🎷111:─1─明治に作られた“エリート国家公務員時代”が終焉を迎えつつある。~No.430 

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 現代のエリートは、暗記の受験エリートであって思考の発想エリートではない。
2018-07-30
🌁12〉─1─20世紀型教育で量産された金太郎飴的平均秀才。受験官僚。勉強エリート。ヒラメ型エリート。~No.44No.45No.46・ ⑦ 
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 2024年1月11日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済オンライン「日本の「エリートたち」がもうエリートではないワケ、日本企業が長期低落している原因を作ったのは誰か
 前例のないことには対応できない人が増えているといいます(写真:Graphs/PIXTA
 グローバルな社会課題を解決してビジネスチャンスにしていく際に重要となるのが、技術革新やビジネスモデルの革新といった、イノベーションを起こしていくことだが、日本企業からは新たなイノベーションが起きていないのではないかという批判が近年では多く聞かれるようになってきた。
なぜそのようなことになったのかというと、その原因は、本来エリートだった人たちが「前例踏襲カルチャー」に陥り、企業が「ダイバーシティ」を放棄していることにあると、武庫川女子大教授で、『グローバル メガトレンド10―社会課題にビジネスチャンスを探る105の視点』著者である岸本義之氏は指摘する。
■「エリート」はもはやエリートではない
 日本では、18歳の時点で難関大学に合格した人のことを「エリート」と呼ぶ傾向がある。戦前や終戦直後の時代であれば、そうしたエリートが中央官庁や巨大企業の中枢部で若くして活躍をしてきたのであるが、高度成長が一段落して以降、特にバブル崩壊以降は、そうした人々が活躍してきたようには見えない。
 18歳時点で暗記力の優れていた人たちが難関大学に合格し、その多くが中央官庁や巨大企業に就職した、というところまでは同じなのであるが、欧米を手本にして「追いつき、追い越せ」だった時代が終わって以降は、自社の過去の成功パターンを手本にした「前例踏襲主義」がはびこるようになった。
 その背景にあるのが、日本特有の仕組みと言われる終身雇用と年功序列である。終戦直後から高度成長期には、国の経済も企業の業績も右肩上がりなので、昇進に差をつける必要もあまりなく、比較的早期に全員が昇進できていた。
 しかし、低成長経済に移行して以降は、昇進のスピードは遅くなり(つまり下積みの期間が長くなり)はしたものの、それでも昇進に差はつかず、年次重視(つまり抜擢が起きないこと)が継続した。その中で、エリート(だったはずの人々)は、黙々と下積みに甘んじ、先輩や前任者の前例を忠実に踏襲し、いつか管理職になれる日を待ち続けた。
その結果、(暗記力には優れていたため)前例を徹底的に踏襲する一方、前例のない局面に対して自力で解決策を打ち立てるという創造的な能力を培う機会がまったくないままに、順送り式に幹部に昇進した。
 現在の幹部の世代は、こうした人々であり、自力でイノベーションを起こす能力がないだけでなく、若い世代の提案するイノベーションを「前例がない」という理由で握りつぶすことに多大な貢献をしてきた。
■「ダイバーシティ」の本質がわかっていない
 終身雇用や年功序列は、戦後日本企業の大躍進を可能にした重要な要因であると考えられていた。実際、新卒で採用された社員たちが「同じ釜の飯を食う」なかで愛社精神という名の同質的なカルチャーをはぐくみ、長時間労働をいとわないという「モーレツ社員」の団結力を生み出し、このことが欧米に「追いつき、追い越せ」のスピードを速めたことに疑いはない。つまり「ダイバーシティの低さ」が日本的経営の成功の秘訣だったわけである。
 今の幹部の世代は、まさにこの洗礼を長期間受け続けた世代なので、「ダイバーシティを高めよう」という風潮に対してはいまだに懐疑的である(そう発言すると叩かれるので口には出さない)。「ダイバーシティの高い環境」を体験したことが一度もないので、それがいいことをもたらすということを理解することすらできない。
 日本の中高年男性は、「ダイバーシティ」とは男女問題のことだけだと考える。しかし、欧米では(男女平等はすでに空気のように当たり前なので)「ダイバーシティ」とは人種、国籍、宗教、文化などの多様性を認めることである。
 逆に欧米人にはまったく想像もつかないのが「新卒中心主義」という慣例である。これは日本の大企業では空気のように当たり前のことなので、日本ではこれを問題だと思う人すらいない。「中途採用をしても結局すぐやめてしまうのだから意味がない」と考える人が多数派という大企業も多い。
