⛿30¦─1─核保有の露中北三国同盟に対抗する日米安保。本音で戦えない日本。〜No.169No.170No.171 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本の国力・国防力を低下させる護憲派、反米派・反安保派、反自衛隊派。
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 日本にとってロシア・中国・朝鮮は昔から敵であった。
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 2022年5月24日 MicrosoftNews 共同通信「共産、参院選へ安保冊子 9条生かし軍拡競争拒否
 © KYODONEWS 記者会見する共産党の志位委員長=24日午後、国会
 共産党志位和夫委員長は24日、国会内で記者会見し、夏の参院選に向け党の安全保障の基本的な考え方をまとめた冊子を27日に出版すると発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、安保政策が重要争点の一つになると判断。憲法9条を生かした外交や軍拡競争拒否など、党の見解を有権者に浸透させる狙いがある。
 冊子は、ロシアのウクライナ侵攻に乗じて「軍事力強化、抑止力強化、憲法9条変えろの大合唱が起こっている」と指摘。その上で「軍事に軍事で構えることこそ一番危険だ。軍拡競争の悪循環をもたらし、戦争へとつながる危険をつくりだす」と強調した。」
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5月24日18:11 産経新聞「〈独自〉中露爆撃機が日本列島沿い飛行 ウクライナ侵攻後で初
 中国軍とロシア軍の爆撃機計6機が24日、日本列島に沿う形で編隊飛行したことが分かった。日本政府関係者が明らかにした。24日は日米豪印4カ国(クアッド)が首脳会合を日本で開催しており、これに対抗する形で中露が共同行動をとったとみられる。
 【表でみる】ロシア・ウクライナが失った兵器の数
 編隊飛行を行ったのは、中国のH6爆撃機2機と、ロシア軍のTU95爆撃機2機の4機。4機は東シナ海から日本海に抜けた後、中国機が別の2機と交代して太平洋を往復した。航空自衛隊の戦闘機がスクランブル(緊急発進)を行った。
 中露の爆撃機が日本周辺で編隊飛行を行うのは昨年11月以来で、ロシアが今年2月にウクライナに侵攻して以降は初めてとなる。昨年10月には中露の海軍艦艇計10隻が日本列島を周回している。
 中国の習近平国家主席は2月4日にロシアのプーチン大統領と会談し、「中露は両国の根本的利益を守る努力を断固として支持する」と述べていた。ウクライナ侵攻に国際的な非難が集まる中で、中国がロシアと連携する意図が明確になった形だ。
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 5月24日 MicrosoftNews zakzak「日本の核戦略 習政権がプーチン氏のように核恫喝に出たら…逃げ回っていた日本政府に答えはない 〝台湾有事〟で戦線離脱すれば日米同盟は即死
 国連安全保障理事会常任理事国であるロシアが、白昼堂々、ウクライナを侵略し、核の恫喝(どうかつ)を行った。世界は震撼(しんかん)した。核兵器は、最終兵器であり、撃ち合えば数百万人が死ぬ。その恐怖と、あまりの愚かさが相互抑止を担保している。そこには、「核兵器国は責任ある理性的な国である」という前提がある。
 ところが、ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナに軍を進め、残虐行為を繰り返し、最悪の場合には核を使うと恫喝した。ロシアの核ドクトリンは特殊であり、小規模な戦術核を先制使用することを公言している。核兵器を早めに投入することで、ロシアの決意を示し、敵にエスカレーションを思いとどまらせるという戦術である。
 問題は、プーチン氏にとっての核心的利益が、本来のロシア本土防衛ではなく、「ウクライナの属国化」という個人的野望に置き換わってしまっていることである。プーチン氏は、核を使ってでもNATO北大西洋条約機構)軍の介入を阻止したい。ロシアとの核対決を恐れるNATOは介入しない。ウクライナ南東部は文字通り、市民を巻き込んだ地獄絵図の様相である。
