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2024年5月11日 YAHOO!JAPANニュース 産経新聞「川口のクルド人なぜ増えたか 陰にイラン人、民主党政権で増 「移民」と日本人の平成史①
過積載のトラック=昨年、埼玉県川口市(読者提供)
埼玉県川口市に集住し地元住民との軋轢が表面化しているトルコの少数民族、クルド人。彼らが川口市に住み始めたのは約30年前の平成初め、1990年代初頭といわれる。東京に近く、家賃などの生活費が比較的安いことから、先に来日した親族らを頼って相次ぎ来日し、やがて国内最大の集住地になったという。
【写真】解体資材置き場が集中する地区で、早朝に住宅地を走るトラック。運転手の男性は携帯電話を使っていた
■山岳地帯から大都会へ
トルコなどの山岳地帯に暮らすクルド人は「国を持たない最大の民族」と呼ばれ、ドイツやオランダ、カナダなど欧米にも数多く移民している。
クルド人問題に詳しいトルコ人ジャーナリストによると、クルド人はトルコ南東部の山岳地帯の出身が多い。1970~80年代までは社会、経済的に発展から取り残されてきた地域だという。
「彼らの一部は、山岳地帯の小さな村からいきなり川口へ来るケースが多い。そもそも都市の生活に慣れていなかったり、日本の生活や文化に適応が難しい人がいたりするのは仕方がない部分もある。正直に言って、彼らの中には小学校程度の教育しか受けていない人もいる」
わが国に在留するトルコ国籍者は約6千人。そのうち約2千人程度がクルド人とみられ、川口市周辺に集住している。
出入国在留管理庁によると、正規の在留者は約1300人、難民認定申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の仮放免者は、直近では約700人という。
クルド人の来日初期から支援を続ける松沢秀延さん(76)によると、川口にクルド人が住み始めたきっかけは、先に来日していたイラン人の存在だったという。
「80年代半ばから、市内の造園会社の下請けで不法滞在のイラン人がたくさん働いており、その中にイラン国籍のクルド人が混じっていた。90年代に入り、彼らを頼ってトルコからもクルド人が来日するようになった」
■就労厳格化で一転半減
なぜ、彼らは欧米よりもはるかに遠い日本を目指すのか。先に来日した親族らがいることに加えて理由に挙げられるのが、日本とトルコの間で1956(昭和31)年に取り決められた短期滞在の査証(ビザ)免除措置だ。航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日し、3カ月の短期滞在の在留資格で入国。3カ月後、難民認定を申請して滞在を継続できる。
難民申請中の外国人には「特定活動(難民認定手続中)」という正規の在留資格が与えられることもあり、俗に「難民ビザ」と呼ばれる。川口市内の正規在留者約1300人の大半もこれにあたる。
この資格の在留期間は通達により最長1年で、就労が認められる場合もある。昨年6月末時点でトルコ国籍者1177人に与えられており、国籍別で最多となっている。
民主党政権時代の2010(平成22)年には、難民申請から6カ月たった申請者に対し一律に就労できる運用を始めた。目的は申請中の自活のためだったが、「申請すれば働ける」と、目的と手段が逆転。10年に全体で約1200人だった申請はピークの17年には約16倍の約2万件に急増した。翌18年に再び就労を厳しくしたところ、申請は半減した。
入管関係者は「難民としての認識を持ち合わせないまま、一義的には出稼ぎや定住を目的としていることを強く疑わせる現象だった」と振り返る。
トルコ国籍者も10年の126人から17年は1195人まで急増し、翌年は半減したが、全体の動向と異なりその翌年にはまた増えた。その後再び減少したのは、新型コロナウイルス感染症による入国制限のためだった。
■迫害とまではいえない
そもそも、1978(昭和53)年の入管難民法施行から45年間で、入管当局が当初から難民と認定したクルド人は1人もいない。唯一の例外は2022(令和4)年、札幌高裁で難民不認定処分の取り消し判決が確定した1人だけだ。
今年3月にトルコのクルド人地域を現地調査した元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表で、東洋英和女学院大の滝沢三郎名誉教授(76)は「トルコ国内でクルド人に対する政策的な差別は全くない」と指摘し、さらにこう続けた。
「クルド人の中でもイスラム教の宗派によっては一部に社会的経済的な差別は残っているようだが、条約難民の定義である『迫害を受ける恐れ』があるとまでは言えないのではないか」
一方で、入管庁は難民に該当しなかったものの、日本人と結婚して子供が生まれるなど国内の特別な事情を考慮した人道的な見地から、過去5年間だけでトルコ国籍者58人に在留を認めている。これは国籍別で最も多く、全体の28%を占める。
6月10日に控える改正入管難民法の施行により、難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限される。だが、難民申請の審査期間は平均26カ月半。2回の申請で不法滞在状態が4年以上続くことになる。
川口の地元住民からは「中東系の外国人が過積載のトラックを運転し、改造車が走り回っている」といった声が絶えない。地元選出の国会議員らは4月中旬、市内のクルド人集住地区を視察、ようやく重い腰を上げた。
