⏱2ー2ー中国共産党は敵対国を内部から崩壊させる為に破壊工作員を送り込んでいる。【ステルス侵略】~No.3No.4No.5 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 中国共産党と中国軍は、孫子の兵法に従い、スパイ・破壊工作員・諜報員を日本国内に送り込み、日本人協力者の支援を受けて日本を内部から改造しようとしている。
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 2024年1月264:00日 YAHOO!JAPANニュース 八重山日報「「琉球アイデンティティ」を利用 中国の対日工作で仲村氏
 共産主義の脅威をテーマにした日本沖縄政策研究フォーラムのセミナー=21日午後、沖縄空手会館
 一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム(仲村覚理事長)は21日、豊見城市で中国の対日工作や共産主義の脅威をテーマにしたセミナーを開き、講師を務めた仲村氏は県民の「琉球アイデンティティ」が日本との闘争に利用されていると指摘した。
 共産主義にだまされやすい沖縄の人の特徴として①琉球王国は日本に滅ぼされたと信じている②被差別意識が強い③日本の繁栄を望む意識が薄い④日本人としてのアイデンティティが薄い―ことなどを挙げた。
 沖縄の基地反対派がよく使う「差別」「先住民族」「沖縄の自己決定権」といった言葉について「言葉の意義を明確にすべきで、あいまいな定義にだまされないようにしてほしい。(恣意的な言葉は)『革命闘争』に利用される」と警鐘を鳴らした。
 沖縄で共産主義に対抗する方法として「正しい日本と歴史と沖縄の歴史を知り、日本人としての誇りとアイデンティティを持つ」ことなどを訴えた。
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 結党以来、中国共産党は反天皇反日で、昭和天皇と皇族を惨殺すべく付け狙っていた日本人の共産主義者無政府主義者テロリストを支援していた。
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 日本国内には、日本国の国益や日本人の安全よりも中国共産党に忖度し中国の利益の為に協力する日本人が存在する。
 反安倍派のマルクス主義者、媚中のエセ保守、反米反安保のリベラル左派、アイヌ独立派、琉球独立派、そして反天皇反民族反日的日本人達。外国人移民(主に中国人移民)の増加でそうした日本人が増えてゆく。
 マルキスト、レニン信奉者、トロッキスト。
 中国共産党・中国軍の対日工作は、「日中友好」の美名を利用して日本のあらゆる分野で浸透している。
 媚中派は、中国共産党の機嫌を損ねないように、能登半島地震に対する台湾からの救助隊派遣申し込みを拒絶した。メディアも中国共産党に配慮して、台湾の善意を拒絶した事実を国民に伝えなかった。
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 2024年1月26日16:00 YAHOO!JAPANニュース nippon.com「敵対国を内側から攻撃する影響工作:中国が「語らないもの」の政治性
 市原 麻衣子
 習近平体制下の中国で、ネットなどの言説空間を通じて自国の影響力を高め、あるいは敵対国に混乱を引き起こそうとする「影響工作」の規模が拡大している。筆者は、中国からの偽情報のみならず、情報の取捨選択によって拡散しようとするナラティブを分析する重要性を指摘する。
 国際社会の主なアクターは国家であり、国家が利益と捉えるのは自国の生存やパワー追求であり、そして国益追及の主な手段は軍事力である―。今日までの国際政治学においては、こうした国家中心主義的で物理的な前提理解が主流だった。
 この前提がいま、二つの意味で突き崩されている。国家が権威主義的指導者およびその政権の維持というサブナショナルな目的を達成すべく、非国家主体や個人を用い、敵対国ではなく敵対国の社会を内部から弱体化させることで、敵対国の外交・安全保障を麻痺(まひ)させようとする影響工作の行使が常態化しているのである。国家行動だけを見ていては見落とす要素が深刻になった。
 そして第二に、それまでは軍事力や経済力など可視化しやすい資源の動きに着目して国際政治を読み取ることができると考えられていたのに対して、情報の恣意的な取捨選択で構築されたナラティブが与える影響が強まった。こうして非物理的な情報というものが占める戦略的重要性が高まったうえ、何が伝えられているかという可視的情報のみならず、何が伝えられていないかを読み取ることがさらに重要になった。
 特に中国共産党(以下、CCP)が仕掛ける影響工作は、ロシアのそれと異なり、長期的視野を見据えてこうした手段を駆使する。短期的に目に見える効果が出なくとも、これを分析・理解し、これに正しく対処していくことが求められる。本稿では、中国による影響工作の近年における手段・規模の拡大と、主な目的について論じる。
