⛿34¦─1─日本は台湾有事で米中対決の最前線になってしまった。〜No.184 

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 日本を破滅戦争に追い込むのは、アメリカではなく中国共産党とロシアである。
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 2023年3月22日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」になるという「日本」の「ヤバすぎるリスク」
 布施 祐仁 によるストーリー •
 いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。
 米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。
 しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
 本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。
 それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。
 このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。
 一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。
 これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。
 情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。
 *本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。
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 日米一体で「敵基地攻撃能力」を強化
 日本の安全保障を巡り、「敵基地攻撃能力の保有」の問題が大きな焦点となっています
 「専守防衛」を掲げる日本はこれまで、外国領内を攻撃するための能力は保有してきませんでした。しかし、近年、迎撃が困難なミサイルが開発されていることを理由に、敵国領内の基地などを攻撃できる能力の保有に踏み出そうとしているのです。これに先駆けて、日本政府は既に、北朝鮮だけでなく中国本土も攻撃可能な射程距離を有するミサイルの開発を開始しています。
 そして、もう一つ、日本の将来に非常に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、まだあまり注目されていない重要な問題があります。それが、この本のメインテーマとなる、米軍の新型中距離ミサイルの日本への配備計画です。
 私は、この二つの大きな問題は別々のものではなく、一体のものとして捉えるべきだと考えています。つまり、日米が一体となって、敵基地を攻撃するための中距離ミサイルを日本に配備しようとしているのです。
 30年ぶりのミサイル発射実験
 米カリフォルニア州ロサンゼルスの沖合約100キロに、サン・ニコラス島という米海軍が管理する無人島があります。2019年8月19日、この島から一発のミサイルが発射されました。ミサイル発射台の横には、まるで世界に向かって何かをアピールするかのように、大きな星条旗が掲げられていました。
 このミサイルは、射程500キロ以上、5500キロ以下の「中距離ミサイル」に分類されるものです。米軍がこの種類のミサイルを地上から発射したのは、約30年ぶりのことでした。
 アメリカは冷戦末期の1987年にソ連と中距離核戦力(INF)全廃条約を締結し、地上発射型中距離ミサイルを全て廃棄しました。しかし、2019年2月、ロシアが同条約に違反しているとして条約の破棄を通告。ただちに地上発射型中距離ミサイルの開発に乗り出し、半年後の8月に条約が失効するやいなや、中距離巡航ミサイルの発射実験を行ったのです。
 発射後、米国防総省
 「実験ミサイルは地上移動式発射装置から発射され、五〇〇キロ以上飛行した後、標的に正確に命中した」
 「今回の実験で回収されたデータと得られた教訓は、国防総省の中距離戦力開発に活用される」
 と発表しました。
 米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」になるという「日本」の「ヤバすぎるリスク」
 © 現代ビジネス
 当時のエスパー国防長官は、新たに開発する地上発射型中距離ミサイルをアジア太平洋地域に配備したい意向を表明しました。
