⏱59:ー1ー戦争準備を急ぐ中国共産党。軍拡に暴走する中国軍。~No.139 

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 中国軍は侵略戦争であり、自衛隊自衛戦争であった。
 如何なる戦争にも反対する日本人達。
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 2024年9月12日15:41 YAHOO!JAPANニュース 共同通信「中国「琉球研究センター」設立へ 大連海事大学が準備、日本けん制
 中国の国旗
 【香港共同】香港紙、星島日報は12日までに、中国遼寧省にある大連海事大が沖縄に関する「琉球研究センター」の設立準備を始めたと報じた。沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する中国は、台湾有事などを念頭においた日米の連携強化に神経をとがらせている。沖縄の日本への帰属を問題化し、対日けん制に利用したい狙いがうかがえる。
 同紙によると9月1日に同大でセンター設立準備会が開催された。沖縄に関するシンポジウムも行われた。中国海洋法学会の高之国会長はシンポジウムで「『琉球問題』は国家安全と祖国統一に関わり、政治的、歴史的な意義が大きい」と語った。
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 9月12日 MicrosoftStartニュース 共同通信「ロシア軍の哨戒機が日本1周 空自戦闘機がスクランブル
 日本列島を1周する飛行をしたロシア軍のTU142哨戒機=12日(防衛省提供)
 © 共同通信
 防衛省統合幕僚監部は12日、ロシア軍のTU142哨戒機2機が同日、日本列島を1周するように飛行したと発表した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。防衛省がロシア軍機による列島周回を確認し、公表したのは2019年6月20日以来で、16回目。
 防衛省によると、2機は島根県隠岐諸島沖から対馬海峡を通過して南下。沖縄本島宮古島の間を抜けて太平洋に入り、北方領土上空を飛行して宗谷海峡からロシア方面に向かった。
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 9月12日 MicrosoftStartニュース JBpress「戦争準備を急ぐ中国、日本の領空侵犯に続き領海侵犯で詳細データ収集
 西村 金一
 日本の領海を侵犯しながら海底の測量を行ったとみられる中国の測量艦(8月31日、防衛省のサイトより)
 中国海軍シュパン級測量艦1隻が2024年8月31日午前4時47分頃、鹿児島県口永良部島西の接続水域を東進し、同日午前6時00分頃、口永良部島南西の領海に入った。
 その後、午前7時53分頃、鹿児島県屋久島南西の領海から出て、南に向けて航行した。
 測量艦の領海侵犯は、中国軍情報収集機(スパイ機)が8月26日、長崎県沖の領空を侵犯した5日後のことだ。
 この艦は、中国海軍の「測量艦」であり、この海域での潜水艦作戦と深く関わっているので、特に注目する必要がある。
 中国軍情報収集機の日本領空侵犯については、JBpress「台風襲来時を狙って日本の領空を侵犯、中国軍情報収集機の狙いとは」(8月30日)、「単なる嫌がらせではない中国軍機の領空侵犯、日米レーダー施設破壊が目的」(9月3日)を参照。
 この測量艦は中国の軍港を出港し、日本の経済水域、接続水域に入り、その後、日本の領海に侵入し、約2時間かけて海中・海底の測量を行った。
 そして、海底の実態を解明しつつ、その海域を通過した。
 中国軍の測量艦が自国の水域ではなく、わざわざ日本の領海に接近し、入り込んで、その海域を調査したのである。
 重要な意図があって実施したと考えるられる。
 図1 中国測量艦とその艦の移動経路
 出典:防衛省海上自衛隊公表(2024年8月31日)
1.測量船(艦)は海中・海底を調査する
 測量艦(船)は、主に海域において測量に従事する艦(船)であり、水深測量や海底地形の調査を行う。ほかに、海流・海水温・潮流・海流など海象に関する調査もする。
 中国の測量艦(軍艦なので船とは呼称しない)は、正真正銘の海軍所属の艦である。沿岸警備隊の機能を有する中国会海警局艦艇や民間の船ではないのだ。
 中国測量艦は、海軍の作戦のために、主に作戦海域の海中・海底の情報を収集するための艦である。
 測量艦の主な仕事は、超音波による音響測深機を使って、推進測量や海底地形を調査することである。
