👹14:─1─安倍晋三の国葬に異議あり、「反日邪教」を持ち上げた偽りの「保守」。~No.52No.53No.54 

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 2022年8月28日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「安倍晋三国葬異議あり、「反日邪教」を持ち上げた偽りの「保守」《田中・浅田》

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田中康夫浅田彰が、世相をしなやかにメッタ斬りする対談「憂国呆談」、今回は銃撃事件以降、政界を一気に覆った統一教会問題のお話からです。

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 【写真】再逮捕された「美人すぎる寝屋川市議」の写真集全カットを公開
 「反共」だが「反日統一教会の奇々怪々
 Photo by Shinya Nishizaki
 浅田 母親が統一教会(世界平和統一家庭連合)に入れあげて破産、人生設計が狂ったことを恨んだ男性が、統一教会幹部を殺すのは難しいから、代わりに祖父の岸信介元首相の代から統一教会と関係の深い安倍晋三元首相を殺害。それをきっかけに統一教会自由民主党、とくに「右翼」の安倍派と、いまもって選挙応援などで広く深く結びついてることが明るみに出た。
 神道系右翼の日本会議の方が目立ってたけど、統一教会もまだ根を張ってたんだなあ。確かに、北朝鮮で投獄され朝鮮戦争で韓国に逃れた文鮮明が興した宗教だから、反共意識が強く、岸が笹川良一のような右翼を通じて結びつき勝共連合をつくらせたのも不思議はない。
 だけど、底流には反日意識もあって、日本人信者は植民地支配の罪を償うため韓国人信者の十倍も二十倍も貢げっていうわけでしょ? 現に霊感商法でカネを巻き上げることが問題化したのは日本で、韓国やアメリカではその種の問題は注目されてない。他方、反共だった文鮮明も晩年には北朝鮮との和解を目指してた。日本ナショナリズムを前面に押し出す自民党右派がそんな団体に選挙応援をしてもらってたとは! 
 僕が大学に入った1975年当時はまだ大学に統一教会系の原理研究会があって、僕も含めたいわゆるノンセクト・ラディカルにとっては新左翼革マル派中核派と並ぶ警戒対象だったから、ちょっと調べてみて、「淫祠邪教(いんしじゃきょう)」って古語を思い出したな。
 イエスは霊の救済を行なったものの独身者として子孫を残さずに死んだ失敗したメシアだ。文鮮明(ムン・ソンミョン)・韓鶴子(ハン・ハクジャ)夫妻こそ霊と肉の救済を行なう真のメシアで、夫妻のもと信者同士が集団結婚して無原罪の(アダムとイヴが知恵の果実を食べて裸であることを恥じるようになりエデンの園から追放される、その原罪から解き放たれた)種族が増えていくことで人類は救われる、と! 
 キリスト教から見れば異端っていうより異教に近いでしょう。で、朝鮮がアダムなら日本はイヴ、端的に言って朝鮮半島が男性器なら日本列島は女性器、そのくせ女だてらに朝鮮を植民地支配した罪を償うために日本はどんどん貢げ、と。逆「慰安婦問題」って言っちゃうと不謹慎に過ぎるだろうけど、日本人女性信者は、経済力や学力がないから、あるいは病気や障碍があるから結婚できないでいる韓国人男性信者と、集団結婚で結ばれて、身をもって奉仕せよ、と。
 田中 その1点だけでも、「統一教会」と関わりを持った政治家は「公職追放」だ、と朝鮮半島や中国大陸を見下してきたエセ「保守」ネット右翼の面々は狼煙(のろし)を上げるべきなのにね。日出ずる国を「ド壺」に陥れた輩は反共「レッド・パージ」ならぬ統一壺「ポット・パージ」だと! 