 なぜ、アジアなのか――。
 それは、アメリカがINF条約を破棄して新しい中距離ミサイルの開発に乗り出した最大の理由が、中国のミサイル軍拡にあったからです。
 アメリカがINF条約に縛られている間、中国は地上発射型中距離ミサイルを次々と開発し、大量に配備しました。中国が保有する地上発射型中距離ミサイルは、2000発にも上ると推定されています。
 地上発射型中距離ミサイルに限れば、INF条約があったことで、アメリカは中国に大きく差をつけられてしまったのです。そのため、アメリカは今、急ピッチで新型ミサイルを開発し、中国とのミサイル・ギャップを埋めようとしています。
 中国をターゲットとする中距離ミサイルは米本土からは届きませんので、必然的に配備先はアジアになるわけです。なかでも、「最有力」と言われているのが日本です。
 この新型ミサイルは2023年以降に配備される計画です。
 米軍のインド太平洋軍は既に、日本の南西諸島から台湾を経てフィリピン群島まで連なる島々(第一列島線)に沿って短・中距離ミサイルのネットワークを張り巡らせる計画を立てています。
 さらに、先ほど述べたように、日本も独自に中距離ミサイルの開発に乗り出しています。
 ではこうした米軍と自衛隊の地上発射型中距離ミサイルの配備は、日本に一体どんな影響を与えるでしょうか。 
 日本政府は、おそらく「中国に対する抑止力が高まる」と言って国民に理解を求めるでしょう。しかし、本当に抑止力が高まって、日本の平和と安全にとってプラスになるのでしょうか。
 米軍の中距離ミサイルについては、まだ正式に日本配備の打診は行われていないため、メディアの報道も少なく、あまり注目されていません。しかし、アメリカから正式に配備の打診や通告があってから議論するのでは遅いと考え、私はこの本を書くことにしたのです。
 日本が核戦争の戦場になる「悪夢」
 世界は今、再び大国間戦争の脅威にさらされています。
 アメリカは、中国とロシアを既存の国際秩序に挑戦する「修正主義国家」と規定し、対決姿勢を強めています。
 そんな中、2022年2月には、ロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻しました。ウクライナの現政権が目指すNATO北大西洋条約機構=米国を中心とする欧州の軍事同盟)への加盟が実現した場合、「ロシアの生死にかかわる脅威になる」というのが、ロシアのプーチン大統領が軍事侵攻を決意した理由でした。同大統領は、NATOウクライナを支援するために軍事介入した場合、核兵器の使用も辞さないと脅しました。
 世界の大多数の国々がロシアの侵攻を国連憲章違反だと非難する中、中国は「安全保障に関するロシアの正当な懸念を理解している」(外務省報道官)として批判しませんでした。アメリカなどが国連安保理に提案した、ロシア軍の即時撤退を求める決議案にも賛成しませんでした(棄権)。
 今後、アメリカ及びその同盟国と中国やロシアの対立が一層激しくなることが予想されます。そして、ユーラシア大陸の東側で、その「最前線」に置かれているのが日本なのです。
 米露対立の主戦場はウクライナを始めとする欧州ですが、米中対立の主戦場は東アジアです。もし米中が戦争する事態になれば、日本は「対岸の火事」では済みません。
 まして、前述の米軍の新型中距離ミサイルが配備された場合、日本の国土が「戦場」となるリスクが格段に高まります。
 なぜなら、アメリカと中国が中距離ミサイルで撃ち合う場合、中国のミサイルが撃ち込まれるのは、アメリカ本土ではなく、米軍の中距離ミサイルが配備されている日本になる可能性が高いからです。
 日本と中国との間で全面的なミサイルの撃ち合いとなれば、日本は75年前の戦争に匹敵するような、場合によってはそれを凌駕するような戦争の惨禍に直面することになるでしょう。
 さらに、最悪の場合、核ミサイルの撃ち合いにまでエスカレートする危険性すらあります。
 旧来の「安保神話」は通用しない
 私たちは、こうした本当に重大な問題についてはどうしても、「そんなこと起こるわけがない」などと根拠のない楽観論や思考停止に逃げ込んで、問題を放置してしまいがちです。
 しかし、この最悪のシナリオを回避するために私たちが努力すべきことは、実ははっきりしているのです。
 それは、「日米同盟のリスク・コントロール」です。
 先ほども述べましたが、日本政府が米軍の中距離ミサイルの配備を受け入れる場合、「抑止力が高まる」「米中にミサイル戦力のギャップがある方が危険だ」と説明して国民に理解を求めるでしょう。
 日本政府はこれまでも、日米同盟を「抑止力」というベネフィットとしてしか説明してきませんでした。
