⏱44:ー1ー中国共産党の日本に対する陰謀論。垣間見える中国社会の反外国人感情。~No.109No.110 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 共産主義者による反天皇反民族反日陰謀論は、
 旧陸軍大将・今村均氏は、中国共産党が60年安保で荒れる日本の日教組日本共産党、反天皇反民族反日的日本人らに対して日本転覆のカギは「皇室と神社とより隔離」にあるとの指令を出した事を公表した。
 「中共の対日工作員である陳宇氏は、我が共産党員である日教組の幹部である赤津益三氏に対し、暗号電報により、6月1日『われわれは、この度の諸君の勇敢なる革新運動に敬意を表する。しかし貴国の革新は、民族をして、皇室と神社とより隔離せしめない限り、その実現は至難と思う』というような指令を打電した」(『修親』昭和41年1月号)。
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 昭和50(1975)年まで 首相の靖国神社参拝は当たり前に行われていた。
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 昭和60(1985)年 中曽根康弘首相は、中国の非難を受けて来年の靖国神社公式参拝を中止すると発言した。
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 平成5(1993)年 細川護熙首相は、太平洋戦争(大東亜戦争)を「侵略戦争だった」と認めた。
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 平成7(1995)年 村山談話村山富市首相による「戦後50周年の終戦記念日にあたって」と題して閣議決定に基づき発表した声明。
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 平成8(1996)年 李鵬発言「日本は40年後には消えるかもしれない」。
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 平成13(2001)年 唐家旋外務大臣は首相の靖国神社公式参拝中止を「厳命」した。
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 レーニンは、世界人民革命戦略から、中国共産党日本共産党など極東アジア共産主義者に対して、日本とアメリカを戦争させ世界戦争に拡大し、西洋列強の富と力の源であるアジアの植民地を解放するように示唆した。
 つまり、軍国日本が戦った日中戦争や太平洋戦争はレーニンが仕組んだ謀略であった。
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 2024年6月28日 MicrosoftStartニュース アサ芸biz「【中国】相次ぐ日本人刺傷事件 「台湾有事」で反日感情が爆発する在留10万人危機
 © アサ芸biz
 日本と中国との緊張関係が続く中、中国・江蘇省の蘇州で6月24日、日本人親子がナイフで刺される事件が発生した。蘇州日本人学校のスクールバスが下校中の生徒を乗せてバス停に到着した際、50代の中国人の男が所持していたナイフで生徒を迎えに来ていた日本人女性と一緒にいた子供2人をナイフで刺した。幸いにも2人は軽傷だったが、スクールバスに同乗していた中国人の女性も刺され死亡。犯人の動機など詳しいことは分かっておらず、在中国日本大使館は日本人に対して注意を呼び掛けている。
 だが、4月にも同じようなことが起こっている。蘇州市内の日本料理店が並ぶエリアで日本人男性が中国人とみられる男にナイフで切りつけられる事件が発生し、男性は軽傷を負った。この事件現場は今回起きた事件の現場から500メートルほどしか離れていない。中国政府やメディアはこの事件について当時一切報道しておらず、蘇州の日本領事館も注意の呼び掛けをしなかった。
 いずれの事件も犯人が日本人を意図的に狙っていたかは分からない。しかし、今後の日中関係の行方を考慮すれば、こういった事件が増加する可能性が高い。今日、南シナ海では中国海警局の巡視船によるフィリピン船への暴力が激化しているが、これが尖閣諸島周辺でも生じる可能性がある。最近、巡視船の中には機関砲などを装備したものも見られ、ここで攻撃が激化すれば日中関係は一瞬のうちに悪化し、中国市民の日本への反感や怒りが増発するだろう。
 2012年9月に当時の野田政権が尖閣諸島の国有化を発表した際、中国各地で反日デモが拡大し、パナソニックトヨタなど日本企業のオフィスや工場が破壊され、日系スーパーやコンビニでは略奪行為が横行した。また、台湾情勢を巡って緊張が激化した際も、日本は米国と協力する形で中国と対峙することになるので、台湾有事の勃発はすぐに中国市民の反日感情をあおり立てることになろう。今日、中国には10万人あまりの日本人が在留するが、こういったリスクが常にあることを自覚しなければならない。
 (北島豊)