 ベニート・ムッソリーニを信奉する「大衆右翼」を自負し、右翼団体の「国粋大衆党」を戦前の1931年(昭和6年)に結党した笹川は、敗戦後は競艇事業を担う全国モーターボート競走会連合会(現在の日本モーターボート競走会)の収益金を元手に日本船舶振興会(現在の日本財団の前身)を創設。「私は日本で一番金持ちのファシストだ」と1972年に米誌『タイム』で答えている。出生地の大阪府箕面市の名誉市民でもある彼は、言われなき迫害を受けたハンセン病患者の救済にも力を注ぎ、良くも悪くも端倪(たんげい)すべからざる毀誉褒貶(きよほうへん)喧(かまびす)しき人物ではある。
 その彼が「私は文鮮明の犬である」と述べていたんだから、我が家のトイ・プードルのロッタの執事を自任する僕もビックリだよ(苦笑)。そうして1982年の合同結婚式では「天を中心とした理想と信念のもとに指導し教育しておられる文鮮明先生を私が心より尊敬する所以であります」と岸が礼賛するメッセージが読み上げられた。
 党派性の強すぎる国葬
 Photo by Shinya Nishizaki
 田中 ところが「反共」で日本の「保守」と連帯していた筈の統一教会は1991年に文鮮明平壌を訪れ、金日成(キム・イルソン)と朝鮮民族としての“兄弟の契り”を交わしてしまう。朝鮮民主主義人民共和国は1972年以降、マルクス・レーニン主義を脱却して「自主・自立・自衛」を掲げる主体思想(チュチェササン)を確立したから問題なしという屁理屈だろうけど、その北朝鮮に平和自動車という合弁企業の自動車製造会社を統一教会は設立した。
 資本関係を現在は解消と主張しているけど、霊感商法で社会問題化した資金源の少なくとも7割以上は日本からの献金だと「ワシントン・ポスト」も報じているから、
謂わば日本から北朝鮮への「迂回献金」だ(文が1982年にワシントンD.C.で創刊した紛らわしい名称の日刊紙『ワシントン・タイムズ』を三浦瑠麗が「宗教色はほぼなく、保守系新聞としてふつうの実務家にも読まれている」と香ばしく持ち上げて失笑を買っているし、同じく文が1975年に東京で創刊の日刊紙『世界日報』に関するWikipediaに登場する数々の著名人も香ばしい)。
 平壌に支局を日本メディアとして初めて2006年に開設の共同通信社は、「統一教会創設者の遺族に弔電 北朝鮮、90年代から関係」と見出しを打って、死去から10年を迎える文の遺族に北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会が弔電を8月13日に送ったと報じた。
 「嫌韓・憎韓」を掲げて商売してきた『Hanada』『WiLL』『正論』の月刊3誌は「反日邪教」に騙されたと悲憤慷慨すべきなのに、黙して語らずのヘタレ振りだ。というか、結果的に片棒担いだ我々は愚かでした、と素直に懺悔すべきだよ。
 浅田 いずれにせよ、岸信介から安倍晋三に至る自民党右派は、現在の日本会議につながる神道系右翼のみならず統一教会のような反共反日集団まで選挙に動員する極端な存在だったのが、今世紀になると、吉田茂から池田勇人宮沢喜一をへて岸田文雄にいたる「保守本流」を押しのけて主流になった。それが異常だってことは改めて意識しといた方がいい。
 その意味でも安倍元首相の国葬は大問題だね。たしかに選挙運動中に凶弾に倒れた政治家を特別に追悼するのはおかしくないけど、それなら棺を乗せた霊柩車が国会や首相官邸を巡り衆参両院議長や首相を初めとする多くの政治家が見送った、あれで十分でしょう。
 そもそも戦後の日本では国葬は法的根拠を持たないんで、吉田茂元首相の国葬(1967年)さえ問題ではあった。しかし、敗戦後、占領軍のダグラス・マッカーサー司令官と渡り合い、サンフランシスコ平和条約調印に漕ぎ着けた吉田、アメリカから再軍備を求められ警察予備隊あらため自衛隊をつくったものの平和憲法改正はしなかった吉田を、多くの国民が戦後日本の礎を築いた人物と見てたのは確かだろうし、そもそも1954年に首相を辞してからずいぶん時間が経っていた。