 習近平政権下における影響工作
 習近平国家主席になって以来、CCPは影響工作を徐々に拡大してきた。2013年8月に「中国の物語を上手く伝える」よう、対外宣伝を強化すると習近平が明言すると(※1)、CCPのプロパガンダや、中国のイメージを改善するようなナラティブの積極的な発信が強化された。海外メディアとの連携強化や買収が進み、中国に関する情報源を国際的にCCPに一元化しようとしてきた。
 19年に香港で反逃亡犯条例デモが拡大し、中国政府による抑圧が世界の目にますます晒されるようになると、CCPの影響工作はさらに攻撃的になる。オックスフォードインターネット研究所のサマンサ・ブラッドショーとフィリップ・ハワードは、この過程でCCPが対外偽情報を本格的に利用し始めたと指摘する(※2)。中国国内においては、CCPはそれまでも微博(Weibo)、微信(WeChat)、QQといった中国国内のプラットフォームを用いて偽情報を頻繁に発信し、CCPを美化するメッセージで国内の情報空間を満たそうとしていた。しかし香港が中国の「グレート・ファイアーウォール」と呼ばれる情報検閲システムの外部にあり、情報空間上国際社会と繋がっていることから、Facebookツイッター(現X)など、中国国内では禁止されているプラットフォームからも偽情報の発信を活発化させたのである。デモ参加者が外国からたきつけられ、金銭を受け取ってデモに参加しているなどの偽情報が拡散された。
 武漢震源とする形で新型コロナウイルスが始まり、CCPの不透明性が国際的に非難を浴びる中、同様の傾向は続いていった。20年2月3日に習近平は、「インターネット空間が常にポジティブなエネルギーで満たされるよう」管理強化をするよう指示を出している(※3)。オーストラリア戦略政策研究所のエリス・トーマス、アルバート・ジャン、ジェイク・ウォリスによれば、その目的は主に、中国政府がコロナを巡って国際協調を行っているとのポジティブなナラティブを拡散し、他方で米国のコロナ対応は利己的であり失敗していると喧伝することであった(※4)。
 日本語でのCCPメディアによる発信にも、この傾向が見て取れる。例えば中国国際放送局(CRI)日本語は、「新型肺炎との戦い」と題するシリーズの動画を20年2月8日にYouTubeで配信し始めている(※5)。タイミングから見ても明らかに、2月3日の習近平の指示を受けたものであろう。内容はCCPのコロナ対応を礼賛するものが多いが、米国政府を批判するものもまま見られる。
 予算拡大
 こうした流れに沿って、予算も拡大している。2022年と比較すると、23年におけるCCPの「外交努力」用予算は12.2%増加して540億元(79億ドル)になっている(※6)。中国の影響工作について調査を続けている米国のNGOフリーダム・ハウスによれば、これには対外宣伝経費が含まれており、増加率としては国防費(7.2%)、公安費(6.4%)、科学技術費(2%)などよりも高い(※7)。
 このうち実際どれくらいの金額が影響工作に使われているか完全には分からないが、ジョージ・ワシントン大学のデイビッド・シャンボー教授は年間約100億ドルと推計している(※8)。米ジェームズタウン財団のライアン・フェダシウク氏が出した19年の推計では、統一戦線工作部への支出だけを見ても26億ドルで、外交部への支出よりも多い。(※9)。
 自国安定のため敵対国側を弱体化
 2023年8月に日本語訳が出版された『中国の情報侵略』(東洋経済新報社)において、米ジャーナリストのジョシュア・カーランツィックは、CCPが影響工作を行う上での目的について、CCPの支配維持、他国の中国イメージ形成、台湾の正当性否定、国際組織・ルールの形成、米国の影響力減少、そして国際的な民主主義の後退などであると論じる。
 手段としては、民主主義社会で論争となっているイシューを巡る分断を加速させたり、公的機関への信頼を損なわせたりすることで、民主主義国を内側から弱体化させようとする。また、民主主義国連携や同盟にくさびを打ち込み、中国への対抗網に亀裂を走らせようとする。
 23年に開始された処理水の海洋放出は、その典型例となった。台湾や韓国など、日本と外交・安全保障上の関係を強めている国々において見られる放水反対の声を日本語で取り上げ、日本人読者に揺さぶりを掛けるとともに、台湾・韓国に対する日本の親近感を低下させようとした(※10)。同様のことは、台湾や韓国などにおいても行われた。
 恣意的に捨象される情報
 レコード・チャイナの記事タイトルで使用される単語の対応分析(2019年)
 処理水放出を巡る偽情報が問題となってからというもの、日本で偽情報に関するニュースに接する機会が各段に増えた。偽情報に対する認知が拡大したことは悪くないが、ここに光が当たり過ぎると、認知がより困難で、より深刻な問題が忘れられてしまう危険性がある。情報を政治的に取捨選択して流布することで、CCPの望むナラティブを拡散しようとしているという問題である。何が報じられているかのみならず、あるいはそれ以上に、何が報じられていないかが重要なのである。