 しかし、日米同盟には、世界最強の軍事力を持つアメリカと手を組むことによって得られる「抑止力」というベネフィット(利益)があるのと同時に、さまざまなリスクも存在するのです。
 最大のリスクは、日本が武力攻撃を受けていないのに、アメリカの戦争に日本が巻き込まれることでしょう。このリスクは、これまで70年ものあいだ、大きく顕在化することがありませんでした。しかし、「米中対立」の時代に本格的に入った今、最悪の場合、核戦争にすらつながりかねない、最大にして最後のリスクとなっているのです。
 ですから私たちは、日米同盟のもつベネフィットとリスクの相矛盾する両側面を見つめ、後者が現実のものにならないよう、しっかりコントロールしていく必要があります。
 この本では、日本がアメリカの戦争に巻き込まれるという日米同盟のリスクについて、私が過去20年間の取材で得た数々の「ファクト」と、情報公開法を駆使して入手した「独自の一次資料」にもとづいて実証的に描き出しています。すべて確かな裏づけのある話ですので、読んでいただければ、日米同盟が内包する重大なリスクについて、
 「ああ、そういうことなのか」
 と視界が開けるような感覚を持っていただけると思います。
 世界史レベルの大変動期である「米中対立」の時代においては、
 「いざとなったらアメリカが守ってくれる」「アメリカにくっついていけば大丈夫」
 という旧来の「安保神話」は、もはや通用しません。
 過去の正確な歴史を知り、日米同盟をベネフィットとリスクの両面から冷静に見つめ直して、日本を「戦場」にしないための方策を国民全体で真剣に考える。そしてこの新型中距離ミサイルの配備問題をきっかけに、現在のあまりにおかしなアメリカとの関係を改善し、新しい国の形を根本から作り直していく時期が訪れているのです。
 さらに、<【後編】「宮古島石垣島」が戦場になる…アメリカ軍がSNSから「あわてて削除」した「一枚の写真」の「ヤバすぎる内容」>では、米軍や自衛隊が沖縄を戦場にすることを想定していることを示す一枚の写真について、詳しく解説します。
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 3月22日 PHOTO by iStock 現代ビジネス「宮古島石垣島」が戦場になる…アメリカ軍がSNSから「あわてて削除」した「一枚の写真」の「ヤバすぎる内容」
 布施 祐仁ジャーナリスト
 いま、ほとんどの日本人が知らないうちに、大変な事態が進行している。
 米軍と自衛隊が一体になり、中国本土を攻撃することを想定した新型ミサイルを日本全土に配備しようとしているのだ。
 しかも、米軍の新型ミサイルには将来、核弾頭が搭載される可能性も否定できない。
 本双書第9巻で、密約研究の父である新原昭治氏がのべているように、アメリカにとって日本というのは、ずっと「アメリカの核戦争基地」だった。
 それがいま、ついに最終局面を迎えているのだ。
 このままでは、人類史上唯一の戦争被爆国である日本は、他国の軍隊(米軍)に核ミサイルを配備され、中国・ロシアとの「恐怖の均衡」の最前線に立たされてしまうかもしれない。
 一方、その核ミサイルを発射する権利をもった在日米軍の主力部隊は、ハワイなど「安全地帯」へ一時撤退する構想すらある。
 これほど愚かな国が歴史上、かつて存在しただろうか。
 情報公開請求による独自の日本政府文書発掘で知られ、ジャーナリストとして第一線で活躍を続ける著者が、その計画の全貌を報告し、警鐘を鳴らす。
 *本記事は『日米同盟・最後のリスク: なぜ米軍のミサイルが日本に配備されるのか』(創元社)から抜粋しています。
 米軍と自衛隊は、宮古島石垣島が戦場になることを想定した図上演習も行っています
2016年11月30日、在日米海兵隊が一枚の写真をSNSにアップしました。
床には巨大な地図が広げられ、その周りを数十人の米兵と自衛隊員が取り囲み、地図の上に立つ米軍将校の話に耳を傾けています。地図は、宮古諸島八重山諸島のものです。
 この写真は、「ヤマサクラ」と名づけられた日米共同指揮所演習の一場面を米海兵隊が撮影したものでした。写真の説明文によると、沖縄本島にある米海兵隊のキャンプ・コートニーで行われた「戦闘予行」(部隊が行動を開始する前に地図上で作戦内容を確認するミーティング)の場面を写したものだといいます。
 この写真を見たとき、私は驚きました。なぜなら、日米共同訓練は「特定の国や地域を想定したものではない」というのが日本政府のお決まりの説明だったからです。しかし、このときの訓練では、宮古諸島八重山諸島自衛隊と米軍が共に戦うことが想定されていたのです。米海兵隊は、まずいと気がついたのか、この写真をすぐにSNSから削除しました。
