🐇5:─1─コロナ禍で急加速した日本社会の老化。直面する厳しすぎる現実。~No.5 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2024年2月1日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「コロナ禍で急加速した「日本社会の老化」…これからこの国が直面する「厳しすぎる現実」
 人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
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 100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来のドリル』は、コロナ禍が加速させた日本の少子化の実態をありありと描き出している。この国の「社会の老化」はこんなにも進んでいた……。
 ※本記事は『未来のドリル』から抜粋・編集したものです。また、本書は2021
年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。
 日本の弱点を突かれた
 年間出生数の推移と予測
 新型コロナウイルス感染症パンデミック(世界的な大流行)によって社会が大きく変貌したことは、誰もが知る「常識」である。だが、コロナ禍で見えた本質的な課題を分かっている日本人は、いったいどれくらいいるだろうか? 
 感染拡大に伴って、マスクやアルコール消毒、ソーシャルディスタンス(社会的距離)などが、すっかりニューノーマル(新常態)となった。テレワークが普及して在宅勤務も珍しくなくなった。外国人の姿はめっきり減り、オフィスの縮小や飲食店の廃業など、中心市街地はその姿をどんどん変えた。
 世の中は大騒ぎしているが、こうした“小さな変化”の多くは一過性で終わるだろう。感染が収束し、マスクなしで気兼ねなく外出できる日常が戻ったら、元通りとなる。
そもそも、コロナ禍をきっかけに目の前に現れた変化のほとんどは、新たに起きたことではない。「コロナ前」から日本の弱点であった。コロナ禍はそこを突き、「積年の宿題」をあぶり出したのである。それを放置すれば日本が行き着く「由々しき近未来」を予告編のように見せ、一気に時間を進めたと理解すべきなのである。
 コロナ禍が残した最大の爪痕は、少子高齢化とそれに伴う人口減少の悪化であった。いわずと知れた、わが国一番の国難だ。コロナ禍がこれに与えた影響は、“一過性の変化”とはいかない。深刻さの度合いが違い過ぎる。
 それはまず、婚姻件数の激減という形で始まった。厚生労働省の人口動態統計月報(概数)で2020年1~11月を見ると、前年同期間比で12.3%減った。婚姻件数の落ち込みは、出生数の減少に直結する。すなわち人口減少だ。出生数減少の流れは2021年に入っても続いている。人口動態統計速報で1~3月を「コロナ前」であった2020年の1~3月と比べてみると、驚くことに9.2%下落したのだ。
 こんなペースが続いていけば、2021年の年間出生数の大暴落に続き、2022年は、少子化が従来の想定より四半世紀も前倒しされる可能性が出てくる。そんなことが現実になったら、日本社会は取り返しのつかないダメージを被ることになる。
日本社会の深層にある「老化」
 もう1つ、コロナ禍があぶり出した人口減少の難題がある。
 コロナ禍においては、「ワクチン敗戦国」と言われるほど日本政府の対処能力の低さが露呈した。ワクチン以外でもデジタル化の遅れ、世界一の病床数を誇りながらの医療崩壊、ザルのような水際対策、いつまでも拡充されないPCR検査など枚挙にいとまがない。“国家としての衰え”を感じた人も多かったことだろう。
 「国民はみずからの程度に応じた政治しかもちえない」(松下幸之助)とも言うように、政府の失態は日本社会の姿を映し出しているわけだが、もう1つの難題とは、なぜ日本がここまで落ちぶれてしまったのか、その理由にある。日本社会の深層にある「老化」だ。
 「社会の老化」と呼ぼう。それは、少子高齢化の行きつく先である。質の悪い「国家の病巣」とも言うべきものだ。すべての年代の人々の思考を守勢に追い込み、“無難な道”を選ばせていく。挑戦する気力を吸い取ってしまう“邪気”だ。
 出生数の減少が直接的に日本社会を破滅へ導くとすれば、「社会の老化」は真綿で首を締めるように、内側から崩壊させる。国民の目に見えづらいぶん、「社会の老化」のほうが厄介で、影響の及ぶ範囲が広い。
 「社会の老化」が起きるのは、国民が歳を取ったからである。と言っても、単に高齢者が増えたということではなく、あらゆる場面において平均年齢が高くなっているということだ。かつてならもっと若い世代が担っていたポジションや役割に、ベテランが就いている例は少なくないだろう。どうしても“慣れ”が生じ、発想が硬直化してしまうのである。
 「社会の老化」は平時にはあまり意識されることはないが、コロナ禍のような社会全体に非常に大きなストレスがかかる局面で表面化しやすい。
 「社会の老化」はまず「高齢者の消失」として現れた。消失といっても死亡者数が増えたという話ではない(むしろ、インフルエンザによる死亡数が7割減るなどして、2020年の国内死亡数は11年ぶりに減少した)。
 感染を極度に恐れて自宅に閉じ籠もりがちとなった高齢者が少なくなかったのだ。自主的に通所介護サービスの利用を控える人も相次ぎ、1週間に1回程度の買い物以外は自宅で過ごしているといった極端なケースまで見られた。
 一度染みついた高齢者の恐怖心は、簡単には払拭されない。新型コロナウイルス感染症が収束したとしてもウイルスそのものが消えてなくなるわけではなく、高齢者の消費マインドがどこまで戻るかは分からない。現在の高齢者数は3600万人余であり、仮に消費額が平均で1割減ったならば、マーケットが360万人分縮むようなものだ。
 河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
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