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 6月28日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「蘇州日本人学校バス襲撃事件の背景に、中国でまかり通る「日本蔑視策」
 拡散された「日本人叩き」の動画
 6月23日午前10時、中国を代表する経済紙「観察者ネット」のSNS「微博」(Weibo)で、日本人に関するVTRがアップされた。そのトップ画面には、中国語で「日本人が中国人に成りすまして、バキスタンでただ食い」と書かれていた。
 元都知事目線で見る「都知事選の争点」…インバウンド頼りでなく再び「稼げる都市」に
 そのVTRを制作したのは、「風聞社区」というハンドルネームのチームだった。河南省の政府系メディア「大象新聞」がその映像を流し、「観察者ネット」に転載されたのだ。映像には、2人のバキスタン人らしき男性が、ある建物の庭で、制作者らしい中国人と中国語で話している。
 「自分は中国人で、中国とバキスタンの友好関係を考え、カネ(食事代)を払わないと言っている。しかしその後、その客は中国人ではなく、日本人だとわかった」(映像からの要約)
 最後に、「中国人なら必ず(食事代を)支払うと、(日本人の)彼に言っておいて」と、撮影者が述べて映像を締めくくった。
 以上だが、この日本人を貶(おとし)める映像には、いくつかの疑問点があった。日本人が無銭飲食したという店の名前もなければ、現地のウルドゥ語を話した場面も少なかった。主に、映像を撮る中国人と、中国語を話すバキスタン人(とされた人)の対話だった。加えて、日本人が中国人と名乗り、店に偽った根拠もなかったのだ。
 その映像は、中国人が中国人のために作ったものであることが一目瞭然だ。それにもかかわらず大新聞のネット媒体に載ってしまうのだから、作り手も中国政府系の人物である可能性が否定できないのではないか。
 だが、このような虚偽報道を政府系マスコミが行うと、一般の中国人は信じてしまい、その影響は大きい。多くの中国人は、いまだ外国に行ったこともないのだ。
 実際、映像が「微博」でアップされたその日にすぐ、PVランキングで2位になった。18時間20分を過ぎた時点で、PVは2.3億、書き込みは2.3万件に達した。これは日本として要注意である。
誇張される中国の報道
 そもそも歴史問題に関して、中国人の日本に対する感情は複雑だ。しかし、かつて毛沢東主席や周恩来首相は、「日本の軍国主義は悪いが、日本人民には罪がない」と述べた。こうしたリーダーたちの発言もあってか、中国の人々は、戦争で同様にひどい被害を受けた日本人に対して、同情的だった。しかし、いまはそんな雰囲気はない。
 いまの中国では、中国共産党中央宣伝部の指示で、外国の悪辣さや、災害あるいは社会事件、犯罪などを、誇張して報じる傾向が強い。中国がいかに素晴らしい国かを際立たせるのが目的だ。
 特に、米国を敵とみなし、その同盟国もけなすようになった。日本も「戦略的互恵関係」の国ではなくなり、批判や揶揄、侮蔑の対象となっている。
 5月下旬から中国では、「日本の人食いバクテリア」(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)のニュースが増えている。それで中国人は、大騒ぎしているのだ。
 「48時間で死亡に至る、日本の人食いバクテリアの感染者が史上最多。わが国まで感染が広まるのか? 日本への旅行を自粛すべきだ」(「半島都市報」6月20日)
 「人食いバクテリアが日本で蔓延、感染すると48時間で死に至る」(中央テレビ(CCTV)ネット 6月17日)
 「日本の人食いバクテリアの感染例が増加」(新華社、4月3日)
 ニュースとして報道する意味は分かるが、気になるのは表現の仕方である。中国語では「食人菌」と表現されるだけではなく、「日本食人菌」と書かれたりしている。
 日本を貶める風潮
 周知のように、新型コロナウイルスが蔓延した頃、世界が「武漢肺炎」「中国ウイルス」などと呼ぶことに、中国は国を挙げて猛烈に抗議した。しかしいまや、「日本食人菌」と、政府系メディアが平気で報道している。特に、国営新華社通信がこの言葉を使うということは、中国政府の「了解」があったとしか思えない。福島第一原子力発電所が放出する「ALPS処理水」を、中国だけ故意に「核汚染水」と呼び続けているのと同じだ。
 そこには、日本及び日本人を貶めるという意図を感じる。中国を代表するSNS「抖音」(ドウイン 中国版TikTok)」では、中国人が日本人に扮して、中国人を「支那猪」(シナ豚野郎)と呼ぶVTRが数多くある。福島のALPS処理水を批判する映像にも、大量の魚の死骸などを加えて、被害を粉飾している。
 中国人は、そうしたニュースや映像に接していると、日本に対してなら、何をしても構わないと勘違いするだろう。こうした風潮を放置しておくと、日本人に被害が及ぶのは時間の問題だ――。
 そんなことを思っていたら、6月24日、中国の蘇州で日本人学校のバスが襲撃される事件が起こった。
