⛅55:─13─奄美大島を飲み込む中国資本。日本に潜む中国共産党・中国軍の覆面工作員(スリーパーセル)。No.159No.160 * 

奄美大島物語 増補版

奄美大島物語 増補版

  • 作者:文 英吉
  • 発売日: 2008/01/10
  • メディア: ハードカバー
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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。  
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 日本の歴史上、存在した事がない、救いようがない絶望的日本の政治家達。
 無能に近い現代の政治家に、過去の日本を論ずる資格はない。
 それは、メディア関係者も同じである。
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 戦前の日本人が12歳の子供であったなら、現代の日本人は第一反抗期の4〜5歳児にすぎない。
 家族や他人の迷惑を気にせず、「自分の好きにしてくれない」と道に寝転んで手足をばたつかせ泣き叫ぶ駄々っ子である。
 現代日本を支配している場の空気・空気圧・同調圧力は、悪がきグループのイジメ・嫌がらせににている。
 子供は、悪意を持って大人の甘いお菓子・甘い言葉・お金に・ご褒美に騙される。
 子供は、大人達のハーメルンの笛に踊らされる。
 子供は、大人が着る可愛い縫い包みや顔に被る愛くるしい仮面が好きである。
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 日本のメディア関係者は、確実に潜伏している中国共産党・中国軍及び北朝鮮スリーパーセルの存在を完全否定し、日本の国益や日本国民の安全よりもスリーパーセルの行動を間接的に擁護している。
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 昔から、日本はスパイ天国で、ソ連(ロシア)、中国共産党・中国軍、北朝鮮のスパイが多数潜入していた。
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 2018日5月1日 産経ニュース「【異聞〜要衝・奄美大島(上)】「中国にのみ込まれる」大型クルーズ船寄港計画の裏に…
 大型クルーズ船が寄港、7000人もの中国人が押し寄せるとされる西古見=鹿児島県瀬戸内町(宮本雅史撮影)
 奄美大島(鹿児島県)出身で情報機関に在籍経験のある知人男性からこんな連絡が入った。
 「奄美が中国にのみ込まれそうだ」
 早速、奄美に飛んだ。舞台は、同島西端に位置する瀬戸内町西古見(にしこみ)集落の池堂地区。古仁屋(こにや)港から大島海峡沿いに約38キロの場所で、人口わずか35人だが、沖には3島が連なる小島(三連立神=さんれんたちがみ)や200メートル続くサンゴの石垣、白い砂浜など観光資源に恵まれている。
 ことの発端は、国土交通省が昨年8月に発表した「島嶼(とうしょ)部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査結果」だ。このなかで瀬戸内町は、池堂地区をはじめ3カ所が候補地として挙げられた。排水量22万トン級の大型クルーズ船が寄港する計画が一気に表面化。しかも、町は候補地の一つ、西古見集落への誘致に向け動き出したのだ。
 大型クルーズ船の寄港計画は平成28年にもあった。米大手クルーズ会社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」が本島北部の龍郷(たつごう)町に同規模のクルーズ船で、乗客、乗組員合わせて7千人を超える中国人を来島させる計画を持ちかけたのだ。町は拒否し、次いで打診された瀬戸内町も断り計画は立ち消えになっていた。
 米資本の計画を断ったはずの瀬戸内町で再び動き出した寄港計画に、「7千人の中国人が押し寄せるのではないか」といった不安が広がっている。
 集落に住む年配の女性は「西古見は観光にはいいが、店は1軒しかなく食堂もない。道も狭い。1度に7千人も来て何をするのか。受け入れには大がかりな再開発が必要で環境が破壊される」と、とまどいを隠さない。
  ×   ×
