら、国民の不安にも対応することになるだろうと森氏は話した。
 岸田首相は米国の指示に従っているだけと言われることに神経をとがらせている。バイデン大統領が先月、日本の防衛費増額について「自分が(岸田首相を)説得した」と発言すると、岸田政権は米政府に申し入れを行ったことを明らかにした。バイデン氏はその後、岸田首相は既に増額を決断していたと述べ、発言を訂正した。
 先週の北大西洋条約機構NATO)の首脳会議では、日本の防衛費増額やウクライナ支持を巡り、バイデン氏が岸田氏を称賛する場面があった。
 専門家によると、日本では第2次世界大戦後の軍国主義復活を防ぐため、自衛隊は厳しい文民統制の下にあり、数日の遅れが台湾の運命を左右する可能性があるというときに意思決定に時間がかかる恐れがある。
 元防衛大臣政務官松川るい氏は日本が一緒に戦えるときはそうする可能性が高いと話した。ただ日本は進んで前線に立とうとはしないだろうとも述べた。
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 7月18日9:53 YAHOO!JAPANニュース かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす「「戦争は絶対ダメ」釜石艦砲体験者の言葉重く 惨禍を歌い継ぐメンバー 思い受け止め献唱へ
 今日7月14日は、太平洋戦争末期の1945年、釜石市が米艦隊による本州初の艦砲射撃を受けた日。同年8月9日には米英両艦隊による砲撃も受け、2度の攻撃で多くの尊い命が失われた-。この惨禍を伝える女声合唱組曲「翳(かげ)った太陽」を歌う会(種市誓子会長、11人)は今月8日、艦砲体験者の話を聞く場を設けた。戦争の恐ろしさ、平和への願いを再認識したメンバーは、8月9日に行われる市戦没者追悼式で同曲の献唱を予定する。
 艦砲射撃の実体験を語ったのは甲子町在住の元看護師、佐々木郁子さん(93)。佐々木さんは看護師見習として15歳で入った釜石製鉄所病院で戦禍に見舞われた。1回目の7月14日は午前5時ごろから警戒警報が発令されていた。当時、鈴子にあった病院に出勤した佐々木さんは入院患者を敷地内の防空壕(ごう)に避難させ、外来患者の診療にあたっていた。
 正午間近、敵機襲来の一報で防空壕に駆け込んだ。「ビューン!ガーン!ドーン!」。正午過ぎに始まった海上からの砲撃は約2時間も続いた。佐々木さんは恐怖に震えながら友と励まし合い、じっと耐えた。壕を出ると、鈴子一帯は無残な廃墟と化していた。散乱する死体も目にした。「皆さん、想像できますか―?」。問いかける佐々木さん。
 釜石製鉄所病院勤務時に受けた2度の艦砲射撃について語る佐々木郁子さん。当時15歳
 その後、現在の八雲町・大天場運動広場(旧釜石第二中跡地)の場所にあった高等女学校に病院機能が移され、砲弾の破片で負傷した多くの人が運び込まれた。佐々木さんは夜の巡回で、暗闇の中「苦しい」「助けて」と泣き叫ぶ負傷者にどうすることもできなかったつらさ、悔しさを吐露。当時の光景は、今も鮮明に目に浮かぶという。
 7月14日、8月9日の2回の砲撃で市内に打ち込まれた砲弾は5300発以上。1回目は製鉄所を中心に鈴子、只越、松原、嬉石地区、2回目は社宅のあった中妻、小佐野、小川地区にまで被害が及んだ。犠牲者は合わせて782人(2023年度釜石市調べ)に上る。
 合唱メンバーや関係家族など18人が佐々木さんの話に聞き入った
 艦砲射撃の実態をメモを取りながら学ぶメンバー
 「戦争の記憶は決して消えることはない。今でも思い出すと胸が苦しくなる」と佐々木さん。「戦争は人災。皆さんの力によって防ぐことができる。日本が永遠の平和国家であることを切に願う―」。猛勉強を重ね終戦後、18歳で看護師資格を取得。23歳で助産師の資格も得た。約40年、医療現場に身を置いた佐々木さんは命の大切さを一層強く感じ、ロシアによるウクライナ侵攻で多くの命が奪われる理不尽な現状に心を痛めている。
 講話後、最知節子さん(左)の指揮で「翳った太陽」を合唱
 佐々木さんの話を聞いた後、会のメンバーは練習を重ねる「翳った太陽」を歌った。同曲は、艦砲射撃で教え子を亡くした元小学校教師の石橋巌さん(2006年他界)が記した絵手紙などを基に作られた。全6曲17分の組曲で、市内のピアノ講師最知節子さんが作曲した。最知さんの指導で05年から曲を歌い継ぐ会は、戦没者追悼式での献唱のほか、学校訪問コンサートなどで艦砲戦災を伝える活動を続けてきた。現在、合唱メンバーは9~87歳の11人。
 佐々木さんの話を聞き、情景を頭に描きながら歌うメンバー
 次世代の継承を担う小中学生も歌に思いを込める
 小学5年から活動に参加する髙橋杏奈さん(釜石中1年)は、今回初めて艦砲体験者の話をじかに聞いた。「教わった戦争の恐ろしさ、平和の大切さをもっと伝えられるように心を込めて歌っていきたい」。ニュースで見聞きするウクライナの惨状も心配し、「艦砲射撃みたいなことが現実に起こっている。何とか早く収まってほしい」と願った。