 処理水放出に関しては、実際に各国に放出反対の声があったため、これらの情報を取り上げること自体には正当性がある。他方でCCPメディアは、IAEAが処理水放出を支持した科学的根拠についても、韓国や台湾などの政府が処理水放出を支持した事実についても報じなかった。
 政治的かつ選択的情報伝達は、処理水問題に特有なものではなく、CCPが一般的に用いる手段である。例えば、筆者(市原)が2020年にアジア民主主義研究フォーラムの論文集で発表した研究成果によれば、統一戦線工作部の影響下にあって日本語で中国関連記事をネット配信しているレコード・チャイナ(Record China)は、韓国に関することになると、政治性が高く日本と対立するイシューばかりを取り上げ、それ以外のトピックについてはほとんど記事を配信していなかった(※11)。
 図はその研究で行った対応分析の結果を示したものである。関連して使用されている単語は近接して配置されている。これを見ると、「韓国」や「日韓」の単語付近には「政府」「首相」「大統領」など、政府間関係を想起させる単語が並ぶほか、「批判」「問題」などの単語が使用されていることが分かる。
 これを「中国」に連関して用いられている単語と比較すると、「中国」の単語は「選手」や「サッカー」などスポーツに関する単語、「中国人」は「観光」「客」などの単語と連関して使用されていることが分かり、非政治的コンテンツを集中的に報じていることが読み取れる。つまり、中国については政治的なコンテンツを報じず、逆に韓国については非政治的なコンテンツを報じないことで、親中・嫌韓ナラティブを醸成していたのである。なお、この結果は、2021~2022年のレコード・チャイナ記事を分析した呉東文氏の研究結果でも裏付けられている(※12)。
 ターゲットはわれわれ個々人
 恣意的に流布される情報は、ほとんどの場合情報自体は正しい。そのため不正なナラティブだと一刀両断することができず、世論にじわじわと浸透する。CCPのこうした影響工作の手法は、今後も重大な安全保障・外交案件に関して使われていくであろう。
 ターゲットにされているのは、われわれ個々人である。伝えられる情報をそれ単体として捉えるのみならず、情報の束の中に規則性を見出し、情報発信者の政治性を意識したうえで情報を摂取したい。
 注釈
(※1) “Telling China’s Story Well,” China Media Project (April 16, 2021).
(※2) Samantha Bradshaw and Philip N. Howard, “The Global Disinformation Order,” Oxford Internet Institute, University of Oxford, 2019.
(※3) 「在中央政治局常委会会议研究应对新型冠状病毒肺炎疫情工作时的讲话」『求是』(2020年2月15日)。
(※4) Elise Thomas, Albert Zhang and Jake Wallis, “Covid-19 Disinformation and Social Media Manipulation,” International Cyber Policy Center at the Australian Strategic Policy Institute, (October 2020).
(※5) CRI日本語「新型肺炎との戦い」YouTube
(※6) Ministry of Finance of China, “Report on the Execution of the Central and Local Budgets for 2022 and on the Draft Central and Local Budgets for 2023,” First Session of the 14th National People’s Congress of the People’s Republic of China (March 5, 2023), p. 42.
(※7) Sarah Cook, ““Two Sessions“ Takeaways, Tibet clampdown, TikTok debates,” China Media Bulletin 169 (March 2023).
(※8) “China is spending billions to make the world love it” The Economist (March 23, 2017).
(※9) Ryan Fedasiuk, “Putting Money in the Party’s Mouth: How China Mobilizes Funding for United Front Work,” China Brief, Vol. 20, Issue 16 (September 16, 2020).
