⏱23:ー1ー日本は中国と断絶しても耐えられる経済体制を築け。~No.66No.67 

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 日本は生き残る為に、反日敵日の中国共産党と距離を置き、同盟国アメリカ、同志国イギリス、友好国インドとの協力関係を強めるべきであり、その中でも最優先国はイギリスである。
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 2023年8月9日 MicrosoftStartニュース ダイヤモンド・オンライン「中国と断絶しても耐えられる経済体制を日本は築け、「切り札」になり得る同盟とは
 上久保誠人
 米国による「先端半導体の対中輸出規制」に対抗し、中国がレアメタルの輸出規制を始めた。日本はガリウムの輸入を中国に依存してきたことから、今回の輸出規制によって不利益を被る可能性がある。今後もこうした事態が続くようなら、日本企業は大打撃を受けるだろう。だが筆者は、日本は中国との融和を進めるのではなく、中国との関係を絶ち切っても経済的に十分やっていける体制を築くべきだと考える。既存の同盟国に加えて、新たな国との関係を強化できれば、実現の可能性は十分にある。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人
 米中関係がさらに悪化すれば
 日本が“割を食う”リスク大
 中国はこの8月から、ガリウムゲルマニウム関連製品を輸出規制の対象に加えた。これらはいわゆるレアメタル希少金属)であり、半導体太陽光発電パネル・光ファイバーなどの製造に使用されている。
 産業において極めて重要な素材だといえるが、他国は8月以降、これらを中国から調達する際に中国政府の承認が必要となる。
 この措置は、米国が22年10月に打ち出した「先端半導体の対中輸出規制」に対抗したものだ。今後も米中の経済対立が激化し、米国による中国への規制・制裁がさらに強化されれば、中国からの対抗措置もエスカレートするだろう。
 ここで懸念されるのが、“割を食う”形での日本経済への悪影響だ。日本はガリウムの輸入を中国に依存してきたことから、今回の輸出規制によって不利益を被る可能性がある。
 今後もこうした事態が続くようなら、日本企業の経営には大打撃となる。それは避けたいのが企業の本音だろう。
 日本の政治家・財界人には、中国と良好な経済関係を保とうとする「親中派」が少なくない。彼らが岸田文雄政権に「慎重な対応」を強く求めていけば、日本政府は今後、米国と一枚岩で中国への規制・制裁を進めていくのは難しいかもしれない。
 では「親中派」のもくろみ通り、日本が中国と良好な経済関係を築けばよいのかというと、決してそうではない。それが逆にリスクになる可能性もある。これが対中関係の難しいところだ。日本における最先端の技術が中国などに流出し、国の安全が脅かされる「経済安全保障」の問題が付きまとうのだ。
 中国では「国家情報法」「会社法」「中国共産党規約」などの法律や規約によって、国民が国家情報工作に協力することを義務としている。この義務の下、日本の企業や大学、研究機関などから最先端技術が盗まれ、中国における兵器開発に使われているという疑惑もある。
 さらに難しいことに、中国は7月から「改正反スパイ法」を施行し、外国人などによる自国へのスパイ行為の取り締まりを強化している。これにより、中国に在留する日本人の安全が一層脅かされると不安視されている。
 というのも、かねて中国では、日本人がスパイ行為に関わったなどとして拘束される事例が相次いできた。スパイ行為の定義が拡大されたことで、取り締まりがさらに強化される懸念がある。
 要するに、中国への過度の経済的依存は、有事の際に日本の防衛力や安全保障体制の機能不全を引き起こす恐れがある。機密情報の保持や、中国に在留する日本人の安全保護が難しくなるリスクもある。
 では今後、日本は中国との関係をどうしていくべきなのか。
 日本が取るべき方針は「デリスキング」ではなく
 「デカップリング」?