 日本は、中国に対して言うべきことを言って、間違いを正すべきだ。これこそが日本政府の当面の急務ではないだろうか。
 林 愛華
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 6月28日 MicrosoftStartニュース Record China「日本の大陸棚拡大に中国が反発―中国メディア
 27日、環球時報は、日本政府が大陸棚拡大を閣議決定したことについて、中国外交部が「国連海洋法条約に反する」と反発したことを報じた。
 © Record China
 2024年6月27日、中国メディアの環球時報は、日本政府が大陸棚拡大を閣議決定したことについて、中国外交部が「国連海洋法条約に反する」と反発したことを報じた。
 記事は、中国外交部の毛寧(マオ・ニン)報道官が27日の定例記者会見で、記者から「日本政府が25日、小笠原諸島の父島東側海域の大陸棚を12万平方キロメートル拡大することを閣議決定した。日本は国連海洋法条約に基づき大陸棚の海底資源を優先的に調査する姿勢を示している。中国政府としてコメントはあるか」と質問を受けたと紹介した。
 そして、毛報道官が「国連の大陸棚限界委員会が2012年に出した小笠原諸島以遠の大陸棚の限界を変更する提案について、日本は現在まで受け入れていないだけでなく一方的に主張を拡大した。日本のやり方は同条約の規定や国際的な実践にもとるものだ」と批判し、「同委員会の提案を踏まえて画定する限界こそ確定性と拘束力を持つ。そうでないものは国際社会から認められない。条約締約国が提出した大陸棚限界拡大申請は、同条約で確立された人類が共同で財産を継承する原則に厳格に基づき、国際的な海底区域を侵犯したり、国際社会全体の利益を損なったりしてはならない」と述べたことを伝えている。
この件について、中国のネットユーザーは「それでは、われわれは釣魚島(尖閣諸島の中国名)から東の120万平方キロを拡大しようじゃないか」「わが国も大陸棚を拡大したら、日本も含まれるようになるのでは?」「日本人の『領土』に対する野心はいまだに消えていない」「何か事を起こそうと考えているな」「軍備拡大の序曲だ」「守れる実力がなければどんなに拡大しても無駄」といった感想を残している。(翻訳・編集/川尻)
 関連するビデオ: 動画:豪に貸し出しのパンダのつがい、交代へ 中国首相が表明 (AFPBB News)
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 6月28日 MicrosoftStartニュース Record China「日本人学校への“陰謀論”垂れ流し、母子襲撃事件は本当に「偶発的」だったのか?―シンガポールメディア
 © Record China
 シンガポール華字紙・聯合早報は27日、中国・江蘇省蘇州市で起きた日本人母子襲撃事件の背景について報じた。
 6月10日、吉林省吉林市の公園で米大学許員4人が刃物で襲われ、止めに入った中国人1人を含む5人が負傷する事件が発生した。また、24日には江蘇省蘇州市でスクールバスを待っていた日本人の母親と子どもが男に刃物で襲われ軽傷を負い、止めに入った中国人女性は重体となった後、死亡が確認された。
 蘇州市での日本人母子襲撃事件後、中国のメディアは香港に拠点を置くメディアを除いてほぼ「沈黙」状態だったが、翌日の外交部定例会見で記者からの質問に報道官が対応し、現地警察も「通知」を発表、メディアもそれに続いてようやく報じ始めた。
 中国が「個別の事件」にしたい理由
 聯合早報の記事は「中国外交部と警察当局の説明は、半月前の吉林省の襲撃事件と同様に『偶発的な事件』であることを強調した」とし、外交部の毛寧(マオ・ニン)報道官が「こうした偶発的な事件は世界のどの国でも起こりえるものであり、中国側は中国国民を守るのと同じように外国人の安全を守る」と述べたことを紹介。「日本総領事館の職員も日本人を狙った犯行という証拠はないとしているものの、現地で暮らす多くの日本人は不安を募らせ、外出を控えている」と説明した。
 一方、中国ではこのほかにも襲撃事件が多発していると指摘。5月7日に雲南省の病院で刃物による襲撃事件が起き2人が死亡、21人が負傷したこと、5月20日には江西省貴渓市の小学校で女が刃物で人々を切り付け2人が死亡、10人が負傷したこと、6月19日には上海の地下鉄でやはり刃物による襲撃事件が起き3人が負傷したことを挙げた。
 その上で、「上記の3件の事件について犯人の背景や動機はいずれも不明だが、吉林市と蘇州市の事件は類似点が多い」と指摘。「被害者はいずれも外国人で、止めに入った現地人が負傷(死亡)した。犯人は共に50代前半の無職。吉林省の事件では公園内を歩いていてぶつかったことがきっかけとされているが、なぜ男は公園に刃物を持っていったのか。蘇州市の事件ではスクールバスを狙った計画的犯行だった可能性が高い」と論じた。
 記事は、「中国経済は近年減速しており、無職者が増加している。一部の人は不満を募らせ、『社会への報復』として過激な行動に出る。その中に外国人を狙った犯行があるのか。中国政府の立場からすると、現在積極的に外資や観光客を受け入れて経済成長を促そうとしている点、また社会の安定を維持しなければならないという点から、これらを『個別の事件』にしたいところだろう」と分析した。
