💢79:─5─ウクライナ侵略が示す日本の欠陥。平和憲法信仰では日本は守れない。~No.343 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 明治維新とは、ロシア・中国・朝鮮らの敵日諸国の侵略から天皇制度国家日本(国軆)と日本民族・日本国民を戦争をしてでも守る為に、近代的軍国主義国家を急いで建設する事であった。
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 現代の護憲派・反安保派・反核派・その他などの反戦平和の日本人達は、敵国に対して「自分は第九条の憲法にしたがって戦争をしませんと公言し、武器を捨て無抵抗で土下座すれば、侵略されない、戦争に巻き込まれない」という信仰を持っている。
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 2022年3月18日 MicrosoftNews JBpress「日本を守れない、ウクライナ侵略が示す日本の欠陥
 森 清勇|
 © JBpress 提供 ロシア人は平気で噓をつく。軍事施設など全くないウクライナマリウポリにある小児病院(写真)がロシア軍の空爆で破壊された(3月9日、写真:AP/アフロ)
 国際法を無視する大国の横暴が止まらない。
 明治維新直後に米欧を回覧してまわった岩倉具視代表団にプロシア宰相のビスマルクが語った「万国公法(今日の国際法)は強国に味方する」という言葉が思い起こされる。
 強国は国際法を破ってでも自国の意思を通し、正統性を主張するため油断してはならないと警告したのだ。
 戦後は「力で一方的に現状変更してはならない」というのが通念であるが、ロシアの今次のウクライナ侵攻ばかりか、クリミア半島の併合も力による一方的な現状変更の試みであった。
 しかし、国際社会は見て見ぬふりをしてきた。
 中国が南シナ海で人工島を築いて領有権を主張していることや、尖閣諸島を核心的利益として自国領化しようと企んでいるのも一方的な現状変更である。
 こうした国際法違反のなし崩しに対して国際社会の対処はあまりにも生温かった。自分の国は自分で守る以外にないという現実を示している。
 本論ではウクライナ問題が反面教師として教える日本の実情について検討する。
 国際法を捻じ曲げて正当化する大国
 中国の薛剣(せつけん)・大阪総領事は、「弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚か(な行為)をしてはいけない」とツイッターに書き込んだ。
 中国が「核心的利益」を言えば素直にを是認せよというもので、大国の横暴以外の何物でもない。無茶な言説であり、総領事個人の考えというよりも、中国の考えそのものでもあるようだ。
 ウクライナ問題でロシア大統領のウラジーミル・プーチンは「ウクライナを攻撃しない」と語っていたし、実際に侵攻しキエフを指呼の間に収める現在に至っても、ラブロフ外相は「ロシアはウクライナを攻撃していない。特別軍事作戦をしているだけだ」と語っている。
 中国の核心的利益やロシアの特別軍事作戦は「侵攻」を正統化し、「侵略」を否定して自国領や傀儡政権樹立に道を開くものである。
 ロシアのウクライナ侵攻は紛れもなく侵略である。
 多数の無辜のウクライナ国民の犠牲を前に、国際社会の大半が一刻も早い停戦を望んでいる。
 ロシアの侵攻が成功し、国際社会が看過するならば、尖閣諸島や台湾を併呑する意思を隠していない中国の暴挙をも許すことにつながる。
 国連安全保障理事会をはじめとする国連の戦争抑止機能に欠陥があることが白日の下にさらけ出された。
 ウクライナ問題が一段落した後には、21世紀にふさわしい戦争抑止の国際機構を模索する必要がある。その際は、拒否権などの特権を大国に認めることがあってはならない。
 ウクライナの願望
 ソ連の食糧庫と称されたウクライナスターリン治世の1930年代に食糧を強制的に収奪され、大飢饉となり300万人とも600万人とも言われる餓死者(ホロドモール)を出した。
