🎷58:─1─日本経済の突出する中国依存への危機感と経済安全保障。~No.266No.267No.268 (53) 

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 2021年6月27日 産経新聞「突出する中国依存への危機感と経済安全保障
 関西経済同友会の「安全保障委員会」委員長を務める鴻池組の鴻池一季名誉会長が、産経新聞のインタビューに応じ、軍事力・経済力を背景にした中国の強権的な「戦狼外交」に対し、「関西は(他地域と比べて)中国との経済関係が突出していると思う。安全保障上、一国への依存は考えなければならない」と語った。全国の経済同友会で極めて珍しい安保委を常設する関西同友会は5月、3年ぶりの提言「切れ目のない安全保障体制の実現へ~激化する米中覇権争いの今、東アジアの安定に向けて我が国がなすべきこと~」を発表し、初めて「経済安全保障」のキーワードを盛り込んだ。
 《関西同友会は昭和54年度に総合安全保障委員会(現安全保障委員会)を設立し、今回の提言は15回目だ》
--経済安保を盛り込んだ意図は
 「日本、特に関西が中国と経済的な結びつきを強めたのは、『中国は民主的な動きが進む』という期待があったからだ。しかし、習近平政権の発足以降、覇権主義的な動きを急速に強めており、経済安保に注目せざるを得ない。ただ、米中貿易摩擦が激化する中、一方的に米中どちらが良いか悪いかを旗幟(きし)鮮明にすることは国益に有利とはいえない」
 《安保委は今年初めから提言の内容を議論し、3カ月程度でまとめた》
--議論ではどのような意見が出たのか
 「『米国と中国から踏み絵を踏まされる』という嘆きの他、中国への強い警戒感から『(米中もしくは日中は)デカップリング(切り離し)に向かう』など幅広い意見が出た。最終的には、『中国は市場としては無視できない』ということだった」
 《提言では、「脱中国依存」の明記はなかった。全国の対中国輸出は輸出額全体の2割強なのに対し、関西は4分の1を超えるなど中国依存度が大きい》
--委員長個人はどう考えるか
 「もう少しバランスを(中国を除く)アジアにシフトすべきだろう。関西は、歴史的にアジアとのつながりが深いが、アジアに限定する必要はなく、欧州などとの関係も深めるべきだ。(鴻池氏が)名誉領事を務めているタンザニアを含むアフリカ諸国も人口や経済が大きく伸びている」
 《提言では、政府に対し、企業や大学、研究機関などを経済安保の観点から調査し、「わが国が圧倒的な優位性を持つ研究成果や技術、製品としてどのようなものがあるのか全容を把握し、実態を公表すべきだ」と盛り込んだ》
――安全保障に詳しい評論家の江崎道朗氏は「経済団体として政府調査に協力する姿勢を明確にした」と評価した
 「企業が全ての情報を開示して競争優位性を失う事態は避けるべきだ。しかし、公表・共有されるべき情報について、政府や経済団体が議論することには意義がある。これまで多くの日本企業は、中国企業との取引の条件として技術情報や特許の開示を求められた結果、こうした情報が中国側に流出する事態に見舞われた。そのような事態を防ぐべきだ」
――提言では安全保障分野で協力する日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」との関係強化も訴えた
 「対米関係は日本の安全保障において最重要だが、米国だけに頼っていいのかという議論があり、クアッドにも言及した」
--クアッド強化では、経済が大事なツールになっている
 「経済交流と安保は一体化しつつある。例えば、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)も経済だけでなく、安保も対象に入っている。米国もTPPに復帰してほしい」
 《中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の強制労働をめぐり、米国で「ユニクロ」の男性用シャツの輸入が差し止められた。一方、ウイグル綿の使用停止を表明したスウェーデン衣料品大手H&Mなどの企業が中国国内で不買運動にあった》
--ウイグル問題も経済安保の様相を呈している
 「多くの日本国民を説得させる(強制労働の)客観証拠が十分ではないと思う。一方、『ウイグルの産品を使うから良くない』という言い方はどうだろうか。資源国・生産国の国民から搾取した産品を買って金もうけすべきではないという考えはちょっと違うと思う。生産国の国民をより痛めつけることになってしまうからだ」(黒川信雄、藤原章裕)
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 鴻池一季氏(こうのいけ・かずすえ)米カリフォルニア大大学院修士課程修了、神戸大工学博士号取得。昭和51年鴻池組。社長、会長を計約23年半歴任し、平成25年11月から名誉会長。令和元年5月から関西経済同友会安全保障委員会の委員長。69歳。大阪府出身。
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