 そういう大企業ではイノベーションは起きよう筈もない。自分の会社以外のカルチャーを経験した人が皆無だとしたら、しかも、社員全員が忠実な前例踏襲主義者だとしたら、イノベーティブな発想をする人は出てこない。
■多様性が失われていく過程
 「出る杭は打たれる」という同調圧力を皆が感じているので、新しいこと(前例とは違うこと)を提案することに全員が躊躇する。若者の抜擢は起きないので、下積みをしている間に前例踏襲主義に染まっていく。長時間労働を美徳としてきたので、女性にとっては極端に働きにくい職場であり、管理職になる前に多くの女性が辞めていく。
 中途採用の社員は、社内のインフォーマルな人脈に入ることができず、そのために活躍の機会も見いだせず、すぐに辞めてしまう。海外現地法人に外国人をスカウトしてきても、「責任と権限があいまいで、権限がないはずの本社がいろいろ邪魔をしてくる」ことに嫌気がさし、もっと条件の良い他社にすぐに転職していく。結果として、新卒入社の日本人高齢男性が実権を握り続け、前例踏襲カルチャーをより強固なものにしてきた。
 日本の大企業からイノベーションが起きない理由は、相当根深いところにある。しかし、日本の将来に対して悲観することもない。若い世代はまだその悪癖に染まっていないからである。
 若い起業家が興したベンチャーは、最初からダイバーシティを当たり前だと考え、前例踏襲型の大企業に対してのチャンレンジャーとしてのビジネスチャンスを虎視眈々と狙っている。自ら起業を企てる若者はまだ少数派かもしれないが、ベンチャー的な企業に魅力を感じて入社する若者は増えている。
 しかも、日本では今後、若い世代の人数が減少していくことは確定している。今も新卒採用の現場で起きていることであるが、旧来型の雇用慣行の企業(どこに配属されるかもわからない)は学生に敬遠されるようになっており、内定者の目標数を下回ってしまうようになっている。
 一方で、入社してすぐの若者がベンチャー的な企業に転職していくことが普通のことになってきた。特にデジタル人材やグローバル人材に関してはひっぱりだこの状態であり、高い給料で転職していってしまう。
 このような人口環境の中で「中途採用者が活躍できない」旧来型の企業には、中途採用者が集まらないだけでなく、転職していく若者が後を絶たなくなっていく。
 他方、「中途採用者が普通に活躍している」企業には、やる気のある若者が次々に入ってくる。そうした企業は、前例にとらわれることなく、社会課題や「困りごと」を解決しようとして、技術革新やビジネスモデルの革新を推し進めていくことであろう。
■旧来型の日本企業が復活するのに必要なのは
 では、旧来型の日本企業が復活することはないのだろうか。唯一残されたチャンスは、若者を抜擢することであり、中途採用者を幹部にスカウトしてくることである。しかもその大多数が女性であれば、なおのこと望ましい。外国人が多く含まれていれば、理想的である。
 さまざまな技術をため込んできた大企業には、社会課題の解決に使える技術が大量に眠っているはずであり、社外からスカウトされてきた幹部が見たら、まさに宝の山に見えるであろう。
 若い世代が活躍することで、そうした宝の山が日の目を見ることも出てくるに違いない。何しろ世界は大きな社会課題にあふれているのであり、ビジネスチャンスはまだまだ広がっていくのである。
 岸本 義之 :武庫川女子大学経営学部 教授
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 日本の正統エリートを目の敵にするエセ保守とリベラル左派は、戦後民主主義教育から生まれたメディアと教育を使って公務員バッシングを繰り返した。
 1980年以降のキャリア官僚がエリート官僚ではなくなった。
 正統派が減少しているのは、政界・政治家でも財界・企業家、経営者でも同じである。
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 マルクス主義の超エリート層と言われる超難関校出の高学歴の政治的エリートと進歩的インテリ達は、伝統の正統エリートにはなれない。
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 事の始まりは、反天皇反日のGHQが日本崩壊の為に敗戦利得者に命じた公職追放(昭和21年1月)、皇籍追放 (皇族解体)・皇室財産(天皇家私産)没収、神道指令(昭和20年12月)から始まった。
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 1月18日 YAHOO!JAPANニュース THE GOLD ONLINE「かつて「日本は優秀な官僚で持っている」といわれてきたが…“エリート国家公務員時代”の終焉。若手が早々に打ちのめされるワケ【同志社大学教授が解説】