 日本人学校に関するさまざまなデマ
 聯合早報の記事は、「近年、日中関係は領土問題や歴史問題でたびたび揺れてきた。日本が昨年8月に福島第一原子力発電所の汚染処理水の海洋放出を開始すると、中国の民間で対日感情が悪化し、蘇州や青島の日本人学校に石や卵が投げつけられた」と説明。一方で、「中国のインターネット上では日本人学校に関連したさまざまなデマが出回っており、今回の蘇州襲撃事件との関連性を考えざるを得ない」と述べた。
 そして、デマについて「中国には35もの日本人学校があり、世界全体の日本人学校の40%を占める。中国国内の日本人学校は『独立王国』であり、外界から遮断され、日本人の生徒だけを募集して中国人は受け入れず、中国政府の管理を受けず、中国人の接近すら禁止している」というもので、こうしたデマはSNSで拡散され、多いものだと10万回以上の閲覧回数を記録していると紹介。
 一方で、実際は「2023年4月15日現在、中国内の日本人学校は15で、世界全体に占める割合も16%ほど。日本人生徒しか募集していないのは確かだが、それは中国の教育当局による『中国公民の子女を入学させてはならない』という規定によるもの。日本人学校の活動については中国政府が管理しており、公式サイト上には活動情報も掲載されている。禁止しているのは中国人の立ち入りではなく部外者の立ち入りであり、これは中国の普通の小中学校でも同様だ」とした。
 また、「最も奇妙な陰謀論」として、「日本人学校は、外見で中国人と区別できないスパイを養成することが目的であり、何十万人もの日本人が目に見えない水のように中国社会に溶け込み、さまざまな業界に潜伏して中国の情報を海外に流している」という根も葉もない言説があることや、「日本人学校を卒業すれば中国国籍を取得できる」とのデマまで存在すると説明。このデタラメだらけのいいかげんな陰謀論に疑問を投げ掛けると、他のネットユーザーから袋だたきに遭うのだとした。
 事件は本当に「偶発的」だったのか?
 記事は、「世界各地のネット上で陰謀論が流行するのは避けられないことだが、一部の中国ネットユーザーの日本人学校に対する妄想と不安は、中国の多くのセルフメディア(自メディア)が民族感情を利用して憎しみを広めることでトラフィックを稼ぐ風潮を反映している」と指摘。中国政府も今年初めに、愛国主義を振りかざした言いがかりの取り締まりを開始したことを伝えた。
 そして、「日本人学校は中国に駐在する日本企業の従業員の子どもたちのために設置されたもので、中国の対外開放と日中交流の産物である。中国で学習するのは安全ではないと判断されれば、日本企業の中国撤退が加速することもあり得る」と言及。中国のネット上で日本人学校へのデマや憎しみがあおられ続ける中で起きた今回の事件について、「本当に『偶発的』だったのだろうか?」と論じた。(翻訳・編集/北田)
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 6月28日 MicrosoftStartニュース JBpress「中国での日本人母子刺傷事件は本当に「偶発」か?弱腰日本は格好のターゲット、反日高揚の危険な周期に
 福島 香織
 中国は監視社会だが…(写真:Zapp2Photo/Shutterstock)
 © JBpress 提供
 江蘇省蘇州市で6月24日、日本人の母親と男児が中国人男性に切りつけられた。スクールバスを待っていたという。
 当局は「偶発事件」と説明するが、2週間前には吉林省吉林市の公園で米国人4人が襲撃されており、外国人排斥の機運が高まっているのではないか。
 そもそも日本はこうした事件に対して弱腰で狙われやすい。数年おきに反日機運が高まる周期にいま突入しており、警戒が必要だ。(JBpress)
 (福島 香織:ジャーナリスト)
 江蘇省蘇州市で6月24日、スクールバスの停留所で待っている日本人の母親と男児が中国人男に突然切りつけられ負傷した。男はスクールバスに乗り込もうとしたが、バス案内係の中国人女性が体を張って阻止。女性も刺されて意識不明の重体という。
 日本人母子には生命の危険はないという。日本の子供たちを守るために大けがを負った中国人女性の早い回復を祈るばかりだ。
 犯人はすぐ捕まったが、動機はまだ明らかにされていない。容疑者は52歳の蘇州に出稼ぎにきていた現在無職の男。2週間前に、吉林省吉林市の北山公園で米国人4人を含む5人がやはり失業中の55歳の男に突然切りつけられて負傷した。わずか2週間の間に、外国人が被害者となる襲撃事件がかさなり、中国社会に蔓延する排外的感情からくる現代版義和団事件ではないか、という見方も広がった。
 吉林省の事件については私もこのコラムで紹介したが、その時に感じた、次に被害者になるのは日本人ではないかという嫌な予感が的中してしまった。
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 米国人講師4人はなぜ中国で刺されたか?吉林省の公園で白昼に襲撃、当局は偶発事件として処理するが背景を探ると…