 宮古島の地図の上には、敵部隊を意味する赤いダイヤのマークがいくつもつけられています。地図上のマークの位置から、この図上演習は、島の全域を中国軍に占領された宮古島を、自衛隊と米軍の共同作戦で奪回するというシナリオで行われていたと推定されます。
 米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」にな…
 米軍の目的は、南西諸島の防衛ではありません
 米軍の目的は、南西諸島の防衛ではありません。南西諸島を丸ごと「米軍基地」として、そこで中国と戦う計画なのです
 日本政府は、こうした訓練や演習の目的を「島嶼防衛のため」と説明してきましたが、米軍の目的は違います。 
 米海兵隊と水陸機動団は2020年11月にも、鹿児島県十島村無人島・臥蛇島で「島嶼作戦」の共同訓練を行いました。
 防衛省はこれを島嶼防衛のための訓練と説明しましたが、米海兵隊のウェブサイトは「敵の脅威下にある領域を奪取し、遠征前進基地を設置する能力を示した」と記しています。
 米海兵隊は、中国との戦争が勃発した際、第一列島線上の島々に分散して展開し、そこを一時的なミサイル発射拠点や兵站拠点にして中国を攻撃する作戦を構想しています。
 米海兵隊はこれを「遠征前進基地作戦(EABO)」と呼んでいます。島に遠征し、そこに暫定的な前進基地を構築するという意味です。
 EABOは南西諸島を丸ごと「基地」として利用して中国軍を攻撃することが目的です。
 EABOは、2019年2月に海軍作戦部長と海兵隊総司令官の署名を得て正式に採用されました。
 海兵隊は2020年3月、今後10年間で取り組む海兵隊の変革の大枠を示した報告書「フォース・デザイン(戦力設計)2030」を発表しました。
 この報告書をまとめるまでに、海兵隊は中国との戦争を想定した「ウォー・ゲーム」(戦争のシミュレーション)を繰り返しました。その結果、次のようなことが明らかになったといいます。
・先に攻撃した方が決定的な優位を得る。
・敵の長距離精密火力兵器(ミサイルのこと)の射程圏内で継続して作戦を実行できる戦力は、生存のために射程圏外へ迅速に移動しなければならない戦力よりも作戦上有効性が高い。
・敵のミサイルの射程圏内で戦う「スタンド・イン戦力」は、敵戦力を消耗させ、米統合軍のアクセスを可能にするとともに、敵の標的化を困難なものとし、そのISR(情報・監視・偵察)資源を消費させる。
・前方基地など固定的なインフラは、容易に標的化され、極めて脆弱。
・敵射程圏内における可動性は作戦上不可欠。
・ロジスティック(兵站)は重要だが重大な脆弱性を抱えている。
・消耗は不可避。米軍は兵器や人員を失う。
 つまり、沖縄本島の基地など固定的なインフラは狙われやすいので、南西諸島の島々に分散し、島から島へと移動を繰り返して、中国の攻撃を出来る限りかわしながら戦闘を続けるというのがEABOのコンセプトです。
 また、敵のミサイルの射程圏外で戦う戦力よりも、射程圏内で戦う「スタンド・イン戦力」の方が、敵戦力を消耗させ、情報・監視・偵察のためのコストを課すので、米軍の作戦上有効性が高いとも強調しています。その代わり、米軍の兵器や人員の消耗を避けられないとしています。
 序章でも少し触れましたが、米軍は中国との戦争になった場合、艦船や戦闘機など高価な兵器で装備されている海軍と空軍の主力は、中国軍のミサイルによる攻撃を回避するために一旦日本からハワイなど後方に引き下げる計画です。
 一方、海兵隊は「スタンド・イン部隊」として日本に残し、南西諸島に散らばって、中国との消耗戦を戦わせる構想なのです。
 さらに重要なことは、アメリカはこの作戦に、自衛隊の戦力もフルに活用しようとしているのです。 
 台湾をめぐる米中戦争が始まった場合、米軍の主力が到着するまでは、日本の自衛隊が最前線で戦うことが予想されています
 2021年3月9日に開かれたアメリカ上院軍事委員会の公聴会。ここで米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(当時)が行った証言は、世界に衝撃を与えました。
 「中国は、ルールにもとづく国際秩序を主導するアメリカ合衆国に取って代わるという野心を加速させている。(中略)台湾は明らかに彼らの野心のひとつであり、その脅威はこの10年で、実際には六年以内に明らかになると考えている」
 同司令官は、中国の台湾侵攻が6年以内に起きる可能性があるとの見方を示したのでした。この発言は日本でも大きく報道され、「台湾有事」という言葉がにわかに注目を集めることとなりました。
 さらに、「台湾有事」が大きくクローズアップされることになったのは、同年4月16日に行われたバイデン大統領と菅義偉首相の日米首脳会談です。会談後に発表された共同声明に、約半世紀ぶりに「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたのです。