 杏奈さんの母登紀子さん(49)は昨年9月から会に参加。「歌詞の内容と今日聞いた話がすごく重なる部分が多い」と話し、歌で伝える使命の重みを実感する。戦争のない世界の実現も強く願い、「とにかく一人一人があきらめずに(反戦の)声を上げることが必要だと思う」。初めて歌う追悼式では「今ある平和への感謝も込めて歌いたい。この曲が少しでも反戦の気運を高めることにもつながれば」と話した。
 体験を話してくれた佐々木さんに感謝の気持ちを伝える小中学生
 佐々木さんは子どもたちに平和への願いを託した
 会のメンバーはほとんどが戦争を体験していない世代。体験者の話を聞くことで曲への理解を深めようと、同様の機会をこれまでにも6回設けてきた。戦後78年―。体験者は今後も減少していく。会の活動は来年で20年目を迎える。種市会長は「メンバーの高齢化が進む。ぜひ、若い世代にも入ってもらい、この曲を長く歌い継いでいきたい」と思いを込めた。
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 7月18日15:50 産経新聞「中国情報収集艦が対馬海峡を通過
 中国の情報収集艦が対馬海峡を経て日本海へ航行した(ロイター)
防衛省は18日、中国海軍の情報収集艦1隻が16日午後4時ごろに対馬長崎県)の南西約150キロの海域を北東に進むのを海上自衛隊が確認したと発表した。同艦は17日にかけて対馬海峡を経て、日本海へ航行した。
 17日午前1時ごろには、対馬の南西約130キロの海域で、中国海軍のミサイル駆逐艦フリゲート艦など計5隻を確認した。5隻は対馬海峡を北東に進み、日本海へ抜けた。
 また、海自は14日午後8時ごろにも、宮古島沖縄県)の北東約150キロの海域を北西に進む中国海軍の情報収集艦1隻を確認した。その後、沖縄本島宮古島の間を抜けて、東シナ海に出た。6月28日には、同艦が大隅海峡を東に進むのを確認している。
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 7月18日 MicrosoftStartニュース TBS NEWS「自衛隊と中国軍が交流 対面は4年ぶり 相互理解図る
 自衛隊と中国軍が交流 対面は4年ぶり 相互理解図る
 © TBS NEWS DIG_Microsoft
 自衛隊と中国軍の幹部交流が4年ぶりに対面で行われました。
 自衛隊と中国軍の交流事業は相互理解を深める目的で行われており、新型コロナウイルスの感染拡大で中断されていましたが、4年ぶりに対面で実施されました。
 自衛隊の幹部13人が、16日から9日間の日程で中国を訪れていて、17日は中国軍系シンクタンクとの座談会に出席し、日中関係の安定などをテーマに意見を交わしました。
 関連するビデオ: 自衛隊中国人民解放軍 幹部が交流会 (テレ朝news)
 自衛隊中国人民解放軍 幹部が交流会
 また、中央軍事委員会の景建峰・統合参謀部副参謀長を表敬訪問し、訪中団団長の柳田篤志1等海佐が「文化や歴史だけではなく、中国側関係者が考えていることをしっかり体で受け止める機会にしたい」と述べたということです。
 主催した笹川平和財団は、交流についてこのように述べました。
 笹川平和財団 安達一 常務理事
 「関係者の方々が互いを知っているか知っていないかというのは、非常に重要なファクター。努力の一つとしてきちんと関係性を築く努力は続けるべき」
 あす以降は陸海空軍の部隊や基地を視察するほか、社会や文化に関する研修も予定されています。
 早ければ9月にも、今度は中国軍側が日本を訪問する方向で調整しているということです。
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 7月18日17:30 YAHOO!JAPANニュース ニッポン放送「「いかに日本の自衛隊や日米同盟が無力か」が明らかに 台湾有事における「グレーゾーン事態」で
 慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が7月18日、ニッポン放送飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「日本戦略研究フォーラム」が実施した台湾有事を想定した机上演習について解説した。
 台湾有事を想定し、国会議員らが政策を検証
 【第3回台湾海峡危機政策シミュレーション】台湾有事などに関する日台首脳会談のシミュレーションが行われた=2023年7月15日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞
 民間シンクタンク「日本戦略研究フォーラム」は7月15日~16日、東京都内で台湾有事を想定した机上演習を実施し、小野寺元防衛大臣自民党の国会議員に加え、アメリカや台湾から専門家が出席した。
 飯田)2021年8月に初開催され、今回で3回目の開催となります。想定としては、中国軍による日本・台湾へのサイバー攻撃尖閣への漁民上陸という「ハイブリッド戦」。アメリカによる後方支援要請と邦人退避への対応。また、日本への武力攻撃事態の発生という、3つのシナリオについて行われました。具体的には、「海上保安庁の保安官が中国海警船の発砲で死傷者多数」などの状況まで想定されたということです。このようなときにどう対処するかは難しいですよね。