 中国は、ロシア同様、「世界秩序の現状打破」をもくろむ。習近平国家主席は今年、鄧小平の遺訓を破り「3期目」に突入する。おそらく、4期目も狙うであろう。
 10年後、老いた習氏が、プーチン氏のように歴史に残す偉業として、「台湾の武力併合」を考えるかもしれない。独裁者の心理は凡人の想像を超える。習氏が決断さえすれば、人民解放軍は直ちに怒濤(どとう)の進軍を始める。平和は簡単に壊れる。幸福な日常は失われる。
 日本は、日米安保条約第6条によって、在日米軍が日本周辺の朝鮮、台湾、フィリピンを守ることを認めている。日本の外壁のような国々だからである。1990年代の朝鮮半島危機の際、小渕恵三首相は、自衛隊による対米軍後方支援を可能とした。台湾がきな臭くなった21世紀に入り、安倍晋三首相(当時)は集団的自衛権行使を可能とした。中規模とはいえ、総軍25万で最新鋭の装備を誇る日本国自衛隊の加勢である。日米同盟の抑止力は向上した。
 しかし、もし台湾に侵攻した習氏が「自衛隊の参戦には核兵器をもって対抗する」「米軍に基地を使わせれば核で報復する」と、プーチン氏のような恫喝に出たら、日本の首相は何と答えるのか。核恫喝に怯まないと言える首相はいない。
 かといって、台湾侵略の最中に戦線を離脱すれば、日米同盟は即死する。戦後一貫して、日本の政治家は核の問題から逃げ回ってきた。今の日本政府に、その答えはない。
■兼原信克(かねはら・のぶかつ) 1959年、山口県生まれ。81年に東大法学部を卒業し、外務省入省。北米局日米安全保障条約課長、総合外交政策局総務課長、国際法局長などを歴任。第2次安倍晋三政権で、内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長を務める。19年退官。現在、同志社大学特別客員教授。15年、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章受勲。著書・共著に『戦略外交原論』(日本経済新聞出版)、『安全保障戦略』(同)、『歴史の教訓―「失敗の本質」と国家戦略』(新潮新書)、『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』(同)など。」
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 5月23日 MicrosoftNews 現代ビジネス「露中北同盟は十分ありうるー日本はロシアと戦争をする覚悟があるのか 日本はもっとインドに接近すべきだ
 大原 浩
 守備は実力、攻撃は時の運
 戦いを2つに分けるとすれば、「守備」と「攻撃」が最も一般的であろう。
 そして、人々の注目は華やかな「攻撃」に注がれることが多く、地味な「守備」の重要性は忘れられがちだ。
 しかし、ナポレオン・ボナパルト武田信玄孫正義ビル・ゲイツの愛読書としても有名な「孫子(の兵法)」では、「攻撃をして勝つかどうかは時の運だが、守備で守り切るのは実力だ」と述べている。
 詳しくは、「孫子の投資法 『守備』は実力である その1」を参照いただきたいが、孫子のメッセージは次の通りだ。
 「戦いの上手な人は、まず味方を固めて誰にも破られないようにする。そして敵が弱点をあらわにして、誰もが簡単に勝てるようになるまで待つ。」
 「誰にも負けないように守りを固めるのは味方の問題である。逆に、誰もが簡単に勝てるようになるのは敵の問題である。」
 「だから、どのように戦いが上手な人でも、味方を固めることはできるが、敵の弱点をあらわにすることはできない。敵が弱体化するまで待つしかないのである。」
 この孫子の言葉をじっくり嚙み締めると、日本の真珠湾攻撃や今回のウクライナ侵攻は「悪手」であったと断言できる。
 確かに、真珠湾攻撃においては、当時の米国大統領フランクリン・ルーズベルトABCD包囲網などで苛め抜かれた日本の立場も理解できる。しかし、攻撃対象は米国そのものである必要はなかった。米国との直接対決は、あの傍若無人なように見えるアドルフ・ヒトラーでさえ躊躇していたのだ。