 この意味を、ある外務省幹部は「台湾海峡有事の際は、日米が積極的に連携することを確認したものだ」と語りました(「朝日新聞」2021年6月6日)。
 米軍も、台湾有事における日本の軍事的協力に期待を示しています。
 前出のデービッドソン司令官の証言の中でも、台湾で軍事衝突が起こった場合、米軍が米西海岸から第一列島線まで到達し作戦を行うまでに3週間、アラスカからは17日間かかるとして、次のようにのべて日本の役割を強調しました。
 「はっきりしているのは、日本が水陸両用戦能力を提供してくれるということです。彼らは戦闘機や対潜哨戒機などによる戦闘能力を有しています。私にとって、日本はこの地域で一番の同盟国であり、地域の安全にとって死活的に重要です」
 アメリカ本土やアラスカから米軍の増援部隊が到着するまでは、日本の自衛隊が最前線で戦って踏ん張ってくれる、と言っているように聞こえます。
自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した日米共同作戦計画の原案を策定したことが判明しました
 南西諸島に攻撃拠点」「米軍、台湾有事で展開」「住民巻き添えの可能性」――2021年12月24日、沖縄の地元紙「沖縄タイムス」の一面にこのような見出しが躍りました。
 自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定していたことが複数の日本政府関係者の証言で判明した、という「共同通信」のスクープでした。
 記事によると、共同作戦計画の原案は、米インド太平洋軍が海兵隊の「遠征前方基地作戦(EABO)」に基づき、自衛隊に提案。台湾有事の緊迫度が高まった初動段階で、沖縄に駐留する米海兵隊が南西諸島の島々に分散して臨時の軍事拠点を置き、そこに対艦ミサイル部隊を展開して洋上の中国軍艦艇の排除に当たるといいます。自衛隊には、輸送や弾薬の提供、燃料補給などの兵站支援を担わせると記されています。
 「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認した同年4月のバイデン大統領と菅義偉首相の日米首脳会談を受けて、日米は台湾有事を想定した日米共同作戦計画の策定に向け、水面下で協議を進めていたといいます。
 台湾有事の際、米軍と自衛隊が一体となって南西諸島を拠点に中国軍の艦船などの攻撃する「遠征前方基地作戦」を実行しようとしていることが、この報道でも裏付けられました。
 「中距離ミサイルの配備」も「遠征前進基地作戦」も、自衛隊の参加がすでに織り込まれています
 デービッドソン司令官がこの日の証言でもっとも強調したことのひとつが、陸上部隊(陸軍と海兵隊)への地上発射型中距離ミサイルの配備です。
 「地上部隊(陸軍、海兵隊)に届けられる精密打撃火力〔ミサイルのこと〕が非常に重要だと考えている。それは戦域におけるわれわれの部隊の機動力と位置的優位性を強化する」
 同司令官はこの約1週間前、米議会にインド太平洋軍の戦力強化計画に関する報告書を提出していました。そしてこの中でも、
 「第一列島線上に、射程500キロ以上の残存性の高い精密打撃火力のネットワークを構築する」
 として33億ドルの予算を要求しました。
 また、こうした精密打撃ネットワークによって一時的かつ局地的な航空優勢海上優勢を確保した上で、「水陸両用戦部隊が(離島への)強行突入作戦を実施する」とも記しています。ここは海兵隊の「遠征前進基地作戦」の重要性を強調しているところです。
 第一列島線上での「精密打撃ネットワーク」の構築と水陸両用部隊による「遠征前進基地作戦」能力の強化――これが、中国との戦争に備える米インド太平洋軍の二大強化ポイントとなっています。そして、いずれも自衛隊の参加が当てにされているのです。
 さらに連載記事<米中対決の「最前線」になってしまった…「核戦争の戦場」になるという「日本」の「ヤバすぎるリスク」>では、「新型中距離ミサイル」の配備によって日本がさらされるリスクについて詳しく解説します。
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 2023年3月22日18:22 YAHOO!JAPANニュース FNNプライムオンライン「台湾有事で諜報戦・情報戦の戦場となる日本…中国の台湾統一への強い意思
 中国の台湾統一への強い意思
 2023年3月13日、全国人民代表大会が閉幕した。
 習近平国家主席は、閉幕に先だった演説にて、「(台湾問題について)外部勢力による干渉と台湾独立分裂活動に反対する」と述べ、米国などをけん制した上で、「祖国の完全統一の実現は中華民族全体の共通の願い」とも語り、台湾統一に向けて強い決意を表明した。
