⛿3¦─5・D─「防衛費増額」発言のウラで…日本のメディアが報じない「ヤバすぎる現実」。〜No.13 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 戦前日本は、軍需と民需を分ける為に、民間の軍事産業とは別に軍直属の工場である海軍工廠と陸軍造兵廠を持っていた。
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 陸軍造兵廠(りくぐんぞうへいしょう)は、大日本帝国陸軍の機関の一つ。
 概要
 1923年(大正12年)3月29日に創設された帝国陸軍の兵器製造施設。。小銃・弾薬・火砲等の製造から馬具や軍刀に至るまで、国内4箇所の工廠と2箇所の兵器製造所に於いて製造にあたった。陸軍大臣に直隷し、長官には陸軍中将が就いた。初代長官は横山彦六中将で、1940年(昭和15年)4月1日、第8代長官小須田勝造中将の時に、陸軍兵器廠に統合された。
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 海軍工廠(かいぐんこうしょう)とは、艦船、航空機、各種兵器、弾薬などを開発・製造する大日本帝国海軍直営の軍需工場(工廠)。ほかに海軍が直営する軍需工場としては、航空機の修理整備(末期には製造)を担当する航空本部所管の「空廠」、火薬製造・充填を担当する艦政本部所管の「火薬廠」、石炭採掘や石油精製を担当する艦政本部所管の「燃料廠」、軍服・保存食製造を担当する軍需局所管の「衣糧廠」、医薬品・医療機器の製造を担当する医務局所管の「療品廠」がある。
 歴史
 海軍工廠は造船所を中心に発足し、海軍鎮守府の直轄組織とされた。横須賀鎮守府では、江戸幕府が設置し「製鉄所」「造船所」などと呼ばれていた横須賀造船所を接収したが、艦艇のみでなく民間船舶の修理なども長い間行なっていた。呉鎮守府では、神戸の小野浜造船所を管轄し、ここを閉所して機材を呉に移し、呉造船所を開設した。佐世保鎮守府および舞鶴鎮守府では、鎮守府用地に造船所を新設した。また兵器・需品を製造する造兵廠は東京と呉に設置し、横須賀・佐世保・呉では保管を担当する武庫を設置して管理した。
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 2022年11月24日 YAHOO!JAPANニュース 夕刊フジ「「親中韓」と「消費増税」で日本は沈む 外交も経済も「骨抜き方針」の岸田政権、林外相の中国派遣で財界へ間違ったメッセージ送る危険性
 岸田文雄首相と林芳正外務相
 【ニュース裏表 田中秀臣
 岸田文雄政権の特徴は、経済政策でも外交でも骨のある方針がないことだ。他方で岸田首相が重視しているのが、財務官僚への気遣いとテレビでの印象ではないか。
 【グラフでみる】平均年収と賃金が増加した人の比率
 財務官僚への配慮は、特に消費増税路線を堅持することに表れている。誰の目にも日本経済は低迷している。その主因は国内の消費が振るわないことだ。最も即効性のある財政政策は、消費減税だ。だが、自民党の議員たちからは以前にも増して消費減税の声は乏しい。「一度上げたら二度と下げることはない」というのが財務省の消費税への基本姿勢である。
 夏の参院選のときは、岸田首相は「消費税の減税は考えない」と述べた。経済政策については、財務省の言いなりだからだろう。実に財務官僚には働きやすい環境だ。防衛費の増額や、「新しい資本主義」の実現、そして電気自動車の本格的導入でも、国民的な議論もなおざりに、財務官僚の増税シナリオが岸田政権から流れてくるだけだ。
 外交はどうだろうか。対面での日韓首脳会談と日中首脳会談が相次いで数年ぶりに実現した。両方とも積極的なのは岸田政権側だ。旧統一教会問題で支持率を下げた政権が、「ワイドショー民」たちの人気を得るには、外交が最もテレビ映りがよく、高得点をあげやすい。
 日中会談では、領土問題や人権問題で、「言うことは言った」と評価する人を見るが、もし言わなければ単に中国の属国である。日韓会談では、韓国の内政に配慮して、いわゆる徴用工問題は事実上の棚上げである。愚かしいことだ。