(※10) 例えば、CGTN「台湾の複数の団体 日本の放射能汚染水放出計画に抗議」AFPBB News(2023年6月15日)。;「韓国市民団体代表が訪日、11万人超の核汚染水海洋放出反対の署名を提出」CRI日本語(2023年7月28日)。
(※11) Maiko Ichihara, “Influence Activities of Domestic Actors on the Internet,” in Asia Democracy Research Network, Social Media, Disinformation, and Democracy in Asia: Country Cases (December 2020), pp.9-17.
(※12) 呉東文「構造トピックモデルを用いたレコード・チャイナの分析」GGR Working Paper No. 5(2023年12月13日)。
 【Profile】
 市原 麻衣子 ICHIHARA Maiko
 一橋大学大学院法学研究科および国際・公共政策大学院教授。専門は国際政治学民主化支援、日本外交。米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学研究科博士課程修了(Ph.D.)。World Movement for Democracy運営委員、East Asia Democracy Forum運営委員なども務める。著書にJapan’s International Democracy Assistance as Soft Power: Neoclassical Realist Analysis (New York and London: Routledge, 2017)などがある。
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 1月29日 YAHOO!JAPANニュース 文春オンライン「「これが貴国の礼儀ですか」中国“戦狼外交官”との舌戦を元大使が明かした!《最も恐れられる日本人》
 2020年から3年にわたって駐中国大使を務めた垂秀夫氏が、中国外交部と繰り広げた熱戦の日々を明かした。恫喝的な態度を取る中国サイドと臆さずに対峙してきた垂氏は「中国が最も恐れる男」と呼ばれるほどの人物だ(聞き手 城山英巳・北海道大学大学院教授)。
 【画像】「戦狼外交官」として著名な華春瑩氏も途端に「マズい」と…
 ◆◆◆
 無礼な中国外交部
 垂氏と王毅外交部長 ©時事通信社
 「これまで中国は礼儀の国だと思っていましたが、私の理解は正しくないということがよく分かりました」
 2021年12月1日夜、私は北京中心部にある中国外交部1階の応接室で、女性報道官であり、「戦狼外交官」として著名な華春瑩部長助理(次官補)と対面し、冒頭の言葉を投げかけました。
 発端は、同日に台湾で開かれたシンポジウムでした。オンライン参加した安倍晋三元総理が「台湾有事は日本有事」と発言。日本が台湾問題に関与を強めることを警戒した中国側は、これに猛反発したのです。
 私はそれ以前から、別の案件でカウンターパートであるアジア担当の呉江浩部長助理(現・駐日大使)に、面会を求めていました。ただ、中国側は引き延ばすばかりで、一向に時間を作ろうとしなかった。
 ところが、安倍元総理の発言が伝わると、「すぐ外交部に来てほしい」と連絡してきたのです。失礼な話ですから、当初、部下には「放っておけ」と伝えたのですが、外交部は「来ないなら、今後、垂大使とのアポイントメントは全て拒否する」と脅してきた。仕方なく面会は了承しましたが、すぐさま駆けつけるのは癪に障るので、夜の会食が終わった後、あえて1時間ほどしてから、外交部を訪ねたのです。
 出張中だった呉氏の代理として出てきたのが、華氏でした。初対面でしたが、私が席に着くなり、「厳正に申し入れを行いたい」と、長文の抗議文を読み始めた。私は30分ほど黙って耳を傾けていましたが、彼女が読み終えると、こう切り出しました。
 「華春瑩さん、初めてお目にかかります。まずは最近、部長助理に昇進されたことを、お祝い申し上げたい」
 抗議をする場合でも、挨拶や雑談から始めるのが、外交上の礼儀です。彼女は途端に「マズい」という表情をしました。一転して、「このような場でありますが(お祝いしていただき)、ありがとうございます」と居住まいを正した。これで力関係が決まったのです。私はこう続けました。
 「私が面会を申し込んだときは逃げるだけ逃げて、自分が会いたい時は『すぐに来い』と呼び出す。これが貴国の礼儀のあり方ですか」
 敵陣でも言うべきことは言う