 地元の地方議員からは「国は観光振興の一環として中国の富裕層を連れてこようとしている。ではなぜ、こんな小さな集落の西古見になるのか」といぶかしむ。
 経緯に不自然な点も多い。町は候補地となったことから誘致支援を求める要望書を鹿児島県に提出した。だが、そもそも町はその前に全町民に十分に説明し、同意を得るなどの手続きを踏んでいなかった。
 秘密裏に誘致を進める手法に対して不信感と反発が広がる中、町は「メリットがあるかどうか、誘致できるかどうかを精査している段階。排水量など船の規模も船会社もまだ明確ではない。住民に説明をしながら具体的な計画は県を通じて国に確認していきたい」(企画課)と説明している。しかし議会関係者は、国交省が昨年春、港湾局の職員を県の観光クルーズ船担当に据えていることなどから「国が動いていることは間違いない」とにらんでいる。
  ×   ×
 西古見集落には旧日本陸軍の兵舎跡や弾薬庫跡、大島海峡に入ってくる艦船を監視する監視所跡のほか、先端の曽津高崎(そっこうざき)には防空壕(ごう)跡が残されている。多くの戦跡は防衛上、重要な拠点であることの象徴だ。目と鼻の先には、陸海空の自衛隊が離島奪還訓練を行った江仁屋離(えにやばなれ)島を望む。
 防衛省は2年間で総額550億円の防衛費を投入、島北東部の奄美市大熊で陸上自衛隊の「奄美駐屯地」、島南西部の瀬戸内町節子(せっこ)地区で同じく「瀬戸内分屯地」を建設している。今年度中に奄美駐屯地には中距離地対空誘導ミサイル運用部隊350人、瀬戸内分屯地には210人の地対艦誘導ミサイル運用部隊を配備する。
 自衛隊の誘致に関与した地方議員経験者は「瀬戸内町は地形的にも重要拠点だ。防衛省が施設を拡充するのは当然だ」と指摘したうえで「そんなところに中国人がドンドン入って来ることになる。国や県には危機感が感じられない」と声を荒らげた。「22万トン級のクルーズ船が寄港できる桟橋をつくるということは中国の空母『遼寧』(6万7千トン)ですら楽に停泊できることになる」(情報関係者)という指摘もある。
 要衝・奄美大島に、しかもごく小さな集落に中国人観光客の団体が押し寄せることが意味するものは何か。クルーズ船寄港計画と自衛隊の増強も無関係ではない。中国に人脈があり、中国の動向を注視している中国専門家はこう警告する。
 「奄美は、沖縄に次いで琉球弧の二大拠点の一つで、しかも島全体が天然の要塞だ。そんな島で自衛隊施設が拡張されるのだから情報が欲しい。島の周囲や海の深さを測量したり、自衛隊の訓練内容や体制、規模、警備が手薄な時期などを調べて報告する工作員をクルーズ船を利用して送り込んでくるだろう」
  ×   ×
 「なぜ、西古見なのか分からない」
 住民の多くはこう口をそろえる。この疑問に、ある観光業者は、もともと加計呂麻(かけろま)島がクルーズ船の寄港候補地に入っていたこと、「Iターン」で都会からの移住が受け入れられていることを挙げた。その上でこう付け加えた。
 「本命は加計呂麻島ではないか。中国人観光客が西古見から加計呂麻島に入ってくる可能性は高い」
 加計呂麻島は、奄美大島の南側に大島海峡をはさんで浮かぶ東西に細長い島だ。古仁屋港からフェリーで20分。複雑に入り組むリアス式海岸と透明度の高い海に囲まれ、白砂の浜辺やサンゴの石垣など、観光名所の一つだ。
 同時に、奄美群島の中でも島全体が自然が作った要塞でもある。大島海峡の東シナ海側は、実久(さねく)海岸から対岸の西古見までは約2キロ、東端の安脚場(あんきゃば)から対岸までは約1キロと近く、大島海峡は、狭い出入り口に守られた内海となっている。水深が深く、東西両端で外海に接続していることから、日露戦争時、連合艦隊は薩川(さつかわ)湾に停泊して演習を重ねて出撃、バルチック艦隊と決戦したという。
 安脚場周辺には軍事施設の戦跡が多い。東郷平八郎元帥が日本海軍の演習指揮を執ったという碑が残るほか、●(=2004年新規追加人名漢字)之浦(のみのうら)には旧海軍特攻隊、第18震洋隊の格納壕跡がいくつもある。
 本島側も、古仁屋高校には旧日本軍の司令部が置かれ、須手(すで)に旧海軍航空隊古仁屋基地跡、手安(てあん)に旧陸軍弾薬庫跡、阿鉄(あてつ)に旧陸軍海上挺進(ていしん)第29戦隊跡、久慈には旧海軍第44震洋隊格納壕跡−などが残り、大島海峡沿岸そのものが軍事基地で、日本防衛の重要な拠点だったことが分かる。
  ×   ×