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わが国の現代史をさかのぼれば、それぞれの時代に、さまざまな民族が日本を目指し、地域で隣人となってきた。「移民」と日本人の平成史をひもとく。
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3月8日 産経新聞「女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」 「移民」と日本人
埼玉県警川口署=同県川口市
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが8日、同署の調べで分かった。男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の「移民2世」という。
調べによると、男は1月13日午後10時半ごろ、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。男は父親とともに難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」と容疑を否認。同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。「2世」とみられる若者らによる車の暴走行為やあおり運転も問題となっている。
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日本に渡ってきた外国人で、帰化人と渡来人では全然違い、その違いは神聖な文化や宗教ではなく俗世の愛国心と忠誠心であった。
つまり、日本との繋がりとして愛国心と忠誠心を持つのが帰化人で、拒否するのが渡来人であった。
日本を敵として反社会的テロリストや犯罪者になるのが渡来人で、帰化人はならない。
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古代日本は、差別主義なき難民大国であった。
ヤマト王権は、文化・宗教に関係なく大陸や半島から命辛々逃げてきた難民を無条件で受け入れ、日本国への愛国と天皇への忠誠を誓う帰化した難民の力を得て日本を統一した。
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古代日本の平城京はシルク・ロードの東の終着都市として、アラブ人・ユダヤ人・インド人などの商人が商品を持って自由に渡来し、仏教、ゾロアスター教、ユダヤ教、原始キリスト教、イスラム教。道教、その他数多くの宗教や神話が無条件で伝来していた。
日本神道は、全ての普遍宗教や世界神話を吸収していた。
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820年 弘仁新羅の乱。東国・関東には半島から逃げて来た移民・難民が多数住んでいた。
天皇への忠誠を拒否した新羅系渡来人700人以上は、駿河・遠江の2カ国で分離独立の反乱を起こした。
が計画的な反乱ではなかったので、朝鮮半島の統一新羅は動かず日本を侵略しなかった。
同様に、日本各地に定住していた新羅系渡来人や百済系帰化人・高句麗系帰化人も反乱に同調せず、日本を揺るがす内乱・内戦に発展しなかった。
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遠江・駿河両国に移配した新羅人在留民700人が党をなして反乱を起こし、人民を殺害して奥舎を焼いた。 両国では兵士を動員して攻撃したが、制圧できなかった。 賊は伊豆国の穀物を盗み、船に乗って海上に出た。
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834年 日本人百姓は、偏見と差別、新羅系渡来人への憎悪から武器を持って新羅村を襲撃した。
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古朝鮮・百済・高句麗・古新羅・渤海は、親日知日であった。
統一新羅・高麗・李氏朝鮮・大韓帝国は、敵日反日であった。
歴史的事実として、日本は被害者であって加害者ではなかった。
4月22日 YAHOO!JAPANニュース マネーポストWEB「【人口減少社会】2040年の日本の就業者数は956万人減の衝撃試算 女性や高齢者の就労を促進しても人手不足は解消されない
今後ますます人手不足が深刻化するのは確実視されている(写真:イメージマート)
ふだん暮らしている中でも、人手不足を感じる機会が増えている。仕事の量に対して人手が追いついていない職場も少なくない。それを示す統計も衝撃的だ。最新の推計によれば、「今後20年以内に日本で1000万人近い労働者が不足する」という見通しもあるが、それすらもまだ甘い見通しだという。人口減少時代の社会経済問題に詳しい作家・ジャーナリストの河合雅司氏による最新レポート。【前後編の前編。後編を読む】
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人口減少によって就業者数はどれぐらい減るのだろうか。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(JILPT)が2040年までを見通した「労働力需給の推計」(2023年度版)を公表した。
経済がゼロ成長で推移し、女性などの労働参加が現状から進まなかった「ゼロ成長・労働参加現状シナリオ」の場合、2040年には2022年(6724万人)より956万人少ない5768万人になるという。