 日本政府が台湾有事のグレーゾーンのケースを想定することは難しい ~民間シンクタンクがシミュレーションを行うのは有意義
 細谷)台湾有事に関して、いままで日本、特に政府は触れてこないようにしてきました。1つは、台湾は日本政府が承認する国家ではないということ。もう1つは、今回のシミュレーションもそうだと思いますが、台湾有事のいわゆるグレーゾーンについてですね。
 飯田)グレーゾーン。
 細谷)計画的な武力攻撃ではない形、今回で言えば武装した漁民が上陸するようなケースの場合、日本政府の想定としては難しいのです。
 飯田)想定することが難しい。
 細谷)アメリカでは、ランド研究所戦略国際問題研究所CSIS)が関連したシミュレーションを行っていますが、おそらく日本政府のなかで、この手のシミュレーションはやりにくいと思います。そういった意味では、民間のシンクタンクが行うことには意義があると思います。
 今回のシミュレーションで「グレーゾーン事態において、いかに日本の自衛隊や日米同盟が無力であるか」、「法的にグレーゾーン事態のケースに対応するのが難しいか」が明らかに
 飯田)今回のシミュレーションでは、死傷者多数の状況に対して、海保を所管する国土交通大臣役の議員が「軍事的手段で解決しないという国家意思を示す」とし、海自ではなく海保での対応が可能だという考えを示したそうです。これは1つの考え方だと思いますが、どう対処するかは、国際法との照らし合わせでも難しいところでしょうか?
 細谷)今回は政府の元関係者の方がたくさん入っていますが、安倍政権のときの安保法制では……私も安保法制に関する懇談会のメンバーでしたが、グレーゾーン事態への対処については、ほとんど手が付けられなかったのです。
 飯田)グレーゾーンへの対処が。
 細谷)特に国交省防衛省、外務省がすべて関連してきますので、すり合わせが難しい。そういった意味でも台湾有事が起きるときには、おそらく今回のようなグレーゾーン事態でなければ、米軍はある意味、簡単に出動できるのです。つまり、中国としては「いかに米軍を出動させないか」が鍵になります。
 飯田)中国側は……。
 細谷)米軍を出動させないような事態をつくる。これがまさに「グレーゾーン事態」です。
 飯田)なるほど。
 細谷)自衛隊法の第76条によれば、「計画的・組織的な武力攻撃が行われなければ、自衛隊は防衛出動できない」とされています。そうなると、集団的自衛権によって米軍が関与することは難しい。今回のシミュレーションが明らかにしたのは、「グレーゾーン事態において、いかに日本の自衛隊や日米同盟が無力であるか」、あるいは「法的に今回のようなケースに対応するのが難しいか」ということだと思います。
今回のシミュレーションはグレーゾーン事態における日本の対応の弱さを浮き彫りにした
飯田)今回、ホットラインでの協議などもシミュレーションされました。中国側は漁民の上陸などに関しても「主権を行使しているだけだ」と言ってきたのに対して、もともと日本の領土に対して他国が主権を行使するのであれば、それをどのように防衛できるのか。今回は「武力攻撃予測事態」を認定した形ですが、自衛隊が完全に前に出る事態ではなく、準備だけになりますよね? もちろん部隊は動かせるわけですが、この辺りは本当に頭を悩ませるところです。
 細谷)中国は、人民解放軍と海警が軍事委員会のもとにあり、一体的な行動がしやすいのです。日本の場合は国交省海上保安庁自衛隊との間、いわゆる防衛出動ですが、この間に非常に大きな距離があります。
 飯田)大きな距離がある。
 細谷)特に国交省、海保は可能な限り防衛出動に接続したくない、エスカレーションさせたくない。日本のなかでは、中国と比較した場合、エスカレーションに対する抵抗が非常に強いのです。エスカレーション・ラダーを上がっていくことに関する躊躇が強いと思います。
 飯田)エスカレーションさせたくない。
 細谷)躊躇して動けないということは、中国からすれば、日本はグレーゾーン事態に対して効果的な対応が難しいと判断できるのです。中国の海警は、もともと人民解放軍の巨大な艦船を使っていますので、今回のシミュレーションはグレーゾーン事態における日本の対応の弱さを浮き彫りにしたのではないかと思います。
 グレーゾーン事態に対する日本の法的空白をどのように埋めるかは喫緊の問題
 飯田)ただ、このようなシミュレーションをさまざまな角度から照らしていくことには、意義があるのでしょうか?
 細谷)大変、意義のあることだと思います。政府内ではできないでしょう。特にグレーゾーン事態に対する日本の法的な空白は、深刻な問題だと思いますし、それを中国が知っていれば、そこに当然入ってきます。空白をどのように埋めるかは喫緊の問題でしょう。そういった意味でも、アウェアネスを高める効果は大きいと思います。
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