 瀬戸内町議会の関係者は北海道の一部が中国資本に買い占められているという前例を挙げ、「大型クルーズ船が入ってくると、中国人観光客が増えるだけでなく、不動産を買う中国人が増える可能性がある。西古見も、加計呂麻島も危ない。チャイナタウンができるのも時間の問題だ」と危機感を強める。
 実際に加計呂麻島が中国資本に狙われたことがある。
 元地方議員によると、7、8年前、地元企業が、町有林を切り出してチップ工場を造るための土地を買おうとした。この事業に中国資本がかかわっていることが判明し、反対意見が出て計画は頓挫したというのだ。
 対馬長崎県)で海上自衛隊の施設周辺が韓国資本に買収された際、視察したという地方議員経験者は「地元の発展に資すればいいかもしれないが外資に買収されることの怖さも実感してほしい。安全保障上で重要な地域を蹂躙(じゅうりん)され、北海道や対馬で起きているように買収されてしまうと取り返しがつかなくなる。国家の危機につながることだ」と警告し、こう続けた。
 「北海道や対馬のようにならないためにも、中国人観光客誘致の前に法整備を行い、外資による不動産買収を規制していく必要がある。まだ、買われていないからといっていると手遅れになる」
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 陸自部隊の誘致などに動いたという別の元地方議員によると、陸自の誘致と海自の拡充についてはほぼ同時並行で瀬戸内町に特別委員会を立ち上げ、町議全員が参加するかたちで走り出した。この元議員は「南西諸島海域の緊張や緊迫が続く尖閣諸島の問題などの流れもあって、奄美での防衛力強化につながったと思う」と自負している。
 国防優先で戦略拠点になりうる地域に目を注ぐ防衛省と、訪日観光客数の目標を平成32(2020)年に4千万人と倍増させ、観光で地域を活気づけようとする国土交通省。政策的な乖離(かいり)もさることながら、両省で連絡調整は行われているのか。
 「安全保障面で見ると、防衛省国交省がやっていることは逆だ。国が一つではない」(元議員)
 瀬戸内町では将来の奄美を憂える声が渦巻いている。
 奄美大島は今年、世界自然遺産に登録される見通しだが、その奄美で何が起ころうとしているのか。現状を報告する。(編集委員 宮本雅史、写真も)」
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 5月1日10:26 産経ニュース「尖閣周辺に中国船3隻 5日連続
 沖縄県尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で1日、中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは5日連続。
 第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。」
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 5月2日 産経ニュース「【異聞〜要衝・奄美大島(下)】中国大型クルーズ船寄港計画と奄美自衛隊拠点の不気味な合致 
 大型クルーズ船の笠利湾への機構予想図(実際の字形データを使い、鹿児島県龍郷町の住民が作成した図を基に作成
 幕末、西郷隆盛が幕府の目を逃れるため菊池源吾と名前を変え、約3年にわたり身を潜めた奄美大島北部の龍郷(たつごう)町龍郷。現在の南洲流謫(るたく)跡から西郷も望んだであろう笠利湾は、美しいサンゴ礁が広がり、青く穏やかな内海だ。
 その一角、マリンスポーツが盛んな芦徳地区に、米大手クルーズ旅行社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」が、中国・上海から九州に向かう大型クルーズ船の寄港地としてリゾートパークを開発する計画を公表したのは平成28年3月のことだ。
 倉崎海岸に15万〜22万トン級の大型クルーズ船が接岸できる長さ350メートルの浮桟橋を設置し、町有地などを活用してクルーズ客が利用するレストランやプール、遊歩道などを整備するという計画で、開業は30年春を目指し、開発面積は計52万平方メートルという巨大プロジェクトだった。
 毎年3月から11月までの間、週2〜4回寄港し、年間30万人が来島するという計画に、経済効果を期待した町は計画を進めようとしたが、住民は反発した。