年齢別では、若い人ほど減少スピードが速いため15~29歳は193万人減る。30~59歳は847万人減だ。反対に、60歳以上は84万人増えるとしている。
産業別で2022年と2040年を比較すると、医療・福祉は88万人増えて985万人、情報通信業は33万人増の296万人となる。社会的ニーズが高まりそうな分野では伸びるということだ。
これに対し、製造業は205万人減の791万人、鉱業・建設業は121万人減の356万人、卸売・小売業は92万人減の938万人、飲食店・宿泊業も82万人減って297万人になると予想している。
一方、推計は経済成長率が1%台後半で推移し、女性や高齢者の労働参加が大きく進んだ「成長実現・労働参加進展シナリオ」についても試算している。このシナリオでは、2030年に6858万人まで増加する。2040年には6734万人まで減るが、それでも2022年を10万人上回る。
これならば希望が持てるが、人口が激減していく中で本当に就業者数を増やすことなど可能なのだろうか。
2022年の就業率改善が根拠というが…
【グラフ】就業者数の見通し
JILPTは2018年度の前回推計においては、「ゼロ成長・労働参加現状シナリオ」の2040年の就業者数を5245万人、「成長実現・労働参加進展シナリオ」は6024万人としていたので、今回はどちらも上方修正した。しかも今後の就業者数は減り続けると結論づけていたが、それを一転させ、就業者数が増え得るという見通しに改めたのは、就業率が高めに推移するという前提に置き換えたからだ。「成長実現・労働参加進展シナリオ」の場合、前回推計は2040年の就業率を60.9%としたが、今回の推計では66.4%だ。
その根拠は、足元の2022年の就業率が改善したことである。だが、これをもって今後の就業率も高めに推移すると判断することには疑問が残る。今回の推計については、専門家から「年金財政検証などに使用されることから、楽観的な見通しを示す必要もあったのでは」との声が出ている。結論ありきではないのか。
「ゼロ成長・労働参加現状シナリオ」についても就業率を前回より高めに置いているので、「956万人減」という数字も甘い見立てとなっている可能性がある。
現実問題として、今後の就業者数を増加させることは難しい。維持することさえ容易ではない。人口減少社会においては、性別や年齢を問わずすべてが減っていくことになるからだ。
女性と高齢者の就業はすでにかなり進んでいる
日本の生産年齢人口(15~64歳)がピークを迎えたのは1995年の8716万人だ。これに対し、多くの企業は男性の働き手の目減り分を女性と高齢者の就労促進によって補ってきた。当時、女性の労働参加は遅れており、高齢者人口は増え続けていたからだ。
政府も政策で後押しをした。いまだ十分とは言えないが仕事と家事・育児の両立支援が拡充され、結婚や出産・育児を機に仕事を離れる女性は少なくなった。定年年齢の引き上げや再雇用制度の整備によって60代以降も働き続ける人は珍しくなくなった。
この結果、1995年と2023年を比較すると生産年齢人口は1321万人減ったにもかかわらず、就業者数は6457万人から6747万人へと290万人増加する逆転現象が起きたのである。
だが、こうした対策はいつまでも続かない。すでに女性や高齢者の就業はかなり進んだ。2023年の15~64歳の女性就業者数を2013年と比較すると212万人増だ。同期間の同じ年代の男性は69万人減っている。高齢者も637万人から914万人へ1.43倍増となった。
女性の場合、結婚や子育てで仕事を離れることで30代の就業率が大きく落ち込む「M字カーブ」が長年の課題であったが、内閣府によれば2022年の女性の就業率は25~29歳の84.8%に対して、30~34歳が78.4%、35~39歳は77.0%なっており、解消しつつある。
高齢者に関しては、2040年代初頭までは増え続ける見込みだが、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)によれば2020年に1743万人だった65~74歳人口は減り始めており、2030年には1435万人となる。その後は増減を繰り返しながら減って行く。今後、増えるのは80歳以上だ。
こうした状況で高齢者の雇用を拡大し続ければ、より年配の高齢者に労働参加を求めていくということになり、現実的でない。
女性や高齢者の就業が進んだことを証明する明確なデータがある。労働供給の増加余地の大幅な縮小だ。天井が見え始めたということである。
(後編に続く)
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。
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4月23日 YAHOO!JAPANニュース マネーポストWEB「【日本社会を襲う人手不足問題】外国人人材受け入れ拡大がもたらす「若年層は外国人、年配者は日本人」のいびつな社会
外国人人材の受け入れ拡大が日本社会をどう変化させるか(写真は外国人労働者受け入れに関する関係閣僚会議の様子/時事通信フォト)
独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(JILPT)が公表した「労働力需給の推計」(2023年度版)によれば、2040年の日本の就業者数は2022年より956万人少なくなるという衝撃の試算が明らかになった。しかも、労働参加が期待される女性や高齢者の就業はすでに進んでおり、出生数の減少でさらに若い労働者は減っていく。果たして、この袋小路を切り抜ける手立ては残されているのか? ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者・河合雅司氏が解説する。【前後編の後編。前編から読む】