 今回のウクライナ侵攻も、3月18日公開「プーチンだけが悪玉か―米国の『幅寄せ、煽り運転』がもたらしたもの」で述べたように、「仕掛けた」のは明らかにバイデン民主党政権であるが、その挑発に乗って「手を出した」ロシアは、1941年の日本と同じ愚かな行為に手を染めたといえよう。
 だが、1941年当時には世界のどの国も核兵器を持っていなかった。核兵器の歴史上唯一の非人道的「人体実験」は1945年の広島と長崎で行われ、我々はその世界を破滅させかねない威力を思い知ったのだ。
 © 現代ビジネス 1945年8月6日、広島に投下された原爆のキノコ雲  撮影:George R. Caron=エノラゲイ乗員
 核兵器に対する「守備」を固めずに
 この核問題を考えると、バイデン氏とプーチン氏の立場が入れ替わる。バイデン氏は「ウクライナのために第3次世界大戦を戦わない」と明言している。だとすればバイデン氏は6000以上のロシアの核兵器に対する「守備」をきちんと固めずに、ロシアに「手を出させた」ことになる。
 もちろん、プーチン氏は少なくともバイデン氏よりは「正気」を保っていると考えられるから、滅多なことはないと希望を込めて予想する。しかし、プーチン氏が「核兵器使用の覚悟」を持っている以上、米国やNATOの全面勝利はあり得ず、良くても悪くても核戦争による人類滅亡という「引き分け」しか道が残されていない。
 たぶん、バイデン政権は少なくとも11月の中間選挙まで、(選挙戦略上)世界に平和をもたらす気は無いだろうが、私が執行パートナーを務める人間経済科学研究所フェロー・八幡和郎の「トルコ仲介の期待と戦争を終わらせたくない英米の迷走」のような状態がいつまでも続く「続・ベトナム戦争」の終焉は期待できないのだろうか。
 毎日新聞の4月28日の記事において「プーチン氏、核使用改めて示唆 『他国に無い兵器、必要な時に使う』」と、核兵器使用の可能性を示唆しているが、5月6日の日経新聞記事「『ウクライナでの核使用ない』 ロシア外務省記者会見」では、ロシア外務省のザイツェフ情報局次長の「ロシアが核兵器を使用することはない」との発言を紹介している。
 もちろん、ロシアも核兵器の使用を積極的に行う気はないだろうが、他国から核攻撃を受けた時以外にも「自国が存亡の危機」に陥ったときには核兵器の使用をためらわないであろうことは容易に想像できる。
 だから、米国やNATOがロシアを「(存亡の危機に)追い込む」場合には、核攻撃への「守備」を徹底すべきなのだ。
 もちろん、日本も核攻撃への守備を早急にすべきであるが、「厄介な隣人」である中国や北朝鮮も核保有国であることを忘れてはならない。ウクライナ紛争の影に隠れているが、日経新聞5月6日の記事「北朝鮮、5月中に核実験準備か 米メディア報道」にあるような深刻な事態が進行している。
 朝鮮戦争は終わっていない
 朝鮮戦争休戦協定は、1953年に調印されたが「平和条約」は現在でも結ばれていないから「朝鮮戦争はまだ終わっていない」といえる。
 国連軍最高司令官であったダグラス・マッカーサーは、北朝鮮に対する核の使用を提言していたとされるが、日本に原爆を投下したハリー・S・トルーマン大統領はそれを認めなかった。1949年に米国がソ連の核実験の事実を公表してそれをソ連が追認したことが大きく影響しているのかもしれない。
 だが、朝鮮戦争当時のソ連の核戦力はまだ脆弱であったと考えられるから、トルーマン大統領の判断は微妙であったと言える。ソ連が本格的な核戦力を保持したことが、現在のロシアの問題にまでつながっているからだ。結局、トルーマン大統領は1951年にマッカーサーを解任している。
 そして、北朝鮮が2017年に発射した「火星15」は射程1万km以上とされ、米本土に届くと騒がれていた。2018年には、「米ハワイでミサイル攻撃の誤警報 『これは訓練では無い』…住民パニックに」が起こっている。北朝鮮の核の脅威には、日本人よりも米国人の方が敏感なのかもしれない。
 さらに、日経新聞5月11日の記事「韓国でも[FT]韓国の新政権、対北で『核武装』議論 米兵器配備も」との報道もなされている。
 5月7日公開「『最悪の事態』に備える……核シェルター級の『超』資産防衛術とは」冒頭ページで述べた核シェルター普及率を考えれば、「日本は『唯一の被爆国』であるのにも関わらず核の脅威に鈍感」であるといえよう。
 最も近い隣国は?