 龍郷町の当時の人口は6028人。地元の主婦はこう振り返る。
 「観光客と乗組員を合わせると7千人の中国人が週に2回も来ると聞いた。中国人向けの店が増え、景観が変わり、中国人の街になるのではないかという不安がつきまとった。岬より大きな船が来るかと思うと、ぞっとした」
 別の農家の男性は「突然の計画で寝耳に水だった。町の人口より多い中国人観光客を受け入れるのは無理だ。環境破壊になると反対した。それに最初は観光だが、そのうちに土地を買うようになるのではないかという心配もあった」と話す。
 想定以上の多くの反対で龍郷町は4カ月後、推進を断念する。ところがその後、代替地を探したかのように瀬戸内町の西古見集落への寄港計画が浮上したのだ。
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 寄港に反対したと話した龍郷町の男性は取材に対し「実は…」と口を開いた。
 「いろいろなことが動き始めたのは、ちょうど奄美が水面下で大熊(奄美市)や節子(瀬戸内町)に自衛隊基地を誘致し始めたころだった。中国側は自衛隊の動向に合わせて拠点作りを考えているのではないかと勘ぐってしまう」
 これまで奄美大島には、航空自衛隊奄美大島分屯基地に通信所を置き、海上自衛隊の「奄美基地分遣隊」に20人規模の自衛官が駐屯していた。しかし、26年8月、武田良太防衛副大臣(当時)が奄美大島を訪れ、瀬戸内町と奄美市陸上自衛隊部隊配備の有力候補地であることを説明、地元自治体から受け入れの意向を確認した。計画は翌27年度から予算化され、工事が進められるなど本格的に動き出した。それ以降、奄美では中国が関係しているとみられる資本による不動産買収が始まり、大型クルーズ船寄港計画の浮上後、本格的に動きだしたというのである。
 別の年配女性は「世界遺産登録の話が出ても、だれも投資に動いたりしていなかった。今から考えると、自衛隊拡充の動きが出始めてから変化があったような気がする」と振り返る。
 中国側の意図を解説するのは、動向に詳しい中国ウオッチャーだ。
 「中国にとっても奄美が軍事戦略上の要衝であることは分かっている。すでに身分を隠した工作員が情報収集のために入り込んでいる。『一帯一路』構想の一環でミクロネシアの島々を押さえようとしているが、奄美もその一環だ」
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 不動産取引規制なく活発化
 喜界島(鹿児島県喜界町)は奄美大島の東方約25キロの海上に浮かぶ。
 奄美群島で5番目に大きな島で、周囲48・6キロ、面積約56平方キロ。周辺を隆起サンゴ礁に囲まれた平たい台地状の地形で奄美群島国立公園に属し、琉球弧の最外縁をなす。奄美空港からは約20分、名瀬(なぜ)港からはフェリーで約2時間半の距離だ。
 この島は奄美で最初に飛行場が建設されるなど、先の大戦では重要な軍事基地だった。現在も、防衛省情報本部が運用、360度の全方位から電波が受信可能な高感度アンテナを備える高性能無線電波傍受施設の喜界島通信所、いわゆる「象のオリ」を抱える要衝である。
 この喜界島の正面にあたる奄美本島東部の沿岸に、眺めの良い岬のような高台地域がある。通称アオン地区(龍郷(たつごう)町戸口)だ。
 地元住民は「天気がいいとどの場所からも喜界島が近すぎるぐらいに見える。時には海岸沿いに米軍のオスプレイが飛ぶのも見える」と話す。もしも自衛隊などの動向を監視したいと思う者がいれば最適な場所なのだ。
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 この一角の町有地6937平方メートルが平成28年9月、香港資本の総合商社会長で香港在住の日本人に払い下げられた。同社は高級外車の販売や貿易、保険業など多彩な業務をこなし、海図や海事情報を扱うインテリジェンス系の業務も扱っているとされる。会長の妻は、アジアの海運王と呼ばれた香港経済界の重鎮男性の次女で、中華圏に幅広い人脈を持つことで知られているという。
 不動産の買収は会長の個人名で登記され、別荘や美術館を建設する意向とされる。会長は「美術館といっても個人の遊びのようなもので、倉庫の意味合いが強い建物だ。土地も広くはない。完成も未定。取材はお断りしたい」としている。
 この会長は周辺一帯の町有地を含め、16年3月に5393平方メートル、26年3月に3765平方メートル、同年7月に3204平方メートルの計1万2362平方メートルを個人名義で購入した。