 【画像】米シンクタンクが行った中国軍の台湾上陸作戦机上演習の様子
 また、その決意は、中国の最高意思決定機関である中共中央政治局常務委員会委員のメンツからも伺えた。
 2023年1月9日には、米国のシンクタンクCSISが、台湾有事に関して、中国軍が2026年に台湾へ上陸作戦を実行すると想定した机上演習(シミュレーション)を実施し、大半のシナリオで中国は台湾制圧に失敗したが、米軍や自衛隊は空母を含む多数の艦船や航空機を失うなど大きな損失を出す結果であったとして、大きな衝撃を与えた。
 (※勿論、このウォーゲームにおいて台湾の地形等詳細な仮定が置かれているわけではないことには留意しなければならない)
 日本においても、台湾有事を想定した企業の動きが見えてくる中で、世間では台湾侵攻の可能性を巡る議論が尽きない。
 このように、台湾統一に向け軍事侵攻を想定した議論が活発化する中、諜報戦は既に激しく行われていた。
 既に始まっている諜報戦
 正にターゲットとなっている台湾においては、中国がスパイを台湾中枢に深く浸透させ、「台湾社会の士気をそごうとする試み」に力を注いでおり、事実台湾内部に浸透する中国共産党スパイによる特務工作が次々と明るみに出ている。
 2021年7月、「台湾史上最大のスパイ事件」と呼ばれる張哲平事件が明るみとなった。香港のビジネスマンを偽装した中国陸軍大尉の謝錫章は、台湾において、いわゆるスパイの人心掌握術を用いて協力者を獲得した上で諜報工作のネットワークを構築し、台湾の軍事機密を次々と収集していった。同事件で謝錫章の手先となっていた人物は、前国防部副部長の張哲平をはじめ、元空軍少将等が含まれており、台湾社会に大きな衝撃を与えた。
 また、王文彦事件では、蔡英文総統の警備資料が、中国工作員の手によって漏洩させられた。
 更に、中国工作員による軍事機密の収集だけではない。
 台湾において中国企業が、半導体技術者を違法な形で獲得する動きが活発化しているとし、台湾当局が関連約100社の中国企業を調査したという。この背景に中国政府の意向が関与していることに疑いはなく、国家情報法という強力な法的根拠を持つ中国にとっては、“通常運転”だろう。
 正に、中国の千粒の砂戦略に合致する活動であり、筆者の民間での調査経験においても類似の活動が日本国内でも多数見られ、中には防衛関連船舶の情報が転職時に持ち出された事案があったが、その背景には中国関連企業が深く関与していた。
 諜報戦・情報戦の戦場は日本でも
 皆さんが中国の目線に立った場合、台湾統一に向け仮想敵国に日本が入るだろう。そして、スパイ防止法が存在しないスパイ天国と言われる日本において、台湾・日本等の軍事情報や政治情報を得たいと思うのは当然ではないだろうか。
 諜報活動におけるターゲットは、前述の通り何も政府中枢の人間ばかりではない。
 現在、熊本県は、TSMC(※台湾の大手半導体企業)を巡り大きく注目されており、九州のシリコンバレーとさえ言われている。台湾半導体企業に対する中国の諜報活動を見てもわかるように、中国の関心は非常に高いだろう。スパイ天国である日本の且つ都心から遠く離れた熊本県において、防諜活動(=カウンターインテリジェンス)が有効に機能するか懸念される。
 また台湾統一に向け、諜報活動に加え、情報工作=情報戦が活発になる。特に、中国にとって軍事侵攻のオプションを取らずに平和統一が行えればメリットが非常に大きい。
 そのために、情報戦を行うことで台湾現政権を貶め、情報戦に加えサイバー攻撃等を組み合わせ台湾の政治的・経済的脆弱性を煽り、中国に統一することで台湾の発展が加速されるような筋書きを描きたいはずだ。
 日本では、TikTok・WeChat等の中国製SNSの危険性や中国の合法的経済活動を通じた経済的侵略はあまり認知されていない。
 その関心の低さが台湾統一の一助となってしまう。
 日本においても、外からの侵略だけではなく、内からの侵略=工作への対策を強化し続けなければならない。
 【執筆:稲村悠・日本カウンターインテリジェンス協会代表理事
 稲村 悠
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 3月22日 MicrosoftStartニュース ダイヤモンド・オンライン「自衛隊石垣島駐屯地」開設で高まる“台湾有事”の現実味【現地レポート・写真付】
 清水克彦 によるストーリー
 先島諸島の中核である石垣島
 陸上自衛隊の駐屯地を開設
 石垣島駐屯地の周辺に立つ自衛隊への感謝ののぼり旗(写真はすべて筆者撮影)
 © ダイヤモンド・オンライン
 筆者は本稿を沖縄県石垣市のホテルで書いている。海開きのシーズンを迎えた先島諸島石垣島に、3月16日、初めて陸上自衛隊の駐屯地が開設され、「地対艦ミサイル中隊」など570人規模の部隊が配備されたからだ。