 北朝鮮平壌と韓国のソウルから東京までの距離はそれぞれ1300km、1200kmほどである。だが、日本の対馬から韓国・釜山までの距離はわずか49.5km。(北を含む)朝鮮半島と考えれば、目と鼻の先だ。
 さらに、北海道とサハリンは陸地間の最短距離が約43kmしかない。
 また、ウクライナ侵攻を行った当事者であるロシアが「実効支配」している(本来日本の領土である)北方領土の南端である歯舞群島貝殻島から根室半島納沙布岬までの距離はたったの3.7kmである。JR品川~東京間6.8kmのほぼ半分程度の距離しかないのだ。しかも、最も遠い択捉島でも144.5kmで、八丈島と本土との距離287kmよりもはるかに近い。
 「朝鮮戦争が終わっていない」ことはすでに述べたが、日ロ平和条約交渉も、岸田政権の「バイデン政権追従・経済制裁」という「攻撃」によって、話し合いが打ち切られた。
 もちろん、北方領土ウクライナも「ロシアの実効支配を認めない」という日本の立場は理解できるが、「経済制裁」という攻撃で平和条約交渉をご破算にしたからには、日本の「守備」を固めることが急務である。
 戦術核配備は?
 例えば、米ソ間の核軍縮協定などでは射程距離500km以下のものが戦術核兵器であると定義されている。つまり、現状での可能性は必ずしも高いとは言えないが、「平和条約締結交渉」がストップした現在、ロシアが「戦術核ミサイル」基地を北方領土に建設する可能性を否定できなくなってきたということだ。
 実際、1962年の、米国フロリダ半島からわずか140kmに位置する国家へのソ連による核ミサイル基地の建設が、キューバ危機の直接の原因だ。
 だが、フルシチョフのこの決断の背景には、米国の(ソ連の喉元に当たる)トルコ核ミサイル基地の存在があったから、仕掛けたのは、ウクライナ紛争同様米国と言えるかもしれない。
 北方領土問題は、「不当に実効支配されている日本の領土の返還請求」だが、経済制裁という「攻撃」を加えて、「平和条約締結交渉」をご破算にしたのは日本であり、「北方領土にミサイル基地を建設させない」あるいは「もし建設された場合の対策を考える」ことは急務である。
 日本防衛は核戦力なしではありえない
 核兵器保有は「守備」である。(第1次)冷戦時代に「世界大戦」が起きていないことからもわかるように、その「戦争抑止効果」は絶大だ。また、NATOや米国がロシアと直接対決しないこともその証明である。
 しかし、ウクライナは核を放棄するという大失敗をしている。ソ連邦崩壊直後には米・ロシアに次ぐ「世界第3位の核保有国」であったウクライナが、すべての核を廃棄した事情は、2月4日公開「ウクライナ危機はキューバ危機? バイデンの『危険な火遊び』の行方」2ページ目「核というキーワード」で述べた。
 その見返りという形で、1994年12月、米露に英国を加えた3カ国は「ブダペスト覚書」に署名し、ウクライナの安全を保障することを明記したのである。
 ロシアがこの覚書に反する形でウクライナへ侵攻したことは非難すべきだが、米(英)も「核を使ってまであなた方を助けないよ」と(事実上)言い放ったのである。
 歴史に「もし」はないが、ウクライナが世界第3位の核保有国のままであったなら、ロシアからの侵攻はなかったと考えられる。
 そもそも、核拡散防止条約は、「核保有国の既得権」を守るためのものである。1945年の原爆投下以来、核拡散が実現するどころか、世界に広がっているのだから、日本も核保有を真剣に検討すべきである。
 核保有国が「核の抑止力」を主張するのであれば、日本もその「抑止力」=「守備力」を手に入れるべきということだ。これは「専守防衛」の日本の基本的考えにも合致する。
 露中北同盟は充分ありうる
 恐ろしいことに、ロシア、共産主義中国、北朝鮮はすべて核保国であり、彼らが結束すれば抗しがたい敵になるかもしれない。