 ほかに、底質、海流・潮流、海水温度、地磁気なども含まれる。
図2 測量船艦による海底地形調査のイメージ
 出典:各種情報をもとに筆者作成(以下同じ)
2.作戦海域の海中・海底調査が目的
 今回は、自国の経済水域や領海内を調査するのではなく、日本の領海に入って調査していった。
 まさに、スパイ艦の行動である。
 中国は、測量艦をなぜ、日本の領海内を航行させたのか。
 中国の軍艦が水上を航行する場合は、測量艦の調査データは必要ない。また、潜水艦がこの海峡を浮上して通過する場合にも必要ない。
 しかしながら、潜水艦が水中を静かに潜航して通過する場合には、水深や海底の詳しいデータが必須なのである。
図3 中国の潜水艦が日本の領海(海峡)を通過するイメージ
 戦争準備を急ぐ中国、日本の領空侵犯に続き領海侵犯で詳細データ収集
 日本国内で販売されている海図を見れば、それぞれの位置に水深などが記載されている。
 そのデータは、常に最新の情報が記載されているわけではない。海底は海流によって地形が変化する可能性がある。
 潜水艦が他国を潜航して通過するには、その国の海図のデータだけでは不十分であり、最新の詳細なデータが必要なのである。
3.通航したことがない海峡情報を収集
 中国海軍測量艦の調査は、東シナ海の中間線から中国の沿岸まで、およびこれまで中国海軍艦艇が頻繁に通過している宮古海峡大隅海峡については終了している。
 これからは、中間線から日本の南西諸島周辺、そして太平洋に出るためのすべての海峡の海底を丹念に調査すると考えられる。
 その主な理由は、日本の南西諸島の各島間の海峡が、中国潜水艦にとって必ず通過する必要がある最大の難所だからである。
 中国海軍艦艇は、西太平洋に進出する場合、日本の南西諸島によって、地形的に閉じ込められている。
 西太平洋に進出できないと、台湾の防衛の背後(東側)から攻撃することはできない。
 通峡時、その出口で日本から攻撃されれば、その海峡で撃沈される可能性がある。
 また、中国海軍が台湾を海上封鎖する場合、潜水艦は南西諸島の各島の間で通過できるすべての海峡の海底地形を調べておく必要がある。
 すべての海峡を使えるようにしておきたいのである。
 そうでなければ、潜水艦はそれらの海峡を安全に静粛に通過することはできない(潜航中にアクティブソナーを使って地形を確認する方法があるが、これを使うと、大きな音を発してしまうために、敵に発見されやすくなる)。
 通過できなければ、中国海軍は南西諸島に封じ込まれ、西太平洋で米軍との戦闘ができなくなる。
 中国は、南西諸島付近(概ね第1列島線)での接近阻止(A2)、南西諸島以東から第2列島線までで、来援する米軍を自由に行動させない領域拒否(AD)戦略があると言われている。
 しかし、潜水艦が南西諸島の間の海峡通過を秘匿できないか、あるいは強硬突破できなければ、この戦略は達成されないのである。
図4 南西諸島における第1列島線内の海洋を通過するイメージ
 戦争準備を急ぐ中国、日本の領空侵犯に続き領海侵犯で詳細データ収集
4.今後、各海峡で領海侵犯の可能性
 各海峡が日本の領海内であっても、中国は有事のときはすべての海峡を通過できるようにしたいと考えている。
 測量艦の領海侵犯の5日前にも、情報収集機の領空侵犯があった。
 中国は、潜水艦作戦のための海の中を調査し、電子戦のための情報を収集している。
 これは、対米、対日との軍事作戦を想定して準備していることの現われである。
 中国による領空侵犯や領海侵犯は、実際の作戦に使える情報を収集するために、これからも頻繁に繰り返されるだろう。
 これらのデータは、実戦で必要であり、その準備を進めているのだ。
5.準備に勤しむ中国、脅威に無関心な日本
 中国国防省呉謙報道官は、中国軍機による初の日本領空侵犯について、「深読みしないことを望む」と強調した。
 また、中国外務省毛寧報道官は中国軍測量艦のトカラ海峡の通過について、「意図的に関連づけたり、過度に解釈したりする必要はない」と主張した。
 情報収集機や測量艦は、わざわざ東シナ海日中中間線を超えて日本の領海・領空に接近し、侵犯してでも作戦に必要な情報を集めているのだ。
 中国国防省や外務省によるこれらの発言には裏がある。
 「我々(中国)は、は戦争の準備を着々と進めるが、日本には、このことを悟られないようにしたい」と考えているのだ。
 そのため、報道官の2人は、「深読みするな」「過度に解釈する必要はない」と念を押しているのだ。
 中国報道官の発言は、日本のメディアでそのまま紹介される。
 中国は、日本のメディアが、日本のニュースでどのように流すのかを意識している。