 ソ連崩壊後は独立したウクライナであったが、2014年にはプーチンによって海軍基地としての立地に優れたセバストポール基地を含むクリミア半島を奪われた。
 独立派と親ロ派が拮抗する紆余曲折を経て、俳優として大統領を演じただけで政治経験が全くないゼレンスキー氏を大統領に選ぶ。純粋に自由を尊重する西側と共に生きたいという願望の表れであった。
 それを「良し」としないロシアは東部ウクライナの親ロ派を支援して独立を承認する。その独立国が支援を要請してきたとしてプーチンは援軍を送る。筋書通りの流れである。
 2月に入ると、独立共和国の東部方面ばかりでなく、不法占拠した南部のクリミアと北部に位置するベラルーシの3方面で演習と称して約10万の軍隊を展開した。
 政敵を次々に倒してきたプーチンに敵対するものはないといわれた大統領である。
 閣議はともかく、最高級の指揮官会議などでは高級将校から(ウクライナ侵攻への)反対や危惧の念が出たようであるが、聞く耳がなかったとされる。
 実際、ウクライナに侵攻すると兵員の士気は振るわず、燃料の補給も思うようにできない状況に置かれた。
 クリミア半島の強奪で国民の支持を得たプーチンであるが、ウクライナ侵攻では国内からも反対の声が上がり、「裸の王様」になっていたことが日を追うごとに明らかになりつつある 
 国連安保理ではロシアが非難決議を拒否権で葬ることができたが、国連総会では141か国が賛成し、反対はわずかに自国やベラルーシを含む5か国、中国さえ反対に回らずインドなどと共に棄権(35か国)した。
 世界の多くの国は、派兵こそしないが兵器や弾薬などをウクライナに追送し支援している。
 ウクライナは平和願望が強い国で、ロシアとは兄弟国とさえみなされる関係にあったことから、軍事力と言えるほどの軍事力を有していなかった。
 軍事力の必要を感じたのはロシアがクリミア半島に侵攻した2014年以降とされる。
 それでも、当時は親ロ政権であったため、本格的な軍事力育成は現ゼレンスキー大統領(2019年5月就任)になって以降である。
 首都キエフは3日で陥落するという見方さえあった。しかし、侵攻開始から10日経った時点ではキエフから25キロ地点まで近づいたが、その後は停滞していた。
 侵略開始から3週間を迎えた現在、補給線などを立て直して3方向から首都を包囲しつつある。しかし、ウクライナ軍の強力な抵抗を受けている。
 侵攻数日でウクライナの首都キエフを陥落させ、ゼレンスキー大統領の身柄を確保できると見られたプーチン大統領の初志は完全に裏切られた。
 ウクライナが明らかにする日本の問題点
 ロシアによるウクライナへの侵攻とその後の状況から、日本が汲み取るべき数々の教訓が得られる。
・戦争は当方が好まないでも相手次第で起きる
・最高指導者の安全(健在)と指揮の連接
・最高指導者の発信、特に戦時発信で国民を鼓舞
・デマの否定と正確な情報の伝達
・国際社会を味方につけることの重要性
核兵器の脅威が存在する
・原子炉攻撃がありうる
・軍隊の士気
兵站の確保(ガス欠では動けない)
・国民の国防意識
・シェルターや地下壕、退避場所としての地下鉄の整備
・非常用衣食(ウクライナでは1か月とも)の準備
 軍事的専門事項は軍隊自体の問題であろうが、軍隊が機能する前提は政治にあり、その基底は憲法や国民教育などにある。
 列挙したほとんどすべての項目が日本では欠落か不足しており、明日と言わずに即刻、詰める必要がある。
 念のために、いくつかを取り上げて、政治家や国民の猛省を促す。
 理念も地勢も通じない現実世界
 日本では平和は念願すれば達成されるとか、「憲法9条で戦争放棄する国を攻撃する国はない」などとして、9条を「守り神」とする政党や言説が流布してきた。
 他方で、9条の改正や廃止を唱える党や人々を「好戦派」とか「戦争勢力」として非難・攻撃の対象にしてきた。
 しかし、ウクライナの状況からは戦争を好まないでも相手次第で起きることが明確になった。普段から抑止力としての軍隊を保持する必要があることを教えている。