 ここで米国の対中戦略に目を向けると、現在の彼らの手法は、中国リスクの低減を図りながら関係を維持する「デリスキング」だ。米国内や欧州、日本の経済界からの「中国との経済関係を維持したい」という意向に配慮したものだ。
 しかし今後、中国との経済的な分断を図る「デカップリング」へと米国の戦略が変化する可能性も否定できない。その時、日本はどう行動すべきかが問題となるだろう。
 この連載では、日本政府は「デカップリング」を行い、中国との関係を絶ち切っても経済的に十分やっていける体制を築くべきだと提案してきた(本連載313回)。前述の通り、中国への過度の経済的依存には深刻な問題につながるリスクがあるためだ。
 もちろん簡単な話ではないが、ここでカギとなるのが英国の存在だ。日米同盟を「日米英」の強力な同盟へと進化させ、日本・米国・英国・英連邦諸国を股にかけた巨大な経済圏を構築すれば、日本による「デカップリング」も不可能ではなくなってくる。
 中国のGDPは約15兆ドルに拡大している(2020年度実績、以下同)。2010年に日本を抜き、現在は日本の約3倍の規模に達している。この事実に日本人は臆してしまいがちだ。また、日本企業が生き残るためには中国の巨大市場が必要不可欠という思い込みがある。
 だが、日本・米国・英国・英連邦が一つの経済圏となれば、GDPの合計は約37兆ドルとなり、中国をはるかに上回る。まずは単純に経済規模で中国を凌駕できることが、日本人の心理には重要である。
 苦境に立つ中国の日本料理店、SNSでは日本食のボイコット求める声も(字幕・31日)
 日本の味方になれば心強い
 「英連邦」とは?
 ここで基礎知識について簡単に触れておくと、英連邦(コモンウェルス)とは、旧英国植民地など56カ国で構成される国家連合体だ。加盟国は、ニュージーランドやマレーシア、パプアニューギニアなど多岐にわたる。
 このうちオーストラリア・カナダ・ジャマイカなど15カ国は「英連邦王国」(コモンウェルス・レルム)と呼ばれ、英国の君主を自国の国家元首としている。政治には直接関わらないが、これらの国々の君主は英国王チャールズ3世だ。
 またチャールズ3世は、共和制国家を含む英連邦全体の連帯を象徴する元首でもあり、世界の4分の1近くの国家・地域に元首として君臨している。
 このように、英連邦は巨大な経済圏だ。世界の国土面積の21%を占め、総人口(24億人超)は全世界の人口(約77億人)の3分の1弱を占めている。GDPの合計値は11兆ドル超で、米国の約21兆ドル、EUの約18兆ドル(英国含む)、中国の約15兆ドルに次ぐ経済規模である。
 英連邦の重要性は規模だけではない。加盟国には、資源大国であるカナダ・オーストラリア・南アフリカ・ナイジェリアが含まれる。
 世界で2番目に人口が多く、ハイテク国家としても知られるインドをはじめ、マレーシア・シンガポールなど東南アジアの多くの国も含まれている。そして、今後「世界の工場」となることが期待されるアフリカ諸国の多くも英連邦だ。
 政治的には、カナダはG7、インドや南アフリカ新興国の雄「BRICS」の一角だ。オーストラリアやシンガポールなどは、それぞれの地域で主導的立場にある。
 要するに、加盟国が政治的・経済的に多様な特徴を持ち、その規模以上に巨大なパワーを持つ経済圏を形成しているのが英連邦の特徴である。
 従来の日米同盟に加えて、この英国および英連邦の政治的・経済的なパワーを取り込むことができれば、日本が中国からの「デカップリング」を果たす基盤となるはずだ――。これが筆者の考えだ。
 そうした「日米英同盟」が持つポテンシャルを、レアメタルレアアースを題材に考えてみたい。
 日本は中国に依存せずとも
 レアメタルを調達できる!?
