🌦16¦─1─中国共産党が沖縄に「ドローン」を飛ばす“真の理由”。~No.51No.52No.53 

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 2022年11月6日 YAHOO!JAPANニュース 週刊現代講談社習近平が沖縄に「無人機」を飛ばす“真の理由”…野放しにすれば海上自衛隊も米海軍も丸裸にされる!
 共産党大会が閉幕し、習近平政権は「異例の3期目」に突入した。日本は中国と、どう向き合っていくべきなのか。元航空自衛隊情報幹部の鈴木衛士氏に話を伺った。
沖縄・宮古島に飛来した攻撃型無人
 航空自衛隊スクランブル発進し、初めて中国の無人機(UAV)を発見したのは2013年9月9日のことでした。中国軍の多用途無人航空機「翼龍」とみられる機体が、尖閣諸島周辺で確認されたのです。
 中国から無人機が飛来した場合、レーダーだけでは飛行体が無人機であるかどうかの判断がつきません。他の情報収集手段を使ってもそれが無人機と断定することは難しく、最終的にはスクランブル発進した戦闘機のパイロットによる目視確認が必要となります。
 最初の飛来があった2013年以降、しばらくは無人機が「目視」されることはありませんでした。とはいえ中国側の東シナ海では活動を継続していることは、中国軍の機関紙「解放軍報」などで伝えられていました。中国側は、海岸沿いの地上部にレーダーサイトを設置していますが、そのレーダーの覆域内で無人機を慎重に運用していたとみられます。
 統合幕僚監部 報道発表資料 より
 この時期、中国側では「衛星を介したネットワークで無人機をコントロールしたり、収集した情報をリアルタイムに送信したりする技術」が完成していなかったという見方もあります。それゆえに、レーダー覆域外の無人機に対して情報の伝達や行動のコントロールに不安があり、日本の領空付近まで飛翔してくることがなかったのかもしれません。しかし、技術の進化は時間の問題でした。
 2021年8月26日、中国の無人機が再び日本に飛来したのです。中国空軍のものと思われる偵察・攻撃型無人機「TB -001」が、沖縄・宮古島間の上空を通過して大東諸島の西方まで進出し、中国側に戻るという飛行をしました。このときTB -001には哨戒機や情報収集機が随伴していたことから、無人機が予定どおりの飛行をするか、監視していたのだと思われます(こちらを参照)。
 無人機を使って「暗号の解読」
 さらに、中国軍が台湾への大規模な威嚇演習を行った今年8月にも、大型ドローン(無人機)が沖縄・宮古島の上空を通過し、台湾東側から南側周辺にかけて単独で飛行しました。この時は「米軍や自衛隊の艦艇がこの付近で活動しているかどうか」を映像などで確認するということが大きな目的だったと考えられます。
 つまり、中国軍が台湾を威嚇するために行っているこの大規模な演習中に、沖縄から台湾にかけての微妙な海域(第1列島線)で米海軍や海上自衛隊の艦艇などが、どれほどの規模でどのように活動しているのか、その反応を確かめようとしたのでしょう。
 これが有人の情報収集機や哨戒機でなかったのは、緊張が高まる中で米軍艦艇などの上空を飛行する際には、「無人機によってその任を果たさせる」という中国軍の姿勢の表れではないかと見られます。中国軍は今後も、事態が緊張すればするほどこの無人機を極力活用しようとするでしょう。
 中国軍が無人機をわが国周辺に飛行させる目的は、映像による艦艇の監視だけではありません。そのセンサーがSIGINT(Signal Intelligence:信号情報)である場合、米艦艇やわが国の地上から発せられる「各種電波の収集」ということも重要な任務になります。こうした電波を恒常的に収集することで、米軍や自衛隊側の動きや変化を知ることができるのです。
 さらにさまざまな信号のデータを蓄積し、その信号を分析することによって、その発信源である装備品を解明し、その能力や運用状態、ひいては「暗号の解読」をしようという意図があると考えられます。こうした諜報活動は、有事の際に米軍や海上自衛隊に対してEW(Electronic Warfare:電子戦)を行う際にも役立てることができるのです。
 ドローンは中国の工作員のしわざ?