 しかも両国の首脳会談の前後で、76ミリ砲を搭載した中国海警局の船が尖閣諸島周辺の接続水域に侵入するわ、韓国国防省が4年前の自衛隊機へのレーダー照射問題を否定するわで、岸田政権の中韓外交の薄っぺらさをさっそく明らかにした。
 岸田首相は、林芳正外相を中国に派遣して閣僚級のハイレベル経済対話を早期開始したいようだ。中国に過度に依存するサプライチェーン(供給網)の国際的な見直しが進む中で、財界などに中国経済への関与強化という間違ったメッセージを送ることにならないか。
 これら一連の外交には、親中・親韓とされる林外相の動きが注目される。特に中国に関して林氏は以前テレビ番組で、訪中を招聘(しょうへい)されたと語ったことが思い出される。
 ちなみに林氏はゴリゴリの消費増税論者でもある。ポスト岸田候補に林氏を含める人もいるが、もしそうなれば日本沈没の危機だといえる。 (上武大学教授・田中秀臣
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 12月10日10:01 YAHOO!JAPANニュース TBS NEWS「“有事”は目の前?沖縄では戦傷医療の強化も…迫る安保3文書改定、中国の脅威から南西諸島を守れるか
■迫る台湾有事 習近平国家主席「武力放棄は約束せず」
 「武力放棄は断固として約束せず、あらゆる必要な措置を選択肢として残す」「祖国の完全統一は必ず実現しなくてはならないし、必ず実現できる」
今年10月、5年に1度開催される中国共産党大会で、習近平国家主席は台湾についてこう述べた。台湾統一のためには武力行使も辞さない姿勢を明確に示したのだった。
 【写真を見る】“有事”は目の前?沖縄では戦傷医療の強化も…迫る安保3文書改定、中国の脅威から南西諸島を守れるか
 習主席の強い意志は既に顕在化している。
 今年8月、アメリカ・ペロシ下院議長の台湾訪問に反発した中国は、台湾周辺で軍事演習を実施。防衛省によると、中国が発射した9発の弾道ミサイルのうち5発が、沖縄県波照間島の南西の日本のEEZ=排他的経済水域内に落下した。EEZ外ではあったものの、与那国島から北北西に約80キロの地点に落下したものもあったという。
 政府は来週にも安全保障関連3文書を改定するが、こうした中国の弾道ミサイル発射について、JNNが入手した「国家安全保障戦略」の下位文書にあたる「国家防衛戦略」の骨子案で、「我が国及び地域住民に脅威と受け止められた」と記している。
 “台湾有事”は、既に目前に迫っているのかもしれない。
■増える自衛隊訓練 日米最大の共同訓練「キーン・ソード」は約3万6000人動員
 中国の脅威が可視化する中、今年11月、自衛隊は「日米共同統合演習」=「キーン・ソード」を実施した。
 「キーン・ソード」は、日本とアメリカの共同訓練として最も大規模な実動演習で、概ね2年に1回実施されている。16回目となる今年は、自衛隊約2万6000人・アメリカ軍約1万人が動員され、平時でも有事でもない「グレーゾーン」から、武力攻撃事態に至るまでの日米の共同統合運用能力を維持・向上することが目的だった。
 鹿児島県・徳之島では、非常時に離島の奪還を目的として、陸上自衛隊の水陸両用車が水陸機動団を乗せて上陸する「水陸両用作戦」の訓練を実施。南西諸島としては初めて、日米のオスプレイが連携した着上陸訓練も行われた。徳之島でこうした日米共同訓練を実施するのは初めてのことだ。
 また、台湾から約110キロに位置する日本の最西端、沖縄県与那国島では、105ミリ砲を搭載し戦車と同様の火力と機動力を持つ16式機動戦闘車が、約5キロの公道を移動の後、初めて訓練に参加した。
 防衛省が南西諸島での訓練を積極的に実施する背景には、台湾に軍事的圧力を強める中国が念頭にあるとみられる。
■変わる南西防衛 沖縄では部隊を増強、「戦傷医療」も強化へ
 では、新しい安全保障関連3文書は、南西諸島の防衛力をどう強化するのだろうか。