 これらの発言がそのまま、日本のお茶の間に流されれば、軍事に詳しくない日本の市民は、額面通りに受け取ってしまうだろう。
 これは、日本人の中国敵対意識を薄める中国の情報戦なのである。
 一方で戦う準備を行い、他方で相手国市民の感覚を麻痺させようとしている。
 戦争を始め侵攻する側の国は、戦争の準備を着々と進め、防衛する側の国は、敵国の動きの真意を探ろうともしない。また、その軍の行動を止めようともしない。
 このような実態は、かなり恐ろしいことだ。
6.日本は中国の作戦準備行動を止められるか
 中国の行動をそのまま実行させていると、サラミソーセージを少しずつスライスするかのような「漸進的な小さな行動の積み重ね」(サラミスライス戦略と呼ばれる)の行動で、日本はいずれ敗北を余儀なくされる。
 戦争で敗北するということは、領土を占領され、そしてその地域に中国の旗が立つということだ。
 それなのに、日本の林芳正官房長官は9月2日の会見で、中国の測量艦が領海に侵入したとして、「外交ルートを通じ強い懸念を伝え、抗議した」と語っただけだった。
 中国は、日本が抗議してもお構いなくやって来て侵犯している。抗議したところで、「領空・領海侵犯をやめる」とは絶対に言わない。
 中国は、戦闘準備を現実に進めているのだ。
 今回の領空・領海侵犯は、自民党総裁選や立憲民主党の代表選が予定されている直前に、中国が仕掛けてきたものだ。
 日本の次期総理や党の代表となる人によって、対中国の軍事的な政策がどうなるのかを見極めようとしている。
 具体的には、「これまでどおり懸念を伝え、抗議するだけか」、あるいは、「強硬策を実行してくるのか」などだ。
 日本のリーダーが「懸念を伝え、抗議するだけ」であれば、中国は今後も、日本の弱腰軍事政策をあざ笑い、そして戦う準備を着実に実行してくるだろう。
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 9月12日11:41 YAHOO!JAPANニュース JBpress「新首相は中国、ロシア、北朝鮮にどう対峙すべきか?自民党総裁選告示、安倍氏を支えた自衛官が望む新総裁の必須条件
 自民党本部の総裁のプレートと椅子=2024年8月9日、東京・永田町の自民党本部(写真:共同通信社
 日本の新リーダーを決める自民党総裁選が、きょう告示される。立候補者の乱立というのが今回の総裁選の特徴の一つだが、多彩な顔ぶれの中で、防衛相経験者の存在も目立っている。石破茂林芳正河野太郎の3氏だ。一方、刷新感から期待が高まる小泉進次郎氏は、内閣における外交・防衛経験の乏しさが指摘される。新リーダーは国防をどう司るべきか。安倍政権下で4年半の長きにわたって自衛隊制服組トップ・統合幕僚長を務めた河野克俊氏が、総裁選レースのスタートに合わせて提言する。
 【写真】総裁選を盛り上げようと自民党本部に掲げられた横断幕。自民党にとって、安倍晋三氏の存在がいかに大きかったかを感じさせる構図だ
 (河野克俊:元統合幕僚長
■ 核保有国ににらまれる日本
 8月14日に岸田首相が総裁選不出馬を表明したことにより、9月27日の自民党総裁選挙の結果、新首相が誕生することになった。実質的にほとんどの派閥が解消されたこともあり、近年まれに見る候補が乱立する総裁選挙になった。現時点では次期総裁に誰がなるかについては予断をもって語る段階ではない。
 したがって新首相の安全保障政策がどのような方向に向くかを語ることは現時点では困難であるため、安全保障の観点から次期首相に期待され、求められる資質・条件について述べることとする。
 まず世界の安全保障環境を概観してみたい。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵略戦争はいまだ継続中であり、ウクライナがロシアへの越境攻撃を試みたが、戦況は一進一退の状況であり長期戦の様相を呈し出している。
 2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃に端を発した中東における戦闘は、イラン及び親イラン勢力を巻き込み終結の目途がいまだ立っていない。
 目を我が国周辺地域に向ければ台湾海峡を巡る情勢は予断を許さず、中国による武力併合に対する警戒を緩める状況にはない。
 北朝鮮については核、ミサイル問題はもちろんであるが、今後の金体制の動向についても注視する必要がある。とりわけ核の問題については、残念ながら北朝鮮が核を放棄する可能性は極めて低いと見るべきだ。