 一方、台湾では沖縄に飛来するのとは「別の目的」をもったドローンがやってきているようです。今年9月以降、台湾の金門群島付近では小型ドローンが活発に活動しており、ドローンで撮影したと思われる台湾の軍事施設の動画がSNSでアップされる事件も起きました。
 個人的な推測ですが、こうしたドローンの操作やSNS投稿を中国情報機関の工作員が手がけていることは十分に考えられます。工作員が民間人を装って「中国側からいつでも簡単に台湾軍施設の上空と飛行することができ、こんな映像が撮れるんだぞ」と挑発をする。それによって、台湾側がどのように反応するのかを見定め、台湾側や日米の許容範囲、即ち「レッドライン」を見極めようとしている可能性があります。
 そうした中国側の意図を理解しているからこそ、台湾側は「断固たる措置」を取ったのだと思います。9月1日に台湾陸軍が小型ドローンを撃墜したのは、小型ドローンが仮に民間人による「いたずら」であっても許さないという毅然とした姿勢を示したということです。
 一方、日本では無人機の撃墜についての判断が曖昧なままになっています。過去には国会で無人機の対応について質問主意書が提出されたが、政府は「有人機と同様の対応をする」と受けとられるような回答をしました。
 「即座に撃墜しない」という甘すぎる対応
 有人機と同じ対応ということになると、領空侵犯をしただけで「即座に撃墜はしない」ということになります。しかし有人機の場合は、相手方に音声による警告を行った上で、信号射撃や機体などによる信号を送ってコミュニケーションを図りながら最終的には強制着陸をさせるというのが手順となっているのです。ところが、無人機ではこのような手順は有効とはなり得ません。
 今のようなわが国のあいまいな対応のままでは、中国側に「日本は、ドローンが危険な行為さえしなければ撃ち落とすことはない」という誤ったメッセージを送ることになりかねません。
 例えば、今後もし仮に民間機との衝突事故などを防ぐためにやむを得ず中国の無人機を撃墜した時には、中国側から「日本は攻撃能力もない無人機を攻撃して撃ち落とし、わが国を挑発した」といって、エスカレーション・ラダー(軍事的緊張の烈度)を高める口実にするかもしれません。また逆に、エスカレーション・ラダーを高める目的で、わが国周辺で無人機を墜落させ、わが国が撃墜したと仕掛けてくる可能性もあります。
 中国の無人機をこのままわが国領空付近で好き放題に飛行させれば、民間機などに危険が及ぶだけではなく、その時の情勢次第では必要以上に接近してくる無人機への攻撃をきっかけとして、中国軍と日米軍との間で偶発的な軍事衝突が起こりかねないのです。
 このような事態を避けるためにも、日本も台湾と同じように、無人機は「領空内に入れば撃墜する」また、「領空外であっても無人機の飛行が危険だと認識した場合には撃墜する」という姿勢を平時から相手側にしっかりと伝えておくことが必要だと考えます。その上で、状況に応じ、ミサイルの無駄遣いを避けるためにも、無人機に対して「ソフトキル(電子的攻撃により無力化する)」などの対応を考慮すべきでしょう。
 このようにしておくことによって、万が一わが国が中国軍の無人機を撃ち落としたり、何らかの理由で無人機が墜落して中国側が「自衛隊が攻撃を仕掛けてきた」などと威嚇してきた場合にも対応ができます。
 「わが国は、コミュニケーションの取れない無人機が領空を侵犯したり、領空外でも危険と判断した場合は撃墜すると普段より伝えている。それを承知で危険な飛行をさせたのは中国側であり、これは緊張を高めようと企図する中国側の挑発行為に他ならない」と、声を大にして世界に発信することができるのです。」
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