 防衛省幹部によると、那覇市に拠点を置く陸上自衛隊・第15旅団が増強される見通しだ。現在、約2200人が配置されているが、地上での戦闘などを行う普通科連隊を1つから2つに増やすことが検討されているという。
 旅団の名称も「沖縄防衛師団」に変更することが検討されている。その上で、指揮官の階級を現在の陸将補から陸将に格上げし、住民の避難が必要となった場合などに自治体との連携が容易にできるよう、指揮官に調整の権限を持たせる方向だ。
 また部隊の増強に伴い、各部隊への弾薬や燃料などの分配を調整する「補給処」と呼ばれる機関の支所を沖縄本島に創設することも検討している。
 防衛省は、敵の脅威圏の外から発射できる長射程のスタンド・オフ・ミサイルとして、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾能力向上型」の開発を進めている。2026年の部隊配備を目指しており、政府が保有する見通しである「反撃能力」への行使も検討されている。
 南西地域では現在、奄美大島宮古島に「12式地対艦誘導弾」を保有するミサイル部隊が所在しており、今年度中に石垣島、来年度末には沖縄県の勝連にも配備される予定だ。防衛省関係者によると、「能力向上型」が装備化されれば、これらの部隊で順次、現在の誘導弾から置き換える予定だという。
 また弾薬庫については、陸上自衛隊2035年までに、新たに約90棟を整備する方向で調整しているというが、沖縄県内では新たに設置する場所が限られているため、在日米軍の弾薬庫を共同使用することが案となっている。
 有事において、負傷した自衛隊員らを治療する「戦傷医療」も課題だ。
 防衛省幹部によると、那覇基地内にある「自衛隊那覇病院」を2027年に建て替える方針だ。那覇病院は、南西地域で有事が発生した際に沖縄県での医療拠点となる病院で、先に述べた「キーン・ソード」でも、けがをした隊員らの治療や搬送などの訓練が実施された。
 那覇病院の建て替えは、施設の老朽化も要因のひとつだが、「戦傷医療」の機能を強化することも目的だ。麻酔科・精神科の新設や救急科の増強を行い、有事の際に速やかに病床を増やすことができるような設計を検討しているという。
 防衛省の来年度予算案に、建て替えの基本設計に必要な経費が計上される見通しだ。
■急ぐ防衛力強化 浜田防衛大臣「力による現状変更を許容しないとの意思を示す」
 「南西地域の離島防衛は本当に課題山積だが、可能な限り早期にしっかりした態勢を実現しないといけない」防衛省幹部は言う。
 政府が南西地域の防衛態勢の強化を急ぐ背景について、浜田防衛大臣は「力による現状変更を許容しないとの我が国の意思を示し、島嶼部への攻撃に対する抑止力・対処力を高め、国民の安全に繋がるものであると考えている」今月6日の会見でこう述べた。
 ロシアによるウクライナ侵攻で、宇宙やサイバー、電磁波や認知領域といった新しい戦い方が出現した21世紀にも、火力による殺傷が起こりうると明らかになった今、不透明に軍備拡張を続ける中国を隣に、同じ悲劇を起こさない防衛力を培うことが日本にとって急務である。
 TBSテレビ政治部 防衛省担当
 岩本瑞貴
 TBS NEWS DIG Powered by JNN
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 12月17日8:03 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「岸田総理「防衛費増額」発言のウラで…日本のメディアが報じない「ヤバすぎる現実」
 北朝鮮の相次ぐミサイル発射や、中国による台湾侵攻の現実味が囁かれるなか、日本の防衛費増額をめぐり、岸田総理の「国民が自らの責任としてその重みを背負って対応すべきものだ」という発言に注目が集まった。
 【写真をみる】こんな北朝鮮、見たことない!“未知の国”の日常