 石垣港周辺では、3月に入って、12式地対艦ミサイルの発射機を含む車両約200台が次々と陸揚げされた。それらが駐屯地に移動して以降は、弾薬の搬入、沖縄防衛局による2019年以来となる住民説明会と、駐屯地の稼働に向け節目となる動きが続いた。
 筆者はさっそく平得大俣地区にできた駐屯地を訪ねてみた。駐屯地は島で最も高い山の山麓に設けられている。もとはゴルフ場があったところだ。
 メインとなる隊庁舎は、沖縄独特の赤瓦屋根で、「基地」というよりは大きめの公共施設という印象を受ける。
 駐屯地周辺には、不思議と「駐屯地反対!」といった看板はなく、「自衛隊、ありがとう」と書かれたのぼりが目立っていた(冒頭写真)。
 以前、与那国島の駐屯地取材では、写真を撮ろうとして自衛隊員に厳しく制止されたものだが、正面ゲートで写真を撮っても何の反応もなかった。設置早々、余計なあつれきは避けたいとの思いからだろうか。
 石垣島にできた陸上自衛隊駐屯地
 © ダイヤモンド・オンライン
 駐屯地開設の狙いは言うまでもなく、中国の台湾侵攻を視野に、先島諸島の防衛力を強化するためだ。
 2016年の与那国島を皮切りに、2019年には宮古島奄美大島と続いた自衛隊の「南西シフト」は、石垣島駐屯地の開設によって、中国に対するファイヤーウオール(防火壁)として、さらに「完成形」へと近づいたことになる。
 忍び寄る「戦争の足音」に
 複雑な住民の思い
 筆者は、2024年の台湾総統選挙とアメリカ大統領選挙が終わって以降、中国は台湾統一へと動きだす可能性が高いと分析している。
 そうなれば、先島諸島一帯はいやが上にも巻き込まれると考え、ラジオ番組や拙著を通じ、「防衛力の強化は不可避」と訴えてきた。その論拠は以下の3つだ。
(1)中国は、アメリカのペロシ下院議長(当時)が台湾を訪問した2022年8月、与那国島に近い台湾北東部にも「東風」ミサイル5発を撃ち込んでいる。これは台湾侵攻を視野に入れた予行演習。
(2)中国海軍の空母「遼寧」が宮古島周辺海域を航行し、戦闘機や偵察・攻撃型無人機「TB001」が先島諸島上空を飛行するケースが増えている。これも台湾侵攻の下準備。
(3)日米の防衛関係者に取材すれば、異口同音に「中国軍はまず制空権を掌握し台湾海域の封鎖に出る」との答えが返ってくる。つまり、アメリカ軍基地自衛隊駐屯地がある沖縄は攻撃される可能性が高いということ。
 石垣島では、上記のうち、(3)に関して、「駐屯地ができればさらに狙われやすくなる。島を再び戦場にする気か?」という声が根強い。駐屯地設置に抗議した住民の間には、弾薬庫が標的にされることへの不安もある。
 駐屯地設置と反撃能力ミサイルで賛否が割れる石垣市議会
 © ダイヤモンド・オンライン
 石垣島のマンゴー農家・金城龍太郎氏は、反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つミサイル配備への懸念を口にする。
 「石垣市議会は反撃能力を持つ長距離ミサイルの配備を容認しないとする意見書を可決しています。しかし、政府側の説明では相変わらず釈然としません。私は、そのうち配備されるんだろうと思っています。そうなれば、当然、狙われやすくなると思います」
 こうした声がある一方で、「駐屯地がなければすぐに占領されてしまう」との声も少なくない。
 八重山日報の仲新城誠論説主幹は、沖縄県玉城デニー知事が「自衛隊の防衛力強化で、沖縄が攻撃目標になるリスクをさらに高める」と述べている点を踏まえ、筆者の取材に次のように答えた。
 「沖縄を取り巻いている国際情勢を思えば、駐屯地設置は遅すぎたくらいです。駐屯地に関しては、選挙の都度、争点になっていて、沖縄防衛局は、その度に説明してきました。今になって説明不足ということはありません」
 「玉城知事は『住民合意が不十分』と言っています。石垣市長や与那国町長などとはかなりの温度差がありますね。これでは知事と関係自治体との溝は深まるばかりです。知事には、現実を見据え、有事を想定した避難準備やシェルター整備などの取り組みを急いでほしいですね」
 玉城知事への不満は、石垣島から約7キロの海上にある竹富島竹富町)の前泊正人町長からも聞かれた。
 「基地問題アメリカに交渉をしに行く以前に、しっかりと八重山地域の現状を見ていただきたいと思っています。石垣市竹富町与那国町の3首長と意見交換するのが先ではないでしょうか」
 住民投票はなし
 避難訓練もなし
 石垣島に駐屯地が設置されたことは、筆者も、中国の動きから見て「やむを得ないこと」と捉えるしかないと思っている。ただ、問題も見え隠れする。
 一つは、住民投票の機会が奪われたことだ。石垣市議会議員の花谷史郎氏は言う。