 眺望が素晴らしいこのあたりでは、他にも触手を伸ばす動きがある。昨年9月に673平方メートル、9383平方メートル、1415平方メートルの3カ所計1万1471平方メートルが、奄美市内のA社を通し東京都内のB社に転売されている。地元業者らによると、B社は米国系の企業ともいわれるが実態は分かっていない。
 不動産業に詳しい地元住民によるとこのアオン地区では土地売買の動きが激しく、「地元の不動産業者らが動いているが、背後にだれがいるか分からない。日本の会社だけれど、資本を見ると中国が絡んでいることも考えられる」という。土地取引に詳しい奄美市の会社員は「中国資本が土地を激しく買っている」と漏らした。
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 土地買収だけではない。再生エネルギー目的の太陽光発電風力発電の開発で進出する動きもあるという。
 実際、奄美空港近くの笠利町では、喜界島を望める風光明媚(めいび)な高台で規模の大きな太陽光発電施設が稼働している。元自衛隊関係者は、この発電所も背後に中国資本がついている可能性が高いと指摘する。
 また、米大手クルーズ会社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」の船の寄港候補地とされた芦徳地区でも、シンガポール系とみられる資本が笠利湾沿いに1ヘクタールの土地を買収し、豪華なリゾートホテルをオープンさせている。
 こうした動きに地元のある地方議員は「水源地確保を目的にして山を買っているといった話は聞かない。北海道とは違う」と指摘した上で、「奄美の北部地域は最高のリゾート地だ。アクセスもロケーションも観光客のニーズに合っているとみて、観光開発のために海岸沿いの土地を買っているだけのことではないか」と楽観的だ。
 だが、外国資本に安全保障上の要衝の地を何の規制もなしに売買を許すことの脅威は、南の島でもじりじりと強まっている。(編集委員 宮本雅史)」
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 2018年11月号・12月号 SAPIO「自衛隊施設を望む土地を買い占め 中国の奄美大島乗っ取り計画
 c SHOGAKUKAN Inc. 提供 奄美で行われた自衛隊の離島奪還訓練(共同通信社
 紺碧の海に囲まれ、手つかずの大自然が残る奄美大島。古来、日本防衛の要衝として知られ、日露戦争時には東郷平八郎元帥がここで日本海軍の演習指揮を執った。現在は南西地域の防衛強化のため自衛隊基地の建設が進められている。将来にわたり国防の要であるはずのこの島に、不穏な動きがある。産経新聞編集委員宮本雅史氏のレポート。
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 ここ数年、奄美大島で目的不明の土地取引が活発化している。舞台は、本島東部の沿岸部にある高台だ。2016年9月、この高台の一角にある町有地6937平方メートルが、香港資本の総合商社会長で、香港在住の日本人A氏に払い下げられた。A氏の妻は「アジアの海運王」と称される香港経済界の重鎮の次女で、中華圏に幅広い人脈を持つことで知られる。
 A氏の会社は、高級外車の販売や貿易、保険業などをこなす一方で、海図や海事情報を扱うインテリジェンス系の業務も手がけるとされる。
 A氏は高台周辺の土地も買い進め、2004年3月に5393平方メートル、2014年3月に3765平方メートル、同年7月に3204平方メートルの計1万2362平方メートルを個人の名義で購入した。町には「美術館を作りたい」と説明したというが、本当の狙いは不明だ。A氏は私の取材申し込みをやんわりと拒否した。
 不気味なのはA氏の動向だけではない。2017年9月、奄美市内のB社がこの地区の土地3か所計1万1471平方メートルを購入、その日のうちに都内のC社に転売した。地元業者らによると、B社は米国系の企業というが、実態はわからない。
 地元住民によれば、この地区は土地売買が盛んで、ブローカーによる土地転がしが疑われるケースも多く、実際に誰が購入したのかわからない事例が目立つ。
 なぜA氏らの土地売買が気になるのか。それは、沿岸部の高台から「ある島」が丸見えになるからだ。
 地元住民はこう語る。