 これにより、一部を国民の負担で賄う考えを示した上で、巨額の増額を決めた政府だが、『日本有事』の著者で、国際ジャーナリストの清水克彦氏は、そこに「日本の防衛産業の衰退」という大きな問題点があると指摘。すでに防衛産業は活況を呈している韓国と比べると、日本の出遅れ感も否めないという。
 国民の経済不安が叫ばれるなか、血税を投入してまで増額する防衛費は、本当に有効に使われるのか。そんな疑問を残したまま岐路に立つ日本の状況を本稿で明かす。
 国民負担も免れない「防衛費増額」
 「これだけの増額は歴史的なこと」
 12月6日、つまり岸田首相が2023年度以降の5年間で防衛費の総額を43兆円とするよう指示した翌日、防衛大臣経験者や防衛省の幹部からは、このような声が漏れた。
 これまでGDPの1%程度、年間5兆円台で抑えられてきた防衛費は、2027年度にはNATO諸国並みの2%に達する。NATOの基準では、国防費に研究開発費なども含まれるため、日本の防衛費は段階的に実質2%以上を確保することになった。
 政府がまとめた防衛3文書の最重要ポイントを整理しておこう。
 ●国家安全保障戦略(外交・安保の指針)
中国を「脅威」と位置づけ、その動きを「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述。
 ●国家防衛戦略(旧名は「防衛の大綱」。来年度以降10年の防衛の在り方を規定)
反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記。反撃能力は「必要最小限度の自衛措置」と定義。
 ●防衛力整備計画(旧名は中期防=中期防衛力整備計画。来年度以降5年間の防衛費43兆円の内訳を明記) 
 敵の射程圏外から攻撃できるスタンド・オフミサイルの整備、航空機や艦船の維持や整備、無人機の開発、サイバー戦や宇宙戦への備えに必要な経費などを盛り込む。
 確かに改定前に比べれば大きく踏み込んでいる。
 「これは画期的。前線の装備だけでなく、後方の装備も拡充できる」
 筆者が取材した自衛隊の現役幹部から、このような声が聞かれたのも無理はない。
 もちろん、防衛費の増額分を法人税やたばこ税、それに復興特別所得税で賄う点、そして何より、岸田首相が明言したように、財源の一部を国民の税負担で補うという問題は残る。
 ただ、これまで日本の防衛費の国民負担は、国民1人当たり年間4万円に抑えられてきた。アメリカの21万円は別格としても、韓国の3分の1でしかない。
 年々高まる中国による台湾有事や日本有事のリスク、そして北朝鮮が最新のミサイルを開発している現状を思えば、地震や自然災害に備えるのと同様、国土の防衛にコストをかけるのはやむを得ないことだと筆者は思う。
 とはいえ、「これで日本の防衛力は格段に上がる」と考えるのは早計だ。なぜなら、新たな武器(以降、防衛装備品と表記)を研究、開発しようにも、日本の防衛産業は極めてお寒い状況にあるからである。
 防衛産業の「お寒い」現状
 2019年にはコマツが、そして2021年には住友重機械工業が相次いで防衛装備品の製造から撤退した。今年も油圧機器大手のカヤバ(KYB)が航空機器事業からの撤退を表明している。
 コマツは世界第2位の建機メーカーで、これまで自衛隊向けに砲弾や装甲車輌を生産してきた。住友重機械工業も新型機関銃の製造などを担ってきた企業で、カヤバは、戦前、「ゼロ戦」(零式艦上戦闘機)の着陸脚をつくったメーカーである。
 しかし、コマツで言えば、防衛装備品の売り上げは年間280億円程度と、コマツ全体の売り上げに占める割合はわずか1%にすぎない。
 それにもかかわらず、装甲車両にも排ガス規制が適用されるようになり、技術開発費がかさむようになった。新型の装甲車両を開発したとしても、三菱重工業川崎重工業など他社と競合し、防弾性能などで見劣りすれば、防衛省には採用してもらえない。
 住友重機械工業の場合も、国産の機関銃は少数生産で外国製の5倍近い価格になる。それも多くがライセンス生産のため、利益率は2%程度(日本の製造業の平均利益率は7%程度)と低い。