 外交部報道官の毛寧は、この事件について記者から質問を受けて、「偶発事件」であると強調。日本人が狙われた事件なのか、という質問に対して「世界中どこでも起こっている事件だ」と正面からの回答をさけた。そして「中国は世界で一番外国人にとって安全な国の一つ」と主張した。
 だが、私はこれは、起こるべくして起きた必然的事件だと思う。注意喚起の意味もこめて、改めてその根拠を説明したい。
 中国は「世界一安全な国」はある意味正しいが…
 中国が外国人にとって世界で最も安全な国の一つである、という主張はある意味正しい。だがそれは過去の話になりつつある。
 中国は世界有数の監視国家。AI監視カメラは全国津々浦々に配置され、犯罪者の検挙率は格段に上がった。また外国人記者や駐在員の行動、言動は特に緻密に監視されているので、その分、犯罪に巻き込まれにくいともいえる。
 江蘇省蘇州市で日本人の母子が切り付けられた。現場と見られるバス停(写真:共同通信社
 © JBpress 提供
 私が北京に駐在していた2000年代の初めは、まだ監視カメラはそんなになかったが、当局の尾行などが普通にあり、おかげで夜道も安心だった。ときに「あなたの安全のために」という理由で、あそこに行くな、ここに近づくなと注意を受けたことも度々あった。
 軍事管制区内の友人宅に行こうとすると、突然携帯電話が鳴って、当局の監視員らしい人が、「君は自分がどこにいるのかわかっているのか」と注意された。だが、そのおかげで、スパイ容疑をかけられて身柄を拘束されることもなかった。
 「あなたの安全のため」というのは、半分くらい本音だろう。2008年夏季五輪を控えた当時の中国は国際社会の新たな大国として台頭しはじめていたころであり、国際社会に対する大国の責任を果たし、メンツを守ることに非常なこだわりを持っていた。当時は確かに、外国人の安全は中国人の安全より重視されていたと実感できた。
 だが、中国における「外国人の安全」は国際社会に対するメンツから、やがて外交駆け引きのカードになっていった。
 習近平政権で「外国人はスパイ」に
 それがはっきり可視化されたのは、尖閣諸島周辺海域で起きた日本の海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突したときだ。中国人船長が逮捕された報復に、日本のゼネコン・フジタ社員がスパイ容疑で拘束された事件が起きた。
 この時、中国のやり方は「人質外交」と非難されたが、船長釈放という目的をかなえることができ「人質外交」は成功体験となった。中国は国内の外国人駐在者らを保護しつつ、外交カード、人質予備軍とみなすようになった。
 習近平政権で排外主義は強まった(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
 © JBpress 提供
 さらに習近平政権になってイデオロギー統制が強化されると、西側の価値観、文化を批判、否定、攻撃することで中国の伝統的価値観、文化を持ち上げるというゆがんだ愛国教育が強化されていく。習近平政権は2014年にあらゆる分野で国家安全を最重視する総体的国家安全保障観を打ち出し、国家安全教育日を制定。幼稚園児や小学生にまで外国人をスパイと疑えと教えるような排外主義的な洗脳教育が導入されていった。
 こうした習近平政権のイデオロギー教育の中で、「小粉紅(ぴんくちゃん)」と呼ばれる民族主義的愛国的若者がネット上で活動するようになっていく。彼らは、文化大革命時代の毛沢東紅衛兵のように習近平の指示に忠実で、またヒステリックに外国を批判するので、ネット紅衛兵などと呼ばれることもある。
 関連するビデオ: 中国で4月にも日本人男性の切りつけ事件 当局発表やメディア報道なし (日テレNEWS NNN)
 こうした習近平政権の10年のイデオロギー教育のたまものとして、外国人に敵意をもつ「仇外情緒」の強い中国人民が増えていった。同時に、習近平政権下で、中国社会の中国人の生活環境がどんどん悪化した。
 経済は悪化し、生活物価は上昇し、賃金はカットされ、失業者があふれた。言論統制や行動規制が強化され、贅沢が戒められ、不当に搾取され、社会の底辺に未来に希望が持てず、怒りや不満が常にくすぶる状況が発生した。
 習近平政権は、こうした怒りや不満の矛先を党や政府、習近平自身に向かうことを恐れ、あたかも、今の中国の不幸のすべてが米国や西側社会のせいであるような宣伝をした。
 日本人は攻撃ターゲットにうってつけ
 中国経済が悪化するのは米国の制裁のせいであり、米国は中国の大国化を妨害しようとしているのだ、というわけだ。中国の知的な人民はそれを鵜呑みにしているわけではない。だが反論するような政治的リスクを犯すことはできない。
 信じているふりをすることで身を守ろうとするだろう。こうして今の中国の排外主義的情緒は、改革開放以来最高潮となった。それが現代版義和団事件と呼ばれるような事件が起こりうる下地をつくっていた。