 その結果、日本は中国、ロシアそして北朝鮮という核を保有し、しかも独裁的リーダーが率いる専制主義的国家に囲まれている状況であり、その意味で、世界で最も厳しい戦略環境にあると言える。
 それを踏まえた上で新首相に求められる資質・条件とは何か。
■ 「相手を刺激しない」姿勢が相手を増長させてきた
 まず、我が国を守る自衛隊の最高指揮官であるとの自覚を持つことである。当たり前のことではあるが、過去の首相の中には「自衛隊の最高指揮官になりましたね」と問われ「いや、そんなことはありませんよ」と答え、また「よく法令を調べてみたら首相は自衛隊の最高指揮官だったことが分かった」という首相もいたのである。
 次に、必要な時には対外的に毅然とした態度が取れるリーダーであることだ。従来、日本政府の対応は相手を刺激しないということを基本にすえてきたように思う。しかし、その結果は、総じて相手の行動をさらにエスカレートさせることに繋がっている。
 我が国周辺は、台湾海峡北朝鮮の問題など潜在的な脅威が存在しており、一段と不安定な状況になっている。そうした厳しい安全保障環境の中で、必要な時に強い信念を持って毅然とした対応がとれるリーダーこそ今の日本には必要とされている。
 第3は、自衛隊に対するシビリアン・コントロールすなわち文民統制を正しく理解し、それを実践できるということである。
 戦前の軍による過度な政治介入の教訓を踏まえ、戦後誕生した自衛隊に対してはシビリアン・コントロールが徹底されてきた。
 しかし、戦前のような軍の独走を繰り返さないという点に傾斜しすぎ、シビリアン・コントロールを政治から自衛隊を極力遠ざけるとする解釈が長く主流を占めてきた。
 その結果、多くの政治家が軍事に関心を持たなくなり、シビリアン・コントロールは本来政治家による文民統制であるはずが、官僚による文官統制がシビリアン・コントロールであるとする解釈を生むことになった。
 本来のシビリアン・コントロールを実践するためには、当然政治と自衛隊との距離が近くなければならない。そうすれば首相は自衛隊の最高指揮官である自覚も必然的に出てくるはずである。
 政治が責任を持って自衛隊をコントロールする時代になったとの認識を新たなリーダーは持つべきだ。
■ 「憲法改正」結党以来の党是に結果を
 最後は、確固たる「国家観」を持っているということだ。
 首相は各大臣よりも一段階高みに立たなくてはならない存在で、そういう意味でまさに「首相」である。それがないと日本をどういう国にしたいかというビジョンを提示することができない。
 本来首相の指し示す国家観に基づくビジョンから個々のいろいろな政策が出てくるべきだが、一般的に今まではこの理念の部分が薄かったのではないか。
 自民党の総裁選挙だから候補者は基本的には保守のはずだが、保守思想とはどういうものなのか、戦後レジームをどう考えるのか、日本が戦後歩んできた道は正しかったのかなどを国民に語りかけてほしい。
 リーダーは導く組織に対して目標を明確に示し、その目標を達成する不退転の強い意志を持つ人物だ。目標を達成するためには右顧左眄しない「一千万と雖も吾往かん」という不退転の決意を持っていることが不可欠だ。
 特に安全保障に関しては、世論をあまりに気にしすぎて判断が狂うこともある。世論に迎合しすぎることなく、国益を踏まえた判断ができる首相が必要だ。そして最後は、その結果に対して責任を回避せずに責任を取るということだ。
 憲法改正もリーダーシップの問題だ。
 熟議は必要だが、政治は結論を出さなければ国民の負託に応えたことにはならない。自民党創設の理念は自主憲法制定だったわけで、これが一丁目一番地だ。しっかりと原点に立ち返ってもらいたい。
 さらにウクライナ戦争以来、核の問題が不安定化している。「核抑止」についてもタブーなしで議論できる国であればリーダーは適切な判断ができる。それが戦争を回避するための大きな力になると思う。
 河野 克俊
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 9月12日6:00 YAHOO!JAPANニュース 週プレNEWS「最新鋭の情報収集機は、九州の西側空域で何をしていたのか? 史上初! 中国軍機の領空侵犯「次の一手」を読む
 男女群島付近で約2分間、領空侵犯した中国空軍の情報収集機「Y-9DZ」。その後もしばらく周辺空域にとどまった
 史上初めての中国軍機による領空侵犯事案は、中国側が「深読みしないでほしい」とミスだったことを事実上認め、沈静化した。しかし、問題は九州まで中国空軍の活動が広がっているという事実そのものであると専門家は指摘する。いったい何をしに来ているのか?