 かつては定年退職まで勤め上げるのが常だった公務員、とりわけ国家公務員総合職の離職が目立つ昨今。その原因の一端は「世間からのバッシング」にあるといいます。本記事では、同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科教授の太田肇氏による著書『何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造』(PHP研究所)から、公務員の実態について解説します。
 【ランキング】都道府県「公務員の定年退職金」
 官僚離れの主因
 公務員、とりわけエリート官僚は出世の階段を上るまで辞めないのが常識だった。
 ところが近年、若手を中心に国家公務員総合職の流出が目立つ。人事院の発表によると、採用後10年未満で退職した職員は、2013年から17年までは年間100人以下にとどまっていたが、2018年以降は100人を超え、2020年には109人と7年前に比べ4割以上増加している。
 また総合職の応募者は減少傾向にあり、2022年度は過去2番目に少なく、10年前の3分の2を下回る水準である※1。応募者の減少は官僚の質低下、さらには行政機能の低下にもつながるだけに見過ごせない現象だ。
 応募者が減っている原因としてしばしば指摘されるのは、国会対応などによる長時間の残業や外資系金融機関、コンサルタント会社などに比べて低い年収など、主に労働条件や待遇の面だ。
 たしかに本人の口から表向きに語られるのは、そうした労働条件や待遇面が中心だろう。しかし長時間労働にしても、民間の一流企業との待遇格差にしてもいまに始まったことではない。打ち解けた関係のなかで彼らの本音に耳を傾けると、別の理由が浮かび上がってくる。
 かつて、「日本は優秀な官僚で持っている」とか「政治は二流だが官僚は一流だ」などといわれてきた。それだけ官僚は大きな権限を握っており、世間から尊崇の目で見られてきたのだ。また幹部を退いたあとは外郭団体や大企業のトップに天下りするなど、いわば「終身エリート」としてのキャリアが約束されていた。
 ところが1999年に公布された地方分権一括法の下では、官僚が地方自治体に対して権力を誇示することもできなくなり、2007年の国家公務員法改正によって天下りも大きく制限された。さらに民主党政権のもとでいわゆる「政治主導」が進められて以来、官僚が政策の立案や事業の企画など表舞台に立つ機会が減った。要するにエリートとして活躍し、世間から尊敬される環境が崩れてきたのである。
 ※1 組織をインフラストラクチャーと位置づける理論については、太田肇『仕事人(しごとじん)と組織︱インフラ型への企業革新』有斐閣、1999年を参照
 国家公務員のモチベは給与水準や労働環境ではない
 欲求階層説で知られる心理学者のマズローは、承認欲求をつぎの二つに分類している。
 一つは「強さ、業績、妥当性、熟練、資格、世の中に対して示す自信、独立と自由に対する欲望」である。もう一つは「他者から受ける尊敬とか尊重と定義できるいわゆる評判とか名声、地位、他者に対する優勢、他者からの関心や注意、自分の重要度、あるいは他者からの理解に対する欲望」である※2。
 国家公務員の総合職として採用されるような人たちの多くは、子どものころから受験戦争を勝ち抜き、周囲から優等生として見られてきた。就職に際しては、その延長で進路を決める。当然、大学の先輩から現場の情報も入ってくる。そのため活躍して尊敬される職業として公務員の魅力が薄れたら、実力次第で若くても活躍して存在感を示すことができる外資系金融機関や、コンサルタント会社などに進もうとする者が増えるのは納得がいく。
 心理学者のF・ハーズバーグは職務満足に関係する要因を二種類に分け、満足に関係する要因を「動機づけ要因」、不満足に関係する要因を「衛生要因」と名づけた。
 この分類によると、給与や職場の労働環境は衛生要因であり、「達成」や「承認」は動機づけ要因である。したがって優れた人材を引きつけ、やる気を引き出すには、仕事を通して達成感を味わえたり、社会的に認められたりすることが大切であり、給与水準や労働環境を改善するだけでは不十分なのである。
 ※2 太田肇『個人を幸福にしない日本の組織』新潮社、2016年、第7章
 「公務員バッシング」による弊害
 さらに注目すべき点は、公務員に対する世間の目が厳しくなり、「公務員バッシング」が広がってきたことである。

不況期には安定した地位や相対的に恵まれた公務員の給与・ボーナスがマスコミによってやり玉にあげられる。一握りの公務員が起こした不祥事や問題行動の情報が、マスコミやSNSを通じて拡散される。大多数の国民・市民の現状を肯定する声、好意的な声が、一部から発せられるネガティブで大きな声にかき消されてしまう。
 公務員のモチベーションは正義感や善意、そして承認欲求、社会的承認というデリケートで壊れやすい要素によって支えられている。それだけに、公務員バッシングの広がりが、公務員と国民・市民との関係を質的に変えるきっかけになりかねない。