 外国人に向けられる敵意の中で、日本に向けられるものはやはりちょっと特殊だ。日中の歴史解釈を利用した反日教育江沢民時代からすでに強化されていた。反米意識より反日意識の方が、幅広い世代にわたって強烈に植え付けられている。
 少なからぬ中国人が日本人のお人よしさと表裏一体の弱腰ぶりを知っているが、だからこそ、攻撃を受けやすい。中国人はよくケンカするが、相手を選ぶ。自分より強い人間にはあまり歯向かわない。今の中国で一番の強者は中国共産党だ。
 なので、今の中国社会の問題の根源が中国共産党政治にあるとわかっていても、共産党に刃向かう人民はほとんどいない。ごくまれにいるが、たいてい、跡形もなく消されてしまう。その共産党が敵はあちらだ、と指さす方に、まさに因縁をつけて攻撃するにうってつけの日本と日本人がいるのだ。
 反日が盛り上がる周期に入った
 反日デモで、日本企業を焼き討ちしても、あまり怒られない。米国なら、報復や制裁という手段をとるようなことでも、日本政府なら遺憾を述べるだけだ。そういう日本の「弱腰」が攻撃を誘導する。
 そもそも日本人自身の中に、自虐史観で中国に対して罪悪感をもつ人たちが一定数いる。中国人から仇恨をぶつけられても、怒るより謝る人がいるから、中国人としては安心して日本人に悪意を向けられるのだ。
 中国人民の悪意が日本に向かうタイミングは数年ごとに周期的にやってくるが、今がまさにその周期に入ってきている。
 今回、事件が起きた蘇州は日系企業が600社近く進出する日本企業集積地の親日都市だ。蘇州市高新区の淮海区は「日本人風情街」と呼ばれる日本料理レストランや居酒屋の並ぶ通りで、観光スポットにもなっている。日本のアニメ好きやコスプレイヤーたちがインスタ映え写真を狙って自撮りにくる。
 そんな親日都市で2022年8月、この日本人風情街で、アニメコスプレの浴衣姿で撮影をしていた中国人女性が警察官から「挑発罪」で身柄拘束される事件があった。この事件はネットで広く議論のテーマになったが、声の大きいネット紅衛兵に言わせれば、中国人のくせに日本の民族衣装をきて屋外を歩き回る奴は売国奴、という。
 親日的中国人の声は小さくなり、政治的安全のために自分の親日趣味を表面に出さないようになる。そして民族主義愛国者の声がさらに大きくなって、それが世論を代表するかのようなムードになっていく。
 日本人襲撃事件はまた起きる
 今回、日本人が襲撃される事件があの親日都市蘇州で起きたことは、多くの人にショックを与えただろう。私は、日本人が狙われる事件は、また起きると思っている。
 今回、過去におきた反日デモ反日暴動の時の日本人攻撃とはかなり違う。
 中国の経済状況、社会状況の悪さが過去の反日ムーブのときと比べものにならないほど悪い。また抖音(ドウイン)などのSNSの影響力が過去と比較できないほど強い。
 靖国神社を冒涜した中国人インフルエンサーが一夜のうちに数百万イイネを受けたり、広島で日本人サラリマーンを殴って土下座させ逮捕された中国人男が抖音のショート動画ニュースで報じられるや大バズリして「好漢」と英雄扱いされたり、中国人をいじめる日本人がぼこぼこにやっつけられるショートストーリが大拡散されたりしている。
 また過去の反日デモなどに日本人への攻撃は、ある程度、きっかけを当局がつくり誘導していた感があり、最終的にコントロールを失うことはあってもある程度当局の想定内に収めることができた。だが、今回の蘇州の日本人母子襲撃事件は、おそらく中国当局も予想していなかった。
 国内で報道統制を敷いたのは、報道によって当局がコントロールできない形の犯行の連鎖が起こりかねないと心配したのかもしれない。
 もう一つ重要なのは、今の日本の岸田政権に、いざというとき中国と水面下で交渉して、日本人の安全を確保できるようなパイプを持つ政治家がいないことだ。
 吉林市の米国人事件襲撃も、蘇州市の日本人母子襲撃も外国人被害者をまもろうとした中国人が負傷した。排外主義的イデオロギーの蔓延する中でも、外国人のために身を挺してかばってくる中国人もたくさんいることは間違いない。中国人と日本人の間の不信と仇恨を煽動しようというつもりは毛頭ない。
 だが、今の中国の状況は、過去の反日ムードの盛り上がった時期に比しても、とても不確実性が高く危うい。
 日本政府はきちんと危機感と責任をもって、はっきりとこの危うさを在中国日本人にアナウンスすべきだし、なによりも本気の怒りをもって、これまでの反日誘導のイデオロギー教育に対して抗議すべきではないだろうか。
 福島 香織(ふくしま・かおり):ジャーナリスト
 大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。主な著書に『なぜ中国は台湾を併合できないのか』(PHP研究所、2023)、『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』(かや書房、2023)など。
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 6月29日 MicrosoftStartニュース Record China「江蘇省蘇州市の日本人母子ら襲撃事件、垣間見える中国社会の反外国人感情?