 【地図】中国空軍Y-9DZの領空侵犯の動き
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■国籍マークも隠された領空侵犯機
 変則的な動きで西日本に長く停滞した台風10号がまだ遠い南の海上にあり、気象庁が注意を呼びかけていた8月26日。東シナ海に浮かぶ長崎県男女群島沖で、午前11時29分から同31分にかけて、史上初めて中国の軍用機が日本の領空に侵入した。
 これに対し、航空自衛隊はF-15戦闘機2機とF-2戦闘機2機、計4機が発進しスクランブル対応。無線を通じて通告・警告を発し、中国軍機を退去させた。
 航空自衛隊那覇基地で302飛行隊隊長を務めた元空将補の杉山政樹氏が解説する。
 「まずはレーダーから〝国籍不明機〟の高度や速度などの情報が来るので、空自は最初の2機編隊がスクランブルする段階で、相手機が飛行可能時間の長いプロペラ機だとわかっていたはずです。
 そこで空自側は空中で次の2機編隊にバトンタッチし、相手機を目視確認して、中国空軍の『Y-9』だと判別したのではないかと思います」
 その後、空自機のコックピットに設置されているカメラで撮影した写真から、相手機が「Y-9DZ」だったことが判明した。電波の探知・収集を行なう電子偵察や、合成開口レーダーを使った夜間・悪天候下の監視任務を行なうことができる特殊作戦用の最新型情報収集機だ。
 各国の軍用機に詳しいフォトジャーナリストの柿谷哲也氏はこう言う。
 「Y-9シリーズはバリエーションが多く、電子偵察機だけでも数機種が確認されています。私は北京の軍事パレードで同型機を撮影しましたが、ベースの輸送機型と比べ、アンテナやセンサーのフェアリングが各所に備わっていて武骨な印象でした。
 今回領空侵犯した機体は、従来確認されていた塗装と異なる濃いグレー色も印象的ですが、何より驚いたのは、国籍マークも視認できないようカモフラージュされていたことです」
 では、こういった電子偵察機の役割は? 元テレビ朝日ワシントン支局長で、米軍事シンクタンクCSBAやジョージタウン大学で客員研究員を務め、現在はIISE(国際社会経済研究所)特別研究主幹、信州大学特任教授を務める布施哲氏が解説する。
 「電子偵察の目的は、通信に関わらない電波の収集です。敵の兵器が発する電波、例えばミサイルのテレメトリー(位置や燃料の残量などを伝える電波信号)や戦闘機・艦艇の武器管制レーダーなどの周波数、パルス幅といった特性をライブラリー化し、兵器の類別・識別、活動の実態把握などに役立てるわけです」
 では、中国が今、自衛隊や米軍に関して一番取りたい電子情報とは?
 「真っ先に思い浮かぶのは、米海軍の電子戦機『EA-18G』への搭載が始まった次世代ジャマー(通信妨害装置)や、米イージス艦への搭載が始まった最新鋭の電子戦システムです。
 前者は遠距離から敵の地対空ミサイルのレーダーや通信機能を低下・停止させる能力があるとされ、後者は巡航ミサイル弾道ミサイルに対する艦隊防空で劇的な効果を発揮すると推測されています。
 ただし当然、これらの情報は最も秘匿度が高い領域なので、米軍が訓練する際は敵に能力や運用要領を悟られないよう細心の注意を払っているはずです」(布施氏)
■狙いは下甑島に配備された〝ガメラ〟?