 また、中国の空母遼寧ウクライナから購入した空母を改修したものだ。北朝鮮の核やICBMの開発におけるウクライナとの関係は、日経ビジネスの「北朝鮮にミサイル技術流したのは誰だ」、PRESIDENT Online「なぜ高度なICBMを作れるのか…失業したウクライナ人技術者を誘い込む北朝鮮の手口」などに詳しい。単純に「ロシアの敵」だから「敵の敵は味方」だと言ってウクライナを我々の味方などと安易に考えてはいけない。
 そして、その魑魅魍魎が渦巻く国際社会の中で日本が生き残るためには、「核の抑止力」=「守備力」を手に入れることが極めて重要だと考える。
 また、3月29日公開「まさかRIC=露印中が大同団結?『第2次冷戦』の世界の本音とは」で述べたRICの一角であるインドを、彼らからできる限り引き離すのが我々の行うべきことだと考える。ちなみに、インドも核保有国であり、その核開発に関するいきさつから、米国とは長年にわたって緊張関係が続いている。」
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 5月23日 産経新聞「損害拡大、戦況膠着…露の核使用に警戒強まる
 米欧側から支援を受けたウクライナ軍の抵抗により、ロシア軍は損害を拡大させ、戦況は膠着(こうちゃく)状況に陥っている。そうした中、ロシアが「決着」を図ろうと、核兵器を使う可能性も否定できない。露高官らは核使用の可能性を打ち消すが、結局はプーチン大統領の胸中次第であり、核をめぐる緊迫した局面は続く見通しだ。
 米欧主要メディアによると、ヘインズ米国家情報長官は10日、ロシアが敗戦に追い込まれるとプーチン氏が悟った場合、「国家存立の危機」とみなし、核兵器の使用を決断する可能性がある-との見解を示した。
 ロシアは核兵器の使用条件を、①ロシアや同盟国に弾道ミサイルが発射されるとの信頼できる情報が得られた場合②ロシアや同盟国に核兵器など大量破壊兵器が使用された場合③ロシアの報復核を管理する重要施設に敵が干渉した場合④敵の通常戦力の攻撃により国家の存立が脅かされた場合-と文書で規定している。
 一方、ロシアは侵攻開始当初から核使用の可能性を指摘する声に反発し、ラブロフ外相は4月19日、「ロシアは核使用を検討していない」と強調。ボリソフ副首相も今月18日、「ロシアは先制核攻撃を行わない」と述べた。
 ただ、プーチン氏が核使用をちらつかせてきたのは事実だ。2月27日、核戦力を警戒態勢に移行させるようショイグ国防相らに指示。4月27日には「作戦に干渉し、ロシアに戦略的脅威を与えた国には、電撃的な報復を行う」と警告した。
 ロシアは侵攻後、新型大陸間弾道ミサイル「サルマト」や核搭載可能な弾道ミサイル「イスカンデル」の発射演習も実施している。
 ロシアが核を使うかは各国専門家の間でも見解が分かれている。仮に核を使えば、ロシアに協力を求めてきた中国なども敵に回すため、使用はあり得ないとの見方が一方にある。他方、プーチン氏が低威力の戦術核を使い、ウクライナに抗戦を断念させようとするとの見方も根強い。
 英調査報道サイト「べリングキャット」の露専門家、グロゼフ氏は別の見方を示す。同氏は16日、米政府系「自由ラジオ」に「プーチン氏はクーデターを招く恐れから、核使用命令を出せない」と指摘した。
 グロゼフ氏によると、露権力中枢のエリート層には「ロシアは負ける」との悲観が強まり、プーチン氏への忠誠が揺らいでいる。グロゼフ氏は「プーチン氏が発射命令を出しても、発射プロセス上の誰かが拒否すれば、即座にクーデターにつながる。プーチン氏には命令が拒否されないと確信する手段がない」とした。
 露メディアによると、ロシアの核兵器の発射には大統領、国防相参謀総長の同意が必要で、3人にはそれぞれ、いわゆる「核のボタン」を持った将校が常に同行。発射システムを起動するオペレーターを含めると、少なくとも7人が発射プロセスに関与している。」
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