【グラフ解説】20年以内に予想される外国人労働力人口
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総務省の労働力調査によれば、2023年の就業希望者(就業を希望しているが、求職活動をしていない15歳以上の人)は233万人である。仕事を探している完全失業者178万人と合計すると411万人となる。これに対し2003年は就業希望者が530万人、完全失業者が350万人の合計は880万人だったので、20年間で半減したことになる。
女性や高齢者の就業で就業者不足を補うというこれまでの手法が限界に近づきつつあるというのに、政府は子育て支援策の強化や、働く高齢者の年金が減額とならないよう「在職老齢年金」の見直しといった相変わらずの政策を続けようとしている。女性や高齢者のさらなる労働参加を推進したいということだろうが、増加余地の縮小が続くことを考えれば効果は限定的だろう。
企業の取り組みも変わらない。人手不足というとすぐに「賃上げ」という発想になるが、就業者の総数が減るのだから、人材の争奪戦では問題の根本解決にはつながらない。
就業者数をめぐっては、さらに悪い要素がある。近年の出生数減少スピードの速さだ。5%を超す大幅下落が目に付くようになった。総務省の人口推計(2023年10月1日現在)で20~24歳の日本人人口と、20年後にこの年齢に達する0~4歳の日本人人口を比較すると、後者が30.5%も少ない。
「増加余地」の掘り起こしどころか、新卒者が想定以上に減るのである。今後の日本では大企業や人気職種においても、欲しい人材を安定的に採用できない状況が広がるものと見られる。
もはや就業者の減少を前提として考えなければならないということだが、われわれにはどのような手立てが残されているのだろうか。
外国人人材受け入れ拡大は何をもたらすのか
現在、政府や経済界が取り組みを急いでいるのが、外国人人材の受け入れ拡大である。厚生労働省によれば、2023年10月末時点の外国人労働者は204万9000人だ。2013年の71万8000人と比べて2.85倍増となった。
政府は、中長期滞在が可能な在留資格「特定技能」について、2024年度からの5年間の受け入れ枠を従来の2.4倍にあたる82万人へと一気に拡大させた。就業できる対象職種も広げる。
JILPTは2040年の外国人労働力人口について、「ゼロ成長・労働参加現状シナリオ」では414万人、「成長実現・労働参加進展シナリオ」では453万人を見込んでいる。
だが、人口が大きく減っているわけではない諸外国とは異なり、日本において外国人労働者の受け入れはかなりの副作用を伴う。
労働者として期待する外国人の中心年齢層は20~30代だ。この年齢層の日本人は激減していくため、大規模に受け入れるほど日本人の占める割合は低下することになる。こうした点に配慮せず、目先の人手不足ばかりにとらわれて受け入れ拡大を続ければ、やがて日本は「若い年齢層は外国人中心、年配者層は日本人中心」という極めていびつな社会となりかねない。
社人研は2060年代後半に総人口の1割を外国人が占めると推計しているので、これを基に計算すると、2040年代半ばには20~30代の15%弱が外国人となる。2070年には2割弱だ。すでに多くの国が移民や外国人労働者の大規模受け入れによるトラブルや社会の分断に悩んでいる。国民の理解を得ずに受け入れ拡大を急げば、日本も混乱を来すこととなるだろう。
来日する外国人人材が、日本企業が求める水準を満たす保証はない。今後の日本は高齢化が激しく進む。課題が山積する日本社会が外国人労働者の目にどう映るのかも考える必要があろう。外国人によって日本人就業者の減少を補充する政策は、現時点で考えるほど簡単なことではない。これも限界がある。
外国人人材の受け入れを否定するものではないが、同時に別の政策を進めなければならないということだ。
生産性向上の取り組みだけでは不十分
むしろ現実的であり、急ぐべきは労働生産性の向上だ。就業者1人1人が現状より能力を向上させることで、就業者数の減りをカバーするだけでなく、より経済成長しやすい環境をつくり上げるのである。
労働生産性を向上させるには、就業者個々に対する知識教育や職能訓練が必要となる。並行して取り組むべきは全体の仕事量の削減だ。デジタル化による省力化や業務の無駄の削減の徹底が求められる。
だが、これらだけでは不十分だ。全体の仕事量の削減には、事業の統廃合や企業の再編も含まれる。非効率な分野からの撤退が必要となる。
業務量を減らすことで、就業者が減っても人材に余裕を持たせることができる。こうして生み出した人材を成長分野へと投入するのである。これができなければ、人口減少社会において経済成長の実現は難しくなる。
就業者数の減少は、最終的には社会の作り替えを迫ることとなる。働き手の総数が減っていく以上、すべてを現状通り維持することはできないためだ。企業の生産性向上はもとより、地域ごとの集住やコンパクトな都市形成といったことまで求められるようになるだろう。
甘い推計に安堵して現実逃避したり、つじつま合わせのような政策を繰り返したりしていても出口は見つからない。就業者不足で社会機能が停滞する事態に陥る前に、真の対策を推進することである。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。
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