 台湾政府の協力の下、10億円超の製作費をかけ来年放送される予定の連続ドラマ『零日攻撃 ZERO DAY』は、中国の台湾侵攻シナリオを描いている。その始まりは、今回の領空侵犯機の前シリーズに当たる中国軍のY-8対潜哨戒機が台湾周辺で行方不明になり、救難・捜索の名目で中国軍が台湾を海上封鎖する――というものだった。
 ただ、今回の領空侵犯が意図的なものだったかどうかについては、杉山氏、柿谷氏、布施氏の3者とも「パイロットの操縦ミス」、つまり事故であると分析している。
 「Y-9DZの任務は地道な情報収集です。空自のスクランブル機がやって来て情報収集を中断するのは本末転倒ですから、わざわざ領空侵犯をする動機は見当たりません」(柿谷氏)
 しかし、もちろんこれは「うっかりなら仕方ないね」で一件落着という話でもない。杉山氏はこう指摘する。
 「以前は中国大陸沿岸でのみ活動していた中国空軍が、だんだん外に出て、宮古海峡沖縄本島宮古島の間)を通って太平洋に出られるようになったのが2010年代。そして今回、広く明らかになったのは、中国空軍がすでに東シナ海から九州に近づき、日本の領空ギリギリまで飛び出して、取れる情報を取って帰っているという事実です。
 『零日攻撃』で描かれているように、その存在をきっかけに戦争が起きる可能性があるほど重要な軍事アセットが、九州まで出てきたことの意味を軽く見るべきではありません。
 なお、今回の領空侵犯機の動きから考えると、狙いは空自・西部航空方面隊第9警戒隊のいる鹿児島県・下甑島分屯基地にある〝ガメラレーダー〟だったのでしょう」
 外観が怪獣ガメラの甲羅に似ていることからその異名がついたフェーズド・アレイ・レーダー「J/FPS-5」は、探知距離が数千㎞に及び、弾道ミサイルの追尾から自軍の防空戦闘機の管制まで担う。
 特に下甑島は、グアムの米軍基地や西太平洋に展開する米空母を狙う中国の弾道ミサイル発射を早期探知するには絶好の位置にある。
 「領空侵犯は国際法違反の大失態ですが、中国空軍が能力を着実に上げていることは事実です。これからも淡々と戦略を推し進め、この空域での活動を活発化させていくでしょう」(杉山氏)
■数年後には爆撃機が九州周辺に飛来?
 では今後、中国軍の九州方面での活動はどのようにエスカレートしていくのか?
 中国軍の活動がより進んでいる尖閣諸島・南西諸島では、中国国家海洋局の洋上監視機「Y-12」が初めて領空侵犯したのが2012年12月。その4年後の16年9月には、戦闘機、爆撃機など計40機(中国当局の発表)が宮古海峡を通り、西太平洋で大規模訓練を行なっている。
 「九州の西側海域でも、いずれ似たような事態になる可能性は高いでしょう。戦闘機や爆撃機などの戦術機を実際に飛ばしてみて、電子偵察機などで集めた情報をもとに立てた予測と、実際の日本側の出方が一致するかを確認する。もし違ったなら、それは特別なのか、それとも通常の対応なのか。次に別のパターンで戦術機を飛ばしたら何がどう変わるのか......。そういった情報収集のために来るわけです」(前出・柿谷氏)
 それに対して、空自はどう対応すれば?
 「とにかく領空侵犯を許さないことです。台湾空軍の場合、中国の空・海軍機に対して常に数的優位を取ることを基本に対処しています。
 日本の場合は台湾よりも中国に対して地理的な間合いと縦深があるので、可能であれば対処が必要な領域に来る前にプレッシャーをかけるなど、押し込まれないように徹底した形でやり続けるべきでしょう。
 ただ、今のままではそれは難しい。現状、空自のスクランブルは自衛隊法第84条にあるように、法的には『警察権の行使』という立てつけになっています。
 今回の情報収集機はそれでも事が収まりましたが、戦闘機や爆撃機が入り込んできた場合はどう止めるのか。まだ時間がある今のうちに考えておくべき課題です」(前出・杉山氏)
 この領空侵犯の5日後、8月31日には、鹿児島県沖の日本の領海に中国海軍の測量艦が侵入した。測量艦の任務は、その海域の海底地形、水温など各種データを集め、潜水艦が通航するための〝海底地図〟を作ることだ。
 前出の布施氏はこう語る。
 「軍とは偵察、情報収集を日常的に行なう組織ですから、重要なのは自衛隊も中国軍も、無用な摩擦や誤解による衝突がないようリスク管理をしっかりすることです。
 ただし、中国は今や立派な軍事大国で、その気になれば日本に威圧や嫌がらせ、攻撃を仕掛ける能力をすでに持っています。そうしないのは、今のところそれをやるメリット、意図がないからに過ぎません。
 逆に言えば、台湾有事など中国の国益や戦略目標上の必要性が生じた場合は、その能力を日本に向けるシナリオもありえると考えておくべきでしょう。
 最大限悲観的に考えて備えるのが安全保障の基本です。意図は一夜にして変わりえますから、能力の分析をすると同時に、意図に変化の兆しがないかも注視し続けていく必要があります」
 取材・文/小峯隆生 写真/防衛省
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