「天気がいいと、この地区からは喜界島が近すぎるくらいよく見えます。時には米軍のオスプレイが海岸沿いを飛ぶのも見えます」
 奄美大島の東方約25kmにある喜界島は、周辺を隆起サンゴ礁に囲まれた台地状の島だ。先の戦争では、奄美で最初に飛行場が建設された軍事拠点であり、現在は全方位から電波を受信できる高感度アンテナを備えた「喜界島通信所」が建つ。防衛省情報本部は通信網の確立整備を進めている最中にあり、喜界島通信所では中国や北朝鮮、ロシアなどの通信を傍受するとされる。
 わが国の安全保障にかかわる島を「監視」できる高台を、中国との関係が疑われる外国資本らに買い占められつつあるのだ。
 ◆容易に工作員が潜り込める
 奄美群島は九州の南から台湾に連なる「琉球弧」の外縁をなし、沖縄や対馬とともに日本列島の防衛ラインを形成する。点在する旧日本軍の戦跡は、この島がいかに重要拠点だったかを示す。
 奄美大島では現在、陸上自衛隊の駐屯地建設が急ピッチで進む。
 防衛省は南西地域の防衛体制強化のため、島北東部の奄美市名瀬大熊に陸自の「奄美駐屯地(仮称)」、島南西部の瀬戸内町節子に同じく「瀬戸内分屯地(仮称)」を建設している。総額550億円を投じて大熊に中距離地対空ミサイル部隊など約350人、節子に地対艦ミサイル部隊など約210人を配置し、来年3月に部隊配備となる予定だ。
 気がかりなのは、陸自の拡張と外国資本らによる土地買収のタイミングが一致することだ。別の地元住民はこんな不安を口にする。
奄美が水面下で大熊や節子に自衛隊を誘致し始めた頃から、ちょうど外国資本による不動産買収が始まった。中国側が自衛隊の動向にあわせて、拠点づくりをしているのではないかと勘繰ってしまう」
 「奇妙な一致」は土地購入ばかりでない。
 現在、奄美大島では大型クルーズ船の寄港計画が進む。昨年8月に国土交通省が発表し、その後、島の西端に位置する瀬戸内町西古見が寄港候補地となった。伏線は2年前にあった。2016年、米大手クルーズ会社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」が本島北部の龍郷町排水量22万t級の大型クルーズ船を寄港させ、乗員乗客あわせて7000人の中国人客を来島させる計画を持ち上げた。
 人口わずか6000人ほどの町に1回7000人、年間約30万人が押し寄せれば、一帯は間違いなく中国一色になる。恐怖心を抱いた町や住民が拒絶し、計画は頓挫したはずだった。
 ここに来て再度クルーザー計画が浮上した背景には、「国策」として観光客を招きたい国土交通省の思惑が見え隠れする。だが安全保障上は極めて危険な選択だ。中国ウォッチャーはこう警鐘を鳴らす。
奄美大島が軍事戦略上の要衝であることを中国側は理解しており、陸自が強化されることにピリピリしている。この状況で7000人もの中国人観光客の寄港を許せば容易に工作員が潜り込める。島の周囲や海の深さを測量し、自衛隊の訓練や人員配置、勤務体制などを調査するはずだ。大勢の中国人客の上陸を大義名分にして、周辺の土地購入を進める怖れもある」
 すでに北海道や対馬では、中国や韓国からの観光客を大量に誘致して以降、建物はおろか山林や農地など広大な土地まで外国資本の手に渡り、“実効支配”される事例が後を絶たない。
 ひとたび外国資本が土地を買収すれば、後で国防上重要だからと言っても、日本の法律では買い戻すことが極めて困難である。こうした懸念を持つことに「考えすぎだ」との指摘もあるが、こと安全保障に関しては最悪のケースを想定すべきである。
 奄美という安全保障上の要衝が飲み込まれる前に、外国資本の土地買収を制限する法律の整備こそ、喫緊の課題だ。
【PROFILE】宮本雅史(みやもと・まさふみ)/1953年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、産経新聞社入社。社会部編集委員那覇支局長などを経て現職。北海道や対馬など侵食される日本の現状を取材した『爆買いされる日本の領土』(角川新書)ほか著書多数。」
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奄美の歴史入門

奄美の歴史入門

  • 作者:麓 純雄
  • 発売日: 2011/01/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)