 自衛隊しか顧客がいないのに、高価だから調達数は増えない。これでは、高いコストをかけて開発を進めたとしても、それに見合うメリットがない。
 防衛装備庁は、日本の防衛産業を衰退させないよう、利益率向上や研究開発支援を打ち出しているが、防衛装備品の開発や製造に見切りをつける企業が続けば、防衛力強化はアメリカなどに頼らざるを得なくなる。
 韓国とは大違い
 ソウル近郊の高陽市で開かれた、軍事兵器展示会「Defense Expo Korea 2022」。2014年から2年に1度開催され、今年は350社がこの博覧会に参加
 そのような日本とは対照的に防衛産業が活況を呈しているのが韓国である。
 筆者は2022年9月、ソウルを訪問したが、ソウル近郊の大規模な展示場では、隔年で開催される防衛産業展が開催され、世界から約50か国の関係者が終結した。
 聞けば、ロシアのウクライナ侵攻とその長期化を受け、ポーランドが韓国から最新鋭の戦車「K2」を約1000両、そして、自力で走行できる高性能の大砲、「自走砲」を650両ほど購入を決めたことが展示会の熱気に拍車をかけたという。
 その金額は公表されていないが、日本円で1兆円とも2兆円とも言われる。
 最近では、アメリカがウクライナに供与するため韓国製の砲弾を10万発購入するというニュースも流れたが、これらは韓国の防衛産業だけでなく韓国政府にとってもビッグビジネスとなる。
 対して日本は、「防衛装備移転3原則」という縛りがあるため、防衛装備品の提供は、救難や輸送、監視など5つの分野に用途が限られている。当然、日本産の製品の輸出は伸びない。過去5年間で完成品を輸出できたのは、三菱電機の管制警レーダー1件のみだ。
 自衛隊元陸将の渡部悦和氏は、筆者の質問にこう嘆く。
 「韓国は国を挙げて防衛産業を後押しし、巨額の補助金も出している。しかし、日本には国家ぐるみでの成長戦略が全くない。防衛費の増額は確かに画期的なことだが、手放しでは喜べない」
 韓国は、防衛装備品を売る相手国の財政状況や地域事情を緻密に調査したうえで打診を行っている。
 財政的に厳しい国には安価な旧モデルを売り、失業率が高い国には、その国の企業と連携し、現地で一部を生産することで雇用の創出につなげるなど、相手国からすれば「至れり尽くせり」のアプローチをしている。
 この点は、最新兵器を輸出する際、教育と訓練もパッケージにして輸出するアメリカに通じるところがある。
 輸出する防衛装備品の多くはアメリカの兵器のジェネリック版で、そこそこ高性能なのに価格は安い。韓国が「西側の兵器工場」と呼ばれる所以である。
迫る有事、防衛産業復活は待てない
 では、日本は国内で新たな防衛装備品を開発し、防衛力強化へとつなげられるのだろうか。
 1つ例を挙げてみよう。政府が、反撃能力の保持に向け、スタンド・オフミサイルの研究、開発を急いだとしても、現在、自衛隊が装備している「12式ミサイル」の200キロ程度の射程距離を、数年間で1000キロ前後まで伸ばすことは難しい。
 そうなると、すでに報道されているように、2027年度をめどに1発3億円もするアメリカ製の巡航ミサイル(トマホーク)を500発ほど購入する必要があるが、それでは日本の防衛産業には何のプラスにもならない。
 政府が視野に入れる「極超音速誘導弾」の開発に関しても、防衛関係者の間からは「国内では短期間に作れない」との声があり、サイバー戦や宇宙戦への備えについても、「アメリカの情報を使ったほうが効率的」といった声が聞かれるほどだ。
 つまり、防衛3文書の改定という形で示された政府の方針は、現実的で踏み込んではいるものの、これまでよりはマシという程度のものになりかねない。
 2023年から2年間が勝負
 写真:現代ビジネス
 中国の習近平総書記の言動を冷静に分析すれば、近い将来、台湾統一に必ず動くと思う。とはいえ、2023年と2024年の2年間は、台湾有事や日本有事は起きない。
 なぜなら、中国の習近平指導部は、当面、ゼロコロナ政策に対する抗議行動で見られた政権批判の鎮静化と締めつけに軸足を置かざるを得ないからだ。