 四面環海という日本の地勢(立地)を取り上げて、国境を接する国との違いを強調する国民もいる。
 しかし、20世紀以降は、航海や飛行がさほど発展していなかった19世紀までとは根本的に環境は異なってきた。第1次世界大戦、第2次世界大戦では艦船や航空機が活躍して海の障害を低下させた。
 今日においては中長距離の各種ミサイルが装備され、また宇宙・サイバー・電子戦の戦いとも言われるように、ほとんどの場合において海が制約になることは少なくなってきた。
 それどころか、潜水艦などを利用して隠密に近傍まで接近できる利便性さえ提供する状況である。
 最高指揮官の発信と国を守る国民の意志
 ロシアの侵攻を受けたウクライナでは成年男性の国外脱出を禁じている。
 国家防衛の戦力として活用するためであり、国民は支持している。男性が国外脱出する女性と子供、老人を見送る風景が連日報道されている。
 事実を国民に知らせ奮起を促す大統領の発信で、国民は国の防衛に一致団結して立ち上がっている。まさしく 「自分の国は自分たちで守る」という姿勢を示している。
 ウクライナの非常な決意と悲惨な状況、ロシアの非道に怒る国際社会は、武器や弾薬をウクライナにどんどん送り込み支援を惜しまない。
 ウクライナのこうした姿勢を見ながら、思い出されるのは日本の現状である。
 作家の佐藤愛子氏は、しばしば日本男児愛国心の欠如を批判してきた。
 何年か前の話であるが、インタビューで「(戦争になれば)逃げる」と答えた人を、「どこに逃げるというのだろうか」「逃げる場所があるとでも思っているのだろうか」と突き放し、男たちの軟弱化を嘆いていた。
 今日でも同様のアンケートへの答えはあまり変わっていないように見受ける。現実のウクライナ情勢も長年の「平和」教育で受けた意識を転換させるのは容易ではないであろう。
 国家の防衛という大問題は、国民に期待する以前に政治に期待すべきであろう。
 しかし、核の脅迫があっても政府は非核三原則云々と言葉を濁し、また原発施設への現実的な攻撃が行われても、地方自治体は「非核平和宣言都市」の看板を下ろして核シェルターなどの「備えの必要性」に移行する姿勢を一向に見せない。
 近年、教育機会の平等の一方で、エリート教育の必要性が叫ばれている理由が理解できる。
 政治は何を決めてきたか
 ウクライナが世界の国々に戦争のための武器・弾薬の支援を求めている。日本にも対戦車砲を含む支援を求めてきた。
 しかし、日本は武器・弾薬はおろか装備品についても「防衛装備移転三原則」で、紛争当事国への移転を禁じている。
 しかし、世界がウクライナを支援している状況から、また「力による一方的な現状変更に対抗する陣営の一角」(産経新聞)として、防弾チョッキやヘルメットを提供することにした。
 移転原則を決めたときはウクライナのようなケースは想定していなかったため、侵攻されたウクライナを「紛争当事国に当たらない」として提供したとされる。
 かつて、自衛隊のいる所が「非戦闘地域」として自衛隊を派遣したと同様に場当たり的というべきか、普段からあらゆる状況を想定してしっかり詰めていないという政治の貧困がさらけ出された。
 日本は何かあると、「法的ぎりぎりの決定」とか、「法の空白部分」であったなどという。
 これこそが世界の現実に目をつむってきた故の「政治の貧困」と言わずして何というべきだろうか。
 現実に自衛隊が海外に派遣されるようになってからも20年以上が経つ。
 派遣される自衛隊への命令付与(ポジリスト)の欠陥が指摘されながら、「羹に懲りてなますを吹く」状況を続けている。
 自衛隊文民統制で旧軍とは全く運用を異にしており、政治が世界の現実や自衛隊の現状を見れば、前向きの議論が必要となるであろう。
 普段の行政では少々の時間的遅れは許されるかもしれないが、戦争や大規模災害などの非常時においては国家の三要素である領土、国民、主権の全部やいずれかが侵害される。
 これまでは憲法9条で日本の防衛は二進も三進も行かなかった。