 他方、安倍は強引な手法で日本を右の方へ引っ張っていったdivisiveな(融和ではなく分断を引き起こす)人物で、右翼には支持されてもそれ以外からは警戒されてたし、死ぬまで現役だったから、自民党葬ならともかく国葬には党派性が強すぎる。海外の首脳から弔電が殺到したとか言うけれど、ナショナリストを気取りながら実はアメリカべったり、ドナルト・トランプ前米大統領のような最低の人物にまで平気ですり寄ったんで「うい奴じゃ」と思われただけでしょう。
 そういえば、国会でも議員が亡くなると反対党の議員が追悼演説をするのが普通だった。前に河野洋平衆議院議長が言ってたよ、国会での演説で感動するのは追悼演説くらいのものだ、と。それが、安倍の場合は「お友達」の甘利明自民党衆議院議員がやることになりかけ、さすがにもめて先送りされる始末。このこと自体、国葬にふさわしくない人物だったことを物語ってる。
 『月刊Hanada』の「緊急アンケート」
 Photo by Shinya Nishizaki
 田中 先月も触れたように、家庭連合=統一教会会長の田中富広が7月11日午後に一方的な弁明会見を開くまで、「暗殺」から丸3日間も固有名詞を出さずに「とある宗教団体」の表現で忖度する一方で、250以上の国・地域・機関が1700件を超える弔電を送ってきたと政府広報係を務めていた新聞やTVも、最近では「国葬」反対が賛成を上回ると世論調査の結果を伝えている。産経新聞が8月20日、21日に実施した世論調査でも反対51%、賛成40%。政権維持の為に法的根拠のない「国葬」をぶち上げたと国民の多くに見透かされてしまったんだね。
 ところが往生際の悪い面々は、「『反対』が79・7%で『賛成』の4倍以上」と『文春オンライン』が報ずるや、メールマガジン登録者を対象に実施した「公正さ」を欠く数値だと脊髄反射ツイート。
 対抗して『月刊Hanada』が「嘘偽りなき愛国者国葬緊急アンケート」を8月17日早朝からツイッター上で始めると、スタート当初は僅か2%だった「国葬」反対派が過半数を占めてしまう勢いに。しかも7日間で投票総数が60万票を突破。花田紀凱(かずよし)編集長の古巣の文藝春秋の回答者2981人よりも母数は遙かに多い。
 でもね、SNSという単語が使われる遙か前に筑紫哲也が述べたように「インターネットは便所の落書き」(苦笑)なんだから、柳に風で泰然自若とやり過ごしてこそ太っ腹な「真の保守」だぜ。
 なのに、「香山リカ東ちづる松尾貴史ラサール石井も参戦! 皆さま、是非ご投票下さい!」と連続ツイートで賛成派に蜂起を促し、「動員がかかって(賛成派が)再逆転しているようです」と松尾が呟くと「松尾貴史さま 再逆転されて悔しいのはわかりますが、デマはおやめください。 まだ投票されていない皆様、ぜひ、ご投票ください!」「51万票を超えました。Twitter史上最大規模ともいわれておりますこのアンケートは、どなたでもご投票頂けます。是非ご参加下さい。」1人一票とは限らぬツイッターの「アンケート」なのに全力投球。
 結果は「賛成51%・反対47%・どちらともいえない6%」。他の世論調査と異なり辛うじて賛成が過半数。そこにぶら下がるツイッタラーの膨大な「賛成」「反対」押し問答を眺めると、両陣営共にエネルギーを投下する場所が他に見付からない日本の哀しさを体現しているね。
 三浦瑠麗が「大喪の礼」を「たいそう」でなく「たいも」と、したり顔で誤読したのを、事前収録にも拘らず撮り直しせずに「ワイドナショー」で流した天下のフジテレビにも話題が集中した。
 “ポスト田﨑史郎”を目指している古市憲寿に至っては、「政治家って票集めの為なら何でもする人達で、当然宗教団体とも付き合うし、他の組織とも付き合う」と擁護。「あまりに統一教会批判がヒートアップすると容疑者の思う壺だ」とアクロバティックな妄言まで吐いて、さしもの「ワイドナショー」で泉谷しげるに「なに言ってんだ、こいつ」と一刀両断される始末。