 もう1つ言えば、2024年1月に台湾総統選挙、同年11月にアメリカ大統領選挙を控えていることがある。
 台湾では、先の統一地方選挙蔡英文総統率いる民進党が、若者票を失い、中国寄りの国民党に敗北したが、習近平指導部は、これが総統選挙でも再現されるのかどうか分析を進めるはずだ。
 アメリカ大統領選挙でも誰が出馬し、共和・民主のどちらがホワイトハウスを手に入れるのか、結果が出て、実際に新政権が稼働するまでは見極めるだろう。
 そうなれば、2023年は、習近平指導部にとって、国内を落ち着かせ、軍事力だけは増強させながら、台湾やアメリカの動きを見る年になる。
 逆を言えば、日本にとってはその分、猶予が生まれたとも言える。この間、日本は、アメリカや豪州などとの連携を深めつつ、国内の防衛産業を盛り立てる施策をできるだけ早く前に進めるべきだ。日本にとっては、中国が動かない今後の2年が重要である。
 清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師)
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 12月30日 YAHOO!JAPANニュース 読売新聞オンライン「【独自】自衛隊を支える装備品工場、事業継続が難しければ国有化も…国内製造維持が狙い
 政府は、衰退傾向にある防衛産業を包括的に財政支援し、それでも事業継続が困難な場合は工場などの製造施設を国有化できる仕組みを創設する方針を固めた。製造施設は国が保有したまま、生産は事業を受け継ぐ企業に委託する。企業の固定経費を軽減し、重要な装備品の国内製造を維持する狙いがある。必要な法案を来年の通常国会に提出する方針だ。
 法案は「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案」(仮称)とする方向だ。法案概要によると、防衛産業に関わる企業を対象に、生産基盤の強化や海外輸出の助成など包括的な支援策を明記する。特に「自衛隊の任務に不可欠な装備品を製造する企業」については、これらの支援でも事業を続けられず「他に手段がない場合」に限り、施設の国有化を認める。
 具体的には、国が製造施設を買い取り、事業継承を希望する他の民間事業者に管理を委託できるとの規定を設ける。
 事業を継承する企業にとっては生産設備を導入する費用が不要となるメリットがある。企業の撤退で専門技術が途絶えると復活が難しく、国が積極的に関与する必要があると判断した。
 ただ、政府は、国有化はあくまでも最終的な手段に位置づける。法案では包括的支援策として〈1〉製造工程の効率化やサイバーセキュリティー強化など「生産基盤強化」のための経費支給〈2〉装備品の海外移転(輸出)を行う企業への財政支援〈3〉日本政策金融公庫による貸し付け促進――の3本柱を明記する。
 海外輸出の支援金は新設する基金から支出する。基金創設のため、2023年度予算案に約400億円を計上した。輸出先の要望に応じた装備の仕様変更などにかかる経費が支援の対象となる。装備品の納入先を国外に広げ、生産数増加による価格低下や利益率向上を図る。
 支援対象となる「不可欠な装備品を製造する企業」の数や事業内容を把握するため、防衛産業の調査権限を防衛省に付与する。護衛艦関連だけでも約8300社が関与するなど、サプライチェーン(供給網)は巨大だ。調査に際し、外国製部品への依存度やバックアップ体制の不備など、経営リスクも点検する。回答は「努力義務」とする。
 防衛産業は、防衛装備移転3原則によって海外輸出が平和貢献・国際協力の推進に資する場合などに限定され、市場規模が小さい。このため採算が悪化する企業も多く、03年以降で100社超が撤退したという。最近では21年に住友重機械工業が機関銃の生産、20年にはダイセルが戦闘機の緊急脱出座席の部品生産を、それぞれ取りやめると表明した。」
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