 中国江蘇省蘇州市で日本人母子らが襲われる事件が起きた。吉林省でも米国人が刃物で刺される事件があった。背景には中国社会の一部にうごめく「反外国人感情」が垣間見える。写真は蘇州市の警察。
 © Record China
 中国・上海近郊の江蘇省蘇州市で6月24日、日本人母子と中国人女性が刃物で襲われる事件が起きた。中国では東北部の吉林省で6月上旬、米大学教員ら4人が刃物で刺される事件があったばかり。いずれも犯行の動機は不明だが、相次ぐ事件の背景には中国社会の一部にうごめく「反外国人感情」が垣間見える。
 蘇州市では4月にも日本人が襲われていた。在上海日本総領事館などによれば、市内の日本料理店が立ち並ぶ通りで4月3日、駐在員の日本人男性が面識のない男に襲われ、首に軽傷を負い病院で治療を受けた。警察が容疑者の男の身柄を拘束したが、詳細は明らかにされていないという。
 今回の事件で現地の日本人社会では動揺が広がっている。東京電力福島第一原子力発電所からの処理水海洋放出などを受け、中国では対日感情が悪化。日本人母子らの襲撃事件で容疑者として拘束された52歳の男が日本人を狙って無差別に危害を加えようとしていたという見方が出ているためだ。蘇州市日本人学校は、卵が投げ込まれるなど嫌がらせの標的にもなっていた。
 在上海日本総領事館の赤松秀一総領事は25日、呉慶文・蘇州市長と面会し、邦人社会の安全確保などを求めた。北京の日本大使館も24日深夜、在留邦人に対し、外出時は身の安全に注意を払うよう呼び掛ける情報を発信。最近、中国各地の公園や学校、地下鉄など人の集まる場所で刺傷事件が起きているとして、「周囲の状況にくれぐれも留意」するよう促した。
 日本人母子らの襲撃事件について、中国外交部の毛寧報道官は25日の記者会見で「事件が発生したことは遺憾だ」と述べる一方、「私の知る限り、警察は初歩的判断でこの事件は偶発的事件としており、目下さらなる調査を進めている」と説明。「このような偶発的な事件は世界のいかなる国でも起こり得る」と主張した。
 さらに「中国側は引き続き有効な措置を取り、すべての在中外国人の安全を適切に守る」と強調したが、日本人を狙った事件かどうかは明言を避けた。
 日本人母子らの襲撃事件は台湾メディアでも大きく取り上げられた。最も詳しく報じた太報は「義和団事件の再現か?」との見出しを打った。「義和団事件」とは1900年から中国(清)で広がった外国人排斥運動を指す。記事は「中国国内で外国人が攻撃を受けたのは、わずか2週間で2度目だ」と指摘し、やはり吉林省の事件に言及した。
 華字メディアの日本華僑報は26日、「社会問題の縮図」だとする評論記事を掲載。「今回の事件は単なる一つの事件であるだけでなく、社会問題の縮図である点を強調したい。急速に発展する現代社会において、安全問題は無視できない重要課題だ。社会全体が共に努力してこそ、さまざまなリスクを防止できるのだ」と訴えた。(編集/日向)
 関連するビデオ: 【速報】中国・蘇州のバス停で日本人親子2人が切り付けられけが 命に別状なし (テレ朝news)
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 6月29日 YAHOO!JAPANニュース デイリー新潮「「中国には日本人学校が多すぎる」「中国人が入学できないのはおかしい」 日本人学校“批判動画”の中身とは
 TikTok中国版「ドウイン」の検索結果 
 24日に中国・蘇州で発生した日本人学校のバス襲撃事件。日本人2人が負傷、中国人スタッフ1人が命を落としたこの事件について、中国外務省の報道官は「偶発的なもの」と発言した。一方で、以前からたびたび報じられている日本人学校への嫌がらせを想起した人も多いだろう。中国のSNSでは「日本人学校」が近年の“人気テーマ”となっているようだ。
 【写真を見る】中国SNSの「日本人学校」動画 実際の画面
 日本人学校の数は中国が最多
 文部科学省が認定した「在外教育施設」にあたる日本人学校は、今年4月1日現在で世界49カ国1地域に94校。うち中国大陸の日本人学校は9都市に10校(上海に2校)と最多で、その多くは補習校を前身としている。インターナショナルスクールと異なる点は、日本国内の小中高と同等の教育課程だ。あくまでも日本の教育を受ける場所であり、卒業者は日本国内の中高大への入学資格を有する。
 中国の場合、児童・生徒の保護者は企業の駐在員がほとんどで、90年代後半から大手自動車メーカー3社と周辺企業が進出した広州など、認定校の増加は日本企業の中国進出ブームとほぼ連動している。コロナ前まで児童・生徒の数は増加を続け、上海日本人学校は「マンモス校」として有名だった。ただし、どの日本人学校も「多数の日本人がいる場所」であるがゆえに、日中関係の悪影響を受けやすいという宿命を背負っている。