 平時という認識があったのかもしれないが、尖閣諸島への中国公船の侵入は日常化しており、領域侵害が継続して行われているという認識に立つならば少なくも平時ではない。
 日本がしっかりした姿勢を示さなければ、薛総領事の発言が真実になりかねない。
 防衛の正面から対処するだけでなく、経済安全保障も含めた総合的視点からの対処が必要であり、「大きな市場」という視点だけに目を奪われてはならない。
 早急に欠落している穴を埋めよ
 撤退企業を国有化するというプーチンの手法は、単なる脅しだけではない。
 中国の国防動員法でも在中邦人会社は有事には中国共産党の指示に従い、中国に刃向かう国家(すなわち自国)に対抗する勢力として協力することとされている。
 日本の企業はそうした状況に対する予防策を持って中露に進出しているのだろうか。企業の問題という以前に政治の問題ではないだろうか。
 戦時下のウクライナにあって、ゼレンスキー大統領は国民に向けメッセージを発信し、またロシアの偽情報を的確に否定している。
 日本の場合、安全保障にかかわる法令の欠陥、中でも9条と自衛隊問題だけがクローズアップされてきた。
 しかし、それ以上に(あるいは以前に)非常時の行政府の機能、国民の防衛義務、スパイ防止法、在外邦人の保護などについて真剣な議論を交わし、法令を整備していなければ、正しくなし崩し的に、また泥縄式にその場その場を繕わざるを得ないであろう。
 今次のウクライナで、東部2州の親露分子は別にして、ウクライナ全土でロシアに唆されたスパイなどの報道が全くと言っていいほど聞かれない。
 スパイ防止法などによって普段から敵性分子が厳重に取り締まられてきた結果ではないかと見ている。
 日本の場合、スパイ防止法はなく、在日中国人は中国共産党の指示に従うことになっており、日本の至る所に散在する中国資本の土地で蜂起して混乱させ危惧がある。
 そもそも、外交関係では相互的であるはずであり、同盟関係にある日米においてさえ大使館や総領事館敷地は賃貸である。
 しかし、日中間においては、中国における日本大使館や領事館敷地は賃貸であるが、日本における中国大使館や総領事館敷地は中国の所有となっている。
 ここには何らかの意図が隠されており、この歪な状況を改善する必要がある。
 この期に至っても軍隊の有無論議など許されるのだろうか。核問題についても然りである。
 多数決の民主主義には欠陥も多い。新型コロナウイルス感染症問題でも民主主義諸国では民意の集約が迅速にできず、全体主義国家に後れを取る面も見られた。
 だからこそ、平時において有事を想定して法制などを完備しておく必要がある。
 おわりに
 ウクライナでは成年男性の国外脱出が制限されている。国家非常時に奉仕する義務があるからである。
 正規の軍隊では到底太刀打ちできないわけで、多くの市民が義勇兵となって兵器をとり立ち向かっていることも分かる。
 憲法でも国民には国を守る義務が科されている。国民も普段から、国家に身を捧げる軍隊と軍人に敬意を払い、その意気が有事には武器を取らせる原動力となっている。
 フィンランド、バルト3国(エストニアラトビアリトアニア)、ポーランド、ドイツ、チェコイスラエルなどを旅して見受けるのは(核)シェルターの表示などで、日本のような「非核平和宣言都市」などの看板ではない。
 平和は具体的施策で達成するものであり、願望では達成できないことを知り尽くしているからである。
 なお、日本の安全保障上の問題点(欠陥)はすでに十分に分析されているので、この半年間国会議員には土日返上で、問題克服の仮条文作成などをやってもらいたい。
 議論が不十分とか拙速であるなどの異論が出るのは承知の上だ。
 ロシアのウクライナ侵攻という現実を前にして、もはや「9条云々」などと騒いでいる余裕はない。
 騒いでいるうちに「日本」自体が消滅するかもしれないからである。杞憂を願うばかりである。」
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