 続けて、元総理とはいえ、今は政府を離れた安倍氏の発言について、政府として説明する立場にはないこと、日本国内には「台湾有事は日本有事」といった考えがある現実を理解すべきであること、そして一方的な主張は到底受け入れられない旨を述べました。すると、横に座る華氏の部下が一生懸命、ペーパーを入れてくる。華氏はそれを受けて、「台湾統治時代、日本軍国主義が多くの台湾民衆を殺害した」などと言ってきたので、こう反論しました。
 「日本政府で私ほど台湾問題に詳しい者はいないので、いい加減なことは言わないでほしい。当時の台湾統治と軍国主義は関係ない。日清戦争後の下関条約の結果として、清国からの割譲という正式な手続きにのっとって台湾を統治したのである」
 これに対し、華氏は言葉に窮したのか、日本は19世紀末から軍国主義を採っていたという説もあると述べましたが、私からは「そんな“新説”を受け入れるはずはないだろう」と言い返しました。
 おそらくこの時で懲りたのでしょう。以降、呉氏が不在の時でも、華氏が代理として出てくることはありませんでした。大使在任中は、いわば敵陣にいるわけですから、理不尽な目に遭うことが多々ありました。それでも、国益に基づいて、中国に対して言うべきことはハッキリと言う。それだけは常に心掛けてきました。
 ◇
 中国が最も恐れる男――。
 そう呼ばれてきた外交官が垂秀夫氏(62)である。2020年9月から駐中国大使を務め、昨年12月に外務省を退官した。
 1961年、大阪府生まれ。京都大学法学部を卒業後、85年に外務省入省。南京大学に留学し、中国語研修組の「チャイナスクール」として外交官のキャリアをスタートさせた。初めて北京に赴任したのは、天安門事件が発生した89年。以来、北京駐在は4度にわたった。他の勤務地も香港、台湾といった中華圏ばかりで、キャリア外交官としては異例の経歴を誇る。その交友関係は中国共産党の中枢に加え、民主派・改革派の知識人や人権派弁護士にまで及び、中国の裁判所で「スパイ要員」と認定されたこともある。
 私生活では写真撮影をこよなく愛し、写真コンテストで400回以上入賞。環境大臣賞も受賞したプロ級の腕前を持つ。
 中国の表と裏を知り尽くした異能の外交官が語り尽くす新連載。第1回は、習近平氏登場以来の中国の変化について分析する。
 ◇
 南京大留学が原点に
 外務省では一度大使になると、2カ国以上務めるのが通例です。ところが私は中国だけで、入省同期の中で、最も早く退官することになりました。伝えられたのは、昨年夏、外務本省からの電話です。こう言うと負け惜しみに聞こえるかもしれませんが、昨年末に退官させてもらったことには心から感謝しています。さっぱりとした気持ちで、まさに光風霽月(こうふうせいげつ)の心境です。かねてから、周囲には「もし早めに大使の任期を終えられるようでしたら、いつでも言ってください」と伝えていました。
 退官を希望した理由は、若い頃から患っている眼の病です。完治することのない病気で、病状を悪化させる一番の原因はストレス。私は第二の人生の夢として写真家を目指しています。ボロボロになって辞めるより、ここで退官できたことは、本当に良かったと考えています。
 外交官としての原点は、1986年の南京大学への留学です。将来、北京勤務はあるだろうから、留学先は北京以外で、大使館や総領事館のない都市を希望していました。南京大学では中国人学生と留学生寮ルームシェアできることがわかったので選んだのです。
 当時の最高指導者は鄧小平で、改革開放を掲げ、日本から近代化を学ぼうという大きな方針を打ち出していました。ナンバー2の胡耀邦共産党総書記も中曽根康弘総理と個人的な信頼関係を築き、84年には3000人もの青年訪中団が実現。私自身、外務省に入省して最初の仕事は、3000人青年訪中団のおかえしで訪日した中国青年訪日団の受け入れパーティ(中曽根総理主催)を担当したことでした。日本に対して温かい雰囲気がありましたから、南京という地ではありましたが、2年間の留学生活では1度も不愉快な思いをしたことがありません。
 2020年に大使になると、外交官として「動ける空間」が激変したことを痛感しました。1990年代、2000年代を経て少しずつ小さくなっていき、足を踏み入れることができなくなった分野もあります。それだけに1980年代の温かい日中関係を体感できたことは、今となっては貴重な経験だったと思います。
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 本記事の全文は月刊「文藝春秋」2024年2月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています( 垂秀夫「駐中国大使、かく戦えり 短期集中連載 第1回」 )。
 垂 秀夫/文藝春秋 2024年2月号