 2000年代初頭、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝を主要因として、中国での反日活動が盛り上がった。各地の日本人学校は対策を講じ、05年には大規模デモ開催を警戒した上海日本人学校が運動施設の一般開放を中止するなどしている。同じ時期には、日本から輸入した日本人学校の副教材が大連の税関で留め置かれる一件も発生した。
 数年前から「日本人学校」がテーマ入り
 10年9月に尖閣諸島の日本領海で中国漁船の船長が逮捕された際は、天津日本人学校にパチンコ玉のようなものが撃ち込まれた。2年後の8月には、北京で丹羽宇一郎中国大使(当時)の車が襲撃されたことを受け、各校が警備の強化や臨時休校などの措置を取っている。
 以上の流れにある日本批判のテーマは「靖国神社」「軍国主義」「尖閣諸島」。昨年はこれらメジャークラスに「福島原発の処理水放出」が加わった。日本への電話攻撃が注目されたが、中国の日本人学校にも石や卵が投げ込まれている。さらに今年は、靖国神社での狼藉を収めた動画などをきっかけに、中国の若者たちによる日本批判のSNS投稿も日本で広く知られるようになった。
 そうした批判投稿にもメジャークラスのテーマが多いものの、実は数年前から「日本人学校」もテーマ入りしていた。例として人気の動画投稿サイト「TikTok」の中国サイト「ドウイン」で「日本学校」「日本人学校」を検索すると、各地の日本人学校前から配信された動画を見つけることができる。ただし、メジャークラスのテーマとはやや異なる特徴があるようだ。
 「なぜ中国に日本人学校が多いのか」
 ある動画では、配信者の男性が日本人学校脇の歩道を歩きながら防犯カメラなどを見上げ、日本人学校はなぜこんなに閉鎖的なのかなどと話す。そのコメント欄には「なぜ中国に日本人学校が多いのか」「なぜ閉鎖しないのか」「中国の法規に従って認可を受けているのか」「中国人が入学できないのはおかしい」といった内容が並ぶ。
 配信者が指摘した「閉鎖的」とあわせて、これらが日本人学校に対する主な疑問だ。初老の男性が日本人学校の校門前で「ここは日本租界か!」と興奮気味にまくしたてる動画も転載を繰り返されているが、そのほかの動画では「問題だが、まずは疑問が浮かぶ」といった疑問語りかけ型も目立つ。
 最初の動画を見つけるのは困難ながら、2021年11月には「日本人学校のテーマ入り」が確認されていた。きっかけは柳条湖事件満州事変の発端)の発生から90周年を迎えた同年9月18日頃、SNSで「日本人学校が多すぎる」という内容の文章が注目されたことだという。
 また、同月1日には、京都の街並みをモデルにした大連の「日本風情街」が閉鎖に追い込まれる一件が発生。そこから派生した話題として「大連には何年も前から日本人学校がある」というネット記事も配信されていた。
 「中国国民の子弟の募集」は違反行為
 この当時に投稿された動画は現在も閲覧可能だ。今年に入ってからも疑問語りかけ型やデマを流布する動画などが投稿されているが、一部は「日本人学校は35校」といった当初からの間違いを繰り返している。昨年3月には香港俳優の欧陽震華(ボビー・オウヤン)が中国SNSのWeiboで突然「日本は中国で多くの学校を建てたが日本人専用であり、中国人の立ち入りを禁止している」と言い出し、「合理的な説明」を求めた。
 その「合理的な説明」はネット検索で知ることができる。中国には外国人駐在員の子女が通う学校に関する規定があり、その第17条に是正や業務停止命令の可能性がある行為として「領域内での中国国民の子弟の募集」が明記されているのだ。
 さらに、日本人学校文科省から在外教育施設の認定を受けるものの、設置と運営は現地の日本人会や商工クラブなどが主体の私立学校であり、その設置の許可を出すのはもちろん中国側だ。防犯カメラに代表される「閉鎖的」の指摘は、元はと言えば前述した嫌がらせ行為や、外部から授業中の校庭などを撮影した映像などに原因があるとも考えられる。
 答えが簡単に調べられる疑問を繰り返すことで、日本人学校は息の長いテーマになってしまったようだ。「ドウイン」では、そうした状況を見かねた配信者からの正しい解説動画も複数表示される。そのうちの1本には「知っている人も多いはずの話なのにね」という呆れたユーザーからのコメントが寄せられていた。
 デイリー新潮編集部
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