 「フランスはある種、戦前の日本に似ているが国家が宗教を付き従えている。一方でアメリカは宗教的自由を重んじる。日本はどっちを目指すのか。統一教会だけをバッシングしても生産性がない」という支離滅裂な発言に至っては、ただでさえ地盤沈下中の「社会学者」のイメージを更に自ら貶(おとし)めてくれた。天晴れだ。
地域を浸食していった統一教会
 Photo by Shinya Nishizaki
 浅田 もちろん信教の自由は守らなきゃいけない。だけど、統一教会オウム真理教のように強引な布教と洗脳のあげく多くの被害者を出し社会を脅かすようなケース、あるいはタリバンや「イスラム国(IS)」のように過激な神政政治を目指すようなケースは、当然、法的・社会的に規制すべきでしょう。
 田中 「FRIDAY」は、「合同結婚式」経験者で大阪市議会議長を務めた大阪維新の会の市議会議員について報じている。
 大阪府知事から大阪市長へと転職した松井一郎の地元として知られる八尾市と大和川を隔てて隣接する松原市で、国から移管を受けて大阪府が維持管理を担当する国道309号線の歩道や中央分離帯の植樹帯を清掃する活動に「世界平和統一家庭連合」が参加していると、「国道沿いの看板に『旧統一教会』 役所が清掃活動にお墨付き?」の見出しで『毎日新聞』がスクープした。
 「自助・共助・公助」の時代に“相応しく”、地域住民が行政の下働きを担う「アドプト・プログラム」と称する取り組みだ。「この歩道は、大阪府アドプト・ロード・プログラムにもとづき、『世界平和統一家庭連合』が清掃活動をしています。令和3年9月認定 大阪府富田林土木事務所 松原市役所」と記された看板には「アドプト・ロード 河内の国 福地化・松原地区」と大書きされている。この「福地化」というのは統一教会独自の用語で「反共」の砦としての活動拠点を意味するらしい。
 同じく南河内の富田林市での「福地化」協定は2016年。大阪の高校を退学後に笹川良一が理事長を務めていた福岡工業大学附属高校に編入した松井一郎が、奇しくも府知事だった時代の協定だ。これも「偶然」とは言え、住之江競艇場の電飾関係を牛耳る(株)大通の創設者が松井の父親で、現在は彼の弟が経営者。
 笹川の出身地の箕面市では全国大学連合原理研究会CARP(原理研)が子ども向けの科学実験の講座を毎月2回、17年前から市内各地の小学校で開いていたのも遅まきながら明るみに出た。
 こうして統一教会が全国各地の地域コミュニティを侵食していく中で、数千億円規模の献金が数多くの家族の悲劇を生み、今回の「暗殺」へと至った。
 なのに、文部科学大臣永岡桂子は8月10日の就任会見で「憲法でも保障される信教の自由がある」「宗教法人の規制や取り締まりを目的としていない宗教法人法には手を付けずに被害の救済をするのが良い」と答えている。駄目だねぇ。最早、宗教法人でなくカルト集団なのだから、オウム真理教同様に解散命令を出すべきだよ。
 爆笑問題太田光が「悪いカルトと認定できていないから注意深く議論しろ」と相も変わらず明後日な発言をすると、杉村大蔵が「一般信者への差別の助長に繋がってはいけない」とニワカ人権派を気取ってるけど、アホちゃうか。解散させることが苦悩する信者二世の救済にも繋がるんだよ。
 とまれ、負のイメージを払拭すべく前倒しで内閣改造を行った筈が「ど壺Ⓒ松尾貴史」に嵌まって次から次へと関係が明らかに。遂には〈改造しても「統一教会」ベッタリ内閣 「萩生田政調会長」がつないだ「カルト」と「生稲晃子」〉と『週刊新潮』が特集。「一緒に日本を神様の国にしましょう」発言まで発覚した。更には岸田文雄が広島の統一教会幹部と笑みを浮かべて2人で収まった写真も『FRIDAY』が掲載。 ぬかるみの世界。底なし沼だ。
 「黄金の三年間」ならぬ「呻吟の三年間」となるのでは、と前回の前編の最後で述べたけど、 早くも「苦渋の三年間」どころか「泥沼の三年間」だね。
 田中康夫×浅田 彰
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