 〈奉仕に対する感謝〉〈優秀さと矜持に対する尊敬〉という信頼に基づく善意の関係が崩壊したとき、〈義務に対する権利〉〈怠慢に対する監視〉といった相互不信に基づく悪意の入り交じった関係へ移行するのである。それがいかに危険な要素をはらんでいるかを考えなければならない。
 以前、ベテラン消防士から聞いた話が忘れられない。消防士の仕事はしばしば身の危険をともなう。ときには、あえてリスクを負わなければならないケースもある。そのようなとき、たまに頭をよぎるのはつぎのような記憶だという。
 「公用車で弁当を買いに行っていた」「仕事中に菓子を食べていた」という類の些細なことについても市民から役所に通報が入る場合がある。すると上司から型どおりの注意を受ける。火災現場でギリギリの判断が迫られたとき、クレームを受けた経験が脳裏に浮かび、火のなかに飛び込むのを躊躇することがあるというのだ。もしかすると、その陰で人命が左右されているかもしれない。
 度を越したバッシングがもたらす弊害
 相互不信に基づく関係の行き着く先は、いわゆる官僚主義である。市民に対しては形式的な手続きを求める一方、自らは最低限の仕事しかしないといった姿勢がそれだ。規則を盾に身を守る官僚主義は、公務員に対するバッシングや厳しい要求から身を守る最強の防御手段なのである。そのため世間の批判や要求が強まるほど、公務員の官僚主義的な振る舞いが目につくようになる。
 かつて改革派の首長によって職員の仕事ぶりや日常的な行動に対する管理が厳しくなった自治体で、住民の口からつぎのような声が聞かれた。
 「窓口へ申請に行ったとき、以前なら少々記載ミスがあっても修正すれば受け付けてくれたが、いまはちょっとしたミスでも受け付けてもらえなくなった」
 「以前は休日のボランティアに市職員が大勢参加していたが、最近は姿を見なくなった」。
 また役所内では、こなすべき仕事が終わっていなくても、権利を主張して年次有給休暇をめいっぱい取得する職員が増えたという声も耳にする。ルールや建前を前面に出してサービスを控えるのである。
 これは狭い意味での公務職場に特有の現象ではなく、個人の倫理観や良心に依存するような仕事ではどこにも起こりうるリスクである。ただ組織論や行政学を少しでも学んだ人たちなら、ここでいう官僚主義と本来の官僚制との間に大きなギャップを感じるのではなかろうか。
 M・ウェーバーによれば、官僚制は支配の三類型の一つである「合法的支配」を行うためのシステムである※3。つまりルールに基づいて公正で合理的な職務の執行を行う制度であるはずだ。
 ※3 川端裕人『PTA再活用論』中央公論新社、2008年、176頁
 太田 肇
 同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科
 教授
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 2023年12月1日 資産形成ゴールドオンライ「[連載] 統計から紐解く日本の実情2022~2023【第984回】
 59歳では月給51万円だったが…「エリート国家公務員」60歳で手にする唖然の給与額「もう、やっていられません」
 SGO編集部
 統計 調査 国家公務員 定年延長
 国家公務員の定年年齢は2023年から段階的に引き上げられ、65歳定年となります。それに伴い、給与はどのように変わるのでしょうか。みていきましょう。
 59歳では月給51万円だったが…「エリート国家公務員」60歳で手にする唖然の給与額「もう、やっていられません」(※写真はイメージです/PIXTA
国家公務員の定年…「60歳」→「65歳」に延長
 2013年に施行した『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)』により、2025年4月から、企業には「65歳までの雇用確保」が義務づけられます。また2021年には改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は「70歳までの雇用確保」が努力義務となっています。
 あくまでも雇用確保であり「65歳まで正社員として雇ってくれる」「70歳まで正社員でOK」というわけではありません。「60歳で定年退職」→「希望すれば契約社員や嘱託社員などで再雇用となり働き続けられる」というのが一般的なようです。
 厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めている企業割合は94.4%。そのうち「60歳」を定年としているのが72.3%。そして「65歳以上」としている企業は24.5%です。
 また同じく厚生労働省『令和4年高年齢者雇用状況等報告』によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%。また70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は27.9%。その内訳を見ていくと「定年制の廃止」は全体の3.9%、「定年の引上げ」は2.1%、「継続雇用制度の導入」は21.8%、「創業支援等措置」は0.1%となっています。