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 1月30日17:02 YAHOO!JAPANニュース FNNプライムオンライン「「統一戦線工作」に「孤立化工作」…日本政治が右往左往する中、国際社会で着実に味方を増やす中国外交の“したたかさ” 
 自民党の最大派閥、安倍派が解散を決めた。「安倍(元)総理に申し訳ない」という幹部の言葉はいったい誰に向けられたものだったのか。
 【画像】日本の社民党を「破格の厚遇」で迎えた中国の「統一戦線工作」
 「申し訳ないというのは、安倍元総理に責任を押し付けて申し訳ないと聞こえた」(元安倍派幹部秘書)という冷ややかな評価も聞かれた。
 日本の政治が右往左往する中で、台湾では新しい総統が決まった。中国は着実に、かつ貪欲に国益を追求している。日本から見えにくい中国の「したたかな動き」を追う。
 野党への“統一戦線工作”
 安倍派が解散を発表した1月19日、中国の最高幹部の1人が国会議員3人の野党の訪中団を北京の人民大会堂で出迎えた。
 福島瑞穂党首率いる社民党と面会したのは中国共産党で序列4位の王滬寧(おう・こねい)氏。中国側が出迎えた理由は「統一戦線工作」(日中外交筋)とされる。つまり社民党の立場を尊重しつつ、理解者を味方に取り込むための方策とみられ、会談には担当の部長も出席していた
 去年訪中した与党・公明党の山口代表と会談した蔡奇氏よりも王氏の序列はひとつ上だ。中国幹部の役割はそれぞれ違い、一概に比べられるものでもないが、「破格の厚遇」(日中外交筋)といわれる。
 王氏は冒頭、「社民党をはじめ各政党、各界の方々とともに努力し、各分野の交流、協力を進め、違いを建設的に管理したい」と呼び掛けた。「中国の統一戦線工作は従来からそういうものだ」(同)とは言うが、相手がどんな立場であれ、幹部が丁寧に接するやり方は徹底している。
 台湾の“孤立化工作”
 台湾の総統選挙でも、結果が判明した週明け、太平洋のナウル共和国が台湾と断交し、1月24日に中国との国交を樹立した。
 国土は品川区と同じ程度の島国と、この総統選挙に合わせて秘密裏に交渉していたことになる。かつて国交を結んだ後に断絶した経緯もあるだけに、準備は周到に進められたのだろう。これで台湾が外交関係を持つ国は12に減った。台湾を孤立に導くやり方は一歩ずつ、しかし確実に前進している。これも中国の「したたかさ」のひとつだろう。
 混迷が続く自民党ではかつて、野党や無所属議員らの自民党入党に尽力し、衆議院での単独過半数を回復させた野中広務元幹事長代理(当時)が、議員を一本釣りするその手法から「釣り堀のおっさん」などと言われていたことを思い出す。
中国で進む“政治”
 その進む方向とやり方はともかく、中国では外交も含めた「政治」が着実に行われている。ブラジル、ロシア、インド、南アフリカからなるBRICSや途上国を中心にしたグローバルサウスとも連携し、国際社会での味方を着実に増やしているのが実態だ。「アメリカとは別の国際秩序の構築」が中長期の目標だからだ。
 「中国は中国なりの価値基準で動いているが、日本と違うからといって決して侮ってはいけない」(外交筋)と言われるように、日本からすれば関係の浅い国々でも、そのひとつひとつを取り込むやり方は効果を発揮していると言えるだろう。
 日本は同盟国のアメリカや主要7カ国=G7との関係を重視するが「たった7カ国でしかない」(別の外交筋)という評価もある。経済規模や影響力の大きさはともかく、中国の働きかけを受けて、少なくない国が手を結んでいるのは事実である。
 日本の“政治”への期待は…
 福島氏は王氏と会談する前、中国共産党の対外窓口のトップ、劉建超対外連絡部長とも会談した。劉氏は台湾総統選の前に訪米し、投開票直前にブリンケン国務長官と会談した人物である。
 劉氏は福島氏との会談前、現場で待つ取材陣と握手を交わし、しばし交流する機会を持った。石川県での地震に対するお見舞いから北京の冬の寒さまで、その穏やかな語り口と表情には深い人間味があった。
 福島氏が到着するだいぶ前に現場に来て、寒空の下で待っていたのは「統一戦線工作」だけではない、中国人としての礼節の表れでもあったのだろう。国としての対応には受け入れられない部分が多いが、「個」には温かみもあることを実感した時でもあった。
 前述した野中氏は「こわもて」で知られたが、中国でも多くの人脈を築き、両国の関係構築に貢献してきた政治家の一人である。日本の経済団体が訪中するなど、双方の動きが徐々に出始める中「中国と向き合う政治家は出てくるか」を考えるが、安倍派をはじめとする議員の言動を見ていると、なかなか期待は高まらない。
 【執筆:FNN北京支局長 山崎文博】
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