 「石垣市自治基本条例では、有権者の4分の1の署名で住民投票請求が可能だったのですが、一昨年、条例から住民投票に関する項目が削除されてしまいました。中山義隆市長は『国全体に関わる問題を住民投票で決めるというのはそぐわない』と、民意を問う考えはないことを強調しています。当初は反撃能力ミサイルの話はなかったわけです。事情が変わったにもかかわらず市民は声を上げられません」
 国や市からの説明不足に懸念を示す花谷史郎石垣市
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 もう一つは、八重山日報の仲新城氏が指摘したように、住民の避難訓練が思うように進んでいない点だ。
 沖縄県では、国民保護法に基づく住民避難の検討作業に着手し、3月17日に実施した初の図上訓練では、先島諸島からの住民避難について、航空機と船で1日最大2万人の輸送が可能と試算した。
 対象となるのは、先島諸島宮古地域(宮古島市多良間村)と八重山地域(石垣市竹富町与那国町)の住民約11万人と観光客約1万人だ。その避難先は、2006年の段階で「武力攻撃災害等時相互応援協定」を結んでいる九州となっている。
 しかし、単純計算でこれだけの人数を避難させるには6日もかかってしまう。民間の航空会社やフェリー会社とは話し合い済みだが、悪天候のケース、あるいは新石垣空港宮古島下地島空港などが被弾した場合、計画には狂いが生じる。
 島嶼部の自治体はフェリーぐらいしか避難手段がない
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 中国がショートシャープウォー(短期激烈決戦)で挑んできた場合、島外に避難する余裕などなく、かといって島内避難の準備も進んでいない。
 石垣島では、これまでの訓練は防災避難訓練の域を出ていない。与那国島では2022年11月30日、ようやく訓練が実施されたものの、避難先は何の防衛効果もない公民館などにとどまった。
 また、宮古島では、弾道ミサイル飛来を想定した住民避難訓練を計画したものの、「公民館等への避難では意味がない」と、これを取りやめている。台湾にはすでに10万カ所もシェルターが設置されているというのに、これらの島々にはまったくない。
 住民避難の問題は、各自治体の問題というよりも政府と県が、大地震津波対策と同様、準備を急ぐべき課題である。
 虎視眈々と4選と台湾統一を目指す習近平
 このところ、筆者を含め、国民の多くの目がWBCワールド・ベースボール・クラシック)での日本代表の戦いに注がれてきた。国際大会は国のメンツを懸けた戦いだ。熱くなるのは当然だ。
 ただ、その一方で、国際社会では、民主主義国家対専制主義国家の駆け引き、ウォーゲームともいうべき動きが激しくなっていることも忘れてはならない。
 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領やドイツのショルツ首相が来日し、岸田文雄首相はインドへと飛んだ。いずれも民主主義国家間での連携を強化するのが目的だ。
 対する中国も、全人代習近平総書記が国家主席としても3選を果たし、新たな首相に側近の李強氏を、そして次期国家主席への登竜門とされる副主席には、すでに最高指導部を外れ、「一丁上がり」状態となっていた韓正氏を起用した。
 重要ポストをイエスマンだけで固め、有力な後継者も作らなかったことは、習近平総書記が、3選どころか4選を視野に動き始めたことを意味している。
 『日本有事』 (集英社インターナショナル新書) 清水克彦 著
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 習近平総書記は、外交でも着々と布石を打っている。習近平総書記自らロシアを訪問。他にも、北京でイランのライシ大統領と会談したり、サウジアラビアとイランの外交正常化を仲介したりと、専制主義国家間の連携を強化している。これらは、台湾統一という次のステップを見据えた動きと考えていい。
 「防衛力強化よりも、まず、中国を台湾統一に動けないようにする外交努力を」
 このように語るのはたやすい。とはいえ、外交努力だけでは効き目がないことはウクライナ戦争の惨状が語っている。
 石垣市中心部にあるホテルの一室で、「中国が動きだすまで2年程度ある。あくまでウォーゲームの間に、政府と県、各自治体は、住民の理解を得る努力を重ね、避難訓練を急ぐ必要がある」…そんな思いを込めながらパソコンと向き合っている。
 (政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師 清水克彦)
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