 民間企業では、65歳、さらには70歳まで安心して働ける環境が整いつつあるなか、公務員はどうなのでしょうか。国家公務員に関していえば、2021年6月に成立した「国家公務員法等の一部を改正する法律」(令和5年4月1日施行)により定年年齢が60歳から引き上げられることが決定。2023年~2024年度に61歳、2025年~2026年度に62歳、2027~2028年度に63歳、2029年~2030年度に64歳と段階的に引き上げられ、2031年度には65歳まで延長されます。
 民間企業では70歳、さらにはその先も視野に環境整備が進められていますが、国家公務員の場合は、まず「65歳定年延長」で、60歳以降も働きたいという人の要望に応えています。
 国家公務員の定年年齢は2023年から段階的に引き上げられ、65歳定年となります。それに伴い、給与はどのように変わるのでしょうか。みていきましょう。
59歳では月給51万円だったが…「エリート国家公務員」60歳で手にする唖然の給与額「もう、やっていられません」(※写真はイメージです/PIXTA
 初めて経験する「大幅な給与減」にエリートは…
 もともと公務員には「再任用制度」があり、定年退職前の職員と同様の本来的な職務に従事できる制度がありました。今回の定年延長により2023年4月に廃止。65歳延長完了になるまでは、定年退職した職員を再任用職員(フルタイム、または短時間勤務)として採用することができる「暫定再任用制度」が設けられます。
 制度の変更により、気になるのは給与はどうなるのか。人事院の資料では、60歳を境に、非管理監督職であれば41万円→28万円に、役職があれば51万円→役職定年で41万円→さらに35万円に。定年前後で給与は7割程度になるとしています。
 また退職金は65歳定年前に退職した職員が不利にならないよう、60~65歳で退職した人は、当分の間は退職事由を「定年退職」として算定するとしています。
 【60歳に達した職員の給与】
 〈非管理監督職の例〉
◆60歳に達する前
 月給与:41万0,200円※行政職(一)6級85号俸(本府省課長補佐級)
 ↓
◆60歳に達した日後の最初の4月1日
 月給与:28万7,100円※行政職(一)6級85号俸
 〈役職定年の場合〉
◆60歳に達する前
 月給与:51万0,100円※行政職(一)9級22号俸(本府省課長級)
 ↓
◆60歳の誕生日(役職定年による降任に伴う降格)
 月給与:410,200円※行政職(一)6級85号俸(本府省課長補佐級)
 ↓
◆60歳に達した日後の最初の4月1日
 月給与:35万7,100円※行政職(一)6級85号俸
 <60歳に達した職員の諸手当>
 7割水準となる手当:地域手当、期末・勤勉手当等
 7割水準とならない手当:住居手当、扶養手当、通勤手当
 出所:人事院『国家公務員の60歳以降の働き方について (概要)』より
 60歳で定年→仕事を引退となると、65歳の年金支給までの5年間、無収入になる問題があります。国家公務員がどんなにエリートだろうと「収入ゼロ」という期間があるのは不安でしょう。60歳以降もより安心して働ける環境整備は、エリート国家公務員であっても大歓迎なはずです。
 問題は「給与減」を乗り越えることができるのか。会社員でも、多くの人は年を重ねるごとに給与アップを経験し、役職定年が定年前にない限り、ずっと給与は上がり続けるという経験をしているでしょう。公務員であれば、その傾向はより顕著です。つまり60歳での「大幅な給与減」は初体験。それでも仕事へのモチベーションを維持できるかといえば、なかなか難しい問題かもしれません。
 ――給与、こんなに減るんだ……もう、これではやっていられない
 株式会社パーソル総合研究所が行った『シニアの就業実態・意識調査』によると、60歳以降の転職理由として多いのが「給料に不満がある」で全体の18.3%。約5人に1人は給与に納得がいかず、60歳を超えてから転職を経験しています。
 国家公務員の定年を引き上げる理由は、年金待期期間の無収入状態を是正することのほか、人手不足への対応もひとつ。65歳に定年を引き上げたものの、給与の大幅減で退職者続々となっては意味がありません。エリートたちのモチベーションをいかに維持するか……大きな課題です。
 [参考資料]
 厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』
 厚生労働省『令和4年高年齢者雇用状況等報告』
 人事院『国家公務員の60歳以降の働き方について (概要)』
 株式会社パーソル総合研究所『シニアの就業実態・意識調査』
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