 中国はガリウムで世界生産の90%、ゲルマニウムで60%を占める。このうちガリウムボーキサイトからアルミを精錬する際の副産物として採取される。つまり、アルミの生産国である英連邦のインド・カナダなども、条件が整えばガリウム生産国になることも不可能ではないはずだ。
 ゲルマニウムは、世界の埋蔵量が8600トン。そのうち米国の埋蔵量が3870トン、中国が3500トンだ。現在、米国は自国資源保全を理由にゲルマニウムを生産していない。だが再生産に踏み切れば、中国への対抗が可能となるはずだ(ニューズウィーク日本版『ガリウムゲルマニウム輸出規制の影響は?』)。
 続いて、電気自動車(EV)のバッテリーやスマートフォンの製造など先端技術に欠かせないレアアース(希土類)を考える。中国の生産量は昨年21万トンであり、世界シェアの約7割を占める。2位は米国で4万3000トン(シェア約14%)、3位はオーストラリアで1万8000トン(同6%)だ(朝日新聞『中国のレアアース、世界シェア7割 G7も危機感、EV普及なお依存』)。
 中国の圧倒的優位は揺るがないが、2位の米国は同盟国であり、3位のオーストラリアも英連邦の一員だ。そして、レアアースは地球の広い範囲で埋蔵が確認されている。
 また、19年とやや古い報道になるが、ロイター通信によると、インド・南アフリカ・カナダといった英連邦諸国でもレアアースが採掘されているという(ロイター通信『アングル:米国が怯える中国の切り札「レアアース砲」とは』)。英連邦諸国がレアアースの生産を加速させれば、供給源を多角化できる余地がある。
 レアメタル希少金属)全体を見ても、日米英同盟には大きな可能性がある。レアメタルはオーストラリア・カナダ・アフリカ諸国などに幅広く埋蔵されており、アングロアメリカン・リオティント・BHPなど「鉱物メジャー」と呼ばれる資源多国籍企業の多くは英連邦系の企業だ。各社は今後もレアメタルの生産に莫大なリソースを投入していくだろう。
 このように見ていくと、日本が日米英同盟のネットワークを生かして、中国に頼らずレアメタルレアアースを調達するルートは十分あるように思える。
 そして、多大なるポテンシャルを秘めた同盟の中でも、やはり「英国および英連邦」のメリットとスケール感は非常に大きい。その証拠に、日本以外に目を向けても、旧英国植民地ではないにもかかわらず英連邦に入りたがる国々がここ15年ほどで増えてきた。
 具体的には、旧英国植民地ではないルワンダが2009年に加盟した。加えて、同じく旧英国植民地ではないガボントーゴも2022年に新たに加盟した。パレスチナ自治政府南スーダンも加盟に前向きだ(第330回)。
 新たに加わりたい国・地域が今も存在する理由は、独裁政権を倒して民主化を果たした小国(主にアフリカ諸国)や、新しく誕生した国家でも加盟しやすいからだ。
 そして国際連合よりも、国際社会で発言する機会を得やすい。英系グローバル企業とのネットワークによる、経済成長を期待する国もある(第20回・p5)。
 さらに、EU離脱後の英国の新しい国家戦略「グローバル・ブリテン」に沿った施策として今年5月に行われたチャールズ3世の戴冠式にも、多数の外国の国家元首や王族が参列した。英国からの援助や投資、英国との経済関係強化、安全保障関係強化を狙ってきたのだ。
 そこで、あらためて提言したい。日本は英国および英連邦との関係を強化して日米英同盟を形成すべきだ。そして、中国との関係を絶ち切っても経済的に十分やっていける体制を構築すべきだ。さらにその一環で、英連邦への新しい形での加わり方を検討するべきだ。
 そのままの加盟は難しくても
 新しい道を模索すべき
 ここで「新しい形」としたのには理由がある。日本の皇室は世界最長の歴史を持つことなどから、英王室と同格以上の存在だという説があるためだ(※)。
 ※八幡和郎、篠塚隆(2023)『英国王室と日本人:華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館)を参照。
 天皇陛下と英国王の序列関係から、英国王を象徴とする英連邦に日本がそのまま加わるのは難しいだろう。しかし「英国と同格のオブザーバー」としての参加など、別の形での加盟は検討の余地があるはずだ。
 現在、英国のTPP11加盟が実現することになり、事実上の「日英自由貿易協定」が成立する見通しだ。米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」も交渉が始まっている。
 これらの動きがある中で、日本が何らかの形で英連邦に加われば、グローバルサウスの多くの国々と事実上の「国家連合体」を形成できる。これが実現すれば、中国をはるかにしのぐ巨大な経済圏が出来上がる。
 もちろん、現状すぐに中国との関係を断絶し、事を荒立てる必要はない。しかし、中国との関係をいつでも切れる政治的・経済的・安全保障体制を構築しておくことは、中国に対抗する政治的パワーを格段に高めることになる。そのための“切り札”が英国および英連邦との連携強化なのである。
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